JP4088740B2 - 印字装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドット印字を行う印字装置に関し、更に詳しくは印字駆動を行うハンマ機構部の配列に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ドット印字を行う代表的な印字装置としてドットプリンタが挙げられる。
【0003】
ドットプリンタは印字ハンマの打撃力により、インクを含浸したインクリボンを介して印字用紙にドット印字を行うプリンタである。一般にハンマ機構部は、印字ハンマを桁方向に複数配列して構成されるため、桁方向にわたって均一な印字を得るためには、各印字ハンマの打撃力、及び打撃に要する時間などのハンマ特性のバラツキを最小限に抑えることが必要とされる。
【0004】
また、ドットプリンタの印字密度については標準的に、180dpi及び160dpiの双方がこれまで使用されてきた。ユーザの要求により、これら双方の印字密度についてドットプリンタを製造しようとする場合には、ハンマ機構部の基本構成を共通としたうえで、これら双方に対して部品の共通化を最大限に図った設計とすることが生産性の観点から望ましい。
【0005】
以下、従来のドットプリンタにおけるハンマ機構部の構成について詳述する。
【0006】
図5に示したハンマ機構部は、スプリングチャージ方式と呼ばれるものである。その先端にハンマピン1を接合したハンマスプリング2は、コムヨーク3、マグネット4、ヨークベース5及びフロントヨーク6によって形成される磁気回路上で、フロントヨーク6と共にヨークベース5にボルト7で取り付けられている。
【0007】
通常、ハンマスプリング2の先端は、所定の撓み量を持ってマグネット4によりコムヨーク3に磁気吸引された状態にある。そして、コムヨーク3に取り付けられたハンマコイル8に、磁気吸引力を打ち消す方向のパルス電流を流すことで、ハンマスプリング2の撓みを解放し、ハンマピン1がインクリボン9を介して印字用紙10を打撃することによりドット印字が行われる。
【0008】
ハンマ機構部は、図6に示したように、桁方向に複数配列されるハンマスプリング2を複数個まとめて櫛状の形状としたハンマスプリングモジュール31を桁方向(図中横方向)に複数並べて配置することで構成される。このハンマ機構部は、前述した理由により、180dpi、及び160dpiそれぞれについて、ハンマスプリングモジュール31のみを専用設計とし、コムヨーク3などの他部品は共通化した構成としている。
【0009】
ここで、ハンマピンの行方向(図中縦方向)の配列については、1行の印字に必要なスキャン数を極力少なくして効率よく印字を行い、印字速度を高めるという観点から、標準的な1文字の行方向ドット数24の約数の印字ハンマを所定のピッチで配列させるのが一般的である。
【0010】
次に、ハンマスプリングモジュール31内部の具体的なピン配列について、行方向のピン配列を前述したように24の約数、例えば4ピンとし、桁方向のピン配列を行方向のピン配列4ピンの倍数、例えば16ピンの構成とした場合を例にとり、180dpi、及び160dpiそれぞれについて説明する。
【0011】
桁方向のピンピッチは、本例においては、0.105インチとしており、これをドット数に換算すると、180dpiでは18.9ドット、すなわち18〜19ドット間隔の配列、160dpiでは16.8ドット、すなわち16〜17ドット間隔の配列となる。なお、桁方向のピンピッチを区切りのよい数値である0.1インチピッチ(ドット数に換算すると180dpiでは18ドットの配列、160dpiでは16ドットの配列)とせずに、0.105インチピッチとしているのは、0.1インチピッチのピン配列では、桁方向に複数配列された各印字ハンマにおいて、複数の印字ハンマが同時駆動する確率が非常に高くなり、より大きな容量を持つ電源装置が必要になることを避けるためである。
【0012】
なお、同時駆動を避けるための桁方向のピン配列の一例としては、特許第2890536号に開示されているように、印字ハンマをNグループ(Nは2以上の整数)に分け、各グループの印字ハンマが同時に駆動しないように、所定のピッチから各グループごとに1/Nドットずつずらして配列する構成が挙げられる。前記特許においては、さらに実装上、隣接するグループの印字ハンマが磁気的に及ぼす影響を少なくするため、隣接するグループの印字ハンマが連続して駆動しないような駆動順序となるように構成されている。
【0013】
そこで、上記特許の構成と同様に、図6の構成においては、N=8として、ハンマスプリングモジュール31内部の前後8ピンごとに1/8ドットずつずらして駆動するような駆動順序のグループを構成しており、各グループの印字順序は、前述したように隣接するグループの印字ハンマが連続して駆動しないよう、右端から1番目の印字ハンマの駆動の後、4番目、7番目、2番目、5番目、8番目、3番目、6番目の順で駆動するよう構成している。
【0014】
一方、図6において、ハンマスプリング2に相対するコムヨーク3の桁方向ピッチは、前述した部品の共通化という観点から、180dpi、及び160dpi双方のハンマスプリングモジュール31間ピッチの平均値をハンマスプリングモジュール31のピン数で除したピッチで配置しており、180dpi、及び160dpi共通とし、等間隔配列の構成としてある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまで説明したような構成によりハンマピンピッチ32、及びコムヨークピッチ33のピッチを決定すると、ハンマピン1とコムヨーク3のピッチズレが発生する。具体的には図1及び図2に示すようになる。図1は180dpiの配列に関してずれ量を示したグラフであり、図2は160dpiの配列に関してずれ量を示したグラフである。
【0016】
図1において、印字ハンマの各グループの駆動時期をずらすため1/8ドットずつハンマピンピッチをずらしたものが1/8ドットシフト配列時のハンマピン−コムヨークピッチズレ12であり、1/8ドットずつハンマピンピッチをずらす前のものが18〜19ドット間隔配列時のハンマピン−コムヨークピッチズレ11である。図から明らかなように、1/8ドットシフト配列時のハンマピン−コムヨークピッチズレ12は、11、13、及び14番ピンにてハンマピン−コムヨークピッチズレが1/2ドット間隔以上から1ドット間隔程度にも大きくなってしまうことがわかる。
【0017】
一方、図2において、印字ハンマの各グループの駆動時期をずらすため1/8ドットずつハンマピンピッチをずらしたものが1/8ドットシフト配列時のハンマピン−コムヨークピッチズレ22であり、1/8ドットずつハンマピンピッチをずらす前のものが16〜17ドット間隔配列時のハンマピン−コムヨークピッチズレ21である。1/8ドットシフト配列時のハンマピン−コムヨークピッチズレ22では、6、11、14及び16番ピンにてハンマピン−コムヨークピッチズレが1/2ドット間隔以上から1ドット間隔程度にも大きくなってしまうことがわかる。
【0018】
このように、前述した構成によりハンマピンピッチ32及びコムヨークピッチ33を決定すると、特定の印字ハンマにおいて、ハンマピン−コムヨークピッチズレが1ドット間隔程度にも大きくなってしまうことがあった。その結果、ハンマピン1の重心とコムヨーク3の中心とのズレが大きくなり、ハンマピン1が印字終了後にコムヨーク3に吸引されて戻った時のダンピング特性や、コムヨーク3からハンマスプリング2、ハンマピン1及びフロントヨーク6に至る磁束の流れに影響を及ぼし、安定したハンマ特性が得られない要因の1つとなっていた。
【0019】
そこで、本発明の課題は、前述したハンマ機構部を180dpi及び160dpiの印字密度についてハンマスプリングのみを専用設計とし、他部品は共通化した構成とした際に、特定の印字ハンマにおいてハンマピンピッチとコムヨークピッチとの間に1ドット間隔程度のズレが生じず、常に安定したハンマ特性が得られるようなハンマ機構部を構成することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、ハンマピンピッチとコムヨークピッチとの間に1ドット間隔程度のズレが生じる特定の印字ハンマについて、ハンマピンピッチを1ドットずらして配置することにより、ハンマピンピッチとコムヨークピッチとの間のズレを少なくして、印字ハンマのハンマ特性の安定化を図ることが可能となる。
【0021】
すなわち、上記課題を解決するため、本発明においては、その先端にハンマピンを有したハンマスプリングよりなり、印字行に沿って所定ピッチで並べて設けられ、同時に複数ドット行を印字できるように紙送り方向にずらして配置された複数の印字ハンマと、該印字ハンマを非印字位置に保持するために磁気吸引力を発生するマグネットと、前記印字ハンマを夫々非印字位置にて保持するコムヨークと、前記印字ハンマを駆動するために各印字ハンマに対応して設けられ、所定幅のパルス電流が供給されて前記マグネットの磁界を打ち消すハンマコイルよりなるハンマ機構部と、該ハンマ機構部を桁方向に往復運動させる往復運動手段と、印字用紙を送る紙送り手段とを有し、前記ハンマをNグループ(Nは2以上の整数)に分け、各グループの印字ハンマが同時に駆動しないように、所定のピッチから各グループごとに桁方向に1/Nドットずつずらして配列する印字装置において、
前記ハンマ機構部が複数の印字密度のいずれをも構成し得るように前記コムヨーク、マグネット及びハンマコイルを前記複数の印字密度のいずれにおいても適用できる所定の位置に配置し、かつ前記印字ハンマのみを差し替える構成とし、ハンマピンと前記コムヨークのピッチのズレ量が1/2ドット間隔以上から1ドット間隔程度になる印字ハンマのハンマピンの位置を、桁方向に1ドットずらして配置した。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明について説明する。
【0023】
図1の180dpiの場合のコムヨークピッチに対するハンマピンピッチのズレ量を示した図において、前述したように1/8ドットシフト配列時のハンマピン−コムヨークピッチズレ11は、11、13及び14番ピンでズレ量が1/2ドット間隔以上から1ドット間隔程度にも大きくなる。そこで、これらの番号のピンについては、ハンマピン1のピッチを16番ピンの方向(図中右側の方向)に1ドットずらして配列する。この配列のピッチズレをあらわしたのが、1ドットずらし配列時のハンマピン−コムヨークピッチズレ13である。このように所定のハンマピン1のみを1ドットずらして配置することにより、当該番号のピンについてはピッチズレを大幅に少なくさせることができる。
【0024】
以下、上述した1ドットの位置ずらしを行っても、各ハンマピンの印字受け持ち範囲の間が途切れることのない理由を下記に説明する。
【0025】
1ドットの位置ずらしを行う前後での、ハンマスプリングモジュール31内の各ハンマピン1の印字受け持ち範囲を図示すると図3のようになる。
【0026】
従来の構成、すなわち1ドットの位置ずらしを行う前のハンマスプリングモジュール31内の各ハンマピン1の印字受け持ち範囲15は、各ハンマピン180dpi×0.105インチ≒19dot(小数点以下を切り上げ)であり、19ドットの間隔でシフトさせている。但し、小数点以下の誤差を埋めるため、所定のピン(本例では11番ピン)を18ドット間隔でシフトさせておく。これにより、各ドットライン行14ごとに、隣接するハンマピンどうしの印字受け持ち範囲が一部重複することになる。(例えば7番ピンと11番ピンハッチング領域)。この場合、重複範囲では、印字受け持ち範囲が重複している2つのハンマピンのうち、ハンマ機構部が図中左から右側へスキャンする場合には、ピン番号が小さい方のハンマピン(7番ピン)の印字受け持ち範囲の最後の位置、あるいはピン番号が大きい方のハンマピン(11番ピン)の印字受け持ち範囲の最初の位置、すなわちハッチング領域においていずれか一方が印字を休止し、他方が印字を受け持つように印字データを制御させるようにすればよい。
【0027】
図3に示すように、本例では11〜14番ピンにおいて、各ピンの1桁側の印字受け持ち範囲が重複しており、印字受け持ち範囲を1桁側と逆方向に1ドットずらしても、重複範囲がずれていくだけであり、印字受け持ち範囲が途切れてしまうようなことはない。従って、ハンマピンを駆動させる制御コードを1ドット分ずらして制御させることにより、1ドットの位置ずらしのピン配列は実現可能となる。
【0028】
このような理由により、ピン配列において、11、13、及び14番ピンを1ドット分シフトさせることにより、ハンマピン−コムヨークピッチズレを大幅に少なくさせることが可能となり、印字ハンマの特性の安定化を図ることが可能となる。
【0029】
一方、図2の160dpiの場合のコムヨークピッチに対するハンマピンピッチのズレ量を示した図において、前述したように1/8ドットシフト配列時のハンマピン−コムヨークピッチズレ21は、6、11、14、及び16番ピンでズレ量が1/2ドット間隔以上から1ドット間隔程度にも大きくなる。そこで、これらの番号のピンについては、ハンマピン1のピッチを16番ピンの方向(図中右側の方向)に1ドットずらして配列する。この配列のピッチズレをあらわしたのが、1ドットずらし配列時のハンマピン−コムヨークピッチズレ23である。このように所定のハンマピン1のみを1ドットずらして配置することにより、当該番号のピンについてはピッチズレを大幅に少なくさせることができる。
【0030】
以下、160dpiにおいて1ドットの位置ずらしを行っても、各ハンマピンの印字受け持ち範囲の間が途切れることのない理由を下記に説明する。
【0031】
1ドットの位置ずらしを行う前後での、ハンマスプリングモジュール31内の各ハンマピン1の印字受け持ち範囲を図示すると図4のようになる。
【0032】
従来の構成、すなわち1ドットの位置ずらしを行う前のハンマスプリングモジュール31内の各ハンマピン1の印字受け持ち範囲25は、各ハンマピン160dpi×0.105インチ≒17dot(小数点以下を切り上げ)であり、17ドットの間隔でシフトさせている。但し、小数点以下の誤差を埋めるため、所定のピン(本例では6、11及び16番ピン)を16ドット間隔でシフトさせておく。これにより、各ドットライン行24ごとに、隣接するハンマピンどうしの印字受け持ち範囲が一部重複することになる。(例えば7番ピンと11番ピンハッチング領域)。
【0033】
この場合、重複範囲では、印字受け持ち範囲が重複している2つのハンマピンのうち、ハンマ機構部が図中左から右側へスキャンする場合には、ピン番号が小さい方のハンマピンの印字受け持ち範囲の最後の位置、あるいはピン番号が大きい方のハンマピンの印字受け持ち範囲の最初の位置、すなわちハッチング領域においていずれか一方が印字を休止し、他方が印字を受け持つように印字データを制御させるようにすればよい。
【0034】
図4に示すように、本例では6〜9、11〜14、及び16〜1番ピンにおいて、各ピンの1桁側の印字受け持ち範囲が重複しており、印字受け持ち範囲を1桁側と逆方向に1ドットずらしても重複範囲がずれていくだけであり、印字受け持ち範囲が途切れてしまうようなことはない。従って、該ハンマピンを駆動させる制御コードを1ドット分ずらして制御させることにより、該1ドットの位置ずらしのピン配列は実現可能となる。
【0035】
上記の理由により、ピン配列において6、11、14、及び16番ピンを1ドット分シフトさせることにより、ハンマピン−コムヨークピッチズレを大幅に少なくさせることが可能となり、印字ハンマの特性の安定化を図ることが可能となる。
【0036】
なお、上記で説明したピッチ位置ずらしは、1ドット分をシフトさせることでピッチズレを少なくさせることが出来るため、各ハンマピンの駆動順序については変更する必要がなく、印字ハンマの同時駆動を減らすための1/8ドットシフト配列の効果はそのまま適用させることが出来る。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、印字ハンマを複数配列して構成されるハンマ機構部において、ハンマピンピッチとコムヨークピッチとの間に1ドット間隔程度のズレが生じる特定の印字ハンマについて、ハンマピンピッチを1ドットずらして配置することにより、ハンマピンピッチとコムヨークピッチとの間のズレを少なくして、印字ハンマのハンマ特性の安定化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 180dpiのピン配列の位置関係(ハンマピン−コムヨークピッチズレ)を示すグラフ。
【図2】 160dpiのピン配列の位置関係(ハンマピン−コムヨークピッチズレ)を示すグラフ。
【図3】 180dpiのピン配列における各ハンマピンの印字受持ち領域を示す図。
【図4】 160dpiのピン配列における各ハンマピンの印字受持ち領域を示す図。
【図5】 ドットプリンタのハンマ機構部を示す断面図。
【図6】 ドットプリンタのハンマスプリングモジュールを示す正面図。
【符号の説明】
1はハンマピン、2はハンマスプリング、3はコムヨーク、4はマグネット、5はヨークベース、6はフロントヨーク、7はボルト、8はハンマコイル、9はインクリボン、10は印字用紙、31はハンマスプリングモジュール、32はハンマピンピッチ、33はコムヨークピッチ、34はハンマピン−コムヨークピッチズレである。
Claims (1)
- その先端にハンマピンを有したハンマスプリングよりなり、印字行に沿って所定ピッチで並べて設けられ、同時に複数ドット行を印字できるように紙送り方向にずらして配置された複数の印字ハンマと、該印字ハンマを非印字位置に保持するために磁気吸引力を発生するマグネットと、前記印字ハンマを夫々非印字位置にて保持するコムヨークと、前記印字ハンマを駆動するために各印字ハンマに対応して設けられ、所定幅のパルス電流が供給されて前記マグネットの磁界を打ち消すハンマコイルよりなるハンマ機構部と、該ハンマ機構部を桁方向に往復運動させる往復運動手段と、印字用紙を送る紙送り手段とを有し、前記ハンマをNグループ(Nは2以上の整数)に分け、各グループの印字ハンマが同時に駆動しないように、所定のピッチから各グループごとに桁方向に1/Nドットずつずらして配列する印字装置において、
前記ハンマ機構部が複数の印字密度のいずれをも構成し得るように前記コムヨーク、マグネット及びハンマコイルを前記複数の印字密度のいずれにおいても適用できる所定の位置に配置し、かつ前記印字ハンマのみを差し替える構成とし、ハンマピンと前記コムヨークのピッチのズレ量が1/2ドット間隔以上から1ドット間隔程度になる印字ハンマのハンマピンの位置を、桁方向に1ドットずらして配置したことを特徴とする印字装置。
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