以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1から図12は、本発明の第1実施形態に係る生ゴミ処理機を示す。この生ゴミ処理機は、内部に好気性の酵母菌からなるバイオ菌をおがくずなどの基材に担持させたバイオ基材を収容し、投入した生ゴミをバイオ基材と撹拌することによって処理を行うバイオ方式であり、大略、処理機本体10と、該処理機本体10の上部を開閉可能に閉塞する蓋体28とからなる。
前記処理機本体10は、図1および図2(A),(B)に示すように、その外装体の内部に生ゴミを投入することにより処理を行う処理槽11を備えている。処理機本体10の正面上部には、蓋体28を開放不可能にロックするためのロック手段として、揺動可能にロック爪12が配設されている。なお、このロック爪12と後述する蓋体28の受部29とのロック解除は、人体が近づいたことを検出することにより駆動モータを動作させることにより行う自動開放方式、および、処理機本体10の下部に設けるペダルの操作により人為的に開放する手動方式のいずれでも適用可能である。
前記処理槽11の内部には、撹拌手段として、幅方向に延びる軸部13aの所定位置に羽根部13bを突設した撹拌部材13が回転可能に架設されている。この撹拌部材13は、その両端が処理槽11を貫通され、駆動手段であるモータ14に対して、ベルト15とプーリー16A,16Bによって前記軸部13aの一端が接続されている。
前記処理槽11の下部外周面には、内部のバイオ基材を所定温度範囲内に維持するように加熱するための加熱手段として、ヒータ17が配設されている。また、処理槽11には、背部の上方、具体的には、収容したバイオ基材の上面より上側に位置するように、機内の空気を機外に排気する排気手段として、排気ダクト18が設けられ、この排気ダクト18内にファン19が配設されている。なお、排気ダクト18において、処理槽11内を臨む開口および機外を臨む開口には、それぞれフィルタ20A,20Bが配設されている。
そして、本実施形態では、処理槽11内のバイオ基材の含水分などに基づく処理機能の状態を検出する基材状態検出手段を設け、バイオ基材による処理機能の状態に基づいて前記撹拌部材13、およびヒータ17を制御するように構成している。
具体的には、基材状態検出手段は、処理槽11内の温度Ts、バイオ基材の温度Tk、および、外気の温度Tgを検出する第1から第3の温度検出手段である温度センサ21,22,23からなる。第3の温度検出手段である処理槽用温度センサ21は、処理槽11内におけるバイオ基材の上部の空間に配設されている。第1の温度検出手段である基材用温度センサ22は、処理槽11内における底に配設されている。第2の温度検出手段である外気用温度センサ23は、処理機本体10の外装体に配設されている。
また、本実施形態では、図1および図3に示すように、処理機本体10における正面上部に上向きに傾斜した表示手段である表示パネル24が配設されている。この表示パネル24には、機器を動作または停止するためのON/OFFスイッチ25と、バイオ基材による処理機能の状態を示す3つの表示部26a,26b,26cと、フィルタ清掃表示部27とを備えている。そのうち、表示部26aは、バイオ基材の処理機能が良好であることを示す良好表示で、表示部26bは、処理機能が若干低下していることを示すひかえめ表示で、表示部26cは、処理機能が低下していることを示す中止表示である。フィルタ清掃表示部27は、スイッチ内にLEDを配設したものである。
前記蓋体28は、前記処理機本体10に開閉可能に取り付けられ、前記処理槽11の投入開口11aを閉塞するもので、前記ロック爪12に係合する受部29が設けられている。
前記構成からなる生ゴミ処理機は、制御手段であるマイコン30により予め設定されたプログラムに従って動作される。具体的には、このマイコン30は、図4に示すように、商用電源からの電力が電源回路部31を介して直流電圧が印加されることにより動作する。そして、基材状態検出手段である前記温度センサ21,22,23による検出値(外気Tg、槽内Ts、基材Tk)と、予め設定されたヒータ17をオンする第1しきい値Tα、ヒータ17をオフする第2しきい値Tβ、バイオ基材の含水分が過多状態であると判定する第1判定値X、および、水分が少なく乾燥状態であると判定する第2判定値Yに基づいて、図5に示すように、前記ヒータ17のオン、オフ、および、撹拌部材13の回転数を制御する。また、前記各検出値によりバイオ基材の処理機能の状態を判断する基材状態判断手段の役割をなし、前記表示パネル24にバイオ基材の処理機能の状態を表示する。
さらに、本実施形態では、前記フィルタ清掃表示部27のスイッチを、バイオ基材を交換および補充したときに操作する基材交換スイッチとして兼用している。具体的には、電源の投入時に前記フィルタ清掃表示部27のスイッチ操作を検出すると、新たなバイオ基材が投入されたと判断し、その後の予め設定された時間(336時間)は、判断したバイオ基材の処理機能の状態に拘わらず前記表示パネル24では良好の表示部26aを点灯させるように構成している。
次に、図5に示す制御一覧表および図6から図12に示す制御フローを参照して、前記マイコン30による制御を具体的に説明する。
電源が投入されると、マイコン30は、図6に示すように、まず、ステップS1で、フィルタ清掃表示部27のスイッチが操作されているか否かを検出する。そして、スイッチの操作を検出した場合にはステップS2に進み、スイッチの操作を検出しない場合には後述するステップS2からステップS5をスキップしてステップS6に進む。
ステップS2では、内蔵した時間計時タイマをリセットしてスタートした後、ステップS3で、設定時間が経過(カウントアップ)したか否かを検出する。そして、設定時間が経過した場合にはステップS4に進み、設定時間が経過していない場合にはステップS6に進む。
ステップS4では、新たなバイオ基材の投入後に所定時間が経過していることを示すフラグfに1を入力した後、ステップS5で、時間計時タイマをストップしてステップS6に進む。
ステップS6では、基材状態検出手段である各温度センサ21,22,23によって温度Tg,Ts,Tkを検出した後、ステップS7で、後述する生ゴミ処理制御工程を実行してステップS8に進む。
ステップS8では、新たなバイオ基材を投入したことを示すフラグfに1が入力されているか否かを検出する。そして、fが1である場合にはステップS9に進み、fが1でない(f=0)場合にはステップS3に戻る。
ステップS9では、ステップS7で実行した制御工程によるバイオ基材の処理機能の状態に基づいて表示パネル24における表示部26a,26b,26cの表示状態を変更してステップS6に戻る。なお、このステップS9に至ることなく、ステップS3に戻る場合には、表示パネル24は、初期状態である良好の表示部26aが点灯した状態を維持する。
次に、ステップS7の生ゴミ処理制御工程について具体的に説明する。
この生ゴミ処理制御工程では、図7に示すように、まず、ステップS7−1で、検出した外気Tgが第1しきい値Tαより低いか否かを比較し、外気Tgが第1しきい値Tαより低い場合にはステップS7−2に進み、外気Tgが第1しきい値Tα以上である場合には図10に示すステップS7−26に進む。
ステップS7−2では、加熱手段であるヒータ17をオンした後、ステップS7−3で、外気Tgと槽内Tsと基材Tkとが略同一温度(Tg≒Ts≒Tk)であるか否かを検出する。そして、温度Tg,Ts,Tkが略同一温度である場合にはステップS7−4に進み、略同一温度でない場合にはステップS7−5に進む。ここで、温度Tg,Ts,Tkが略同一であると判断する条件は、各温度の最大および最小の差が1℃以下である場合である。
ステップS7−4では、バイオ基材が乾燥状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を抑制(図5のパターン(1))してリターンする。なお、このように判断した場合には、生ゴミの投入を促進して水分を多くする必要性により、ステップS9の表示パネル更新工程では、表示パネル24には良好の表示部26aが点灯される。
ステップS7−5では、基材Tkが槽内Tsより低い(Tk<Ts)か否かを検出する。そして、基材Tkが槽内Tsより低い場合にはステップS7−6に進み、基材Tkが槽内Ts以上である場合には図8に示すステップS7−11に進む。
ステップS7−6では、槽内Tsから基材Tkを減算した温度が水分過多状態であると判定する第1判定値Xより高い(Ts−Tk>X)か否かを検出する。そして、温度差が第1判定値Xより高い場合にはステップS7−7に進み、温度差が第1判定値X以下である場合にはステップS7−8に進む。
ステップS7−7では、バイオ基材が水分過多状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を増加(図5のパターン(22))してリターンする。なお、このように判断した場合には、バイオ基材による処理機能が低下している状態であるため、ステップS9の表示パネル更新工程では、表示パネル24には中止の表示部26cが点灯される。
ステップS7−8では、外気Tgが基材Tkより低い(Tg<Tk)か否かを検出する。そして、外気Tgが基材Tkより低い場合にはステップS7−9に進み、外気Tgが基材Tk以上である場合にはステップS7−10に進む。
ステップS7−9では、バイオ基材が水分過多状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を増加(図5のパターン(23))してリターンする。
ステップS7−10では、バイオ基材が乾燥状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を抑制(図5のパターン(2))してリターンする。
一方、ステップS7−5で基材Tkが槽内Ts以上であると判断した場合には、図8に示すように、ステップS7−11で、基材Tkから槽内Tsを減算した温度が乾燥状態であると判定する第2判定値Yより低い(Tk−Ts<Y)か否かを検出する。そして、温度差が第2判定値Yより低い場合にはステップS7−12に進み、温度差が第2判定値Y以上である場合には図9に示すステップS7−19に進む。
ステップS7−12では、槽内Tsが外気Tgより高い(Ts>Tg)か否かを検出する。そして、槽内Tsが外気Tgより高い場合にはステップS7−13に進み、槽内Tsが外気Tg以下である場合にはステップS7−14に進む。
ステップS7−13では、バイオ基材が良好状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を通常撹拌(図5のパターン(9))としてリターンする。なお、このように判断した場合には、ステップS9の表示パネル更新工程では、表示パネル24には良好の表示部26aが点灯される。
ステップS7−14では、外気Tgより基材Tkが高い(Tg<Tk)か否かを検出する。そして、外気Tgより基材Tkが高い場合にはステップS7−15に進み、外気Tgが基材Tk以上である場合にはステップS7−16に進む。
ステップS7−15では、バイオ基材による処理機能が若干低下していると判断し、槽内Tsが外気Tgより高くなるまで撹拌した後、良好状態を表示(図5のパターン(10))してリターンする。即ち、表示パネル24には、ひかえめの表示部26bを点灯させ、槽内Tsが外気Tgより高くなると、良好の表示部26aを点灯させる。
ステップS7−16では、基材Tkが外気Tgより低い(Tk<Tg)か否かを検出する。そして、基材Tkが外気Tgより低い場合にはステップS7−17に進み、基材Tkが外気Tgより低くない場合、即ち、基材Tkと外気Tgが同一(Tk=Tg)の場合にはステップS7−18に進む。
ステップS7−17では、バイオ基材が乾燥状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を抑制(図5のパターン(3))してリターンする。
ステップS7−18では、バイオ基材が良好状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を通常撹拌(図5のパターン(11))としてリターンする。
一方、ステップS7−11で、基材Tkから槽内Tsを減算した温度が乾燥状態であると判定する第2判定値Y以上である場合には、図9に示すように、ステップS7−19で、槽内Tsが外気Tgより高い(Ts>Tg)か否かを検出する。そして、槽内Tsが外気Tgより高い場合にはステップS7−20に進み、槽内Tsが外気Tg以下である場合にはステップS7−21に進む。
ステップS7−20では、バイオ基材による処理機能が若干低下していると判断し、基材Tkから槽内Tsを減算した温度が第2判定値Yより低くなるまで撹拌した後、良好状態を表示(図5のパターン(12))してリターンする。即ち、表示パネル24には、ひかえめの表示部26bを点灯させ、基材Tkから槽内Tsを減算した温度が第2判定値Yより低くなると、良好の表示部26aを点灯させる。
ステップS7−21では、外気Tgより基材Tkが高い(Tg<Tk)か否かを検出する。そして、外気Tgより基材Tkが高い場合にはステップS7−22に進み、外気Tgが基材Tk以上である場合にはステップS7−23に進む。
ステップS7−22では、バイオ基材による処理機能が若干低下していると判断し、槽内Tsが外気Tgより高くなるまで撹拌した後、良好状態を表示(図5のパターン(13))してリターンする。
ステップS7−23では、基材Tkが外気Tgより低い(Tk<Tg)か否かを検出する。そして、基材Tkが外気Tgより低い場合にはステップS7−24に進み、基材Tkが外気Tgより低くない場合、即ち、基材Tkと外気Tgが同一(Tk=Tg)の場合にはステップS7−25に進む。
ステップS7−24では、バイオ基材が乾燥状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を抑制(図5のパターン(4))してリターンする。
ステップS7−25では、バイオ基材が良好状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を通常撹拌(図5のパターン(14))としてリターンする。
一方、図6に示すステップS7−1で、検出した外気Tgが第1しきい値Tα以上であると判断した場合には、図10に示すように、ステップS7−26で、検出した基材Tkが第2しきい値Tβより低いか否かを比較し、基材Tkが第2しきい値Tβより低い場合にはステップS7−27に進み、基材Tkが第2しきい値Tβ以上である場合にはステップS7−52に進む。
ステップS7−27では、外気Tgと槽内Tsと基材Tkとが略同一温度(Tg≒Ts≒Tk)であるか否かを検出する。そして、温度Tg,Ts,Tkが略同一温度である場合にはステップS7−28に進み、略同一温度でない場合にはステップS7−29に進む。
ステップS7−28では、バイオ基材が乾燥状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を抑制(図5のパターン(5))してリターンする。
ステップS7−29では、基材Tkが槽内Tsより低い(Tk<Ts)か否かを検出する。そして、基材Tkが槽内Tsより低い場合にはステップS7−30に進み、基材Tkが槽内Ts以上である場合には図11に示すステップS7−37に進む。
ステップS7−30では、槽内Tsから基材Tkを減算した温度が第1判定値Xより高い(Ts−Tk>X)か否かを検出する。そして、温度差が第1判定値Xより高い場合にはステップS7−31に進み、温度差が第1判定値X以下である場合にはステップS7−33に進む。
ステップS7−31では、ヒータ17をオンした後、ステップS7−32で、バイオ基材が水分過多状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を増加(図5のパターン(24))してリターンする。
ステップS7−33では、外気Tgが基材Tkより低い(Tg<Tk)か否かを検出する。そして、外気Tgが基材Tkより低い場合にはステップS7−34に進み、外気Tgが基材Tk以上である場合にはステップS7−36に進む。
ステップS7−34では、ヒータ17をオンした後、ステップS7−35で、バイオ基材が水分過多状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を増加(図5のパターン(25))してリターンする。
ステップS7−36では、バイオ基材が乾燥状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を抑制(図5のパターン(6))してリターンする。
一方、ステップS7−29で基材Tkが槽内Ts以上であると判断した場合には、図11に示すように、ステップS7−37で、基材Tkから槽内Tsを減算した温度が乾燥状態であると判定する第2判定値Yより低い(Tk−Ts<Y)か否かを検出する。そして、温度差が第2判定値Yより低い場合にはステップS7−38に進み、温度差が第2判定値Y以上である場合には図12に示すステップS7−45に進む。
ステップS7−38では、槽内Tsが外気Tgより高い(Ts>Tg)か否かを検出する。そして、槽内Tsが外気Tgより高い場合にはステップS7−39に進み、槽内Tsが外気Tg以下である場合にはステップS7−40に進む。
ステップS7−39では、バイオ基材が良好状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を通常撹拌(図5のパターン(15))としてリターンする。
ステップS7−40では、外気Tgより基材Tkが高い(Tg<Tk)か否かを検出する。そして、外気Tgより基材Tkが高い場合にはステップS7−41に進み、外気Tgが基材Tk以上である場合にはステップS7−42に進む。
ステップS7−41では、バイオ基材による処理機能が若干低下していると判断し、槽内Tsが外気Tgより高くなるまで撹拌した後、良好状態を表示(図5のパターン(16))してリターンする。
ステップS7−42では、基材Tkが外気Tgより低い(Tk<Tg)か否かを検出する。そして、基材Tkが外気Tgより低い場合にはステップS7−43に進み、基材Tkが外気Tgより低くない場合、即ち、基材Tkと外気Tgが同一(Tk=Tg)の場合にはステップS7−44に進む。
ステップS7−43では、バイオ基材が乾燥状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を抑制(図5のパターン(7))してリターンする。
ステップS7−44では、バイオ基材が良好状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を通常撹拌(図5のパターン(17))としてリターンする。
一方、ステップS7−37で、基材Tkから槽内Tsを減算した温度が第2判定値Y以上である場合には、図12に示すように、ステップS7−45で、槽内Tsが外気Tgより高い(Ts>Tg)か否かを検出する。そして、槽内Tsが外気Tgより高い場合にはステップS7−46に進み、槽内Tsが外気Tg以下である場合にはステップS7−47に進む。
ステップS7−46では、バイオ基材による処理機能が若干低下していると判断し、基材Tkから槽内Tsを減算した温度が第2判定値Yより低くなるまで撹拌した後、良好状態を表示(図5のパターン(18))してリターンする。
ステップS7−47では、外気Tgより基材Tkが高い(Tg<Tk)か否かを検出する。そして、外気Tgより基材Tkが高い場合にはステップS7−48に進み、外気Tgが基材Tk以上である場合にはステップS7−49に進む。
ステップS7−49では、バイオ基材による処理機能が若干低下していると判断し、槽内Tsが外気Tgより高くなるまで撹拌した後、良好状態を表示(図5のパターン(19))してリターンする。
ステップS7−49では、基材Tkが外気Tgより低い(Tk<Tg)か否かを検出する。そして、基材Tkが外気Tgより低い場合にはステップS7−50に進み、基材Tkが外気Tgより低くない場合、即ち、基材Tkと外気Tgが同一(Tk=Tg)の場合にはステップS7−51に進む。
ステップS7−50では、バイオ基材が乾燥状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を抑制(図5のパターン(8))してリターンする。
ステップS7−51では、バイオ基材が良好状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を通常撹拌(図5のパターン(20))としてリターンする。
一方、図10に示すステップS7−26で、検出した基材Tkが第2しきい値Tβ以上である場合にはステップS7−52で、ヒータ17をオフした後、ステップS7−53で、バイオ基材は良好状態であると判断するが、バイオ基材の温度を低下させるために、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を増加(図5のパターン(21))してリターンする。
なお、本実施形態では、好気性の酵母菌からなるバイオ菌を基材に担持させたバイオ基材を適用しているため、ヒータ17をオンする第1しきい値Tαは約20℃で、ヒータ17をオフする第2しきい値Tβは約40℃である。また、バイオ基材の含水分が過多状態であると判定する第1判定値X、および、水分が少なく乾燥状態であると判定する第2判定値Yは、それぞれ「1」である。そのため、ヒータ17での消費電力を低減できる。また、前記フローチャートにおいて、前記バイオ基材の処理機能の状態の判断に基づく撹拌部材13の通常撹拌、撹拌増加および撹拌抑制の制御の一例は以下の表1の通りである。
前記表1に示すように、良好と判断し、通常の撹拌制御を行う場合には、時間計時信号部32からの信号に基づいて2分オン(回転)した後、23分オフ(停止)する。また、水分過多と判断し、撹拌を増加する場合には、5分オンした後、20分オフする。さらに、乾燥していると判断し、撹拌を抑制する場合には、1分オンした後、24分オフする。なお、本実施形態では、それぞれの単位時間当たりの回転数は同一に設定しているが、時間の代わりに回転数を変更してもよい。
このように、本実施形態の生ゴミ処理機は、処理槽11内の温度、バイオ基材の温度、および、外気の温度を検出する温度センサ21,22,23を設け、生ゴミの分解処理に必要な温度状態を正確に判断できるようにしているため、バイオ基材によって分解処理が促進される状態となるように、前記撹拌部材13およびヒータ17を効率的に制御することができる。
具体的には、各温度センサ21,22,23の検出値により、バイオ基材が乾燥状態であると判断すると撹拌部材13による撹拌を抑制し、また、水分過多状態であると判断すると撹拌部材13による撹拌を増加する。また、同時にヒータ17をオン、オフ制御するため、バイオ菌が活性化して活発に活動可能な温度領域に維持する。そのため、バイオ基材を効率的に良好状態にすることができる。
さらに、バイオ基材の含水分などに基づく処理機能の状態を表示パネル24に表示するため、ユーザに対してバイオ基材が常に安定した状態を維持するように、生ゴミの投入を促すことができる。
さらにまた、バイオ基材を投入した直後は、休眠状態のバイオ菌が活性化していないため、分解処理機能は低い。しかし、本実施形態では、この投入した後の所定時間は、表示パネル24には良好の表示部26aを表示させるため、バイオ基材を投入したにも拘わらず良好表示が行われないことによって、ユーザに対して違和感を感じさせるという不都合を防止できる。また、ユーザに生ゴミの投入を促進できるため、バイオ菌の活性化の促進を図ることができる。
図13から図16は第2実施形態の生ゴミ処理機を示す。この第2実施形態では、前記蓋体28が閉塞されたことを検出する蓋体閉塞検出手段と、化学的に反応させることによる脱臭手段36とを更に設けるとともに、蓋体28が閉塞された際に予備処理を行うようにした点で、第1実施形態と相違している。
具体的には、図13および図15に示すように、前記蓋体閉塞検出手段は、処理機本体10の正面上部に配設され、前記蓋体28の下端縁に押圧されることにより、該蓋体32の開放状態および閉塞状態を検出するスイッチ35からなる。
前記脱臭手段36は、図14および図15に示すように、機内の空気を機外に排気する排気手段である排気ダクト18の内部において、前記ファン19の上流側に配設されている。具体的には、この脱臭手段36は、ファン19にから順次機内側に向けて配設した触媒37と、温度検出手段であるサーミスタ38と、加熱手段であるヒータ39とを備え、前記排気手段のファン19を連動させて動作するものである。前記触媒37は、Fe-Cr-Alステンレス構造体からなるハニカム状の基材に白金を担持させ、イオウ系やアンモニア系などの臭分を化学的に反応させてCO2やH2Oに変化させるものである。前記サーミスタ38は、前記触媒37の温度を検出し、その検出温度に基づいたデータを前記マイコン30に出力するものである。前記ヒータ39は、前記触媒37が220℃から280℃の温度になるように加熱するもので、マイコン30が前記サーミスタ38の検出値に基づいてオン、オフ制御する。
次に、マイコン30による第2実施形態の生ゴミ処理機の制御について具体的に説明する。
第2実施形態では、マイコン30は、図16に示すように、電源が投入されると、第1実施形態のステップS1からステップS5と同様に、まず、ステップS11で、フィルタ清掃表示部27のスイッチが操作されているか否かを検出し、スイッチの操作を検出した場合にはステップS12に進み、スイッチの操作を検出しない場合にはステップS16に進む。
ステップS12では、内蔵した時間計時タイマをリセットしてスタートした後、ステップS13で、設定時間が経過(カウントアップ)したか否かを検出する。そして、設定時間が経過した場合にはステップS14に進み、設定時間が経過していない場合にはステップS16に進む。
ステップS14では、新たなバイオ基材の投入後に所定時間が経過していることを示すフラグfに1を入力した後、ステップS15で、時間計時タイマをストップしてステップS16に進む。
第2実施形態では、電源投入時にフィルタ清掃スイッチが操作されていない場合、設定時間が経過していない場合、および、時間計時タイマを停止した場合、その後の通常の制御として、ステップS16で、スイッチ35により蓋体28が開放されたか否かを検出する。そして、蓋体28が開放された場合にはステップ17に進み、蓋体28が開放されていない場合にはステップS19に進む。
ステップS17では、スイッチ35によって蓋体28が閉塞されたことを検出するまで待機する。そして、蓋体28が閉塞されると、ステップS18で、生ゴミ処理を行うための予備処理を実行してステップS19に進む。ここで、前記予備処理は、バイオ基材の加熱手段であるヒータ17をフルパワー(200W)で120分間動作させる予備加熱処理と、排気手段を構成するファン19と共に前記脱臭手段36を120分間並行して動作させる予備脱臭処理とからなる。
ステップS16で蓋体28の開放を検出しない場合、および、ステップS18で予備処理が終了すると、第1実施形態のステップS6,S7と同様に、ステップS19で、基材状態検出手段である各温度センサ21,22,23によって温度Tg,Ts,Tkを検出した後、ステップS20で、第1実施形態と同様の生ゴミ処理制御工程を実行する。
第2実施形態では、前記生ゴミ処理制御工程についで、ステップS21で、前記生ゴミ処理制御工程によるバイオ基材の処理機能の状態に基づいて排気手段を構成するファン19と共に脱臭手段36を動作させて脱臭処理を行う。なお、この生ゴミ処理制御工程と脱臭工程とは、実際には並行して実行される。
この脱臭処理が終了すると、第1実施形態のステップS8,S9と同様に、ステップS22で、新たなバイオ基材の投入したことを示すフラグfに1が入力されているか否かを検出する。そして、fが1である場合にはステップS23に進み、fが1でない(f=0)場合にはステップS13に戻る。
ステップS23では、ステップS20で実行した制御工程によるバイオ基材の処理機能の状態に基づいて表示パネル24における表示部26a,26b,26cの表示状態を変更してステップS16に戻る。
なお、ステップS21の脱臭処理では、判断したバイオ基材の処理機能の状態に基づいて下記の表2に従って制御する。
表2に示すように、脱臭処理では、判断した基材状態が水分過多である場合には、ファン19と共に脱臭手段36を4時間動作させる。また、判断した基材状態が良好である場合には、ファン19と共に脱臭手段36を1時間動作させる。さらに、判断した基材状態が乾燥である場合には、ファン19と脱臭手段36とは動作させない。
このように第2実施形態では、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができるうえ、バイオ基材の処理機能の状態に基づいて動作する脱臭手段36を更に設けているため、処理槽11内で発生する不快な臭気を抑制することができる。その結果、臭気が外部に放出され、周囲を通るユーザに対して不快感を与えることを防止できる。
しかも、第2実施形態では、蓋体28の閉塞を検出すると、ヒータ17による予備加熱処理と脱臭手段36による予備脱臭処理とを実行する。即ち、処理槽11内に新たな生ゴミが投入された状態を示す蓋体28の閉塞を検出すると、この種の生ゴミ処理機の一番の対策である臭いを抑制するために、前記予備加熱処理と予備脱臭処理とを実行する。具体的には、前記予備加熱処理により臭気の発生の原因になる生ゴミが含んだ水分を迅速に蒸発させることができる。また、この加熱時にはやはり臭気の発生が伴うため、前記予備脱臭処理により不快な臭気が放出されることを抑制できる。その結果、処理槽11内で不快な臭いが発生することを抑制することができる。
図17から図19は第3実施形態の生ゴミ処理機を示す。この第3実施形態では、基材状態検出手段として、処理槽用温度センサ21を無くし、バイオ基材の温度Tk、および、外気の温度Tgを検出する第1および第2の温度検出手段である温度センサ22,23の検出値に基づいて撹拌部材13およびヒータ17を制御するようにした点で、第1実施形態と相違している。また、この第3実施形態では、第1実施形態で用いた第1判定値Xおよび第2判定値Yとは異なる判定値を用いている。
次に、第3実施形態のマイコン30による制御を図17に示す制御一覧表および図18および図19に示す制御フローを参照して具体的に説明する。なお、この制御は、図6のステップS7で実行する生ゴミ処理制御工程のみが相違する。
この生ゴミ制御処理工程では、マイコン30は、図18に示すように、まず、ステップS7'−1で、ステップS6で検出した外気Tgが第1しきい値Tαより低いか否かを比較し、外気Tgが第1しきい値Tαより低い場合にはステップS7'−2に進み、外気Tgが第1しきい値Tα以上である場合には図19に示すステップS7'−8に進む。
ステップS7’−2では、加熱手段であるヒータ17をオンした後、ステップS7’−3で、基材Tkから外気Tgを減算した温度差が4℃(第1判定値)より高いか否かを検出する。そして、温度差(Tk−Tg)が4℃より高い場合にはステップS7’−4に進み、温度差が4℃以下である場合にはステップS7’−5に進む。
ステップS7'−4では、バイオ基材が良好状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を通常撹拌(図17のパターン(3))としてリターンする。
ステップS7’−5では、基材Tkから外気Tgを減算した温度差が1℃(第2判定値)より低いか否かを検出する。そして、温度差(Tk−Tg)が1℃より低い場合にはステップS7’−6に進み、温度差が1℃以上、即ち、温度差(Tk−Tg)が1℃以上で4℃以下の場合にはステップS7’−7に進む。
ステップS7'−6では、バイオ基材が乾燥状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を抑制(図17のパターン(1))してリターンする。
また、ステップS7'−7では、バイオ基材が水分過多状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を増加(図17のパターン(6))してリターンする。
一方、ステップS7'−1で、検出した外気Tgが第1しきい値Tα以上であると判断した場合には、図19に示すように、ステップS7'−8で、検出した基材Tkが第2しきい値Tβより低いか否かを比較し、基材Tkが第2しきい値Tβより低い場合にはステップS7'−9に進み、基材Tkが第2しきい値Tβ以上である場合にはステップS7'−15に進む。
ステップS7'−9では、基材Tkから外気Tgを減算した温度差が4℃より高いか否かを検出する。そして、温度差(Tk−Tg)が4℃より高い場合にはステップS7'−10に進み、温度差が4℃以下である場合にはステップS7'−11に進む。
ステップS7'−10では、バイオ基材が良好状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を通常撹拌(図17のパターン(4))としてリターンする。
ステップS7'−11では、基材Tkから外気Tgを減算した温度差が1℃より低いか否かを検出する。そして、温度差(Tk−Tg)が1℃より低い場合にはステップS7'−12に進み、温度差が1℃以上、即ち、温度差(Tk−Tg)が1℃以上で4℃以下の場合にはステップS7'−13に進む。
ステップS7'−12では、バイオ基材が乾燥状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を抑制(図17のパターン(1))してリターンする。
また、ステップS7'−13では、ヒータ17をオンした後、ステップS7'−14で、バイオ基材が水分過多状態であると判断し、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を増加(図17のパターン(7))してリターンする。
一方、ステップS7'−8で、検出した基材Tkが第2しきい値Tβ以上である場合にはステップS7'−15で、ヒータ17をオフした後、ステップS7'−16で、バイオ基材は良好状態であると判断するが、バイオ基材の温度を低下させるために、撹拌部材13によるバイオ基材および生ゴミの撹拌動作を増加(図17のパターン(5))してリターンする。
この第3実施形態の生ゴミ処理機では、第1実施形態と比較すると処理槽用温度センサ21を搭載ない分、精度は低くなるが、バイオ基材の含水分に大きな影響を及ぼす実際のバイオ基材の温度Tkおよび外気の温度Tgを検出する温度センサ22,23を設けているため、生ゴミの分解処理に必要な含水分と相関関係を有する温度状態は正確に検出できる。そのため、前記撹拌部材13およびヒータ17を効率的に制御することができ、第1実施形態と略同様の作用および効果を得ることができる。
特に、本実施形態では、20℃から40℃の常温付近に温調する好気性の酵母菌からなるバイオ菌を基材に担持させたバイオ基材を適用しているため、家庭の室内などの安定した常温の環境下に設置する生ゴミ処理機の場合に特に有効である。言い換えれば、この第3実施形態の生ゴミ処理機は、一般家庭用の室内に設置して使用する場合にコスト面からしても好適であり、第1実施形態の生ゴミ処理機は、一般家庭において屋外に設置して使用しても安定した処理能力を維持できるとともに、バイオ基材の菌の種類などに係る汎用性をも広くできるものである。
なお、本発明の生ゴミ処理機は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、処理槽用温度センサ21を搭載しない第3実施形態の生ゴミ処理機に、第2実施形態に示す蓋体閉塞検出手段と脱臭手段36と、予備処理を含む制御を更に追加してもよい。