JP4087133B2 - 電子回路基板の冷却構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、基板上に実装されたマイクロプロセッサー,LSI,パワートランジスタなどの発熱を伴う電子素子をファン付きシンクを用いて強制空冷により冷却する冷却構造に係り、特に、主となる発熱素子の周辺に配置された他の発熱素子を同時に冷却させる電子回路基板の冷却構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器、特にコンピュータやその周辺機器の情報機器などに使用されるCPUなどの半導体チップは、超微細加工技術などにより高集積化および高速化が図られているとともに、消費電力が増大しその発熱量も増大する傾向がある。
【0003】
これに伴い、情報機器などに組み込まれる電子回路基板には、特に発熱量が多いCPU以外にシステムコントローラなどの周辺LSIおよびCPUなどを駆動するための専用電源回路などのような発熱量の大きな半導体チップも実装されるようになってきている。この専用電源回路は、コストダウンおよび規格寸法統一化のために一枚の電子回路基板上に集積して実装されている。これらの傾向は、デスクトップ型、あるいはタワー型のパソコンにおいてよく見られるものである。
【0004】
一般に、上記CPUのような半導体チップを冷却するための冷却装置は、半導体チップ上に、複数の放熱フィンを有するヒートシンクが固定され、かつヒートシンクの一面に強制空冷をおこなうための軸流ファンなどのファン付きモータ(以下、ファンと称す)が取り付けられた構成となっている(以下、ファン付きシンクと称す)。
【0005】
この冷却装置は、モータによってファンを回転させ、発生した冷却気流を放熱フィンに流通させることにより、半導体チップの熱を外部へ放散する放熱フィンを強制的に冷却するものである。
【0006】
しかしながら、発熱量の大きな半導体チップ全てに上記のような冷却装置を備えることは実用的ではなく、実際にはファンまでも必要としない半導体チップ、すなわちCPU以外の周辺LSIや専用電源用半導体チップには、ヒートシンクのみにより冷却をおこなっており、自然対流あるいは前記ファンの冷却気流による空気の移動により冷却効果を出すよう試みられている。また、これらの半導体に装着されるヒートシンクは、各半導体のパッケージに接着剤などにより接着固定されるのが一般的である。
【0007】
しかし、最近のLSIなどは前述したように、高集積化が進んだことによりパッケージは面実装型が主であり、これらのLSIにヒートシンクを接着固定するとLSIの半田接合部にはLSIパッケージとヒートシンクの合算質量がかかることになり、特に基板を含めた装置全体に過大な衝撃が加わった場合には、半田接合面に過大なストレスがかかるため信頼性上好ましくない状態にあった。
【0008】
図10は、従来の冷却構造を示す一部裁断斜視図である。特開平8−255855号公報に開示された図示の冷却構造においては、CPUなどの最大発熱素子1001上に実装されたファン付きシンク1002の排気側にダクト1003を設け、そのダクト1003が周辺に配置された他の周辺発熱素子1004を覆うように構成されているものである。ファン付きシンク1002によりファン1005にて吸い込まれヒートシンク1006を通過して排気される冷却気流がダクト1003を通過することによりダクト1003内部に配置された周辺発熱素子1004も同時に冷却するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成では周辺に配置された周辺発熱素子1004を冷却するための冷却気流が既にヒートシンク1006を通過して暖められているため、周辺発熱素子1004に対しては十分な冷却効果が得られないという問題があった。
【0010】
特に、実際の回路においては最大発熱素子1001の周辺に周辺発熱素子1004のみを集めて配置することは困難であり、周辺発熱素子1004を動作させるために必要となる発熱の少ない素子も並べて配置されるのが実情である。このような場合には、冷却気流により発熱の少ない素子を逆に暖めてしまうことになり、部品の信頼性を低下させてしまうことになる。
【0011】
また、他の手段として、ファン付きシンク1002により周辺発熱素子1004上に覆われたダクト1003の周囲から吸い込まれヒートシンク1006を通過してファン1005の上方に排気する方法がある。この方法であれば、周辺発熱素子1004および発熱の少ない素子を、外気にて最初に冷却することができるものの、ファン付きシンク1002が実装された最大発熱素子1001を十分に冷却することができなくなるという問題が生じる。
【0012】
図11は、従来の他の冷却構造を示す一部裁断斜視図である。特開2001−196776号公報に開示された図示の冷却構造においては、発熱素子類1101を覆うように大型のダクト1102を登載し、ダクト1102の排出側に備えられたファン1103にて筐体1104の外に排気する構成である。
【0013】
しかし、上記構成では、筐体1104に設けるべき排気穴1105,1106の位置が限定されることより、必然的に筐体1104を専用に作成する必要が出る。また、不特定ユーザーに販売する電子回路基板においては、ユーザーがどのような筐体を使用するか限定できないため、どんなに冷却効果が高くても使用範囲が限定されてしまうという問題があった。
【0014】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、ファン付きシンクを用いて電子回路基板上の主となる発熱素子を空冷させ、同時にこの空冷の気流を利用して周辺の他の発熱素子を効率よく冷却できる電子回路基板の冷却構造を提供することを目的とする。
【0015】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる電子回路基板の冷却構造は、冷却気流がファンにより吸い込まれヒートシンクを通過して排気される構成のファン付きシンクを、電子回路基板上で主となる発熱素子上に実装し該発熱素子を冷却する電子回路基板の冷却構造において、前記ファン付きシンクの底面部の近傍から前記電子回路基板上の離れた位置まで延出形成され、他の発熱素子を覆う形状のダクトを有し、前記ダクトは、前記ファン付きシンクの底面部の高さより低い高さに配置され、該ファン付きシンクから排気される冷却後の気流のダクト内部への流入を遮断する遮断面と、前記ファン付きシンクの底面部と同じ高さに配置され、前記ファン付きシンクの底面部側に該ファン付きシンクから排気される気流に基づき該ダクト内部に負圧を発生させ、該負圧によりダクト内の空気を前記気流側に吸い出させるための排気開口部と、前記延出された側にダクト内へ外気を取り込むために開口された吸気開口部とを備え、前記ファン付きシンクを用いて前記主となる発熱素子を冷却すると共に、前記吸気開口部から前記排気開口部への気流により前記ダクト内の他の発熱素子を冷却することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、ファン付きシンクが装着された主となる発熱素子に加えて、周辺に実装された他の発熱素子に対してもこのファン付きシンクの気流に基づき冷却することができ、電子回路基板上で広範囲に実装された発熱素子を最小個数の冷却装置を用いて同時に冷却できるようになり、低コストで冷却効率の向上を図れるようになる。ダクト内で他の発熱素子を冷却するための気流は、ファン付きシンクの排気ではなく、このファン付きシンクから離れた箇所の吸気開口部から外気を取り込むため、他の発熱素子の冷却効率を向上させることができる。また、ファン付きシンクから排出される気流を利用してダクト内に負圧を発生させてダクト内の気流を作ることができるようになり、ファン付きシンクから排出される気流の排出、およびダクト内の気流の流れ具合を効率化でき、冷却効率の向上を図れる。
【0017】
また、この発明にかかる電子回路基板の冷却構造は、前記ダクトの排気開口部は、前記ファン付きシンクとの間に所定の隙間を有するよう、前記ダクトの遮断面の端部位置に設けられたことを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、ファン付きシンクから排出される気流を効率的に利用してダクト内に負圧を発生させてダクト内に気流を作ることができ、ダクト内に配置されている他の発熱素子を効率的に冷却できるようになる。
【0019】
また、この発明にかかる電子回路基板の冷却構造は、前記ダクトの排気開口部には、前記吸気開口部側の端部から該ダクトの前記遮断面に対し所定角度の傾斜を有するガイドプレートを設け、該ガイドプレートにより、前記ファン付きシンクから排気される気流を前記吸気開口部の位置から偏向させることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、ファン付きシンクから排気される気流をガイドプレートにより、吸気開口部の位置から偏向する方向に向けて排気できるため、ファン付きシンクから排気される気流が再度ダクトの吸気開口部に回り込むことを防止できる。これにより、ダクト内の冷却効率を向上できるようになる。
【0021】
また、この発明にかかる電子回路基板の冷却構造は、前記ダクトの排気開口部には、前記ガイドプレートで偏向された前記ファン付きシンクから排気される気流を、電子回路基板からの高さ方向で、前記吸気開口部と前記ファン付きシンクの吸入部の各位置の中間の高さに排出するよう規制する補助ダクトを設けたことを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、ファン付きシンクから排気される気流が、再度ファン付きシンクの吸入部、およびダクトの吸気開口部から取り込まれることを防止でき、主となる発熱素子および周辺の他の発熱素子のいずれも効率よく冷却できるようになる。
【0023】
また、この発明にかかる電子回路基板の冷却構造は、前記補助ダクトは、前記ガイドプレートの傾斜角度により形成される内部の開口面積が、排気側につれ狭くなるよう構成され、前記ファン付きシンクから排気される気流の流速を上げて遠方に排気させることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、補助ダクトから排気される気流の流速を上げることができるため、加熱された気流をより遠方に飛ばすことができ、ファン付きシンクおよびダクトの双方に対して排気された気流の回り込みをより低減化でき、電子回路基板全体の冷却効率を向上できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る電子回路基板の冷却構造の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0028】
(実施の形態1)
図1は、この発明の電子回路基板の冷却構造の実施の形態1によるファン付きシンク100の構造を示す斜視図、図2は、同構造の裁断正面図、図3は、同構造の平面図、図4は、同構造の側面図である。
【0029】
これらの図に示すファン付きシンク100は、ファン101がファン固定ネジ102により複数の平板状のフィン103aを有するヒートシンク103に固定され、かつファン101により吸気される冷却気流(図中矢印)がヒートシンク103側に送られるような向きで実装されている。
【0030】
またヒートシンク103には、フィン101の方向と直行する方向で、かつ中央部を横切るようにクリップ104が内蔵され、このクリップ104の両端に設けられた穴105をICソケット110側の適合する位置に設けられた突起部106に引っかけることにより、ファン付きシンク100全体をICソケット110に装着固定できるよう構成されている。
【0031】
また、基板115上には、ファン付きシンク100を必要とする発熱素子としてCPU120が専用のICソケット110上に実装され、CPU120上部には前記ファン付きシンク100がクリップ104によりICソケット110に固定されて装着されている。
【0032】
CPU120の近傍には、周辺発熱素子類としてLSIなどの面実装型パッケージ130が配置され、その面実装型パッケージ130上には、ダクト140が配置されている。ダクト140は、ファン付きシンク100の排気側面(図4に示す方向)の幅と同程度の幅で、その側壁がヒートシンク103の排気側の一部を挟む程度の長さまで延長された大きさであり、ダクト140に設けられた固定ピン140aを基板115上に設けられた穴116に装着することにより、ダクト140を基板115に固定している。
【0033】
図4に示すように、ダクト140の高さBは、面実装型パッケージ130の上部を気流が淀みなく通過可能な隙間を確保した高さとする。ダクト140は、ダクト140内に実装される面実装型パッケージ130の高さに影響を受けるが、図示のように、ダクト140内に面実装型パッケージ130のみを配置してた構成では面実装型パッケージ130の上部を気流が淀みなく通過可能な隙間を有する。また、このダクト140の高さBは、ファン付きシンク100を構成する複数のフィン103aの底面ラインの高さAより低くなるよう構成している。なお、これら高さAおよびBは、基板115の上面からの高さである。
【0034】
また、ダクト140の上面には、ファン付きシンク100との間に所定の間隔を有して開口する排気開口部141を有し、ファン付きシンク100からもっとも離れた位置には吸気開口部142が開口されている。排気開口部141は、基板115に実装した際には、隣接するヒートシンク103およびICソケット110により近接して実装される。この排気開口部141の高さは、ダクト140の基板115への実装時にフィン103aの底面ラインの高Aとほぼ同程度の高さとなるよう構成している。
【0035】
このように、ダクト140は、ファン付きシンク100の排気方向に沿い、かつ、ダクト140上面をファン付きシンク100の排気が流れるよう構成されている。ダクト140により、ダクト140内部は、ファン付きシンク100の排気熱を直接受けないよう構成されている。
【0036】
次に、上記構成の冷却構造による冷却動作を説明する。回路動作時には、CPU120が発する熱は、ファン付きシンク100のヒートシンク103に伝達されヒートシンク103を暖める。ファン101により吸気された冷却気流は、ヒートシンク103のフィン103a内を通過したのち、フィン103aの底面(ラインA位置)にぶつかり方向を変えて排気側から排気される(図2参照)。
【0037】
また、ファン付きシンク100側で暖まった気流は、同時にダクト140の上部に沿って排気される。このとき、ダクト140の排気開口部141付近は、この気流により負圧が発生する。これにより、ダクト140内の空気は、上記気流に引かれて排気開口部141から排出される。対応してダクト140内の気圧が低下するため、これを補うための新たな空気がダクト140の吸気開口部142からダクト140内に進入してくる。
【0038】
この気流の流れによりダクト140により覆われた面実装型パッケージ130が発生する熱をこの気流が奪い取り、面実装型パッケージ130を冷却して排気開口部141から排出する。このとき、面実装型パッケージ130を冷却する気流は、CPU120やその周辺の他の発熱素子により暖められた空気ではなく、基板115が実装されている場所の外気温となるため、面実装型パッケージ130の冷却効果を高めることができる。
【0039】
(実施の形態2)
図5は、この発明の電子回路基板の冷却構造の実施の形態2によるファン付きシンク100の構造を示す斜視図、図6は、同構造の裁断正面図、図7は、同構造の平面図である。この実施に形態2において前述した実施の形態1と同一の構成部には同一の符号を附してあり説明を省略する。
【0040】
実施の形態1で説明した構成のダクト140の形状の場合、ファン付きシンク100から排出される気流がダクト140の上部を流れることになるが、空気の流体特性の影響で上記気流の一部はダクト140の天面に沿って流れる。この暖められた気流の一部がダクト140の吸気開口部142からダクト140内部に吸気される可能性がある。
【0041】
実施の形態2では、この影響を低減するため、ダクト140の排気開口部141を構成する面のうち上面には、吸気開口部142側部に所定の曲率をもって斜め上方に折り返すガイドプレート143を折曲形成する。このガイドプレート143の先端は、フィン103aの底面ラインの高Aより上部となる高さを有する。
【0042】
これにより、ファン付きシンク100から排気された気流は、排気開口部141を横切った後、ガイドプレート143に集められ、ガイドプレート143に沿って斜め上方に導かれて排出される。このため、ファン付きシンク100から排気された気流がダクト140の吸気開口部142側へ回り込むことを防止でき、ダクト140内での面実装型パッケージ130の冷却効果を高めることができる。
【0043】
(実施の形態3)
図8は、この発明の電子回路基板の冷却構造の実施の形態3によるファン付きシンク100の構造を示す裁断正面図、図9は、同構造の平面図である。この実施の形態3において前述した各実施の形態と同一の構成部には同一の符号を附してあり説明を省略する。
【0044】
実施の形態2で説明したように、ダクト140にガイドプレート143を設けることにより、ファン付きシンク100から排出された気流を斜め上方に放出することができる。ただし、ガイドプレート143の取り付け角度や、排出された気流の流速が低い場合には、ファン付きシンク100に搭載のファン101で発生する負圧の影響でこの気流が上方に引っぱられ、ファン101により再び吸い込まれ、再度ファン付きシンク100内に流入する可能性がある。
【0045】
実施の形態3は、この点に対応する構造であり、実施の形態2で説明したダクト140の上部に新たに補助ダクト145を設ける。補助ダクト145は、排気開口部141およびガイドプレート143の両側部を覆い、ダクト140の吸気開口部142と同方向に排気開口部146を有する。この排気開口部146は、ファン付きシンク100から排出された気流のうち、ガイドプレート143の両側部と上部方向の気流を案内する。
【0046】
すなわち、ガイドプレート143で集められた気流の全てを、ファン付きシンク100のファン101の吸入位置、およびダクト140の排気開口部141の両位置の中間付近で斜め上方に排出する。
【0047】
この補助ダクト145の上面は、基板115の面と平行であり、斜め上方に伸びるガイドプレート143との間隔で決まる補助ダクト145内の開口面積は、排気開口部146に近づくほど狭くなるよう構成されている。
【0048】
図8に示すように、補助ダクト145内で気流通過する高さは、
ヒートシンク103側の高さ:C > 排気開口部146側の高さ:D
とする。
【0049】
これにより、補助ダクト145内を通過する気流は、排気開口部146に近づくほど流速が高まり、補助ダクト145を抜ける際には、ヒートシンク103から排出された時点での流速より高い流速にて排出されるため、暖まった気流をより遠方に放出することができる。したがって、ファン付きシンク100から排気された気流が、ダクト140の吸気開口部142と、ファン付きシンク100のファン101吸気部分に再度吸入されること(回り込み)をいずれも低減化させることができるようになり、CPU120および面実装型パッケージ130いずれについても、より冷却効果を高めることができるようになる。
【0050】
以上説明した実施の形態では、主となる発熱素子としてCPU120を、また周辺の発熱素子として面実装型パッケージ130を例に説明したが、これら発熱する電子素子自体はこの組み合わせに限らず他の組み合わせ例であっても、同様にいずれの電子素子に対する冷却効果を得ることができるものである。
【0051】
【発明の効果】
この発明によれば、ファン付きシンクが装着された主となる発熱素子に加えて、周辺に実装された他の発熱素子に対してもこのファン付きシンクの気流に基づき冷却することができ、電子回路基板上で広範囲に実装された発熱素子を最小個数の冷却装置を用いて同時に冷却できるようになり、低コストで冷却効率の向上を図れるようになる。ダクト内で他の発熱素子を冷却するための気流は、ファン付きシンクの排気ではなく、このファン付きシンクから離れた箇所の吸気開口部から外気を取り込むため、他の発熱素子の冷却効率を向上させることができるという効果を奏する。また、前記ダクトの遮断面は、前記ファン付きシンクに備えられたヒートシンクフィンの底面部の高さより低い高さに設定した構成としたので、ファン付きシンクから排出される気流を利用してダクト内に負圧を発生させてダクト内の気流を作ることができるようになり、ファン付きシンクから排出される気流の排出、およびダクト内の気流の流れ具合を効率化でき、冷却効率が向上できるという効果を奏する。
【0052】
また、ダクトの排気開口部は、前記ファン付きシンクとの間に所定の隙間を有するよう、前記ダクトの遮断面の端部位置に設けた構成として、ファン付きシンクから排出される気流を効率的に利用してダクト内に負圧を発生させてダクト内に気流を作ることができ、ダクト内に配置されている他の発熱素子を効率的に冷却できるという効果を奏する。
【0053】
また、前記ダクトの排気開口部には、前記吸気開口部側の端部から該ダクトの前記遮断面に対し所定角度の傾斜を有するガイドプレートを設け、該ガイドプレートにより、前記ファン付きシンクから排気される気流を前記吸気開口部の位置から偏向させる構成とすれば、ファン付きシンクから排気される気流をガイドプレートにより、吸気開口部の位置から偏向する方向に向けて排気できるため、ファン付きシンクから排気される気流が再度ダクトの吸気開口部に回り込むことを防止できる。これにより、ダクト内の冷却効率を向上できるという効果を奏する。
【0054】
また、前記ダクトの排気開口部に、前記ガイドプレートで偏向された前記ファン付きシンクから排気される気流を、前記吸気開口部と前記ファン付きシンクの吸入部の各位置の略中間位置に排出するよう規制する補助ダクトを設けることにより、ファン付きシンクから排気される気流が、再度ファン付きシンクの吸入部、およびダクトの吸気開口部から取り込まれることを防止でき、主となる発熱素子および周辺の他の発熱素子のいずれも効率よく冷却できるという効果を奏する。
【0055】
また、前記補助ダクトを、前記ガイドプレートの傾斜角度により形成される内部の開口面積が、排気側につれ狭くなるよう構成され、前記ファン付きシンクから排気される気流の流速を上げて遠方に排気させる構成として、補助ダクトから排気される気流の流速を上げることができるため、加熱された気流をより遠方に飛ばすことができ、ファン付きシンクおよびダクトの双方に対して排気された気流の回り込みをより低減化でき、電子回路基板全体の冷却効率を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の電子回路基板の冷却構造の実施の形態1によるファン付きシンクの構造を示す斜視図である。
【図2】実施の形態1によるファン付きシンクの構造を示す裁断正面図である。
【図3】実施の形態1によるファン付きシンクの構造を示す平面図である。
【図4】実施の形態1によるファン付きシンクの構造を示す側面図である。
【図5】この発明の電子回路基板の冷却構造の実施の形態2によるファン付きシンクの構造を示す斜視図である。
【図6】実施の形態2によるファン付きシンクの構造を示す裁断正面図である。
【図7】実施の形態2によるファン付きシンクの構造を示す平面図である。
【図8】この発明の電子回路基板の冷却構造の実施の形態3によるファン付きシンクの構造を示す裁断正面図である。
【図9】実施の形態3によるファン付きシンクの構造を示す平面図である。
【図10】従来の冷却構造を示す一部裁断斜視図である。
【図11】従来の他の冷却構造を示す一部裁断斜視図である。
【符号の説明】
100 ファン付きシンク
101 ファン
102 ファン固定ネジ
103 ヒートシンク
103a フィン
104 クリップ
105 穴
106 突起部
110 ICソケット
115 基板
120 CPU
130 面実装型パッケージ(LSI)
140 ダクト
140a 固定ピン
141 排気開口部
142 吸気開口部
143 ガイドプレート
145 補助ダクト
146 排気開口部
Claims (5)
- 冷却気流がファンにより吸い込まれヒートシンクを通過して排気される構成のファン付きシンクを、電子回路基板上で主となる発熱素子上に実装し該発熱素子を冷却する電子回路基板の冷却構造において、
前記ファン付きシンクの底面部の近傍から前記電子回路基板上の離れた位置まで延出形成され、他の発熱素子を覆う形状のダクトを有し、
前記ダクトは、
前記ファン付きシンクの底面部の高さより低い高さに配置され、該ファン付きシンクから排気される冷却後の気流のダクト内部への流入を遮断する遮断面と、
前記ファン付きシンクの底面部と同じ高さに配置され、前記ファン付きシンクの底面部側に該ファン付きシンクから排気される気流に基づき該ダクト内部に負圧を発生させ、該負圧によりダクト内の空気を前記気流側に吸い出させるための排気開口部と、
前記延出された側にダクト内へ外気を取り込むために開口された吸気開口部とを備え、
前記ファン付きシンクを用いて前記主となる発熱素子を冷却すると共に、前記吸気開口部から前記排気開口部への気流により前記ダクト内の他の発熱素子を冷却することを特徴とする電子回路基板の冷却構造。 - 前記ダクトの排気開口部は、
前記ファン付きシンクとの間に所定の隙間を有するよう、前記ダクトの遮断面の端部位置に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の電子回路基板の冷却構造。 - 前記ダクトの排気開口部には、
前記吸気開口部側の端部から該ダクトの前記遮断面に対し所定角度の傾斜を有するガイドプレートを設け、
該ガイドプレートにより、前記ファン付きシンクから排気される気流を前記吸気開口部の位置から偏向させることを特徴とする請求項1、2のいずれか一つに記載の電子回路基板の冷却構造。 - 前記ダクトの排気開口部には、
前記ガイドプレートで偏向された前記ファン付きシンクから排気される気流を、電子回路基板からの高さ方向で、前記吸気開口部と前記ファン付きシンクの吸入部の各位置の中間の高さに排出するよう規制する補助ダクトを設けたことを特徴とする請求項3に記載の電子回路基板の冷却構造。 - 前記補助ダクトは、
前記ガイドプレートの傾斜角度により形成される内部の開口面積が、排気側につれ狭くなるよう構成され、
前記ファン付きシンクから排気される気流の流速を上げて遠方に排気させることを特徴とする請求項4に記載の電子回路基板の冷却構造。
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