JP4086650B2 - 光ディスク装置及び光ディスク装置の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーボ制御を安定に行うことができる光ディスク装置及び光ディスク装置の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、データの記録が可能なCD−Rやデータの記録及び消去が可能なCD−RW等の光ディスク装置が広く利用されている。
【0003】
このような光ディスク装置におけるデータの記録は、記録材料である有機色素材料にレーザ光を照射し、記録マーク(ピット)を焼き付けて行われる。また、データの再生は、ディスクの記録面に記録された記録マークにレーザ光を照射し、その反射を検出することによって行われる。このとき、レーザ光はレンズを通してディスクの記録面に照射され、記録又は再生に最適な状態になるようにレンズ位置を制御するフォーカスサーボ制御を行う必要がある。
【0004】
さらに、データの再生、消去及び記録をディスク上の正確な位置で行うため、ディスク上に予め刻まれた案内溝(Groove)からのレーザ光の反射を利用して、この案内溝を正確にトレースするようにレンズ位置を制御するトラッキングサーボ制御を行う必要もある。
【0005】
また、データの再生、消去及び記録に対して最適なレーザ光のパワーを調査し、定電流制御や定電力制御により最適パワーを保って再生、消去及び記録の各々の処理を行う必要がある。
【0006】
従来の光ディスク装置は、図1に示すように、レーザダイオード(LD)10、レーザダイオードドライバ(LDドライバ)12、第1電圧出力回路14、第2電圧出力回路16、増幅器18、定電力制御回路(APC回路)22,32、定電流制御回路(ACC回路)24,34、複数のデジタル/アナログ変換回路(DA回路)20,26,28,36,38、複数のサンプルホールド回路(S/H回路)30,40を含んで構成される。また、これらの回路を制御する処理部44及び各スイッチ等を切り替える信号を制御するENDEC42も含まれる。さらに、レーザダイオード10の出力電力をフォトダイオード等の光電変換素子によって検出し、フィードバック信号を出力するFMD回路48も備えている。
【0007】
第1電圧出力回路14は、スイッチSW1を介して、APC回路22又はACC回路24に接続される。APC回路22はDA回路26及びS/H回路30と接続され、ACC回路24はDA回路28と接続される。DA回路26,28は、処理部44に接続される。また、S/H回路30は、FMD回路48に接続される。
【0008】
同様に、第2電圧出力回路16は、スイッチSW2を介して、APC回路32又はACC回路34に接続される。APC回路32は、DA回路36及びS/H回路40と接続され、ACC回路34はDA回路38に接続される。さらに、DA回路36,38は、処理部44に接続される。また、S/H回路30は、FMD回路48に接続される。
【0009】
増幅器18はDA回路20に接続され、DA回路20は処理部44に接続される。
【0010】
第1電圧出力回路14、第2電圧出力回路16及び増幅器18は、図2に示すように、スイッチSW3〜SW5を介して、LDドライバ12に含まれる第1電流源50、第2電流源52及び第3電流源54に接続されている。第1電圧出力回路14、第2電圧出力回路16又は増幅器18からの制御電圧を受けて、LDドライバ12の第1電流源50、第2電流源52及び第3電流源54はレーザダイオード10へ駆動電流を出力する。データの再生時には第1電流源50からの電流、データの消去時には第1電流源50及び第2電流源52からの合成電流及びデータの記録時には第1電流源50及び第3電流源54からの合成電流によってレーザダイオード10が発光してデータの再生、消去又は記録がそれぞれ行われる。
【0011】
図5に、ディスク上のデータの再生、消去及び記録時の各信号のタイミングチャートの例を示す。光ディスク装置は、ディスクに刻まれているATIP基準信号(ATIPSYNC)を読み出し、このATIP基準信号の立ち上がりに応じて各フレームにおける処理を行う。このタイミングチャートの例では、第1フレームにおいて前フレームから引き続いてディスクのデータの消去及び記録が行われ、その後第2フレームからディスクのデータの再生に移行している。
【0012】
第1フレーム以前では、切替タイミング回路46から出力されるEFMG信号が”Hレベル”であり、スイッチSW1がb1側に接続され、スイッチSW2がa2側に接続される。これによって、第1電圧出力回路14はACC回路24によって制御され、第2電圧出力回路16はAPC回路32によって制御される。
【0013】
第1フレームのデータの消去及び記録においては、処理部44からDA回路28にWRDA信号が出力される。DA回路28は処理部44からのWRDA信号をデジタル/アナログ変換してACC回路24に出力する。ACC回路24は、LDドライバ12の第1電流源50から出力される駆動電流をWRDA信号で定まる一定の電流値に維持するように定電流制御を行う。このとき、WRDA信号で定まる電流は、データの記録中における基底パワー(ボトムパワー)を決定するものであり、レーザダイオード10が光らない程度の電流値となる制御電圧を第1電圧出力回路14が出力するようにACC回路24が制御する。また、ENDEC42からはLDON信号が常時出力され、スイッチSW3が閉じられて第1電圧出力回路14とLDドライバ12が接続される。このとき、第1電圧出力回路14が出力する電圧を電圧値VRDC_W(記録時のVRDC)とする。
【0014】
一方、処理部44はDA回路36に対してWDAC1信号を出力する。DA回路36は、WDAC1信号をデジタル/アナログ変換してAPC回路32に出力する。APC回路32は、レーザダイオード10からの出力電力がディスク上のデータの消去を行うために適した電力となるように第2電圧出力回路16から出力される制御電圧を制御する。レーザダイオード10の出力電力はFMD回路48によって読み取られ、FMD回路48からフィードバック信号が出力される。ENDEC42は、データの消去のタイミングに同期してWAPC信号を出力し、FMD回路48からのフィードバック信号をS/H回路40にサンプルホールドさせる。APC回路32は、このサンプリング値に基づいて消去時のレーザダイオード10のパワーが一定となるように第2電圧出力回路16を制御する。
【0015】
また、ENDEC42は、ディスク上のデータを消去するタイミングでPEO信号を出力する。これによって、スイッチSW4が閉じられ、第2電圧出力回路16とLDドライバ12とが接続される。ACC回路24によって制御されたLDドライバ12の第1電流源50からの電流と、APC回路32によって制御されたLDドライバ12の第2電流源52からの電流との合成電流がレーザダイオード10の駆動電流として出力され、ディスク上のデータが消去される。このときの第2電圧出力回路16の制御電圧を電圧値VWDC_W(記録時のVWDC)し、レーザダイオード10からの出力電力を電力値FMD_Wとする。
【0016】
同時に、ENDEC42は、データの消去時にRAPC信号を出力することによって、FMD回路48からのフィードバック信号をS/H回路30にサンプルホールドさせる。APC回路22は、このサンプリング値に基づいて、光ディスク装置がデータの再生に切り替えられた場合に最適のレーザダイオード10の出力パワーが得られるように調整を行う。
【0017】
また、ディスク上にデータを記録する際には、処理部44はDA回路20から電圧値VWDC_Wが出力されるように設定する。ENDEC42は、ディスク上にデータを記録するタイミングでPWO信号を出力し、スイッチSW5を閉じることにより増幅器18とLDドライバ12とを接続する。これによって、ACC回路24によって制御されたLDドライバ12の第1電流源50からの電流と、増幅器18からVWDC_Wを増幅率ATTだけ増幅した出力電圧によって制御された第3電流源54からの電流との合成電流がレーザダイオード10の駆動電流として出力され、ディクス上にデータが記録される。
【0018】
例えば、相変化を利用したディスクでは、データの消去にはイレースパワーPER:5mW及びデータの記録にはライトパワーPWR:11mWが得られるようにVRDC_W及びVWDC_Wの調整が行われる。
【0019】
続いて、データの消去及び記録を行う第1フレームからデータの再生を行う第2フレームに移行する際の処理について説明する。データの消去及び記録を行うフレームは、データの消去によって終了し、次のデータの再生処理が開始される。ATIPSYNC信号の立ち上がりに応じて、切替タイミング回路46はEFMG信号を立ち下げ、スイッチSW1をa1側に、スイッチSW2をb2側に切り替える。
【0020】
処理部44はDA回路26にREDA信号を出力し、ディスク上のデータの再生を行う際に必要な程度の制御電圧が第1電圧出力回路14から出力されるように設定する。ENDEC42は、RAPC信号を“Hレベル”に立ち上げて保持することによって、FMD回路48から出力されるレーザダイオード10の出力電力のフィードバック信号をS/H回路30にサンプルホールドさせる。APC回路22は、このサンプリング値に基づいて、再生時のレーザダイオード10のパワーが一定となるように第1電圧出力回路14を制御する。LDドライバ12は、第1電圧出力回路14から出力される制御電圧を受けて、第1電流源50から駆動電流を出力してレーザダイオード10を駆動する。一定に制御された第1電圧出力回路14の制御電圧を電圧値VRDC_R(再生時のVRDC)し、レーザダイオード10の出力電力を電力値FMD_Rという。
【0021】
例えば、相変化を利用したディスクでは、データの再生にはリードパワーPRD:1mWが得られるようにVRDC_Rの調整が行われる。
【0022】
一方、処理部44は、第2電圧出力回路16から制御電圧を画定するWDAC2信号をDA回路38に出力する。ACC回路34は、LDドライバ12の第2電流源52の電流をレーザダイオード10が光らない程度に十分に低く保つように第2電圧出力回路16を制御する。このときの第2電圧出力回路16をVWDC_Rという。また、増幅器18から出力されるATT増幅信号もレーザダイオード10が光らない程度に十分に低く保たれる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、データの消去及び記録を行うフレームにおいて、第1電圧出力回路14はACC回路24によって定電流制御され、その出力はレーザダイオード10が光らない程度に十分低い制御電圧VRDC_Wに維持されている。データの消去及び記録を行うフレームからデータの再生を行うフレームに移行する際には、第1電圧出力回路14はACC回路24による定電流制御からAPC回路22による定電力制御に切り替えられ、その出力はデータの再生に適した制御電圧VRDC_Rに変更される。
【0024】
このような制御では、図6の第1電圧出力回路14の制御電圧とレーザダイオード10の出力電力との関係で示されるように、データの消去又は記録を行うフレームからデータの再生を行うフレームに移行する際に、レーザダイオード10が全く光らない点(図6のB点)からデータの再生に適した点(図6のA点)まで直接変更される。このとき、APC回路22によって電圧値VRDC_Wから電圧値VRDC_Rまで制御電圧が昇圧されるまでに時間が掛かり、図5のタイミングチャートのようにレーザダイオード10が光らない期間TBが生ずる問題がある。
【0025】
レーザダイオード10が光らない期間TBが存在することによって、フォーカスサーボ制御やトラッキングサーボ制御を行うためのレーザダイオード10の光の反射信号が得られなくなり、光ディスク装置のサーボ制御が不安定となる問題が発生する。
【0026】
本発明は、上記従来技術の問題を鑑み、少なくとも上記課題を解決すべく、サーボ制御を安定に行うことができる光ディスク装置及び光ディスク装置の制御方法を提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決できる本発明は、制御信号に基づいて発光素子の出力電力を制御してデータの再生、消去及び記録を行う光ディスク装置であって、前記制御信号を出力する制御信号出力手段と、前記制御信号出力手段を制御し、データの再生時において発光素子の出力電力が一定に維持されるように前記制御信号を再生時制御値とする定電力制御手段と、前記制御信号出力手段を制御し、データの消去時又は記録時において発光素子に流れる電流の少なくとも一部が一定に維持されるように前記制御信号を記録時制御値に制御する定電流制御手段と、データの消去又は記録からデータの再生に移行する際に、前記制御信号出力回路の制御を前記定電流制御回路から前記定電力制御回路に切り替える切替手段とを含み、前記制御信号を前記再生時制御値と前記記録時制御値との中間値に変更して前記制御信号出力回路の制御を切り替えることを特徴とする。
【0028】
また、上記課題を解決できる本発明の別の態様は、制御信号に基づいて発光素子の出力電力を制御してデータの再生、消去及び記録を行う光ディスク装置の制御方法であって、データの消去時又は記録時において発光素子に流れる電流の少なくとも一部が一定に維持されるように前記制御信号を記録時制御値に制御する定電流制御工程と、データの消去時又は記録時からデータの再生時に移行する際に前記制御信号を中間値に制御する移行準備工程と、データの再生時において発光素子の出力電力が一定に維持されるように前記制御信号を再生時制御値とする定電力制御工程とを含み、前記中間値は前記再生時制御値と前記記録時制御値との間の値であることを特徴とする。
【0029】
ここで、前記中間値は、発光素子に流れる電流を当該発光素子が発光する臨界点付近とする値であることが好ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明の実施の形態における光ディスク装置は、図1及び図2に示した従来の光ディスク装置と同様の構成を含んでいる。
【0031】
図3に、本実施の形態におけるディスク上のデータの再生、消去及び記録時の各信号のタイミングチャートの例を示す。このタイミングチャートの例では、第1フレームにおいて前フレームから引き続いてディスクのデータの消去及び記録が行われ、その後第2フレームにおいてデータの再生処理への準備が行われ、第3フレームからのディスクのデータの再生に移行する。
【0032】
第1フレーム以前では、切替タイミング回路46から出力されるEFMG信号が”Hレベル”にあり、スイッチSW1がb1側に接続され、スイッチSW2がa2側に接続される。これによって、第1電圧出力回路14はACC回路24によって制御され、第2電圧出力回路16はAPC回路32によって制御される。
【0033】
第1フレームの消去及び記録においては、従来技術と同様に、処理部44はDA回路28にWRDA信号を出力する。第1電圧出力回路14はDA回路28の出力を受けて、レーザダイオード10が光らない程度の基底パワー(ボトムパワー)を出力する制御信号として電圧値VRDC_Wを出力する。また、ENDEC42からLDON信号が出力されることによって、スイッチSW3が閉じられて第1電圧出力回路14とLDドライバ12が接続される。ACC回路24は、LDドライバ12の第1電流源50から出力される駆動電流をWRDA信号で定まる一定の電流値に維持するように定電流制御を行う。
【0034】
また、処理部44はDA回路36にはWDAC1信号を出力する。第2電圧出力回路16はDA回路36の出力を受けて、レーザダイオード10のパワーがディスク上のデータの消去を行うために必要なパワーとなるように制御電圧として電圧値VWDC_Wを出力する。ENDEC42は、ディスク上のデータを消去するタイミングでPEO信号を出力し、これによってスイッチSW4が閉じられて第2電圧出力回路16とLDドライバ12とが接続される。
【0035】
第1電圧出力回路14からの制御電圧VRDC_Wによって制御されたLDドライバ12の第1電流源50からの電流と、第2電圧出力回路16からの制御電圧VWDC_Wによって制御されたLDドライバ12の第2電流源52からの電流との合成電流がレーザダイオード10の駆動電流となり、ディスク上のデータが消去される。
【0036】
ENDEC42は、データの消去時にWAPC信号を出力し、レーザダイオード10の出力をS/H回路40にフィードバックさせる。APC回路32は、このS/H回路40のサンプリング値に基づいて、消去時のレーザダイオード10のパワーがWDAC1信号によって規定される一定のパワーとなるように第2電圧出力回路16からの制御電圧を制御する。さらに、ENDEC42は、データの消去時にRAPC信号を出力し、FMD回路48からのフィードバック信号をS/H回路30にサンプルホールドさせ、APC回路22は、このサンプリング値に基づいて、光ディスク装置がデータの再生に切り替えられた場合に最適のレーザダイオード10の出力パワーが得られるように調整を行う。
【0037】
ディスク上にデータを記録する際には、処理部44はDA回路20から出力電圧VWDC_Wが出力されるように制御信号を出力する。また、ENDEC42は、ディスク上にデータを記録するタイミングでPWO信号を出力することによって、スイッチSW5を閉じ、増幅器18とLDドライバ12とを接続する。これによって、第1電圧出力回路14からの制御電圧VRDC_Wによって制御されたLDドライバ12の第1電流源50からの電流と、VWDC_Wが増幅率ATTだけ増幅された出力電圧によって制御された第3電流源54からの電流と、の合成電流がレーザダイオード10の駆動電流として出力され、ディクス上にデータが記録される。
【0038】
このとき、相変化を利用したディスクでは、従来技術と同様にイレースパワーPER:5mW及びライトパワーPWR:11mWが得られるようにVRDC_W及びVWDC_Wの調整が行われる。
【0039】
続いて、第2フレームにおいてデータの再生に移行するための準備が行われる。ATIPSYNC信号の立ち上がりに応じて移行準備が開始される。
【0040】
処理部44はDA回路28にWRDA_0mW信号を出力する。このWRDA_0mW信号は、第1電圧出力回路14からの制御信号を受けたLDドライバ12の第1電流源50からレーザダイオード10が光るか光らないかの臨界的な電流が供給されるような値に設定される。この設定値WRDA_0mWの値の具体的な求め方については後述する。
【0041】
ACC回路24は、WRDA_0mW信号を受けたDA回路28からの出力によって、第1電圧出力回路14からWRDA_0mW信号に応じた制御電圧として電圧値VRDC_0mWを出力させる。また、ACC回路24は、LDドライバ12の第1電流源50からの駆動電流をWRDA_0mW信号で規定される一定の電流値に維持するように定電流制御を行う。
【0042】
このとき、DA回路36には処理部44からWDAC1信号が設定される。第2電圧出力回路16はDA回路36の出力を受けて、ディスク上のデータの消去を行うために必要なパワーとなるように制御電圧として電圧値VWDC_Wを出力する。ENDEC42は、データの消去時にWAPC信号を出力し、レーザダイオード10の出力をS/H回路40にフィードバックさせる。APC回路32は、このS/H回路40のサンプリング値に基づいて、消去時のレーザダイオード10のパワーがWDAC1信号によって規定される一定のパワーとなるように第2電圧出力回路16からの制御電圧を制御する。
【0043】
その結果、第2フレームの準備期間においても、データの消去時におけるレーザダイオード10のパワーは第1フレームと等しく維持される。
【0044】
また、データを記録する際には、処理部44はDA回路20から出力電圧VWDC_Wが出力されるように制御信号を出力する。このVWDC_Wは上記のように第1フレームと等しく保たれ、VWDC_Wが増幅率ATTだけ増幅された出力電圧によって制御された第3電流源54からの電流も第1フレームと等しい電流値となる。しかしながら、第1電圧出力回路14からの制御電圧は、第1フレームにおける電圧値VRDC_Wから電圧値VRDC_0mWに昇圧されるまで変化するため、この制御電圧によって制御されたLDドライバ12の第1電流源50からの電流値は変化する。従って、第1電流源50と第3電流源54からの合成電流も変化し、それに伴ってレーザダイオード10のパワーも変化する。
【0045】
このようなレーザダイオード10の出力の変化はディスク上でのデータの記録品質に影響を与えるため、第2フレームにおける移行準備期間においてはダミーのデータを用いることが好ましい。
【0046】
第2フレームにおいて移行準備が行われた後に、第3フレームのデータの再生が開始される。ATIPSYNC信号の立ち上がりに応じて、切替タイミング回路46はEFMG信号を立ち下げ、スイッチSW1をa1側に、スイッチSW2をb2側に切り替える。
【0047】
処理部44は、DA回路26にREDA信号を出力し、レーザダイオード10からディスク上のデータの再生を行う際に必要な程度のパワーが出力されるように、第1電圧出力回路14から制御電圧として電圧値VRDC_Rが出力されるようにする。LDドライバ12は、第1電圧出力回路14から出力される制御電圧を受けて、第1電流源50から駆動電流を出力してレーザダイオード10を駆動する。このとき、ENDEC42は、RAPC信号を“Hレベル”に立ち上げて保持することによって、FMD回路48から出力されるフィードバック信号をS/H回路30にサンプルホールドさせる。APC回路22は、このサンプリング値に基づいて、再生時のレーザダイオード10のパワーがREDA信号によって規定される一定の値となるように第1電圧出力回路14を制御する。例えば、相変化を利用したディスクでは、従来技術と同様にデータの再生にはリードパワーPRD:1mWが得られるようにVRDC_Rの調整が行われる。
【0048】
また、DA回路38には、従来技術と同様にWDAC2信号が設定され、ACC回路34によってLDドライバ12の第2電流源52の電流はレーザダイオード10が光らない程度に十分に低く保たれる。さらに、増幅器18から出力されるATT増幅信号もレーザダイオード10が光らない程度に十分に低く保たれる。
【0049】
このとき、第2フレームの移行準備期間において第1電圧出力回路14からの制御電圧が電圧値VRDC_0mWまで予備的に昇圧された状態から第3フレームのデータの再生が開始されることとなる。電圧値VRDC_0mWはレーザダイオード10が発光する臨界点を規定する値であるため、第3フレームにおいてデータの再生が開始されると、APC回路22によって制御信号は直ちに電圧値VRDC_Rまで昇圧され、レーザダイオード10が発光する。その結果、データの消去又は記録からデータの再生への移行時においてレーザダイオード10が光らない期間TBを無くすことができ、光ディスク装置におけるサーボ制御を安定して行うことが可能となる。
【0050】
<WRDA_0mW信号値の算出方法>
WRDA_0mW信号の値は、図4に示すように、第1電圧出力回路14の制御電圧及びDA回路28の設定値とFMD回路48で読み取ったレーザダイオード10の出力電力との関係から求めることができる。
【0051】
まず、EFMG信号を“Lレベル”にして第1電圧出力回路14とAPC回路22とを接続し、処理部44からDA回路26にREDA信号を設定する。そのとき第1電圧出力回路14から出力される電圧VRDC_RをADコンバータによって読み取る。また、同時にFMD回路48においてレーザダイオード10の出力電力FMD_Rを読み取る。
【0052】
次に、EFMG信号を“Hレベル”にして第1電圧出力回路14とACC回路24とを接続し、第1電圧出力回路14から電圧VRDC_Rが出力されるようにDA回路28の設定値を調整する。このときの設定値をWRDA_R2とする。また、同時にFMD回路48においてレーザダイオード10の出力電力FMD_R2を読み取る。設定値WRDA_Rと出力電力FMD_R2との関係は図4のA点で表される。
【0053】
続いて、DA回路28の設定値をWRDA_Rから少しだけ下げたWRDA_Δに設定し、そのときFMD回路48においてレーザダイオード10の出力電力FMD_Δを読み取る。設定値WRDA_Δと出力電力FMD_Δとの関係は図4のC点で表される。
【0054】
さらに、第1電圧出力回路14からレーザダイオード10が全く光らなくなる制御電圧が出力されるようにDA回路28の設定値を調整し、そのときの設定値をWRDA_Bとする。同時に、FMD回路48においてレーザダイオード10の出力電圧FMD_Bを読み取る。設定値WRDA_Bと出力電圧FMD_Bとの関係は図4のB点で表される。
【0055】
以上のように得られた各設定値及び各出力電力の関係において、A点とC点を結んだ直線L1とB点から出力電力を一定として伸ばした直線L2との交点DのDA回路28の設定値をWRDA_0mW信号の値とする。このWRDA_0mW信号の値は、レーザダイオード10が光り出す臨界点付近の値である。
【0056】
このWRDA_0mW信号の値は、光ディスク装置においてデータの再生、消去又は記録を行う前に予め取得しておいても良いが、レーザダイオード10の経時的な変化の影響等を避けるためにデータの再生、消去又は記録の途中でその値を適宜補正することがより好ましい。
【0057】
すなわち、本実施の形態においては、データの消去又は記録を行うフレームからデータの再生を行うフレームに移行する間に移行準備期間を設け、レーザダイオード10が全く光らない点(図4のB点)からレーザダイオード10の出力が急増する臨界点付近(図4の交点D)となるまで設定値をΔV1だけ上げておき、その後、データの再生を行うフレームにおいてデータの再生に適した出力電力(図4のA点)とするために設定値をΔV2だけ上げる。
【0058】
このように2段階にレーザダイオード10の出力を制御することによって、フレームの移行期間においてレーザダイオード10が光らない期間TBを無くすことができる。その結果、例えば、光ディスク装置のサーボ制御を安定させることができる。
【0059】
なお、本発明の光ディスク装置及び光ディスクの制御方法は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において変更を加えた態様とすることができる。
【0060】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、光ディスク装置においてデータの再生、消去又は記録に用いられる発光素子が発光しない期間を無くすことができ、特にサーボ制御を安定に行うことができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 光ディスク装置のLDドライバの構成を示す図である。
【図3】 本発明の実施の形態における光ディスク装置の制御のタイミングチャートを示す図である。
【図4】 本発明の実施の形態におけるDA回路の設定値の取得方法を説明する図である。
【図5】 従来の光ディスク装置の制御におけるタイミングチャートを示す図である。
【図6】 従来の光ディスク装置の制御におけるレーザダイオードの出力変化を説明する図である。
【符号の説明】
10 レーザダイオード、12 LDドライバ、14 第1電圧出力回路、16 第2電圧出力回路、18 増幅器、20,26,28,36,38 デジタル/アナログ変換回路(DA回路)、30,40 サンプルホールド回路(S/H回路)、42 ENDEC、44 処理部、46 切替タイミング回路、48FMD回路、50 第1電流源、52 第2電流源、54 第3電流源。
Claims (4)
- 制御信号に基づいて発光素子の出力電力を制御してデータの再生、消去及び記録を行う光ディスク装置であって、
前記制御信号を出力する制御信号出力手段と、
前記制御信号出力手段を制御し、データの再生時において発光素子の出力電力が一定に維持されるように前記制御信号を再生時制御値とする定電力制御手段と、
前記制御信号出力手段を制御し、データの消去時又は記録時において発光素子に流れる電流の少なくとも一部が一定に維持されるように前記制御信号を記録時制御値に制御する定電流制御手段と、
データの消去又は記録からデータの再生に移行する際に、前記制御信号出力手段の制御を前記定電流制御手段から前記定電力制御手段に切り替える切替手段と、
を含み、
前記制御信号を前記再生時制御値と前記記録時制御値との中間値に変更して前記制御信号出力手段の制御を切り替えることを特徴とする光ディスク装置。 - 請求項1に記載の光ディスク装置において、
前記中間値は、発光素子に流れる電流を当該発光素子が発光する臨界点付近に制御する値であることを特徴とする光ディスク装置。 - 制御信号に基づいて発光素子の出力電力を制御してデータの再生、消去及び記録を行う光ディスク装置の制御方法であって、
データの消去時又は記録時において発光素子に流れる電流の少なくとも一部が一定に維持されるように前記制御信号を記録時制御値に制御する定電流制御工程と、
データの消去時又は記録時からデータの再生時に移行する際に前記制御信号を中間値に制御する移行準備工程と、
データの再生時において発光素子の出力電力が一定に維持されるように前記制御信号を再生時制御値とする定電力制御工程と、
を含み、
前記中間値は前記再生時制御値と前記記録時制御値との間の値であることを特徴とする光ディスク装置の制御方法。 - 請求項3に記載の光ディスク装置の制御方法において、
前記中間値は、発光素子に流れる電流を当該発光素子が発光する臨界点付近とする値であることを特徴とする光ディスク装置の制御方法。
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