JP4085860B2 - 液晶画像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像表示装置に係り、特に、投射型ディスプレイやビューファインダ、ヘッドマウントディスプレイ等の液晶画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、液晶画像表示装置、プラズマ画像表示装置、デジタルミラー画像表示装置、エレクトロルミネセンス画像表示装置、フィールドエミッション画像表示装置等の画像表示装置では、画像信号を表示する方式としてこの画像信号をデジタル化し、このデジタル信号を各画素に印加するようにしたデジタル方式が採用される傾向にある。この場合、1テレビフィールド(フィールド)を、異なる重みを持つ複数のサブフィールドで構成し、このサブフィールドを順次時系列的に表示して画像を表示することが行われている。
【0003】
これら各画像表示装置は構造、駆動方式は異なるが、いずれの方式においても上記したサブフィールド構造をもつために、動画表示時において、擬似輪郭が発生する。例えば1フィールドが8ビットの複数のサブフィールドを持ち、それぞれのサブフィールドの時間幅が、1(=20 ):2(=21 ):4(=22 ):8(=23 ):16(=24 ):32(=25 ):64(=26 ):128(=27 )である場合を考える。これらサブフィールドの組み合わせにより、階調は0〜255の256階調レベルの表現ができる。ここで、動画における擬似輪郭は各サブフィールドの表示時における発光タイミンングの時間的ずれによると考えられる。画像の移動速度が速い場合、時間のずれが空間のずれに変換されるため、動画擬似輪郭が発生し動画質が劣化する。
【0004】
図5は動画擬似輪郭の発生を模式的に説明するための図である。この図5においては、サブフィールドが1〜8(SF1〜SF8)からなり、隣接する画素において、階調レベルが”127”と”128”の境界を示している。図中の右方向が時間の流れを示し、この順序でサブフィールドSF1〜SF8に向かって順に表示されて行く。図中、白色の部分はオン表示(白色)を示し、梨地の部分はオフ表示(黒色)を示し、階調レベルが大きい程、白色に近づき、小さい程、黒色に近づく、図中のS1〜S3は視線の高さ方向の位置を示す。ここで視線が位置S2で固定された場合には、光Y1に示すようにサブフィールドSF1〜SF7では白色(オンの画素を示す)を通ってサブフィールドSF8では黒色(オフの画素を示す)を通った光が目に入るので、階調レベル”127”を適正に認識できる。
【0005】
しかし、視線が位置S2から上方の位置S1へ移動すると、光Y2に示すようにサブフィールドSF1〜SF8では全て黒色を通った光(実際には光はほとんど無し)が目に入るので、階調レベル”0”(真黒)になってしまう。従って、この視線移動により黒レベルの線が擬似的に発生し、これが輪郭として見えてしまう。
これに対して、視線が位置S2から下方の位置S3へ移動すると、光Y3に示すようにサブフィールドSF1〜SF8では全て白色を通った光(実際には光はほとんど無し)が目に入るので、階調レベル”255”(真白)になってしまう。従って、この視線移動により白レベルの線が擬似的に発生し、これが輪郭として見えてしまう。
【0006】
そして、上記した動画擬似輪郭の発生を解決するために以下の方策が提案されている。例えば非特許文献1において示されているように、サブフィールド中において表示時間が長いサブフィールドはより小さな表示時間のサブフィールドに分割してビデオフィールドに分散し、かつ分割サブフィールドを並びかえる。その結果、隣接する階調レベルにおいて、オンとなるサブフィールドが移動したときに、表示素子から出射する光の時間方向のずれが小さくなり擬似輪郭は認識され難くなる。
【0007】
また、特許文献1において開示されているように、液晶表示装置における場合においても同様の理由により、長い表示時間のサブフィールドをより小さな表示時間のサブフィールドに分割するようにしている。この時の表示態様の状態を図6を参照して説明する。図6は従来の画像表示装置の視線移動時の表示態様の一例を説明するための模式図である。ここでは1フィールドを19のサブフィールドSF1〜SF19に分割しており、図中、梨地の部分はオフを示し、白色の部分はオンを示す。また白色の部分の数字は明るさのレベルを示す。この点は図7も同じである。ここでは階調レベルが126〜130の部分を示している。階調レベルが128において、サブフィールドSF8〜SF11はオフ、この隣のサブフィールドSF12はオンである。
【0008】
この場合には、視線移動が位置S2から位置S1、或いは位置S3へ移動しても光Y1〜Y3は全て階調レベルが127であり動画擬似輪郭は発生しない。
また擬似輪郭を改善するその他の方法として非特許文献2において「CLEAR駆動法」が提案されている。この方法は、PDPにおいて、輝度に応じて順次発光期間を積み重ねていく方式であり、擬似輪郭への改善効果は大きい。更に、擬似輪郭を改善するその他の方法として、特許文献2に開示されているように、輝度に応じて順次発光期間を積み重ねていく方式があり、この方式で擬似輪郭の発生抑制には有効である。
【0009】
【非特許文献1】
「DLP投射システム」ディスプレイ アンド イメージング 2001,Vo1.9,pp79−86
【特許文献1】
米国特許第6151011号明細書
【非特許文献2】
NIKKEI ELECTRONICS 1999.10.4(NO.753)
【特許文献2】
特開2001−343950号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した各従来技術には以下のような問題があった。すなわち、上記非特許文献1及び特許文献1の技術において、図7に示すように階調レベル128において、図6に示すサブフィールドSF12がオンする替わりに、これよりも時間的に遠く離れた、例えばサブフィールドSF17がオンすると、視線が位置S2で固定された場合には階調レベルが127、視線が位置S2から位置S1へ移動すると階調レベルが127、視線が位置S2から位置S3へ移動すると階調レベルが143となる。従って、視線が位置S2から位置S3へ移動すると(光Y1からY3)、階調レベルは16(=143−127)階調変化してしまい、ここの境界部分に動画擬似輪郭が発生する、という問題があった。
【0011】
また上記非特許文献2で示される技術の場合には、2フィールドで24サブフィールドにより、表現できる階調数は24レベルのみであり、フル階調を表示するためにはディザ、誤差拡散等の信号処理が必要であるという問題があった。
更に、特許文献2で開示されている技術の場合には、アクセスする各サブフィールドと表示すべきビットプレーン対応関係が従来の単純なルックアップテーブルではあたえられず、各画素について、明るさ応じてビットプレーンからサブフィールドに演算する追加制御回路が必要となり、装置構造が複雑化する問題があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、サブフィールド構造を最適化することにより、動画擬似輪郭の発生を抑制した階調表現を可能にし、動画質を向上できる液晶画像表示装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、デジタル化された画像信号を、複数の画素がマトリクス状に配置された表示手段に印加して表示するに際して、前記画像信号の1フィールドを複数の1フィールド期間より短い期間であるサブフィールドに分割し、前記サブフィールドを前記画像信号の階調レベルに応じて選択的にオン、またはオフ表示して前記画像信号に基づいた画像を表示する液晶画像表示装置において、前記デジタル化された画像信号の各フィールドを複数の階調レベルで表示するため1フィールド期間より短時間である表示期間をもつ複数のサブフィールドに変換する変換回路と、前記表示手段の画素の階調レベルそれぞれの階調レベルを与える前記複数のサブフィールドを第1のサブフィールドパターングループと第2のサブフィールドパターングループとに分割し記憶している記憶部と、前記複数のサブフィールドを前記第1及び第2のサブフィールドパターングループによりオン・オフし前記表示部の画素をそれぞれ駆動する駆動部と、を有し、前記第1のサブフィールドパターングループは、サブフィールドの表示期間が順次長くなるように順次配列され、前記第2のサブフィールドパターングループは、前記第1のサブフィールドパターングループに連続して配列されると共に、前記第1のサブフィールドパターングループより表示期間が長く、かつ、表示期間が同一のサブフィールドが複数配列されるよう構成されており、前記第1及び第2のサブフィールドパターングループは、前記画像信号の階調レベルにおいて、1階調変化する毎に、オンとなる1個又は2個のサブフィールドがサブフィールドの配列方向に沿って1サブフィールド分移動し、或いは、前記1階調変化する前のサブフィールドのオンを保持し、これらのサブフィールドより表示期間が短いサブフィールドの1個をオンとし、或いは、前記1階調変化する前のサブフィールドの内、これらのサブフィールドより表示期間が短いサブフィールドの1個をオフとすると共に、オンとなる1個のサブフィールドがサブフィールドの配列方向に沿って1サブフィールド分移動し、前記第2のサブフィールドパターンの内、配列方向の最後のサブフィールドが一旦オンになった後は、それ以上の階調レベルにおいてはオンを保持するよう構成していることを特徴とする液晶画像表示装置である。
【0013】
この場合、例えば前記ルックアップテーブルは、前記サブフィールドがオンする順番を、階調レベルが高くなるに従って、前記表示期間が最も短いサブフィールドから最も長いサブフィールドに向かって移動させ、オフ状態のサブフィールドの内で前記表示期間が最も長いサブフィールドがオンとなった時には、該オンになったサブフィールドをその階調レベル以上においては常にオン状態を保持するように設定されている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る液晶画像表示装置の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
<第1実施例>
図1は本発明に係る液晶画像表示装置の一例を示すブロック構成図、図2は入力電圧と出力光強度との関係を示すグラフ、図3はサブフィールドを形成する時に用いるルックアップテーブルの一例を示す図である。尚、ここでは画像表示装置として液晶を用いた表示装置を例にとって説明するが、本発明は、プラズマ画像表示装置、デジタルミラー画像表示装置、エレクトロルミネセンス画像表示装置、フィールドエミッション画像表示装置などにも適用できる。
【0015】
図1に示すように、この画像表示装置2は、画像信号Sをデジタル化して1つのフィールドに対して所定の複数のサブフィールドを形成するためのサブフィールド制御手段4と、複数の画素がマトリクス状に配置されて上記サブフィールド制御手段4で形成されてデジタル信号を印加することによって画像を表示する表示手段6とにより主に構成される。具体的には、上記サブフィールド制御手段4は、アナログの画像信号をデジタル化するA/D変換部8と、このA/D変換部8より出力されるデジタル信号(画像信号)に基づいて1フィールドに対して複数、ここでは19のサブフィールドを形成するサブフィールド変換回路10と、このサブフィールドを形成する際に参照する図3に示すようなルックアップテーブルを記憶するルックアップメモリ12と、上記サブフィールド変換回路10で形成された信号を記憶する第1と第2の2つのフレームメモリ14、16とを有している。また上記第1、第2のフレームメモリ14、16から出力されるサブフィールドのデータを記憶する、20個のシフトレジスタSR1〜SR20が設けられている。
【0016】
また表示手段6は、例えば640×480の画素(図示せず)がマトリクス状に配置された表示部20を有しており、この表示部20の一側には行走査電極駆動回路22が設けられると共に、他側には列信号電極駆動回路24が設けられる。この列信号電極駆動回路24には、シフトレジスタDSR1〜DSR20が含まれ、制御側のシフトレジスタSR1〜SR20からのデータを受け取り保持する。
【0017】
次に、このように構成された液晶画像表示装置2の動作について説明する。
まず、A/D変換部8は、入力されたアナログの画像信号Sをデジタル信号に変換する。ここでは、8ビットの入力信号とする。この入力される画像信号Sは、通常CRTの逆ガンマ特性を前提としたものであり、一般には図2に示すような液晶を電圧駆動したときの出射光強度の関係がS字型となり、階調が正しく表現できなくなる。図2中、Vthは閾値を示し、Vsatは飽和電圧を示す。そこで、図3に示すような、本発明の特徴とする階調レベルとサブフィールドの対応するルックアップテーブルにより、正しく階調が表現できるよう、また擬似輪郭が発生しないようにサブフィールドの表示期間、及び各階調レベルにおける各サブフィールドのオン・オフ表示を設定する。この、ガンマ補正および擬似輪郭の抑制を行うためのルックアップテーブルが本発明の具体例に対応する。尚、ここでは階調レベルが0〜255までの256段階を示しており、途中の部分の記載は一部省略している。ここで記載されている階調レベル中、”1”はオン(点灯)を示し、空白はオフを示す。表示の際は、サブフィールドSF1からサブフィールドSF19に向けて順に時系列的に表示される。
【0018】
図3に示す場合は、各サブフィールドは、サブフィールドの表示期間が順次長くなるように、或いは順次短くなるように複数のサブフィールドが順次配列された第1のグループ、例えばサブフィールドSF1〜SF10と(図3においては順次長くなるように配列されている)、サブフィールドの表示期間が最も長い複数のサブフィールド、例えばサブフィールドSF11〜SF19が順次配列された第2グループとの2つのグループよりなり、両者がこの順序で連続するよう設定されている。
具体的には、第1のグループにおいては、各サブフィールドの表示期間は、SF1、SF2… SF10の順で30μsec、60μsec、90μsec…240μsecのように順次長くなるように設定されている。また第2のグループにおいては、各サブフィールドSF11〜SF19の表示期間は全て260μsecで同じとなっている。またここでは、隣接するサブフィールド同士の表示期間の差が、サブフィールドの表示期間が長くなるに従って、同一、或いは短くなるように設定されている。例えばサブフィールドの表示期間が短い場合は隣接サブフィールドの表示期間の差は30μsecであるが、サブフィールドの表示期間が長くなるに従って、サブフィールドの表示期間の差は20μsec、0μsecと徐々に短くしている。
【0019】
具体的には、隣接サブフィールドの表示期間の差は、SF1〜SF4まではそれぞれ30μsecで同一、SF4〜SF11まではそれぞれ20μsecで同一、SF11〜SF19まではそれぞれ0μsecで同一となっている。そして、上述のように、隣接サブフィールドの表示期間の差は、サブフィールドの表示期間が長くなるに従って、30μsec→20μsec→0μsecの様に数サブフィールド毎に順次短くなっている。
【0020】
またここでは、階調レベルが高くなるに従って、第1グループにおいて表示期間が最も短いサブフィールドから最も長いサブフィールドに向かって1サブフィールド毎に移動させ、第2グループのサブフィールドで最も第1グループに近い位置の第2グループのサブフィールドSF11をオンし、さらに階調レベルが高くなるに従って、第1グループにおいて最も短いサブフィールドから最も長いサブフィールドに向かって1サブフィールド毎に移動させると同時に第2グループにおいてサブフィールド位置が第1グループに最も近い位置から最も遠い位置に向かって1サブフィールド毎に移動させ、オフ状態のサブフィールドの内で第1グループから最も遠い前記第2グループのサブフィールドSF19がオンとなった時には、このオンになったサブフィールドをその階調レベル以上においては常にオン状態を保持するようにしている。さらに階調レベルが高くなると同様のサブフィールドの動きが順次繰り返される。
【0021】
サブフィールド変換回路10は、デジタル化された画像信号を入力し、各画素に対応する画素信号を予め決められたサブフィールドの表示期間をもつ、ここでは19個のサブフィールドに変換する回路である。具体的には、入力されるデジタル画像信号の階調レベルに応じて変換すべき情報が定められた図3に示すようなルックアップテーブルを参照して、所定の数の、ここでは19個のサブフィールドに画像信号が分割される。このサブフィールド変換回路10は、図1に示すように、書き込み制御アドレス信号により物理アドレスが指定され、第1及び第2のフレームメモリ14、16にルックアップテーブルのデータが書き込まれる。
【0022】
この第1及び第2のフレームメモリ14、16は、それぞれ19個のサブフィールドに対応する19個のサブフィールドメモリ(図示せず)を含み、このサブフィールドメモリは、各画素の640×480(個)のサブフィールドデータを記憶する。上記サブフィールドメモリに保持されたデータは、例えば20ビットずつ読み出されてシフトレジスタSR1〜SR20に保持される。保持された20ビットのデータは表示部20のシフトレジスタDSR1〜DSR20に転送されて保持される。各画素には、データを保持するメモリが配置されており、シフトレジスタDSR1〜DSR20に保持されたデータが各画素のメモリに転送され、保持される。各画素に20ビットずつ保持され、1列640ビットのデータが保持されると、2列目のデータが保持される。そして、3列、…480列のようにデータ転送を順次繰り返し、1サブフィールド分のデータ転送が終了し、全画素のメモリにデータが保持されたあと、全画素のメモリのデータが一括で全画素に転送され、各画素の液晶が同時に駆動される。
【0023】
その後は同様に2サブフィールド、・・・・、19サブフィールドにおける動作を行い、1フィールドが終了する。第1のフレームメモリ14からデータが読み出されている時間において、同時に第2のフレームメモリ16にサブフィールド変換回路10からデータが書き込まれている。第1のフレームメモリ14から1フィールド分のデータ読み出しが終了後、第2のフレームメモリ16から1フィールド分のデータが読み出される。以後、第1及び第2のフレームメモリ14、16は書き込み、読み出し動作を1フィールド毎に交互に行う。
【0024】
次に、図3に示すようにルックアップテーブルを形成することにより、動画擬似輪郭の発生が抑制される理由について説明する。
図6及び図7に戻って、図6及び図7より、擬似輪郭の発生し難いサブフィールドパターンは、隣接する階調レベルにおいて、オン(点灯)するサブフィールドの位置が近い必要がある。例えば、階調レベルが127から128に変化する場合、サブフィールドSF8〜SF11がオフとなり、サブフィールドSF17がオンになる場合(図7参照)には視線移動の速度が小さくても明るさが127から143へと変化して認識されて擬似輪郭が発生し易い。しかし、サブフィールド17に替えてサブフィールドSF12がオンになる場合(図6参照)には光Y4に示すように視線移動速度が速くならないと(位置S4)、明るさが127から143へと変化するように認識されず擬似輪郭が発生し難くなる。
【0025】
また、階調レベル127で、サブフィールドSF8〜SF11のオンにより明るさ15を発生するが、この場合、サブフィールドSF8〜SF11の発光重心はサブフィールドSF9とSF10の中間にあり、階調レベルが128でサブフィールドSF12がオンになっても発光重心の移動は最小にできない。尚、発光重心とは、あるサブフィールドの集合の明るさの平均位置(SF)を示す。いま、仮にサブフィールドSF11に単独で明るさ15が配置されると、階調レベルが127から128に変化する場合、発光重心はサブフィールドSF11からサブフィールドSF12となり、発光重心の移動は最小の1サブフィールドにできる。従って、隣接する階調レベルにおいて、サブフィールドの表示期間の差が小さいほどサブフィールドの移動を小さくすることができるが、、各サブフィールドの表示期間は表現される階調レベルにより決定される。
【0026】
従って、擬似輪郭の低減と階調表現を両立するためには、次の2つの条件が必要となる。
(1)各サブフィールドの表示期間の差は小さいほどよくなる。
(2)隣接する階調レベルにおいては、サブフィールドの発光重心の位置の移動は小さいほどよくなる。
【0027】
この方針に従う一例が図3に示すルックアップテーブルである。前述したように、図3のルックアップテーブルでは、サブフィールドの表示期間は、サブフィールド数が大きくなるほど徐々に長くなる。サブフィールドの表示期間が短い場合には、隣接するサブフィールドの表示時間の差は30μsecであるが(SF1〜SF4)、サブフィールドの表示期間が長くなるにしたがって、隣接するサブフィールドの表示期間の差は20μsec、0μsec(第2のグループの場合)と短くなる。これは、図2に示すように液晶に加わる入力電圧(実効電圧値)と出力光強度との関係は直線的に変化せず、S字型に変化するため、複数サブフィールドの表示期間の合計がある1サブフィールドの表示期間に等しくても、明るさは複数サブフィールドの明るさより1サブフィールドの明るさのほうが明るい。従って、正確な階調表現を行うためには、このようにサブフィールド数が大きくなるほど隣接するサブフィールドの表示期間の差を小さくする必要がある。
【0028】
次に階調レベルが0から大きくなるときのサブフィールドの変化を説明する。階調レベルが0のときには、例えば全サブフィールドをオフにする。これは液晶画像表示装置の黒レベルをきめるものであり、必要な黒レベルにより各サブフィールドのオン状態が設定される。
階調レベルが1、2、・・・と変化すると、オンとなるサブフィールドの移動量は1サブフィールド毎になり、サブフィールドSF11がオンとなったあとにはサブフィールドの表示期間は全て260μsecとなって同じであり、更にオンするサブフィールドは、サブフィールドSF12、SF13、・・・SF19のようにに1サブフィールド毎に移動する。そして、サブフィールドSF12がオンとなる場合、サブフィールドSF1も同時にオンとなり、それ以上の階調においてサブフィールドSF2とサブフィールドSF13、サブフィールドSF3とサブフィールドSF14、・・・・・のように2つのサブフィールドが同時にオンとなる。
【0029】
階調レベルが29以下においては、階調レベルのオンとなるサブフィールドの移動量は1サブフィールド毎になり擬似輪郭の発生は抑制される。階調レベルが29と30の間においては、オンするサブフィールドSF7は移動せずにサブフィールドSF1がオンとなるがサブフィールドSF1は表示期間が短いため、擬似輪郭として認識されない。この点は階調レベル31と32の間においても同様である。隣接する階調レベルにおいて、オンするサブフィールドは移動しないが表示期間が短いサブフィールドがオンする場合は他の階調レベル間においても存在し、その場合、同時にオンするサブフィールドは表示期間が短いサブフィールドであればよく、サブフィールドSF1に限らない。
【0030】
このように、サブフィールドの表示期間を途中までは次第に順次長くなるように設定(第1のグループ)し、その後は表示期間が一定となるように設定(第2のグループ)した理由は次の理由による。すなわち、液晶画像表示装置では、サブフィールドの表示期間が長くなるとその階調レベルを制御するのがかなり難しくなるので、配列されるサブフィールドの途中でその表示期間がそれ以上長くなるのを停止している。この場合、表示期間が長い方のサブフィールドの表示期間の増加を抑制した分だけ明るさが減少するので、これを補償するためにこの表示期間が長い部分のサブフィールドをオンすると同時に、表示期間の短いサブフィールドも順にオンするように設定している。これにより、階調レベルが高くなっても、階調レベルの細かな制御が可能にできることになる。
【0031】
また液晶を用いた画像表示装置において、仮に隣接サブフィールド間の表示期間の差を変化させることなく一定とした場合には、隣接階調レベル間においてオンするサブフィールドの移動量が常に1サブフィールドとなるように設定すると(例えば階調レベル1〜19を参照)、階調レベルと出力光強度との関係が、液晶の特性に起因して図4中に示す特性B1のように2次曲線的に上方へ跳ね上がった特性を示すので好ましくない。そこで、サブフィールドの表示期間が長くなるに従って、上述のように隣接サブフィールド間の表示期間の差を、例えば複数サブフィールド毎に次第に短くすることにより、図4中の特性B2のように直線的に大きくなる良好な特性とすることができる。
【0032】
このように、図3に示すようなルックアップテーブル構造を採用することにより階調レベルが変化してもその時の発光重心の移動量は小さくしているので、擬似輪郭の発生を大幅に抑制することが可能となる。
また、サブフィールドの表示の順序に従って、その表示期間が順次長くなるように設定しているので、いわゆる動きぼけの発生を抑制することができる。尚、動きぼけとは、静止画では解像度がよい場合でも画像が動くことによりその画像自体の解像度が劣化してぼけて見える現象をいう。この動きぼけについて説明すると、一般的には画像表示装置の中では動きぼけの少ないのはCRT(陰極線管)であり、液晶画像表示装置では動きぼけが多い。これは、CRTの発光パターンがインパルス発光であるのに対して液晶画像表示装置の発光パターンが保持型発光であるのに起因している。このような状況下において、サブフィールド番号が増加するに従って、表示期間が次第に増加して1つのピークを形成して終了するようなパターン、いわゆる1山パターンとなる場合には、上記した動きぼけの発生を大幅に抑制することができる。
【0033】
尚、図3に示す各ルックアップテーブルでは、サブフィールドを表示する順番に、途中まではその表示期間が次第に長くなるようにし、その後は表示期間が一定となるように配列したが、これに限定されず、これを逆に、すなわち、サブフィールドの表示期間が最も長い第1のグループのサブフィールドSF1〜SF9とし、最も短いものをサブフィールドSF19とするようにしてもよい。この場合、各階調レベルのオン・オフのパターンは、完全に逆になり、例えば図3中にて左上方向から右下方向へ斜めに進行する”1”の配列が、右上方向から左下方向へ斜めに進行する”1”の配列となり、この場合にも、前述したと全く同様な効果を得ることができる。
また上記各実施例ではフィールドを19個のサブフィールドに分割した場合を例にとって説明したが、このサブフィールドの数に限定されないのは勿論である。
【0034】
また、図3に示すルックアップテーブルは、第1グループにおいて隣接するサブフィールド同士の表示期間の差がサブフィールドの表示期間が長くなるに従って複数のサブフィールド毎に短くなるように設定されているが、第1グループにおいて隣接するサブフィールド同士の表示期間の差がサブフィールドの表示期間が長くなるに従って1サブフィールド毎に短くなるように設定されてもよい。例えばSF1の表示期間が30μsecとし、隣接するサブフィールド同士の表示期間の差が1サブフィールド毎に1μsecずつ短くなる場合、それぞれSF2、SF3、…SF11、…SF19の表示期間は59μsec、87μsec、…275μsec、…275μsecとなる。この場合も、図3と同様のルックアップテーブルを適用できる。
また、図3に示すルックアップテーブルは、第1グループにおいて隣接するサブフィールド同士の表示期間の差がサブフィールドの表示期間が長くなるに従って複数のサブフィールド毎に短くなるように設定されているが、第1グループにおいて隣接するサブフィールド同士の表示期間の差が常に同一であってもよい。例えばSF1の表示期間が30μsecとし、隣接するサブフィールド同士の表示期間の差が30μsecとすると、それぞれSF2、SF3、…SF11、…SF19の表示期間は60μsec、90μsec、…330μsec、…330μsecとなる。この場合も、図3と同様のルックアップテーブルを適用できる。また、サブフィールドの表示期間と表示装置の明るさが比例関係にある、プラズマ画像表示装置、デジタルミラー画像表示装置、エレクトロルミネセンス画像表示装置、フィールドエミッション画像表示装置等の画像表示装置に適応でき、擬似輪郭の発生を大幅に抑制することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液晶画像表示装置によれば、擬似輪郭の発生を抑制し、階調性に優れ、動きぼけの少ない動画質を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像表示装置の一例を示すブロック構成図である。
【図2】入力電圧と出力光強度との関係を示すグラフである。
【図3】サブフィールドを形成する時に用いるルックアップテーブルの一例を示す図である。
【図4】階調レベルと出力光強度との関係を示すグラフである。
【図5】動画擬似輪郭の発生を模式的に説明するための図である。
【図6】従来の画像表示装置の視線移動時の表示態様の一例を説明するための模式図である。
【図7】従来の画像表示装置の視線移動時の表示態様の一例を説明するための他の模式図である。
【符号の説明】
2…画像表示装置、4…サブフィールド制御手段、6…表示手段、8…A/D変換部、10…サブフィールド変換回路、12…ルックアップメモリ、14…第1のフレームメモリ、16…第2のフレームメモリ、20…表示部。
Claims (1)
- デジタル化された画像信号を、複数の画素がマトリクス状に配置された表示手段に印加して表示するに際して、前記画像信号の1フィールドを複数の1フィールド期間より短い期間であるサブフィールドに分割し、前記サブフィールドを前記画像信号の階調レベルに応じて選択的にオン、またはオフ表示して前記画像信号に基づいた画像を表示する液晶画像表示装置において、
前記デジタル化された画像信号の各フィールドを複数の階調レベルで表示するため1フィールド期間より短時間である表示期間をもつ複数のサブフィールドに変換する変換回路と、
前記表示手段の画素の階調レベルそれぞれの階調レベルを与える前記複数のサブフィールドを第1のサブフィールドパターングループと第2のサブフィールドパターングループとに分割し記憶している記憶部と、
前記複数のサブフィールドを前記第1及び第2のサブフィールドパターングループによりオン・オフし前記表示部の画素をそれぞれ駆動する駆動部と、
を有し、
前記第1のサブフィールドパターングループは、サブフィールドの表示期間が順次長くなるように順次配列され、前記第2のサブフィールドパターングループは、前記第1のサブフィールドパターングループに連続して配列されると共に、前記第1のサブフィールドパターングループより表示期間が長く、かつ、表示期間が同一のサブフィールドが複数配列されるよう構成されており、
前記第1及び第2のサブフィールドパターングループは、
前記画像信号の階調レベルにおいて、1階調変化する毎に、
オンとなる1個又は2個のサブフィールドがサブフィールドの配列方向に沿って1サブフィールド分移動し、
或いは、前記1階調変化する前のサブフィールドのオンを保持し、これらのサブフィールドより表示期間が短いサブフィールドの1個をオンとし、
或いは、前記1階調変化する前のサブフィールドの内、これらのサブフィールドより表示期間が短いサブフィールドの1個をオフとすると共に、オンとなる1個のサブフィールドがサブフィールドの配列方向に沿って1サブフィールド分移動し、
前記第2のサブフィールドパターンの内、配列方向の最後のサブフィールドが一旦オンになった後は、それ以上の階調レベルにおいてはオンを保持するよう構成していることを特徴とする液晶画像表示装置。
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