JP4085200B2 - 杜仲ゴムの抽出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、杜仲葉、杜仲葉の茎(葉脈)、杜仲茎、皮、種子、根など杜仲木の各種部位から杜仲ゴムを効率よくかつ抽出分離し、高純度の杜仲ゴムを高収率で得る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現代工業社会においてゴム製品は至るところに使用されており、ゴム製品なくして社会が成り立たないといっても過言ではない。ゴムはそのように重要な素材であるが、2000年のゴム素材の日本での消費実績は、天然ゴムで約750千トン、代表的な合成ゴムのSBRで約1,140千トンである。言うまでもなくSBRは石油由来のものであり、鉱物資源の使用、地球環境保全(炭酸ガスの排出)の観点からはSBRの消費を減少、節減することが望ましい。したがって、SBRの消費分を天然ゴムで代替すればよいが、天然ゴムは南方地域にその資源的偏りがあり、必ずしも代替がスムーズに行われない。
【0003】
天然ゴムはゴムの木から採取される樹液を原料とするシス型のイソプレンゴムであるが、その他のゴム資源としては温暖域においても生育可能な杜仲も天然ゴムを産生することが知られている。石油系合成ゴムの発明以前には杜仲からもゴム物質が採取され、海底電線の被覆材、ゴルフボールの被覆材、また、歯科材料などに広く利用されていた。ところが、合成ゴムが安価に合成されるようになったため、これらはほとんど合成ゴムにとって替わられた。杜仲が産生するゴムは、トランス型イソプレンゴムで、トランス型ゴムの特徴、たとえば電気絶縁性、耐腐食性、耐磨耗性に優れ、また人体へのなじみ性に優れ、歯科材料としても使われた。ここに、杜仲ゴムを効率よく抽出し、天然ゴム素材として新たに復活させることは、良好な特徴をもつゴム素材を提供できるばかりではなく、地球環境保護の面においてもきわめて意義あることである。
【0004】
1930年代、ロシアにおいて杜仲の木を植えて杜仲ゴムの生産がなされた。また、現在は中国において試験的に杜仲からゴムを抽出して、そのゴム製品の新たな開発が試みられている。中国での杜仲ゴム抽出法は、正確にはゴム物質を抽出するのではなく、他の木質成分を溶媒に溶解除去し、残ったゴム物質を取り出す方法などである。以下、これらを説明する。
【0005】
▲1▼遠心分離法:原料を粉砕し、粉砕物をアルカリ水で加熱抽出処理して、残った固形分を杜仲ゴムとして回収する。本法ではアルカリ残液の処理に苦慮し、得られた杜仲ゴムの純度に難点がある。
【0006】
▲2▼溶媒法:原料を石灰水に浸漬処理して、その固形分を溶媒で処理して、杜仲ゴムを製造する。これも基本的にはアルカリ水を使用するため、木質分を含むアルカリの排液処理が問題となり、最近のように環境問題が厳しい状況下ではこの方法は適当ではない。また、得られた杜仲ゴムの純度、回収率の面においても十分ではない。
【0007】
▲3▼アルカリ法:原料を石灰水に浸漬処理し、次にアルカリで処理し、温水中で洗浄した後、塩素リンスにより水洗し、さらに酸で処理して、固形物の杜仲ゴムを得る。これも、アルカリ、塩素水、酸の各廃液の処理が問題であり、実用的でない。
【0008】
▲4▼溶媒抽出法:原料をトルエンにて直接還流抽出処理し、固形分を除き、抽出液を蒸発乾固して残渣を得る。それを再びトルエンにて還流抽出処理し、固形分を除き、抽出液を蒸発乾固して固形物を得る。この操作を繰り返して、精製された杜仲ゴムを得る。この方法は、アルカリ等の廃液を発生せず、溶媒も回収して繰り返し使用できるので、効果的な方法である。
【0009】
しかし、最初のトルエン処理において、杜仲原材料に由来する色素分(葉緑素など)がトルエンに溶解してしまうため、この成分の除去のために抽出操作を繰り返す必要があり、そのため全体としての抽出効率は30%以下となる難点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記の実情に鑑み、杜仲葉、杜仲葉の茎(葉脈)、杜仲茎、皮、種子、根など杜仲木の各種部位から杜仲ゴムを効率よく抽出分離し、高純度の杜仲ゴムを高収率で得る方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を達成すべく工夫されたもので、原料杜仲をエタノールにて抽出処理してエタノール抽出液を除去し、残った固形分をトルエンにて抽出処理し、得られた杜仲ゴム溶解トルエンを濃縮するか蒸発乾固して、得られた粗杜仲ゴムをトルエン・メタノール混合溶媒中に沈殿させ、得られた沈殿物を熱n−ヘキサンに溶解させた後、冷却により沈殿させることを特徴とする杜仲ゴム抽出方法である。
【0012】
【実施例】
つぎに、この発明を具体的に説明するために、この発明の実施例およびこれとの比較を示すための比較例を挙げる。
【0013】
図1はこの発明になる杜仲ゴムの抽出方法を示すフローシートである。まず、杜仲葉、杜仲葉の茎(葉脈)、杜仲茎、皮、種子、根など杜仲木の各種部位を粉砕し、得られた粉砕物を原料としてエタノールにて還流抽出処理し、次いで、残った固形分をトルエンにて還流抽出処理する。得られた杜仲ゴム溶解トルエンを濃縮するか蒸発乾固して、粗杜仲ゴムを得る。この粗杜仲ゴムをトルエン・メタノール混合溶媒中で撹拌した後、静置して沈殿物を得る。トルエンによる抽出以降の操作をさらに2回繰り返す。最後に、得られた沈殿物を熱n−ヘキサン中で撹拌下に溶解させた後、静置状態で冷却して白色の沈殿物、すなわち、精製杜仲ゴムを得る。
【0014】
実施例1
杜仲の葉2Kgを粉砕し、得られた粉砕物を杜仲ゴム製造原料とした。この原料の杜仲ゴム含有量は、34g(1.7重量%)であった。この杜仲葉を30リットルのエタノールで24時間還流抽出処理した。これによって、低分子化合物および色素成分が除かれる。残った固形分を30リットルのトルエンで24時間還流抽出処理した。この杜仲ゴム溶解トルエンを約10分の1容(3リットル)まで濃縮し、得られた濃縮液をトルエン・メタノール(1:20)溶液に滴下して杜仲ゴムの沈殿物を得た。この沈殿物を3リットルのトルエンに再溶解した後、その濃縮液を再び先のトルエン・メタノール溶液に滴下した。そして、この操作をさらにもう一度繰り返し、杜仲ゴム沈殿物を得た。最後に、得られた沈殿物を約60℃の熱n−ヘキサン3リットルに溶解した後、溶液温度を下げ、精製された杜仲ゴムの白色の沈殿物を26g得た。これは、杜仲葉含有量の76%に相当する。
【0015】
実施例2
実施例1で得られた杜仲ゴムについて、サイズ排除クロマトグラフィー法によって分子量分布を測定した。その結果を図2に示す。また、この杜仲平均分子量を下記に示す。
【0016】
数平均分子量:4600
重量平均分子量:7500
多分散度:1.6
図2から分かるように、実施例1で得られた杜仲ゴムは高い純度を有する。
【0017】
比較例1
杜仲葉をエタノールで還流抽出処理する工程を省いた以外、実施例1と同じ操作を行い、杜仲ゴムの暗緑色の沈殿物を10g得た。これは、杜仲葉含有量の30%に相当する。
【0018】
比較例2
比較例1で得られた杜仲ゴムについて、サイズ排除クロマトグラフィー法によって分子量分布を測定した。その結果を図3に示す。また、この杜仲平均分子量を下記に示す。
【0019】
数平均分子量:2100
重量平均分子量:3200
多分散度:15.3
図3から分かるように、比較例1で得られた杜仲ゴムは低分子領域にもピークを有し(低分子化合物が残留しており)、純度が低いものである。
【0020】
【発明の効果】
この発明による杜仲ゴム抽出方法では、トルエン抽出の前に、原料杜仲をエタノールにて抽出処理しておくので、杜仲原材料に由来する色素分(葉緑素など)を予め除いてからトルエン抽出を行うことができ、したがって、従来法のアルカリ法の欠点であった環境汚染問題を生ぜず、また、従来法の溶媒抽出法での不純物残留、生産収率の低さなどの問題を一挙に解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はこの発明になる杜仲ゴムの抽出方法を示すフローシートである。
【図2】 実施例1で得られた杜仲ゴムについてサイズ排除クロマトグラフィー法によって測定した分子量分布を示すグラフである。
【図3】 比較例1で得られた杜仲ゴムについてサイズ排除クロマトグラフィー法によって測定した分子量分布を示すグラフである。
Claims (1)
- 原料杜仲をエタノールにて抽出処理してエタノール抽出液を除去し、残った固形分をトルエンにて抽出処理し、得られた杜仲ゴム溶解トルエンを濃縮するか蒸発乾固して、得られた粗杜仲ゴムをトルエン・メタノール混合溶媒中に沈殿させ、得られた沈殿物を熱n−ヘキサンに溶解させた後、冷却により沈殿させることを特徴とする杜仲ゴム抽出方法。
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