JP4084686B2 - ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートの製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラ、時計、携帯電話、ノートパソコン、各種記録媒体などの被包装体を包装するのに好適なポリオレフィン系樹脂積層発泡シートとその製造方法及びポリオレフィン系樹脂積層発泡シートを袋状に成形した包装袋に関する。本発明のポリオレフィン系樹脂積層発泡シートは、製造が容易であり、また被包装体を包装した際に、被包装体の表面にくもりが生じ難い。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ポリオレフィン系樹脂発泡シートは、ポリオレフィン系樹脂、発泡核剤、帯電防止剤等の原料を押出機に供給し、さらに押出機内で樹脂に発泡剤を圧入し、加熱、混練することにより得られる溶融樹脂を、押出機の吐出口先端に取付けられたダイから低圧帯に押出発泡することにより製造されている。このように得られる発泡シートは、押出発泡の直後から収縮を始める。特にポリエチレン系樹脂からなる発泡シートの場合、シートは押出発泡後に一旦収縮し、その後長時間養生することで徐々に膨張し、一定の密度を有する発泡シートとなる。この要因としては、ポリエチレン系樹脂がポリスチレン系樹脂よりもガス透過性が大きいこと、比較的柔軟であるため形状保持性が小さいことなどが挙げられる。すなわち、例えばブタンガスの如き炭化水素系発泡剤を使用した場合、この発泡剤は押出発泡直後から、発泡シートの気泡膜を通して大気中へと逸散する。一方、大気中の空気はその濃度勾配によって発泡シートの気泡内へと進入するが、ブタンガスの逸散速度の方が空気の進入速度よりも速いため、気泡内圧が負圧化し、柔軟なポリエチレン系樹脂発泡シートは収縮を起こす。長尺の発泡シートの場合、ある一定時間中に巻取機にてロール状に巻き取る為、巻き取っている間に収縮が進行してしまうと美麗に巻き取れず、その都度手直しが必要であったり、長尺巻取りが困難となるなどの問題がある。さらに、それを元の押出時の寸法に復元させるために長時間養生させたり、何度も巻き返したりする必要があった。
従来、発泡シートの厚みを復元させる方法としては、例えば、長尺の発泡シートを実質的に張力のかかっていない状態でロール状に回捲し、その後、これを発泡シートの軟化点以下の温度に放置する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、ポリオレフィン系樹脂発泡シートは、一般にすぐれた電気絶縁性を有している反面、静電気を蓄積しやすい。静電気を帯びた成形品は汚れの原因となる物質を吸着するため、汚れがつきやすく、また汚れが強固に付着してしまう。さらに、電子部品を梱包する場合は放電による障害を生じる可能性がある。
従来、ポリオレフィン系樹脂発泡シートに帯電防止性を付与させるとともに、収縮を少なくして寸法安定性を改善するために、ポリオレフィン100質量部に多価アルコールの高級脂肪酸エステル0.3〜5質量部を添加し、発泡剤を圧入混和して押出成形して発泡体を得る方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
ポリオレフィン系樹脂発泡シートに帯電防止性を付与するとともに、寸法安定性を改善する別な方法として、(a)炭素数21以上の脂肪酸と水酸基3〜7個を有する多価アルコールとのエステル、及び(b)炭素数18以下の脂肪酸と水酸基3〜7個を有する多価アルコールとのエステルの両者を押出機中に供給する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
さらに別な技術として、14〜22個の炭素原子を持った脂肪酸と3〜7個の水酸基を持った多価アルコールとの部分エステル(A)を含むとともに、窒素含有化合物(B)を含むが、8個以上の炭素原子を持った脂肪族アルコール又はそのアルコールのアルキレンオキシド付加物を含まない、オレフィン系樹脂組成物を発泡させたことを特徴とし、先の部分エステル(A)対含窒素化合物(B)の配合比が、質量比(25〜95)対(75〜5)の範囲内にあり、部分エステル(A)と化合物(B)との合計量が、オレフィン系樹脂100質量部に対し0.5〜2.0質量部であることを特徴とする包装用オレフィン系樹脂発泡体が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特公昭46−41711号公報
【特許文献2】
特公昭58−30896号公報
【特許文献3】
特開平7−48469号公報
【特許文献4】
特開2001−322669号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術には、次のような問題がある。
特許文献1に開示された従来技術は、元の押出時の寸法に復元させるために長時間養生させたり、何度も巻き返したりする必要があった。その為、ポリオレフィン系樹脂発泡シートを養生させるために膨大なスペースを必要とし、また生産から出荷までに相当の期間を必要とし、生産効率が悪いなどの問題がある。
【0008】
特許文献2に開示された従来技術では、次の(1)及び(2)の問題がある。(1)添加剤を添加することによって発泡シートの収縮が少なくなるとは言え、長い期間中にゆっくりと収縮し、その寸法挙動が安定するまでには2週間程度の養生期間が必要であった。すなわち、この方法では添加剤によって発泡剤(発泡ガス)の逸散速度を遅くし、空気の進入速度に近づけることによって収縮速度や収縮率を少なくし寸法安定性を増すという技術思想に基づいている。しかし、その逸散速度と進入速度とを完全にイコールにすることはできず、その程度は外気温度やその厚み、密度によって影響を受け、完全な収縮防止までには至っていない。その為、発泡ガスの逸散と空気の進入の相互置換現象が落ち着くまで寸法変化が発生し易く、その養生期間として2週間程度を要した。養生期間が短い発泡シートは、所定の大きさにカットして緩衝包材用に使用する場合、微少ながらも寸法変化を起こし、ダンボール箱にきれいに入らなかったり、変形を生じるために袋形状に加工できなくなる。その程度も外気温度やその厚み、密度によって影響を受け、安定的に生産するには多大な労力を要した。これは発泡シート内に残っている発泡ガスがシート切断等で逸散し易くなり、より収縮するか、収縮した発泡気泡内に空気が流入して寸法変化を起こしていると推定される。また、養生不足の発泡シートにフィルムを積層すると、外観にムラ又はしわやフィルム面に発泡ガスによるガス玉、いわゆるバブルが発生したりして、外観が良好な積層発泡シートを得ることができなかった。これもシート内に内在している発泡ガスが逸散しようとする際にフィルム面にガス玉となって現れるものである。
(2)被包装体への移行の問題、例えば被包装体がポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート、アクリル等からなる場合、シートから移行した脂肪酸エステルにより、被包装体表面の光沢が損なわれる、いわゆる「くもり」を生じさせる問題があった。
【0009】
特許文献3と4に開示された従来技術は、特許文献2の従来技術と同様、押出直後からの寸法安定性を維持しようとして、添加剤を選定しており、その寸法安定性やくもり発生の程度、養生期間については、良好な結果が得られるものの、上記と同様に発泡ガスの逸散と空気の進入速度がイコールではない為、寸法安定性に問題がある。また最近、被包装体の海外生産増加に伴い、包装体の船便運搬などで赤道直下付近を数日も運行するなど、通常では想定していない高温(60℃前後)、高湿度(80%前後)という厳しい条件下では、添加剤が被包装体の表面に移行し、くもりを生じる可能性がある。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされ、寸法安定性に優れ、外観が良好であり、被包装体にくもりを生じないポリオレフィン系樹脂積層発泡シートとその製造方法及び包装袋の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、押出発泡成形してポリオレフィン系樹脂発泡シートを形成し、押出発泡成形した直後の巾寸法Aに対して、巾寸法が0.85A以下に収縮した後、該ポリオレフィン系樹脂発泡シートの一方または両方の面に、ポリオレフィン系フィルムを密着させることを特徴とするポリオレフィン系樹脂積層発泡シートの製造方法を提供する。
本発明の方法において、巾寸法が0.85A以下に収縮したポリオレフィン系樹脂発泡シートをロールに巻き取り保管し、その後ロールから引き出し、収縮状態を保持している上記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの一方または両方の面に、ポリオレフィン系フィルムを密着させることが好ましい。
また、巾寸法が0.85A以下に収縮した直後のポリオレフィン系樹脂発泡シートの一方または両方の面に、ポリオレフィン系フィルムを密着させることもできる。
さらに、ポリオレフィン系樹脂発泡シートが、押出発泡成形した直後の厚みが0.5〜3.0mmの範囲であり、収縮したポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚みが0.3〜1.5mmの範囲であることが好ましい。
また、ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
さらに、一般式(1)
【0012】
【化2】
Figure 0004084686
【0013】
[式中、Rは14〜22個の炭素原子を持ったアルキル基又はアルケニル基を表し、(Y)と(Z)は同一であっても異なっていてもよく、2〜4個の炭素原子を持つアルキレンオキシド基を表し、n+mは2〜5の整数を表す。]で示される含窒素化合物をポリオレフィン系樹脂発泡シート中に含有することが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂発泡シート中の上記含窒素化合物の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1.0質量部以下であることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明のポリオレフィン系樹脂積層発泡シート(以下、積層発泡シートと記す。)は、押出発泡成形した直後の巾寸法Aに対して、巾寸法が0.85A以下に収縮したポリオレフィン系樹脂発泡シート(以下、発泡シートと記す。)の一方または両方の面に、ポリオレフィン系フィルム(以下、フィルムと記す。)を密着した構成になっている。
【0019】
この発泡シートに用いられるポリオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンの単独重合体、又はα−オレフィンの共重合体である。α−オレフィン同士の共重合体のほか、α−オレフィンと他の単量体との共重合体を含んでいる。他の単量体は、例えば酢酸ビニル、メチルメタクリレート、塩化ビニル、スチレン、アクリロニトリルのようなビニル系単量体などを用い得る。さらに、ポリオレフィン系樹脂は、上記単独重合体又は共重合体の混合物でもよく、また上記単独重合体又は共重合体と天然又は合成ゴムとの混合物でもよい。ポリオレフィン系樹脂と混合し得る合成樹脂としては、例えばブタジエンゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム等が挙げられる。本発明において特に好ましいポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂であり、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンが挙げられる。
【0020】
この発泡シートは、押出発泡成形した直後の厚みが0.5〜3.0mmの範囲であり、収縮した発泡シートの厚みが0.3〜1.5mmの範囲であることが好ましい。発泡シートの厚みが上記範囲より小さいと、強度が弱くなり、破断しやすくなるので好ましくない。また発泡シートの厚みが上記範囲を超えると、取り扱い性が悪くなる。
また、発泡シートの密度は0.013〜0.050g/cmの範囲が好ましい。その密度が上記範囲未満であると、強度が低下して破断し易くなるので好ましくない。また密度が上記範囲を超えると、緩衝性能が不十分となり、また発泡シートに特有の柔軟性が乏しくなるので、好ましくない。
【0021】
この発泡シートには、帯電防止剤として式(1)で示される含窒素化合物を含むことが好ましい。
【0022】
【化3】
Figure 0004084686
【0023】
[式中、Rは14〜22個の炭素原子を持ったアルキル基又はアルケニル基を表し、(Y)と(Z)は同一であっても異なっていてもよく、2〜4個の炭素原子を持つアルキレンオキシド基を表し、n+mは2〜5の整数を表す。]
【0024】
式(1)で表される含窒素化合物の中でも、本発明において好適に用いられる化合物としては、例えばラウリルジエタノールアミド、ミリスチルジエタノールアミド、パルミチルジエタノールアミド、オレイルジエタノールアミド、ステアリルジエタノールアミド等が挙げられる。
この含窒素化合物の添加量は、発泡シート製造用のポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1.0質量部以下、好ましくは0.05〜0.5質量部程度とされる。添加量が1.0質量部より高いと、発泡シートで被包装体を包装した際に、発泡シートから該化合物が被包装体に移行してくもりを生じ易くなる。
添加方法としては、マスターバッチ法、液体注入法、塗布法などが挙げられる。作業工程が少なくて済むことからマスターバッチ法が好ましい。
【0025】
本発明において、発泡シートは、押出発泡成形した直後の巾寸法Aに対して、巾寸法が0.85A以下に収縮したものを用いている。
発泡シートは、押出発泡成形した直後から、形成された気泡中の発泡剤が抜け出すことにより、縦横及び厚み寸法が収縮しはじめる。その後、収縮した発泡シートは、気泡に空気が進入することによって膨張する。従来技術にあっては、押出直後から長期間寸法を安定させるために大量の収縮防止剤(例えばグリセリンモノステアレートなど)を添加しているが、このような収縮防止剤の使用は、上述した通り、被包装体表面にくもりを生じ、また発泡ガスと空気の置換に長期間の養生期間が必要となるなどの問題がある。本発明では、このような収縮防止剤を使用せず、押出発泡成形後、巾寸法が0.85A以下に収縮させ、好ましくは最大収縮させた発泡シートを用い、その収縮状態を維持したまま、その片面又は両面にフィルムを密着させて寸法安定性を確保するという技術思想に基づいている。従って、本発明の積層発泡シートは、発泡シートが収縮状態を維持したまま、フィルムと積層され、シート形状を保っている。押出発泡成形した直後の巾寸法Aに対して巾寸法が0.85Aを超える収縮が不十分な発泡シートを用いると、これにフィルムを積層後に発泡シートが収縮し、積層発泡シートの表面に多数のしわが発生し、外観が悪くなり、商品価値を減じることになる。
【0026】
この発泡シートに積層するフィルムの材料は、上記発泡シートと同質のポリオレフィン系樹脂又は異質のポリオレフィン系樹脂を用いることができ、好ましくは高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、延伸又は無延伸ポリプロピレンなどが挙げられる。このフィルムの色や透明度は限定されず、透明フィルム、不透明フィルム、無色フィルム、着色フィルムのいずれかを用いることができる。また、フィルム表面に印刷を施すこともできる。このフィルムの厚みは10〜100μm程度が好ましい。フィルムの厚みが上記範囲未満であると、フィルムの熱劣化や切断、フィルム自身の厚み制御が安定しなくなるなどの問題を生じる。フィルムの厚みが上記範囲を超えると、発泡シートとの接着が弱く剥離し易くなる。
【0027】
上記発泡シートとフィルムとは、これらが同質の材料で形成されている場合には、両者を重ね合わせて加熱ロールを通過させ、双方を熱融着せしめ強固に密着させることができる。一方、発泡シートとフィルムとが熱融着し難い異質の材料で形成されている場合には、両者の間にEVAフィルムなどの接着用フィルムを挟んで加熱ロールに通し、発泡シートとフィルムとを密着させることができる。
【0028】
本発明の積層発泡シートは、収縮状態の発泡シートとフィルムとを積層して寸法安定性を保つ構成なので、良好な寸法安定性が得られる。
また、収縮状態の発泡シートとフィルムとを積層したものなので、表面に張りがあり、被包装体を包装した際に余分なしわの発生が少なく、外観が綺麗なものとなる。
さらに、発泡シートは収縮防止剤の添加が不要となり、被包装体表面に添加剤が移って生じるくもりを防止でき、さらに上記式(1)で示される適量の帯電防止剤を添加することで、くもり発生を防止しつつ十分な帯電防止性を得ることができる。
【0029】
次に、図面を参照して本発明の積層発泡シートの製造方法を説明する。
図1は本発明の方法を実施するために使用し得る製造装置の一例を示す図であり、本例示では、巾寸法が0.85A以下に収縮した発泡シートをロールに巻き取り保管し(図1(a))、その後ロールから引き出し、収縮状態を保持している発泡シートの一方または両方の面に、フィルムを密着させる(図1(b))、2つの装置を備えている。
【0030】
収縮した発泡シートを得るための(a)部は、押出機1と、その吐出口に取り付けられたダイ2と、ダイ2のノズルから円環状に押し出され発泡した樹脂を広げ、冷却するマンドレル3と、マンドレル3で冷却され平面シート状に切開された発泡シート4を、多数のロールを通して移送しながら収縮させ、その後に収縮した発泡シート4を巻き取るロール5とを備えて構成されている。
【0031】
また、発泡シート4とフィルム7とを重ね合わせ、熱融着して積層発泡シート10を製造するための(b)部は、発泡シート4を供給するロール5と、フィルム7を供給するロール6と、発泡シートとフィルム7とを重ねて加熱するための加熱ロール8,9と、積層発泡シート10を巻き取るロール11とを備えて構成されている。
【0032】
押出機1には、発泡シート4の主原料であるポリオレフィン系樹脂、上述した式(1)で表される含窒素化合物、それ以外に発泡シートの製造において使用される各種の添加剤、例えば発泡核材、色素などが必要に応じて適量配合された材料が供給され、押出機1内で溶融、混練されながら吐出口に向けて移送される。その途中、発泡剤が樹脂に圧入される。発泡剤としては、オレフィン系樹脂を発泡させるのに従来から用いられている各種発泡剤の中から選択して用いることができる。好適な発泡剤としては、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタンなどの脂肪族炭化水素、シクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、塩化メチル、塩化エチルなどの低級ハロゲン化炭化水素、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ジメチルエーテル、メチルエーテル、などの脂肪族エーテル、炭酸ガス、窒素ガス等を挙げることができ、これらを単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、押出発泡成形後に発泡シートの気泡から速やかに大気中に逸散するか、或いは冷却によって速やかに体積収縮するものが好ましく、例えば、n−ブタン、イソブタン、ジメチルエーテル、炭酸ガスが特に好ましい。発泡剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して10〜25質量部の範囲が好ましい。
【0033】
押出機1の吐出口に取り付けられるダイ2は、所定寸法の発泡シート4が得られればよく、発泡シート製造用に従来周知の各種タイプのダイの中から選択して使用することができる。図1(a)の例示では、円環状のノズルを備えたサーキュラーダイを用い、該ノズルから円環状に押し出され、発泡したシートを円筒状の外面を有するマンドレル3を通して所定直径に広げて成形すると同時に、マンドレル3に水などの冷却媒体を供給してマンドレル3表面を冷却しておき、発泡シートを冷却し、その後円環状の発泡シートを切開し、平面状の発泡シート4を製造する構成になっている。
【0034】
このように製造された発泡シート4を収縮させるには、巻き取りまでのライン長さを長くしたり、複数のロールを介在させ、移送経路を長くして、気泡中の発泡剤を大気中に逸散させる方法、発泡シート4を急冷し、気泡中の発泡剤を急速に収縮させる方法などを用いることができる。発泡シート4は、押出発泡成形した直後の巾寸法A(図1(a)の例示では、マンドレル3の円周に相当する)に対して、発泡シート4の巾寸法が0.85A以下となるまで、より好ましくは、、巾方向寸法が最小となるまで収縮させる。巾寸法が0.85Aを超える、収縮が不十分な発泡シートを巻き取ると、巻き取り後にさらに発泡シートの収縮が生じて、最初に巻き取られたロールの芯に近い発泡シートは、巻き取り中に収縮を起こしてしまうため、シート間同士に隙間ができ、その部分が竹の子状にせり出し、発泡シートが蛇行してしまうため、次工程がスムーズに進行できない問題が生じる。
一方、十分に収縮した発泡シート4をロール5に巻き取る場合、巻き取り後に収縮が起こらないので、ロール5に綺麗に巻き取ることができ、このロール5から発泡シート4を引き出す際に発泡シート4が蛇行することがなく、次工程がスムーズに進行できる。
【0035】
発泡シート4は、収縮状態を維持したまま、ロール5に巻き取り、保管することができる。保管中、ロール5外面側の数層は、時間の経過とともに徐々に気泡内に空気が進入して膨張する。しかし、それより内側の発泡シート4は、膨張が阻止され、収縮状態が保持される。
【0036】
次に、図1(b)に示す通り、このロール5に捲かれて保管された発泡シート4を用い、積層発泡シート10を製造する。すなわち、ロール5から引き出した発泡シート4を連続的に移送し、フィルム7を重ね合わせ、加熱ロール8,9を通過させて発泡シート4とフィルム7とを熱融着させて、積層発泡シート10を製造する。発泡シート4とフィルム7とが熱融着し難い異質の材料である場合には、それらの間にEVAフィルムなどの接着用フィルムを挟んで加熱ロール8,9を通して接着する。得られた積層発泡シート10は、冷却後、そのままロール11に巻き取るか、または必要に応じて表面に印刷を施した後、ロール11に巻き取る。
【0037】
本発明の積層発泡シートの製造方法は、収縮状態の発泡シートとフィルムとを積層して積層発泡シートを製造するので、寸法安定性が良好で、表面に張りがあり、被包装体を包装した際に余分なしわの発生が少なく、外観が綺麗な積層発泡シートを製造することができる。
また、発泡シートに収縮防止剤を使用しないので、被包装体表面に添加剤が移って生じるくもりを防止でき、さらに適量の帯電防止剤を添加することで、くもり発生を防止しつつ、十分な帯電防止性を有する積層発泡シートを製造することができる。
さらに、本発明の積層発泡シートの製造方法は、押出発泡成形後、十分に収縮させた発泡シートを、その収縮状態を維持したまま、フィルムと積層するので、収縮防止剤を添加して発泡成形後に寸法が安定するまで発泡シートを長期間養生する従来技術と比べ、養生期間を大巾に短縮することができ、生産効率を向上することができる。また、養生のための発泡シート保管用スペースを縮小でき、又は実質的に無くすことができる。
【0038】
図2は、本発明の方法を実施するために使用し得る製造装置の他の例を示す図であり、本例示では、巾寸法が0.85A以下に収縮した直後の発泡シート4の一方または両方の面に、フィルム7を密着し、発泡シート4を巻き取り保管することなく、積層発泡シート10を製造することを特徴とする。
【0039】
この図2の装置は、上述した図1(a),(b)に示す装置と同様の構成要素を備えており、同一の構成要素には同じ符号を付してある。この装置は、ダイ2のノズルから円環状に押し出し、発泡させたシートを、円筒状の外面を有するマンドレル3に導き、広げて成形すると同時に冷却し、冷却後に平面状に切開して発泡シート4を製造する。その後、移送経路を長くして、気泡中の発泡剤を大気中に逸散させる方法、または発泡シート4を急冷し、気泡中の発泡剤を急速に収縮させる方法などによって、発泡シート4を収縮させる。発泡シート4が収縮し、その巾寸法がマンドレル3の円周(押出発泡成形した直後の巾寸法Aに相当する)の0.85A以下になった後、発泡シート4にフィルム7を重ね合わせ、加熱ロール8,9を通して熱融着させて積層発泡シート10とし、これをロール11に巻き取る。
【0040】
この図2に示す製造方法では、先に述べた図1に示す製造方法と同様の効果が得られる他、発泡シート4をロールに巻き取ることなく、収縮させた直後にフィルムを積層して積層発泡シート10を製造するので、発泡シート4の巻き取りの手間が不要となり、製造工程を簡略化できる、巻き取った発泡シート4を保管する場所が不要となるなどの効果が得られる。
【0041】
さらに、本発明は、上述した通り製造された積層発泡シートを袋状に成形して得られた包装袋を提供する。この包装袋の大きさや形状は、収容する被包装体の大きさや形状に合わせて適宜設定される。
この包装袋は、上述した本発明に係る積層発泡シートを用いて得られたものなので、表面に張りがあり、被包装体を包装した際に余分なしわの発生が少なく、外観が綺麗なものとなる。
また、発泡シートに収縮防止剤を使用していないので、被包装体表面に添加剤が移って生じるくもりを防止でき、さらに適量の帯電防止剤を添加することで、くもり発生を防止しつつ、十分な帯電防止性を有するものとなる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明の効果を実証する。
なお、以下の実施例及び比較例において、シートの厚み、収縮率、表面電気抵抗、くもり評価、積層時の外観、寸法変化率、寸法変化率判定及び総合評価は、以下の測定条件、評価基準とした。
【0043】
(シートの厚み)
厚みは、定圧厚さ測定器(Teclock社製、型式SCM−627)を使用して、60.8cm(直径4.4cmの円筒)に95gの荷重(自重を含む)をシートにかけたときの厚みをもって、これを厚みとした。また、測定は、切片サンプルをシートのTD,MD方向に沿って各10枚ずつ切り出し、これらについて厚みを測定し、それらの平均値として表示した。
【0044】
(収縮率)
発泡シートの押出発泡成形した直後の巾寸法Aは、マンドレルの円周長さとし、これに対し、収縮後又は養生後の発泡シートの巾寸法Bを測定し、次式により収縮率(単位:%)を算出した。
収縮率(%)=B/A×100
【0045】
(表面電気抵抗)
表面電気抵抗は、JIS K 6911 5.13に規定される方法に従って、発泡シートの表面抵抗値を測定した。また表面抵抗値の判定基準は、1011〜1013Ωの範囲にあるものを「帯電防止性あり」とし、1013Ωを超えるものを「帯電防止性なし」とした。
【0046】
(くもり評価)
発泡シートを2.6cm角の大きさに切り出し、該切片をポリメチルメタクリル板又はポリカーボネート板の上に乗せ、その上に1kgの重りを乗せて(荷重0.15kg/cm)、温度60℃、湿度80%とした恒温湿槽内に入れて24時間放置し、その後ポリメチルメタクリル板又はポリカーボネート板の表面の汚れ具合を肉眼で評価し、結果を次の5段階に分けた。
×× :全面にべったりと移行している。
× :全面にうっすらと移行している。
○ :一部分うっすらと移行が見られる。
◎ :よく見ると、一部移行が見られるが、殆ど分からない。
◎◎ :移行が見られない。
【0047】
(積層時の外観)
積層発泡シート又は発泡シートの外観を肉眼で評価し、結果を次の3段階に分けた。
×× :積層発泡シート又は発泡シートの表面に大きく深いしわ、発泡ガスによるガス玉(バブル)が目立つ。
× :積層発泡シート又は発泡シートの表面にしわ、バブルが見られる。
○ :積層発泡シート又は発泡シートの表面にしわ、バブルが見られない。
【0048】
(寸法変化率、寸法変化率判定)
発泡シートにフィルムを積層した直後の積層発泡シート又はフィルムを積層しない発泡シートを巾方向500mm×長手方向500mmの正方形に切り出し、これを常温(23±2℃)下で放置し、1週間後にシートの厚み(VD方向)、巾方向(TD方向)、長手方向(MD方向)をそれぞれ測定し、切り出し時の寸法に対するパーセンテージで表示した。
寸法変化率判定は、100−寸法変化率の絶対値がTD,MD共に1%以下であったシートは寸法安定性がある(○)とし、寸法変化率がTD,MDのいずれかで1%を超えたシートは寸法安定性がない(×)とした。
寸法変化率(%)=1週間後の寸法/切り出し時の寸法×100
寸法変化率判定の方法:|100−寸法変化率|(%)
【0049】
(総合評価)
上記くもり評価、積層時の外観及び寸法変化率判定について、×がなかったものを◎とした。
【0050】
[実施例1]
図1に示す製造方法及び装置を用い、本発明に従って積層発泡シートを製造した。ポリオレフィン系樹脂として日本ポリオレフィン社製、低密度ポリエチレンJE−111D(MI=0.30、密度0.920g/cm)を用い、該ポリエチレン100質量部に、発泡核材として三協化成社製、セルマルクC−2を0.05質量部を混合した原料を、90mmφ−115mmφの単軸押出機に供給し、最高温度設定を210℃として押出機内で原料を加熱溶融混練し、帯電防止剤としてアルキルジエタノールアミド0.2質量部と発泡ガス(イソブタン:n−ブタン=50:50)を18質量部圧入したのち、樹脂温度を110℃まで冷却し、口径120mmφのサーキュラーダイから押出発泡し、直径440mmφの冷却マンドレル(幅寸法A=1382mm)で冷却し、切り開いて発泡シートとした。冷却マンドレル通過直後のシートの厚みは平均で1.4mm、密度0.0148g/cmであったが、複数のロールを通して十分に収縮させた後、巻取り装置にてロール状に巻き取り、保管した。巻取り直前のシートの厚みは平均で0.55mm、密度0.0390g/cmであった。約1400mを発泡シートをロールに巻き取ったが、巻取り形状は美麗であった。得られた発泡シートの巾寸法は1140mmであり、収縮率は82.5%であった。この発泡シートの表面電気抵抗は5.05×1012(表1中では5.05E+12と記した。以下同様)であった(帯電防止性○)。またこの発泡シートのくもり評価は◎◎であった。
次に、ロール状に巻き取り保管した発泡シートを、製造から3日後に用い、図1(b)に示す通り、発泡シートの上面に厚さ10μmの高密度ポリエチレンフィルムを重ね合わせ、これを加熱温度130℃に設定した誘電加熱ロールに通してシートとフィルムを熱融着し、積層発泡シートを製造した。
得られた積層発泡シートの寸法変化率を測定した結果、VD=107.6%,TD=100.07%、MD=99.62%であり、寸法変化率判定は○であった。外観については、しわやバブルが見られず、張りがある綺麗な外観を有していた(外観評価○)。
【0051】
[実施例2]
冷却マンドレル通過直後の発泡シートの厚みが平均で2.5mm、密度0.0159g/cmとなるように製造した点を除いて、実施例1と同様に発泡シート及び積層発泡シートを製造した。
巻取り直前の発泡シートの厚みは平均で1.25mm、密度0.0331g/cmであった。約700mの発泡シートをロールに巻き取ったが、巻取り形状は美麗であった。得られた発泡シートの巾は1150mmであり、収縮率は83.2%であった。表面電気抵抗は、6.25×1012(帯電防止性○)、くもり評価は◎◎であった。寸法変化率はVD=108.25%,TD=100.12%、MD=99.85%で、寸法変化率判定は○であった。外観は、バブル、しわなどが見られず良好であった。
【0052】
[実施例3]
図2に示す製造方法及び装置を用い、十分に収縮された後の発泡シートをロールに巻き取らず、フィルムを積層すること以外は、実施例1と同様に発泡シート及び積層発泡シートを製造した。
得られた発泡シートの巾は1090mmであり、収縮率は78.9%であった。寸法変化率はVD=104.8%,TD=100.11%、MD=99.55%で寸法変化率判定は○であった。外観はバブル、しわなどが見られず良好であった。
【0053】
[比較例1]
添加剤としてアルキルジエタノールアミドに代えてグリセリンモノステアレート1.5質量部を用いた以外は、実施例1と同様に発泡シート及び積層発泡シートを製造した。
冷却マンドレル通過直後の厚みは平均で1.4mm、密度は0.0168g/cmであった。製造した発泡シートをロールに巻き取った。巻取り直前の厚みは平均で1.25mm、0.0202g/cmであった。約1400mの発泡シートをロールに巻き取ったが、巻取り形状は美麗であった。得られた発泡シートの巾は1290mm、収縮率は93.3%と収縮が少なく、本発明の範囲外となった。表面電気抵抗は1.11×1013Ωで帯電防止性を有していたが、くもり評価は××であった。
ロール状に巻き取り保管した発泡シートを3日後に用い、これに厚み10μmの高密度ポリエチレンフィルムを実施例1と同様に積層し、積層発泡シートを得た。得られた積層発泡シートは、フィルム面にバブルが発生し、細かい収縮が原因と思われるしわが発生し、外観は××であった。寸法変化率はVD=102.89%、TD=100.88%、MD=99.87%、寸法変化率判定は○であった。
【0054】
[比較例2]
比較例1で得られた発泡シートをロール巻き状態で2週間の養生期間を経た後、厚み10μmの高密度ポリエチレンフィルムを積層し、積層発泡シートを得た。その結果、寸法変化率はVD=103.78%、TD=100.35%、MD=99.96%であった。外観についてはバブル、しわなどが見られず良好で○であった。この比較例2では、くもり評価が×、また長期の養生期間を要した。
【0055】
[比較例3]
発泡シートの製造時、冷却マンドレル通過直後の厚みが平均で2.4mm、密度0.0167g/cmとなるように変更した以外は、比較例2と同様に発泡シート及び積層発泡シートを製造した。
巻取り直前の厚みは平均で2.25mm、密度0.0189g/cmであった。約700mの発泡シートをロールに巻き取った。巻取り形状は美麗であった。
得られたシートの巾は1290mm、収縮率93.3%であった。表面電気抵抗は、3.52×1013Ωで帯電防止性を有し、くもり評価は××であった
得られた発泡シートをロール巻き状態で2週間の養生期間を経た後、厚み10μmの高密度ポリエチレンフィルムを積層し、積層発泡シートを得た。
得られた積層発泡シートの寸法変化率はVD=108.56%,TD=100.28%、MD=99.97%であった。外観はバブル、しわなどが見られず良好であった。
【0056】
[比較例4]
比較例1で製造した発泡シートにフィルムを積層せず、500mm×500mmの大きさにカットした。
この発泡シートの寸法変化率はVD=111.05%,TD=101.18%、MD=100.05%であり、寸法変化率判定は×であった。
【0057】
[比較例5]
実施例1で製造した発泡シートにフィルムを積層せず、500mm×500mmの大きさにカットした。
この発泡シートの寸法変化率はVD=145.38%,TD=103.85%、MD=100.25%で寸法変化率判定は×であった。
【0058】
[比較例6]
実施例2で製造した発泡シートにフィルムを積層せず、500mm×500mmの大きさにカットした。
この発泡シートの寸法測定率はVD=163.27%,TD=104.53%、MD=100.06%で寸法変化率判定は×であった。
【0059】
[比較例7]
添加剤としてグリセリンモノステアレート0.7質量部を用いた以外は、実施例1と同様に発泡シートを製造し、フィルムを積層せず、500mm×500mmの大きさにカットした。冷却マンドレル通過直後の厚みは平均で1.4mm、密度0.0168g/cmであった。巻取り装置でロール状に巻き取ったが、この発泡シートは巻き取り中に収縮が進み、300m程度巻き取った時点で、ロール芯部付近の発泡シートが更に収縮し、発泡シートが竹の子状になり、奇麗なロール形状にならなかった。
巻取り直前の厚みは平均で0.95mm、密度0.0268/cmであった。得られたシートの巾は1240mm、収縮率は89.7%であった。
表面電気抵抗は、5.32×1013Ωで帯電防止性を有し、くもり評価は×であった。
この発泡シートにフィルムを積層せず、500mm×500mmの大きさにカットした。この発泡シートの寸法変化率はVD=137.22%,TD=102.53%、MD=100.06%で寸法変化率判定は×であった。
【0060】
[比較例8]
添加剤としてグリセリンモノステアレート1.5質量部を用いた以外は、実施例3と同様に、発泡シート及び積層発泡シートを製造した。
得られた発泡シートの巾は1285mm、収縮率は93.0%であった。
また、得られた積層発泡シートの寸法変化率はVD=101.1%,TD=100.11%、MD=99.88%であった。寸法変化率判定は○であったが、外観は、バブルと収縮の際のしわなどが見られ、××であった。
これらの結果を表1〜3にまとめて示す。
【0061】
【表1】
Figure 0004084686
【0062】
【表2】
Figure 0004084686
【0063】
【表3】
Figure 0004084686
【0064】
表1〜3の結果から、本発明に係る実施例1〜3で得られた積層発泡シートは、良好な寸法安定性が得られ、しわなどがなく外観が綺麗であった。また、収縮防止剤を使用せず、適量の帯電防止剤を添加することで、くもりを防止するとともに十分な帯電防止性が得られた。さらに、本発明に係る実施例1〜3は、発泡シートを製造後、養生せずにフィルムと積層し、短時間で積層発泡フィルムを製造可能であった。
一方、収縮防止剤(グリセリンモノステアレート)を添加した発泡シートを用いた比較例1〜4は、くもりを生じ易く、3日間程度の保管では寸法安定性が得られず、寸法安定性が得られるまで2週間の養生を要した。また、フィルムを積層しない比較例5〜7では、寸法変化が大きく、包装袋などに利用することが困難である。さらに、グリセリンモノステアレートを用い、巻き取り直前にを積層した比較例8では、積層後に発泡シートが収縮して、しわが目立ち、積層発泡シートの外観が悪かった。
【0065】
【発明の効果】
本発明の積層発泡シートは、収縮状態の発泡シートとフィルムとを積層して寸法安定性を保つ構成なので、良好な寸法安定性が得られる。
また、収縮状態の発泡シートとフィルムとを積層したものなので、表面に張りがあり、被包装体を包装した際に余分なしわの発生が少なく、外観が綺麗なものとなる。
さらに、発泡シートは収縮防止剤の添加が不要となり、被包装体表面に生じるくもりを防止でき、さらに上記式(1)で示される適量の帯電防止剤を添加することで、くもり発生を防止しつつ十分な帯電防止性を得ることができる。
【0066】
本発明の積層発泡シートの製造方法は、収縮状態の発泡シートとフィルムとを積層して積層発泡シートを製造するので、寸法安定性が良好で、表面に張りがあり、被包装体を包装した際に余分なしわの発生が少なく、外観が綺麗な積層発泡シートを製造することができる。
また、発泡シートに収縮防止剤を使用しないので、被包装体表面に生じるくもりを防止でき、さらに適量の帯電防止剤を添加することで、くもり発生を防止しつつ、十分な帯電防止性を有する積層発泡シートを製造することができる。
さらに、本発明の積層発泡シートの製造方法は、押出発泡成形後、十分に収縮させた発泡シートを、その収縮状態を維持したまま、フィルムと積層するので、収縮防止剤を添加して発泡成形後に寸法が安定するまで発泡シートを長期間養生する従来技術と比べ、養生期間を大巾に短縮することができ、生産効率を向上することができる。また、養生のための発泡シート保管用スペースを縮小でき、又は実質的に無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の積層発泡シートの製造方法を実施するための製造装置の一例を示す構成図である。
【図2】 本発明の積層発泡シートの製造方法を実施するための製造装置の他の例を示す構成図である。
【符号の説明】
1…押出機、2…ダイ、3…マンドレル、4…発泡シート、5,6,11…ロール、7…フィルム、8,9…加熱ロール、10…積層発泡シート。

Claims (8)

  1. 押出発泡成形してポリオレフィン系樹脂発泡シートを形成し、押出発泡成形した直後の巾寸法Aに対して、巾寸法が0.85A以下に収縮した後、該ポリオレフィン系樹脂発泡シートの一方または両方の面に、ポリオレフィン系フィルムを密着させることを特徴とするポリオレフィン系樹脂積層発泡シートの製造方法。
  2. 巾寸法が0.85A以下に収縮したポリオレフィン系樹脂発泡シートをロールに巻き取り保管し、その後ロールから引き出し、収縮状態を保持している上記ポリオレフィン系樹脂発泡シートの一方または両方の面に、ポリオレフィン系フィルムを密着させる請求項に記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡シートの製造方法。
  3. 巾寸法が0.85A以下に収縮した直後のポリオレフィン系樹脂発泡シートの一方または両方の面に、ポリオレフィン系フィルムを密着させる請求項に記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡シートの製造方法。
  4. ポリオレフィン系樹脂発泡シートが、押出発泡成形した直後の厚みが0.5〜3.0mmの範囲であり、収縮したポリオレフィン系樹脂発泡シートの厚みが0.3〜1.5mmの範囲である請求項のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡シートの製造方法。
  5. ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂である請求項のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡シートの製造方法。
  6. 一般式(1)
    Figure 0004084686
    [式中、Rは14〜22個の炭素原子を持ったアルキル基又はアルケニル基を表し、(Y)と(Z)は同一であっても異なっていてもよく、2〜4個の炭素原子を持つアルキレンオキシド基を表し、n+mは2〜5の整数を表す。]で示される含窒素化合物をポリオレフィン系樹脂発泡シート中に含有する請求項のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡シートの製造方法。
  7. ポリオレフィン系樹脂発泡シート中の上記含窒素化合物の添加量がポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1.0質量部以下である請求項に記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡シートの製造方法。
  8. 巾方向の寸法変化率が0.5%以下である請求項のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂積層発泡シートの製造方法。
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