JP4084452B2 - 疲労強度を改善したガスタービンエンジン翼及びその製造方法 - Google Patents

疲労強度を改善したガスタービンエンジン翼及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、概ねガスタービンエンジンの翼に関し、より詳細には耐疲労特性が改善されたガスタービンエンジンの翼に関する。
【0002】
【従来の技術】
現代のガスタービンエンジン、特に航空機に用いられるガスタービンエンジンにおいては、高い回転速度と高温において運転されて、性能及び効率が向上されている。燃料供給のために航空機が着陸することなく飛行できる範囲を増加させる必要があるので、性能及び効率を改善が強く要求されている。
【0003】
今日のガスタービンエンジンは、タービンベーン及びタービンブレード用途と言った多くの点で限界的な用途である上記エンジンの部品に、主としてニッケル基超合金及びコバルト基超合金を用いている。しかしながら、運転温度が上昇すると、上記ベース合金材料の特性限界に近づいて行くこととなる。
【0004】
したがって、エンジン内のある種の部品を、過酷な運転条件から保護するためにコーティングを使用する試みがなされてきた。特に、熱バリヤコーティングシステムは、タービンブレードの保護のためにますます用いられるようになってきており、上記ブレードの寿命を向上させると共に、燃費を向上させるようになっている。
【0005】
典型的な熱バリヤコーティングシステムでは、異なった2つのコーティングを組み合わせて用いるものを挙げることができ、これらのうちの1つのコーティングとしては、上記超合金基体に設けられる金属材料(接着コート)であり、もう1つのコーティングは、上記金属材料設けられるセラミック材料(トップコート)である。代表的なセラミック材料としては、米国再発行特許Re.33,876号及び米国特許第4,321,311号を挙げることができる。
【0006】
上記金属材料は、翼領域の全外側面に設けられて、上記基体が酸化により劣化しないようにしている。上記金属材料は、多くの場合アルミナイド、すなわちMCrAlY材料であり、ここに、Mは、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、又はそれらの混合物である。ガスタービン工業において知られている代表的なMCrAlY材料としては、例えばヘット(Hecht)等による米国特許第3,928,026号に開示のNiCoCrAlYコーティング、及びグプタ(Gupta)等による米国特許第4,585,481号に開示のNiCoCrAlY+Hf+Siコーティングを挙げることができる。
【0007】
酸化による劣化及び浸食に対する抵抗性を与えることに加えて、上記金属材料は、上記セラミック材料を上記基体へと接着させている。しかしながら、上記金属材料は、エンジンの重量を増加させてしまうことになり、エンジン効率を低下させてしまうことになる。
【0008】
また、最も通常の金属接着コート材料は、通常のエンジン運転温度においてはその基体合金材料よりも柔軟性があまりなく、疲労が蓄積されてしまうという結果を生じる。
【0009】
従って、本出願の譲受人の指揮の下、科学者及び技術者は、過酷な運転環境に耐えることができるガスタービンエンジン用の翼の必要性を満たすべく検討を続けてきた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、これまで疲労強度が改善された翼が特に必要とされてきたのである。従って、本発明は、疲労強度を改善したガスタービンエンジン用翼及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、翼の所定領域から上記金属接着コート材料を排除することによって疲労強度が著しく改善されることを見出したことに基づいてなされたのである。
【0012】
すなわち、本発明によれば疲労強度が改善された翼が提供される。本発明の翼は、先端部と、根本部と、プラットホームと、上記先端部と上記プラットホームの間に配置された翼領域と、を有している。上記翼領域は、前縁と、後縁と、を有している。金属コーティングは、上記前縁と上記後縁の間に沿って延びているが、上記プラットホーム付近の上記前縁と上記後縁には施されていない。本発明者等は、上記プラットホーム近辺の位置が、高いサイクル疲労限界を定め、かつ、熱−機械的疲労の生じる位置であることを見出し、本発明に至ったのである。試験により、上記プラットホーム付近の上記前縁部と上記後縁部から上記金属コーティングを排除することによって、上記翼の高サイクル疲労強度及び熱−機械的疲労強度を向上させることができることが判明した。このことによってより耐久性の向上した設計を行うことができることとなる。
【0013】
上述の効果及びその他の効果については、図面をもってする材料の実施形態の詳細な説明によって明らかとなろう。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明について、ガスタービンエンジン用のブレードを参照して説明するが、これは本発明を制限するものではなく、例示的な期待を示したものである。図1は、中空のタービンブレード2を示す。上記ブレード2は、先端部4と、根本部6と、上記先端部4と根本部6の間に配置された翼領域8と、を有している。上記翼領域8は、前縁16及び後縁14の他、正圧面10と、負圧面12と、を有している。
【0015】
従来の製造方法が、上記ブレード2を製造するために用いられている。本発明は、例えば、多結晶柱状結晶粒子を有する翼や、単結晶合金翼等の鋳造された超合金翼に対して適用可能である。
【0016】
上記ブレード2の材料は、いかなる好適な材料であっても良く、具体的には、ニッケル基超合金又はコバルト基超合金を挙げることができる。通常では、ガスタービンエンジン翼は、ニッケル基超合金又はコバルト基超合金によって製造されており、これらは、鋳造体又は機械加工のいずれかによって形成することができる。ニッケル基超合金は、γプライム相(Ni3Al,Ti)によって強化されたニッケルを主成分とした超合金である。上記超合金は、約8〜約20%のクロムと、約10〜20%のコバルトを含有していても良い。耐熱性金属、例えばまた、Mo,W,Ta,Cb(Nbの英語名)が存在していても良い。上記コバルト基超合金は、単一の主要強化相を有する物ではないが、Mo,W,Ta,Cb等との固溶体、又はCr,Ti,及び耐熱性金属の炭化物が存在することによってその強度を発現させている。C(炭素)は、上記各合金中に存在しているが、これによって炭化物強化がなされている。Crは、コバルト基超合金中に約20%の量で含まれていても良い。
【0017】
より詳細には、好適な単結晶ニッケル基超合金組成では、デュール(Duhl)等の米国特許4,719,080号にも開示されているような成分も本願においては参照することができる。上記明細書では、さらに広い組成範囲を開示しており、重量%で、3〜12Cr,0〜3Mo,3〜10W,0〜5Re,6〜12Ta,4〜7Al,0〜15Co,0〜0.045C,0〜0.02B,0〜0.1Zr,0〜0.8Hf,0〜2Nb,0〜1V,0〜0.7Ti,0〜10(Ru+Rh+Pd+Os+Ir+Pt),0〜0.1Y,La,Sc,Ce,ランタニド系列又はアクチニド系列,及びバランス成分のNiを挙げることができる。
【0018】
より高い運転温度で熱バリヤ保護性を増加させるため、セラミック材料が上記ブレード2に続いて塗布される場合には、上記ブレード2又はその他の基体としての上記超合金材料の好適な特性は、約2100゜F(1149℃)の高温の運転条件下でセラミック材料を基体に接着させておくための金属接着コート材料が必要である。最も普通に用いられる超合金材料は、金属接着コートを必要とする。発明者等は、鋭意検討の結果、重量%での組成で、5Cr,10Co,1.9Mo,5.9W,3.0Re,8.4Ta、5.65Al,0.25Hf,0.013Y,その他はバランス成分としてのNiの組成が、本発明の上述した場合に特に好適な金属接着コート用材料であることを見出した。
【0019】
製造した後、上記ブレード2は、従来の方法、例えばグリッドブラスティングによって清浄化されることが好ましい。コーティング18は、その後上記ブレード2に施される。好適なコーティングとしては、耐酸化性及び耐浸食性を付与することができるようなコーティングを挙げることができる。この様なコーティング18としては、アルミナイド、すなわちMCrAlYコーティングを挙げることができ、ここで、Mは、ニッケル(Ni),コバルト(Co),鉄(Fe),又はこれらの混合物である。好適なMCrAlYコーティングとしては、具体的には、ヘット等による米国特許第3,928,026号に開示のNiCoCrAlY及びグプタ等の米国特許第4,585,481号及び米国再発行特許Re.32,121号に開示のNiCoCrAlY+Hf+Siコーティングを挙げることができる。上記米国特許第3,928,026号及び4,585,481号及び米国再発行特許Re.32,121号の内容は、本願においても参照することができる。
【0020】
上記グプタ等による特許に開示された上記MCrAlYコーティングが特に好適である。例えば、グプタ等は、5〜40Cr,8〜35Al,0〜2Y,0.1〜7Si,0.1〜2Hf,Ni,Co又はそれらの混合物からなるバランス成分から構成される広い組成範囲を開示している。グプタ等による表Iには、又柔軟性を最適化した組成の他、用いることのできる基体のタイプに依存する広い範囲の好適組成が開示されている。
【0021】
上記ブレード2にMCrAlYコーティングを堆積させるためのいかなる既知の技術であっても用いることができる。例えばグプタ等は、低圧プラズマスプレイ法及びエレクトロンビーム物理気相体積法を開示している。上記MCrAlYコーティングは、いかなる好適な膜厚で施しても良く、典型的な厚さとしては、約0.003インチ(0.008cm)から約0.007インチ(0.018cm)である。
【0022】
アルミナイドコーティングは、また、ガスタービンエンジンの翼と言った超合金基体に、耐酸化性と、耐浸食性と、を付与することが知られているとともに、コーティング18として好適な材料であることが知られている。上記アルミナイドコーティングは、又いかなる好適な厚さで施すことができ、典型的には、アルミナイドコーティングのアルミニウムリッチ表面の厚さは、約0.001インチ(0.003cm)である。
【0023】
アルミナイドコーティングは、埋封プロセスで形成することができる。この埋封プロセスとは、不活性材料と、アルミニウム源と、ハライドアクチベータを含んだ混合物を用いる。コートすべき上記超合金は、コーティングボックス中に挿入され、上記粉体混合物で被覆、すなわち埋封される。このコーティングボックスを加熱器内に設置する。還元性ガス、又は不活性ガスを、その後上記埋封物を通過させて流す。上記コーティングプロセス中には、上記ハライドアクチベータは、アルミニウム源と反応し、アルミニウム−ハライド蒸気を発生させ、この蒸気は、上記超合金物体の表面を循環する。上記超合金物体の表面と接触すると、上記蒸気は、分解し、上記超合金表面にアルミニウムを堆積させ、上記ハライドが放出されることで、上記アルミニウム源と接触し、上述の化学反応が連続的に行われることになる。この様にして堆積したアルミニウムは、その後上記超合金表面からNiと化合して行き、アルミニウムリッチ表面、すなわち上記超合金物体上にコーティングを形成する。
【0024】
上記超合金物体上にアルミニウムリッチ表面層を形成するための別の既知の技術は、気相アルミナイド化プロセスである。通常、このプロセスでは、上記超合金物体は、上記粉体混合物に埋封されるのではなく、上記粉体混合物上に、これと接触しないようにして吊り下げられる。
【0025】
また、アルミナイドコーティングは、米国特許第4,148,275号,4,005,989号,第4,132,816号,第5,366,765号にも開示されており、これらはすべて本願出願人に帰属されるものであり、これらを本願において参照することができる。
【0026】
本発明者等は、コーティング18のための特定材料を提案するものではなく、上記コーティング18の上記翼上における位置が特徴的な効果を有することを見いだしたのである。特に、本発明者等は、上記コーティング18を上記翼の全外側面に行うのではなく、上記ブレード2の選択された位置に施すことにより、上記ブレード2の疲労強度が著しく改善されることを見いだしたのである。
【0027】
金属コーティングは、典型的なエンジン運転温度において上記ブレード基体合金よりももろい傾向にある。従って、金属コーティングを上部に有するブレード位置は、上記金属コーティングを有しないブレード位置よりも上記ブレード所定の位置においてクラックが開始してしまう高い傾向がある。試験によって、上記プラットホーム付近の上記前縁及び上記後縁から上記金属コーティングを取り去ると、高サイクル疲労強度が約40%増加することが示された。試験は又、上記位置に上記金属コーティングを施さない場合に、熱−機械的疲労性が向上するのも示した。
【0028】
図1に示すように、上記コーティング18は、従来のように上記翼領域8の全外側面ではなく、上記ブレード2の上記前縁16と上記後縁14の一部に配置されている。上記コーティング18は、上記前縁16と上記後縁14の全長にわたって延びていないことが好ましい。上述したように、本発明者等は、上記ブレード2の疲労特性の向上が、上記プラットホーム22付近の前縁16と後縁14の底部部分に、上記コーティング18が配置されていない場合に達成されることを見出したのである。
【0029】
コーティング18は、上記前縁16に沿って、先端部と上記前縁16の交点から延ばされていても良い。同様に、コーティング18は上記後縁14に沿って、先端部4と上記後縁14の交点から延ばされていても良い。しかしながら、コーティング18は、上記前縁16又は後縁14のいずれにおいても、上記プラットホーム22に下がって行く方向に、全長にわたって延ばされていない。本発明者等は、概ね上記コーティング18が、上記ブレード2の上記前縁16及び後縁14に沿って上記先端部4に向かって、径方向外側にあるプラットホーム22の流路面から通常のように測定して約0%スパンから約25%スパンまでは上記コーティングを施さないことが好ましいことを見出した(本願中で用いる%スパンは、径方向外側に向かった先端部4のプラットホーム22の上記流路面20から測定した値を意味する)。最大では、図1に示すようにコーティング18は、上記ブレード2の上記前縁16及び後縁14に沿って、約0%スパンから約40%スパンまで施されていないことが好ましい。
【0030】
本発明者等は、翼の疲労耐久性を向上させるべく、コーティング18を上記翼領域8の高応力領域に施さないようにすべきであることを見出したものである。この領域は、上記プラットホーム22付近の位置にある上記前縁16部分及び上記後縁14部分となる傾向が高い。特に、本発明者等は、最小のコーティング18でも、上記前縁領域16と上記後縁領域14におけるそれらの上記翼のプラットホームのフィレット領域24には施さないことが好ましいことを見出したのである。また、どのように冷却ホールが上記前縁16に施されていても、コーティング18は、上記前縁16に沿って上記先端部から延びて、上記前縁16上のすべての冷却ホール列の中でもおよそ最下部列の直上で停止されていることが好ましいので、上記冷却ホールは、0〜40%スパン範囲内に位置決めされるように配置するのが好ましい。同様に、吐出スロットが上記後縁14上に位置決めされている場合、上記コーティング18は、最下部から10番目の吐出スロット付近の領域において、上記後縁14上には位置決めされないようにすべきである。これは、この領域が多くの場合高サイクル疲労を決定してしまう領域であり、従って上記コーティング18は、上記領域には施さないことが必要であり、これが0〜40%のスパン範囲となるようにする特徴となっているためである。
【0031】
エンジンの運転中には、ほとんどのタービンブレードは、典型的には約50%スパンから約75%スパンの間が最も高温となっている。翼領域全外側面に金属接着コート材料及びセラミック熱バリヤ材料を施した翼の試験において見られることであるが、約40%スパン付近以上で上記セラミック材料の剥離が上記翼の上記前縁及び後縁に沿って生じ、その下側にある金属接着コート材料が露出する。従って、約40%スパン以上では上記前縁から後縁までの間で金属接着コート材料を排除することは、不必要にセラミック材料を剥離させることになるので、基体金属合金が所望しないにも拘わらず露出してしまうので必要ではない
より詳細には、約50%スパンを超えた上記翼の前縁は、アウタエアシールの剥離が生じる。この剥離は、下流側の翼の前縁に衝突することとなる少量の材料を発生させるに過ぎない。さらに、上記ガス流路内のいかなる材料でも、上記翼の前縁付近のすべてのセラミック材料を剥離させる可能性がある。しかしながら、このような剥離は、典型的には上述したように、より内側では発生しないので、上記プラットホーム付近での前縁剥離のリスクは低いのである。
【0032】
エンジンの運転中には、上記プラットホーム付近の後縁部温度は、典型的には、50%スパン〜75%スパンまでの翼部分ほどには高くない。しかしながら、約40%スパン以上では、上記翼の後縁は、上記プラットホーム付近での上記翼部分よりもかなり熱くなっていて、これは幾何学的に冷却しずらいことによる。従って、上記後縁では金属接着コート材料を、約40%より上に施すことが望ましい。加えて、エンジン内のどのような破片であっても、遠心力によって外側へと回転して行くので、エンジン運転中は、上記プラットホーム付近の約40%スパンまでの後縁に沿って剥離は発生せず、従って上記翼のプラットホーム付近での後縁には衝突しないこととなる。
【0033】
好適な本発明の実施例では、図1に示してあるように、コーティング18は、上記翼領域8の上記正圧面10又は負圧面12上には実質的に施されない。通常では、コーティング18は、それぞれ前縁16から計って、上記翼領域8の上記正圧面10上で約0.25インチ(0.64cm)から約0.50インチ(1.27cm)だけ、軸方向に延び、上記翼領域8の上記負圧面12上で約0.25インチ(0.64cm)から約0.5インチ(1.27cm)だけ延ばされていても良い。同様に、コーティング18は、それぞれ後縁14から計って、上記翼領域8の上記正圧面10上で約0.25インチ(0.64cm)から約0.50インチ(1.27cm)だけ、軸方向に延び、上記翼領域8の上記負圧面12上で約0.25インチ(0.64cm)から約0.5インチ(1.27cm)だけ延ばされていても良く、上記後縁14付近の上記正圧面10及び上記負圧面12の最も温度が高い領域をコートするようにされていても良い。
【0034】
当業者によれば、上記軸方向距離は、翼領域8の基体金属温度耐久性の他にも、上記ブレード2のサイズ、上記前縁16の厚さ、上記前縁16の角度配置等の因子によって変化させることができることが理解されよう。
【0035】
従来のマスキング技術が上記コーティング18を施す前に用いられて、上記コーティング18を、確実に所望する部分に施されていても良い。
【0036】
試験によれば、コーティング18を上記翼領域8の上記正圧面10及び上記負圧面12に実質的に施さないことも可能であることが明らかとされた。この理由としては、上記各面は、例えば外部物体損傷(FOD)と言った激しい衝撃による損傷を受けることが少ないためである。加えて、上記翼8のこれらの面は、冷却が必要とされる位置に配設された冷却ホールを通して上記各面に沿って流される冷却空気によって容易に冷却することが可能だからである。
【0037】
本発明の別の実施例では、コーティング18は、上記翼領域8にすぐ隣接した上記正圧面10と上記負圧面12の他、上述したように前縁16及び後縁14にも施されていて、これは例えば図2に示されている。しかしながら、この実施例は、好適ではあるものの、上記翼領域8上のコーティング18が増加することによるエンジンの重量増加を引き起こすといった好ましくない点も有している。
【0038】
本発明の他の実施例においては、上述したようなアルミナイドコーティングは、上記翼領域8の全外側面に施されても良い。MCrAlYコーティング18は、その後に上述したように施されても良い。これとは別に、MCrAlYコーティング18は、上述のように翼領域8に施すこともできる。さらにアルミナイドコーティングを、その後上記コーティング18上に、上記翼領域8の全外側面となるように施すこともできる。これらの実施例は、浸食及び酸化による劣化に対し、さらに保護を与えることとなる。
【0039】
典型的には、すべてのマスキング材料は、その後に除去される。所望により、好適なセラミック材料を、上記ブレード2の上記翼領域8上に施すことができる。上記セラミック材料としては、米国再発行特許第Re.33,876号,第4,321,311号,4,405,659号,5,262,245号及び5,087,477号に開示された材料を挙げることができる。本願においては、これらの内容を参照することができる。代表的なセラミック材料は、エレクトロンビーム物理的気相堆積法又はプラズマスプレイ堆積法等によってコートされた、マグネシア,セリア又はイットリアで安定化されたジルコニアを挙げることができる。本発明者等は、イットリア安定化ジルコニアが特にセラミック材料として特に好適であることを見いだした。
【0040】
当業者によれば、先端部4は、典型的には疲労制限部位ではないことが理解されよう。当業者によれば、上記先端部4は、従来では、当業界で知られた好適な材料によって処理/コートされていてもよいことが理解されよう。これらの材料としては、具体的には立方晶系の窒化ホウ素を挙げることができるが用途に応じて他のものも用いることができる。
【0041】
本発明の効果は、翼の疲労強度を向上させることができることにある。本発明の別の効果は、上記コーティング18を、コートがなされることによって疲労限界位置を形成してしまうことになる上記翼のプラットホーム22付近の曲線部の側部中間翼弦領域に施さないことにある。さらに本発明の効果としては、本発明の翼は、重量が低減されるのでエンジン効率を向上させる点にある。
【0042】
本発明は、その詳細な実施例によって説明してきたが、形態及び細部における種々の変更であっても、本発明の趣旨の範囲内で行うことができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示した図。
【図2】本発明の第2の実施例を示した図。
【符号の説明】
2…中空タービンブレード
4…先端部
6…根本領域
8…翼領域
10…正圧面
12…負圧面
14…後縁
16…前縁

Claims (16)

  1. 先端部と、根本部と、流路面を有するプラットホームと、前記先端部及び前記プラットホームの間に配置され、前縁と、後縁と、を備えた翼領域と、から構成され、金属コーティングが前記前縁及び前記後縁に沿って設けられた翼であって、前記金属コーティングは、前記プラットホーム近傍の前記前縁及び前記後縁の部分を除いて、少なくとも60%スパン前記先端部から前記流路面へと向かって延ばされていることを特徴とする翼。
  2. 前記金属コーティングは、前記翼領域からラットホームへのフィレット領域にある前記前縁及び前記後縁の部分は施されていないことを特徴とする請求項1に記載の翼。
  3. 前記翼は、重量%で3〜12Cr,0〜3Mo,3〜10W,0〜5Re,6〜12Ta,4〜7Al,0〜15Co,0〜0.045C,0〜0.02B,0〜0.1Zr,0〜0.8Hf,0〜2Nb,0〜1V,0〜0.7Ti,0〜10(Ru+Rh+Pd+Os+Ir+Pt),0〜0.1Y,及びLa,Sc,Ce,ランタニド系列又はアクチニド系列,バランス成分としてのNiの組成からなる請求項1または2に記載の翼。
  4. 翼組成が、5Cr,10Co,1.9Mo,5.9W,3.0Re,8.4Ta,5.65Al,0.25Hf,0.013Y,バランス成分としてのNiを含んでなることを特徴とする請求項1に記載の翼。
  5. 前記金属コーティングは、MCrAlYの組成を有しており、Mは、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)又はそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1に記載の翼。
  6. 前記MCrAlYコーティングは、重量%で5〜40Cr,8〜35Al,0〜2Y,0.1〜7Si,0.1〜2Hf,と、Ni,Co及びそれらの混合物から選択されたバランス成分と、の組成とされていることを特徴とする請求項5に記載の翼。
  7. 前記金属コーティングは、アルミナイドコーティングであることを特徴とする請求項1に記載の翼。
  8. 前記金属コーティングは、路面から25%スパンまで外向きに前記先端部へと向かって延ばされている前記前縁及び前記後縁の部分には施されていないことを特徴とする請求項1に記載の翼。
  9. 前記金属コーティングは、路面から40%スパンまで外向きに前記先端部へと向かって延ばされている前記前縁及び前記後縁の部分には施されていないことを特徴とする請求項1に記載の翼。
  10. 前記金属コーティングは、さらに前記前縁及び前記後縁上の前記金属コーティングによって境界付けられた前記翼領域の正圧面部分及び負圧面部分にまで配置されていることを特徴とする請求項8に記載の翼。
  11. 前記金属コーティングは、さらに前記前縁及び前記後縁上の前記金属コーティングによって境界付けられた前記翼領域の正圧面部分及び負圧面部分上に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の翼。
  12. 前記翼領域には、セラミック材料が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の翼。
  13. アルミナイドコーティングは、前記MCrAlYコーティングの下側、かつ上記翼領域上に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の翼。
  14. アルミナイドコーティングは、前記MCrAlYコーティングの上側、かつ前記翼領域上に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の翼。
  15. 前記翼は、タービンブレードであることを特徴とする請求項1に記載の翼。
  16. 耐疲労特性を有する翼の製造方法であって、この製造方法は、
    先端部と、根本部と、流路面を有するプラットホームと、前記先端部及び前記プラットホームの間に配置され、前縁と、後縁と、を備えた翼領域と、を有する翼を与えるステップと、
    前記翼の記前縁及び前記後縁に金属コーティングを施すステップと、を有し、
    前記金属コーティングは、前記プラットホーム近傍の前記前縁及び前記後縁の部分を除いて、少なくとも60%スパン前記先端部から内向きに前記流路面へと向かって延ばされていることを特徴とする方法。
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