JP4083845B2 - 相乗的組合せを用いる、水性系におけるスケールの制御方法 - Google Patents

相乗的組合せを用いる、水性系におけるスケールの制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、水性系の各表面への炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムスケール析出物の析出の制御方法に関する。更に詳しくは、本方法は、水性系にポリエーテルポリアミノメチレンホスホナート、アクリル酸、スルホフェノキシメタリルエーテル及びマレイン酸の各単量体からなるターポリマー、並びにヒドロキシホスホノ酢酸及びホスホノカルボン酸共重合体からなる相乗的組合せを添加することからなる。
【0002】
【従来技術】
一般に、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムスケール析出物は、多数の異なる原因により水運搬系の金属又はプラスチック各表面上に蓄積する水あか被膜である。
【0003】
種々の工業上及び商業上の水運搬系は、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムスケール形成という問題に遭遇する。炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムスケール類は、たとえば、ボイラー系、並びに一過式及び開放再循環式水冷却系のような水を用いる熱交換系における重大関心事である。冷却塔にあっては、特に、高いpH及び高い方解石濃度を含む苛酷な条件下おかれる場合、この問題がとりわけ顕著である。
これらの系で用いる水は、通常は多数の溶解塩類を含んでおり、アルカリ土類金属陽イオンカルシウムが通常優勢であり、陰イオンでは炭酸イオン及びリン酸イオンが優勢である。カルシウム陽イオンと炭酸陰イオンとの結合生成物及びカルシウム陽イオンとリン酸陰イオンとの結合生成物は、反応生成物、すなわち炭酸カルシウム又はリン酸カルシウムを構成する陰イオン及び陽イオンの濃度が、該反応生成物自体の溶解度を越えたときに、上記イオンを含む水から析出して、スケール析出物を形成する。従って、カルシウムイオン及び陰イオンの濃度がカルシウム反応生成物の溶解度を越えるときは、炭酸カルシウム及び/又はリン酸カルシウムの固相が沈殿として生成する。反応生成物の沈殿は、成分イオンの溶解度積濃度をもはや越えなくなるまで続く。
【0004】
反応生成物に対し過飽和条件を生成するには、多数の因子が関与し得る。そのような各因子には、水系のpH変化、水相の蒸発、伝熱速度、溶解固体量、系の温度又は圧力の変化がある。
冷却塔を含めた、冷却系及び類似の熱交換系では、スケール形成機構は、明らかに系の加熱表面に隣接した領域において局所的に過飽和した溶液からのスケール形成塩類の結晶化の機構である。この領域の水の薄くて粘性のある膜は、この領域外の溶液の残りの部分より一層濃縮する傾向がある。炭酸カルシウムの逆溶解度関係のために、沈殿はまた伝熱表面上で優勢となる。その結果、スケール形成炭酸カルシウム塩反応生成物の溶解度が、先ずこの薄膜中で超過し、炭酸カルシウムスケールの結晶化が加熱表面又は熱交換表面上で直接起こる。本発明が、水性系内を加熱表面又は熱交換表面へ運ばれ得るスケール形成塩のバルク沈殿を防止することは、当業者には理解されるであろう。
【0005】
これに加え、各ボイラー系のおけるスケールの一般的な供給源は、熱の影響下での炭酸水素カルシウムの分解による炭酸カルシウム、水及び二酸化炭素の形成である。冷却塔、噴霧池、蒸発凝縮器などが、水の蒸発により熱を放散する働きをする開放再循環冷却水系では、炭酸カルシウムスケール形成を促進する主因子は、水相の各部分の反復蒸発による水に溶解した固体の濃縮である。従って、一過式の場合にはスケールを形成しない水でさえも、2回、4回又は6回濃縮するときは、通常はスケールを形成するようになる。更に、構成水のアルカリ度は、時間に亘る蒸発サイクルと共に、全系の水のアルカリ度をしばしば8.5−9.5及びさらに高いpHに増大させるようになる。このような苛酷な条件を有する系では、従来のスケール抑制組成物は典型的には役に立たない。
【0006】
炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムスケール析出物の形成は、多くの点で重大な問題を生ずる。形成されるカルシウムスケールは、低度の熱伝導率を有する。従って、カルシウムスケール析出物は、実質的に、熱源から系の水への熱移動路を横切って設けられた絶縁層となる。冷却系の場合は、遅延伝熱は、冷却効率の損失を招く。その結果、カルシウムスケールは、遅延及び清浄と除去のための運転停止を引き起こし、多くの工業用水系における甚だしい問題となる。
【0007】
本発明は、主として炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムスケールの析出の防止又は抑制に関するものであるが、本発明はまた、他の種類のアルカリ土類金属スケール、特に本明細書に記載の苛酷な条件下での炭酸カルシウムスケールと関連したものの析出の抑制にも適用することができる。例えば、大部分の工業用水及び商業用水は、カルシウム、マグネシウム等のようなアルカリ土類陽イオン並びに炭酸水素塩、炭酸塩及びリン酸塩のような数種の陰イオンを含んでいる。これらの陰イオン及び陽イオンの組合せが、その反応生成物の溶解度を越える濃度で存在するときは、もはやその溶解度積濃度を超えなくなるまで、沈殿が形成される。これの沈殿はアルカリ土類金属スケールである。従って、「アルカリ土類金属スケール」の語は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム及び炭酸マグネシウムを含むスケールを意味するが、これらに限定されない。これらのスケールは、冷却塔におけるような、熱交換器の管及び他の熱交換表面にしばしば形成される。苛酷な条件が炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムスケールの多量の蓄積を招く特定の系や応用区域には、循環冷却塔の他に、逆浸透系、砂糖精製蒸発器及びある種のガス洗浄器も含まれる。
【0008】
本発明の相乗的組合せは、金属イオン封鎖剤又はキレート化剤としてよりも、カルシウムスケール抑制の達成のための、しきい値抑制剤としての量で使用されるが、本発明の組合せは、また分散性を有し、形成されるどのようなスケール析出物の付着性をも著しく減少させ、その容易な除去を可能にする。
【0009】
スケール形成化合物の沈殿は、その反応生成物の溶解度を越えないように、その陽イオンをキレート化剤又は金属イオン封鎖剤で不活性化することにより防止することができる。一般に、キレート化は化学量論反応であるから、この方法は陽イオンの何倍も多くのキレート化剤又は金属イオン封鎖剤を必要とし、これらの量は必ずしも望ましくなくまた経済的でない。しかし、数十年前、ある種の無機ポリリン酸塩は、金属イオン封鎖又はキレート化に必要な濃度より遥かに少ない量を添加したときにこのような沈殿を防止することが発見された。
【0010】
沈殿抑制剤が、スケール形成可能な水性系に、スケール形成陽イオンを金属イオン封鎖するのに要求される(化学量論的)濃度より著しく低い濃度で存在するとき、それは”しきい値”量で存在すると言われる。 たとえば、Hatch and Rice, Indust. Eng. Chem. 31, 51-53 (1939); Reitemeier and Buehrer, J.Phys. Chem., 44(5), 535-536 (1940); Fink and Richardson, 米国特許第 2,358,222号; Hatch, 米国特許第 2,539,305 号参照。
【0011】
同様に、陰イオン及び陽イオン重合体は、本技術分野で既知の方法により分散剤として使用することができるが、分散を達成するのに必要な用量レベルは処理される水性系の0.5〜1.0重量%の範囲内であり、本発明の組合せで用いる用量レベルより何桁も高いレベルである。従って、本発明の相乗的組合せのしきい値抑制剤用量レベルのみを使用して実質的に非付着性のスケールを達成できることは、本発明の独特の観点である。
【0012】
最近、上記のような従来の処理法では炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムのスケールを完全には制御できないような苛酷な条件下でのスケール形成の制御に注意が向けられてきた。スケール制御の現在の技術は、方解石飽和の100乃至120倍まで、すなわち方解石としてのカルシウムの溶解限度の100倍で存在するCa2+及びCO3 2- を含む水で、CaCO3 スケールの抑制に使用することができる(方解石は炭酸カルシウムの最も普通の結晶形である)。しかし、望ましいのは、上記の100倍以上の濃度の水で有効であり、方解石イオンが炭酸カルシウムスケールとして沈殿するのを防止でき、また化学量論量以下の量を使用して、リン酸カルシウムスケールの形成を抑制するのに効果がある抑制剤である。更に、本発明の相乗的組合せは、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムスケール両者の制御に、下記で定義される150倍以上の方解石飽和レベルを特徴とする、苛酷な条件下で特に有用である。
【0013】
水試料のスケール形成傾向の厳しさは、次式により誘導することができる飽和指数を用いて測定される。
【化3】
Figure 0004083845
【0014】
式中、SIは炭酸カルシウムについての飽和指数であり、〔Ca2+〕は遊離カルシウムイオンの濃度であり、〔CO3 2- 〕は遊離炭酸イオンの濃度であり、KspCaCO3 はCaCO3 についての条件つき溶解度積定数である。上記式の右辺の量全ては、pH、温度及びイオン強度に対し調節される。
【0015】
上記飽和指数の計算と使用、並びにそこから誘導されるデータの生成は、当業者に知られるところである。例えば、Critical Stability Constants, Vol. 4: " 無機錯体", Smith & Mantell (1976), Plenum Press;及び Aquatic Chemistry, Chap. 5, 2nd ed., Stumm & Morgan (1981), Wiley & Sons 参照。
【0016】
本発明のスケール制御方法が特に有用な苛酷な条件のもう一つの特性は、約8.5より大きい高いpHである。そのような苛酷な条件に関連した特徴は、高いアルカリ度である。
本発明のスケール抑制組合せの特に有利な点の一つは、それが示す大きなカルシウム許容量である。カルシウム許容量は、カルシウムイオン(Ca2+)の存在下で溶解した状態を維持する化合物の能力の尺度である。苛酷な条件下におけるスケール制御のパラメータの一つはpHである。pHが増すと、伝統的CaCO3 しきい値抑制剤、例えば1−ヒドロキシエチリデン−1、1−ジホスホン酸 (HEDP)及びアミノトリ(メチレンホスホン酸)(AMP)については、カルシウム許容量は急激に減少する。これらの抑制剤は、アルカリ性pHではカルシウムと共に沈殿し、しきい値スケール抑制剤として使用できなくなる。
【0017】
水運搬系におけるスケール形成を減少させるために、初期には、タンニン、変性リグニン、アルギン及び他の類似の物質のような化合物を使用していた。スケール形成炭酸カルシウムの沈殿や結晶化を防ぐために、キレート化剤や金属イオン封鎖剤も使用されてきた。炭酸カルシウムスケール抑制物質として従来活発に探究されてきた他のタイプの試薬は、しきい値活性抑制剤である。そのような物質は、化学量論的に要求される量よりかなり少ない量でスケール抑制剤として有効であり、既に述べたように、この量はしきい値量と呼ばれる。無機ポリリン酸塩が、そのようなしきい値活性抑制剤として長い間使用されてきた。そのような物質の例については、Fink 米国特許第 2,358,222号; Hatch 米国特許第2,539,305号;及び Ralston 米国特許第3,434,969号 を参照。アクリルアミド及びアク リル酸から誘導された基を含むある種の水溶性重合体が、スケール形成炭酸カルシウムを含有する水の調整に使用されてきた。例えば、米国特許第 2,783,200号;第 3,514,476号;第 2,980,610号;第3,285,886号;第 3,463,730号;第 3,518,204号;第 3,928,196号;第 3,965,017号;及び第 4,936,987号 を参照。特に、ポリアクリル酸塩、ポリマレイン酸無水物、アクリル酸塩とスルホン酸塩の共重合体及びスルホン化スチレンの重合体のような陰イオン高分子電解質が使用されてきた。例えば、米国特許第 4,640,793号;第4,650,793号;第 4,650,591号;第 4,457,847号;及び第 4,671,888号を参照。しかし、しきい値アルカリ土類金属スケール 抑制剤として使用するときは、これら重合体は多用量を必要とし、そのため操作コストの増大を招く。
【0018】
本発明の相乗的組合せの1要素を構成する型のポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートは、pHが少なくとも8.5であり、方解石飽和が方解石としてのカルシウムの溶解限度の少なくとも150倍である苛酷な条件を有するアルカリ土類金属スケールの制御に使用することが知られている(米国特許第 5,338,477号,及び同第 5,353,642号)が、本発明の相乗的組合せを有する水性系は従来提案されていない。更に、本明細書中で説明するように、炭酸カルシウムやリン酸カルシウムのようなアルカリ土類金属スケールの制御のために、ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートを単独で使用すると多用量が必要となり、このことは同時にポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートの単独での使用自体を多くの費用のかかるものにし、従って操作コストを許容できない水準まで増大させてしまう。
【0019】
【発明が解決しよとする課題】
かかる技術的背景にも拘わらず、例えば、冷却塔のような(これに限定されないが)、水性系におけるスケール形成塩類の形成、析出及び付着を抑制するための相乗的組合せ並びに方法にたいする非常に現実的かつ実質的要求が依然として存在している。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の要求を達成するものである。本発明は、スケール形成塩類を含んでおり、かつpHが少なくとも8.5であり、方解石飽和レベルが方解石としてのカルシウムの溶解限界の少なくとも100倍である、高いpH及び高い方解石濃度を有することにより特徴付けられる水性系であって、更に(A)式:
【化4】
Figure 0004083845
【0021】
のポリエーテルポリアミノメチレンホスホナート(式中、nはそれ自体又は平均で約2乃至約12である整数又は整数でない数であり;Mは水素又はアルカリ金属であり;また各Rは同一であるか又は異なることができ、かつ独立的に水素及びメチルから選ばれる);(B)アクリル酸、スルホフェノキシメタリルエーテル及びマレイン酸の各単量体からなるターポリマーであって、その重量平均分子量が約4,000乃至10,000の範囲内にあるターポリマー;(C)ヒドロキシホスホノ酢酸;及び(D)アクリル酸、(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ホスフィン酸一ナトリウム塩を有するテリマー及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の各単量体からなるホスホノカルボン酸共重合体からなる組合せの相乗有効量を含んでいる水性系に関する。好ましくは、この組合せは、Mが水素であり、各Rがメチルであり、かつnが約2乃至4、更に好ましくはnが平均約2.6であるポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートを含む。本明細書に記載の本発明の水性系は、(A)ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナート:(B)ターポリマー:(C)ヒドロキシホスホノ酢酸:(D)ホスホノカルボン酸共重合体の重量比が約4:8:1:3乃至約5:10:1:4の範囲内であるものを含む。
【0022】
本発明の好ましい実施態様においては、本明細書に記載の、ターポリマー(B)が、アクリル酸約84重量平均分子量パーセント、スルホフェノキシメタリルエーテル約8.0重量平均分子量パーセント、及びマレイン酸約8.0重量平均分子量パーセントである水性系が提供される。
本発明の別の実施態様においては、本明細書に記載の、水性系が更に(A)ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートの分解を防ぐための安定剤を含む水性系が提供される。
本発明の更に別の実施態様においては、本明細書に記載の、水性系が更に腐食防止剤を含む水性系が提供される。この腐食防止剤は、たとえば、鋼及び/又は銅腐食防止剤類のようなものであるが、これらに限定されない。
【0023】
本発明の別の実施態様においては、スケール形成塩類を含んでおり、かつpHが少なくとも8.5であり、方解石飽和レベルが方解石としてのカルシウムの溶解限度の少なくとも100倍である、高いpHと高い方解石濃度を特徴としており、更に(A)式:
【化5】
Figure 0004083845
【0024】
のポリエーテルポリアミノメチレンホスホナート(式中、nはそれ自体で又は平均で約2乃至約12である整数又は整数でない数であり;Mは水素又はアルカリ金属であり;各Rは同一であるか又は異なることができ、かつ水素及びメチルから独立的に選ばれる);(B)ポリマレイン酸と、アクリル酸対スルホフェノキシメタリルエーテルの重量比が約3:1乃至18:1の範囲内であるアクリル酸とスルホフェノキシメタリルエーテルの共重合体との混合物からなり、約4,000乃至10,000の範囲内の重量平均分子量を有する組成物;(C)ヒドロキシホスホノ酢酸;及び(D)アクリル酸、(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ホスフィン酸一ナトリウム塩を有するテロマー及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の各単量体からなるホスホノカルボン酸共重合体からなる組合せの相乗有効量を含む水性系が提供される。
【0025】
本発明の更に別の実施態様においては、少なくとも8.5のpHと、方解石としてのカルシウムの溶解限度の少なくとも100倍の方解石飽和レベルを有する水性系におけるスケール形成塩類の形成、析出及び付着の抑制方法が提供され、その方法は、(A)式:
【化6】
Figure 0004083845
【0026】
の化合物(式中、nはそれ自体で又は平均で約2乃至12である整数又は整数でない数であり;Mは水素又はアルカリ金属であり;また各Rは同一であるか又は異なることができ、かつ独立的に水素及びメチルから選ばれる)の少なくとも約1.0mg/Lの濃度を与え;(B)アクリル酸、スルホフェノキシメタリルエーテル及びマレイン酸の各単量体からなり、約4,000乃至10,000の範囲内の重量平均分子量を有するターポリマーの少なくとも約2.0mg/Lの濃度を与えるのに十分な量;(C)ヒドロキシホスホノ酢酸の少なくとも約0.20mg/Lの濃度を与えるのに十分な量;及び(D)上記のホスホノカルボン酸共重合体の少なくとも約0.75mg/Lの濃度を与えるのに十分な量の組合せの有効相乗量を、上記水性系に添加することからなる方法が提供される。。
【0027】
本発明の別の好ましい実施態様では、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の水性系に安定剤を添加することを含む。
本発明の別の好ましい実施態様では、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の水性系に少なくとも1種の腐食防止剤を添加することを含む。
本発明の別の実施態様は、少なくとも8.5のpHと、方解石としてのカルシウムの溶解限度の少なくとも100倍の方解石飽和レベルを有する水性系におけるスケール形成塩類の形成、析出及び付着の抑制方法を提供し、その方法は、(A)式:
【化7】
Figure 0004083845
【0028】
の化合物(式中、nはそれ自体で又は平均で約2乃至約12である整数又は整数でない数であり;Mは水素又はアルカリ金属であり;各Rは同一であるか又は異なることができ、かつ独立的に水素及びメチルから選ばれる)の少なくとも約1.0mg/Lの濃度を与える量;(B)ポリマレイン酸と、アクリル酸対スルホフェノキシメタリルエーエルの重量比が約3:1乃至18:1であるアクリル酸とスルホフェノキシメタリルエーテルの共重合体との混合物からなり、約4,000乃至10,000の範囲内の重量平均分子量を有する組成物の少なくとも2.0mg/Lの濃度を与えるのに十分な量;(C)ヒドロキシホスホノ酢酸の少なくとも約0.20mg/Lの濃度を与えるのに十分な量;及び(D)上記のホスホノカルボン酸共重合体の少なくとも約0.75mg/Lの濃度を与えるのに十分な量の組合せの有効相乗量を上記水性系に添加することからなる。本発明の別の実施態様は、本明細書に記載の、ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートの分解を防ぐために安定剤の1種又は2種及び少なくとも1種の腐食抑制剤を上記水性系に添加することを更に含む方法を提供する。
【0029】
本発明は、スケール形成塩類及び本明細書に記載した組合せの相乗的有効量を含む水性系、並びに該水性系におけるスケール形成塩類の形成、析出及び付着の抑制方法に関する。
本明細書中で使用する「沈殿の抑制」及び「析出の抑制」の用語は、しきい値抑制、分散、可溶化、又は粒度減少を含む。「付着抑制」及び「非付着性の増大」の用語は、例えば簡単なすすぎにより容易に除去されるスケール析出物、すなわち激しい機械的若しくは化学的処理とは対照的な簡単な物理的手段によっては除去できない程度に、付着表面に強固に結合はしていないスケール析出物の形成をいうものとする。
【0030】
本明細書中で使用する「スケール形成塩類」の用語は、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ホスホン酸カルシウム(ヒドロキシエチリデンジホスホン酸カルシウムを含む)、シュウ酸カルシウム、フッ化カルシウム、硫酸バリウム及びマグネシウム塩類を含むあらゆるスケール形成塩も含むが、それらに限定されるものではない。
本明細書中で使用する「水性系」の用語は、それらに限定されるものではないが、冷却水系、特に冷却塔、ボイラー水系、脱塩系、ガス洗浄器及び熱コンデショニング装置を含めて、水を利用し、かつ通常は金属製の熱交換表面を含む商業用系及び工業用系をさす。特に重要なものは、上述したような高pH及び高方解石濃度を含む苛酷な条件下で操作される系である。そのような系の典型的なものは、循環冷却塔、逆浸透系、砂糖精製蒸発器及びガス洗浄器である。
【0031】
本発明は、スケール形成塩類を含んでおり、pHが少なくとも8.5であり、方解石飽和レベルが方解石としてのカルシウムの溶解限界の少なくとも100倍である、高いpH及び高い方解石濃度を特徴とする水性系であって、更に(A)式:
【化8】
Figure 0004083845
(式中、nはそれ自体で又は平均で約2乃至12である整数又は整数でない数であり;Mは水素又はアルカリ金属であり;各Rは同一であるか又は異なることができ、かつ独立的に水素及びメチルから選ばれる)のポリエーテルポリアミノメチレンホスホナート;(B)アクリル酸、スルホフェノキシメタリルエーテル及びマレイン酸の各単量体からなり、約4.000乃至10,000の範囲内の重量平均分子量を有するターポリマー;(C)ヒドロキシホスホノ酢酸;及び(D)アクリル酸、(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ホスフィン酸一ナトリウム塩を有するテロマー及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の各単量体からなるホスホノカルボン酸共重合体からなる組合せの相乗的有効量を含む水性系を提供する。
【0032】
好ましくは、上記水性系は、上記式の(A)ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートにおいて、Mが水素であり、Rがメチルでり、nが約2乃至3、最も好ましくは平均約2.6であるものを含む。
特に本明細書中で規定した苛酷な条件下に、スケール析出物の高レベルの制御を得るためには、その性能を与えるのに必要な、本発明のポリエーテルポリアミノメチレンホスホナート(A)の構造のある必須成分が存在することが判明した。従って、例えば、上記構造中のテトラ(アミノホスホナート)部分は必須のものである。これらの基が、始めにホスホン酸の形で存在したか、又は該酸のアルカリ金属塩あるいは他の塩として存在したかどうかは、全体の分子の性能に実質的な影響を与えない。本発明の組成物が機能するpHでは、それらはイオン形であり、またイオン形でなければならない。従って、「M」が水素であるか又は適当な陽イオンであるかどうかは重要ではなく、適当な塩形の選択は当業者の良くなし得るところである。アルカリ金属塩に加えて、アンモニウム塩NH4 + 、又はアンモニウム誘導体塩NR4 + (R=アルキル等)、又はその混合物を使用することができる。アルカリ金属塩が最も単純であり、そのため好ましい。
【0033】
本発明の水性系及び方法に有用な(A)ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートの必須の構造的特徴ではないが、ジホスホノメチルアミノ基とポリエーテル基とを橋かけするイソロピル基
【化9】
Figure 0004083845
の存在が望ましい。イソプロピル基は、上記の苛酷な条件下で、高められたスケール抑制活性を与えることが分かった。
ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートの考慮すべき次の構造要素は、ポリエーテル部位
【化10】
Figure 0004083845
(式中、Rは水素又はメチルであることができる)である。従って、ポリエーテル部位はポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンのいずれかであり、ポリオキシプロピレンが好ましい。ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートは、適当なジアミンのホスホノメチル化により製造されるから、ポリエーテル部位の特性は、そのアミン原料が作られる方法に依存する。そのようなポリエーテルジアミン類の製法は、本技術分野で既知であり、特に米国特許第3,236,895号に は、本発明において析出制御剤として、相乗的組合せで使用される、本明細書に記載のホスホナート最終生成物(A)の製造に特に有用な種々のポリエーテルジアミン類の製造について記載されている。
【0034】
米国特許第3,236,895号に記載の方法及び従来技術に記載の関連方法によれば、本発明の範囲内の多数の所望のポリエーテルジアミン類を製造することができる。本明細書中で使用する(A)ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートの一般式において、ポリエーテル部位は上記式により簡潔に示されている。Rは水素又はメチルであることができるから、すでに述べたように、エチレンオキシ及びプロピレンオキシの両単位が可能である。更に、Rは独立的に選ばれ、すなわち互いのブロックを含めて、エチレンオキシ及びプロレンオキシ単位は種々のパターンで交互に存在でき、あるいはそれらは全て1種からなるか又は異なることができる。例えば、以下は相当するジアミンの基部を形成し、次いで本発明の範囲内のホスホナートを作るのに使用されるために、製造できるポリエーテルセグメントのほんの一部である(EOはエチレンオキシであり、POはプロピレンオキシである)。
【0035】
EO;PO;EO−EO;PO−PO;EO−PO;EO−EO−EO;PO−PO−PO;EO−EO−PO;EO−PO−PO;EO−PO−EO;PO−EO−PO;EO−EO−EO−EO;PO−PO−PO−PO;EO−PO−PO−PO;EO−EO−PO−PO;EO−EO−EO−PO;EO−PO−EO−PO;EO−PO−PO−EO;PO−EO−EO−PO.
【0036】
上記各例において、主式の「n」は1〜4の整数となる。「n」は1乃至12と定義されるから、更に多数の可能なポリエーテル部位が含まれる。しかし、一般に低分子量のポリエーテルポリアミノメチレンホスホナート、すなわち「n」が小さい整数である場合が、高いpH及び高い方解石濃度の苛酷な条件下で最大量のスケール抑制を与えるものであることが判明しており、従ってそれらは好ましいものである。これらの好ましいホスホナートの幾つかの例を、下記表に示す。表中、Zはメチレンホスホナートである。
【化11】
Figure 0004083845
*=平均した「n」の値。
【0037】
上記表から、幾つかの場合においては「n」は平均値を有すること、すなわち反復するエチレンオキシ又はプロピレンオキシ単位の数は変化し得ることが分かる。従って、最終生成物中においてポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンの各鎖長の変化した混合物を有することが可能である。「n」の限界に関する上記要件が満たされる限り、このようなものもまた本発明の範囲にあることが意図されている。従って、「n」は単にそれ自体で又は平均して約2乃至12である整数又は整数でない数と定義されるが、それは2つの様相を有する。それは、別々に考慮される、反復するエチレンオキシ及び/又はプロピレンオキシ単位の合計数を定義しており、従って「n」が例えば4のときは、それは4個のプロピレンオキシ単位、3個のプロピレンオキシ単位と1個のエチレンオキシ単位、2個のプロピレンオキシ単位と2個のエチレンオキシ単位などを含む。「n」の値はまた平均数を表すことができ、勿論これはnが整数でない数の場合には必ず該当する。この場合、別々に考慮されるエチレンオキシ及び/又はプロピレンオキシの各々に対し、「n」についての平均値を与えるように、これら単位の各混合物が存在することができる。例えば、上記表において、Id.No.Dでは、「a」及び「b」の合計は9.5であり、これが「n」の値である。ここに記載されているのはポリエーテルホスホナートの混合物であり、それら全てが一つのイソプロキル橋かけ基と一つのエチレンオキシ部位とを有するが、反復プロピレンオキシ単位は平均するとその値が約8.5である。
【0038】
下付き文字「n」で示されるエチレンオキシ又はプロピレンオキシ反復単位の数が、全体の(A)ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートの全分子量を決定し、従ってそのホスホナートのスケール抑制性能を決定するのに重要な役割を果たす。上述した使用の苛酷な条件下で本発明の相乗的組合せを使用して、適当なスケール制御をもたらすためには、(A)ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートに関して、「n」がそれ自身で又は平均で約2乃至12である整数又は整数でない数であることが必要である。
【0039】
上記のように、「n」が整数でない数になり得る理由は、ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートをホスホノメチル化により製造する第1級ジアミンが、種々の割合の、「n」が2、3、4、5などの2種以上であるポリエーテルの混合物である事実に由来する。例えば、本発明の水性系及び方法で使用する好ましいポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートは、約632の分子量を有し、「n」の値は平均で約2.6である。従って、このタイプのポリエーテルホスホナートは、分子量分布を有し、すなわちそれを構成する種々のポリオキシプロピレンからなり、この分布が「n」についての整数でない平均値により表わされる。しかし、「n」が完全な整数、例えば「3」であり、通常は単一の分子量を示し、分子量分布のないものも、また本発明の範囲内にある。
【0040】
本発明の水性系及び方法の相乗的組合せの(A)ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートは、既にポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレン部位を含んでいる適当な第1級ジアミンのホスホノメチル化により先ず製造される。
【0041】
そのような第1級アミン原料及びその製法は、よく知られている。第1級ジアミンのホスホノメチル化は、K. Moedritzer and R. Irani, J. Organic Chem. 31(5) 1603-7 "α- アミノメチルホスホン酸の直接合成; オルト亜リン酸によるMannich 型反応" 1966,5月に記載のような、Mannich 反応により実施される。典 型的反応では、第1級ジアミンを亜リン酸と水の混合物に加え、次いで濃塩酸を徐々に加え、その後水性ホルムアルデヒドを添加し反応混合物を加熱環流する。
【0042】
本明細書中で使用した一般構造式は、窒素原子が完全にホスホノメチル化されていることを示しているが、実際的には、あとで詳細に説明するように、本発明のポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートの製造では、通常は約80乃至90%だけホスホノメチル化が起こる。他の副生物はH、CH3 、CH2 OH等によるN−置換を与える。しかし、上記副生物はスケール析出抑制を妨害しないので、単純な製造経済性の問題としては、完全にホスホノメチル化された化合物を単離し、精製することは実際的でない。従って、そのような副生物は通常はそのままにしておくため、下記の試験データは、そのような副生物を含む試験試料に基づくものである。従って、得られた活性レベルは、100%活性化合物で試験するときは、さらに高いものになるであろう。
【0043】
好ましい(A)ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナート、N,N,N’,N’−テトラメチレンホスホノポリオキシプロピレンジアミンの製造を次に示す。
平均分子量約230を有し、構造式:
2 NCH(CH3 )−CH2 −〔−OCH2 CH(CH3 )−〕2.6 −NH2 を有するジアミン(56.2g)を、冷却器、Teflon (DuPont) 撹拌機、温度計及び添加漏斗を備えた1 L 樹脂フラスコ中の亜リン酸(82g)及び脱イオン水(65g)の混合物に加えた。反応混合物中の鉄(Fe)レベルをできる限り低く保つことが重要であり、Feの最大の供給源となり得るのは亜リン酸である。Feは反応を幾分妨害するため、低Fe含量の亜リン酸を使用する。
【0044】
次いで、反応混合物に徐々に濃HClの50mLを加えた。ついで、反応混合物を加熱還流(107℃)した。温度は少なくとも95℃であるべきであるが、反応混合物を加熱還流したときに、最良の結果が得られる。反応混合物が還流に達した後、37%水性HCHO 150gを、約45分かけて滴下した。最良の結果を得るためには、HCHO対ジアミン原料の比を、モル基準で少なくとも4:1にすべきであり、好ましくは、この合成の場合にように幾分それより高くすべきである。
【0045】
次いで、反応混合物を更に3時間還流させた。反応時間は温度に依存するが、少なくとも1/2時間、好ましくは2乃至3時間還流することにより、最良の結果が得られる。
次いで、反応混合物を冷却し、回転蒸発器を用いて、揮発物97.2gを50℃でストリッピングした。理論活性48%を有する、生成物合計303.4gが得られた。P31NMRは、NH基の少なくとも約85%がホスホノメチル化されたことを示した。不純物は、未反応亜リン酸、ホルムアルデヒド、リン酸、メタノールホスホン酸、及び他の同定されないリン化合物を含んでいた。
【0046】
本発明のポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートのスケール制御性能は、ごく著しい程度ではないが、ある程度、上記のプロセスパラメータの変動に依存することが判明した。従って、上記のような最適条件を使用することにより最良の結果が得られる。
本発明の(A)ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートのいずれを、水性系におけるスケール形成塩類の沈殿、析出及び付着の抑制のための、相乗的組合せに本明細書に記載のように使用するときも、水性系中で約1乃至100mg/Lの濃度を確立するのに十分な量で添加するとき、当該目的に効果的に使用することができる。好ましくは、水性系が上記のように、少なくとも150倍の方解石飽和レベルを有するときは、添加量は少なくとも約6.0mg/Lの濃度を確立するのに十分な量である。しかし、本発明の技術的背景に関し詳細に説明した型の多くの因子が、アルカリ土類金属、特に例えば特定の水性系における炭酸カルシウムスケール及びリン酸カルシウムスケールの形成、析出及び付着の抑制の最大量を達成するために、その水性系に添加される本発明の相乗的組合せのポリエーテルポリアミノメチレンホスホナート組成物の実際の量を決定する。その量の計算は、当業者の技術及び能力の範囲内である。
【0047】
水性系の相乗的組合せの(B)ターポリマー成分は、アクリル酸、スルホフェノキシメタリルエーテル及びマレイン酸の各単量体からなる。このターポリマーの重量平均分子量は、約4,000乃至10,000の範囲内である。
本発明の水性系の好ましい実施態様においては、本明細書に記載の相乗的組合せは、(B)ターポリマーが、アクリル酸約84重量平均分子量パーセント、スルホフェノキシメタリルエーテル約8重量平均分子量パーセント及びマレイン酸約8重量平均分子量パーセントのものを含む。
上記のターポリマー(B)は、上記の水性系中に、少なくとも約2.0mg/L、そして好ましくは約2.0mg/L乃至約50mg/Lの濃度を確立するように存在させる。好ましくは、水性系が上記のように少なくとも150倍の方解石飽和レベルを有するときは、ターポリマー(B)は、少なくとも約6.0mg/Lの濃度を確立するように水性系中に存在させる。
【0048】
上記のターポリマー(B)は、当業者に既知の従来の方法により製造することができ、またAlco Chmical, Chattanooga, Tennessee, U.S.A. から「AR540」組成物として商業的に入手することができる。「AR540」 はAlco Chemical の商標である。
例えば、上記の(B)ターポリマーは、マレイン酸とスルホフェノキシメタリルエーテルとを含む水性混合物に、アクリル酸単量体を徐々に添加することにより製造することができる。水性混合物は更に、例えば次亜リン酸ナトリウム又は過硫酸ナトリウムのような開始剤を含む。次いで、水性混合物を約90乃至105℃で数時間還流する。分子量は、例えば、メルカプタン又はイソプロパノールのような連鎖停止剤を添加することにより制御することができる。その後、例えばアンモニウム塩のようなアルカリを加えて酸を部分的に中和することができる。本発明の上記の(B)ターポリマーの製造に、上記原料の十分量を使用することは、当業者の技術及び能力の範囲内である。
【0049】
本明細書に記載の水性系の相乗的組合せ中の(C)ヒドロキシホスホノ酢酸成分は、水性系中に、少なくとも約0.20mg/L、好ましくは約0.20mg/L乃至15mg/L、更に好ましくは約0.20mg/L乃至10mg/Lの濃度を確立するように存在させる。ヒドロキシホスホノ酢酸(C)は、当業者に既知の従来の方法で製造することができ、またFMC Corporation, Princeton, New Jerseyから、「Belcor 575」 組成物として商業的に入手することができる。 「Belcor 575」はFMC Corporation の商標である。
【0050】
たとえば、ここに記載の(C)ヒドロキシホスホノ酢酸は、たとえば蒸留水のような水性媒体中で、次亜リン酸ナトリウムを、グリオキシル酸又はピルビン酸と、それぞれ反応させて製造される。反応は、水性反応媒体中で、たとえば約60乃至110℃のような高温で、還流条件下で実施される。この還流温度に反応を維持し、反応の進行をP31NMR分析により監視する。9時間後、反応を停止する。ここに記載した本発明の(C)ヒドロキシホスホノ酢酸を製造するため、十分な量の上記原料を使用することは、当業者の技術の範囲内である。
【0051】
水性系の相乗的組合せの(D)ホスホノカルボン酸共重合体成分は、アクリル酸、(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ホスフィン酸一ナトリウム塩を有するテロマー及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の各単量体からなる。水性系の相乗的組合せの(D)ホスホノカルボン酸共重合体成分は、ホスホノカルボン酸の水溶液であり、当業者には分かるように、ナトリウム塩はCAS #156105-39-4 のCAS登録番号を有する。本発明の水性系のこの相乗的組合せの(D)成分は、CAS #156105-39-4 の下では、2−プロペン酸、(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ホスフィン酸一ナトリウム塩を有するテロマー及び2−メチル−2−〔(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ〕−1−プロパンスルホン酸一ナトリウム塩、ペルオキシ二硫酸(〔(HO)S(O)2〕202)二ナトリウム塩にて反応を開始し、酸化して得たナトリウム塩として記載されている。ここに記載のこのホスホノカルボン酸共重合体(D)は、当業者に既知の従来の方法で製造でき、またFMC Corporation, Princeton, New Jerseyから、" Belclene 494" 組成物として商業上入手できる。"Belclene 494"はFMC Corporation の商標である。
【0052】
たとえば、当業者には良く知られているように、重合体開始剤又は鎖停止剤として有機次亜リン酸エステル化合物を使い、カルボン酸(たとえばアクリル酸及びメタクリル酸のような)と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸からなる単量体を共重合させ、当業者には分かるように、ホスホナート基のようなリン含有残基を重合体鎖の末端位で結合させるようにすることにより、ここに記載の(D)ホスホノカルボン酸共重合体を製造する。
【0053】
ここに記載の(D)ホスホノカルボン酸共重合体は、少なくとも約0.75mg/L、好ましくは約0.75mg/L乃至約30mg/Lの濃度を確立するように、ここに記載した水性系に存在させる。好ましくは、水性系が少なくとも約150倍の方解石飽和をもつときは、ここに記載した(D)ホスホノカルボン酸共重合体を、少なくとも約3.75mg/Lの濃度を確立するように、水性系に存在させる。
ここの記載の本発明の水性系の好ましい実施態様においては、(A)ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナート、(B)ターポリマー、(C)ヒドロキシホスホノ酢酸及び(D)ホスホノカルボン酸共重合体からなる、ここに記載の組合せの重量比は、約4:8:1:3乃至約5:10:1:4の範囲である。
【0054】
そこで、本発明の水性系の相乗的組合せ(A),(B),(C)及び(D)が、ここに記載した苛酷な条件下で達成されるスケール制御及び析出物制御の量を、従来達成されたものより一層経済的に増加することができることが当業者には理解されるであろう。
ここに記載した、水性系の(A),(B),(C)及び(D)の相乗的組合せに加えて、他の添加剤を、ここに記載の相乗的組合せ(A),(B),(C)及び(D)の有効性を増大させる更なる組合せにおいて使用することができる。そこで、許容できる腐食速度を得るために、本発明の相乗的組合せと共に、1種以上の腐食防止剤を使うのが望ましい。ここで更に記載するように、これらの腐食防止剤は、鋼及び/又は銅腐食防止剤であることができる。許容できる腐食速度は、各使用環境を取り巻く状況に依存するものであるが、通常は、この使用環境に存在する装置の期待寿命についての期待に大いに依存する。また、許容できる腐食は、殆ど常に点食攻撃型腐食の存在しないことを意味する。関係する装置の性質は適用分野に依存するが、普通はかかる装置が構成され、そして腐食攻撃を受ける金属は、たとえば、ステンレス鋼を含め、種々の形態の鋼、さらには銅自体又はその種々の合金、特に黄銅である。これら金属全ては、本発明の水性系及び方法が使用される苛酷な条件下では、一層普通の条件下で受ける腐食攻撃の程度より更に大きい腐食攻撃を受けるから、従って、これら金属全ては、本発明の相乗的組合せ(A),(B),(C)及び(D)と共に1種以上の腐食防止剤を使用することによる利益を受けることになる。
【0055】
鋼及びその合金の腐食防止剤に関しては、従来の技術で使用された既知のホスホナートスケール抑制剤と共に十分な効果を発揮し、従って適当な保護作用を与えることが期待された腐食防止剤を含めて、全ての腐食防止剤が本発明の水性系の相乗的組合せと共に使うのに適しているわけではないことが見いだされたのは驚くべきことであった。たとえば、特に点食攻撃型腐食に対し、普通は良好な腐食保護を与える腐食防止剤のモリブデン酸塩及び亜硝酸塩の組は、本発明の相乗的組合せの(A)ポリエーテポリアミノメチレンホスホナートと共に使うのに適していないことが分かった。
【0056】
一方、適当な鋼腐食防止剤が多数存在するので、その適当性は当業者により容易に決定することができる。どの鋼腐食防止剤が適当であるかの決定は、技術者の通常の熟練の範囲内であり、そのような全ての防止剤は本発明の一部を構成することが意図されている。
上記試験操作の実施によって、次の鋼腐食防止剤の一つが、本発明の水性系の相乗的組合せと組合せて用いるとき、点食攻撃型腐食に対する保護を含めて、十分なレベルの腐食保護作用を奏することが決定された。
ヘキサメタホスホン酸塩、
オルトリン酸塩、
ピロリン酸塩、
2−ホスホノブタン−1、2、4−トリカルボン酸(PBTC),
マンガン〔Mn(II)+2〕、及び
亜鉛〔Zn(II)+2〕。
【0057】
腐食に対し適当な保護を与えるのに要求される鋼腐食防止剤の濃度は、処理される水性系中の水の構成や特性、pH、温度に依存する。しかし、一般には、上記の好ましい防止剤の望ましい濃度は、約0.1mg/L乃至約100mg/L、好ましくは約1mg/L乃至約25mg/L、最も好ましくは約1mg/L乃至約10mg/Lの範囲である。
【0058】
銅及びその合金の腐食防止剤に関しては、再び当業者が、どの銅腐食防止剤が適当であるかを容易に決定することができる。たとえば、次のものが、本発明のここに記載した水性系と共に用いるのに適した銅腐食防止剤である。
ベンゾトリアゾール、
トリルトリアゾール、
2−メルカプトベンゾチアゾール、
米国特許第 4,675,158号に記載のようなトリルトリアゾールとメルカプトベンゾチアゾールの組合せ、
EP-A-0 397 454に記載されている型の高級アルキルベンゾトリアゾール及びEP-A-0 462 809に記載されているそれらの組合せ、
EP-A-0 478 247に記載のようなアルコキシベンゾトリアゾール及びその組合せ、及び
EP-A-0 462 666に記載されているようなフェニルメルカプトテトラゾール及びその組合せ。
【0059】
使用すべき望まれる銅腐食防止剤の濃度は、防止剤自体だけでなく、黄色金属表面積、全水性系容積、溶解及び懸濁している銅の濃度、pH、溶解固体、温度のような因子に依存する。しかし、一般には、適当な銅腐食防止剤は、約0.1乃至約100mg/L、好ましくは約0.5乃至約20mg/L、最も好ましくは約1乃至約5mg/Lの濃度範囲で添加される。
【0060】
更に、たとえば、本発明の水性系の相乗的組合せの成分(A)ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートの分解を防ぐための安定剤のように、他の添加剤を水性系の相乗的組合せに添加できることが、当業者には理解できるであろう。析出物制御剤の分解が、例えば、塩素、臭素又はそれらの混合物を含む殺生物剤組成物の存在下で起こることは、当業者には理解される。また、水性系が、通常は生体制御のため殺生物剤組成物を含むことは、当業者には既知でもある。本発明の水性系に添加できる適当な安定剤の具体例には、限定することをしないが、モノエタノールアミン及び次式の化合物からなる有機スルホンアミドが含まれる。
【0061】
【化12】
Figure 0004083845
式中、Zは水素、及びアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩形成イオンから選ばれ、
Rはa)C1-4 アルコキシ基:−OC1-4 アルキル、
b)アミノ基、モノ(C1-4 アルキル)アミノ基又はジ(C1-4 アルキル)アミノ基:NR1 2 (R1 及びR2 は上で定義したとおりである)、
c)ホルミルアミノ基:−NHC(O)H、
d)(C1-4 アルキル)カルボニルアミノ基:−NH−C(O)C1-4 アルキル、
e)(C1-4 アルコキシ)カルボニルアミノ基:−NH−C(O)OC1-4 アルキル、
f)C2-6 アルケニル基、
g)C2-6 アルキニル基、
h)C3-7 シクロアルキル基、
i)フェニル、ナフチル、ピリジル、ピリミジル、ピラジル、ピリダジル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリルから本質的になる群から選ばれるアリール又はヘテロアリールであり、ただしアリール及びヘテロアリールの炭素原子は、C1-4 アルキル、C1-4 アルコキシ、C1-4 アルコキシカルボニル、ハロ、ニトロ、ニトリロ、カルボキシ、C1-4 アルキルスルホニル基:−S(O)n 1-4 アルキル(n=2),スルファモイル基(無置換か又は窒素が1又は2のC1-4 アルキルで置換されている):SO2 N(R1 )R2 (R1 及びR2 は上で定義したとおりである)から本質的になる群から選ばれる3個までの基で所望により置換されており、ヘテロアリールの窒素原子はC1-4 アルキル、又はC1-4 アルキルスルホニル基:−S(O)n 1-4 アルキル(n=2)で所望により置換されており、
j)C1-4 アルキル、及び
k)上記のa)乃至i)の置換基の一つにより一置換されたC1-4 アルキルから本質的になる群から選ばれる。
【0062】
本発明で用いるのに好ましい有機スルホンアミド安定剤は、RがC1-4 アルコキシ基:−OC1-4 アルキル;アミノ基又はモノ(C1-4 アルキル)アミノ基又はジ(C1-4 アルキル)アミノ基:−N(R1 )R2 (R1 及びR2 は独立にH又はC1-4 アルキルである);C1-4 アルキル、C1-4 アルコキシ、又は−SO2 N(R1 )R2 (R1 及びR2 は上で定義したとおりである)により一置換されたフェニル;C1-4 アルキル;又は直ぐ上で述べた置換基の一つにより一置換されたC1-4 アルキル基である上記のスルホンアミドである。
【0063】
本発明に有用な有機スルホンアミドのうち特に好ましいものは、RがC1-4 アルキルで一置換されたフェニル、更に詳しくはメチルでp−置換されたフェニルであるスルホンアミドである。
上記の有機スルホンアミドは、大部分が当技術分野で既知であり、その製法はよく知られている。これらの化合物製造に対する一つの満足なアプローチは、三酸化硫黄SO3 による適当なアミンのスルホン化によるものである。本発明の有機スルホンアミド安定剤の製造に使用できる別の合成的アプローチは、ある種の塩基の存在下で、塩化スルホニルを用いてアンモニア、第1級アミン又は第2級アミンを処理することによるものである。これら及び他の方法は、Comprehensive Organic Compounds,有機化合物の合成と反応、Vol. 3, pp. 345-346, Derek Barton, W. David Ollis, ed.. Pergamon Press 1979 及びそこに挙げられた文献に記載されている。
【0064】
本発明の相乗的組合せの(A)ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートの分解を抑制するため、本発明の水性系及び方法で用いる必要のある有機スルホンアミド安定剤の全体量、特にその濃度は、処理される水性系を構成する水の特にpH,塩素及び/又は臭素殺生物剤、温度及び有機及び無機成分を含め、多数の因子に依存する。特に水性系の塩素及び/又は臭素殺生物剤の濃度に関しては、有機スルホンアミド安定剤の相当する濃度が、約0.5乃至2.0、好ましくは約0.75乃至1.25,最も好ましくは約1.0の当量比(スルホンアミド:ハロゲン)であることが望ましい。一般に言って、本発明の相乗的組合せ(A),(B),(C)及び(D)により処理される水性系においては、有機スルホンアミドの濃度は0.1乃至100ppm、好ましくは0.5乃至25ppm、最も好ましくは1乃至10ppmである。たとえば、水性系が6乃至10のpHで、10乃至80℃の温度で、約0.1から50ppmの間の、普通は約0.1乃至10ppmの塩素及び/又は臭素濃度をもつときは、本発明の有機スルホンアミド安定剤を0.5乃至25ppmの濃度で水性系に加える。
【0065】
本発明の別の実施態様においては、少なくとも8.5のpHを有し、方解石としてのカルシウムの溶解限度の少なくとも100倍の方解石飽和レベルを有する水性系におけるスケール形成塩の形成、析出、付着を抑制する方法が提供され、その方法は上記水性系に(A)次式
【化13】
Figure 0004083845
(式中、nはそれ自体、若しくは平均で約2乃至約12である整数又は整数でない数であり、Mは水素又はアルカリ金属であり、各Rは同一か又は異なり、独立に水素及びメチルから選ばれる)のポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートの少なくとも約1.0mg/Lの濃度を確立する量の組合せの有効量を添加し、(B)アクリル酸、スルホフェノキシメタリルエーテル、マレイン酸の単量体からなり、約4,000乃至10,000の範囲の重量平均分子量を有するターポリマーの少なくとも約2.0mg/Lの濃度を確立するのに十分な量を添加し、(C)ヒドロキシホスホノ酢酸の少なくとも約0.20mg/Lの濃度を確立するのに十分な量を添加し、(D)アクリル酸、(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ホスフィン酸一ナトリウム塩を有するテロマー及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の各単量体からなるホスホノカルボン酸共重合体の少なくとも約0.75mg/Lの濃度を確立するのに十分な量を添加することからなる。好ましくは、この方法は、ここに記載のポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートにおいて、Mが水素であり、各Rがメチルであり、そしてnが約2乃至4であるもの、更に好ましくはnが約2.6であるものを含む。
【0066】
本発明の別の実施態様においては、ターポリマー(B)がアクリル酸約84重量平均分子量パーセント、スルホフェノキシメタリルエーテル約8重量平均分子量パーセント及びマレイン酸約8重量平均分子量パーセントである方法が提供される。
好ましくは、ここに記載したように、本発明の方法は、水性系の相乗的組合せの(A):(B):(C):(D)の比が約4:8:1:3乃至約5:10:1:4の範囲である場合を含む。
【0067】
本発明の方法の最も好ましい実施態様においては、ここの記載のように、方解石としてのカルシウムの溶解限度の少なくとも150倍の方解石飽和レベルを有する水性系に、(A)ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートが少なくとも約6.0mg/Lの濃度で存在し、(B)ターポリマーが少なくとも約6.0mg/Lの濃度で存在し、(C)ヒドロキシホスホノ酢酸が少なくとも約1.0mg/Lの濃度で存在し、そして(D)ホスホノカルボン酸共重合体が少なくとも約3.75mg/Lの濃度で存在する、相乗的組合せ(A),(B),(C)及び(D)を添加する方法が提供される。
【0068】
本発明の別の実施態様は、ここに記載のように、相乗的組合せの分解を防止するため、更に詳しくはポリエーテルポリアミノメチレンホスホナート(A)の分解を防止するため、水性系にここに記載のように、更に安定剤を添加することよりなる方法を含む。
本発明の別の実施態様は、前述したように、少なくとも1種の腐食防止剤を更に添加することよりなる、ここに記載のような方法を提供する。更に好ましくは、この方法は、腐食防止剤が銅腐食防止剤であり、最も好ましくは銅腐食防止剤がトリルトリアゾールである腐食防止剤を添加することを含む。
【0069】
ここに記載のように、本発明の水性系に、相乗的組合せの各成分、及びたとえば、銅腐食防止剤、鋼腐食防止剤及び/又は安定剤のような他の添加剤を添加する方法は、当業者にとっては簡単である。相乗的組合せの各成分は、別々に又は互いに組合せても添加することができる。本発明の水性系への相乗的組合せの(A),(B),(C)及び(D)の添加順序は重要ではない。同様に、本発明の水性系への腐食防止剤及び/又は安定剤の添加も、個々に又は互いに組合せて行うことができ、添加順序は本発明の相乗的組合せ(A),(B),(C)及び(D)の成分に関し重要ではない。従って、本発明により教えられた相乗効果を確立するために、ここに記載のような少なくとも(A),(B),(C)及び(D)を含む本発明の水性系を達成するために、上記相乗的組合せ(A),(B),(C)及び(D)の成分及び上記添加剤の添加は、(A),(B),(C)及び(D)の各々、腐食防止剤又は安定剤を、水性系に、個々に単一添加剤として、又は次の(A),(B),(C)及び(D),腐食防止剤、又は安定剤の2種以上の組合せで添加することにより達成できることは、当業者には明らかである。
【0070】
更に、本発明の成分(A),(B),(C)及び(D)、及び/又は安定剤、及び/又は腐食防止剤の添加方式は、当業者にとっては簡単である。各成分は、既知の構造を有する機械的デスペンサーにより液体の形態で添加することができる。また、これらは希釈した液体の形態でも添加することができる。上記のように、たとえば、水性系に分配するために、2種以上の成分を組合せることができ、これらを組合せて液体の形態で分配することができる。
【0071】
【実施例】
次の実施例により、一層詳細に本発明を例示する。これらの実施例は、決して本発明の範囲を限定することを意図していない。実施例では次の製品を用いた。TRC は、両Rがメチルであり、Mが水素であり、nが平均で2.6であり、重量平均分子量が約600である、上記式に示したポリエーテルポリアミノメチレンホスホナート(A)である。TRC は、Calgon Corporation, Pittsburgh, PA, U.S.A.から、ここに記載の水性系で使用するため商業上入手できる。
【0072】
Belcor 575は、ヒドロキシホスホノ酢酸であり、FMC Corporation, Princeton, New Jersey, U.S.A.から商業上入手できる。
AR 540は、アクリル酸約84重量平均分子量パーセント、スルホフェノキシメタリルエーテル約8重量平均分子量パーセント及びマレイン酸約8重量平均分子量パーセントからなるターポリマーである。AR 540は、Alco Chemical, Chattanooga, Tennessee,U.S.A.から商業上入手できる。
【0073】
Belclene 494は、CAS# 156105-39-4を有し、2ープロペン酸、(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ホスフィン酸一ナトリウム塩を有するテロマー及び2−メチル−2−〔(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ〕−1−プロパンスルホン酸一ナトリウム塩の各単量体からなるホスホノカルボン酸共重合体である。Belclene 494 は、FMC Corporation, Princeton, New Jersey, U.S.A.から商業上入手できる。
【0074】
実施例1−18
実施例1−18において、pH8.5,方解石としてのカルシウムの溶解限度の約100倍の方解石飽和において、炭酸カルシウム(CaCO3 )及びリン酸カルシウム(CaPO4 )の形成、析出、付着の抑制の改良における、種々の処方物の効果を試験した。本発明の水性系のスケール抑制性能が改良されたことを示すために、次の操作を行った。
【0075】
約100倍の方解石飽和を達成するために、約8.5のpH及び60℃において、Ca+2150mg/L及び炭酸カルシウムとしてアルカリ度600mg/L及びオルトリン酸塩約2mg/Lを含むスケール形成水を使用し、24時間にわたり試験溶液(実施例1−18)のスケール抑制性能を評価した。試験溶液10gを取り出し、0.2ミクロン濾過器を通して適当な容器に加え、当業者に既知のSchwarzenbach 法によりカルシウムを滴定し、分光光度法を使いPO4 3- を滴定し、当業者に既知の方法により抑制%を計算することにより、試験溶液を分析した。各実施例の試験溶液の構成を表1に示す。表1はまた、24時間にわたる上記スケール抑制活性の評価の結果も示しており、炭酸カルシウム(CaCO3 )及びリン酸カルシウム(CaPO4 )の抑制%は、各実施例について24時間において計算した。
【0076】
表 1
【表1】
Figure 0004083845
表1の実施例1−3、8、10、11、15は、本発明の水性系の相乗的組合せの各成分は、上記のような、約8.5のpHで、Ca+2150mg/L、炭酸カルシウムとしてアルカリ度600mg/L、オルトリン酸塩約2mg/Lを含むスケール形成水をもつ水性系で単独で用いるとき、方解石としてのカルシウムの溶解限度の約100倍(100×)の方解石飽和においては、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムスケールの十分な抑制を達成していないことを示している。
【0077】
実施例4−6、16は、本発明の相乗的組合せのいずれか2成分の組合せを共に使うとき、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムの両者の抑制は達成できないことを示している。実施例7は、TRC 〔上記式のポリエーテルポリアミノメチレンホスホナート(A)〕1mg/L,Belcor 575(ヒドロキシホスホノ酢酸)1mg/L、及びAR 540(上記のターポリマー)2mg/Lの本発明の相乗的組合せは、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムスケール両者の形成を100%効果的に抑制することを示している。しかし、方解石としてのカルシウムの溶解限界の約100倍の方解石飽和をもつ水性系において、実施例7に示したような組合せで1mg/Lの濃度でのBelcor 575の使用は、Belcor 575に関連した高い経済価格のため、費用的に有効ではない。従って、上記のような水性系において1mg/Lの濃度でのBelcor 575の使用は、水性系を使うプロセスの操作費用の改良には不利である。
【0078】
実施例8、10、11は、本発明の相乗的組合せの単一成分のみの使用での濃度の増加は、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウム両者のスケール形成の十分な抑制を達成しないことを示している。実施例9は、25mg/Lの濃度でTRC 単独を使用する場合には、リン酸カルシウム及び炭酸カルシウム両者のスケール100%を抑制することを示しているが、TRC の少なくとも25mg/Lの濃度を達成することは高価であり、したがってTRC 単独をもつ水性系を使用するプロセスの操作コストの改良には不利である。
【0079】
実施例12は、AR 540の4mg/L及びTRC の6mg/Lの濃度を使用すると、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムスケールの形成を100%抑制することを示している。実施例12に示した相乗的組合せは、スケール形成を効果的に抑制するが、実施例17、18に記載の本発明の相乗的組合せに比較するとき、本発明の水性系をもつプロセスで用いることは一層経済的でない。
【0080】
実施例13、14は、AR 540とBelcor 575の組合せ、又はBelcor 575とTRC の組合せを一層高濃度で使用するときには、水性系中での炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムスケール形成の両者に対して十分な抑制を達成しないことを示している。
実施例16は、Belcor 575 の1mg/L及びBelclene 494 の4mg/Lの濃度を用いる組合せは、水性系において炭酸カルシウム又はリン酸カルシウムスケールの十分な抑制を達成しないことを示している。
【0081】
実施例17、18は、本発明の相乗的組合せを用いると、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムスケール両者の100%を効果的に抑制することを示している。実施例17、18は、TRC を1mg/L、AR 540 を2mg/L濃度で、そしてBelcor 575 を0.25mg/L、Belclene 494 を0.75mg/Lの濃度で(実施例17)、又はBelcor 575 を0.20mg/L、Belclene 494 を0.80mg/Lの濃度で(実施例18)用いる本発明の相乗的組合せは、少なくとも約100倍の方解石飽和レベルを有する水性系に関し、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウム両スケール形成の100%抑制を達成するための経済的に有利な方法であることを示している。
【0082】
実施例19−30
実施例19−30において、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムの形成、析出、付着の抑制の改良における、種々の処方物の効果を試験した。本発明の水性系のスケール抑制性能が改良されていることを示すために、次の操作を行った。約150倍の方解石飽和を達成するために、pH約8.8、60℃において、Ca+2150mg/L、炭酸カルシウムとしてアルカリ度600mg/L、オルトリン酸塩約2mg/Lを含むスケール形成水を使い、24時間にわたって、試験溶液(実施例19−30)のスケール抑制性能を評価した。試験溶液10gを取り出し、それを0.2ミクロン濾過器を通して適当な容器に加え、当業者に既知のSchwarzenbach 法によりカルシウムを滴定し、分光光度法によりPO4 3- を滴定し、当業者に既知の方法により抑制%を計算することにより、溶液を分析した。各例(実施例19−30)の試験溶液の構成を表2に示す。表2はまた、24時間にわたる上記スケール抑制活性評価の結果も示しており、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムの抑制%は、各例について24時間で計算した。
【0083】
表 2
【表2】
Figure 0004083845
表2は、少なくとも約8.5のpH及び方解石としてのカルシウムの溶解限度の少なくとも150倍(150×)の方解石飽和を有する水性系で炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムスケールが形成するのを抑制する種々の処方物の能力につき得られた結果を示す。
表2の実施例19−21、27、及び22−24、28は、本発明の水性系の相乗的組合せの単一成分を単独で、又は本発明の相乗的組合せのどれか2成分の組合せを、150倍の方解石飽和を有する水性系で使うとき、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムスケール両者の有効な抑制は達成されないことを示している。
【0084】
表2の実施例25、26は、少なくとも150倍の方解石飽和を有する水性系において、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムスケール両者の100%を抑制するためには、AR 540が少なくとも4mg/L、Belcor 575 が2.5mg/L、TRC が6mg/Lの濃度の組合せが必要なことを示している。しかし、少なくとも150倍の方解石飽和を有する水性系に関しては、2.0mg/L以上の濃度のBelcor 575の用いることは、上記と同様の理由で経済的に不利である。
実施例29、30は、本発明の相乗的組合せを用いると、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムスケール両者の100%を効果的に抑制できることを示している。実施例29、30は、TRC を6mg/L、AR 540 を6mg/Lの濃度で、そしてBelcor 575 を1mg/L、Belclene 494 を4mg/Lの濃度で(実施例29)、又はBelcor 575 を1.25mg/L、Belclene 494 を3.75mg/Lの濃度で(実施例30)用いる本発明の相乗的組合せは、少なくとも約150倍の方解石飽和レベルをもつ水性系に関し、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムスケール形成の両者の100%抑制を達成するための経済的に有利な方法であることを示している。
【0085】
実施例30−31
実施例30、31において、方解石としてのカルシウムの溶解限度の約150倍の方解石飽和を達成するために、約8.8のpH及び60℃で、Ca2+150mg/L及びオルトリン酸塩約2mg/Lを含むスケール形成水において、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウム両者の100%析出物制御を与え、腐食に対し保護を与える効果につき、処方物を試験した。実施例1−18に示した分析方法に従った。実施例30の処方物の構成は、TRC 約6mg/Lを含んでいた。本発明の相乗的組合せの例である、実施例31の処方物の構成は、TRC 約6mg/L、本発明の成分(B)6mg/L、本発明の成分(C)1mg/L、本発明の成分(D)4mg/L、安定剤モノエタノールアミン5mg/L、銅腐食防止剤トリルトリアゾール2mg/Lを含んでいた。
【0086】
温度制御装置を備えた加熱器、水を試験装置に循環するためのポンプ、所望のpHを維持するためのpHモニター及び制御装置、空気飽和を確保し、またpH制御のため必要なときは二酸化炭素ガスを導入するための通気装置を備えた8Lの容器内で腐食試験操作を実施した。試験用の鋼クーポン試料は、1010炭素鋼(UNS名称G10100)からなっており、これらを試験装置の水に浸漬した。年当たりミル(mpy)での腐食浸透速度を、標準ASTM−G1−88法により、7日後重量測定により決定した。試験装置で使った水の組成は次の通りであった。
【化14】
Figure 0004083845
表3は、24時間にわたるスケール析出物評価の結果を示し、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムの抑制%は、各例につき24時間で計算した。
【0087】
表 3
【表3】
Figure 0004083845
表3のデータは、本発明により開示された相乗的組合せを含有する水性系が、本技術分野で既知の処理よりも腐食速度を劇的に改良することを示していることは、当業者に明らかである。
上記データから、ここに記載の(A)ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナート、ここに記載の(B)ターポリマー、ここに記載の(C)ヒドロキシホスホノ酢酸、ここに記載の(D)ホスホノカルボン酸共重合体の相乗的組合せからなる本発明の方法及び水性系が、方解石としてのカルシウムの溶解限度の少なくとも100倍の方解石飽和レベルを有する水性系において、従来既知の組成物よりも、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムスケール両者の抑制を著しく改良するものであることが、当業者には理解されるであろう。さらに、本発明は、従来可能ではなかった水性系において、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムスケール形成の両者の100%抑制の問題に対する経済的解決策を提供する。
【0088】
本発明の特定の実施態様を例示の目的で説明してきたが、本発明の多数の変形と詳細が、特許請求の範囲に定義される本発明から逸脱することなく可能であることは、当業者に明らかであろう。

Claims (10)

  1. 少なくとも8.5のpHと、方解石としてのカルシウムの溶解限度の少なくとも100倍の方解石飽和レベルとを有する水性系におけるスケール形成塩類の生成、析出及び付着の抑制方法であって、(A)式:
    Figure 0004083845
    のポリエーテルポリアミノメチレンホスホナート(式中、nはそれ自体、若しくは平均で約2乃至約12である整数又は数であり;Mは水素又はアルカリ金属であり;また各Rは同一であるか又は異なることができ、かつ独立的に水素及びメチルから選ばれる)の少なくとも約1.0mg/Lの濃度を与える量;(B)アクリル酸、スルホフェノキシメタリルエーテル及びマレイン酸の各単量体からなり、約4,000乃至10,000の範囲内の重量平均分子量を有するターポリマーの少なくとも約2.0mg/Lの濃度を与えるのに十分な量;(C)ヒドロキシホスホノ酢酸の少なくとも約0.20mg/Lの濃度を与えるのに十分な量;並びに(D)アクリル酸、(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ホスフィン酸一ナトリウム塩を有するテロマー及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の各単量体からなるホスホノカルボン酸共重合体の少なくとも約0.75mg/Lの濃度を与えるのに十分な量の組合せの有効相乗量を該水性系に添加することからなる方法。
  2. 前記(A)ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートにおいて、Mが水素であり、各Rがメチルであり、かつnが約2乃至4である請求項1の方法。
  3. (A):(B):(C):(D)の重量比が約4:8:1:3乃至約5:10:1:4である請求項1の方法。
  4. 前記水性系に(A),(B),(C)及び(D)からなる前記相乗的組合せを添加することからなり、該(A)ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートを少なくとも約6.0mg/Lの濃度で存在させ、該(B)ターポリマーを少なくとも約6.0mg/Lの濃度で存在させ、該(C)ヒドロキシホスホノ酢酸を少なくとも約1.0mg/Lの濃度で存在させ、該(D)ホスホノカルボン酸共重合体を少なくとも約3.75mg/Lの濃度で存在させ、前記水性系が方解石としてのカルシウムの溶解限度の少なくとも150倍の方解石飽和レベルを有する請求項1の方法。
  5. 更に、安定剤及び腐食防止剤からなる群より選ばれた1種以上を添加することを含む請求項1の方法。
  6. スケール形成塩類を含み、かつpHが少なくとも8.5であり、方解石飽和レベルが方解石としてのカルシウムの溶解限度の少なくとも100倍である高いpHと高い方解石濃度を有することにより特徴づけられる水性系であって、更に(A)式:
    Figure 0004083845
    のポリエーテルポリアミノメチレンホスホナート(式中、nはそれ自体又は平均で約2乃至約12である整数又は整数でない数であり;Mは水素又はアルカリ金属であり;また各Rは同一であるか又は異なることができ、かつ独立的に水素及びメチルから選ばれる);(B)アクリル酸、スルホフェノキシメタリルエーテル及びマレイン酸の各単量体からなるターポリマーであって、その重量平均分子量が約4,000乃至10,000の範囲内にあるターポリマー;及び(C)ヒドロキシホスホノ酢酸;及び(D)アクリル酸、(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ホスフィン酸一ナトリウム塩を有するテロマー及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の各単量体からなるホスホノカルボン酸共重合体からなる組合せの有効相乗量を含んでいる水性系。
  7. 前記(A)ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートにおいて、Mが水素であり、各Rがメチルであり、かつnが約2乃至4である請求項6の水性系。
  8. A:B:C:Dの重量比が4:8:1:3乃至約5:10:1:4である請求項6の水性系。
  9. 前記ポリエーテルポリアミノメチレンホスホナートが少なくとも約1.0mg/Lの濃度で存在し、前記ターポリマーが少なくとも約2.0mg/Lの濃度で存在し、前記ヒドロキシホスホノ酢酸が少なくとも約0.20mg/Lの濃度で存在し、さらに前記ホスホノカルボン酸共重合体が少なくとも約0.75mg/Lの濃度で存在する請求項6の水性系。
  10. 更に、安定剤及び腐食防止剤からなる群より選ばれた1種以上を含む請求項6の水性系。
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