JP4082795B2 - リフレクター内蔵バルーン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明はリフレクター内蔵バルーンに関する。より詳細には、本発明は、レーダーに対する応答性が高く、レーダー応答性の経時低下が少なく、夜間、曇天時、降雨時等のような外気温度の低い時の浮力低下および経的な浮力低下が少なくて大気中に良く浮揚し、耐圧性に優れていて破裂が生じにくく、しかもバルーン本体用の積層フィルムやリフレクター用の積層フィルムの製造、バルーン本体およびリフレクターの製作・組み立てなどを良好な成形加工性で行うことのできるリフレクター内蔵バルーンに関する。
【0002】
【従来の技術】
大気中に浮揚するバルーン(気球、風船)内にレーダー応答性のリフレクターを配置したリフレクター内蔵バルーンは公知であり、実用新案登録第3025393号公報、実開平5−82118号明細書等に記載されている。このリフレクター内蔵バルーンを携帯し、遭難した時などに大気中に浮揚させると、捜索者のレーダーがバルーンを探知して遭難者の位置を知り、救助が可能である。
【0003】
従来公知のリフレクター内蔵バルーンは、一般に、塩化ビニリデン樹脂などからなるガスバリアー性の層を有するフィルムから形成されたバルーン本体内に金属を蒸着したリフレクターを内蔵させた構造を有している。
しかしながら、そのような従来のリフレクター内蔵バルーンは、保管時間が長くなるにつれてレーダーに対する応答性が次第に低下するという欠点を有している。しかも、従来のリフレクター内蔵バルーンは、晴天の日中などのような外気温度の高いときには充分な浮力を有し大気中に浮揚させることができるが、夜間、曇天時、降雨時などのような外気温度の低い時には浮力が低下して大気中で十分に浮揚せず、その上滞空時間が長くなるにつれて浮力が経時的に低下する。
また、耐圧性が低く、バルーンの内圧が高かったりバルーンに外部から圧力がかかると、破裂などのトラブルを生じ易い。さらに、バルーン本体用のフィルムの製造時、リフレクター用のフィルムの製造時、バルーン本体やリフレクターの製造・組み立て時などにおける成形加工性が必ずしも良好ではないという欠点がある。
【0004】
従来のリフレクター内蔵バルーンにおける上記したレーダーに対する応答性の経時低下の原因は必ずしも明らかではないが、バルーン本体内に大気中の酸素が徐々に侵入して、リフレクターにおける金属蒸着層が酸素によって次第に酸化され、その少なくとも一部がレーダー応答性のない酸化物となることに主因があるものと考えられる。また、外気温度が低い時のリフレクター内蔵バルーンの浮力の低下は、バルーン本体内に充填されているヘリウムガスなどのバルーン浮揚用ガスが、外気温度の低下に伴って収縮して、バルーン体積が減少することに起因するものと推定される。更に、浮力の経時的な低下は、バルーン本体を構成する素材のガスバリアー性の欠如に起因するものと考えられる。また、耐圧性の欠如は、バルーン本体の設計、バルーン本体を構成する素材の選択、バルーン本体を構成する素材の製造方法や加工方法などの不適切に起因するものと考えられる。
そして、バルーン本体用のフィルムの製造時、リフレクター用のフィルムの製造時、バルーン本体やリフレクターの製造・組み立て時などにおける成形加工性が劣る点は、バルーンの設計、バルーンを構成する素材の選択や製造方法の不適切などによるものと考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来のリフレクター内蔵バルーンにおける上記したような種々の欠点を解消することであり、具体的には、レーダー応答性の経時的な低下の防止、外気温度が低い時の浮力低下の防止、浮力の経時的な低下の防止、耐圧性の向上、バルーン本体用のフィルム、リフレクター用のフィルムの製造時、バルーン本体およびリフレクターの製作・組み立て時などにおける成形加工性の向上にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した目的を達成するために種々検討を重ねてきた。その結果、バルーン本体をビニルアルコール系重合体層(特に二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層)と他の可撓性重合体層(特に線状低密度ポリエチレン層または線状低密度ポリエチレン層とポリアミド層)を有し且つ特定値以下の酸素透過度を有する積層フィルムを用いて形成し、それにより得られるバルーン本体内にリフレクターを内蔵させると、レーダー応答性の経時的な低下が少なく、外気温度が低い時の浮力の低下が少なく、浮力の経時的な低下が少なく、耐圧性に優れ、しかもバルーン本体用のフィルム、リフレクター用のフィルムの製造時、バルーン本体およびリフレクターの製作・組み立て時などにおける成形加工性に優れる、商品価値の高いリフレクター内蔵バルーンが得られることを見出した。また、本発明者らは、バルーン本体を上記した特定の積層フィルムより形成したリフレクター内蔵バルーンにおいて、リフレクターとして、アルミニウム蒸着層と熱可塑性重合体層を有する積層フィルム(特にアルミニウム蒸着層を有する二軸延伸熱可塑性重合体フィルム層と線状低密度ポリエチレン層を有する積層フィルム)を用いて形成したものを用いると、上記した諸特性に一層優れるリフレクター内蔵バルーンが得られることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、リフレクター内蔵バルーンであって、
(i)バルーン本体が、
・エチレン含有量3〜65モル%およびケン化度95%以上の、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層並びに密度0.89〜0.93g/cm 3 の線状低密度ポリエチレン層を有し、前記線状低密度ポリエチレン層が積層フィルムの少なくとも一方の表面に存在する、25℃、65%RHにおける酸素透過度が10ml/m 2 ・day・atm以下の積層フィルム;または、
・エチレン含有量3〜65モル%およびケン化度95%以上の、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層、密度0.89〜0.93g/cm 3 の線状低密度ポリエチレン層並びにポリアミド層を有し、前記線状低密度ポリエチレン層が積層フィルムの少なくとも一方の表面に存在する、25℃、65%RHにおける酸素透過度が10ml/m 2 ・day・atm以下の積層フィルム;
から形成されており;
ii )リフレクターが、アルミニウム蒸着層を有する二軸延伸熱可塑性重合体フィルム層および密度0.89〜0.93g/cm 3 の線状低密度ポリエチレン層を有する積層フィルムから形成されており;且つ、
iii )バルーン本体がバルーン本体形成用の積層フィルムの熱融着によって形成されていて、バルーン本体内に、リフレクターを、バルーン本体の外部の全方向からレーダー応答可能に、リフレクターの一部をバルーン本体に熱融着固定して配置してある;
ことを特徴とするリフレクター内蔵バルーンである。
なお、本発明でいう、上記の「25℃、65%RHにおける酸素透過度」とは、温度25℃、湿度65%RHの条件下に、JIS K7126に準じて測定した酸素透過度をいう。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のリフレクター内蔵バルーンは、バルーンに浮力を付与するためのヘリウムガスなどの浮揚用ガスを充填するバルーン本体と、該バルーン本体内に内蔵されたレーダー応答性のリフレクターを有する。
【0009】
本発明では、バルーン本体が、
・エチレン含有量3〜65モル%およびケン化度95%以上の、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層並びに密度0.89〜0.93g/cm 3 の線状低密度ポリエチレン層を有し、前記線状低密度ポリエチレン層が積層フィルムの少なくとも一方の表面に存在する、25℃、65%RHにおける酸素透過度が10ml/m 2 ・day・atm以下の積層フィルム;または、
・エチレン含有量3〜65モル%およびケン化度95%以上の、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層、密度0.89〜0.93g/cm 3 の線状低密度ポリエチレン層並びにポリアミド層を有し、前記線状低密度ポリエチレン層が積層フィルムの少なくとも一方の表面に存在する、25℃、65%RHにおける酸素透過度が10ml/m 2 ・day・atm以下の積層フィルム;
から形成されていることが必要である。
バルーン本体を形成する積層フィルム(以下「バルーン本体用積層フィルム」ということがある)は、前記条件下で測定した酸素透過度が8ml/m2・day・atm以下であることが好ましく、5ml/m2・day・atm以下であることがより好ましく、1ml/m2・day・atm以下であることが更に好ましい。バルーン本体用積層フィルムの酸素透過度が10ml/m2・day・atmよりも高いと、レーダー応答性の経時的な低下、外気温度が低い時の浮力の低下、浮力の経時的な低下を生じ、耐圧性に劣ったものとなり、目的とするリフレクター内蔵バルーンが得られなくなる。
バルーン本体用積層フィルムにおける10ml/m2・day・atm以下の極めて低い酸素透過度は、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層によって主としてもたらされる。
【0010】
バルーン本体用積層フィルムにおける二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層は、バルーン本体用積層フィルムに上記した10ml/m2・day・atm以下の低い酸素透過度を与え、当該二軸延伸該エチレン−ビニルアルコール共重合体層を有する積層フィルムからバルーン本体を形成することにより、ガスバリアー性が高くて、レーダー応答性の経時的な低下、外気温度が低い時の浮力低下および経時的な浮力低下がなく、耐圧性に優れ、しかも成形加工性、可撓性、耐ピンホール性などに優れるバルーン本体、ひいてはリフレクター内蔵バルーンを円滑に得ることができる。
【0011】
バルーン本体用積層フィルムに用いるエチレン−ビニルアルコール共重合体は、一般的にエチレンと酢酸ビニルなどのビニルエステルとをラジカル重合触媒を用いて共重合した後、アルカリでケン化して得られる。バルーン本体用積層フィルムに用いるエチレン−ビニルアルコール共重合体では、該積層フィルムおよびバルーン本体のガスバリアー性が一層高くなり、しかも可撓性に優れる点から、そのエチレン含有率が3〜65モル%であること好ましく、5〜55モル%であることがより好ましく、20〜50モル%であることが更に好ましく、25〜35モル%であることが一層好ましい。
【0012】
また、バルーン本体用積層フィルムを構成するエチレン−ビニルアルコール共重合体は、バルーン本体用積層フィルム、ひいてはバルーン本体のガスバリヤー性が高くなり、且つ成形加工性に優れることから、そのビニルアルコール単位(ビニルエステル単位)におけるケン化度が95%以上であることが好ましく、97%以上であることがより好ましく、99%以上であることが更に好ましい。
【0013】
バルーン本体用積層フィルムに用いるエチレン−ビニルアルコール共重合体において、そのエチレン含有率が上記した3モル%未満であると、またビニルアルコール単位におけるケン化度が95%未満であると、高湿時にエチレン−ビニルアルコール共重合体が吸湿して、重量増加やガスバリヤー性の低下を生じて、バルーンの浮力の経時的な低下、リフレクターにおけるアルミニウム蒸着層又はアルミニウム箔の酸化に起因するレーダー応答性の経時的な悪化などを招くことがある。また、バルーン本体用積層フィルムに用いるエチレン−ビニルアルコール共重合体において、そのエチレン含有率が上記した65モル%を超えると、低湿時および高湿時を問わずガスバリアー性が不充分となり、バルーンの浮力の経時的低下、リフレクターにおけるアルミニウム蒸着層又はアルミニウム箔の酸化に起因するレーダー応答性の経時的な悪化などを生ずる。要するに、エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン含有率およびケン化度を前記した好ましい範囲に設定すると、本発明の効果が一層顕著に奏せられる。
【0014】
バルーン本体用積層フィルムは、(1)予め製造しておいた二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムを、線状低密度ポリエチレンフィルム、または線状低密度ポリエチレン層とポリアミド層を有する積層フィルム(以下、線状低密度ポリエチレンおよびポリアミドを総称して「他の可撓性重合体」ということがある)と積層して形成したものであっても、(2)エチレン−ビニルアルコール共重合体を他の可撓性重合体フィルム上に押出被覆して積層し二軸延伸したものであっても、(3)他の可撓性重合体を二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム上に押出被覆して積層したものであっても、(4)エチレン−ビニルアルコール共重合体と他の可撓性重合体を共押出して積層し二軸延伸して形成したものであってもよい。
【0015】
バルーン本体用積層フィルムにおけるエチレン−ビニルアルコール共重合体層が二軸延伸したエチレン−ビニルアルコール共重合体層からなっていることよって、ガスバリアー性が一層高くなり、しかも二軸延伸によるフィルムの薄膜化、高強度化、剛性の向上がなされる。その結果、バルーン本体用積層フィルムの薄膜化による浮力の向上、該積層フィルムの剛性および強度の向上、浮力の経時的低下の防止、レーダー応答性の経時的な低下の防止、耐圧性の向上、バルーン本体用積層フィルムやバルーン本体の成形加工性の向上などを一層円滑に達成することができる。二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層における延伸倍率は、一般に縦横方向とも2〜6倍程度であることが好ましい。
【0016】
バルーン本体用積層フィルムでは、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層の厚さ(二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムを用いる場合はフィルムの厚さ)は、レーダー応答性の経時的な低下の防止の観点からは出来るだけ厚くして酸素透過度を低減した方が好ましい。また、バルーン本体に充填したヘリウムガスなどの浮揚用ガスのバルーン外への散逸をできるだけ低減して経時的な浮力の低下を防止するという観点からも、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層をできるだけ厚くして、そのガスバリアー性を高くすることが好ましい。しかしながら、浮力向上の観点からは二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層の厚さを出来るだけ薄くしてバルーン本体の重量を軽減することが好ましい。
そのため、バルーン本体用積層フィルムにおいては、上記したレーダー応答性の経時的な低下の防止、浮力の経時的な低下の防止、およびバルーン本体の重量軽減による浮力の確保の調和を図ることが重要であり、これらの観点から、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層の厚さは、1〜30μmであることが好ましく、2〜25μmであることがより好ましく、3〜20μmであることが更に好ましく、4〜15μmであることが一層好ましい。
【0017】
本発明では、バルーン本体形成用積層フィルムは、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層と共に、他の可撓性重合体層として、線状低密度ポリエチレン層を有するか、または線状低密度ポリエチレン層とポリアミド層を有している(以下、線状低密度ポリエチレン層およびポリアミド層を単に「可撓性重合体層」ということがある)。バルーン本体用積層フィルムにおける他の可撓性重合体層は、バルーン本体用積層フィルム、ひいてはバルーン本体に対して、耐圧強度、耐折強度、引張強度、靭性、保形性、熱融着性などの特性を付与するのに寄与する。バルーン本体用積層フィルムは、他の可撓性重合体層として線状低密度ポリエチレンよりなる層を有している限りは、他の可撓性重合体を1層だけ有していても、またはバルーン本体用積層フィルム、ひいてはバルーン本体の重量が大きく過ぎない限りは、他の可撓性重合体よりなる層を2層以上有していてもよい。
【0018】
バルーン本体用積層フィルムにおける他の可撓性重合体層、バルーン本体用積層フィルム全体の可撓性を損なわず、機械的強度、耐折強度に優れ、バルーン本体内に内蔵されているリフレクターのレーダー応答性を阻害せず、しかもバルーン本体用積層フィルムの重量を大きくし過ぎないという観点から、線状低密度ポリエチレン層であるか、または線状低密度ポリエチレン層とポリアミド層である
【0019】
熱融着法によってガス漏れのないバルーン本体を簡単に且つ円滑に製造することができるようにするために、更には熱融着法によってバルーン本体にリフレクターを簡単に且つ強固に取り付け得るようにするために、バルーン本体用積層フィルムは、他の可撓性重合体層として、比較的低い温度で熱融着可能な可撓性の熱可塑性重合体である線状低密度ポリエチレンよりなる層を少なくとも1層有する。したがって、本発明は、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層と線状低密度ポリエチレン層を有するバルーン本体用積層フィルムであって且つ該積層フィルムの少なくとも一方の表面に線状低密度ポリエチレン層が存在する25℃、65%RHの条件下での酸素透過度が10ml/m2・day・atm以下であるバルーン本体用積層フィルム[以下これを「バルーン本体用積層フィルム(a−1)ということがある]を用いて形成したバルーン本体を有し、その内部にリフレクターを内蔵させたリフレクター内蔵バルーンを包含する。
【0020】
また、バルーン本体用積層フィルムにおける他の可撓性重合体層として、線状低密度ポリエチレン層と共にポリアミド層を有する層を設けると、線状低密度ポリエチレン層による比較的低い温度での優れた熱融着性と共に、ポリアミド層によって高い耐圧強度および耐折強度がバルーン本体用積層フィルムに付与される。したがって、本発明は、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層、線状低密度ポリエチレン層およびポリアミド層を有するバルーン本体用積層フィルムであって、且つ線状低密度ポリエチレン層が一方または両方の表面に存在する、10ml/m2・day・atm以下の酸素透過度を有するバルーン本体用積層フィルム[以下これを「バルーン本体用積層フィルム(a−2)」ということがある]を用いて形成したバルーン本体を有し、その内部にリフレクターを内蔵させたリフレクター内蔵バルーンを包含する。ポリアミド層を有するバルーン本体用積層フィルム(a−2)は、ポリアミド層を1層だけ有していても又は2層以上有していてもよい(例えば二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層の両側に有する場合)。
【0021】
他の可撓性重合体層として線状低密度ポリエチレン層を有する上記したバルーン本体用積層フィルム(a−1)および(a−2)では、バルーン本体の耐圧性の向上、重量軽減、バルーン本体用積層フィルムの製造時やバルーン本体の形成時、バルーン本体へのリフレクターの接合時の成形性や加工性などの点から、線状低密度ポリエチレン密度0.89〜0.93g/cm 3 の線状低密度ポリエチレンからなっている
【0022】
バルーン本体用積層フィルムにおける他の可撓性重合体層の厚さは、該層を形成する重合体の種類、延伸の有無などに応じて調節し得るが、バルーン本体用積層フィルムに必要な強度、耐久性、ガスバリヤー性などを確保しながら、軽量化して浮力を向上させるためには、一般に5〜100μm程度の厚さ(他の可撓性重合体層を2層以上有する場合はその合計の厚さ)であることが好ましく、10〜80μm程度の厚さであることがより好ましい。
また、バルーン本体用積層フィルム全体の厚さは10〜150μmであることが好ましく、15〜100μmであることがより好ましい。
【0023】
バルーン本体用積層フィルムの製造法は特に制限されず、例えば、上述のように、エチレン−ビニルアルコール共重合体および他の可撓性重合体を共押出した後延伸して製造する方法;予めフィルム状に成形されている他の可撓性重合体フィルム上にエチレン−ビニルアルコール共重合体を押出被覆し延伸する方法;予めフィルム状に成形されている二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム上に他の可撓性重合体を押出被覆する方法;予めフィルム状に成形されている二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムと他の可撓性重合体フィルムを接着剤を用いて又は溶着などにより接着して積層する方法;予めフィルム状に成形されている二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム上に他の可撓性重合体溶液を塗布、乾燥して膜状に積層させる方法などを採用することができる。
【0024】
本発明のリフレクター内蔵バルーンでは、バルーン本体内に配置するリフレクターは、アルミニウム蒸着層を有する二軸延伸熱可塑性重合体フィルム層および密度0.89〜0.93g/cm 3 の線状低密度ポリエチレン層を有する積層フィルムを用いて形成されており、これにより、レーダー応答性に優れ、しかも軽量でリフレクター内蔵バルーンの浮力が大きくなる
アルミニウム蒸着層を含めたリフレクターの形成に用いる積層フィルム(以下「リフレクター用積層フィルム」ということがある)の全体の厚さは、一般に10〜100μmの範囲であることが好ましく、15〜80μmの範囲であることがより好ましい。
その際に、リフレクター用積層フィルムにおける二軸延伸熱可塑性樹脂フィルム層の厚さは、軽量性、強度、耐久性、剛性などの点を総合的に勘案して決めるのがよい。
【0025】
リフレクター用積層フィルムにおける上記した二軸延伸熱可塑性樹脂フィルム層は、アルミニウム蒸着層との接着性に優れ、強度が高く、軽量で、且つアルミニウム蒸着層によるレーダーへの応答を妨げず、熱融着が可能な熱可塑性樹脂よりなる層であればいずれでもよく、例えばポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネートなどからなることが好ましい。
また、リフレクター用積層フィルムが二軸延伸熱可塑性樹脂フィルム用いて形成されていることにより、リフレクター用積層フィルムの強度や耐久性を良好に保ちながら、薄層化が可能になり、リフレクターを軽量化することができる。
【0026】
本発明で用いている、アルミニウム蒸着層、二軸延伸熱可塑性重合体フィルム層および密度0.89〜0.93g/cm 3 の線状低密度ポリエチレン層を有する積層フィルム[以下これを「リフレクター用積層フィルム(b−1)」ということがある]は、軽量性、耐久性、リフレクター用積層フィルムの製造時の成形性、リフレクターを作製する際の加工性や熱融着性、バルーン本体にリフレクターの一部を熱融着して取り付ける際の加工性などに優れ、しかもレーダー応答性に優れている。
【0027】
リフレクター用積層フィルム(b−1)おけるポリエチレン層が密度0.89〜0.93g/cm 3 の線状低密度ポリエチレンよりなる層であることにより、リフレクター用積層フィルムを製造する際の成形性、リフレクター製作時の加工性、リフレクターの重量軽減、バルーン本体へのリフレクターの溶着性などが好ましいものとなる。
【0028】
また、上記のリフレクター用積層フィルム(b−1)における二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリプロピレン、ポリアミドまたはポリエステルの二軸延伸フィルムが好適に使用され、そのうちでも、単位膜厚あたりの剛性が大きく、薄層化が可能で、且つ成形加工性に優れる点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが最も好ましく用いられる。
さらに、リフレクター用積層フィルム(b−1)における二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムの膜厚は、成形加工性及び軽量化による浮力保持の観点から、好ましくは5〜50μm、より好ましくは7〜30μm、更に好ましくは8〜25μm、最も好ましくは9〜15μmである。
また、リフレクター用積層フィルム(b−1)における二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムにおける延伸倍率は、縦横共2〜6倍であることが好ましい。
【0029】
アルミニウム蒸着層を有するリフレクター用積層フィルム(b−1)において、アルミニウム蒸着層の厚さは、レーダー応答性を良好にし、レーダー応答性の経時的な低下を防止する点、および経済性などの観点から、50〜5000オングストローム(Å)であることが好ましく、100〜1000Åであることがより好ましく、150〜800Åであることが更に好ましい。
【0030】
アルミニウム蒸着層を有するリフレクター用積層フィルム(b−1)では、レーダー応答性の点からはフィルムの全面にアルミニウム蒸着層を有しているのがよいが、フィルム面の一部にアルミニウム蒸着層の形成されていない部分があっても構わない。例えば、リフレクター用積層フィルム(b−1)よりなる複数のフィルム片を溶着してリフレクターを作製する際に、フィルム片相互間の接着強度を確保する目的で、融着させる部分のアルミニウム蒸着層をアルカリで溶解除去する処理、いわゆるパスター加工などを一部行ってもよい。
【0031】
一般的に入手可能なアルミニウム箔は、その厚さが通常7μm以上のものが多く、そのためレーダー応答層としてはアルミニウム箔層を採用するよりも、アルミニウム蒸着層を採用する方が、リフレクターの軽量化、ひいてはそれを内蔵するバルーンの軽量化、浮力保持、経済性の観点からは有利である。
【0032】
リフレクター用積層フィルムの製造法は特に制限されず、本発明で用いる上記したリフレクター用積層フィルム(b−1)、例えば、アルミニウム蒸着層を有する二軸延伸樹脂フィルムと密度0.89〜0.93g/cm 3 の線状低密度ポリエチレンフィルムをドライラミネート法により積層する方法;アルミニウム蒸着層を有する二軸延伸樹脂フィルムにおける樹脂面に密度0.89〜0.93g/cm 3 の線状低密度ポリエチレンを押出被覆する方法;二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムと密度0.89〜0.93g/cm 3 の線状低密度ポリエチレンフィルムとの積層フィルムの表面にアルミニウムを蒸着させる方法などを挙げることができる。
【0033】
本発明のリフレクター内蔵バルーンにおいては、バルーン本体が、上記したバルーン本体用積層フィルム(a−1)および/または(a−2)を用いて形成され、リフレクターが上記したリフレクター用積層フィルム(b−1)を用いて形成されておりそれによって、レーダー応答性が極めて高くなり、レーダー応答性の経時的な低下が極めて少なくなり、外気温度が低い時の浮力の低下が極めて少なくなり、浮力の経時的な低下が極めて少なくなり、耐圧性および軽量性に極めて優れたものとなり、しかもリフレクター内蔵バルーンの製造時などにおける成形加工性に極めて優れたものとなる。その際に、バルーン本体用積層フィルム(a−1)および(a−2)における線状低密度ポリエチレン層と、リフレクター用積層フィルム(b−1)における線状低密度ポリエチレン層とは、バルーン本体にリフレクターの一部を溶着する際にシール強度が充分に得られてバルーン内に充填したヘリウムガスなどの浮揚用ガスの漏れを一層良好に防止でき、バルーンの耐圧性が一層良好になる点から、同一の重合体から形成されていることが好ましい。
【0034】
本発明では、バルーン本体の形状、構造、サイズなどは特に制限されず、その使用目的や使用形態などに応じて適宜選択することができる。限定されるものではないが、バルーン本体の形状は、例えば、立方体状(サイコロ状)、直方体状、球形、紡錘形、楕円球形(ラグビーボール状)、三角錘形などにすることができる。
バルーン本体の製造法は特に制限されないが、製造を目的とするバルーン本体の形状に応じて上記したバルーン本体用積層フィルムを所定の形状に裁断し、それをガス漏れが生じないように熱融着してシールする方法が、バルーン本体の製造の容易性、シールの完全性などの点から好ましく採用される。
【0035】
また、本発明では、バルーン本体に内蔵するリフレクターの形状および構造、バルーン本体内へのリフレクターの取り付け方も特に制限されず、バルーン本体内にリフレクターを内蔵した状態で、バルーン本体の外部の全方向(あらゆる角度)からレーダーに対して応答が可能であるような形状、構造および取り付け方であればよい。特に、上記したリフレクター形成用積層フィルムから裁断などによって複数のフィルム片を作製し、それらのフィルム片を垂直方向、それと直交する垂直方向または放射状に交差する垂直方向、および水平方向にそれぞれ配置して結合してリフレクターを製造すると、あらゆる角度からのレーダー応答性に優れるリフレクターを得ることができる。何ら限定されるものではないが、そのようなリフレクターの一例としては、図2の(c)に示すものを挙げることができる。
また、本発明におけるリフレクターは、上記した実用新案登録第3025393号公報や実開平5−82118号明細書に記載されているような形状および構造を有していてもよい。
【0036】
本発明のリフレクター内蔵バルーンでは、ヘリウムガス等の浮揚用ガスの吹込機能と吹込まれたガスの逆流防止機能を備える耐圧弁(逆止弁等)をバルーン本体に設けておくことが好ましい。それによって、不使用時にはバルーン本体内にガスを充填せずに持ち運びに便利なように小さくしておき、緊急時などに、前記耐圧弁からヘリウムガスなどの浮揚用ガスをバルーン本体内に充填して空気中に浮揚させて、探索者などによるレーダーに応答することができる。前記の耐圧弁としては、バルーン(気球等)において従来から用いられている耐圧弁のいずれを使用してもよく、例えば特公昭52−11898号公報、実開昭49−90510号明細書等に開示されているものなどを採用することができる。その場合に、耐圧弁を、バルーン本体用積層フィルムにおいて用いられている線状低密度ポリエチレンと同じかまたは同種の重合体により製造しておくと、バルーン本体への耐圧弁の溶着強度が高くなるので好ましい。
【0037】
本発明のリフレクター内蔵バルーンは、必要に応じて「SOS」等の印刷などを施しておいてもよい。そして、不使用時(平常時)にはバルーン本体内部の空気を充分に脱気しておき、好ましくはリフレクターにおけるアルミニウム蒸着層またはアルミニウム箔の酸化防止の目的でバルーン内部の空気を窒素等の不活性ガスで充分置換後脱気して折り畳み、保管しておき、海上又は山岳等での遭難時には、ヘリウムや水素などの大気よりも比重の軽い浮揚用ガスをバルーン内に充填して空中に浮揚、滞空させ、船舶や航空機などに搭載されたレーダー及び目視による探索を待つことにより、遭難者の早期発見、人命救助等に有効に利用される。
また、本発明のリフレクター内蔵バルーンは、遭難時の救助以外の目的に使用してもよく、例えば、山岳、海上、草原などにおいて、航空機等から荷物などを落下する必要のある場所の目印のためなどに使用することができる。
【0038】
上記したように、本発明のリフレクター内蔵バルーンは、夜間、曇天時、降雨時などのような外気温度の低い時にも浮力の低下が少なく、空気中の円滑に滞留させることができる。その理由は必ずしも明らかではないが、バルーン本体を形成している二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層の赤外熱遮蔽効果と関連が有るものと推定される。
即ち、従来のリフレクター内蔵バルーンでは、日中は、太陽熱により相対的に外気温度が高いので、バルーン本体内のガスおよびリフレクター部が暖められて蓄熱するが、夜間等の外気温度の低い時には、逆にガスおよびリフレクターに蓄熱された熱が徐々にバルーン本体のフィルムを通し外部放出され、バルーン本体内に充填されたガスが温度低下によって体積を減じてバルーン自体が収縮しバルーンの浮力が低下する。これに対して、本発明のリフレクター内蔵バルーンでは、バルーン本体を形成している二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層が、従来のリフレクター内蔵バルーンに用いられていたフィルム(例えば塩化ビニリデン樹脂層を有するフィルムなど)に比較して、格段に優れる赤外熱遮蔽効果を有しているために、日中の高温時にバルーン本体内のガスおよびリフレクターに蓄熱された熱がバルーン外に放出するのを有効に阻止して、バルーン本体内に充填されているガスの体積の減少を防止し、その結果として外気温度が低下した時の浮力の低下が少なからず軽減されるものと推定される。
【0039】
【実施例】
以下に実施例により本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されない。以下の例において、バルーン本体用積層フィルムの酸素透過度の測定、リフレクター内蔵バルーンのレーダー応答性、浮力保持性および耐圧性の評価、並びにバルーン本体用積層フィルムおよびリフレクター用積層フィルムの製造時、該積層フィルムのバルーン本体やリフレクターの製作時、バルーン本体へのリフレクターの溶着時の成形加工性の評価は、次のようにして行った。
【0040】
(1)バルーン本体用積層フィルムの酸素透過度:
以下の例で製造したバルーン本体用積層フィルムの酸素透過度を、酸素透過度測定装置(MODERN CONTROLS,INC.社製「MOCON OX−TRAN10/50型」)を使用して、25℃、65%RHの条件下に、JIS K7126に準じて測定した。
【0041】
(2)レーダー応答性:
(i)リフレクター内蔵バルーンの製造直後のレーダー応答性:
以下の例で製造したリフレクター内蔵バルーン内にヘリウムガスを所定圧まで充填した後、それを長さ7mの糸の一端に繋ぎ、前記の糸のもう一方の端を、レーダー(周波数9400MHz、出力30KW)を搭載した船舶から10Km離れた海上に浮かべた救命ボートに固定して、該リフレクター内蔵バルーンを救命ボートに繋いだ状態で空中に浮遊せしめ、レーダーによる応答性を下記の表1に示す評価基準にしたがって評価した。
【0042】
【表1】
Figure 0004082795
【0043】
(ii)リフレクター内蔵バルーンの製造後3年経過後のレーダー応答性:
以下の例で製造したリフレクター内蔵バルーン内部の空気を窒素で充分置換し、折畳んで室内に3年間保管した。3年保管後のリフレクター内蔵バルーンにヘリウムガスを所定圧まで充填し、上記(i)と同様にしてレーダー応答性の評価を行った。
【0044】
(3)浮力保持性:
(i)外気温度低下時の浮力保持性:
以下の例で製造したリフレクター内蔵バルーン内の空気を十分に抜いた後、35℃の室内で該リフレクター内蔵バルーン内にヘリウムガスを所定圧力まで充填して24時間放置し、そのときの浮力保持性を下記の表2に示す評価基準にしたがって評価した。
【0045】
【表2】
Figure 0004082795
【0046】
(ii)経時的な浮力保持性:
以下の例で製造したリフレクター内蔵バルーン内に30℃の室内でヘリウムガスを所定圧まで充填し、15日経過後のリフレクター内蔵バルーンの浮力保持性を上記の表2に示す評価基準にしたがって評価した。
【0047】
(4)耐圧性:
以下の例で製造したリフレクター内蔵バルーン内にヘリウムガスを所定圧まで充填した後、バルーン上部に荷重をかけ、荷重を徐々に増加させて、バルーンの破裂の有無または状態から、下記の表3に示す評価基準にしたがって耐圧性の評価を行った。
【0048】
【表3】
Figure 0004082795
【0049】
(5)成形加工性:
バルーン本体用積層フィルムおよびリフレクター用積層フィルムを製造する際の成形性(ラミネート加工性)、バルーン本体およびリフレクターの作製時並びにリフレクターのバルーン本体への溶着時の加工性(主にシール加工性)を下記の表4に示す評価基準にしたがって評価した。
【0050】
【表4】
Figure 0004082795
【0051】
《実施例1》
この実施例1では図を参照して、本発明のリフレクター内蔵バルーン(一例)の製造方法について説明する。
(1)バルーン本体用積層フィルムの製造:
(i) エチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有率27モル%、ケン化度99.5%)の二軸延伸フィルム(延伸倍率=縦4倍×横4倍、膜厚=10μm)の片面に、ウレタン−イソシアネート系接着剤(武田薬品工業株式会社製「タケラックA−385/タケネートA−10」)を固形分2.5g/m2の目付で塗布した後、その塗布面に線状低密度ポリエチレン(三井石油化学工業株式会社製「ウルトゼックス1520L」、密度0.915g/cm3、融点115℃)のフィルム(膜厚15μm)をドライラミネート法により積層し、[二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム層]/[線状低密度ポリエチレンフィルム層]よりなるバルーン本体用積層フィルム(総厚25μm)を製造した。これにより得られたバルーン本体用積層フィルムの酸素透過度を上記した方法で測定したところ、下記の表6に示すとおりであった。
(ii)バルーン本体用積層フィルム片の作製:
上記(i)で得られた[二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム層]/[線状低密度ポリエチレンフィルム層]よりなるバルーン本体用積層フィルム(総厚25μm)を裁断して、図1の(a)に示すような、縦×横=45cm×45cmの正方形のバルーン本体用フィルム片(A)を作製した。なお、以下の(3)に説明するように、1個のバルーン本体はこのバルーン本体用フィルム片6枚を立方体形(サイコロ状)に融着して形成される。
【0052】
(2)リフレクターの製造:
(i)リフレクター用積層フィルムの製造:
片面にアルミニウム蒸着層(蒸着層厚450Å)を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製「ルミラー#12」、膜厚12μm)の非蒸着面にウレタン−イソシアネート系アンカー剤(武田薬品工業株式会社製「タケラックA3205/タケネートA3065」)を固形分0.5g/m2の目付で塗布した後、該塗布面に、線状低密度ポリエチレン(三井石油化学工業株式会社製「ウルトゼックス1520L」)を膜厚13μmとなるように押出被覆して、[アルミニウム蒸着層]/[二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム層]/[線状低密度ポリエチレン層]よりなるリフレクター用積層フィルム(総厚25μm)を製造した。
【0053】
(ii)リフレクターの側板用フィルム片の作製:
上記(i)で得られたリフレクター用積層フィルム(総厚25μm)を裁断して、図1の(b)に示すような、縦×横=23cm×45cmの長方形のリフレクターの側板用フィルム片(B)を作製した。なお、後記するように1個のリフレクターの製造にこの側板用フィルム片(B)を4枚使用する。
【0054】
(iii)リフレクターの中央板用板(中央板用フィルム片)の作製:
iii −1 ) 上記(i)で得られたリフレクター用積層フィルム(総厚25μm)において、そのアルミニウム蒸着面における幅の中央部分を長さ方向に沿ってアルカリ溶液にてパスター加工を行ってアルミニウム蒸着層を1cmの幅で溶解除去すると共に、積層フィルムの長さ方向と直角の方向(幅方向)にも45cmの間隔で前記のパスター加工を行ってアルミニウム蒸着層を1cmの幅で溶解除去した。次いで、そのアルミニウム蒸着層上にウレタン−イソシアネート系アンカー剤(武田薬品工業株式会社製「タケラックA3205/タケネートA3065」)を固形分0.5g/m2の目付で塗布した後、該塗布面に、線状低密度ポリエチレン(三井石油化学工業株式会社製「ウルトゼックス1520L」)を膜厚13μmとなるように押出被覆して、[線状低密度ポリエチレン層]/[アルミニウム蒸着層(一部パスター加工)]/[二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム層]/[線状低密度ポリエチレン層]よりなるリフレクターの中央板用積層フィルム(総厚38μm)を製造した。
iii −2) 上記 iii −1)で得られたリフレクターの中央板用積層フィルムを、そのパスター加工した箇所がフィルム片の中央部に十文字状に位置するようにして裁断して、図1の(c)に示すような、縦×横=45cm×45cmの正方形のリフレクタ用中央板(中央板用フィルム片)(C)を作製した。
【0055】
(iv)リフレクターの作製:
(iv −1) 上記(ii)で作製した側板用フィルム片(B)の4枚を、図2の(a)に示すように、線状低密度ポリエチレン層が外側になるようにしてその中央部分でそれぞれ二つ折りにし、次いで2枚の側板用フィルム片(B)における前記二つ折り部分(L)を互いに当接させると共にその部分(L)の線状低密度ポリエチレン層を溶融して接着して、図2の(b)に示すような、十文字状に組んだリフレクター用側板を2組作製した。
iv −2) 上記 iv −1)で作製した図2の(b)に示すリフレクター用側板を、上記の( iii −2)で得られたリフレクター用中央板(C)を挟んで上下にそれぞれ配置し(十文字状のパスター加工部分にリフレクター用側板が当接するように配置する)、リフレクター用側板とリフレクター用中央板(C)とが当接する箇所で線状低密度ポリエチレンを溶融させて両者を接着して、図2の(c)に示すようなリフレクター、すなわちリフレクター形成用積層フィルムからなる複数のフィルム片を、垂直方向、それと直交する垂直方向、および水平方向にそれぞれ配置して結合した構造を有するリフレクターを作製した。
【0056】
(3)リフレクター内蔵バルーンの作製:
(i) 上記(2)で得られたリフレクターを包囲して、その6面に上記(1)で得られたバルーン本体用フィルム片(A)をその線状低密度ポリエチレン層を内側に向けてリフレクターに接触させて配置し、リフレクターと該バルーン本体用フィルム片(A)とが接する部分(十文字状の部分)、および隣り合うバルーン本体フィルム片(A)同士が接する部分で、リフレクターおよびバルーン本体用フィルム片(A)における線状低密度ポリエチレンを溶融して互いに接着して、図3に示す、バルーン本体内にリフレクターを内蔵し且つバルーン本体がリフレクターによって8つの部屋に仕切られたリフレクター内蔵バルーンを作製した。
(ii) 上記(i)のリフレクター内蔵バルーンの作製時に、そのバルーン本体に、バルーン本体に用いたのと同じ線状低密度ポリエチレンと同じポリエチレンからなる逆流防止機能を有する耐圧弁(逆流防止弁)を熱溶着で取り付け(図示を省略)、それと共にリフレクターにおける側板部および中央板部に若干の切り欠きまたは孔を設けて(図示を省略)、前記の耐圧弁から圧入したヘリウムガスなどの浮遊用ガスがバルーン本体内の8つの部屋に充分行き渡るようにした。
【0057】
(4) 上記(1)〜(3)の一連の工程において、バルーン本体用積層フィルムおよびリフレクター用積層フィルムの製造時、バルーン本体およびリフレクターの作製時、並びにバルーン本体へのリフレクターの溶着時における成形性および加工性の評価を行うと共に、上記(3)で得られたリフレクター内蔵バルーンを用いて、そのレーダー応答性、浮力保持性および耐圧性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表6に示すとおりであった。
【0058】
《実施例2》
(1) 実施例1の(1)の(i)におけるバルーン本体用積層フィルムの製造工程において、エチレン−ビニルアルコール共重合体の二軸延伸フィルムの代わりに、エチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有率30モル%、ケン化度99.7%)を中間層としポリ−ε−カプロアミドを両外層とする共押出共延伸フィルム(延伸倍率=縦3倍×横3倍、両外層のポリアミド層の厚さ=いずれも5μm、エチレン−ビニルアルコール共重合体中間層の厚さ=5μm)を使用し、それ以外は実施例1の(1)の(i)と同様に行って、[二軸延伸ポリアミド層/二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体共重合体層]/[二軸延伸ポリアミド層]/[線状低密度ポリエチレン層]よりなるバルーン本体用積層フィルム(総厚30μm)を製造した。これにより得られたバルーン本体用積層フィルムの酸素透過度を上記した方法で測定したところ、下記の表6に示すとおりであった。
【0059】
(2) 上記(1)で得られたバルーン本体用積層フィルムを使用して実施例1の(1)の(ii)と同様にして、バルーン本体用積層フィルム片を作製し、それ以外は実施例1と同様にしてリフレクターの製造およびリフレクター内蔵バルーンの作製を行って、リフレクター内蔵バルーンを製造した。
(3) 上記(1)および(2)の工程において、バルーン本体用積層フィルムおよびリフレクター用積層フィルムの製造時、バルーン本体およびリフレクターの作製時、並びにバルーン本体へのリフレクターの溶着時における成形性および加工性の評価を行うと共に、上記(2)で得られたリフレクター内蔵バルーンを用いて、そのレーダー応答性、浮力保持性および耐圧性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表6に示すとおりであった。
【0060】
参考例1
(1)(i) 二軸延伸ポリアミドフィルム(ユニチカ株式会社製「エンブレム#1500」、膜厚15μm)の一方の面に、ウレタン−イソシアネート系アンカー剤(武田薬品工業株式会社製「タケラックA3205/タケネートA3065」)を固形分1.0g/m2の目付で塗布した後、該塗布面に、エチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有率35モル%、ケン化度99.3%)の水/イソプロピルアルコール混合溶液(重量比1/1)を溶媒とした10重量%溶液を塗布し、乾燥して、[二軸延伸ポリアミド層(15μm)]/[エチレン−ビニルアルコール共重合体層(2μm)]からなる積層フィルムを製造した。
(ii) 上記(i)で得られた積層フィルムにおける二軸延伸ポリアミド層上に、ウレタン−イソシアネート系接着剤(武田薬品工業株式会社製「タケラックA−385/タケネートA−10」)を固形分2.5g/m2の目付で塗布した後、その塗布面に線状低密度ポリエチレン(三井石油化学工業株式会社製「ウルトゼックス1520L」、密度0.915g/cm3、融点115℃)のフィルム(膜厚15μm)をドライラミネート法により積層し、[二軸延伸ポリアミドフィルム層]/[エチレン−ビニルアルコール共重合体塗膜層]/[線状低密度ポリエチレンフィルム層]よりなるバルーン本体用積層フィルム(総厚32μm)を製造した。これにより得られたバルーン本体用積層フィルムの酸素透過度を上記した方法で測定したところ、下記の表6に示すとおりであった。
【0061】
(2) 上記(1)で得られたバルーン本体用積層フィルムを使用して実施例1の(1)の(ii)と同様にして、バルーン本体用積層フィルム片の作製し、それ以外は実施例1と同様にしてリフレクターの製造およびリフレクター内蔵バルーンの作製を行って、リフレクター内蔵バルーンを製造した。
(3) 上記(1)および(2)の工程において、バルーン本体用積層フィルムおよびリフレクター用積層フィルムの製造時、バルーン本体およびリフレクターの作製時、並びにバルーン本体へのリフレクターの溶着時における成形性および加工性の評価を行うと共に、上記(2)で得られたリフレクター内蔵バルーンを用いて、そのレーダー応答性、浮力保持性および耐圧性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表6に示すとおりであった。
【0062】
《実施例
(1) 実施例1の(2)の(i)におけるリフレクター用積層フィルムの製造工程において、片面にアルミニウム蒸着層を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに、片面にアルミニウム蒸着層(アルミニウム蒸着層厚600Å)を有する二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ株式会社製「トーセロOPU−1」、厚さ20μm)を用いて、実施例1の(2)の(i)と同様にして、[アルミニウム蒸着層]/[二軸延伸ポリプロピレンフィルム層]/[線状低密度ポリエチレン層]よりなるリフレクター用積層フィルム(総厚33μm)を製造し、このリフレクター用積層フィルムを用いて、実施例1の(2)と同様にしてリフレクターを作製した。
(2) 上記(1)で得られたリフレクターを使用した以外は、実施例1と同様に行ってリフレクター内蔵バルーンを製造した。
(3) 上記(1)および(2)の工程において、バルーン本体用積層フィルムおよびリフレクター用積層フィルムの製造時、バルーン本体およびリフレクターの作製時、並びにバルーン本体へのリフレクターの溶着時における成形性および加工性の評価を行うと共に、上記(2)で得られたリフレクター内蔵バルーンを用いて、そのレーダー応答性、浮力保持性および耐圧性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表6に示すとおりであった。
【0063】
参考例2
(1) アルミニウム箔(厚さ9μm)の片面にウレタン−イソシアネート系アンカー剤(武田薬品工業株式会社製「タケラックA3205/タケネートA3065」)を固形分0.5g/m2の目付で塗布した後、該塗布面に、線状低密度ポリエチレン(三井石油化学工業株式会社製「ウルトゼックス1520L」)を膜厚13μmとなるように押出被覆して、[アルミニウム箔層]/[線状低密度ポリエチレン層]よりなるリフレクター用積層フィルム(総厚22μm)を製造し、このリフレクター用積層フィルムを用いて、実施例1の(2)と同様にしてリフレクターを作製した。
(2) 上記(1)で得られたリフレクターを使用した以外は、実施例1と同様に行ってリフレクター内蔵バルーンを製造した。
(3) 上記(1)および(2)の工程において、バルーン本体用積層フィルムおよびリフレクター用積層フィルムの製造時、バルーン本体およびリフレクターの作製時、並びにバルーン本体へのリフレクターの溶着時における成形性および加工性の評価を行うと共に、上記(2)で得られたリフレクター内蔵バルーンを用いて、そのレーダー応答性、浮力保持性および耐圧性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表6に示すとおりであった。
【0064】
参考例3
(1) 実施例1の(2)の(i)におけるリフレクター用積層フィルムの製造工程において、片面にアルミニウム蒸着層を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに代わりに、片面にアルミニウム蒸着層(アルミニウム蒸着層厚600Å)を有する無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績株式会社製「パイレンCT#25」、厚さ25μm)を用いて、実施例1の(2)の(i)と同様にして、[アルミニウム蒸着層]/[無延伸ポリプロピレンフィルム層]/[線状低密度ポリエチレン層]よりなるリフレクター用積層フィルム(総厚38μm)を製造し、このリフレクター用積層フィルムを用いて、実施例1の(2)と同様にしてリフレクターを作製した。
(2) 上記(1)で得られたリフレクターを使用した以外は、実施例1と同様に行ってリフレクター内蔵バルーンを製造した。
(3) 上記(1)および(2)の工程において、バルーン本体用積層フィルムおよびリフレクター用積層フィルムの製造時、バルーン本体およびリフレクターの作製時、並びにバルーン本体へのリフレクターの溶着時における成形性および加工性の評価を行うと共に、上記(2)で得られたリフレクター内蔵バルーンを用いて、そのレーダー応答性、浮力保持性および耐圧性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表6に示すとおりであった。
【0065】
《比較例1》
(1) 実施例1の(1)の(i)におけるバルーン本体用積層フィルムの製造工程において、エチレン−ビニルアルコール共重合体の二軸延伸フィルムの代わりに、ポリ塩化ビニリデンを2μmの膜厚にコーティングした二軸延伸ポリプロピレンフィルム(ダイセル化学工業株式会社製「セネシKOP#1000」、総厚22μm)を用いた以外は、実施例1の(1)の(i)と同様に行って、[ポリ塩化ビニリデンコート層]/[二軸延伸ポリプロピレンフィルム層]/[線状低密度ポリエチレンフィルム層]からなるバルーン本体用積層フィルム(総厚37μm)を製造した。これにより得られたバルーン本体用積層フィルムの酸素透過度を上記した方法で測定したところ、下記の表6に示すとおりであった。
(2) 上記(1)で得られたバルーン本体用積層フィルムを使用して実施例1の(1)の(ii)と同様にして、バルーン本体用積層フィルム片の作製し、それ以外は実施例1と同様にしてリフレクターの製造およびリフレクター内蔵バルーンの作製を行って、リフレクター内蔵バルーンを製造した。
(3) 上記(1)および(2)の工程において、バルーン本体用積層フィルムおよびリフレクター用積層フィルムの製造時、バルーン本体およびリフレクターの作製時、並びにバルーン本体へのリフレクターの溶着時における成形性および加工性の評価を行うと共に、上記(2)で得られたリフレクター内蔵バルーンを用いて、そのレーダー応答性、浮力保持性および耐圧性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表6に示すとおりであった。
【0066】
《比較例2》
(1) 実施例1の(2)の(i)におけるリフレクター用積層フィルムの製造工程において、片面にアルミニウム蒸着した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに代わりに、アルミニウム蒸着を行っていない二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いて、実施例1の(2)の(i)と同様にして、[二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム層]/[線状低密度ポリエチレン層]よりなるリフレクター用積層フィルム(総厚25μm)を製造し、このリフレクター用積層フィルムを用いて、実施例1の(2)と同様にしてリフレクターを作製した。
(2) 上記(1)で得られたリフレクターを使用した以外は、実施例1と同様に行ってリフレクター内蔵バルーンを製造した。
(3) 上記(1)および(2)の工程において、バルーン本体用積層フィルムおよびリフレクター用積層フィルムの製造時、バルーン本体およびリフレクターの作製時、並びにバルーン本体へのリフレクターの溶着時における成形性および加工性の評価を行うと共に、上記(2)で得られたリフレクター内蔵バルーンを用いて、そのレーダー応答性、浮力保持性および耐圧性の評価を上記した方法で行ったところ、下記の表6に示すとおりであった。
【0067】
また、上記した実施例1〜3、参考例1〜3および比較例1〜2におけるバルーン本体用積層フィルム並びにリフレクターの側板用フィルム片および中央板における層構成を表にまとめると、以下の表5に示すとおりである。
【0068】
【表5】
Figure 0004082795
【0069】
【表6】
Figure 0004082795
【0070】
上記の表6の結果から、バルーン本体を、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層と共に、線状低密度ポリエチレン(密度0.915g/cm 3 )よりなる層を有するか、または前記線状低密度ポリエチレンよりなる層とポリアミド層を有する、25℃、65%RHにおける酸素透過度が10ml/m2・day・atm以下の積層フィルムから形成している実施例1〜3および参考例2〜3のリフレクター内蔵バルーンは、バルーン本体を形成しているバルーン本体用積層フィルムの酸素透過度が極めて低く、リフレクター内蔵バルーンの製造直後のレーダー応答性が極めて良好であり、しかもレーダー応答性の経時低下がなく、3年経過後もレーダー応答性が良好に保たれていること、また耐圧性に優れていて破裂などを生じにくいことがわかる。
そして、そのうちでも、そのリフレクターをアルミニウム蒸着層、二軸延伸熱可塑性重合体フィルム層および線状低密度ポリエチレン層を有する積層フィルム[上記したリフレクター用積層フィルム(b−1)を用いて形成している実施例1〜のリフレクター内蔵バルーンは、リフレクター用積層フィルムの総厚の薄層化によって軽量化が良好に達成されて、浮力保持性に優れていることがわかる。
また、実施例1〜のリフレクター内蔵バルーンは、バルーン本体用積層フィルムおよびリフレクター用積層フィルムの製造時、バルーン本体およびリフレクターの作製時、並びにバルーン本体へのリフレクターの溶着時における成形性および加工性の点でも優れていることがわかる。
【0071】
それに対して、バルーン本体用積層フィルムを、エチレン−ビニルアルコール共重合体層と他の可撓性重合体層から形成しておらず、ポリ塩化ビニリデン層と他の可撓性重合体層からなる積層フィルムを用いて形成している比較例1のリフレクター内蔵バルーンは、バルーン本体用積層フィルムの酸素透過度が高く、レーダー応答性の経時低下が大きくて耐久性がなく、浮力保持性、耐圧性および成形加工性においても劣っていることがわかる。
また、アルミニウム蒸着層またはアルミニウム箔層を持たない樹脂フィルムから製作したリフレクターを内蔵した比較例2のバルーンは、レーダー応答性を有していないことがわかる。
【0072】
【発明の効果】
本発明のリフレクター内蔵バルーンは、レーダーに対する応答性が高く、しかもレーダー応答性の経時低下が少なく、長期に亙って良好なレーダー応答性を保持する。
さらに、本発明のリフレクター内蔵バルーンは、夜間、曇天時、降雨時などのような外気温度の低い時の浮力低下がなく、前記した外気温度の低い時にも空中に良好に浮遊して、レーダーに良好に応答することができる。
しかも、本発明のリフレクター内蔵バルーンは、時間が経過しても浮力の低下が少なく、空中に良好に浮遊させることができる。
さらに、本発明のリフレクター内蔵バルーンは、耐圧性に優れているため、バルーンの内圧が高くなったときや、外部から圧力が加わっても破裂などのトラブルが生じにくい。
そして、本発明のリフレクター内蔵バルーンでは、バルーン本体用積層フィルムおよびリフレクター用積層フィルムの製造時、バルーン本体およびリフレクターの作製時、並びにバルーン本体へのリフレクターの溶着時における成形性および加工性に優れているので、円滑に且つ簡単に製造することができる。
上記した優れた諸特性を有する本発明のリフレクター内蔵バルーンは、遭難者や遭難線などの探索、救助、航空機などによる海上、山岳、原野などにおける所定位置の確認、荷物の投下などに有効に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本明細書中の実施例および比較例において用いたバルーン本体用フィルム片、リフレクターの側板用フィルム片およびリフレクターの中央板の形状を示す概略図である。
【図2】 本明細書中の実施例および比較例で採用したリフレクターの製作法およびリフレクターの構造を示す図である。
【図3】 本明細書中の実施例および比較例で製造したリフレクター内蔵バルーンの構造を示す概略図である。
【符号の説明】
A バルーン本体用フィルム片
B リフレクターの側板用フィルム片
C リフレクターの中央板
L リフレクターの側板用フィルム片における二つ折り部分

Claims (3)

  1. リフレクター内蔵バルーンであって、
    (i)バルーン本体が、
    ・エチレン含有量3〜65モル%およびケン化度95%以上の、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層並びに密度0.89〜0.93g/cm 3 の線状低密度ポリエチレン層を有し、前記線状低密度ポリエチレン層が積層フィルムの少なくとも一方の表面に存在する、25℃、65%RHにおける酸素透過度が10ml/m 2 ・day・atm以下の積層フィルム;または、
    ・エチレン含有量3〜65モル%およびケン化度95%以上の、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体層、密度0.89〜0.93g/cm 3 の線状低密度ポリエチレン層並びにポリアミド層を有し、前記線状低密度ポリエチレン層が積層フィルムの少なくとも一方の表面に存在する、25℃、65%RHにおける酸素透過度が10ml/m 2 ・day・atm以下の積層フィルム;
    から形成されており;
    ii )リフレクターが、アルミニウム蒸着層を有する二軸延伸熱可塑性重合体フィルム層および密度0.89〜0.93g/cm 3 の線状低密度ポリエチレン層を有する積層フィルムから形成されており;且つ、
    iii )バルーン本体がバルーン本体形成用の積層フィルムの熱融着によって形成されていて、バルーン本体内に、リフレクターを、バルーン本体の外部の全方向からレーダー応答可能に、リフレクターの一部をバルーン本体に熱融着固定して配置してある;
    ことを特徴とするリフレクター内蔵バルーン。
  2. リフレクター形成用の積層フィルムにおける前記二軸延伸熱可塑性重合体フィルム層が二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムまたは二軸延伸ポリプロピレンフィルムよりなる層である請求項に記載のリフレクター内蔵バルーン。
  3. リフレクターが、リフレクター形成用の積層フィルムからなる複数のフィルム片を、垂直方向、それと直交する垂直方向または放射状に交差する垂直方向、および水平方向にそれぞれ配置して結合した構造を有している請求項1または2に記載のリフレクター内蔵バルーン。
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