JP4082496B2 - 4輪駆動車の駆動力配分制御装置 - Google Patents

4輪駆動車の駆動力配分制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン駆動力を前後のどちらか一方の車輪側に伝達し、この一方の車輪側からトルク伝達容量可変型クラッチ手段を介して駆動力を他方の車輪側に伝達する4輪駆動車の駆動力配分制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、4輪駆動車の形式には、様々な形式のものがあり、例えば特開2001−225663号公報に開示されるような、エンジン駆動力を前輪側に伝達し、この前輪側から、車両の運転状態や走行条件に応じてトルク伝達容量可変型クラッチ手段を介し、駆動力を後輪側に伝達する4輪駆動車が一般に知られ実用化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような形式の4輪駆動車では、例えば、低μ路面で加速すると、クラッチ手段は略直結状態で、4輪とも空転状態となる場合がある。そして、この状態から急に、乾いた舗装路等の高μ路に前輪から進入すると、前輪はグリップをして急に車輪速度が低下するが、後輪はその回転イナーシャにより空転を続けようとし、駆動系に強い捻りトルクを生んでしまう。その結果、この捻りトルクが駆動系の強度耐久性を低下させる要因となる虞があり、また、駆動系に振動を発生して快適性を妨げる原因となってしまうという問題がある。
【0004】
このため、前輪減速度が所定値以上で且つ後輪回転速度から前輪回転速度を減算した値が所定回転数を超えた際に、クラッチ手段による後輪側への伝達トルクを0又は小さな値の何れかに設定する制御を盛り込むことが考えられるが、この制御では、基本的に後輪よりも前輪が遅く回転したときにクラッチ手段が制御されるためレスポンスが悪く、上述の捻りトルクによる耐久性の低下や振動の防止を有効に行えないという問題がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、低μ路面から高μ路面への進入等の際に発生する駆動系に対する捻りトルクの発生を、レスポンス良く可能な限り抑制し、駆動系の耐久性の向上を図り、また、駆動系の振動を軽減して快適性の向上を図ることが可能な4輪駆動車の駆動力配分制御装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の本発明による4輪駆動車の駆動力配分制御装置は、エンジンからの駆動力を前後のどちらか一方の車輪側に伝達し、この一方の車輪側からトルク伝達容量可変型クラッチ手段を介して駆動力を他方の車輪側に伝達する4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、少なくとも上記一方の車輪側の減速度から上記他方の車輪側の減速度を減算した値が予め設定した閾値を超える場合、上記トルク伝達容量可変型クラッチ手段による上記他方の車輪側への伝達トルクを0又は小さな値の何れかに設定することを特徴としている。
【0007】
また、請求項2記載の本発明による4輪駆動車の駆動力配分制御装置は、請求項1記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、上記トルク伝達容量可変型クラッチ手段による上記他方の車輪側への伝達トルクを0又は小さな値の何れかに設定するのは、上記一方の車輪側の減速度から上記他方の車輪側の減速度を減算した値が予め設定した閾値を超える場合で、且つ、上記他方の車輪側の減速度が設定値より小さな値の場合にのみ実行させることを特徴としている。
【0008】
更に、請求項3記載の本発明による4輪駆動車の駆動力配分制御装置は、請求項1記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、上記トルク伝達容量可変型クラッチ手段による上記他方の車輪側への伝達トルクを0又は小さな値の何れかに設定するのは、上記一方の車輪側の減速度から上記他方の車輪側の減速度を減算した値が予め設定した閾値を超える場合で、且つ、スロットル開度が設定値より大きな値の場合にのみ実行させることを特徴としている。
【0009】
また、請求項4記載の本発明による4輪駆動車の駆動力配分制御装置は、請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、上記一方の車輪側は前輪側であり、上記他方の車輪側は後輪側であることを特徴としている。
【0010】
すなわち、請求項1記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置は、少なくとも一方の車輪側の減速度から他方の車輪側の減速度を減算した値が予め設定した閾値を超える場合、トルク伝達容量可変型クラッチ手段による他方の車輪側への伝達トルクを0又は小さな値の何れかに設定するので、一方の車輪側が他方の車輪側よりも遅く回転しようとする時に、トルク伝達容量可変型クラッチ手段による他方の車輪側への伝達トルクを0又は小さな値の何れかに設定されて、低μ路面から高μ路面への進入等の際に発生する駆動系に対する捻りトルクの発生を、レスポンス良く可能な限り抑制し、駆動系の耐久性の向上を図り、また、駆動系の振動を軽減して快適性の向上を図ることが可能となる。
【0011】
この制御の際、請求項2記載のように、他方の車輪側の減速度が設定値より小さな値の場合にのみ実行させるようにすれば、他方の車輪側からの逆駆動力状態となることが確実に判断でき、正確な制御を実行できる。
【0012】
また、請求項3記載のように、スロットル開度が設定値より大きな値の場合にのみ実行させるようにすれば、4輪空転状態でしかも一方の車輪側が余計に空転している状態からスロットルオフで減速した場合に本制御(トルク伝達容量可変型クラッチ手段による他方の車輪側への伝達トルクを0又は小さな値の何れかに設定する制御)が実行されることが防止でき、正確な制御を実行できる。
【0013】
請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置は、具体的には、請求項4記載のように、一方の車輪側は前輪側であり、他方の車輪側は後輪側である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図3は本発明の実施の第1形態を示し、図1は車両全体の駆動系の概略構成を示す説明図、図2は前後駆動力配分制御部の機能ブロック図、図3は前後駆動力配分制御のフローチャートである。
【0015】
図1において、符号1は車両前部に配置されたエンジンを示し、このエンジン1による駆動力は、エンジン1後方の自動変速装置(トルクコンバータ等も含んで図示)2からトランスミッション出力軸2aを経てトランスファ3に伝達される。
【0016】
更に、このトランスファ3に伝達された駆動力は、リヤドライブ軸4、プロペラシャフト5、ドライブピニオン軸部6を介して後輪終減速装置7に入力される一方、リダクションドライブギヤ8、リダクションドリブンギヤ9、ドライブピニオン軸部となっているフロントドライブ軸10を介して前輪終減速装置11に入力される。ここで、自動変速装置2、トランスファ3および前輪終減速装置11等は、一体にケース12内に設けられている。
【0017】
また、後輪終減速装置7に入力された駆動力は、後輪左ドライブ軸13rlを経て左後輪14rlに、後輪右ドライブ軸13rrを経て右後輪14rrに伝達される。前輪終減速装置11に入力された駆動力は、前輪左ドライブ軸13flを経て左前輪14flに、前輪右ドライブ軸13frを経て右前輪14frに伝達される。
【0018】
トランスファ3は、リダクションドライブギヤ8側に設けたドライブプレート15aとリヤドライブ軸4側に設けたドリブンプレート15bとを交互に重ねて構成したトルク伝達容量可変型クラッチ手段としての湿式多板クラッチ(トランスファクラッチ)15と、このトランスファクラッチ15の締結力(トランスファクラッチトルク)を可変自在に付与するトランスファピストン16とにより構成されている。従って、本車両は、トランスファピストン16による押圧力を制御し、トランスファクラッチ15のトランスファクラッチトルクを制御することで、トルク配分比が前輪と後輪で、例えば100:0から50:50の間で可変できるフロントエンジン・フロントドライブ車ベース(FFベース)の4輪駆動車となっている。
【0019】
また、トランスファピストン16の押圧力は、複数のソレノイドバルブ等を擁した油圧回路で構成するトランスファクラッチ駆動部41で与えられる。このトランスファクラッチ駆動部41を駆動させる制御信号(ソレノイドバルブに対するトランスファクラッチトルクに応じた出力信号)は、後述の前後駆動力配分制御部40から出力される。
【0020】
そして、車両には、前後駆動力配分制御部40で後述の如く実行する前後駆動力配分制御に必要なパラメータを検出するための、センサ類その他が設けられている。すなわち、各車輪14fl,14fr,14rl,14rrの車輪速度ωfl,ωfr,ωrl,ωrrが車輪速度センサ21fl,21fr,21rl,21rrにより検出され、ハンドル角θHがハンドル角センサ22により検出され、ヨーレートγがヨーレートセンサ23により検出されて、前後駆動力配分制御部40に入力される。また、エンジン1に対して燃料噴射制御等の種々の制御を行うエンジン制御部31からはエンジン回転数Ne、エンジン出力トルクTeが前後駆動力配分制御部40に入力される。更に、自動変速機2の変速制御等を実行するトランスミッション制御部32からはタービン回転数Nt、ギヤ比iが前後駆動力配分制御部40に入力される。また、車両には、例えば本出願人が特開平8−2274号公報で開示した方法で路面摩擦係数(路面μ)を推定する路面μ推定装置33が設けられており、推定した路面μ推定値μeは、前後駆動力配分制御部40に入力される。この路面μ推定装置33での路面μの推定方法は、簡単に説明すると、車速V、ハンドル角θ、ヨーレートγを用いて車両の横運動の運動方程式に基づき、前後輪のコーナリングパワーを非線形域に拡張して推定する。そして、高μ路での前後輪の等価コーナリングパワーに対する推定した前後輪のコーナリングパワーの比を基に路面状況に応じて路面μを推定する。
【0021】
前後駆動力配分制御部40は、各車輪速度センサ21fl,21fr,21rl,21rrから各車輪速度ωfl,ωfr,ωrl,ωrr、ハンドル角センサ22からハンドル角θH、ヨーレートセンサ23からヨーレートγ、エンジン制御部31からエンジン回転数Ne、エンジン出力トルクTe、トランスミッション制御部32からタービン回転数Nt、ギヤ比i、路面μ推定装置33から路面μ推定値μeの各信号が入力される。
【0022】
そして、これら各入力信号に基づいて、後述の如く、前輪側の減速度αωfから後輪側の減速度αωrを減算した値が予め設定した閾値Kc1を超える場合で、且つ、後輪側の減速度αωrが設定値Kc2より小さな値の場合にのみトランスファ3に対するトランスファクラッチトルクTtrを小さな値Tctrに設定する。また、それ以外は、トルク感応トルクTtと差回転感応トルクTsとヨーレートフィードバックトルクTyを演算し、これら各トルクからトランスファ3に対するトランスファクラッチトルクTtrを演算する。
【0023】
すなわち、前後駆動力配分制御部40は、図2に示すように、車速演算部40a、前輪実回転速演算部40b、後輪実回転速演算部40c、トランスミッション出力トルク演算部40d、トルク感応トルク設定部40e、差回転感応トルク設定部40f、ヨーレートフィードバックトルク設定部40g、前後減速条件判定部40h、トランスファクラッチトルク設定部40iから構成されている。
【0024】
車速演算部40aは、4輪の車輪速度センサ、すなわち、各車輪速度センサ21fl,21fr,21rl,21rrから各車輪14fl,14fr,14rl,14rrの車輪速度ωfl,ωfr,ωrl,ωrrが入力され、例えばこれらの平均を演算することにより車速V(=(ωfl,ωfr,ωrl,ωrr)/4)を演算し、トルク感応トルク設定部40e、差回転感応トルク設定部40f、ヨーレートフィードバックトルク設定部40gに出力する。
【0025】
前輪実回転速演算部40bは、前輪の車輪速度センサ、すなわち、左前輪車輪速度センサ21flから左前輪車輪速度ωflが、右前輪車輪速度センサ21frから右前輪車輪速度ωfrが入力される。そして、これら前輪の車輪速度ωfl,ωfrから前輪の実際の回転速(実回転速)ωf(=(ωfl+ωfr)/2)を演算し、差回転感応トルク設定部40f、前後減速条件判定部40hに出力する。
【0026】
後輪実回転速演算部40cは、後輪の車輪速度センサ、すなわち、左後輪車輪速度センサ21rlから左後輪車輪速度ωrlが、右後輪車輪速度センサ21rrから右後輪車輪速度ωrrが入力される。そして、これら後輪の車輪速度ωrl,ωrrから後輪の実際の回転速(実回転速)ωr(=(ωrl+ωrr)/2)を演算し、差回転感応トルク設定部40f、前後減速条件判定部40hに出力する。
【0027】
トランスミッション出力トルク演算部40dは、エンジン制御部31からエンジン回転数Ne、エンジン出力トルクTe、トランスミッション制御部32からタービン回転数Nt、ギヤ比iが入力され、以下(1)式によりトランスミッション出力トルクToを演算し、このトランスミッション出力トルクToをトルク感応トルク設定部40eと差回転感応トルク設定部40fに出力する。
To=Te・t・i …(1)
ここで、tはトルクコンバータのトルク比であり、予め設定されている、トルクコンバータの回転速度比e(=Nt/Ne)とトルクコンバータのトルク比tとのマップを参照することにより求められる。
【0028】
トルク感応トルク設定部40eは、ハンドル角センサ22からハンドル角θH、トランスミッション制御部からギヤ比i、路面μ推定装置33から路面μ推定値μe、車速演算部40aから車速V、トランスミッション出力トルク演算部40dからトランスミッション出力トルクToが入力され、トルク感応トルクTtを演算してトランスファクラッチトルク設定部40iに出力する。
【0029】
具体的には、まず、トルク感応トルク設定部40eでは、ギヤ比i毎に予め設定しておいた後輪の駆動力配分率Aiを選択し、この後輪駆動力配分率Aiとトランスミッション出力トルクToとからトルク感応トルクTtを演算する。
Tt=Ai・To …(2)
【0030】
そして、このトルク感応トルクTtを、操舵による引きづりトルクの影響を少なくするため、操舵角δf(=θH/n:nはステアリングギヤ比)に応じたトルクの減少補正と、車速Vに応じた補正を行う。
Tt=f(δf)・g(V)・Tt …(3)
【0031】
更に、(3)式で補正したトルク感応トルクTtを、予め設定しておいた路面μ毎の下限値より下回らないように制限し設定して、トランスファクラッチトルク設定部40iに出力する。
【0032】
差回転感応トルク設定部40fは、ハンドル角センサ22からハンドル角θH、車速演算部40aから車速V、前輪実回転速演算部40bから前輪実回転速ωf、後輪実回転速演算部40cから後輪実回転速ωr、トランスミッション出力トルク演算部40dからトランスミッション出力トルクToが入力され、以下(4)式にて差回転感応トルクTsを演算し、トランスファクラッチトルク設定部40iに出力する。
Ts=KT0・(ΔN−ΔN0) …(4)
ここで、ΔNは、前輪実回転速ωfと後輪実回転速ωrとの差(実差回転)、すなわち、ΔN=ωr−ωfである。
【0033】
また、ΔN0は、ステアリングの操舵角δfと車速Vにより必然的に発生する差回転(基本差回転)で、例えば、車両運動モデルを用いて以下のように演算する。
Figure 0004082496
ここで、Aはスタビリティファクタ、mは車両質量、Lはホイールベース、Lfは前軸−重心間距離、Lrは後軸−重心間距離である。
(5)、(6)式より、
前軸の旋回半径ρf=ρcg+Lf・(sin (βcg)) …(7)
後軸の旋回半径ρr=ρcg−Lr・(sin (βcg)) …(8)
従って、
前軸の基準回転速ωf0=V・(ρf/ρcg) …(9)
後軸の基準回転速ωr0=V・(ρr/ρcg) …(10)
以上から、基本差回転ΔN0、すなわち、ΔN0=ωr0−ωf0が演算される。このため、(ΔN−ΔN0)は、実際に生じているスリップ量を示している。
【0034】
また、KT0は、トランスミッション出力トルクToによって予め設定した比例係数であり、トランスミッション出力トルクToが大きいほど大きい値に設定され、差回転を減少させるようになっている。
【0035】
ヨーレートフィードバックトルク設定部40gは、ハンドル角センサ22からハンドル角θH、ヨーレートセンサ23からヨーレートγ、車速演算部40aから車速Vが入力され、車速V及び操舵角δfによって定めた車体の目標ヨーレートγ' と実際のヨーレートを比較し、その値が一致するように増減すべきヨーレートフィードバックトルクTyを演算し、このヨーレートフィードバックトルクTyをトランスファクラッチトルク設定部40iに出力する。
【0036】
具体的には、目標ヨーレートγ' は、以下の(11)式で演算する。
Figure 0004082496
ここで、Tは時定数、sはラプラス演算子である。
【0037】
そして、この目標ヨーレートγ' と実際のヨーレートγとからヨーレート偏差Δγ(=γ−γ' )を演算し、このヨーレート偏差Δγが0になるようにヨーレートフィードバックトルクTyを設定する。
【0038】
前後減速条件判定部40hは、前輪実回転速演算部40bから前輪実回転速ωf、後輪実回転速演算部40cから後輪実回転速ωrが入力され、これら前輪実回転速ωf、後輪実回転速ωrを微分して前輪減速度αωf(=−dωf/dt)、後輪減速度αωr(=−dωr/dt)を演算する。
【0039】
そして、前輪減速度αωfから後輪減速度αωrを減算した値が、予め実験・計算等により設定した閾値Kc1を超える場合で、且つ、後輪減速度αωrが設定値Kc2(予め実験・計算等により設定した値)より小さな値の場合、すなわち、後輪より前輪が急に減速される場合で、且つ、後輪減速度αωrが小さい場合に、後輪側からの逆駆動状態と判断し、トランスファクラッチトルク設定部40iに、この逆駆動状態を示す信号を出力する。
【0040】
トランスファクラッチトルク設定部40iは、トルク感応トルク設定部40eからトルク感応トルクTt、差回転感応トルク設定部40fから差回転感応トルクTs、ヨーレートフィードバックトルク設定部40gからヨーレートフィードバックトルクTy、前後減速条件判定部40hから逆駆動状態の判定結果が入力される。
【0041】
そして、これらに基づき、トランスファクラッチトルク設定部40iは、トランスファクラッチトルクTtrを以下のように設定してトランスファクラッチ駆動部41に出力する。
【0042】
前後減速条件判定部40hから逆駆動状態を示す信号がない場合は、通常の前後駆動力配分制御を行うべく、トランスファクラッチトルクTtrを以下のように設定する。
Ttr=Tt+Ts+Ty …(12)
【0043】
一方、前後減速条件判定部40hから逆駆動状態を示す信号がある場合は、トランスファクラッチトルクTtrを小さな値とすべく、予め実験・計算により求めておいた設定値Tctrとする。
Ttr=Tctr …(13)
【0044】
次に、本実施の形態による前後駆動力配分制御を、図3のフローチャートで説明する。このプログラムは、所定時間毎に繰り返し実行されるもので、まず、ステップ(以下「S」と略称)101で必要なパラメータを読み込む。
【0045】
次いで、S102に進み、前輪実回転速演算部40bで前輪実回転速ωf、後輪実回転速演算部40cで後輪実回転速ωrを演算する。
【0046】
その後、S103に進み、前後減速条件判定部40hで、前輪実回転速ωfから前輪減速度αωfを、後輪実回転速ωrから後輪減速度αωrを演算する。
【0047】
そして、S104に進み、前後減速条件判定部40hで、前輪減速度αωfから後輪減速度αωrを減算した値が、予め実験・計算等により設定した閾値Kc1を超える場合(αωf−αωr>Kc1)で、且つ、後輪減速度αωrが予め実験・計算等により設定した値Kc2より小さな値(αωr<Kc2)か否か判定する。そして、この判定の結果、αωf−αωr>Kc1、且つ、αωr<Kc2の場合は、S105に進み、トランスファクラッチトルク設定部40iは、トランスファクラッチトルクTtrを小さな値とすべく、予め実験・計算により求めておいた設定値Tctr(Ttr=Tctr)としてトランスファクラッチ駆動部41に出力し、プログラムを抜ける。
【0048】
一方、S104で、上述の条件(αωf−αωr>Kc1で、且つ、αωr<Kc2)を満足しない場合は、通常の前後駆動力配分制御を実行すべく、S106以降に進む。
【0049】
S106に進むと、車速演算部40aで車速Vを演算し、S107に進んで、トランスミッション出力トルク演算部40dで(1)式によりトランスミッション出力トルクToを演算する。
【0050】
次いで、S108に進み、トルク感応トルク設定部40eで(3)式と路面μ毎の下限値による制限を加えてトルク感応トルクTtを設定する。
【0051】
更に、S109に進み、差回転感応トルク設定部40fで(4)式により差回転感応トルクTsを演算し、S110に進み、ヨーレートフィードバックトルク設定部40gでヨーレートフィードバックトルクTyを設定する。
【0052】
そして、S111に進み、トランスファクラッチトルク設定部40iは、(12)式によりトランスファクラッチトルクTtrを演算してトランスファクラッチ駆動部41に出力し、プログラムを抜ける。
【0053】
このように、本発明の実施の第1形態では、前輪減速度αωfから後輪減速度αωrを減算した値が予め設定した閾値Kc1を超える場合で、且つ、後輪減速度αωrが設定値Kc2より小さな値の場合に、トランスファ3に対するトランスファクラッチトルクTtrを小さな値Tctrに設定する。このため、低μ路面から高μ路面への進入等の際に発生する駆動系に対する捻りトルクの発生を、前輪側が速く回転しようとする際にレスポンス良く可能な限り抑制し、駆動系の耐久性の向上を図り、また、駆動系の振動を軽減して快適性の向上を図ることが可能となる。
【0054】
次に、図4及び図5は本発明の実施の第2形態を示し、図4は前後駆動力配分制御部の機能ブロック図、図5は前後駆動力配分制御のフローチャートである。尚、本実施の第2形態は、トランスファクラッチトルクTtrを小さな値Tctrに設定する条件が、前輪減速度αωfから後輪減速度αωrを減算した値が予め設定した閾値Kc1を超える場合で、且つ、スロットル開度θthが予め設定した値Kθ1よりも大きいとき、としたことが前記第1形態と異なり、他の構成、作用は前記第1形態と同様であるため、同じ符号を記し説明は省略する。
【0055】
すなわち、本実施の第2形態による前後駆動力配分制御部50は、図4に示すように、前記第1形態における前後減速条件判定部40hに代えて前後減速条件判定部50aが設けられている(他の構成は第1形態と同様)。
【0056】
この前後減速条件判定部50aには、図1の破線で示すスロットル開度センサ51からスロットル開度θthが入力される。また、前輪実回転速演算部40bから前輪実回転速ωf、後輪実回転速演算部40cから後輪実回転速ωrが入力され、これら前輪実回転速ωf、後輪実回転速ωrを微分して前輪減速度αωf(=−dωf/dt)、後輪減速度αωr(=−dωr/dt)を演算する。
【0057】
そして、前輪減速度αωfから後輪減速度αωrを減算した値が、予め実験・計算等により設定した閾値Kc1を超える場合で、且つ、スロットル開度θthが予め設定した値Kθ1よりも大きい場合、すなわち、後輪より前輪が急に減速される場合で、且つ、スロットルがある程度踏み込まれたままの場合に、後輪側からの逆駆動状態と判断し、トランスファクラッチトルク設定部40iに、この逆駆動状態を示す信号を出力する。
【0058】
そして、トランスファクラッチトルク設定部40iは、前後減速条件判定部50aから逆駆動状態を示す信号がない場合は、上述の(12)式によりトランスファクラッチトルクTtrを設定して通常の前後駆動力配分制御を行い、一方、前後減速条件判定部50aから逆駆動状態を示す信号がある場合は、上述の(13)式によりトランスファクラッチトルクTtrを設定して、トランスファクラッチトルクTtrを小さな値とする。
【0059】
従って、本実施の第2形態における前後駆動力配分制御は、図5のフローチャートに示すように、図3の前記第1形態の前後駆動力配分制御のフローチャートのS104に対応する部分に、S201が用いられる。
【0060】
すなわち、このS201では、前後減速条件判定部50aで、前輪減速度αωfから後輪減速度αωrを減算した値が、予め実験・計算等により設定した閾値Kc1を超える場合(αωf−αωr>Kc1)で、且つ、スロットル開度θthが予め設定した値Kθ1よりも大きい(θth>Kθ1)か否か判定する。そして、この判定の結果、αωf−αωr>Kc1、且つ、θth>Kθ1の場合は、S105に進み、トランスファクラッチトルク設定部40iは、トランスファクラッチトルクTtrを小さな値とすべく、予め実験・計算により求めておいた設定値Tctr(Ttr=Tctr)としてトランスファクラッチ駆動部41に出力し、プログラムを抜ける。
【0061】
一方、S201で、上述の条件(αωf−αωr>Kc1で、且つ、θth>Kθ1)を満足しない場合は、通常の前後駆動力配分制御を実行すべく、S106以降に進む。
【0062】
このように本実施の第2形態によれば、4輪空転状態でしかも前輪側が余計に空転している状態からスロットルオフで減速した場合に、トランスファクラッチトルクTtrが小さな値に設定されてしまうことが確実に防止でき、正確な制御を実行できる。
【0063】
尚、上述の各実施形態で説明した制御対象となる4輪駆動の形式は、本各実施形態のFFベースの差動機構無しのものに限ることなく、FFベースの差動機構付きのもの等、他の形式のものであっても良い。また、通常時における前後駆動力配分制御は、本実施形態では、トランスファクラッチトルクTtrをトルク感応トルクTt、差回転感応トルクTs、ヨーレートフィードバックトルクTyから演算するようにしているが、他の方法で演算する(例えばトルク感応トルクTtのみから演算する)場合であっても本発明が適用できることは云うまでもない。更に、上述の各実施形態で設定するトランスファクラッチトルクTtrの小さな値Tctrは、車両に応じて変わるものであり、0であっても良い。また、このトランスファクラッチトルクTtrの小さな値Tctrは、車速によって補正したりヨーレートにより補正して、より正確な制御ができるようにしても良い。
【0064】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、低μ路面から高μ路面への進入等の際に発生する駆動系に対する捻りトルクの発生を、レスポンス良く可能な限り抑制し、駆動系の耐久性の向上を図り、また、駆動系の振動を軽減して快適性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態による、車両全体の駆動系の概略構成を示す説明図
【図2】同上、前後駆動力配分制御部の機能ブロック図
【図3】同上、前後駆動力配分制御のフローチャート
【図4】本発明の実施の第2形態による、前後駆動力配分制御部の機能ブロック図
【図5】同上、前後駆動力配分制御のフローチャート
【符号の説明】
1 エンジン
3 トランスファ
4 リヤドライブ軸
10 フロントドライブ軸
14fl,14fr,14rl,14rr 車輪
15 トランスファクラッチ(トルク伝達容量可変型クラッチ手段)
40 前後駆動力配分制御部
40a 車速演算部
40b 前輪実回転速演算部
40c 後輪実回転速演算部
40d トランスミッション出力トルク演算部
40e トルク感応トルク設定部
40f 差回転感応トルク設定部
40g ヨーレートフィードバックトルク設定部
40h 前後減速条件判定部
40i トランスファクラッチトルク設定部
41 トランスファクラッチ駆動部

Claims (4)

  1. エンジンからの駆動力を前後のどちらか一方の車輪側に伝達し、この一方の車輪側からトルク伝達容量可変型クラッチ手段を介して駆動力を他方の車輪側に伝達する4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
    少なくとも上記一方の車輪側の減速度から上記他方の車輪側の減速度を減算した値が予め設定した閾値を超える場合、上記トルク伝達容量可変型クラッチ手段による上記他方の車輪側への伝達トルクを0又は小さな値の何れかに設定することを特徴とする4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  2. 上記トルク伝達容量可変型クラッチ手段による上記他方の車輪側への伝達トルクを0又は小さな値の何れかに設定するのは、上記一方の車輪側の減速度から上記他方の車輪側の減速度を減算した値が予め設定した閾値を超える場合で、且つ、上記他方の車輪側の減速度が設定値より小さな値の場合にのみ実行させることを特徴とする請求項1記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  3. 上記トルク伝達容量可変型クラッチ手段による上記他方の車輪側への伝達トルクを0又は小さな値の何れかに設定するのは、上記一方の車輪側の減速度から上記他方の車輪側の減速度を減算した値が予め設定した閾値を超える場合で、且つ、スロットル開度が設定値より大きな値の場合にのみ実行させることを特徴とする請求項1記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  4. 上記一方の車輪側は前輪側であり、上記他方の車輪側は後輪側であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
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