JP4081528B2 - 米菓及び米菓の製造方法 - Google Patents
米菓及び米菓の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4081528B2 JP4081528B2 JP2003159302A JP2003159302A JP4081528B2 JP 4081528 B2 JP4081528 B2 JP 4081528B2 JP 2003159302 A JP2003159302 A JP 2003159302A JP 2003159302 A JP2003159302 A JP 2003159302A JP 4081528 B2 JP4081528 B2 JP 4081528B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rice
- konjac
- mushrooms
- mixed
- mushroom
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Confectionery (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、米穀を主成分とする米菓の製造方法に関し、特に近年低カロリー健康食品として注目されているコンニャクと、健康食品として注目されているキノコを混練した米菓の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の健康食品ブームの中で特にその低カロリーが注目されているコンニャクは単に低カロリー食品であるだけでなく、他の種々の特長を有しているため、うどん等の麺に配合されるなどしてきた(例えば特許文献1参照)。
【0003】
コンニャクの原料であるコンニャクいもの成分について言えば、主成分は100g中、水分75〜83g、炭水化物11〜14g、タンパク質2〜4.5gである。
【0004】
炭水化物の大部分は多糖類の一種であるグルコマンナン(分子量約67〜190万で、これを加水分解するとブドウ糖1に対し、マンノース2の比率で生成する。)であり、特にコンニャクマンナンと呼ばれる。
【0005】
コンニャクの製造原理は、コンニャクいものグルコマンナンが水を吸収すると膨潤して容積が非常に大きくなり、粘度が高くなる性質を利用する。
【0006】
これに石灰乳を加えて加熱すると、カルシウムイオンの架橋ができてゲル化する。これを冷却すると不可逆性の弾性ゲルとなり、凝固して半透明の弾力のある固形物のコンニャクになるのである。
【0007】
ところでコンニャクいもは短冊状に切って乾燥され荒粉(あらこ)になる。これを鉄製の臼の中で突くと、グルコマンナンの部分は硬い重い粒子となって臼の中に残り、それ以外の繊維やでんぷんの粉は軽いので風で簡単に吹き飛ばされる。さらに風選し、グルコマンナンだけを集めたものを精粉(せいこ)という。精粉から製造したコンニャクは白色で、光沢があり、膨張力、粘着力が強い。
【0008】
グルコマンナンは腸管を刺激してホルモンの分泌を促し、コレステロール値の上昇を抑制する作用があるといわれているので、太りすぎ防止、便秘の解消、毒性を防ぐ等の他に糖尿病、大腸癌を予防する効用が期待できる極めて優れた素材である。
【0009】
コンニャクの作り方をより詳細に云うと、水または40〜50℃程度の微温湯100リットルに精粉250gをかき混ぜながら少しずつ加える。そのまま15〜30分かき混ぜ続けると、全体に粘りがでて糊状になる。これを1〜2時間放置すると、グルコマンナンが完全に膨潤して均質な糊状になる。これに石灰乳(石灰25gに水500ミリリットルを加える)を加え、素早くよくかき混ぜて型箱に入れ、40〜50分放置するとかなり固まるので、これを所定の形に切り、別に予め沸騰させておいた湯(水に小量の石灰を溶かす)の中に入れ、加熱凝固させる。これを冷水中に漬けておくと、コンニャクから過剰のアルカリが溶出して、あく味がなくなる。
【0010】
次に、キノコはコンニャク同様、健康に良い食品として好まれている。近年ではキノコに抗腫瘍性を持つことが知られており、医療界でも注目されている食品である。キノコの種類は豊富であり、食用キノコは300種ほど存在している。一般に、キノコ類は低カロリーで食物繊維が豊富な食品として知られており、便秘解消、減量・肥満解消等の効果があると云われている。
【0011】
本発明に用いるキノコで最良の形態となるマイタケの主な成分は乾燥マイタケ100g中、たんぱく質21.9g、脂質3.9g、炭水化物59.9g含まれており、そのうち食物繊維は40.9g含まれる。その他、一般のキノコ類と比較してビタミンD、ナイアシン等を多く含む(日本食品標準成分表 5訂版、科学技術庁編 による)優れた食品である。前記食物繊維中には免疫力を高め抗腫瘍効果があるといわれるβ−グルカンが含まれ、それはマイタケ特有の化学構造をもつことが解明されている(非特許文献1)。そして、マイタケのエキスからこうした薬効をもつ画分を分離した発明が行なわれてきた(特許文献2)。
【0012】
さらに、動物は日常的に、紫外線、大気中物質、食品成分若しくは体内細胞内での酸化反応など様々な原因により発生する活性酸素にさらされていることが定説になっている。その害作用は、皮膚や肝臓など、体内の多くの組織や細胞、遺伝子に及び、皮膚のシワ、ガン、老化などの根源的な原因とも言われている。
【0013】
通常、健康な個体では、体内で活性酸素を消去して害作用を防ぐ仕組みが機能しているが、ストレス、高齢化、病気などで、体の抵抗力が弱まると、活性酸素を消去する機能が低下すると言われている。
【0014】
最近、マイタケには強い活性酸素消去活性をもつ成分が含まれることが発見され、食品として食べることにより、優れた活性酸素消去剤になることがわかった(特許文献3)。
【0015】
さらに、マイタケに含まれる別の成分により、高血圧症の予防、糖尿病の改善、高脂血症の予防等の効果を示唆する研究論文が発表されている。
【0016】
このようにマイタケはコンニャクと同様、健康食品として注目されている食品の一つであり、例えばマイタケ入りのパンや菓子について、特許文献4に示すような発明が行われてきた。
【0017】
ところで、米菓(煎餅やあられ等)は日本の菓子の中で和生菓子に次いで消費量が多く、老若男女問わず、親しまれている菓子である。
【0018】
その製造方法について言えば、あられは、もち米を精米し、洗米して水へ浸漬した後、蒸練製餅し、これを冷却して所定の形状に成形することにより米菓生地とし、さらに該生地を所定水分量となるまで乾燥した後、焼き上げ、あるいは、油で揚げ、調味を施し、その後仕上乾燥してなるのが一般的である。
【0019】
煎餅は、うるち米を精米し、洗米し、粉砕し、次いで加水し、蒸練し、成型し、乾燥し、焼き上げ、調味して製造してなるのが一般的である。同様に、甘味煎餅の場合は小麦粉に砂糖、鶏卵、食塩等を加え、加水し、成形し、乾燥させ、焼き上げて製造している。
【0020】
又、従来の揚げ米菓では、揚げ方を工夫するなどして、食感や風味を向上させたものがある(例えば特許文献5)。
【0021】
【特許文献1】
特開平9−117261号公報
【特許文献2】
特許第2859843号号公報
【特許文献3】
特許第3260329号公報
【特許文献4】
特開平10−304816号公報
【特許文献5】
特開2002−204660号公報
【非特許文献1】
”Chemical and Pharmaceutical Bulletin36(3)”,p1162−1168 ,1987
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
コンニャクが低カロリーの健康食品として注目されコンニャクを用いた種々の食品が開発されており、又、キノコについても同様であるが、未だコンニャク、あるいはコンニャクとキノコを混合した米菓類へは実用化されていない。
【0023】
米菓は米穀を主原料とするので殆ど成分は澱粉であって、いわば嗜好品である。そのため、上記コンニャクやキノコを含有すれば良好な健康食品となり得るものである。
【0024】
又、揚げ米菓の味付けは似通ったものになりがちなので、従来にはない食感を持たせたり、健康に良い効果があるといった付加価値をもたせることが市場拡大のためには重要である。ここに米穀とは、もち米やうるち米等の米類、小麦や大麦等の麦類、粟、稗、黍、玉蜀黍、豆等を含む広義の穀物を意味する。
【0025】
この点、仮にコンニャク入り米菓の製法として通常考えられるのはコンニャク粉(荒粉または精粉)を米粉と水で直接混ぜ合わせて練粉を作ることが想到されるが、米粉と異質のコンニャク粉は水分が足りず均一に混じらないので良い食感は得られない。
【0026】
また、コンニャクに含まれる澱粉はα化しにくいため、従来の煎餅のような製造方法でこんにゃく入り米菓を提供した場合、こんにゃくの芯が残る。そこで米菓生地を薄くしなければならず、煎餅のような厚みがあって食べ応えのある米菓を提供することは困難であった。
【0027】
一方、キノコ入りの米菓として通常考えられるのは、乾燥キノコの粉砕物を米粉と水で直接混ぜ合わせて練粉を作ることが想到される。
【0028】
そして、マイタケをはじめとするキノコを乾燥するとき、熱風乾燥、凍結乾燥、若しくは天日乾燥などの方法が採られている。中でも大量のキノコを均質に効率良く乾燥するため、通常、熱風乾燥機が使われる。
【0029】
然しながら、その乾燥の際、約60〜90℃の範囲の一定温度で乾燥すると、仕上がった乾燥キノコは硬く水戻しし難く、又、それを粉砕したキノコ粉末は微小で硬い粒状になり、口に含んだ場合、砂を噛むような食感が残ってしまい、商品価値を損ねるものとなっていた。
【0030】
又、キノコの種類によって蛋白質分解酵素の活性の強さや耐熱特性に差があることが分かっている。とりわけマイタケには、耐熱性及び活性が強い蛋白質分解酵素が含まれていて、失活処理しないまま蛋白質を含む食品に混合した場合、食品中の蛋白質が分解され、食品の特性が著しく損なわれることが知られている(特許文献3)。
【0031】
そのため、米菓にマイタケを混入しようとする場合、使用する米穀としてはうるち米やもち米が典型であるが、其々3〜6%程度の蛋白質が含まれており、この蛋白質が生地の出来具合や食感に微妙な影響を与えているので、マイタケによってこの蛋白質が分解されると、米菓の風味食感が損なわれ、商品価値を著しく減じてしまう。
【0032】
そこで本願発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、コンニャク入りの米菓及びコンニャクとキノコ入りの米菓の製造方法を提供するものである。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)米穀を原料とする米菓の製造方法において、米穀を主とする米菓生地原料に、60℃以下の水1 L に対しコンニャクの精粉を25〜35 g の割合で混合したコンニャクと、キノコと、を混合し、100〜200℃の蒸気を噴射しながら撹拌して当該混合練粉を膨潤させた後、所定の形状に成型切断して加熱調理することを特徴とする米菓の製造方法。を提供することによって上記課題を解決する。
(2)又、60℃以下の水1 L に対しコンニャクの精粉を25〜35 g の割合で混合し20分〜40分放置して出来たコンニャク10kgに対して、米穀を10〜250kgと、澱粉0.2〜150kgと、キノコを乾燥重量換算で0.2〜30kgと、を混合し、100〜200℃の温度の蒸気を噴射しながら1〜20分間撹拌して出来たコンニャクと穀物粉と澱粉及びキノコの混合練粉を、所定の形状に成型切断し加熱調理することを特徴とする(1)の米菓の製造方法を提供することによって上記課題を解決する。
(3)加えて、前記混合練粉中のキノコが、マイタケ、エリンギ、ブナシメジ、及びシイタケの少なくとも一種以上のキノコであって、初期温度60℃から徐々に昇温して乾燥させたものであることを特徴とする(1)又は(2)記載の米菓の製造方法。
(4)又、前記混合練粉を圧延して成型切断し、自然乾燥した後、予備乾燥し、油で二度揚げすることを特徴とする(1)乃至(3)記載の米菓の製造方法。
(5)又、上記(1)乃至(4)の何れかに記載の米菓の製造方法で製造されたことを特徴とする米菓を提供する。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を具体的に説明する。本発明における米穀としてはうるち米、もち米、これらの古米、古古米などの米類、又、これらの米類に大麦、小麦、玉蜀黍、粟、稗、黍、大豆、或いはその他の澱粉含有穀類を配合したものを例示することができる。
【0035】
中でも本発明に使用する最良の米穀としてはうるち米ともち米であり、コンニャク10kgに対し、合わせて10〜250kg加えることが望ましい。中でも米菓の食感や「うき」を良くするために、うるち米5〜150kg、もち米5〜100kg、さらに好ましくは、うるち米27kg、もち米15.5kgの割合で加えるとよい。
【0036】
「うき」とは、米菓の容積を表す言葉であり、米菓の品質を総合的に表示するものである。「うきが良い」とは、カサが出て、米菓の容積が大きく全体にのびのびとしており、変型がなく外観良好であり芯がない品質を意味する。「うきが悪い」とはその逆の状態であり、時折芯が残る。うきの良いものが必ずしも米菓として常に良いわけではないが、うきの悪い品質の場合は、生地を薄くして芯を無くすようにする等の工夫が必要である。
【0037】
主材料となる米穀は小麦粉でも良いが、コンニャク同様、小麦粉も米粉よりα化が困難なため、米菓の「うき」が悪くなる。つまり、芯が残るため、混合練粉の成型時に生地を薄くするなどの工夫が必要となるのである。この場合、外観及び食感はポテトチップのようなスナック菓子に近いものとなる。
【0038】
本発明に係る米穀を主原料とする米菓の製造工程においては、少なくとも水または60℃以下の微温湯、好ましくは40℃〜50℃の微温湯1リットルに対しコンニャクの精粉を1〜50g、好ましくは25グラム〜35グラムの割合にかき混ぜながら加えて10分〜180分、好ましくは20分〜40分放置して出来たコンニャクを配合させているため、コンニャクの精粉の主成分であるグルコマンナン(コンニャクマンナン)を摂取することができ、現代の食生活において不足がちと云われている植物繊維(ダイエタリー・ファイバー)を補う効果があり、便秘、心臓病、癌、胆石、痔などに罹りづらい体質を形成する一助となすことが期待できる。
【0039】
又、グルコマンナンは腸管を刺激してホルモンの分泌を促し、血中トリグリセリド濃度の低下、血中コレステロール値の上昇を抑制する作用がある。
【0040】
加えて、コンニャクは油をその内部によく吸収するため、油切れがよく、食後に手が油で汚れることもない。
【0041】
同様に、本発明に係る米穀を主原料とする米菓の製造工程において用いるキノコとしては、マイタケ、エリンギ、ブナシメジ、シイタケ等をあげることができる。本発明にはこれらキノコから選ばれた一種もしくはそれ以上のキノコを使用できるが、マイタケが本発明の最良の形態となる。
【0042】
これらのキノコは、生、あるいは鍋で煮込むかマイクロ波処理等で加熱処理した後細断若しくは粉砕したものでもよいし、又は乾燥キノコの粉砕物をそのまま、若しくは水戻ししたものを使用することができる。中でも、作業性、保存性などの点で、乾燥キノコ若しくはそれを粉砕したキノコ粉末を水戻ししたもの利用することが便利である。
【0043】
尚、キノコはコンニャク10kgに対し乾燥重量換算(生キノコ若しくは水戻ししたキノコはこの数倍〜10倍の重量である)で0.2〜30kg、好ましくは1.5kgの割合で配合されていればよく、実際に混合するに際しては、生キノコや乾燥キノコを水戻しして混練するが、その場合、そのキノコに含まれる水分量だけ全体の重量は増えることになる。
【0044】
キノコを乾燥するとき、熱風乾燥、凍結乾燥、若しくは天日乾燥などの方法が採られている。中でも大量のキノコを均質に効率良く乾燥するため、通常、熱風乾燥機が使われる。
【0045】
然しながら、その乾燥の際、約60〜90℃の範囲の一定温度で数時間〜10時間乾燥すると、仕上がった乾燥キノコは硬く水戻しし難く、又、その粉砕物は硬い粒状になり、口に含んだ場合、砂を噛む食感が残ってしまい、商品価値を損ねるものとなっていた。
【0046】
そこで初期温度60℃から徐々に昇温し、最終温度90℃にまで変化させた上、最終温度を1〜数時間維持することにより、硬くなく、水戻しし易い乾燥キノコに仕上げることができる。又、それを粉砕した粉末はふわふわしていて口に含んだ場合、滑らかな食感があり、食品に混入する上で優れたものとなる。
【0047】
このようにキノコを乾燥する際、比較的低温から高温へ徐々に昇温させることにより、仕上がった乾燥キノコ若しくはキノコ粉末を水戻しして混入した食品の歯触りの悪化を防ぐことができる。
【0048】
前述のように、キノコの種類によって蛋白質分解酵素の活性の強さや耐熱特性に差がある。とりわけマイタケには、特に耐熱性が高く活性が強い蛋白質分解酵素が含まれていて、失活処理しないまま蛋白質を含む食品に混合した場合、食品中の蛋白質が分解され、食品の特性が著しく損なわれる。
【0049】
マイタケを混入する米菓の原料として使用される米穀には、前述のようにうるち米やもち米が使用されることが多いが、其々3〜6%程度の蛋白質が含まれており、この蛋白質が食感に微妙な影響を与えているので、マイタケによってこの蛋白質が分解されると、米菓の風味食感が損なわれ、商品価値を著しく減じてしまう。
【0050】
そこでマイタケを米穀に混入した米菓の製造方法においては、初期温度60℃から徐々に昇温し、15時間かけて最終温度90℃に到達させ、当該最終温度を少なくとも1時間、最適には2時間以上維持することにより、酵素活性の影響をほぼ抑えることができる。
【0051】
他のキノコの酵素活性の影響を抑える乾燥方法について述べれば、エリンギではマイタケ同様の加熱処理を行うが、最終温度を最適には85℃とし、最適最終温度継続時間を1時間以上とすることができる。ブナシメジやシイタケも同様の加熱処理を行い、最終温度を最適には80℃とし、最適最終温度継続時間を1時間以上とすることにより、蛋白質分解酵素活性の影響をほぼ抑えることができる。
【0052】
このように、キノコを米穀に混入した米菓の製造方法においてはキノコの種類に応じた加熱乾燥処理を行うことによって、食感に優れた米菓を製造することができる。
【0053】
尚、生キノコを細断あるいは粉砕した後、鍋で煮込んだりマイクロ波処理等を行ったりして加熱処理することにより蛋白質分解酵素の活性を失活することができることはもちろんである。そして作業性・保存性には劣るが、このように処理したキノコを米菓の諸原料と共に撹拌・混入した生地を製造し、加熱調理することにより、食感が損なわれないキノコ入り米菓を製造できることは言うまでもない。
【0054】
本発明の米菓においては、キノコを含有させた場合、抗腫瘍効果をはじめとする種々の健康に資する効果が期待できる。また、食物繊維により便秘解消等多くの効用が期待できる。
【0055】
さらに、マイタケには強い活性酸素消去活性があり、本発明に係る米菓を日常的に食べることにより、体内の活性酸素消去活性を高め、活性酸素が身体に及ぼす害作用を低減させることが期待できる。
【0056】
コンニャクとマイタケをはじめとするキノコは上記のように、健康に良い種々の特徴を持ち合わせており、中でも、食物繊維が多いことや、低カロリーであるといった共通の特性がある。そのため、コンニャクやマイタケをはじめとするキノコを其々単品で米菓生地に混合した時に生じる欠点を補うことができ、さらに前述の効果を減じることがない。
【0057】
つまり、コンニャクのみを米菓生地に混合した場合、前述したようにコンニャクの澱粉がα化し難い為、米菓にコンニャクの芯が残り、コンニャクを米菓生地に多く混入することができず、一方、マイタケをはじめとするある種のキノコには耐熱性が高く活性が強い蛋白質分解酵素が含まれていて、その酵素は通常の乾燥処理では完全失活できず、多くを混入すると風味食感が悪くなるといった欠点を持っている。そのため単独で米菓に入れる際には混入量を控えなければならず、上記の効果を減じてしまうが、コンニャクとマイタケをはじめとするキノコを同時に米菓生地に混合することで、其々を単独で混合する場合に生じる風味食感の欠如を防止し、かつ上記の効果が薄れさせることがないのである。
【0058】
特に煎餅やあられ等の米菓は午後に食されることが多いが、午後3時過ぎに食すれば、コンニャクとマイタケをはじめとするキノコの食物繊維が体内に12時間〜17時間ほど滞留し、翌朝の便通を快適にならしめる。
【0059】
本発明である米穀を主原料とする米菓の製造工程において、澱粉を混合練粉に加えるなら、米菓の食感を軽いものとし得る。ただし、澱粉を添加しすぎると、米菓本来の食感や風味が損なわれるため、コンニャク10kgに対し技術的には0.2〜150kgを混入することが可能だが、28kg以下にすることが望ましく、より好ましくは0.5〜10kg、中でも2.5kgが最適混合率である。澱粉としては例えばコーンスターチ、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、米澱粉、ハイアミローコーンスターチ、タピオカ澱粉、ワキシーコーンスターチなどの未処理澱粉、前述の未処理澱粉に酸処理や次亜鉛酸ソーダ処理、架橋処理、エーテル化処理、エステル化処理、架橋エーテル化処理、架橋エステル化処理、等を施した加工澱粉、該未処理澱粉及び加工澱粉をα化したα化澱粉等が挙げられる。
【0060】
本発明の製造方法における米穀粉と混練りする前のコンニャクは通常のコンニャクに比してコンニャク粉(精粉)の割合が数倍であるのでグルコマンナンの膨潤が中途段階になっており、以後の米穀粉やキノコ粉末、及び澱粉を混合した混練りの際の蒸気の噴射で水分が増えるのに合わせて膨潤が完全になる。したがって、混練り後の練粉は柔らか過ぎず適度な硬さを保つことになる。
【0061】
尚、蒸気の噴射後、成型切断し、自然乾燥を12時間〜36時間行い、その後、予備乾燥を1〜12時間行うことによって米菓生地中の水分が蒸発し、おおむね5〜10%、最適には8%の水分量となる。こうした工程により、出来上がった米菓の風味、食感が良くなり、又、ひび割れにくくなるので、揚げ米菓では必需工程である。
【0062】
以下、本発明に係わる米菓の製造方法の実施の形態を製造工程にしたがって説明する。
【0063】
先ず、
(1)水10リットルを入れた所定容器にコンニャク精粉を310g(水1リットルに対しコンニャクの精粉を約31gの割合である)かき混ぜながら入れて30分放置する。この間にコンニャクの塊になる。
【0064】
上記水とコンニャク精粉の重量配分は通常のコンニャクが水1リットルに対し2.5gであるのと比較してかなりコンニャク粉の割合が高くなっている。
【0065】
これは、以後の混練り工程での加水を考慮して米菓のパリッとした歯ごたえを保つためである。
【0066】
(2)米穀粉としてもち米とうるち米を使用するが、それらは精米し、洗米して水へ浸漬した後、水切りしておく。その後粉砕し、それぞれもち米粉とうるち米粉とする。
【0067】
(3)ここで使用するキノコとしてマイタケを例に説明するが、その乾燥処理において、初期温度60℃から徐々に昇温し、15時間かけて最終温度90℃に到達させ、当該最終温度を少なくとも1時間、最適には2時間以上維持して乾燥を行うことにより、マイタケに含まれる蛋白質分解酵素の失活処理を行う。他のキノコを使用する場合は前述のように、其々適合した失活を行い使用することができる。
【0068】
(4)失活処理した後、粉砕物とする。ここで、生キノコを細断あるいは粉砕した後、鍋で煮込んだりマイクロ波処理等を行ったりして加熱処理することにより蛋白質分解酵素の活性を失活したものを使用してもよいが、特に鍋で煮込んで失活処理した場合、煮汁中にマイタケの有効成分が溶け出してしまうため、健康食品としての効果が半減してしまう。
【0069】
この際、乾燥重量換算(生キノコ若しくは水戻ししたキノコはこの数倍〜10倍の重量である)で1.5kgのキノコを配合させる。実際に練粉に混入する際には、乾燥マイタケを1.5kgに対し水15Lの割合で水戻ししたマイタケを使用するのがよい。この時マイタケは水戻し用の水を全部含み、生キノコのような様相を呈するようになる。さらに、これらの水分が混合練粉に加えられることにより、混合練粉の粉っぽさを解消することができ、混練するにあたり、作業性を良くする。
【0070】
(5)次に、(1)でできたコンニャクの塊を(2)でできたうるち米粉27kgと、もち米粉15.5kgと、(4)で水戻ししたマイタケ15kgと、デンプン粉2.5kgとを一緒に撹拌機に入れて180℃の蒸気を噴射させながら約5分間撹拌(混練り)する。ここで、もち米粉とうるち米粉のいずれか一方のみを使用したり、小麦粉を使用したりすることも考えられるが、これらによる場合は前述のように、油で揚げた際、コンニャクの芯が残ってしまうため、不適である。
【0071】
この撹拌時にグルコマンナンは完全に膨潤した状態となり、グルコマンナン特有の滑らかさや艶が練粉全体に与えられて粘りの強い練粉が出来上がる。
【0072】
この際、単に水を加えるのでなく、高熱の蒸気の噴射によって水分を加えつつ混練りしているので短時間で極めて均一の粘りのある練粉が出来上がるのである。
【0073】
尚、蒸気温度は100〜200℃の範囲が適用されるが、最適には180℃の蒸気が最も適している。これはコンニャクの加熱凝固を促進しつつ米穀粉のα化を進めて米穀粉との結合を良くして全体に粘りをもたせることになり、芯が残らず歯ごたえのある食感となるのに適した範囲である。
【0074】
(6)次に、出来たコンニャクとうるち米粉ともち米粉とマイタケ粉砕物と澱粉の混合練粉を圧延して自然乾燥させつつ、所定の形状に成型切断を行い、さらに乾燥を行う。このようにしてできた米菓生地は最終的に水分量が5〜10%、望ましくは8%にまで低下させることにより食感が良好な米菓を提供することができる。
【0075】
尚、自然乾燥は6〜36時間行われ、その後40℃〜80℃で1〜12時間(8時間が最適)予備乾燥すると、ひび割れない米菓ができあがる。
【0076】
(7)乾燥後、140℃〜180℃の低温の油で20秒揚げる。その10秒後に180℃〜350℃までの高温の油で15秒揚げる。このように2回油で揚げることによって、歯ごたえが良好な米菓となる。無論、揚げ加熱ではなく、焼き上げ加熱でも良い。
【0077】
(8)十分に油切りした後、塩と醤油の混合調味料液で味をつける。
【0078】
尚、製品の種類、製造量によって上記条件の範囲で分量配分、温度設定、撹拌時間が適宜設定されるが、基本的製造方法に変わりはない。
【0079】
以上説明したように、本発明による製造方法によって出来るコンニャク及びマイタケ入米菓は米穀を主成分とする製造方法であって、コンニャク及びマイタケを効果的に混練りして極めて商品価値の高い米菓製品が出来る誠に有益な発明である。
【0080】
【発明の効果】
本発明の米菓及び米菓の製造方法は、以下の優れた効果を有する。
(1)健康食品として優れたコンニャク、あるいはコンニャクとマイタケをはじめとするキノコとを米穀粉に混合して混捏されるので商品価値の高い米菓製品が出来る。
(2)蒸気を噴射しつつコンニャクとマイタケをはじめとするキノコと米穀粉と澱粉を撹拌するので均一に且つグルコマンナンによる、風味食感及び油切れの良い米菓ができる。
Claims (5)
- 米穀を原料とする米菓の製造方法において、米穀を主とする米菓生地原料に、60℃以下の水1 L に対しコンニャクの精粉を25〜35 g の割合で混合したコンニャクと、キノコと、を混合し、100〜200℃の蒸気を噴射しながら撹拌して当該混合練粉を膨潤させた後、所定の形状に成型切断して加熱調理することを特徴とする米菓の製造方法。
- 60℃以下の水1 L に対しコンニャクの精粉を25〜35 g の割合で混合し20分〜40分放置して出来たコンニャク10kgに対して、米穀を10〜250kgと、澱粉0.2〜150kgと、キノコを乾燥重量換算で0.2〜30kgと、を混合し、100〜200℃の温度の蒸気を噴射しながら1〜20分間撹拌して出来たコンニャクと穀物粉と澱粉及びキノコの混合練粉を、所定の形状に成型切断し加熱調理することを特徴とする請求項1記載の米菓の製造方法。
- 前記混合練粉中のキノコが、マイタケ、エリンギ、ブナシメジ、及びシイタケの少なくとも一種以上のキノコであって、初期温度60℃から徐々に昇温して乾燥させたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の米菓の製造方法。
- 前記混合練粉を圧延して成型切断し、自然乾燥した後、予備乾燥し、油で二度揚げすることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の米菓の製造方法。
- 請求項1乃至請求項4の何れかに記載の米菓の製造方法で製造されたことを特徴とする米菓。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003159302A JP4081528B2 (ja) | 2003-06-04 | 2003-06-04 | 米菓及び米菓の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003159302A JP4081528B2 (ja) | 2003-06-04 | 2003-06-04 | 米菓及び米菓の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004357572A JP2004357572A (ja) | 2004-12-24 |
JP4081528B2 true JP4081528B2 (ja) | 2008-04-30 |
Family
ID=34052403
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003159302A Expired - Fee Related JP4081528B2 (ja) | 2003-06-04 | 2003-06-04 | 米菓及び米菓の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4081528B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20210064561A (ko) * | 2019-11-26 | 2021-06-03 | 주식회사 가온앤 | 혈당강하기능을 가진 고단백-저열량 스낵 및 그 제조방법 |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100809076B1 (ko) | 2006-12-29 | 2008-03-03 | 영남대학교 산학협력단 | 잎새버섯을 함유하는 제과 및 제조방법 |
JP2018078813A (ja) * | 2016-11-15 | 2018-05-24 | 株式会社三幸 | 米菓の製造方法 |
-
2003
- 2003-06-04 JP JP2003159302A patent/JP4081528B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20210064561A (ko) * | 2019-11-26 | 2021-06-03 | 주식회사 가온앤 | 혈당강하기능을 가진 고단백-저열량 스낵 및 그 제조방법 |
KR102387470B1 (ko) * | 2019-11-26 | 2022-04-18 | 주식회사 가온앤 | 혈당강하기능을 가진 고단백-저열량 스낵 및 그 제조방법 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004357572A (ja) | 2004-12-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5789012A (en) | Products from sweet potatoes, cassava, edible aroids, amaranth, yams, lotus, potatoes and other roots, seeds and fruit | |
US5244689A (en) | Flour, bread, milk, and other products from white sweet potatoes cassava, edible aroids, amaranth, yams, and lotus | |
JP2008079606A (ja) | 加工食品用原料粉 | |
US6413562B2 (en) | Healthy bread crumbs | |
CA3005341A1 (en) | Oat-based dough and products therefrom | |
KR101091832B1 (ko) | 쌀가루를 함유한 호두과자 제조방법 | |
KR101428862B1 (ko) | 현미유자후레이크 및 그 제조방법 | |
KR100947347B1 (ko) | 찰보리를 이용한 호두과자 제조방법 및 그에 의해 제조된찰보리 호두과자 | |
JP3075556B2 (ja) | 米粉及びそれを用いた加工食品の製造法 | |
KR102015554B1 (ko) | 천연발효종 제조방법 및 이를 이용한 건식 쌀빵의 제조방법 | |
WO1987004599A1 (en) | Flour, bread, milk, and other products from white sweet potatoes, cassava, edible aroids, amaranth, yams, and lotus | |
US6248387B1 (en) | Psyllium enriched baked snack foods | |
JP4081528B2 (ja) | 米菓及び米菓の製造方法 | |
KR20120131493A (ko) | 식이섬유와 함초를 함유하는 기능성 오색 즉석 컵 떡볶이 및 그 제조방법 | |
KR101973670B1 (ko) | 국내산 식자재와 튀기지 않은 여섯 가지의 통곡물을 첨가한 건강식 통곡물 강정의 제조방법 및 이에 의해 제조된 건강식 통곡물 강정 | |
KR101832248B1 (ko) | 고구마 조청이 첨가된 유과와 그 제조방법 | |
KR101180711B1 (ko) | 사과를 함유한 쌀국수 조성물 및 그 제조방법 | |
KR20090034503A (ko) | 어류 콜라겐을 함유하는 기능성 당면 및 그 제조방법 | |
KR102637451B1 (ko) | 파스닙을 함유하는 쿠키 및 그 제조방법 | |
KR102358291B1 (ko) | 파스닙을 함유하는 생면 및 그 제조방법 | |
KR20060033683A (ko) | 발아통밀 식빵의 제조방법 | |
KR102429554B1 (ko) | 늘보리를 주성분으로 이용한 떡국용 떡의 제조 방법 | |
CN107950616A (zh) | 一种高纤维型油莎豆豆渣饼干及制备方法 | |
KR101861505B1 (ko) | 꽃게 과자의 제조방법 및 그로부터 제조된 꽃게 과자 | |
Ajeigbe et al. | Hand book on recipes of sorghum and sorghum based foods in Nigeria |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060526 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070914 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070921 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071120 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20071217 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20080115 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080115 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20080115 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110222 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110222 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140222 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |