JP4081286B2 - シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗員の尻部を支持するシートクッションと、前記乗員の背部を支持するシートバックとからなるシート本体と、前記シート本体の前後方向の位置を調整するシートスライド機構と、前記シートバックの傾動角を調整するリクライニング機構とを有したシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
図14に示すように、フロントシート1、セカンドシート3、サードシート5からなる3列シートの車両7においては、セカンドシート3、サードシート5への乗降は、セカンドシート3の側方に設けられたスライドドア9を介して行なわれる。
【0003】
特に、サードシート5への乗降は、セカンドシート3が邪魔になるので、図15に示すように、セカンドシート3のシートバック3aを前傾させ、セカンドシート3をフロントシート1側へ前進させて、セカンドシート3とサードシート5との間隔を広げて、スライドドア9からの乗降を容易としている。
【0004】
このような作動は、一般にウォークイン機構といわれる機構で実現され、着座者がいない状態でセカンドシート3のリクライニング機構をロック解除すると、シートバック3aが所定の角度まで前傾すると共に、リクライニング機構のロック解除に連動して、セカンドシート3のシートスライド機構のロックが解除され、スプリングの付勢力または人力でセカンドシート3を前進させるものである。また、このウォークイン機構では、前傾したシートバックを着座可能な状態へ戻すと、シートスライド機構のロックが作動するようになっている。
【0005】
一方、このような3列シートの車両7においては、図16に示すように、セカンドシート3のシートバック3aがシートクッション3bに当接するまで前傾できるリクライニング機構を有し、折りたたまれたシートバック3aの背面がサードシート5の着座者のためのテーブルとなったり、荷室となるものがある。
【0006】
尚、本明細書では、以下、シートバックがシートクッションに当接するまで前傾することをシートバックの折りたたみという。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、3列シートのセカンドシート3で、シートスライドスライド機構と、折りたたみ状態までシートバック3aを前傾させるリクライニング機構を有するものはあるが、ウォークイン機構まで有するものは無い。
【0008】
これは、折りたたみ状態までシートバック3aを前傾させるリクライニング機構を有したセカンドシートでウォークイン機構を取り付けることを考えた場合、シートバック3aの前傾までは従来のウォークイン機構で可能であるが、その際、連動してシートスライド機構のロック機構もロック解除される。シートスライド機構がロック解除されたまま、セカンドシート3のシートバック3aの背面をテーブルや荷室として使用できないので、シートスライドのロックを行なう必要があるが、シートスライドをロックさせるためには、シートバック3aを着座可能な状態にもどす必要があり、テーブル、荷室として使用できないからである。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、ウォークインも、シートバックの折りたたみも一連の作動で可能なシートを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1記載の発明は、乗員の尻部を支持するシートクッションと、前記乗員の背部を支持するシートバックとからなるシート本体と、前記シート本体の前後方向の位置を調整するシートスライド機構と、前記シートバックの傾動角を調整するリクライニング機構と、を有したシートにおいて、前記リクライニング機構がロック解除され、シートバックが前傾する際に、前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記シートクッションに当接する状態までの間で、前記シートバックの傾動を禁止する中間ロック機構と、前記シートバックが前傾する際に、前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記中間ロック機構により傾動が禁止される間で前記シートスライド機構をロック解除し、前記中間ロック機構がロック解除され、前記シートクッションに当接するまでの間で前記シートスライド機構をロックするスライドロックコントロール機構と、を備え、前記スライドロックコントロール機構は、前記シートクッション側に回転可能に設けられたレバー手段と、前記シートバックの傾動を前記レバー手段に伝達するケーブルと、前記シートクッション側に回転可能に設けられ、前記レバー手段が当接可能な当接面を有し、回転することにより前記シートスライド機構のロック解除を行なうコントロールレバーと、からなり、前記レバー手段は、前記シートバックが前傾すると一方の方向に回転し、前記コントロールレバーの当接面を押して前記シートスライド機構のロック解除を行い、前記シートバックが更に前傾れすると、一方の方向に更に回転し、前記コントロールレバーの当接面から離れるように設けられていることを特徴とするシート。
【0011】
リクライニング機構をロック解除し、シートバックを前傾させると、中間ロック機構により一旦前傾が禁止される。
前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記中間ロック機構により傾動が禁止される間で前記シートスライド機構をロック解除し、前記中間ロック機構がロック解除され、前記シートクッションに当接するまでの間で前記シートスライド機構をロックするスライドロックコントロール機構を設けたことにより、中間ロック機構によりシートバックの前傾が禁止された時点では、シートスライド機構のロックが解除されている。
【0012】
ウォークインを行なう際には、中間ロック機構によりシートバックの前傾が禁止されている状態で、シートを前進させウォークイン状態とする。ウォークイン状態から着座可能な状態へ復帰させるには、シートを後に戻し、シートバックを後傾させる。そのシートバックの後傾の途中で、スライドロックコントロール機構により、シートスライド機構が再びロックする。
【0013】
一方、シートバックを折りたたむ際には、中間ロック機構を解除して、シートバックをさらに前傾させ、シートバックを折りたたむ。そのシートバックの前傾の途中で、スライドロックコントロール機構により、シートスライド機構が再びロックする。シートバックの折りたたみ状態から着座可能な状態へ復帰させるには、シートバックを後傾させる。
【0014】
このように、前記リクライニング機構がロック解除され、シートバックが前傾する際に、前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記シートクッションに当接する状態までの間で、前記シートバックの傾動を禁止する中間ロック機構と、前記シートバックが前傾する際に、前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記中間ロック機構により傾動が禁止される間で前記シートスライド機構をロック解除し、前記中間ロック機構がロック解除され、前記シートクッションに当接するまでの間で前記シートスライド機構をロックするスライドロックコントロール機構とを備えたことで、シートのウォークインとシートバックの折りたたみとが一連の作動で可能となる。
【0018】
コントロールレバーの当接面の形状、レバー手段の形状を任意に設定することにより、前記コントロールレバーは、前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記中間ロック機構により傾動が禁止される間の所望の位置で、前記レバー手段により押圧され回転し、シートスライド機構のロック解除を行い、前記中間ロック機構がロック解除され、前記シートクッションに当接するまでの所望の位置で、前記レバー手段の押圧が解除され、シートスライド機構を再びロックすることができる。
【0019】
請求項2記載の発明は、前記レバー手段は、前記シートバックの傾動と共に回転する第1のレバーと、該第1のレバーの回転端部側に回転可能に設けられた第2のレバーと、前記第1のレバー、前記第2のレバーのいずれか一方のレバーに形成され、他方のレバーに当接し、前記シートバックが前傾する際の前記第1のレバーの回転方向と反対の方向の前記第2のレバーの回転を禁止するストッパと、前記ストッパを他方のレバーに当接させる付勢手段と、からなることを特徴とする請求項1に記載のシートである。
【0020】
シートバックがシート着座可能状態から前傾する際に、第1のレバーが回転すると、第2のレバーも第1のレバーとともに回転する。第2のレバーがコントロールレバーの当接面に当接しても、ストッパにより第2のレバーはシートバック前傾時の第1のレバーの回転方向と反対の方向の回転が禁止されているので、第2のレバーは第1のレバーと共に回転し、コントロールレバーの当接面を押圧し、コントロールレバーは回転する。
【0021】
一方、シートバックが後傾する際に、第1のレバーが回転すると、第2のレバーも第1のレバーとともに回転する。第2のレバーがコントロールレバーの当接面に当接すると、第2のレバーはシートバック後傾時の第1のレバーの回転方向と反対方向の回転は許容されているので、第1のレバーに対して回転し、第2のレバーはコントロールレバーの当接面を摺接し、コントロールレバーを押して回転させることはない。
【0022】
よって、シートバック後傾時には、コントロールレバーは回転しないので、スライドロックコントロール機構により、シートバックの後傾時にシートスライド機構がロック→ロック解除→ロックすることがなくなる。即ち、シートバック後傾時にシートスライド機構がロック解除することがなくなる。
【0023】
請求項3記載の発明は、乗員の尻部を支持するシートクッションと、前記乗員の背部を支持するシートバックとからなるシート本体と、前記シート本体の前後方向の位置を調整するシートスライド機構と、前記シートバックの傾動角を調整するリクライニング機構と、を有したシートにおいて、前記リクライニング機構がロック解除され、シートバックが前傾する際に、前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記シートクッションに当接する状態までの間で、前記シートバックの傾動を禁止する中間ロック機構と、前記シートバックが前傾する際に、前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記中間ロック機構により傾動が禁止される間で前記シートスライド機構をロック解除し、前記中間ロック機構がロック解除され、前記シートクッションに当接するまでの間で前記シートスライド機構をロックするスライドロックコントロール機構と、を備え、前記スライドロックコントロール機構は、前記リクライニング機構の回転軸と同軸上に設けられた軸に対して回転可能に設けられ、回転中心以外の部分にフック部が形成され、さらに、シートスライド機構のロック解除を行なうワイヤが接続されたワイヤフックプレートと、前記リクライニング機構のアッパアーム側に回転可能に設けられ、前記ワイヤフックプレートのフック部に係脱可能なラウンドフックと、前記ラウンドフックを前記ワイヤフックプレート方向に付勢する付勢手段と、前記リクライニング機構のロアアーム側に設けられ、前記ラウンドフックが当接して、前記ラウンドフックと前記ワイヤフックプレートのフック部の係合を解除する方向に前記ラウンドフックを回転させるカムと、で構成し、前記シートバックが前傾する際に、前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記中間ロック機構により傾動が禁止される間で前記ラウンドフックが前記ワイヤフックプレートのフック部と係合し、前記ワイヤフックプレートを回転させ、前記シートスライド機構のロック解除を行ない、前記中間ロック機構がロック解除され、前記シートクッションに当接するまでの間で前記カムに前記ラウンドフックが当接し、前記ラウンドフックと前記ワイヤフックプレートのフック部との係合が解除され、前記シートスライド機構をロックすることを特徴とするシートである。
【0024】
スライドロックコントロール機構を構成するワイヤフックプレート、ラウンドフック、付勢手段、カムをリクライニング機構に設けたことで、リクライニング機構とスライドロックコントロール機構とを一体化でき、シートの部品点数の削減を行なえる。
請求項4記載の発明は、前記中間ロック機構は、前記シートバック側、前記シートクッション側の一方に設けられた中間ストッパレバーと、前記シートバック側、前記シートクッション側の他方に設けられ、段部が形成されたカムと、前記中間ストッパレバーを前記カムに押し付ける付勢手段と、からなり、前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記シートクッションに当接する状態まで傾動する間で、前記カムの段部に前記中間ストッパレバーが当接し、前記シートバックの前傾を禁止するように前記カムの形状を設定したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の記載のシートである。
着座可能な状態からシートバックを前傾すると、中間ストッパレバーがカムの段部に当接し、シートバックの前傾は禁止されるが、折りたたまれた状態からシートバックが後傾すると、中間ストッパレバーはカムの段部を滑り落ち、シートバックの後傾が禁止されることはない。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明の実施の形態例を説明する。
(1)第1の実施の形態例
(全体構成)
最初に、図1を用いて、第1の実施の形態例のシートの全体構成を説明する。
【0026】
図において、シートスライド機構100は、フロア側に固着されるロアレール110と、ロアレール110に移動可能に係合するアッパレール120とからなっている。
【0027】
アッパレール120には、着座者の尻部を支持するシートクッション201側の部材であるロアアーム200が固着され、ロアアーム200に対してリクライニング機構300を介して着座者の背部を支持するシートバック401側の部材であるアッパアーム400が傾動可能に設けられている。
【0028】
尚、本実施の形態例のリクライニング機構300は、シートバック401が着座可能な位置から折りたたみ状態(シートクッション201上に当接する状態)までシートバック401の傾動が可能とするものである。
【0029】
ロアアーム200と、アッパアーム400とには、リクライニング機構300がロック解除され、シートバック401が前傾する際に、シートバック401が着座可能な状態を過ぎて折りたたみ状態(シートバック401がシートクッション201に当接する状態)までの間で、シートバック401の傾動を禁止する中間ロック機構500が設けられている。
【0030】
ロアアーム200には、シートバック401が前傾する際に、シートバック401が着座可能な状態を過ぎて中間ロック機構500により傾動が禁止される間でシートスライド機構100をロック解除し、中間ロック機構500がロック解除され、折りたたみ状態になるまでの間でシートスライド機構100をロックするスライドロックコントロール機構600が設けられている。
(中間ロック機構)
中間ロック機構500の説明を行なう。アッパアーム400には、段部503が設けられたカム部505が形成されている。
【0031】
一方、ロアアーム200には、カム部505に当接可能な中間ストッパレバー501が回転可能に設けられている。さらに、中間ストッパレバー501は、図示しない付勢手段により、矢印C方向に付勢され、中間ストッパレバー501はアッパアーム400のカム部505に常に当接するようになっている。
【0032】
そして、カム部505の段部503はシートバック401が着座可能な状態を過ぎて折りたたみ状態まで傾動する間で、カム部505の段部503に中間ストッパレバー501が当接し、シートバック401の前傾を禁止するようにカム部505の形状は設定されている。
(シートスライド機構)
シートスライド機構100には、アッパレール120の移動を禁止するロック機構が設けられている。
【0033】
ロック機構を説明する斜視図である図6に示すように、ロアレール110には長手方向にそってロック歯111が形成されている。
一方、図1の切断線C−Cでの断面図である図4に示すように、2枚の板材からなるアッパレール120の間には、ピン121を用いてロックレバー123が設けられている。
【0034】
図1、図4、図6に示すように、ロックレバー123の回転端部には、折り曲げ部125が形成され、折り曲げ部125には、ロアレール110のロック歯111が係脱可能なロック穴127が形成されている。したがって、アッパレール120側のロックレバー123のロック穴127がロアレール110のロック歯111に係合しているときには、アッパレール120の移動が禁止され、アッパレール120側のロックレバー123のロック穴127がロアレール110のロック歯111より離脱しているきには、アッパレール120の移動が許容されることとなる。
【0035】
さらに、ロックレバー123の上部には、図1及び図4に示すように、ロアアーム200に形成された穴200aを介して外部に突出する折り曲げ部123aが形成されている。そして、一端部がロアアーム200に他端部がロックレバー123の折り曲げ部123aに係止されるスプリング129により、ロックレバー123は、図において矢印D方向に付勢され、通常はそのロック穴127がロアレール110のロック歯111に係合し、アッパレール120の移動を禁止している(シートスライド機構のロック状態)。
【0036】
また、ロアアーム200には、ロックレバー123の折り曲げ部123aをスプリング129の付勢力に抗して下方、すなわち、ロックレバー123のロック穴127がロアレール110のロック歯111から離脱する方向に押圧可能なオープンレバー131が設けられている。このオープンレバー131は、ロアアーム200に回転可能に設けられたピン133に固着されている。
【0037】
さらに、図1及び図1の切断線B−Bの断面図である図3に示すように、オープンレバー131のピン133には、伝達レバー141が固着されている。この伝達レバー141には、一方の端部が他方のシートスライド機構のオープンレバーに接続されたケーブル143の他方の端部が接続され、このケーブル143を介して、オープンレバー131の動きは他方のシートスライド機構のオープンレバーに伝達されるようになっている。
【0038】
そして、オープンレバー131には、一端部がロアアーム200に係止されたスプリング151の他端部が係止され、オープンレバー131はロックレバー123の折り曲げ部123aより離れる方向に付勢されている。
(スライドロックコントロール機構)
図1に示すように、リクライニング機構300のヒンジピン301には、略L字形のレリーズレバー601が回転可能に係合している。このレリーズレバー601の一方の回転端部は、アッパアーム400に設けられた切り起し部400aと当接可能となっている。尚、ヒンジピン301の端面には、すり割り部301aが形成され、内端部がこのすり割り部301aに、中間部がヒンジピン301を巻回し、外端部がアッパアーム400の切り起し部400aに係止されるスパイラルスプリング305によりシートバック401は前傾する方向に付勢されている。
【0039】
レリーズレバー601の他方の回転端部にはケーブル603の一方の端部が接続され、このケーブル603の他方の端部にはレバー手段650が接続されている。尚、ケーブル603は一方の端部がリクライニング機構300近傍のロアアーム200に固着され、他方の端部がスライドロックコントロール機構600のレバー手段650近傍のロアアーム200に固着されたアウタケーブル604内を挿通している。
【0040】
図1及び図1の切断線A−Aの断面図である図2に示すように、ロアアーム200には、ロアアーム200を貫通するピン651が設けられ、このピン651のロアアーム200の内側にはケーブル603が接続されるケーブル接続レバー653が、ロアアーム200の外側には第1のレバー655がそれぞれピン651に対して回転可能に取り付けられている。
【0041】
ロアアーム200には、ピン651を中心とする円弧状の長穴656が形成されている。第1のレバー655の回転端部には、この円弧状の長穴656を挿通し、ロアアーム200の内側に突出し、ケーブル接続レバー653に当接可能なピン657が固着されている。
【0042】
そして、ピン651を巻回し、一方の端部がロアアーム200に、他方の端部が第1のレバー655に係止されるスプリング659により、第1のレバー655は図1において矢印E方向に付勢されている。したがって、スプリングの付勢力は、第1のレバー655→ピン657→ケーブル接続レバー653→ケーブル603を介してレリーズレバー601をアッパアーム400の切り起し部400aに当接する方向に付勢している。
【0043】
よって、シートバックが傾動した場合、ケーブル603を介して、ケーブル接続レバー653と第1のレバー655とはシートバックの傾動と連動して共に回転することとなる。
【0044】
また、図5に示すように、第1のレバー655にはピン657に対して回転可能に取り付けられた第2のレバー661が設けられている。
第2のレバー661には、第1のレバー655の側面に当接し、シートバック401が前傾する際の第1のレバー655の回転方向と反対の方向(図5において矢印F方向)の第2のレバー661の回転を禁止するストッパ663が形成されている。
【0045】
そして、中間部がピン657を巻回し、一方の端部が第1のレバー655に固着されたピン657に、他方の端部が第2のレバー661に係止されるスプリング664により(図2参照)、第2のレバー655は矢印F方向、すなわち、第2のレバー661のストッパ663が第1のレバー655に当接する方向に付勢されている。
【0046】
すなわち、ストッパ663により第2のレバー661はシートバック前傾時の第1のレバー655の回転方向と反対の方向の回転が禁止されているので、シートバック前傾時に、第2のレバー661の回転方向前面に第2のレバー661に当接する物があっても、第2のレバー661は第1のレバー655と一体となって回転する。しかし、シートバック後傾時には、第2のレバー661の回転方向前面に第2のレバー661に当接する物があれば、第2のレバー661は第1のレバー655の回転方向と逆方向に回転することができる。
【0047】
図1及び図2に示すように、第2のレバー661の回転端部にはピン667が設けられている。第2のレバーの上方のロアアーム200には、コントロールレバー671がピン673を用いて回転可能取り付けられている。
【0048】
コントロールレバー671の下面は、ロアアーム200と反対側に折り曲げられ、第2のレバー661が当接可能なの当接面674が形成されている。
さらに、コントロールレバー671には、ロアアーム200に形成されたピン673を中心とする円弧状の長穴200bに係合するピン675が形成され、コントロールレバー671はそのピン675が長穴200bの端部に当接する範囲で回転可能となっている。
【0049】
コントロールレバー671とシートスライド機構100のロック解除を行なうオープンレバー131とはロッド677で接続され、このロッド677を介してコントロールレバー671の動きはオープンレバー131に伝達されるようになっている。
【0050】
次に、上記構成の作動を図7を参照して説明する。
(I)〜(II)着座可能な状態(ニュートラル状態)
この状態は、シートスライド機構はロック状態にある。
(III)中間ストッパ
着座者が着座していない状態で、リクライニング機構300のレバーを操作すると、スパイラルスプリング305の付勢力でシートバック401が前傾れし始める。
【0051】
シートバック401の前傾により、アッパアーム400の切り起し部400aがレリーズレバー601を押し、レリーズレバー601が回転し、レリーズレバー601の動きはケーブル603を介してスライドロックコントロール機構600のレバー手段650に伝達され、ケーブル接続レバー653、第1のレバー655をスプリング659の付勢力に抗して矢印E方向と反対方向に回転させる。
【0052】
第1のレバー655が回転し、第2のレバー661がコントロールレバー671の当接面674に当接すると、ストッパ663により第2のレバー661はシートバック401の前傾時の第1のレバー655の回転方向と反対の方向(矢印F方向)の回転が禁止されているので、第2のレバー661は第1のレバー655と共に回転し、第2のレバー661のピン667がコントロールレバー671の当接面674を押し、コントロールレバー671は図1においてピン673を中心に矢印G方向に回転する。
【0053】
このコントロールレバー671の回転は、ロッド677を介してオープンレバー131に伝達され、オープンレバー131はシートスライド機構100のロックレバー123の折り曲げ部123aを押し、シートスライド機構100のロック解除がなされる。
【0054】
所定の角度までシートバック401が前傾すると、中間ロック機構500のアッパアーム400側の段部503が中間ストッパレバー501に当接し、それ以上のシートバック401の前傾が禁止される。
【0055】
(III)の状態から、ウォークインをさせる場合は、シートスライド機構100のロック解除がなされているので、シートを前進させ、ウォークイン状態とする。
【0056】
尚、ウォークイン状態から着座可能な状態に復帰させるには、シートを後に戻し、シートバック401を後傾させる。この時、シートバック401の後傾が始まると、レリーズレバー601も元の位置に向かって回転し始め、スライドロックコントロール機構600のレバー手段650のケーブル接続レバー653、第1のレバー655も着座可能な状態の位置に向かって回転し始める。
【0057】
第2のレバー661はシートバック後傾時の第1のレバー655の回転方向と反対方向の回転(矢印F方向と反対側の方向)は許容されているので、第1のレバー655に対して矢印F方向と反対側の方向に回転し、コントロールレバー671は着座可能な状態の位置に戻り、シートスライド機構100はすぐにロックされる。そして、第2のレバー661が、シートスライド機構100のロック状態のコントロールレバー671の当接面674に摺接しながら、スライドロックコントロール機構600のレバー手段650は着座可能な状態の位置に戻る。
(IV)(III)の状態からシートバックを折りたたむ際には、中間ロック機構500の中間ストッパレバー501を操作して、段部503と中間ストッパレバー501との当接を解除し、シートバック401の更なる前傾を可能とする。中間ストッパレバー501の操作は、アッパアーム400の段部503が中間ストッパレバー501を通過するまで行なえば足りる。その後、中間ストッパレバー501の操作力を解除しても、中間ストッパレバー501はアッパアーム400に押接し、シートバック401の前傾を禁止することはない。
【0058】
シートバック401をさらに前傾させ、シートバック401を折りたたむ。そのシートバック401の前傾の途中で、スライドロックコントロール機構600のレバー手段650の第2のレバー661がコントロールレバー671の当接面674より離れ、第2のレバー661の当接面674への押圧力がなくなると、オープンレバー131がスプリング151の付勢力により元の位置に戻り、ロッド677を介してコントロールレバー671も元の位置に戻り、シートスライド機構100のロックがなされる。
【0059】
次に、このシートバック401の折りたたみ状態から着座可能な状態に復帰させるには、シートバック401を後傾させる。
この時、シートバック401の後傾が始まると、レリーズレバー601も元の位置に向かって回転し始め、スライドロックコントロール機構600のレバー手段650のケーブル接続レバー653、第1のレバー655も着座可能な状態の位置に向かって回転し始める。
【0060】
第2のレバー661はシートバック後傾時の第1のレバー655の回転方向と反対方向の回転(矢印F方向と反対側の方向)は許容されているので、第2のレバー661がコントロールレバー671の当接面674に当接すると、第2のレバー661は、第1のレバー655に対して矢印F方向と反対側の方向に回転し、第2のレバー661は、シートスライド機構100のロック状態のコントロールレバー671の当接面674に摺接しながらスライドロックコントロール機構600のレバー手段650は着座可能な状態の位置に戻る。
【0061】
また、この時、中間ロック機構500の中間ストッパレバー501はカム部505の段部503を滑り落ちるだけなので、シートバック401の後傾が禁止されることはない。
【0062】
上記構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)リクライニング機構300がロック解除され、シートバック401が前傾する際に、シートバック401が着座可能な状態を過ぎてシートクッション201に当接する状態までの間で、シートバック401の傾動を禁止する中間ロック機構500と、シートバック401が前傾する際に、シートバック401が着座可能な状態を過ぎて中間ロック機構500により傾動が禁止される間でシートスライド機構100をロック解除し、中間ロック機構500がロック解除され、シートクッション201に当接するまでの間でシートスライド機構100をロックするスライドロックコントロール機構600とを備えたことで、シートのウォークインとシートバックの折りたたみとが一連の作動で可能となる。
(2)着座可能な状態からシートバック401を前傾すると、中間ロック機構500の中間ストッパレバー501がカム部505の段部503に当接し、シートバック500の前傾は禁止されるが、折りたたまれた状態からシートバックが後傾すると、中間ストッパレバー501はカム部505の段部503を滑り落ち、シートバック401の後傾が禁止されることはない。
(3)コントロールレバー671の当接面674の形状、レバー手段650(第1のレバー655、第2のレバー661)の形状を任意に設定することにより、コントロールレバー671は、シートバック401が着座可能な状態を過ぎて中間ロック機構500により傾動が禁止される間の所望の位置で、レバー手段650により押圧され回転し、シートスライド機構100のロック解除を行い、中間ロック機構500がロック解除され、シートクッション201に当接するまでの所望の位置で、レバー手段650の押圧が解除され、シートスライド機構100を再びロックすることができる。
【0063】
すなわち、シートスライド機構100のロック、ロック解除のタイミングを自由に変えることができる。
(4)シートバック401がシート着座可能状態から前傾する際に、第1のレバー655が回転すると、第2のレバー661も第1のレバー655とともに回転する。第2のレバー661がコントロールレバー671の当接面674に当接しても、ストッパ663により第2のレバー661はシートバック前傾時の第1のレバー655の回転方向と反対の方向の回転が禁止されているので、第2のレバー661は第1のレバー655と共に回転し、コントロールレバー671の当接面674を押圧し、コントロールレバー671は回転する。
【0064】
一方、シートバック401が後傾する際に、第1のレバー655が回転すると、第2のレバー661も第1のレバー655とともに回転する。第2のレバー661がコントロールレバー671の当接面674に当接すると、第2のレバー661はシートバック後傾時の第1のレバー655の回転方向と反対方向の回転は許容されているので、第1のレバー655に対して回転し、第2のレバー661はコントロールレバー671の当接面674を摺接し、コントロールレバー671を押して回転させることはない。
【0065】
よって、シートバック後傾時には、コントロールレバー671は回転しないので、スライドロックコントロール機構600により、折りたたんだ状態のシートバック401の後傾時にシートスライド機構100がロック→ロック解除→ロックすることがなくなる。即ち、シートバック401の後傾時にシートスライド機構100がロック解除することがなくなる。
【0066】
尚、本発明は上記第1の実施の形態例に限定するものではない。上記第1の実施の形態例でのレバー手段は、第1のレバー655と第2のレバー661とに分離して、シートバック401の後傾時にコントロールレバー671が回転しないようにしたが、第2のレバーをなくし、第1のレバーがコントロールレバー671の当接面674に当接するようにしてもよい。この場合、シートバック後傾時には、コントロールレバー671が回転し、スライドロックコントロール機構600により、シートバック401の後傾時にシートスライド機構100がロック→ロック解除→ロックする。
【0067】
又、スライドロックコントロール機構600のストッパ663を第2のレバー661に形成したが、第1のレバー655側に設けてもよい。
(2)第2の実施の形態例
図8,図9に示すような構成のスライドロックコントロール機構600′であってもよい。
【0068】
図において、図1〜図7に示す構成と同一機能部分には同一符号にダッシュ(′)を付している。
第1の実施の形態例との相違点は、コントロールレバー671′が略L字形となっている点である。
【0069】
このような構成によれば、第1の実施の形態例の効果に加え、以下のような効果も得ることができる。
(1)第1の実施の形態例のレバー手段650のケーブル接続レバー653に接続されるケーブル603が引かれると、ケーブル接続レバー653が回転し、ケーブル603は図1で角度αだけ振れる。
【0070】
又、第2の実施の形態例のレバー手段650のケーブル接続レバー653′に接続されるケーブル603が引かれると、ケーブル接続レバー653′が回転し、ケーブル603は図8で角度βだけ振れる。
【0071】
これらの角度をケーブルの振れ角というが、ケーブルの振れ角が大きいと、アウタケーブルとの摩擦が大きくなり、大きな振れ角は取れない。
したがって、第1の実施の形態例では、ケーブル603の振れ角の制限から、図1に示すように、ケーブル接続レバー653近傍のアウタケーブル604は水平に近い状態の配索となり、アウタケーブル604の中間部はロアアーム200より外部に飛び出し、しかも曲がり部604aの曲率が小さくなる。
【0072】
一方、第2の実施の形態例では、図8に示すように、ケーブル接続レバー653′近傍のアウタケーブル604は垂直に近い状態の配索となり、リクライニング機構からほとんど垂直に降りる配索が可能である。
【0073】
したがって、第2の実施の形態例の方が小さな曲がりがないケーブル配索が実現でき、インナーケーブル603とアウタケーブル604との摺動抵抗が少なくなる。
(2)図1に示す第1の実施の形態例でのオープンレバー131とロッド677とのなす角度Hと、図8に示すオープンレバー131とロッド677′とのなす角度Iとを比較すると、第1の実施の形態例での角度Hは鋭角であるのに対し、第2の実施例の角度Iは直角に近い。
【0074】
したがって、ロッドを介して伝達されるオープンレバー131を回転させる力は第2の実施の形態例のほうが大きくなり、第2の実施の形態例のほうが伝達効率が大きくなる。
(3)第3の実施の形態例
第1および第2の実施の形態例は、スライドロックコントロール機構をロアアームに設けたが、本実施の形態例ではリクライニング機構に設けたものである。
【0075】
図10において、ロアアーム701と、アッパアーム703を有するリクライニング機構705のアッパアーム703には、ロアアーム701まで延出し、ロアアーム701とアッパアーム703とがヒンジピン707の軸方向で離れるのを防止するサポートブラケット709が設けられている。
【0076】
ロアアーム701上には、サポートプレート711が固着されている、ロアアーム701と、サポートプレート711との固着は、ロアアーム701上には、2つの穴701aを形成し、サポートプレート711にこの穴701aに係合する突起部711aを形成し、穴701aに係合した突起部711aをかしめることにより行なっている。
【0077】
さらに、サポートプレート711のヒンジピン707と対向する位置には、小判形状の穴711bが形成されている。この穴711bには、基端部に断面小判形状である小判部713aが形成されたピン713が嵌合している。尚、ピン713の小判部713aとサポートプレート711の小判形状の穴711bとの嵌合により、ピン713の回転は禁止されている。
【0078】
サポートプレート711の外縁には、板材を折り曲げて形成されたカム715が溶接等の手法により取り付けられている。さらに、サポートプレート711の外縁には、円弧状のガイドプレート717が溶接等の手法で取り付けられている。
【0079】
サポートプレート711上には、ピン713に対して回転可能に設けられたワイヤフックプレート719が設けられている。ワイヤフックプレート719は、ピン713が挿通する穴721が形成されたプレート本体723と、プレート本体723に設けられた円弧状のワイヤフック725とからなっている。プレート本体723には、図において下方に突出する切り欠きが設けられ、サポートプレート711のカム715とガイドプレート717との間の部分に当接可能なストッパ723aを形成している。
【0080】
ワイヤフック725の内縁側には、サポートプレート711に設けられたガイドプレート717が係合するガイド溝725aが形成されている。
外縁側の中間部には、図10および図11に示すように、図示しないシートスライド機構でロック方向に付勢されたオープンレバー(図1でのオープンレバー131に相当する)に一端部が接続されたケーブル727の他方の端部が係止される係止金具729の取り付け用平面であるケーブル係止部725bが形成されている。さらに、このケーブル係止部725bからワイヤフック725の一方の端部(シートスライド機構側の端部)にかけて、ケーブル727を案内するケーブルガイド溝725cが形成されている。又、ケーブル係止部725bからワイヤフック725の他方の端部にかけてフック溝725dが形成されている。このフック溝725dの終端にはフック面725eが形成されている。
【0081】
図10に戻って、サポートブラケット709には、スプリング係止プレート731が設けられ、このスプリング係止プレート731上には、ワイヤフックプレート719のワイヤフック725のフック溝725dに係合可能で、フック面725eに当接可能なラウンドフック733がピン735を用いて回転可能に取り付けられている。又、中間部がピン735に巻回され、一方の端部がスプリング係止プレート731に、他方の端部がラウンドフック733に係止された付勢手段としてのスプリング737により、ラウンドフック733はワイヤフックプレート719方向に付勢されている。
【0082】
さらに、ピン713の先端にはすり割り部713bが形成され、このすり割り部713bには外端部がスプリング係止プレート731に係止されたスプリング741の内端部が係止され、このスプリング741の付勢力により、スプリング係止プレート731が設けられたリクライニング機構705のアッパアーム703、即ち、シートのシートバック側を前倒れ方向に付勢している。尚、スプリング741とワイヤフックプレート719との間にはワッシャ743が設けられている。
【0083】
次に、上記構成の作動を説明する図12および図13を用いて、上記構成の作動を説明する。尚、図12および図13において、シートバックを前倒れ方向に付勢するスプリング741、ラウンドフック733をワイヤフックプレート719方向に付勢するスプリング737、サポートプレート711、ガイドプレート717は省略している。
【0084】
又、第1および第2の実施の形態例と同様に、リクライニング機構705がロック解除され、シートバックが前傾する際に、シートバックが着座可能な状態を過ぎてシートクッションに当接する状態までの間で、シートバックの傾動を禁止する中間ロック機構781が設けられている。
【0085】
即ち、中間ロック機構781はアッパアーム703に段部706aが設けられたカム部706と、ロアアーム701に回転可能に設けられ、カム部方向に付勢された中間ストッパレバー708とからなっている。
(1)図12(a)の位置は、シートバックが最後傾(フルバック)した状態を示している。この状態は、シートスライド機構のオープンレバーはロック状態にあり、ワイヤフックプレート719は、そのストッパ723aがサポートプレート711に当接した状態にある。又、ラウンドフック723は、ワイヤフックプレート719のワイヤフック725のフック溝725dに係合している。
(2)図12(a)の状態からリクライニング機構705のロック状態を解除し、シートバック(アッパアーム703)を前傾させると、ラウンドフック733がワイヤフックプレート719のワイヤフック725のフック面725eに当接し、図12(b)に示す状態となる。
(3)これ以降、シートバック(アッパアーム703)を前傾させると、図12(c)に示すように、シートバック(アッパアーム703)の前傾に伴って、ワイヤフックプレート719もピン713を中心として回転する。
【0086】
ワイヤフックプレート719の回転により、ケーブル727が引かれ、シートスライド機構のオープンレバーが引かれ、シートスライド機構のロック解除がなされる。
【0087】
そして、中間ロック機構781のアッパアーム703側の段部706aが中間ストッパレバー708に当接し、それ以上のシートバックの前傾が禁止される。(3)の状態から、ウォークインをさせる場合は、シートスライド機構のロック解除がなされているので、シートを前進させ、ウォークイン状態とする。
【0088】
尚、ウォークイン状態から着座可能な状態に復帰させるには、シートを後に戻し、シートバックを後傾させる。シートバックの後傾が始まると、シートスライド機構のオープンレバーをロック方向に付勢する付勢手段によりワイヤフックプレート719もシートバックの後傾に追従して回転し、元位置まで復帰する。
(4)(3)の状態からシートバックを折りたたむ際には、中間ロック機構781の中間ストッパレバー708を操作して、段部706aと中間ストッパレバー708との当接を解除し、シートバック1の更なる前傾を可能とする。中間ストッパレバー708の操作は、アッパアーム703の段部706aが中間ストッパレバー708を通過するまで行なえば足りる。その後、中間ストッパレバー708の操作力を解除しても、中間ストッパレバー708はアッパアーム703に押接し、シートバックの前傾を禁止することはない。
【0089】
シートバックをさらに前傾させ、シートバックを折りたたむ。そのシートバックの前傾の途中で、図13(a)に示すように、ラウンドフック733がカム715に当接し、ラウンドフック733はスプリング737の付勢力に抗して回転し、ワイヤフックプレート719のフック面725eとの当接か解除され、シートスライド機構のオープンレバーをロック方向に付勢する付勢手段によりシートスライド機構のオープンレバーはロック位置に戻り、シートスライド機構のロックがなされる。さらに、オープンレバーにケーブル727を介して接続されたワイヤフックプレート719もそのストッパ723aがサポートプレート711に当接するまで元位置まで回転復帰する。
【0090】
そして、シートバックをさらに前傾させ、シートバックを折りたたむと図13(b)に示す状態となる。
次に、このシートバックの折りたたみ状態から着座可能な状態に復帰させるには、シートバックを後傾させ、図12(b)または図12(a)の状態とする。
【0091】
上記構成のスライドロックコントロール機構によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)スライドロックコントロール機構を構成するワイヤフックプレート719、ラウンドフック733、スプリング737、カム715をリクライニング機構705に設けたことで、リクライニング機構とスライドロックコントロール機構とを一体化でき、シートの部品点数の削減を行なえる。
(2)第1および第2の実施の形態例と同様に、折りたたんだ状態のシートバックを後傾させる際に、シートスライド機構がロック解除することがなくなる。
【0092】
【発明の効果】
以上述べたように請求項1記載の発明によれば、前記リクライニング機構がロック解除され、シートバックが前傾する際に、前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記シートクッションに当接する状態までの間で、前記シートバックの傾動を禁止する中間ロック機構と、前記シートバックが前傾する際に、前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記中間ロック機構により傾動が禁止される間で前記シートスライド機構をロック解除し、前記中間ロック機構がロック解除され、前記シートクッションに当接するまでの間で前記シートスライド機構をロックするスライドロックコントロール機構とを備えたことで、シートのウォークインとシートバックの折りたたみとが一連の作動で可能となる。
【0094】
コントロールレバーの当接面の形状、レバー手段の形状を任意に設定することにより、前記コントロールレバーは、前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記中間ロック機構により傾動が禁止される間の所望の位置で、前記レバー手段により押圧され回転し、シートスライド機構のロック解除を行い、前記中間ロック機構がロック解除され、前記シートクッションに当接するまでの所望の位置で、前記レバー手段の押圧が解除され、シートスライド機構を再びロックすることができる。
【0095】
すなわち、シートスライド機構のロック、ロック解除のタイミングを自由に変えることができる。
請求項2記載の発明によれば、シートバックがシート着座可能状態から前傾する際に、第1のレバーが回転すると、第2のレバーも第1のレバーとともに回転する。第2のレバーがコントロールレバーの当接面に当接しても、ストッパにより第2のレバーはシートバック前傾時の第1のレバーの回転方向と反対の方向の回転が禁止されているので、第2のレバーは第1のレバーと共に回転し、コントロールレバーの当接面を押圧し、コントロールレバーは回転する。
【0096】
一方、シートバックが後傾する際に、第1のレバーが回転すると、第2のレバーも第1のレバーとともに回転する。第2のレバーがコントロールレバーの当接面に当接すると、第2のレバーはシートバック後傾時の第1のレバーの回転方向と反対方向の回転は許容されているので、第1のレバーに対して回転し、第2のレバーはコントロールレバーの当接面を摺接し、コントロールレバーを押して回転させることはない。
【0097】
よって、シートバック後傾時には、コントロールレバーは回転しないので、シートスライド機構のロック解除がなくなる。
請求項3記載の発明によれば、前記リクライニング機構がロック解除され、シートバックが前傾する際に、前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記シートクッションに当接する状態までの間で、前記シートバックの傾動を禁止する中間ロック機構と、前記シートバックが前傾する際に、前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記中間ロック機構により傾動が禁止される間で前記シートスライド機構をロック解除し、前記中間ロック機構がロック解除され、前記シートクッションに当接するまでの間で前記シートスライド機構をロックするスライドロックコントロール機構とを備えたことで、シートのウォークインとシートバックの折りたたみとが一連の作動で可能となる。
スライドロックコントロール機構を構成するワイヤフックプレート、ラウンドフック、付勢手段、カムをリクライニング機構に設けたことで、リクライニング機構とスライドロックコントロール機構とを一体化でき、シートの部品点数の削減を行なえる。
請求項4記載の発明によれば、着座可能な状態からシートバックを前傾すると、中間ストッパレバーがカムの段部に当接し、シートバックの前傾は禁止されるが、折りたたまれた状態からシートバックが後傾すると、中間ストッパレバーはカムの段部を滑り落ち、シートバックの後傾が禁止されることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態例のシートの全体構成を説明する図である。
【図2】図1の切断線A−Aの断面図である。
【図3】図1の切断線B−Bの断面図である。
【図4】図1の切断線C−Cでの断面図である。
【図5】図1に示すレバー手段の斜視図である。
【図6】図1の示すシートスライド機構のロック機構を説明する斜視図である。
【図7】図1に示すシートの作動を説明する図である。
【図8】第2の実施の形態例のでスライドロックコントロール機構を説明する図ある。
【図9】図8に示すレバー手段の斜視図である。
【図10】第3の実施の形態例のスライドロックコントロール機構の分解斜視図である。
【図11】図10のワイヤフックの拡大図である。
【図12】図10に示す機構の作動を説明する図である。
【図13】図10に示す機構の作動を説明する図である。
【図14】3列シートの車両を説明する図である。
【図15】図14の車両のセカンドシートのウォークインを説明する図である。
【図16】図14の車両のセカンドシートの折りたたみを説明する図である。
【符号の説明】
100 シートスライド機構
201 シートクッション
300 リクライニング機構
401 シートバック
500 中間ロック機構
Claims (4)
- 乗員の尻部を支持するシートクッションと、前記乗員の背部を支持するシートバックとからなるシート本体と、
前記シート本体の前後方向の位置を調整するシートスライド機構と、
前記シートバックの傾動角を調整するリクライニング機構と、
を有したシートにおいて、
前記リクライニング機構がロック解除され、シートバックが前傾する際に、前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記シートクッションに当接する状態までの間で、前記シートバックの傾動を禁止する中間ロック機構と、
前記シートバックが前傾する際に、前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記中間ロック機構により傾動が禁止される間で前記シートスライド機構をロック解除し、前記中間ロック機構がロック解除され、前記シートクッションに当接するまでの間で前記シートスライド機構をロックするスライドロックコントロール機構と、
を備え、
前記スライドロックコントロール機構は、
前記シートクッション側に回転可能に設けられたレバー手段と、
前記シートバックの傾動を前記レバー手段に伝達するケーブルと、
前記シートクッション側に回転可能に設けられ、前記レバー手段が当接可能な当接面を有し、回転することにより前記シートスライド機構のロック解除を行なうコントロールレバーと、
からなり、
前記レバー手段は、前記シートバックが前傾すると一方の方向に回転し、前記コントロールレバーの当接面を押して前記シートスライド機構のロック解除を行い、前記シートバックが更に前傾れすると、一方の方向に更に回転し、前記コントロールレバーの当接面から離れるように設けられていることを特徴とするシート。 - 前記レバー手段は、
前記シートバックの傾動と共に回転する第1のレバーと、
該第1のレバーの回転端部側に回転可能に設けられた第2のレバーと、
前記第1のレバー、前記第2のレバーのいずれか一方のレバーに形成され、他方のレバーに当接し、前記シートバックが前傾する際の前記第1のレバーの回転方向と反対の方向の前記第2のレバーの回転を禁止するストッパと、
前記ストッパを他方のレバーに当接させる付勢手段と、
からなることを特徴とする請求項1記載のシート。 - 乗員の尻部を支持するシートクッションと、前記乗員の背部を支持するシートバックとからなるシート本体と、
前記シート本体の前後方向の位置を調整するシートスライド機構と、
前記シートバックの傾動角を調整するリクライニング機構と、
を有したシートにおいて、
前記リクライニング機構がロック解除され、シートバックが前傾する際に、前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記シートクッションに当接する状態までの間で、前記シートバックの傾動を禁止する中間ロック機構と、
前記シートバックが前傾する際に、前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記中間ロック機構により傾動が禁止される間で前記シートスライド機構をロック解除し、前記中間ロック機構がロック解除され、前記シートクッションに当接するまでの間で前記シートスライド機構をロックするスライドロックコントロール機構と、
を備え、
前記スライドロックコントロール機構は、
前記リクライニング機構の回転軸と同軸上に設けられた軸に対して回転可能に設けられ、回転中心以外の部分にフック部が形成され、さらに、シートスライド機構のロック解除を行なうワイヤが接続されたワイヤフックプレートと、
前記リクライニング機構のアッパアーム側に回転可能に設けられ、前記ワイヤフックプレートのフック部に係脱可能なラウンドフックと、
前記ラウンドフックを前記ワイヤフックプレート方向に付勢する付勢手段と、
前記リクライニング機構のロアアーム側に設けられ、前記ラウンドフックが当接して、前記ラウンドフックと前記ワイヤフックプレートのフック部の係合を解除する方向に前記ラウンドフックを回転させるカムと、
で構成し、
前記シートバックが前傾する際に、前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記中間ロック機構により傾動が禁止される間で前記ラウンドフックが前記ワイヤフックプレートのフック部と係合し、前記ワイヤフックプレートを回転させ、前記シートスライド機構のロック解除を行ない、前記中間ロック機構がロック解除され、前記シートクッションに当接するまでの間で前記カムに前記ラウンドフックが当接し、前記ラウンドフックと前記ワイヤフックプレートのフック部との係合が解除され、前記シートスライド機構をロックすることを特徴とするシート。 - 前記中間ロック機構は、
前記シートバック側、前記シートクッション側の一方に設けられた中間ストッパレバーと、
前記シートバック側、前記シートクッション側の他方に設けられ、段部が形成されたカムと、
前記中間ストッパレバーを前記カムに押し付ける付勢手段と、
からなり、
前記シートバックが着座可能な状態を過ぎて前記シートクッションに当接する状態まで傾動する間で、前記カムの段部に前記中間ストッパレバーが当接し、前記シートバックの前傾を禁止するように前記カムの形状を設定したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の記載のシート。
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