JP4080239B2 - ファンフィルター装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケース内に備えた電動ファンとフィルターとによって外部から取り込んだ空気を清浄化して送り出すファンフィルター装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のファンフィルター装置は、電子機器や精密機械等の組み立て場所及び保管場所の空気を清浄化するために用いられる。例えば、組み立て作業テーブルの上方から下方に向けて清浄化された空気を送り出すようにファンフィルター装置が設置される。あるいは、保管庫の上にファンフィルター装置を設置し、保管庫の天井に設けられた開口から保管庫内へ清浄化された空気が送り出されるようにする。
【0003】
図7は従来の典型的なファンフィルター装置の構造を示す側面視の構成図である。このファンフィルター装置100は、直方体形状又は円筒形状のケース101の内部に、電動モータ102とその上下方向の回転軸に固着されたプロペラファン103とフィルター104とを備え、これらが上下方向に並ぶように配置されている。
【0004】
矢印線で示すように、プロペラファン103によってケース101の上側の開口から取り込まれた空気が下方へ送り出され、フィルター104を通って清浄化された後に下方空間に送り出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
例えば図8に示すように、装置又は保管庫110の上(天井)にファンフィルター装置100を載せた状態で使用する際に、部屋の床から天井までの高さHが低く、装置又は保管庫110の上に十分な空間を確保することが困難な場合がある。このような場合は、ファンフィルター装置100の高さhが小さい(低い)ほど望ましい。
【0006】
しかし、上記の従来構造のファンフィルター装置100は、電動モータ102、プロペラファン103及びフィルター104が上下方向に略一直線上に配置されているので、上下方向の高さを小さくすることが困難である。
【0007】
また、図9に模式的に示すように、従来構造のファンフィルター装置100では、フィルター104を通って下方空間に送り出される清浄化された空気の風速112が外周部から中央部に向かって小さくなり、中央部にはほとんど空気が送リ出されない領域がある。
【0008】
これは、プロペラファン103の構造上、回転軸中央部では風速が小さく、外周部に向かって風速が増加するからである。この結果、フィルター104の中央部は空気の清浄化に十分寄与することができない。また、ファンフィルター装置100から送り出された空気の周辺部と中央部との風速の差によって渦が発生しやすくなる。渦が発生すると、塵埃を巻き上げる問題が生ずる。
【0009】
本発明は上記のような課題に鑑みてなされたものであり、複数のファンを用いて高さを低く抑えながら、大きい風量に対する要求に応えることが可能なファンフィルター装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によるファンフィルター装置は電動ファンとフィルターをケース内に備え、前記電動ファンによって外部から取り入れられた空気が前記フィルターを上面側から下面側に通過して清浄化された後にケース底面に設けられた吐き出し口から下方に送り出されるように構成されたファンフィルター装置であって、前記フィルターが収容されたフィルター空間の横に隔壁を挟んで設けられたファン空間に前記電動ファンとして設けられた複数の遠心式ファンと、前記遠心式ファンのハウジング出口部と前記隔壁に形成された開口部とを接続する連結ダクトと、前記複数の遠心式ファンのハウジング出口部又は前記連結ダクトの内壁に前記複数の遠心式ファンの各々に対応して設けられた複数の風速センサと、前記複数の風速センサがそれぞれ検出した風速の和が予め設定された風量設定値を維持するように、前記複数の遠心式ファンの回転数を制御する第1のフィードバック制御手段と、前記複数の遠心式ファンの回転数を個別に検出する複数の回転数センサを備え、前記回転数センサがそれぞれ検出した回転数に基づいて、前記複数の遠心式ファンが同一の回転数で回転するように前記複数の遠心式ファンの回転数を制御する第2のフィードバック制御手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
このように、複数の遠心式ファンをフィルターの横に並べ、遠心式ファンからの空気を連結ダクトを通してフィルターの上面側に導入する構造としたことにより、従来の構造に比べてファンフィルター装置の高さを低く抑えることができる。また、複数の遠心式ファンのハウジング出口部又は連結ダクトの内壁にそれぞれ設けた風速センサの出力信号に基づいて複数の遠心式ファンのフィードバック制御が行われるので、安定した風量の清浄化空気を送り出すことができる。また、複数の風速センサがそれぞれ検出した風速の和が一定になるように、複数の遠心式ファンのフィードバック制御を行う。これにより、所望の風量の清浄化空気を安定して送り出すことができる。更に、複数の遠心式ファンの回転数を個別に検出する複数の回転数センサが設けられ、複数の回転数センサがそれぞれ検出した回転数が一致するように複数の遠心式ファンのフィードバック制御を行う。このような構成によれば、回転数に差に相当する周波数のうなりの発生を回避し、騒音の小さいファンフィルター装置を提供することができる。
【0014】
更に別の好ましい実施形態において電子回路は、複数の風速センサがそれぞれ検出した風速の差があらかじめ定めた値より大きい場合は故障と判断して、所定の表示又は報知出力を行う。これにより、遠心式ファンの回転軸と電動モータの回転軸との連結が外れたような故障を的確に検出して表示や音声等の手段で知らせることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係るファンフィルター装置の外観を示し、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は下面図である。このファンフィルター装置10は、樹脂成形品である上ケース11と下ケース12を有する。上ケース11の上面の長手方向一側部に空気取り入れ口13が3箇所設けられている。また、下ケース12の底面に吐き出し口(吹き出し面)14が設けられている。吐き出し口14は、平面視において、空気取り入れ口13が設けられている長手方向一側部の反対側から中央部にかけて形成されている。
【0017】
空気取り入れ口13は、上ケース11に形成された複数のスリット開口が並んだ構造と、その内側に貼り付けられたナイロンメッシュ(図示せず)により、第1プレフィルターを構成している。空気取り入れ口13の第1プレフィルターによって、髪の毛や綿埃のような大きい塵埃がファンフィルター装置の内部に入るのが阻止され、これによりファンの故障の可能性が低減する。
【0018】
図2は、本発明の実施形態に係るファンフィルター装置の内部構造図であり、(a)は平面視、(b)は側面視の内部構造の概略を示している。ファンフィルター装置10の略直方体の内部空間は垂直方向の隔壁26によってフィルター空間25とファン空間27とに仕切られている。フィルター空間25にはHEPAフィルター18及び第2プレフィルター19が配置され、ファン空間27には2組のシロッコファン(遠心式ファンの一種)16とそれを回転駆動する電動モータ17が所定距離を隔てて並置されている。
【0019】
また、隔壁26の2箇所に略長方形の開口部26aが形成され、各シロッコファン16のハウジング16aの出口部(ハウジング出口部16c)と対応する開口部26aとを接続する連結ダクト24がそれぞれ設けられている。なお、2つの連結ダクト24で2組のハウジング出口部16cと開口部26aとを個別に接続する代わりに、隔壁26に開口部を1つだけ設け、その開口部と2つのハウジング出口部16cとを二股状に分岐する1つの連結ダクトを用いて接続する構造としてもよい。
【0020】
各シロッコファン16からの空気は、図2(a)及び(b)に矢印で示すように、それぞれの連結ダクト24及び開口部26aを通ってフィルター空間25のうちのHEPAフィルター18及び第2プレフィルター19の上面側空間(フィルター上部空間25a)に送り出される。各連結ダクト24の内壁には風速センサ28がそれぞれ取り付けられている。風速センサ28は後述するように、各シロッコファン16から送り出される空気の風速を検出するためのセンサであり、シロッコファン16のハウジング出口部16cの内壁に設けてもよい。
【0021】
図3は、HEPAフィルター18の構造を示し、(a)は平面図、(b)は側面から見た断面図である。HEPAフィルター18は、空気を清浄化するための主フィルターであり、ガラス繊維不織布を折り畳んで多数の襞を形成したフィルター本体22をアルミニウム枠21に装着した構造を有する。多数の襞を形成することにより、フィルター本体22の濾過作用を奏する表面積を増やしている。
【0022】
また、第2プレフィルター19は不織布で構成され、HEPAフィルター18の上面(上流側)に装着されている。第2プレフィルター19は、カビの胞子や花粉等の数ミクロンの埃の通過を阻止することができる。第2プレフィルター19は不織布を所定寸法にカットしたものであり、HEPAフィルター18に比べて非常に安価である。目詰まりが生ずれば新しいものに取り替えることができる。あるいは、取り外して水洗又は掃除機での吸引等により容易にその濾過作用を回復させることができる。これにより、高価なHEPAフィルター18の寿命を延ばすことができる。
【0023】
図1及び図2からわかるように、上ケース11の空気取り入れ口(第1プレフィルター)13は、平面視で2個のシロッコファン16の間と両外側の3箇所に位置するように形成されている。空気取り入れ口(第1プレフィルター)13を通して外部から取り入れられた空気は、図2(a)に矢印線で示すように、それぞれのシロッコファン16の両側からシロッコファン16のハウジング16aに入り、ハウジング出口部16cから連結ダクト24を通ってフィルター上部空間25aに導かれる。
【0024】
図4は、シロッコファン16のハウジング出口部16c側からみたシロッコファン16及び電動モータ17を示す図である。シロッコファン16は、略円筒形のハウジング16aとその中で回転する羽根車16bを備え、羽根車16bの回転軸は電動モータ17の回転軸17aに接続されている。ハウジング16aには、長方形のハウジング出口部16cが形成されている。矢印線で示すように、ハウジング16aの左右両側面の空気取り入れ口から空気が取り込まれ、ハウジング出口部16cから(紙面に垂直に手前方向へ)空気が吐き出される。
【0025】
各シロッコファン16によって正の圧力を与えられた状態でフィルター上部空間25aに供給された空気は、第2プレフィルター19及びHEPAフィルター18を上面側から下面側へ通過して清浄化され、下ケース12の底面の吐き出し口14から外部へ送り出される。このとき、従来技術の説明で例示した構造と異なり、本実施形態のファンフィルター装置10はHEPAフィルター18の上部に空気の流れを妨げる電動モータ等が配置されていないので、HEPAフィルター18の全面に空気が送り込まれ、効率的に空気の清浄化が行われる。
【0026】
しかし、HEPAフィルター18の横に設けられたファン空間27からHEPAフィルター18の上部空間25aへ空気が送り込まれるので、フィルター上部空間25aにおける圧力分布が不均一になる傾向がある。つまり、ファン空間27に近い側に比べてファン空間27から遠い側の圧力が低くなる現象が発生する。特に、大きい風量を得るためにHEPAフィルター18の面積を大きくした大型のファンフィルター装置において、上記の傾向が強くなる。
【0027】
そこで、フィルター上部空間25aの天井面、すなわち上ケース11の上面に、ファン空間27から遠くなるほど低くなるような傾斜部11aを設け、これによってフィルター上部空間25aにおける空気の流路断面積がファン空間27から遠ざかるほど小さくなるように構成している。こうすることにより、ファン空間27に近い側に比べてファン空間27から遠い側の圧力が低くなる現象が抑制される。
【0028】
更に、図2(a)及び(b)に示すように、フィルター上部空間25aのファン空間27に近い側に、各シロッコファン16から送り込まれた空気の流れを上下方向に分割する水平整流板29が設けられている。水平整流板29の下流側先端部29aはフィルター上部空間25aの略中央部に位置し、図2(b)に示すように斜め下方に曲げられている。
【0029】
このような水平整流板29の働きによって、フィルター上部空間25aにおける空気の圧力がファン空間27に近い側に比べてファン空間27から遠い側で低くなる現象が更に抑制される。つまり、各シロッコファン16から水平整流板29の下側に送り込まれた空気はファン空間27に近い上流側で第2プレフィルター19及びHEPAフィルター18を上面側から下面側に通過し、かつ、水平整流板29の上側に送り込まれた空気はファン空間27から遠い下流側で第2プレフィルター19及びHEPAフィルター18を上面側から下面側に通過する。
【0030】
上記のように、本実施形態のファンフィルター装置10では、上ケース11の傾斜部11aと水平整流板29との働きによって、HEPAフィルター18の上面全体にわたって略均一な空気圧がかかるようになる。その結果、HEPAフィルター18を通過した空気の風速分布がHEPAフィルター18の全面で略均一になる。
【0031】
なお、本実施形態のファンフィルター装置10では、HEPAフィルター18の上面に立設された4本のボス30に水平整流板29を固定している。しかし、この固定方法については、種々の方法を採用することができる。例えば、下ケース12の内壁に水平整流板29の固定用ボスを形成してもよい。
【0032】
また、図2(a)及び(b)に示すように、各シロッコファン16から送り込まれた空気の流れを水平方向に分割する垂直整流板31及び32が設けられている。すなわち、水平整流板29の下面から下方に突出するように上流側垂直整流板31が設けられていると共に、水平整流板29の下流側先端部29aより下流側において上ケース11の内面(フィルター空間の天井面)から下方に突出するように下流側垂直整流板32が設けられている。
【0033】
例えば樹脂成形によって、上流側垂直整流板31を水平整流板29と一体に形成することができる。同様に、下流側垂直整流板32を上ケース11と一体に形成することができる。こうすれば、部品点数の増加を抑えることができると共に、垂直整流板31又は32を水平整流板29又は上ケース11に固定する手間を省くことができる。もちろん、垂直整流板31又は32を水平整流板29又は上ケース11と別の部材で作製してもよいし、樹脂以外の材料(例えば板金)でこれらの部材を作製してもよい。
【0034】
上記の上流側垂直整流板31及び下流側垂直整流板32は、フィルター上部空間25aにおける空気流に渦が発生することを防止する効果を奏する。空気流に渦が発生すると渦の中心部では空気圧が低下し、渦の中心部からHEPAフィルター18を通過して送り出される空気の風速が他の部分に比べて小さくなる現象が発生する。
【0035】
図2(a)に示すように、2つのシロッコファン16から送り出される空気流に沿ってそれぞれ一対の上流側垂直整流板31が設けられている。同様に、それぞれ一対の下流側垂直整流板32が設けられている。一対の垂直整流板31(又は32)は、平面視くの字形の板を向かい合わせた形状をしており、一対の垂直整流板31(又は32)に挟まれた空間が、空気の流れる方向に沿って一旦広がった後に徐々に狭くなるように構成されている。このような形状の垂直整流板31及び32を設けることにより、フィルター上部空間25aにおける空気の流れが円滑になり、渦が発生しにくくなる。その結果、HEPAフィルター18の上面にかかる空気圧が全体にわたって均一になり、HEPAフィルター18を通過した空気の風速分布がHEPAフィルター18の全面で略均一になる。
【0036】
次に、ファンフィルター装置10に内蔵される電子回路について説明する。前述のような構造のHEPAフィルター18は、長時間使用すれば埃による目詰まりが発生する。使用環境によって異なるが、所定時間が経過すればHEPAフィルター18を新しいものに交換する必要がある。HEPAフィルター18を交換するまでの間は、目詰まりが徐々に進行し、HEPAフィルター18の圧力損失が徐々に増加することになる。圧力損失が増加すれば、吐き出し口14から送り出される空気の風量が低下する。
【0037】
上記のような使用時間の経過に伴う風量の低下を補償するために、本実施形態のファンフィルター装置10は、前述の風速センサ28の出力に基づいて電動モータ17(すなわちシロッコファン16の送風量)のフィードバック制御を行う電子回路を備えている。また、この電子回路は、2台のシロッコファン16の回転数が一致するように2台の電動モータ17を制御する。
【0038】
各連結ダクト24の内壁に設けられた風速センサ28は、トランジスタのベースエミッタ間電圧が温度によって変化することを利用して風速を検出する。つまり、風速センサ28が晒されている空気流の風速が速くなるほどトランジスタの冷却効果が高くなるので、ベースエミッタ間電圧を風速センサ28のセンサ出力として検出すれば、風速がわかることになる。トランジスタに代えて電熱素子を用い、その抵抗値の変化をセンサ出力とする風速センサを使用してもよい。
【0039】
風速センサ28が取り付けられた連結ダクト24(又はハウジング出口部16c)の流路断面積は既知であるから、風速がわかれば風量が計算できる。なお、従来技術の説明で示した構造のファンフィルター装置では風速を正確に測定することが困難であるが、本実施形態の構造では、流路断面積が小さい流路部分に風速センサ28を取り付けるので、比較的速い風速を正確に検出することができる。
【0040】
図5は、風速センサ28の出力に基づいて電動モータ17(シロッコファン16)のフィードバック制御を行う電子回路35のブロック図である。各連結ダクト24の内壁に設けられた2つの風速センサ28の出力信号が加算回路36によって加算される。2つのシロッコファン16及び連結ダクト24は同一寸法であり、2つのシロッコファン16による風量の総和に相当する値が加算回路36から出力されることになる。
【0041】
加算回路36から出力された総風量に相当する値は、比較器37で風量設定値と比較され、その比較結果に基づいて回転数設定部38が電動モータ17(シロッコファン16)の回転数設定値を設定する。この回転数設定値は、それぞれの電動モータ17の駆動制御回路40(の比較器44)に与えられる。
【0042】
それぞれのモータ駆動制御回路40は、モータドライバ41、制御回路42、回転数検出回路43及び比較器44からなる。回転数検出回路43は電動モータ17(すなわちシロッコファン16)の回転数を検出し、その出力(回転数検出値)は比較器44に入力される。比較器44は、回転数設定値と回転数検出値とを比較し、比較結果を制御回路42に与える、制御回路42は、回転数設定値と回転数検出値との誤差がゼロになるように、モータドライバ41を介して電動モータ17を制御する。
【0043】
上記のように、2つの電動モータ17(シロッコファン16)は、それぞれのモータ駆動制御回路40が行うフィードバック制御によって所定の回転数(回転数設定値)に維持される。そして、その回転数設定値は、2つの風速センサ28の検出値の総和と風量設定値との比較結果に基づいて回転数設定部38が設定する。つまり、二重のフィードバック制御ループが構成されている。
【0044】
このような制御によって、本実施形態のファンフィルター装置10は、2つのシロッコファン16を同一回転数で回転させながら、風量設定値で設定される風量の清浄化空気を安定して送り出すことができる。もし、2つのシロッコファン16の回転数に差が発生すると、回転数の差に相当する周波数のうなりが発生し、騒音の原因となる。
【0045】
また、2つの風速センサ28の出力信号は減算回路45にも入力される。減算回路45は2つの風速センサ28の出力信号の差を求め、その出力を比較器46に与える。比較器46は、2つの風速センサ28の出力信号の差を基準値(あらかじめ定めた値)と比較し、その比較結果を表示器47及び出力回路48に与える。このような構成により、本実施形態のファンフィルター装置10は、シロッコファン16の回転軸と電動モータ17の回転軸との連結が外れたような故障を検出することができる。
【0046】
いずれか1つのシロッコファン16の回転軸と電動モータ17の回転軸との連結が外れた場合を想定する。この場合、2つの電動モータ17はいずれも正常に回転しており、回転数検出回路43からのフィードバック信号のみでは異常が検出されないが、2つの風速センサ28の出力信号には顕著な差が生ずる。本実施形態のファンフィルター装置10は、2つの風速センサ28の出力信号の差が基準値より大きい場合は故障と判断し、その旨の表示を表示器47に行わせる。また、出力回路48を介して外部機器に対して故障を示す信号を送る。
【0047】
上記のような構成の電子回路35は、ハードウェアのみで構成してもよいが、マイクロコンピュータを用いることにより、そのほとんどの部分をソフトウェア(プログラム)として構成することが可能である。
【0048】
以上、本発明の実施形態を変形例と共に説明したが、本発明は上記の実施形態に限らず、種々の形態で実施することができる。図示した形状及び構造、そして各部材の材質の記述は一例に過ぎず、必要に応じて変更可能である。例えば、シロッコファンに代えて、他の遠心式ファン(ターボファン等)を使用してもよい。
【0049】
また、本実施形態のファンフィルター装置では2台の遠心式ファン(及び電動モータ)を並置したが、更に大型のファンフィルター装置を実現するために3台以上のシロッコファン及び電動モータを所定間隔で並置するようにしてもよい。
【0050】
あるいは、図6の断面図に示すように、フィルター空間25の両横に対向するように二つのファン空間27を設け、それぞれのファン空間27に遠心式ファン16及び電動モータ17を一組又は複数組ずつ配置する構成としてもよい。この別実施形態に係るファンフィルター装置の構成は、ファン空間27が1つから2つになる分だけファンフィルター装置の大きさが大きくなる短所があるが、重心が略中央に位置するので重量バランスがよくなる長所を有する。また、より大面積のHEPAフィルター18を用いた大型ファンフィルター装置に対応することができる。
【0051】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のファンフィルター装置によれば、複数の遠心式ファンをフィルターの横に並べ、遠心式ファンからの空気を連結ダクトを通してフィルターの上面側に導入する構造としたことにより、従来の構造に比べてファンフィルター装置の高さを低く抑えることができる。また、比較的小型の遠心式ファンを複数使用することにより、ファンフィルター装置の高さを低く抑えながら、大きい風量に対する要求に応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るファンフィルター装置の外観を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るファンフィルター装置の内部構造図である。
【図3】HEPAフィルターの構造を示す図である。
【図4】シロッコファンのハウジング出口部側からみたシロッコファン及び電動モータを示す図である。
【図5】風速センサの出力に基づいてシロッコファン用電動モータのフィードバック制御を行う電子回路のブロック図である。
【図6】本発明の別の実施形態に係るファンフィルター装置の内部構造を示す断面図である。
【図7】従来の典型的なファンフィルター装置の構造を示す側面視の構成図である。
【図8】ファンフィルター装置の使用例を示す図である。
【図9】図8のファンフィルター装置から送り出される空気の風速分布を模式的に示す図である。
【符号の説明】
11 上ケース
11a 傾斜部
12 下ケース
13 空気取り入れ口
14 吐き出し口(吹き出し面)
16 シロッコファン(遠心式ファン)
16a ハウジング
16c ハウジング出口部
17 電動モータ
18 HEPAフィルター
24 連結ダクト
25 フィルター空間
25a フィルター上部空間
26 隔壁
26a 開口部
27 ファン空間
28 風速センサ
29 水平整流板
31 上流側垂直整流板
32 下流側垂直整流板
35 電子回路

Claims (4)

  1. 電動ファンとフィルターをケース内に備え、前記電動ファンによって外部から取り入れられた空気が前記フィルターを上面側から下面側に通過して清浄化された後にケース底面に設けられた吐き出し口から下方に送り出されるように構成されたファンフィルター装置であって、
    前記フィルターが収容されたフィルター空間の横に隔壁を挟んで設けられたファン空間に前記電動ファンとして設けられた複数の遠心式ファンと、
    前記遠心式ファンのハウジング出口部と前記隔壁に形成された開口部とを接続する連結ダクトと、
    前記複数の遠心式ファンのハウジング出口部又は前記連結ダクトの内壁に前記複数の遠心式ファンの各々に対応して設けられた複数の風速センサと、
    前記複数の風速センサがそれぞれ検出した風速の和が予め設定された風量設定値を維持するように、前記複数の遠心式ファンの回転数を制御する第1のフィードバック制御手段と、
    前記複数の遠心式ファンの回転数を個別に検出する複数の回転数センサを備え、前記回転数センサがそれぞれ検出した回転数に基づいて、前記複数の遠心式ファンが同一の回転数で回転するように前記複数の遠心式ファンの回転数を制御する第2のフィードバック制御手段とを備えることを特徴とするファンフィルター装置。
  2. 電動ファンとフィルターをケース内に備え、前記電動ファンによって外部から取り入れられた空気が前記フィルターを上面側から下面側に通過して清浄化された後にケース底面に設けられた吐き出し口から下方に送り出されるように構成されたファンフィルター装置であって、
    前記フィルターが収容されたフィルター空間の横に隔壁を挟んで設けられたファン空間に前記電動ファンとして設けられた複数の遠心式ファンと、
    前記遠心式ファンのハウジング出口部と前記隔壁に形成された開口部とを接続する連結ダクトと、
    前記複数の遠心式ファンのハウジング出口部又は前記連結ダクトの内壁に前記複数の遠心式ファンの各々に対応して設けられた複数の風速センサと、
    前記複数の風速センサからの各々の出力値を加算する加算手段と、
    前記加算手段により加算された風量の総和に相当する値を、予め設定された風量設定値と比較する比較手段と、
    前記比較手段の比較結果に基いて、前記風量の総和に相当する値が前記風量設定値を維持するように前記複数の遠心式ファンに同一の回転数を設定する回転数設定手段と、
    前記複数の遠心式ファンの回転数を個別に検出する複数の回転数センサと、
    前記回転数センサで検出される回転数が前記回転数設定手段で設定された回転数を維持するように、前記複数の遠心式ファンの各々を駆動制御する駆動制御手段とを備えることを特徴とするファンフィルター装置。
  3. 電動ファンとフィルターをケース内に備え、前記電動ファンによって外部から取り入れられた空気が前記フィルターを上面側から下面側に通過して清浄化された後にケース底面に設けられた吐き出し口から下方に送り出されるように構成されたファンフィルター装置であって、
    前記フィルターが収容されたフィルター空間の横に隔壁を挟んで設けられたファン空間に前記電動ファンとして設けられた複数の遠心式ファンと、
    前記遠心式ファンのハウジング出口部と前記隔壁に形成された開口部とを接続する連結ダクトと、
    前記複数の遠心式ファンのハウジング出口部又は前記連結ダクトの内壁に前記複数の遠心式ファンの各々に対応して設けられた複数の風速センサと、
    前記複数の風速センサがそれぞれ検出した風速の和が予め設定された風量設定値を維持するように、前記複数の遠心式ファンの回転数を制御する第1のフィードバック制御手段と、
    前記複数の遠心式ファンが同一の回転数で回転するように前記複数の遠心式ファンの回転数を制御する第2のフィードバック制御手段とを備え、
    前記第1のフィードバック制御手段は、
    前記複数の風速センサからの各々の出力値を加算する加算手段と、
    前記加算手段により加算された風量の総和に相当する値を、予め設定された風量設定値と比較する比較手段と、
    前記比較手段の比較結果に基いて、前記風量の総和に相当する値が前記風量設定値を維持するように前記複数の遠心式ファンに同一の回転数を設定する回転数設定手段とからなり、
    前記第2のフィードバック制御手段は、
    前記複数の遠心式ファンの回転数を個別に検出する複数の回転数センサと、
    前記回転数センサで検出される回転数が前記回転数設定手段で設定された回転数を維持するように、前記複数の遠心式ファンの各々を駆動制御する駆動制御手段とからなることを特徴とするファンフィルター装置。
  4. 前記複数の風速センサがそれぞれ検出した風速の差があらかじめ定めた値より大きい場合は故障と判断して、所定の表示又は報知出力を行うよう構成されてなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のファンフィルター装置。
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