JP4079608B2 - 人工芝巻敷機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば野球や他目的イベントなどを開催するドームにおいて、このドーム内のグランド上に人工芝を敷き込んだり、敷き込まれた人工芝を巻き取ったりするのに使用される人工芝巻敷機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の構成としては、たとえば特開平10−167582号公報に見られる人工芝巻敷機が提供されている。すなわち、車体(本体)の前部側に、人工芝の巻き取りおよび敷き込みを行う人工芝巻敷装置が設けられている。この人工芝巻敷装置は、左右一対のブームを有し、これら両ブームを上下揺動させるためのブーム昇降用シリンダーが設けられている。また両ブームの遊端(先端)にはマンドレル保持装置が設けられている。人工芝が巻かれる巻芯の両端にマンドレルが差し込まれる。そして両マンドレルの外端部がマンドレル保持装置に保持されることで、両ブーム間で巻芯が支持される。
【0003】
前記車体の上部側には、運転席と、この運転席の前方に位置されるハンドルとが設けられ、そして運転席とハンドルとの間において車体側には、上下方向で貫通された通視部が形成されている。その際に通視部は、車体のフロアボードに前後方向で細長いスリットを1本のみ形成することで構成されている。
【0004】
運転席のオペレータが、ハンドル操作、レバー操作、スイッチ操作などを行うことで、車体を前進走行させながらグランド上に敷き込まれている人工芝の巻き取りを行い、また車体を後進走行させながらグランド上に人工芝の敷き込みを行っている。そして、人工芝の敷き込みを行う際にオペレータは、通視部を通してグランド上の基準線を目視し、車体の角度がずれていないことを確認しながら後進走行を制御している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記した従来構成によると、スリットから基準線までの距離(高さ)が離れているため、オペレータの目の位置がずれていると、スリットと基準線とが一致していると確認しながら後進走行していても、実際には一致していない後進走行の場合もある。その結果、車体の角度がずれた状態での後進走行となり、人工芝の敷き込みは好適に行えない。このような車体の角度がずれた状態での後進走行は気付き難く、かなりずれてから気付くことになる。したがって、ハンドルによる走行補正は容易に行えず、しかも後進走行のため補正量は分かりづらいものとなる。
【0006】
そこで本発明の請求項1記載の発明は、通視部を通しての基準線の目視、確認を、オペレータの目の位置がずれないようにして正確またはほぼ正確に行える人工芝巻敷機を提供することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載の人工芝巻敷機は、車体の前部に、人工芝の巻き取りおよび巻き戻しを行う人工芝巻敷装置が設けられた人工芝巻敷機であって、前記車体の上部側には、運転席と、この運転席の前方に位置されるハンドルとが設けられ、前記運転席とハンドルとの間において車体側には、上下方向で貫通された通視部が形成され、前記車体の下部側には前記通視部に臨む基準体が設けられていることを特徴としたものである。
【0008】
したがって請求項1の発明によると、車体を走行させるなどして、人工芝巻敷装置で保持しているロール状の人工芝を敷き込み開始位置へ運搬する。そして、人工芝の先端を敷き込み開始位置まで巻き戻したのち、車体とともに人工芝巻敷装置を後進走行させることで、人工芝を巻き戻しながら敷き込んで行く。
【0009】
このように、人工芝を巻き戻しながら敷き込んで行く作業は、運転席のオペレータが通視部を通して、グランド上の基準線と車体側の基準体との相対位置を目視しながら行う。すなわち、基準線の長さ方向に基準体が沿っていることを、通視部を通して目視、確認しながら、車体の角度がずれないように後進走行の制御を行う。その際に、オペレータの目の位置がずれないように、通視部と基準体を結ぶ延長線上に常に目線を位置し得、以て車体の角度がずれた状態での後進走行は簡単かつ容易に気付くことになる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
車体(本体)1は、車幅方向の左右フレーム2と、この左右フレーム2の中央部分から後方へ連設された前後フレーム3などにより、平面視でT字状に形成されている。そして前後フレーム3の部分には、油圧ポンプ(ギヤ形式)、エンジン、油タンク、燃料タンク、バッテリーなどが設けられ、さらに前後フレーム3の後部にはバランスウエイト4などが設けられる。
【0011】
前記左右フレーム2の両端側部分(少なくとも二箇所)には、それぞれ軸受装置を介して縦方向の換向軸11が設けられ、これら換向軸11の下部には、車輪軸12などを介して前輪(前輪タイヤ)13が設けられている。なお各前輪13は、それぞれ左右一対の二輪、合計四輪形式に構成されているが、左右方向で三箇所の六輪形式などであってもよい。
【0012】
そして、左右フレーム2の部分にはフロントステアリング装置15が配設されている。このフロントステアリング装置15は、ハンドル27にて操作されるフロントステアシリンダー16や、前輪切り換えスイッチ33にて操作される左右一対のフロントターンシリンダー17や、左右一対のタイロッド18などにより構成されている。
【0013】
前後フレーム3の後端には、軸受装置を介して縦方向の換向軸が設けられ、この換向軸の下端には旋回台が設けられる。そして旋回台には、車輪軸21などを介して後輪(後輪タイヤ)22が設けられる。ここで後輪22は、走行駆動装置(ホイールインモータなど)が設けられた駆動輪である。そして、前後フレーム3の部分にはリヤアクスル装置(図示せず。)が配設されている。
【0014】
前記左右フレーム2の一端部分には、その後方側に向けて架台25が設けられている。この架台25、すなわち車体1の上部側には、その後部に運転席26が設けられ、この運転席26の前方にはハンドル27が設けられている。そして運転席26の周辺には、テンションアーム上昇スイッチ30、サイドシフトおよびブーム昇降用の操作レバー31、ロール回転用レバー32、前輪切り換えスイッチ33、前後進用の走行レバー35、テンションスイッチ36が設けられ、さらに非常停止スイッチ37などが設けられている。
【0015】
前記運転席26とハンドル27との間において車体1側には、すなわち架台25を構成するフロアボード25aには、前後方向で細長いスリットによって上下方向で貫通された通視部28が1本のみ形成されている。そして前記車体1の下部側には、前記通視部28に臨む基準体29が設けられている。
【0016】
ここで基準体29は側面視においてL字状であって、その縦方向部分を取り付け部29aとして車体1の下端部に連結されている。そして横方向部分は、前後方向に長い棒状の基準部29bとなり、クランド70側に接近したレベルで配設されている。その際に基準体29は、運転席26とハンドル27との間の真下部分に対して前方に位置して設けられている。
【0017】
前記車体1の前部側には、人工芝の巻き取りおよび巻き戻しを行う人工芝巻敷装置40が配設されている。すなわち、前記左右フレーム2の両端部分には、それぞれ支持部材41を介して左右方向のガイドロッド42が設けられ、これらガイドロッド42にはブーム43が、その基端を介して取り付けられている。その際にブーム43はガイドロッド42に対して、昇降動(上下揺動)自在ならびに左右摺動自在に取り付けられ、そしてブーム43間に左右方向の連結材44が設けられることで、昇降動ならびに左右摺動が一体に行われるよう構成されている。
【0018】
両ブーム43を昇降動させるために、左右フレーム2の下面側とブーム43の先端部との間にそれぞれブーム昇降用シリンダー(昇降動手段の一例)45が設けられている。さらに両ブーム43を左右摺動させるために、左右フレーム2側と連結材44側との間にサイドシフト用シリンダー46が設けられている。
【0019】
両ブーム43の遊端(先端)には、それぞれ巻芯保持手段50が設けられる。すなわち、両ブーム43の遊端には左右方向の筒体51が連結され、そして筒体51には、押し引き体52が左右方向に摺動自在に内嵌されている。前記押し引き体52の外端には操作部(グリップ)53が連結され、また押し引き体52の内端部分には巻芯保持体54が遊転自在に設けられている。以上の51〜54などにより巻芯保持手段50の一例が構成される。
【0020】
両巻芯保持手段50間で保持される巻芯68は、その両端の内部に、前記巻芯保持体54が嵌入されるように形成されている。そして巻芯68の両端部に巻芯保持体54が嵌入されることで、巻芯保持装置50を介して両ブーム43間で巻芯68を保持自在としている。
【0021】
前記両ブーム43の基部からはブラケット体60が上方へ連設され、これらブラケット体60には、左右方向ピン61を介してテンションアーム62が上下動自在に取り付けられている。そして、テンションアーム62の遊端(先端)間には、コンタクトロール63のロール軸64が回転自在に設けられ、このロール軸64に連動する巻取り用モータ65が、他方のテンションアーム62に設けられている。さらに、両テンションアーム62の遊端側とブラケット体60との間には、コンタクトロール63を上下動させるテンション用シリンダー66が設けられている。以上の41〜66などにより、人工芝巻敷装置40の一例が構成される。
【0022】
以下に、上記した実施の形態において、グランド70上に敷設されている人工芝69を巻き取る作業を説明する。
たとえば格納箇所(格納倉庫)に収められていた巻芯68が持ち運びにより取り出され、巻き取ろうとするる人工芝69の端部の部分に位置される。そして、巻芯68に人工芝69の端部を二〜三回巻き付けることにより、人工芝69に巻芯68をセット(装着)し得る。
【0023】
次いで、人工芝巻敷装置40による巻芯68のピックアップを行う。すなわち、まず人工芝69の幅方向中心に人工芝巻敷装置40の中心が位置しているか否かの確認を行う。そして中心がずれていたとき、操作レバー31の操作によりサイドシフト用シリンダー46を伸縮動させ、両ブーム43を一体に左右移動させて中心を合わせる。この前後に、操作部53を介して押し引き体52を引き移動させ、巻芯保持体54をブーム43側に移動させる。
【0024】
この状態で、車体1とともに人工芝巻敷装置40を前進走行させるとともに、両ブーム43を下降動させ、巻芯保持体54を巻芯68の端部に外方から対向させる。次いで、操作部53を介して押し引き体52を押し移動させ、巻芯保持体54をブーム43から離れる側に移動させて、巻芯68の端部に嵌入させる。
【0025】
このようにして、ブーム43の遊端間において、巻芯保持手段50を介して巻芯68を保持しロックした状態で、テンションスイッチ36をオンにする。これにより、自動的にテンション用シリンダー66を伸展動させ、テンションアーム62を下方揺動(閉動)させてコンタクトロール63を、巻芯68に巻き付けているロール状人工芝69aに上方から当接させ、以てロール状人工芝69aの緩みを防止し得る。その後に、操作レバー31の操作によりブーム昇降用シリンダー45を伸展動させ、両ブーム43を一体に上方揺動(上昇)させることで、巻芯68を持上げ得、以て巻芯68のピックアップを行える。
【0026】
人工芝巻敷装置40により人工芝69の巻き取りを行うに、まず、ロール回転用レバー32を巻き取り側に操作する。次いで、車体1とともに人工芝巻敷装置40を前進走行させ、人工芝69を巻き取って行く。すなわち、前進走行することによって人工芝69が緩み、このとき巻取り用モータ65により強制回転しているコンタクトロール63が人工芝69に当接していることで、この人工芝69が巻芯68とともに回転され、以て人工芝69が巻き取られる。なお両巻芯保持手段50では、巻芯68の回転によって、押し引き体52に対して巻芯保持体54が従動回転される。
【0027】
巻き取りを終えたならば、車体1を走行させるなどして、ロール状人工芝69aを格納箇所へ運搬する。そして、操作レバー31の操作によりブーム昇降用シリンダー45を収縮動させ、両ブーム43を一体に下方揺動(下降)させることで、巻芯68とともに下降されるロール状人工芝69aを着地させる。次いで、テンションアーム上昇スイッチ30の操作によりテンション用シリンダー66を収縮動させ、テンションアーム62を上方揺動(開動)させて、コンタクトロール63をロール状人工芝69aに対して上方へ離間させる。
【0028】
この前後に、操作部53を介して押し引き体52を引き移動させ、巻芯保持体54をブーム43側に移動させることで、巻芯68の端部から抜出させる。これにより、ロール状人工芝69aに対して人工芝巻敷装置40を外し得る。すなわち、ブーム43間から巻芯68をリセット(離脱)し得る。その後に、車体1を後進走行させる。以上の工程により、ロール状人工芝69aを浮かせた状態で、同期巻きにより人工芝69の巻き取り作業を行える。
【0029】
グランド70上に人工芝69を敷き込む作業は、上述と同様の要領で行える。すなわち、ロール状人工芝69aにおける巻芯68の両端部に巻芯保持体54を嵌入させる。次いで、テンションアーム62を下方揺動(閉動)させてコンタクトロール63をロール状人工芝69aに当接させ、緩みを防止する。そして両ブーム43を一体に上方揺動(上昇)させて巻芯68を持上げることで、人工芝巻敷装置40にロール状人工芝69aをセットし得る。
【0030】
この状態で、車体1を走行させるなどして、ロール状人工芝69aを敷き込み開始位置へ運搬する。そして、ロール状人工芝69aの先端を敷き込み開始位置まで巻き戻したのち、車体1とともに人工芝巻敷装置40を後進走行させて、人工芝69を巻き戻しながら敷き込んで行く。このとき、コンタクトロール63はフリーに回転できるようになり、ロール状人工芝69aが巻き戻されることによりコンタクトロール63は回転する。また、ロール状人工芝69aの外径は小さくなって行くが、緩まないようにコンタクトロール63が追従するようになっている。
【0031】
敷き込みを終えたならば、まず両ブーム43を一体に下方揺動(下降)させることで、巻芯68を着地させる。次いで、テンションアーム62を上方揺動(開動)させてコンタクトロール63を上昇させる。そして、操作部53を介して押し引き体52を引き移動させ、巻芯保持体54をブーム43側に移動させることで、巻芯68の端部から抜出させる。これにより、人工芝巻敷装置40に対して巻芯68を外し得る。
【0032】
前述したように、車体1とともに人工芝巻敷装置40を後進走行させて、人工芝69を巻き戻しながら敷き込んで行く作業は、運転席26のオペレータ75が通視部28を通して、グランド70上の基準線71と基準体29の基準部29bとの相対位置を目視しながら行う。すなわち、基準線71の長さ方向に基準部29bの長さ方向が沿っていることを、通視部28を通して目視、確認しながら、車体の角度がずれないように後進走行の制御を行える。
【0033】
その際に、オペレータ75の目の位置がずれないように、通視部28と基準体29の基準部29bを結ぶ延長線上に常に目線77を位置し得、以て車体1の角度がずれた状態での後進走行は簡単かつ容易に気付くことになる。したがって、目視、確認は正確またはほぼ正確に行え、以てハンドル27による走行補正は容易に行え、しかも後進走行でありながら補正量は分かり易いものとなる。
【0034】
さらに基準体29が、運転席26とハンドル27との間の真下部分に対して前方に位置して設けられていることで、オペレータ75は、通常作業の目線76に対する基準確認の目線77の角度θを小さくし得、以てわずかな視点移動で両目線76,77による確認を容易に作業性よく行えることになる。
【0035】
上記した実施の形態では、架台25を構成するフロアボード25aに、前後方向で細長いスリットによって上下方向で貫通された通視部28を1本のみ形成した構成が示されているが、基準確認の目線77上に車体1側の他の部材が存在する場合には、この他の部材にもスリットなどを形成して、基準確認の目線77を確保し得るように構成されるものである。
【0036】
上記した実施の形態では、基準体29として、取り付け部29aと基準部29bとからなる側面視においてL字状のものを採用しているが、この基準体29としては種々な形状のものを採用し得る。
【0037】
【発明の効果】
上記した本発明の請求項1によると、車体を走行させるなどして、人工芝巻敷装置で保持しているロール状の人工芝を敷き込み開始位置へ運搬し、そして人工芝の先端を敷き込み開始位置まで巻き戻したのち、車体とともに人工芝巻敷装置を後進走行させることで、人工芝を巻き戻しながら敷き込むことができる。
【0038】
このように、人工芝を巻き戻しながら敷き込んで行く作業は、運転席のオペレータが通視部を通して、グランド上の基準線と車体側の基準体との相対位置を目視しながら行うことができる。すなわち、基準線の長さ方向に基準体が沿っていることを、通視部を通して目視、確認しながら、車体の角度がずれないように後進走行の制御を行うことができる。その際に、オペレータの目の位置がずれないように、通視部と基準体を結ぶ延長線上に常に目線を位置でき、以て車体の角度がずれた状態での後進走行は簡単かつ容易に気付くことができる。
【0039】
したがって、目視、確認は正確またはほぼ正確に行うことができて、ハンドルによる走行補正を容易に行うことができ、しかも後進走行でありながら補正量は分かり易いものにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示し、人工芝巻敷機の一部切り欠き側面図である。
【図2】同人工芝巻敷機の正面図である。
【図3】同人工芝巻敷機の平面図である。
【図4】同人工芝巻敷機の要部の平面図で、(a)は運転席部分の平面図、(b)は基準体部分の平面図である。
【符号の説明】
1 車体
13 前輪
22 後輪
25 架台(車体)
25a フロアボード
26 運転席
27 ハンドル
28 通視部
29 基準体
29a 取り付け部
29b 基準部
40 人工芝巻敷装置
43 ブーム
50 巻芯保持手段
63 コンタクトロール
64 ロール軸
65 巻取り用モータ
68 巻芯
69 人工芝
69a ロール状人工芝
70 グランド
71 基準線
75 オペレータ
76 通常作業の目線
77 基準確認の目線
θ 角度
Claims (1)
- 車体の前部に、人工芝の巻き取りおよび巻き戻しを行う人工芝巻敷装置が設けられた人工芝巻敷機であって、前記車体の上部側には、運転席と、この運転席の前方に位置されるハンドルとが設けられ、前記運転席とハンドルとの間において車体側には、上下方向で貫通された通視部が形成され、前記車体の下部側には前記通視部に臨む基準体が設けられていることを特徴とする人工芝巻敷機。
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