JP4077368B2 - 積層デザートの製造方法および積層デザート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の層を有する洋風デザート、特にクリームや卵等を主原料とするプリンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、バラエティに富んだ外観、食感、風味を与えるなどの目的で、複数の層からなる様々な積層デザートが製造されている。製造方法も多様であり、(1)比重の異なる調合液を、混合しないように充填する;(2)一方の調合液を含気し、先に充填した調合液の上に充填する;(3)含気した調合液を他方の調合液に混合し、静置して分離させる、(4)比重の異なる複数の調合液または原料を、静置して分離させる、(5)下層となる調合液をゲル化しその後上層を充填する等の工夫がされてきている。
【0003】
例えば、特開平5−49429号(特公平7−112212号)は、カップにプリンミックスを充填し、その表面に牛乳、砂糖、卵黄を主原料とする微細な泡状物を積層し、次いで焼成することにより、表面に柔らかい焦げ色の層を有するプリンを提供しようとするものである。また、特開平6−133694号、特開平7−147905号および特開平10−201441号は、含気ベースとプリンベースとを容器に充填した後、含気ベースをプリンベース表面に浮上させ、次いで焼成することにより、焦げ色の表層を有するプリンを提供しようとするものである。さらに、特開平6−261705号は、蒸煮してプリンベースを凝固させ、その上に上層ベースを載置し、これを焼成することにより、すのないプリン層と均一な焦げ色を有する表層とからなるプリンを提供しようとするものである。
【0004】
また、比重の異なる調合液を混合しないように充填することによる方法もある。例えば、特開平10−327757号は、プリンとスフレフロマージュとの積層洋菓子およびその製造方法を開示するが、ここでは、一定温度のプリン種をまず充填し、その上に比重の異なるスフレフロマージュ生地を混合しないように充填することにより、1個の洋菓子中でプリン層とスフレフロマージュ層とを形成しようとするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまでの方法では、積層にするために専用の機器を要したり、複数の工程を経る必要があった。また、特別な充填機器・工程を要しないと考えられる比重の差により多層を形成する方法は、所望の層が形成されるまで数時間を要することから、その間、変質や微生物による汚染を防ぎつつ保持するための特別な設備を必要とし、また最終製品が日持ちせず、保存性に乏しいという不利な点があった。したがって、従来法のいずれも、大量生産・販売には不向きであるといわざるを得なかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、カップに特定のクリームと卵黄とを含む調合液を均質化したもの充填し、次いでカップごと加熱すると、充填液がこの最終加熱時にクリームを多く含む層とクリームの少ない層とに分離し、数分間で積層状態となることを見いだし、本発明を完成するに至った。ここで生じる分離は、調合液中のクリーム由来の脂肪球が、系の乳化安定性が低いために互いに付着して凝集体を形成し、また外相との比重差により上昇し、上部に脂肪分が多く含まれる部分を生じること(クリーム分離(creaming))により形成されているものと考えられた。
【0007】
本発明は、以下の工程を含む積層デザートの製造方法を提供する:
工程1) クリームおよび卵黄を含む原材料調合液を、所望によりゲル化させない温度(例えば、約45℃〜約60℃)にまで加熱しながら、均質化し;
工程2) 均質化された調合液を、所望により冷却した後、カップに充填し;
工程3) 充填物を、クリーム分離により一定時間内、詳細には約2時間以内、好ましくは約30分以内であり、最も好ましくは約10分以内に分離させて積層状とし;そして
工程4) 積層充填物を、ゲル化する。
【0008】
また、本発明は、以下の工程を含む、積層デザートの製造方法をも提供する:
工程1) 乳化安定性の低いクリームおよび卵黄を含む原材料調合液を、所望によりゲル化させない温度(例えば、約45℃〜約60℃)にまで加熱しながら、均質化し;
工程2) 均質化された調合液を、所望により冷却した後、カップに充填し;
工程3) 充填物を、カップ内で一定時間内、詳細には約2時間以内、好ましくは約30分以内であり、最も好ましくは約10分以内に分離させて積層を形成させ;そして
工程4) 積層充填物を、ゲル化する。
【0009】
本発明の方法は、クリームと卵黄とを原料とする積層デザート(菓子)の中でも特に、積層プリンを製造するのに有用である。
【0010】
本発明の方法においては、原材料には、クリームおよび卵黄が含まれる。クリームと卵との配合比は、クリームの性質や最終製品に求める外観、食感、風味により、適宜決定することができる。本発明の方法によりプリンを製造しようとする場合は、通常の求められる配合比の範囲内であれば、本発明にとって特に不都合はないが、原材料調合液全体中に卵黄が3%以上配合されたものは、本発明の好ましい実施態様の一つである。また、プリンを製造する際は原材料としてクリームの乳化力を高める作用を有するもの(例えば、牛乳、脱脂粉乳)を使用するのが通例であるが、そのような場合は、所望の分離が達成できるように、卵黄の量を適宜変更することができる。
【0011】
本発明における原材料は、クリームおよび卵黄以外に、全卵、卵白、バター、乳、脱脂粉乳、水、糖類、ならびに食品として許容可能な種々の添加剤をも含みうる。糖類としては、食品及び広く食品原材料として用いられている、単糖類(アラビノース、キシロース、デオキシリボース、リボース、ガラクトース、グルコース(ブドウ糖)、マンノース、フルクトース(果糖)、ソルボース、フコース、ラムノース、ガラクツロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール)、二糖類(セロビオース、ゲンチオビオース、イソマルトース、コージビオース、ラクトース、ラミナリビオース、マルトース(麦芽糖)、メリビオース、ニゲロース、ソホロース、スクロース(ショ糖)、トレハロース)、三糖以上ののオリゴ糖(メレチトース、ラフィノース、スタキオーズ、シクロデキストリン);水飴、粉飴、砂糖(主な成分はショ糖である)、糖蜜、蜂蜜;サッカリン、アスパルテーム、ステビア等を用いることができる。また、添加剤としては、ゲル化剤である寒天、ゼラチン等を用いることができる。他に、香料、着色剤、増粘剤等を用いてもよい。ただし、後述するような卵黄と脂肪球との反応を遅延阻害するほどにはクリームの乳化安定性を維持・向上させるための添加剤(例えば乳化剤)は添加しないほうがよい。
【0012】
本発明の工程1)は、クリームおよび卵黄を含む原材料調合液を均質化する工程である。均質化は、加圧下で強力に撹拌する等、本発明の分野で通常用いられる技術を適用することができ、ホモジナイザーや、それに代わる物理的衝撃を与えうる器機を用いることができる。
【0013】
この工程では、卵黄中のリポ蛋白質等の作用によりクリームの乳化安定力が低下されていると考えられる。均質化は、クリーム由来の脂肪球と卵黄を充分に接触させる働きがある。均質化が不十分であると、後の工程3)での分離の程度が弱くなり、逆に、過度に物理的衝撃を与えると、脂肪球粒径の大きな変化や脂肪球表面に存在すると思われる乳化物質の入れ替わりが発生し、クリームの性状が大きく変化して、分離しなくなる場合がある。均質化の程度は、ホモジナイザーを使用した場合、用いるクリームにもよるが、例えば均質圧15MPa 以下が良好な状態である。均質圧0MPa であっても、ホモジナイザーに送液するポンプにより原材料調合液に物理的衝撃が与えられ、良好な分離を与える均質化状態が得られることがある。
【0014】
ホモジナイザーに代わる物理的衝撃を与える方法としては、例えば一般的に用いられている調合タンクに付属するアジテーターで撹拌することである。反応促進のためには、ある程度の強い撹拌が必要であるが、強い撹拌は調合液を泡立たせることもあり、泡立った調合液は脱気工程を取らない限り、後の工程4)のゲルで、すだちを発生させる。脱気工程自体またはそれに付随する工程が過度の物理的衝撃を与えた場合と同様の結果を導きうる。
【0015】
均質化は、原材料調合液がゲル化しない温度(例えば、約45℃〜約60℃)にまで加熱しながら行ってもよい。原料の卵は、呼吸により内部に炭酸ガスを含んでおり、また製造の際に気泡力により空気を抱き込み、ゲル化工程にすだちの原因となるが、加熱により原料卵に含まれるガスを取り除くことができる。また、加熱には均質化を補う作用もある。加熱により卵黄とクリームとをより効果的に接触させることが可能であり、後の工程3)での分離がより促進されうる。したがって、工程2)で、ゲル化させない温度にまで加熱しながら、適度の物理的衝撃を加えることは、本発明の好ましい実施態様の一つである。
【0016】
工程2)は調合液をカップに充填する工程であるが、工程1)より得られた均質化された調合液は、撹拌を続けていれば分離しないので、本工程では連続してカップに充填することが可能である。充填には、本発明の分野で通常用いられる設備を使用することができる。用いられるカップの材質、容量とも、本発明の分野で通常用いられる範囲内ものを本発明にも適用することができるが、透明もしくは半透明の材料のカップは、製造途中に積層状態の形成が明確に確認でき、かつ食するときに積層となった外観を楽しむことができるので好適である。工程4)において加熱によりゲル化を実施する場合は、耐熱性のあるものを用いるべきである。
【0017】
工程3)は調合液を分離させる工程であるが、工程1)により乳化安定力が低められたクリームが、クリーム分離(creaming)や脂肪球の凝集を生じて分離することとなる。分離に、クリームの乳化安定性に関わる性質を利用している点で、含気させた調合液を静置により上部へ移動させて分離させたり、単に比重の差により材料や調合液の層を形成させる従来技術とは異なるものである。
【0018】
本明細書で「クリーム」というとき、特別な場合を除き、一般的な意味で用いている。これには乳汁から分離採取した、乳脂肪分を約9%〜約55%含むもの(「クリーム(乳製品)」と標記されることもある。)、または植物油脂等を用いたその代替物が含まれる。また、バター製造等に使う原料用クリーム、洋菓子製造、コーヒー、果実に添える生クリームが含まれる。
【0019】
クリームは、脂肪球(脂肪液滴、内相、分散相、不連続相ということもある。)が、水性の系(外相、分散媒、連続相ということもある。)に、安定的に分散したエマルションであるが、安定化状態が解かれ、クリーム分離(creaming)や脂肪球の凝集を生じる(不安定化が起こる)ことがある。本発明にはこのような不安定化が起こりうるクリームであればいずれをも用いることができる。
【0020】
また、本発明には、乳化安定性(単に「安定性」ということもある)の低いクリームを用いるのがよい。本明細書で「乳化安定性の低い」クリームというとき、特別な場合を除き、卵黄との接触・反応により、乳化安定力が低められ、不安定化が起こるクリームをいう。「乳化安定性の低い」には、(1) 乳化剤が存在しないために、卵黄と脂肪球との接触・反応により、系の乳化安定力が低められて不安定化が起こる場合;および(2)クリームを安定的に乳化する物質(単独または組み合わせ)が存在するが、その物質は卵黄が存在しない場合はクリームを安定的に乳化する一方で、卵黄と脂肪球との反応は阻害しないかまたは無視できる程度にしか阻害しないため、卵黄と脂肪球との接触・反応により、系の乳化安定力が低められて不安定化が起こる場合(例えば、乳化力のある脱脂粉乳と、少量の乳化剤とを併用すると、このような場合が生じうる。)が含まれる。また、以下に記載するクリーム選択試験の基準1、2または3適合するクリームは、乳化剤を含む・含まないにかかわらず、乳化安定性の低いクリームに含まれる。
【0021】
市販のクリームは、乳化安定性を高めるため、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等の乳化剤が添加されていることがある。このようなクリームであっても、乳化安定性が低いといえる場合があるが、より分離を効果的に生じさせるとの観点からは、本発明に用いるクリームとしては、乳化剤が添加されていないものがよい。
【0022】
クリームの乳化安定性は、種々の方法で評価することができるが、例えば、対称となるクリームについて以下に記載するクリーム選択試験を行って評価することができる。
【0023】
<クリーム選択試験>
≪試験方法≫
1.対象のクリーム20%、卵黄3%、水77%を均質になるように混合する。
2.攪拌しながら、湯煎にて60℃まで加熱する。
3.2で得られた液を、約100〜約150cc容の透明または半透明のカップに充填する。
4.カップごと、蒸し器中で約10分間加熱する。
5.蒸し器よりカップを取り出して平らな場所に静置し、側面より目視観察し、基準に基づいて判定する。
【0024】
≪基準≫
1.上層と下層とに分離しており、上層と下層との境界線を目視にて特定することができる。上層は不透明な柔らかいゲルまたはゾルを形成しており、下層は混濁または半透明の液体である。
2.上層と下層とに分離しており、上層と下層との境界線を目視にて特定することができる。上層は不透明な液状であり、下層は混濁または半透明の液体である。
3.上層と下層に分離しているが、その境界線の判別が困難である。上層は不透明で、卵黄が網状にゲル化したものが混在する不均一な層を形成しており、下層は混濁もしくは半透明な液体、または卵黄が網状にゲル化した部分と混濁もしくは半透明な液体とが混在する状態となる。
4.上層と下層の判別ができない。全体が混濁した液となるか、卵黄が網状にゲル化したものが部分的に混在した状態である。
【0025】
≪判定≫
基準1、2または3、好ましくは基準1または2、最も好ましくは基準1の状態となったクリームを、積層プリンの使用に適するクリームと判定する。
【0026】
なお、このクリームの選択試験においては、湯煎で60℃まで加熱する代わりに強く撹拌することにより同様の結果を得ることが可能であるが、強い撹拌は、均質化の終点が判明しづらく、また安定して行うために均質機等の機器を要するので、少量サンプルによる試験には適さない場合が多いであろう。
【0027】
工程4)は、積層となった充填物をゲル化する工程である。ゲル化は、原材料中に含まれる成分の性質に基づいて種々の方法で達成されるが、卵の作用によりゲル化させるプリンの場合は、焼成、蒸成またはこれらの組み合わせ等の加熱によることができる。ゲル化のためには、本発明の分野で通常用いられる設備を利用することができる。
【0028】
工程3)および4)は同時に行ってもよい。すなわち、卵の作用によりゲル化させるプリンの場合は、ゲル化のための加熱中に分離を生じさせることができる。このとき、工程2)において、充填前にいったん調合液を冷却すると、意図した程度に分離する前にゲル化が始まるのを防ぐことができる。
【0029】
本明細書では「分離」というとき、特別な場合を除き、異なる組成からなる複数の層の形成の意味で用いている。これはエマルションの内相どうしが合一して大きな液滴となり、内相と外相とが完全に分かれた状態となる場合のみならず、クリーム分離や凝集により、内相の濃度の高い部分と低い部分を生じる場合をも含み、また、生じた各層の境界線が目視にて特定できる場合のみならず、特定できない場合をも含む。
【0030】
本発明の方法によれは、上層と下層とを別々に充填する必要はなく、1回の充填で行うことができる。また、クリームの乳化安定性に関わる性質を利用するため、調合液を、詳細には約2時間以内、好ましくは約30分以内であり、最も好ましくは約10分以内に分離、積層状とすることができる。また、ゲル化のために卵のみを使う必要はなく、他のゲル化剤、例えば、ゼラチン、寒天を併用することが可能である。また、塩類等に対して反応性が低いものであれば、食感改良、保形性向上の目的で他の増粘剤、安定剤、ゲル化剤および/または糊剤を併用することができる。原材料調合液中の卵黄の使用量が低い場合は、卵のみによるゲル化能力が不足する場合がある。そこで、このような低い濃度で卵原料を使用する場合は、所望の程度にゲル化させるために添加剤を用いたほうがよいことがある。
【0031】
本発明の方法により得られた積層デザートの上層は下層とともに一体的にゲル化されているため、輸送上の衝撃で上部のみが乖離したりしない。
【0032】
本発明によれば、積層デザートを連続的に簡便に製造することが出来るようになり、ワンカップで上層と下層の風味の異なるデザートを同時に味わうことができるデザートの提供が可能となる。
【0033】
本発明の方法により得られた積層デザートは、クリーム分離により形成された脂肪球を多く含む上層ゲルと脂肪球の少ない下層ゲルとが一体的に形成されている。このような積層デザートは新規である。したがって、本発明は、原材料として少なくともクリームおよび卵黄を使用し、クリーム分離により形成された上層と下層とを有する積層デザート;原材料として少なくともクリームおよび卵黄を使用し、乳化剤を含まない、脂肪球を多く含む上層と脂肪球の少ない下層とを有する積層デザート;ならびにクリーム選択試験により基準1、2または3、好ましくは基準1または2、最も好ましくは基準1に合致するクリームと卵黄とを使用した、上層と下層とを有する積層デザートをも新たに提供する。
【0034】
本発明の方法は他の従来技術、例えばカラメル層を形成させる技術や、上部に焦げ目層を形成させるための技術と組み合わせて用いることができる。このような組み合わせ方法やそれにより得られたデザートも、クリーム分離の性質を利用しており、また脂肪球の多い層と脂肪球の少ない層とを有している限り、本発明の範囲に含まれる。
【0035】
本発明の方法は、クリームに類似の性質を有する原材料を用いる他の食品において、積層を形成させるのにも応用可能である。
【0036】
【実施例】
<実施例1:クリームの選択>
≪方法≫
4種の市販クリームA(脂肪分45%、無脂乳固形5%、乳化剤を含まない。)、B(脂肪分43%、無脂乳固形6%、乳化剤を含まない。)、C(脂肪分20%、無脂乳固形3%、乳化剤を含まない。)、D(脂肪分45%、無脂乳固形4%、乳化剤を含む。)について、以下の処理を行った。
1.対象のクリーム20%、卵黄3%、水77%を均質になるように混合した。
2.湯煎にて攪拌しながら、60℃まで加熱した。
3.145cc容の半透明なカップに、2で得られた液を充填した。
4.カップごと予熱した蒸し器に入れ、10分間加熱した。
5.蒸し器よりカップを静かに取り出し、平らな場所におき、直ちに観察した。
【0037】
≪観察結果≫
クリームA〜Dは、下記の4通りの状態であった。
A.上層と下層に分離していることがわかり、上層と下層の境界線を目視にて特定することができた。上層は不透明な柔らかいゲルまたはゾルを形成し、下層は混濁した液体であった(図1)。
B.上層と下層に分離していることがわかり、上層と下層の境界線を目視にて特定することができた。上層は不透明な液層となり、下層は半透明の液体であった(図2)。
C.上層と下層に分離していることがわかるが、その境界線の判別が困難であった。上層は不透明で卵黄が網状にゲル化した物が混在する不均一な層となり、下層は卵黄が網状にゲル化した部分と半透明な液体が混在する状態であった(図3)。
D.上層と下層の判別が不可能であり、全体が混濁液となるか、卵黄が網状にゲル化したものが部分的に混在していた(図4)。
【0038】
なお、A、BおよびCがそれぞれ図1〜3のように分離するのは、これらにおいては、試験液が卵黄とクリームと水のみからなり、反応を遅延させる物質を含まないからである。
<実施例2:積層プリンの製造>
【0039】
【表1】
原材料 配合 ( )
卵 23
砂糖 9
クリームA 20
牛乳 30
香料 0.1
水 17.9
上表の配合の卵、砂糖、実施例1のクリームA、牛乳、香料、水を混合し、これを60℃まで加熱し、均質機にて均質化した後、20℃以下にまで冷却したものを、115cc容のプラスチックカップに90g程度充填した。充填後直ちに、カップごと MULTI COOKER PALUX(コンベクションオーブン:北沢産業株式会社)のバリオサーム機能(蒸し)で90℃設定にて50分間加熱した。加熱開始後、約7分で積層となった。加熱終了後、冷蔵庫(5〜10℃)にて一晩冷却しその見栄え食感等を評価したところ、上層はなめらかな白色のクリームプリンとなり、下層はやや弾力のある薄黄色のカスタードプリンとなった。上層と下層は見た目にも分離していることがわかり、食感の異なるものとなった。また、カップを揺らす等をおこなっても、上層と下層が乖離しないものとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本明細書に記載した「クリーム選択試験」の結果を表す写真である。本明細書の実施例1においてクリームAを本試験に供したところ、上層と下層に分離していることがわかり、上層と下層の境界線を目視にて特定することができた。上層は不透明な柔らかいゲルまたはゾルを形成し、下層は混濁した液体であった。この結果は本明細書でいう「基準1」に適合する。
【図2】 図2は、クリーム選択試験の結果を表す写真である。実施例1においてクリームBを本試験に供したところ、上層と下層に分離していることがわかり、上層と下層の境界線を目視にて特定することができた。上層は不透明な液層となり、下層は半透明の液体であった。この結果は「基準2」に適合する。
【図3】 図3は、クリーム選択試験の結果を表す写真である。実施例1においてクリームCを本試験に供したところ、上層と下層に分離していることがわかるが、その境界線の判別が困難であった。上層は不透明で卵黄が網状にゲル化した物が混在する不均一な層となり、下層は卵黄が網状にゲル化した部分と半透明な液体が混在する状態であった。この結果は「基準3」に適合する。
【図4】 図4は、クリーム選択試験の結果を表す写真である。実施例1においてクリームDを本試験に供したところ、上層と下層の判別が不可能であり、全体が混濁液となるか、卵黄が網状にゲル化したものが部分的に混在していた。この結果は「基準4」に適合する。

Claims (5)

  1. 以下の工程を含む、積層デザートの製造方法:
    1) クリームおよび卵黄を含む原材料調合液を、所望によりゲル化させない温度にまで加熱しながら、均質化し;
    2) 均質化された調合液を、所望により冷却した後、カップに充填し;
    3) 充填物を、クリーム分離により一定時間内に分離させて積層状とし:そして
    4) 積層充填物を、ゲル化する。
  2. 以下の工程を含む、積層デザートの製造方法:
    1) 乳化安定性の低いクリームおよび卵黄を含む原材料調合液を、所望によりゲル化させない温度にまで加熱しながら、均質化し;
    2) 均質化された調合液を、所望により冷却した後、カップに充填し;
    3) 充填物を、カップ内で一定時間内に分離させて積層を形成し:そして
    4) 積層充填物を、ゲル化する。
  3. 工程2)において、調合液を冷却した後、カップに充填し;
    工程3)において、充填物を30分以内に積層状とし;そして
    工程4)において、ゲル化が加熱により実施される、
    請求項1または2に記載の製造方法。
  4. クリームおよび卵黄を使用した、クリーム分離により形成された上層と下層とを有する積層デザート
  5. クリームおよび卵黄を使用し、乳化剤を含まない、脂肪球を多く含む上層と脂肪球の少ない下層とを有する積層デザート
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