JP4076768B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、垂直配向モードの液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、液晶表示装置は、アレイ基板および対向基板を有し、アレイ基板には信号線および走査線、これら信号線および走査線の交点に設けられたスイッチング素子およびこのスイッチング素子に制御されるマトリクス状に設けられた画素電極を有し、また、これらアレイ基板および対向基板にはそれぞれ配向膜が形成され、これらアレイ基板および対向基板を配向膜が対向するように配設されている。そして、これらアレイ基板および対向基板間には距離を保持するために粒状スペーサまたはフォトリソグラフィ法により形成された樹脂のスペーサ柱が配置され、これらアレイ基板および対向基板の周辺領域をシール材および封止材によって貼り合わせて、アレイ基板および対向基板間に液晶層を挟持している。
【0003】
また、液晶表示装置でカラー表示をする場合には、アレイ基板または対向基板の一方に、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)で構成された着色層が設けられている。この着色層は、通常は対向基板にカラーフィルタとして形成されることが多いが、最近はアレイ基板側に着色層を設けることもある。このように、着色層をアレイ基板に設けた場合、対向基板は透明電極のベタ膜で良いためにコストを抑制でき、アレイ基板と対向基板とを組み立てる際には画素電極と着色層の各色の位置を合わせる必要がないため開口率を大きく設計できる。
【0004】
一方、液晶層では光をスイッチングし、この液晶層は一般にはツイストネマチック(TN)型モードが広く用いられているが、視野角および応答速度の点から水平配向モード(IPS:In-Plain-Switching)や垂直配向モード(VAN:Vertically-Aligned-Nematic)が用いられつつある。また、VANモードでは視野角の補償設計が比較的容易なため、広い視野角を実現するためにはマルチドメイン型VANモード(MVA:Multi-Domain Vertically-Aligned-Nematic)が用いられ、画素となるドメインを分割して形成するために、間隙を形成して電極パターンを形成したり、画素電極上に部分的に誘電体に突起あるいは陥没を形成している。
【0005】
また、ドメインを分割せずに、シュリーレン(Schlieren)構造をそのまま用いて広い視野角を実現する方法も考えられている。
【0006】
そして、シュリーレン構造を用いた垂直配向モードの液晶表示装置では、電圧を印加することにより液晶層の液晶分子が渦状になる。また、このシュリーレン構造の渦の中心は、たとえば特開平6−324337号公報に記載のように、画素の中心に形成され、全方位に対して液晶層が配向するため視野角に対する位相差が均等になり広い視野角が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特開平6−324337号公報に記載のように、シュリーレン構造の渦を中心に位置させれば好ましいものの、実際には、隣接する画素や信号線やスイッチング素子などによる横電界の影響、スイッチング素子および画素電極その他の各種膜厚やアレイ基板および対向基板のセルギャップなどのむらによる電界の不均一、あるいは、スペーサや異物による影響のため、実際の画素におけるシュリーレン構造の渦の中心位置はかなりのばらつきがある。
【0008】
さらに印加電圧の変化や指押しによるアレイ基板および対向基板のセルギャップの変動などによっては電界が変化し、渦の中心が移動していく場合もある。このため視野角の非対称性や表示のざらつきなどが発生するおそれがある問題を有している。
【0009】
そして、これら視野角の非対称性や表面のざらつきを抑制するためには、シュリーレン構造の渦の中心位置を画素の中心で固定する必要がある。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、表示特性を向上した液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、外周に沿って複数の微小スリットが形成された画素電極を有するアレイ基板と、このアレイ基板に間隙を介して対向して配置された対向基板と、前記アレイ基板および前記対向基板の間隙に挟持され負の誘電率異方性を有する液晶分子が垂直配向モードとなる液晶層とを具備し、前記微小スリットは、ピッチが10μm以下で、かつ、前記画素電極の外周に向けて広くなる形状であり、前記液晶分子の倒れる方向は、前記微小スリットと平行方向であるもので、画素電極の外周に、この画素電極の外周に向けて広くなる形状の微小スリットが10μm以下のピッチで複数形成されて液晶層の液晶分子の倒れる方向が微小スリットと平行方向になることで、画素電極の外周に液晶分子の配向方向を規定する領域が増え、シュリーレン構造が安定し、シュリーレン構造の渦が画素電極の中心に位置しやすくなり、視野角の特性が向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の液晶表示装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図2に示すように、アレイ基板1は、透明基板としてのガラス基板2上に薄膜トランジスタなどのスイッチング素子3が形成され、これらスイッチング素子3には絶縁膜4,5などが形成され、これらスイッチング素子3にそれぞれ対応して、カラーフィルタ7を構成する緑色着色層7g、青色着色層7bおよび赤色着色層7rがストライプ状に形成されている。そして、これら緑色着色層7g、青色着色層7bおよび赤色着色層7r上に、それぞれ画素電極8が構成され、これら画素電極8は、緑色着色層7g、青色着色層7bまたは赤色着色層7rに形成された直径15μmの断面円形状のスルーホール9を介してそれぞれ対応するスイッチング素子3に電気的に接続されている。
【0014】
また、画素電極8上には、全体を覆うように垂直配向膜10が全面に形成されている。
【0015】
一方、アレイ基板1に間隙を介して対向基板11が対向して配置され、この対向基板11はガラス基板12上にインジウム・すず酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)の透明電極の対向電極13および垂直配向膜14が順次積層して配置されている。
【0016】
そして、アレイ基板1および対向基板11の間隙には間隙保持用の直径約4μmの粒状スペーサ16が配設され、外周に沿ってファイバを混入したシール材17が形成されてアレイ基板1および対向基板11が接着され、アレイ基板1および対向基板11間に、負の誘電異方性を有する液晶層18が挟持封入されている。
【0017】
さらに、アレイ基板1および対向基板11のそれぞれの外面に図示しない偏光板を配設して、液晶表示装置を形成する。
【0018】
ここで、アレイ基板1の画素電極8について、図1を参照して説明する。
【0019】
この画素電極8は、図1に示すように、マトリクス状に配設され、スイッチング素子3に対応して設けられ、画素電極8の周囲には微小スリット21が外周に対して90°の角度でピッチ10μm以下、たとえば7μmの間隔で先端に向かって広くなる三角形状で複数形成されている。また、周囲には、行方向に複数並んで位置しスイッチング素子3のたとえばゲートに接続される走査線19およびこの走査線19と交差して配設され列方向に複数並んで位置する信号線20に囲われている。
【0020】
また、液晶分子22は微小スリット21に対して並行方向に規制され、シュリーレン構造の渦23の中心24は、画素電極8のほぼ中心に位置する。
【0021】
次に、上記実施の形態の液晶表示装置の製造工程について説明する。
【0022】
まず、アレイ基板1の製造については、ガラス基板2上に絶縁膜4,5とともにスイッチング素子3を形成する。
【0023】
次に、絶縁膜5上にカラーフィルタ7を形成する。このカラーフィルタ7は紫外線硬化型アクリル系緑色レジスト液を、スイッチング素子3が形成されたガラス基板2上にスピンナ塗布し、約90℃で約5分間プリベークし、所定のマスク・パターンを用いて、150mJ/cm2の強度の紫外線により露光する。ここで用いるフォトマスク・パターンは、緑色着色層に対応するストライプ形状パターンと、画素電極8とスイッチング素子3との接続のためにスルーホール9として直径15μmの円形形状パターンを有している。そして、約0.1重量%のTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドライド)水溶液を用いて約60秒間現像し、さらに水洗い後、約200℃で1時間ほどポストベークをすることによって、スルーホール9を有する緑色着色層7gを形成する。
【0024】
続いて、青色着色層7bを同様に形成する。ここで用いるフォトマスクパターンは、青色着色層7bに対応するストライプ形状パターンと、画素電極8とスイッチング素子3との接続のためにスルーホール9として直径15μmの円形形状パターンを有している。その後、赤色着色層7rも同様の工程に形成する。ここで用いるフォトマスクパターンは、赤色着色層7rに対応するストライプ形状パターンと、画素電極8とスイッチング素子3との接続のためのスルーホール9として直径15μmの円形形状パターンを有している。
【0025】
次に、緑色着色層7g、青色着色層7bまたは赤色着色層7r上にスパッタリング法によりITOを堆積し、フォトリソグラフィにより所定の画素電極8のパターンおよびピッチ約7μmの外周の微小スリット21をパターンニングして画素電極8を形成する。
【0026】
その後、これら画素電極8上に垂直配向膜材料を全面に形成して垂直配向膜10を形成し、アレイ基板1を形成する。
【0027】
一方、対向基板11を形成する際には、ガラス基板12上にスパッタ法によりITOを約100nmの厚さに堆積して対向電極13を形成する。
【0028】
その後、この対向電極13上に垂直配向膜材料を全面に形成して垂直配向膜14を形成し、対向基板11を形成する。
【0029】
さらに、対向基板11の垂直配向膜14上には、直径約4μmの粒状スペーサ16を1平方mmあたり約100個の割合で散布する。
【0030】
続いて、対向基板11の外周の周辺部に所定の大きさを有するファイバを混入したシール材17を、液晶注入用の注入口を除いて塗布し、アレイ基板1および対向基板11をシール材17により貼り合わせて、中空状態のセルが完成する。
【0031】
そして、負の誘電異方性を有する液晶材料を、注入口からセル内に真空注入し、注入口を封止したあと、セルの両側にそれぞれ図示しない偏光板を配置することにより液晶表示装置が完成する。
【0032】
次に、上記実施の形態の作用について説明する。
【0033】
このようにして作製した液晶表示装置は、図1に示すように画素電極8の中心に渦23の中心24が位置する渦状のシュリーレン構造になっており、視野角の非対称性がなくなり視野角が対称となるうえ、非常に広い視野角となる。ただし、画素電極8が縦長のため渦23の中心24の場所が長手方向である上下方向にずれやすく、多少画質のざらつき感があった。
【0034】
ここで、液晶分子22は図3に示すように画素電極8の外周に対して垂直方向に倒れるが、周囲の電界状況などによっては倒れる方向にばらつきがある。また、図4に示すように画素電極8に比較的大きなスリット25を形成すると液晶分子22はこれらスリット25に対して垂直方向に倒れるが、この場合にも周囲の電界状況などによって倒れる方向にばらつきがある。一方、図5に示すように幅を小さくした微小スリット21を形成すると、液晶分子22の倒れる方向は微小スリット21と平行方向のみに規定される。このように、微小スリット21を形成することにより、液晶分子22の配向方向を規定する領域が増え、シュリーレン構造の渦23の中心24の位置が安定する。
【0035】
そして、液晶分子22の配列を確実に規定するために、微小スリット21のピッチを10μm以下にするほうが好適である。反対に、微小スリット21のピッチは現在の技術としては4μmないし6μm程度が経済性を考えると最も狭い限度である。
【0036】
ここで、図1に示す実施の形態において、図6に示す画素電極8に微小スリットを形成しないものを比較例として形成した。
【0037】
そして、この図6に示す比較例を図1に示す実施の形態のものと比較すると、図6に示すように画素電極8に微小スリットを有さないものは、シュリーレン構造の渦23の中心24が各画素電極8で異なるために視野角の補償効果にばらつきを生じ、画質のざらつきが感じられた。この比較例に対して、図1に示す実施の形態では、画質のざらつきは感じられるものの、視野角補償領域の面積の不均衡がなくなり、視野角の非対称性がなくなり視野角は広いものとなる。
【0038】
次に、他の実施の形態を図7を参照して説明する。
【0039】
この図7に示す実施の形態は、図1に示す実施の形態において、画素電極8を略正方形状となる3つのサブピクセル8aに分割したもので、これらサブピクセル8aは電気的には同電位になるように接続されているもので、これらそれぞれのサブピクセル8aの外周には、それぞれ4辺に亘って微小スリット21が形成されている。
【0040】
この図7に示す実施の形態では、シュリーレン構造の渦23の中心24がそれぞれのサブピクセル8a毎に中心のほぼ同じ位置に安定して発生するため、広い視野角を得ることができるのみならず、画質のざらつきが感じられなかった。
【0041】
なお、微小スリットがない場合だと液晶分子の配向方向を規制する力が弱く、シュリーレン構造の渦の中心を安定させるためには1辺が40μm前後のサブピクセルにする必要があるが、微小スリット21を形成することにより1辺が60μm程度のサブピクセル8aでもシュリーレン構造の渦23の中心24を安定させることが可能となり、画素電極8自体を大きくして開口率を高くでき、画素設計の自由度が向上する。
【0042】
また、他の実施の形態を図8を参照して説明する。
【0043】
この図8に示す実施の形態は、図7に示す実施の形態のように画素電極8を3つのサブピクセル8aとした点は同様であるが、各サブピクセル8aの外周に形成された微小スリット21の角度を外周に対して50°傾斜させて形成したものである。
【0044】
この図8に示す実施の形態でも、非常に広い視野角となり、シュリーレン構造の渦23の中心24の場所がほぼ同じ位置に発生し、しかも渦23の回転方向が微小スリット21に従い同じ方向になるため、画質のざらつきがさらに感じられない。
【0045】
なお、微小スリット21の角度θは画素電極8の外周に対してほぼ垂直の90°に限らず、0°<θ<90°の任意の角度にしても同様の効果を得ることができる。このように、微小スリット21が外周に対して垂直以外で0°<θ<90°の角度を持つ場合、シュリーレン構造の渦23の回転方向もある程度規制でき、より画質のざらつき感が低下する。
【0046】
なお、図7および図8に示すいずれの実施の形態においても、画素電極8のサブピクセル8aが3個の場合について説明したが、サブピクセル8aが2つあるいは4つ以上のいくつになっても同様の効果を得ることができる。
【0047】
また、アレイ基板1および対向基板11間を一定の間隔に保つためのスペーサとして、粒状スペーサ16を基板上に散布する方法をとしたが、アレイ基板1あるいは対向基板11のいずれかに樹脂層を所定の膜厚で形成し、所定の形状にパターニング形成してスペーサとして用いてもよい。
【0048】
また、カラーフィルタ7はアレイ基板1に形成したが、対向基板11でも同様である。
【0049】
また、微小スリット21は液晶層の液晶中にカイラル剤が混入されている場合にも有効である。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、画素電極の外周に、この画素電極の外周に向けて広くなる形状の微小スリットが10μm以下のピッチで複数形成されて液晶層の液晶分子の倒れる方向が微小スリットと平行方向になることで、画素電極の外周に液晶分子の配向方向を規定する領域が増え、シュリーレン構造が安定し、シュリーレン構造の渦が画素電極の中心に位置しやすくなり、視野角の特性が向上し、表示品質を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液晶表示装置の一実施の形態の画素電極および周囲を示す平面図である。
【図2】 同上液晶表示装置を示す断面図である。
【図3】 同上微小スリットがない場合の液晶分子の状態を示す説明図である。
【図4】 同上微小スリットがある場合の液晶分子の状態を示す説明図である。
【図5】 同上微小スリットがある場合の液晶分子の状態を示す説明図である。
【図6】 同上微小スリットがない場合の比較例の画素電極および周辺を示す平面図である。
【図7】 同上他の実施の形態の液晶表示装置の画素電極および周囲を示す平面図である。
【図8】 同上また他の実施の形態の液晶表示装置の画素電極および周囲を示す平面図である。
【符号の説明】
1 アレイ基板
3 スイッチング素子
8 画素電極
8a サブピクセル
11 対向基板
18 液晶層
21 微小スリット
22 液晶分子
Claims (4)
- 外周に沿って複数の微小スリットが形成された画素電極を有するアレイ基板と、
このアレイ基板に間隙を介して対向して配置された対向基板と、
前記アレイ基板および前記対向基板の間隙に挟持され負の誘電率異方性を有する液晶分子が垂直配向モードとなる液晶層とを具備し、
前記微小スリットは、ピッチが10μm以下で、かつ、前記画素電極の外周に向けて広くなる形状であり、
前記液晶分子の倒れる方向は、前記微小スリットと平行方向である
ことを特徴とする液晶表示装置。 - 画素電極は、分割された複数個のサブピクセルで構成され、これらサブピクセルは、それぞれ外周に沿って複数の前記微小スリットが形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。 - 前記微小スリットは、外周とのなす角θが0°<θ≦90°である
ことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。 - 前記微小スリットは、三角形状である
ことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
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