JP4076591B2 - 半導体装置の作製方法、基板処理方法 - Google Patents

半導体装置の作製方法、基板処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本明細書で開示する発明は、ガラス等の基板上に薄膜半導体装置を作製する方法に関する。また、ガラス等の基板上に薄膜半導体装置を作製する場合に利用される装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガラス基板上に形成される薄膜トランジスタが注目されている。このような薄膜トランジスタは、アクティブマトリクス型の液晶表示装置に主に利用されている。アクティブマトリクス型の液晶表示装置は、マトリクス状に配置された各画素電極に薄膜トランジスタを配置し、画素電極に出入りする電荷を制御する構成を特徴とする。このような構成とすることで、非常に高品質な画像を表示することができる。
【0003】
アクティブマトリクス型の液晶表示装置においては、一般にガラス基板上にCOG法等により、画素薄膜トランジスタを駆動するための周辺駆動回路を構成するIC回路を配置した構成が採られている。即ち、多数の画素がマトリクス状に配置された画素領域の周辺部に多数のICチップが配置された構成が採用されている。
【0004】
しかし、この構成は、ICチップからの配線が複雑になり、生産性や信頼性が低い。また、ICチップという外付け回路が存在することにより、液晶パネルの厚さが厚くなってしまう。このような問題は、液晶パネルの汎用性を低下させることになる。
【0005】
このような問題を解決する構成として、画素領域に配置された薄膜トランジスタを駆動するための駆動回路をもガラス基板上い一体化した構成が提案されている。(例えば特公平2─61032号公報参照)
【0006】
これは、1枚の透光性基板(一般にガラス基板が利用される)上に画素領域に配置される薄膜トランジスタと、画素領域の薄膜トランジスタを駆動するための周辺駆動回路とを集積化した構成を有する。このような構成とすることで、シンプルで汎用性の高い構成とすることができる。
【0007】
このような構成を実現するためには、非晶質珪素膜を結晶化させることによって得られる結晶性珪素膜形成膜を用いた薄膜トランジスタを利用することが有用である。
【0008】
しかし、再現性よく、結晶性珪素膜を用いた薄膜トランジスタは困難であるのが現状である。これは、得られる非晶質珪素膜の状態では、その電気的特性にバラツキが無いものであっても、結晶化の過程において非常にバラツキや生じやすいためである。これは、結晶化の工程が非常に外的な因子に影響を受けやすいことに起因する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本明細書で開示する発明は、ガラス基板やその他絶縁表面を有する基板上に、非晶質珪素膜を結晶化させることによって得られる結晶性珪素膜を再現性良く形成することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するめの手段】
本明細書で開示する発明は、
絶縁表面を有する基板上に成膜された非晶質珪素膜に対して、プラズマ処理を行い膜中の水素を離脱させる第1の気密室と、
前記珪素膜に対してレーザー光を照射する手段を有する第2の気密室と、
前記第1の気密室と前記第2の気密室とに共通に接続され、基板を搬送するための手段を有する第3の気密室と、
を有することを特徴とする。
【0011】
上記構成を有する具体的な例を図1に示す。図1に示す構成においては、102が上記構成の第1の気密室に相当する。102で示される気密室は、外部から遮断された状態で基板上に形成された非晶質珪素膜に対してECRプラズマによるプラズマ処理を行う室である。このプラズマ処理は、珪素膜中の水素を極力離脱させ、結晶化が進行し易い状態を実現するために行われる。
【0012】
また、104が第2の気密室に相当する。この室では加熱しながらのレーザー光を照射することにより、先にプラズマ処理がなされた珪素膜を結晶化させる工程が行われる。
【0013】
また、105が上記構成の第3の気密室に相当する。この気密室は、ロボットアーム122が備えられており、処理を行う基板を外部から遮断された雰囲気中(高真空状態とすることが好ましい)で搬送できる機能を有している。
【0014】
なお、本明細書で開示する発明においては、基板としてガラス基板が利用されるのが普通である。しかし、半導体基板や金属基板等を利用するのでもよい。
【0015】
他の発明の構成は、
絶縁表面を有する基板上に絶縁膜を成膜する手段を有する第1の気密室と、
非晶質珪素膜を成膜する手段を有する第2の気密室と、
非晶質珪素膜に対して、プラズマ処理を行い膜中の水素を離脱させる第3の気密室と、
加熱を行うための手段を有する第4の気密室と、
前記第1の気密室乃至前記第4の気密室とに共通に接続され、基板を搬送するための手段を有する第5の気密室と、
を有することを特徴とする。
【0016】
上記構成の具体的な例を図4に示す。図4に示す構成においては、402が上記第1の気密室に相当する。この気密室は、プラズマCVD法によって、ガラス基板上に酸化珪素膜を成膜する機能を有する。なお絶縁膜としては、酸化珪素膜以外に窒化珪素膜、さらには酸化窒化珪素膜を成膜するのでもよい。
【0017】
また、図4に示す構成において、403が上記第2の気密室に相当する。この気密室は、プラズマCVD法によって、先の機能を有している。
【0018】
また、図4に示す構成において、404が上記第3の気密室に相当する。この気密室は、ECRプラズマを用いたプラズマ処理を先に第2の気密室403において成膜された2化珪素膜上に非晶質珪素膜に対して施す機能を有している。
【0019】
また、図4に示す構成において、405と406が上記第4の気密室に相当する。この気密室は、外部から遮断された状態において、先に第3の気密室404においてプラズマ処理がなされた珪素膜を加熱によって結晶化させる機能を有している。
【0020】
また、他の発明の構成は、
絶縁表面を有する基板上に成膜された非晶質珪素膜に対して、プラズマ処理を行い膜中の水素を離脱させる工程と、
前記珪素膜にエネルギーを与えることにより前記珪素膜を結晶性珪素膜に変成する工程と、
を有し、
前記2つの工程は、外部から遮断された気密性を有する空間で行われることを特徴とする。
【0021】
上記構成において、エネルギーを与える方法としては、レーザー光を照射する方法、加熱をする方法、レーザー光と加熱を併用する方法、レーザー光の照射と加熱とを交互に照射する方法を挙げることができる。
【0022】
【作用】
絶縁表面を有する基板上に成膜された非晶質珪素膜に対して膜中からの水素の離脱を促進させるプラズマ処理工程と、該工程の後にエネルギーを与えることにより、結晶性珪素膜に変成する工程と、を空気や汚染された雰囲気に触れさせることなく、外部から遮断された空間内において連続的に行うことで、結晶性珪素膜を得る工程における外的な因子の影響を排除することができる。
【0023】
非晶質珪素膜からの水素の離脱を促進させると、膜中における珪素同士の結合を促進させることができ、結晶構造の秩序性をより高めることができる。
【0024】
しかし、この状態は極めて不安定な状態でもあり、汚染に代表される外的な因子に対して非常に敏感な状態でもある。
【0025】
そこで上記のように、外部から遮断された空間内おいて、プラズマ処理工程とその後の結晶化工程とを連続して行うことにより、上記外的な因子を排除し、再現性の高い工程を実現することができる。
【0026】
また、非晶質珪素膜の成膜と、非晶質珪素膜からの水素の離脱を促進させる工程と、水素の離脱が促進された珪素膜の結晶化とを、外部から遮断された空間において連続的に行うことで、やはり外的な因子による結晶化工程におけるバラツキ(結晶性の不均一性や電気特性のバラツキ)を抑制することができる。
【0027】
また、非晶質珪素膜からの水素の離脱を促進させる処理室と、この水素の離脱を促進させた珪素膜の結晶化とを行う処理室とを基板を搬送させる搬送室で連結し、外部から遮断された状態で、上記処理と基板の搬送とを行うことで、複数の基板一定の処理効果を得ることができる。即ち、基板毎に結晶性のそろった結晶性珪素膜を得ることができる。さらに高い生産性を得ることができる。
【0028】
【実施例】
〔実施例1〕
図1に本実施例に示す装置を示す。図1に示す装置は、非晶質珪素膜は形成された基板(一般にガラス基板が利用される)に対して、プラズマ処理と加熱とレーザー光の照射とを行う室を独立に基板を搬送する室を中心として配置した構成を有する。図1に示す装置を用いると、プラズマ処理と加熱とレーザー光の照射とを汚染の無い環境で連続して行うことができる。
【0029】
図1に示す装置は、基板を装置に出し入れするための基板の搬入搬出室101、基板上に形成された非晶質珪素膜に大してプラズマ処理を行うためのプラズマ処理室102、基板上に形成された珪素膜を加熱するための加熱室103、基板上に形成された珪素膜に大してレーザー光を照射するためのレーザー照射室104、基板を各室の間において搬送するための手段を有した基板搬送室105を備えている。
【0030】
図1におけるA−A’で切った断面が図2である。また図1におけるB−B’で切った断面が図3である。各室は気密性が保たれる構造となっており、必要に応じて高真空状態とすることのできる構造となっている。また各室は共通の室である基板搬送室105と106、107、108、109で示されるゲイトバルブを介して接続されている。ゲイトバルブは十分に気密性を保つことのできる構造となっている。
【0031】
次に各室について詳細に説明する。101で示されるのは、基板を装置に出し入れする基板の搬入搬出室である。この室には、図3で示されるように基板111がカセット110に多数枚が収納された状態で装置の外部から扉114を介してカセット毎搬入される。また、処理が終了した後、基板はカセット110毎装置の外部に扉114から外部に搬出される。
【0032】
基板の搬入搬出室101には、不活性気体等のパージ用に気体の導入系112と不要な気体の排気や室内を減圧または高真空状態とするための排気ポンプ113を備えている。
【0033】
図1と図2の102で示されるのがプラズマ処理室である。この室では、ECR条件を利用して生成した水素プラズマまたはヘリウムプラズマによって、ガラス基板上に形成された非晶質珪素膜に対してプラズマ処理が行われる。
【0034】
プラズマ処理室102には、プラズマを生成するためのECR条件を作り出すために、磁場を発生させるコイル118とマイクロ波発振器116、さらにマイクロ波を処理室内に導くための導波管117を備えている。
【0035】
ECR(電子サイクロトロン共鳴)は、マイクロ波の周波数をf、磁束密度をB、電子の質量をm、電子の電荷をe、とすると2πf=eB/mが成立する場合に実現される。プラズマ処理室102においては、マイクロ波の周波数fとコイルで発生される磁場の磁束密度Bとを上記条件式が成立する値とすることによって、ECR条件を実現する。
【0036】
本実施例に示す構成においては、基板が配置される位置において丁度ECR条件が実現されるように基板ステージ115の位置を調整する。即ち、磁束密度が上記ECR条件を満たす位置に基板が配置されるようにする。
【0037】
ECR条件が成立する領域においては、プラズマが高い温度に加熱される。そして、基板もまた加熱されることなる。このことは、膜中における結晶構造の秩序化をより助長することになる。
【0038】
またプラズマ処理室102には、116で示すガス導入系と排気ポンプ117を備えた排気系を有している。そして、ガス導入系112からは水素ガスやヘリウムガスが導入され、排気ポンプ117によって、必要とする減圧状態を実現することができる。
【0039】
図1及び図3に示す103で示される室は、珪素膜が形成された基板を加熱するための室(加熱室)である。基板111は、多数枚が上下するステージ118上に収納される。ステージ118上に収納された基板は、加熱室103において、加熱用のヒータ121によって加熱される。
【0040】
また加熱室103においてもパージ用の不活性気体の導入系119と加熱室内を高真空状態とすることのできる排気ポンプ120を備えている。
【0041】
104は、基板上に形成された珪素膜に対してレーザー光を照射するための室(レーザー処理室)である。レーザー光は発振器122で発振され、図示しない光学系を通すことにより、必要とするビームに成形される。ここでは、幅が数mm〜数cm、長さが数十cmの線状のビームに成形する。
【0042】
そして、ミラー等によって石英で構成された窓124を通し、レーザー処理室104内のステージ125上に配置された基板上の珪素膜に対してレーザー光は照射される。
【0043】
ステージ125には基板を加熱するためのヒータが内蔵されており、基板を加熱することができる。また、ステージ125は1方向に移動させることがで、線状のビームが走査されて照射させることができる。このステージ125を移動させながら線状のレーザー光を照射することで、基板の全体にレーザー光を照射することができる。
【0044】
またステージ125は回転させることができ、レーザー光の走査方向を変えてレーザー光を照射することができるようになっている。このようにすることで、レーザー光の照射による効果の均一性を上げることができる。
【0045】
レーザー処理室104においても、パージ用の不活性気体の導入系119と不要なガスの排気や高真空状態を実現するための排気ポンプ120が配置されている。
【0046】
105で示されるのは、基板搬送室であり、ロボットアーム122によって基板111を搬送(移送)する機能を有した室である。この室にもパージ用の不活性気体の導入系123と室内を高真空にするための排気ポンプ124を備えている。また、ロボットアーム122内にはヒータが内蔵されており、搬送する基板の温度が変化しないように工夫されている。
【0047】
以下にガラス基板上に形成された非晶質珪素膜に対して、プラズマ処理を行い、さらに加熱した状態でレーザー光を照射することにより、非晶質珪素膜を結晶化させ、結晶性珪素膜に変成する工程について説明する。
【0048】
まず最初の段階において、各ゲイトバルブは閉鎖した状態とする。また搬送室105とレーザー処理室104と加熱室103とプラズマ処理室102とは高真空状態にしておく。
【0049】
この状態で、まず図3に示すカセット110(この状態ではカセットは装置外にある)に多数枚のガラス基板を収納する。このガラス基板上には、下地膜として酸化珪素膜が3000Åの厚さに形成されており、さらにその上に非晶質珪素膜が500Åの厚さに成膜されている。
【0050】
そして、搬入搬出室101の扉114を開け、ガラス基板が収納されたカセット110を搬入搬出室101に搬入する。そして扉114(図3に図示)を閉める。扉114を閉めたら、搬入搬出室114を窒素ガスで満たし、ついで高真空状態とする。この状態で全ての室が高真空状態となる。また加熱室103内は550℃の温度に加熱しておく。
【0051】
次にゲイトバルブ106と107とを開ける。そして、ロボットアーム122によって、基板を搬入搬出室101内のカセット110から1枚引き出す。そして、基板をプラズマ処理室102内に搬送する。そして、ゲイトバルブ106と107を閉鎖する。
【0052】
そしてプラズマ処理室102において、ガス導入系116から水素ガスを導入し、所定の減圧状態において、ECR条件を利用した水素プラズマを生成し、ガラス基板上の非晶質珪素膜に対してプラズマ処理を行う。
【0053】
このプラズマ処理によって、非晶質珪素膜中に水素が離脱し、珪素原子同士の結合が増加し、より秩序だった状態に移行する。この状態は、非常に結晶化し易い状態であり、準結晶状態ともいえる過渡的な状態となる。
【0054】
この過渡的な状態は、非常に不安定な状態でもある。従って、空気に触れさせた場合、その表面から内部にかけて酸素や窒素、さらには空気中に含まれる炭素成分等の化合物が形成されてしまう。そして、このことは膜質の著しい劣化を招いてしまう。
【0055】
そこで、プラズマ処理室102におけるプラズマ処理の終了後、プラズマ処理室を高真空状態にする。そして、ゲイトバルブ107と108を開ける。この状態においては、搬送室105と加熱室103も高真空状態となっている。
【0056】
そして、ロボットハンド122によって、基板をプラズマ処理室から引き出し、加熱室103に搬送する。そしてゲイトバルブ107と108を閉鎖する。
【0057】
以上の動作を次々に行うことにより、所定の枚数の基板(この枚数を最初にカセットに収納させる枚数と一致させる)を加熱室103に収納する。この収納枚数は、最初の基板が加熱室に収納されてからの経過時間によって決定される。
【0058】
所定の枚数の基板を加熱室103に収納したら、ゲイトバルブ108と109を開ける。そして、ロボットアーム122によって、基板を加熱室103からレーザー処理室124に搬送する。なお、この際ロボットアーム122の基板と触れる部分は、内部のヒータの加熱により、550℃の温度に保った状態とする。
【0059】
次にゲイトバルブ108と109は閉鎖する。そしてレーザー光を照射することによって、プラズマ処理が行われた珪素膜を結晶化させる。この際、基板を550℃の温度に保ったままでレーザー光の照射を行う。レーザー光の照射は、線状のビームを基板を線状ビームの長手方向に垂直な方向に移動させながら照射することで、珪素膜の全面に照射されるように行う。また、レーザー光を照射する雰囲気は高真空状態とする。
【0060】
レーザーの照射が終了したら、ゲイトバルブ109と106を開け、レーザー処理室104内の基板をロボットアーム122によって、搬入搬出室101に搬送する。そして、ゲイトバルブ106を閉鎖する。ついでゲイトバルブ108を開ける。そして、加熱室103内に収納されている基板をロボットアーム122で取り出し、レーザー処理室104に搬送する。その後、ゲイトバルブ108と109とを閉鎖する。そして再びレーザー光の照射を行う。
【0061】
こうして、次々と加熱室103内に収納された基板が処理されていき、処理が終了した基板は、順次搬入搬出室101内のカセット110に収納される。一通り処理が終了したら、ゲイトバルブ106を閉鎖した状態で搬入搬出室101内を不活性気体によって大気圧状態とする。そして、扉114を開けて、カセット110を装置の外部に取り出す。こうして、処理が終了する。
【0062】
本実施例に示す構成においては、プラズマ処理室102において、プラズマ処理がなされた珪素膜を大気や汚染された気体に触れさせずに加熱室103に搬送し、さらに大気や汚染された気体に触れさせずに加熱室103からレーザー処理室104に搬送する。従って、プラズマ処理がなされた珪素膜が汚染されることがない。
【0063】
プラズマ処理が成された珪素膜は非常に汚染による影響を受けやすい。そして汚染の影響が得られる結晶性珪素膜の結晶性やその再現性に非常に現れやすい。従って、上記のような構成とすることは、得られる結晶性珪素膜の結晶性を保証する上で非常に有効な手段となる。
【0064】
〔実施例2〕
本実施例は、基板上に形成された非晶質珪素膜に対して、プラズマ処理を行い、さらにプラズマ処理が終了した珪素膜に対して加熱による結晶化を行う装置に関する。図4に本実施例に示す装置を示す。
【0065】
図4に示す装置は、基板上に、
(1)下地膜となる酸化珪素膜を形成する工程
(2)下地膜上に非晶質珪素膜を形成する工程
(3)非晶質珪素膜に対してプラズマ処理を加える工程
(4)加熱処理を施し非晶質珪素膜を結晶化させる工程
を汚染が無い環境において連続的に行うことを特徴とする。
【0066】
図4に示す装置は、基板の搬入搬出室401、基板上に下地の酸化珪素膜を成膜するための平行平板型のプラズマCVD装置402(成膜室)、非晶質珪素膜を成膜するための平行平板型のプラズマCVD装置403(成膜室)、非晶質珪素膜に対してECRプラズマを用いたプラズマ処理を行うためのプラズマ処理装置404(プラズマ処理室)、プラズマ処理が行われた珪素膜に対して加熱処理を施すための加熱室405と406、各室の間の基板の搬送を行うためのロボットアーム414を備えた搬送室407、各室と各室に共通接続された搬送室407とを連結するゲートバルブ408、409、410、411、412、413を備えている。また図示しないが、各室には、必要とするガスを供給するガス供給系、必要とする減圧状態または高真空状態を実現するための排気系、基板を加熱するための手段(搬入搬出室は除く)が備えられている。また、プラズマ処理室は、図2の102で示すものと同じ構成を有している。また、加熱室には、基板を多数枚収納できるようになっている。
【0067】
以下に図4に示す装置を動作させる1例を示す。まず、搬入搬出室を除いた全ての室を高真空状態とする。この高真空状態は、それを行う全ての室において、同一の圧力とすることが重要である。また全てのゲイトバルブは閉鎖した状態とする。
【0068】
まず、扉400を開けて、多数枚のガラス基板が収納されたカセット(図示せず)を基板の搬入搬出室401内に収納する。このそして扉400を閉め、搬入搬出室内を不活性気体で満たす。そして、室内の不活性気体を排気し、高真空状態とする。
【0069】
次にゲイトバルブ408と409とを開ける。そしてロボットアームによって基板を1枚引き出し、酸化珪素膜を成膜するための成膜室402に基板を搬送する。その後ゲイトバルブ408と409を閉鎖する。次に酸化珪素膜を成膜するための成膜室402において、酸化珪素膜をガラス基板上に3000Åの厚さに成膜する。この酸化珪素膜は、後に成膜される非晶質珪素膜中にガラス基板中から不純物が析出することを防ぐために成膜される。また、後の結晶化工程において、ガラス基板と珪素膜との間に働く応力を緩和させるために成膜される。
【0070】
下地膜の成膜が終了したら、再び成膜室402内を高真空状態とする。そしてゲイトバルブ409と410とを開ける。次いでロボットアーム414によって、酸化珪素膜がその表面に成膜された基板を酸化珪素膜を成膜するための成膜室402から非晶質珪素膜を成膜するための成膜室403に搬送する。
【0071】
そしてゲイトバルブ409を閉鎖する。この時、ゲイトバルブ409は開けたままの状態としておく。そして、必要とするガスを用いて、非晶質珪素膜を成膜するための成膜室403において、非晶質珪素膜を500Åの厚さに成膜する。この非晶質珪素膜は、ガラス基板上に成膜された酸化珪素膜上に成膜される。
【0072】
上記成膜室403での非晶質珪素膜の成膜中において、ゲイトバルブ408を開け、ロボットアーム414によって、ガラス基板を搬入搬出室401内のカセットから1枚引き出し、酸化珪素膜の成膜室402に搬送する。そして、ゲイトバルブ408と409を閉鎖する。そして、酸化珪素膜の成膜を行う。即ち、成膜室403において非晶質珪素膜を成膜している最中において、成膜室402においてガラス基板上に非晶質珪素膜を成膜する。
【0073】
この状態においては、成膜室403での非晶質珪素膜の成膜と、成膜室402での非晶質珪素膜との成膜とが同時に進行している状態である。
【0074】
成膜室403での非晶質珪素膜の成膜と成膜室402での酸化珪素膜の成膜が終了したら、2つの成膜室内を高真空状態とする。そして、ゲイトバルブ410、411を開ける。この際、成膜室403での非晶質珪素膜の成膜の時間と、成膜室402での酸化珪素膜の成膜の時間とが同じとは限らない。この場合は、一方の成膜が終了するまで、他方の成膜室は待機状態となる。
【0075】
ゲイトバルブ410、411を開けたら、ロボットハンドによって、非晶質珪素膜を成膜するための成膜室403内の基板を成膜室403内を高真空状態とする。そしてゲイトバルブ410と411を開ける。そして、ロボットアーム414によって、非晶質珪素膜が成膜されたガラス基板を成膜室403からプラズマ処理が行われるプラズマ処理室404に搬送する。
【0076】
そしてゲイトバルブ411を閉鎖する。次いでプラズマ処理室404において水素プラズマによる処理が行われる。このプラズマ処理中において、ゲイトバルブ409を開け、酸化珪素膜の成膜が終了したガラス基板を酸化珪素膜を成膜するための成膜室402から引き出し、非晶質珪素膜を成膜するための成膜室403に搬送する。そしてゲイトバルブ410を閉鎖する。その後成膜室403において非晶質珪素膜の成膜を行う。
【0077】
成膜室403での非晶質珪素膜の成膜が始まったら、ゲイトバルブ408を開け、搬入搬出室401内のカセットに収納されたガラス基板をロボットアーム414によって引き出し、酸化珪素膜の成膜室402に搬送する。そしてゲイトバルブ408と409を閉鎖する。
【0078】
プラズマ処理室404でのプラズマ処理が終了したら、プラズマ処理室を高真空状態とする。そしてゲイトバルブ411と412を開ける。この際、加熱室は予め550℃の温度に加熱しておく。そして、ロボットアーム414によって、プラズマ処理の終了したガラス基板を引き出す。引き出されたガラス基板は、ロボットアームによって、加熱室405に搬送される。そしてゲイトバルブ412を閉じる。
【0079】
次にゲイトバルブ410を開け、非晶質珪素膜が成膜されたガラス基板をロボットアームによって引き出し、プラズマ処理室に搬送する。そしてゲイトバルブ411を閉じる。そして、ゲイトバルブ409を開け、酸化珪素膜が成膜されたガラス基板をロボットアームによって酸化珪素膜を成膜するための成膜室402から引き出し、非晶質珪素膜を成膜するための成膜室403に搬送する。そしてゲイトバルブ410を閉じる。そして、ゲイトバルブ408を開け、ロボットアームによって、搬入搬出室401からガラス基板を引き出し、酸化珪素膜を成膜するための成膜室402に移送する。
【0080】
以上の動作を繰り返し行うことにより、次々と加熱室405には、プラズマ処理が施された珪素膜が形成されたガラス基板は収納されていくことになる。加熱室405において収納された基板が一杯になったら、加熱室406に基板を収納していく。
【0081】
そして、最初のガラス基板が加熱室405に収納された時から4時間が経過した時に、加熱室からこの最初のガラス基板をロボットアームによって引き出し、搬入搬出室401内のカセットに搬送する。
【0082】
次に2番目のガラス基板が加熱室405に収納された時から4時間が経過した時に、加熱室からこの2番目のガラス基板をロボットアームによって引き出し、搬入搬出室401内のカセットに搬送する。
【0083】
このようにして、次々に加熱室に4時間収納されていた基板を搬入搬出室内のカセットに収納していくことにより、4時間の加熱処理が行われたガラス基板がカセットに収納されていくことになる。また、この場合も基板の搬送は、高真空状態で行うことが重要である。
【0084】
このようにして、加熱処理によって結晶化された結晶性珪素膜が形成されたガラス基板が次々に連続的に得られることになる。最後に、搬入搬出室401を大気圧として、扉400を開ける。そして、カセットを装置の外部に取り出すことで、図4に示す装置を用いた工程が終了する。
【0085】
本実施例に示す工程においては、酸化珪素膜を成膜するための成膜室402にガラス基板が留まっている時間と、非晶質珪素膜を成膜するための成膜室403にガラス基板が留まっている時間と、プラズマ処理室404に基板が留まっている時間とを同じあるいは概略同じにすることが重要となる。これは、これらの室において、同時に処理が行われ、そのことが順次シフトしていくことにより、連続的に工程が流れるようにするためである。
【0086】
上記のような工程を採用した場合、非晶質珪素膜の結晶化に影響を与える不確定な因子を排除することができるので、結晶性や電気的な特性にバラツキの無い結晶性珪素膜を得ることができる。また、コンピュータ制御によって、上記の工程を行うことで、作業を連続的に行うことができる。そして、高い生産性を得ることができる。
【0087】
〔実施例3〕
本実施例は、図1及び図2の102、さらには図4の404で示されるプラズマ処理装置(プラズマ処理室)の別な構成を示す。本実施例で示す装置は、図1及び図2の102、さらには図4の404で示されるプラズマ処理装置(プラズマ処理室)の代わりに利用することができる。本実施例に示す構成は、特開平5─129235号公報、特開平6─310494号公報に記載された構成を利用したのである。
【0088】
図5に本実施例に示すプラズマ処理装置の概略の構成を示す。図5に示す装置は、ECR条件を大面積に渡って生成することができることを特徴とする。図5に示す装置において、501が減圧チャンバーであり、内部を必要とする減圧状態さらには必要とする高真空状態とすることができる気密性を有している。
【0089】
減圧チャンバー501内には、2.45GHzのマイクロ波が発振器506から導波管507を介して供給される。502は磁場発生手段兼ガス導入手段であり、多数の永久磁石503とガスを508で示されるように大面積に渡り均一に導入するための構成を有する。
【0090】
ガス供給系512から供給されるプラズマを発生するためのガスとしては、水素ガスまたはヘリウムガス、さらにはそれらの少なくとも一方を主に含むガスが選択される。
【0091】
プラズマ処理を受ける基板は基板ステージ505上に配置される。基板ステージ505には、基板を加熱するためのヒーターが内蔵されている。また509は排気ポンプであり、チャンバー501内を必要とする減圧状態あるいは必要する高真空状態とすることができる。
【0092】
また、基板ステージ505は電極をも兼ねており、電源513から高周波あるいは一定電位のバイアスを基板511に対して加えることができる構成となっている。
【0093】
磁場発生手段兼ガス導入手段505の永久磁石503が配置されている部分を拡大した様子を図6に示す。永久磁石は、601で示されるように極性が交互になるように配置されている。
【0094】
磁場発生手段兼ガス導入手段505を基板ステージ505側から見た様子を図7に示す。永久磁石502は同心円状に交互にその極性がなるように配置されている。そして、ガスを導入するために孔504がガスが均一に吹き出すように多数配置されている。
【0095】
図6や図7に示すような構成を採用した場合、磁力線602によって、ECR条件を満たす磁束密度が603で示される空間領域で実現される。この空間は、図7の丁度、ガスを導入するための孔504が形成された領域上にリング状に実現されることになる。
【0096】
即ち、入射されるマイクロ波(μ波)の周波数fとの間で、ECR条件を示す2πf=eB/mが成立するような磁束密度Bの空間領域が、空間領域603となるということである。なお、mは電子の質量であり、eは電子の電荷である。なお、上記関係式が成立するように、マイクロ波の周波数と永久磁石の強さとが選択されることはいうまでもない。
【0097】
このような構成とすることで、ECR条件を空間領域602において実現することができる。この領域は、広い領域の全てを全体に渡って形成されるものではないが、ECR条件によって生成されたプラズマを広い領域に渡って利用することのできるものである。即ち、基板511が大面積となっても、その全体に対して、プラズマ処理を施すことができる。
【0098】
【発明の効果】
本明細書で開示する発明を利用することにより、ガラス基板やその他絶縁表面を有する基板上に、非晶質珪素膜を結晶化させる工程が、高い再現性でもって行うことができる。特に、結晶性の良好な結晶性珪素膜を高い再現性でもって、しかも高い生産性でもって行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 プラズマ処理とレーザー光の照射とを連続的に行う装置の概要を示す。
【図2】 プラズマ処理とレーザー光の照射とを連続的に行う装置の概要を示す。
【図3】 プラズマ処理とレーザー光の照射とを連続的に行う装置の概要を示す。
【図4】 プラズマ処理と加熱処理とを連続的に行う装置の概要を示す。
【図5】 プラズマ処理を行う装置の概要を示す。
【図6】 磁場を発生する手段の概要を示す。
【図7】 磁場発生手段兼ガス導入手段505を基板ステージ505側から見た様子を示す。
【符号の説明】
101 搬入搬出室101
102 プラズマ処理室
103 加熱室
104 レーザー照射室
105 基板搬送室
106、107 ゲイトバルブ
108、109 ゲイトバルブ
110 基板を収納するためのカセット
111 基板
112 ガス導入系
113 排気ポンプ
114 扉
1151 基板ステージ
116 マイクロ波発振器
117 導波管
118 磁場発生用コイル
119 ガス導入系
120 排気ポンプ
121 加熱ヒータ
122 ロボットアーム
123 ガス導入系
124 窓
125 基板ステージ
126 ガス導入系
127 排気ポンプ
401 基板の搬入搬出室
402 酸化珪素膜を成膜するための成膜室
403 非晶質珪素膜を成膜するための成膜室
404 プラズマ処理室
405、406 加熱室
407 搬送室
408、409、410 ゲイトバルブ
411、412、413 ゲイトバルブ
414 ロボットアーム
501 チャンバー
502 磁場発生手段兼ガス導入手段
503 永久磁石
504 ガス導入をする孔
505 基板ステージ
506 マイクロ波発振器
507 導波管
509 排気ポンプ
511 基板
512 ガス導入系
513 バイアス用電源
601 永久磁石
602 磁力線
603 ECR条件が成立する空間領域

Claims (3)

  1. 非晶質珪素膜に電子サイクロトロン共鳴条件を利用して生成したヘリウムプラズマ処理を施して前記非晶質珪素膜中の水素を離脱させる第1の工程を行い、
    前記第1の工程の後、前記非晶質珪素膜を大気雰囲気に触れさせることなく結晶化する第2の工程を行うことを特徴とする半導体装置の作製方法。
  2. プラズマ処理室と、加熱室と、レーザー処理室が接続された基板搬送室を有する処理装置内において複数基板を処理する基板処理方法であって、
    前記プラズマ処理室内で、基板上に形成された非晶質珪素膜に電子サイクロトロン共鳴条件を利用して生成したヘリウムプラズマ処理を施して前記非晶質珪素膜中の水素を離脱させる第1の処理を行い、
    前記基板搬送室を経由して前記加熱室に前記基板を搬送する第2の処理を行い、
    前記加熱室内で、前記基板を加熱する第3の処理を行い、
    前記基板搬送室を経由して前記レーザー処理室に前記基板を加熱したまま搬送する第4の処理を行い、
    前記レーザー処理室内で、前記非晶質珪素膜を結晶化する第5の処理を行い、
    且つ、前記第1乃至第5の処理は、前記処理装置を大気開放することなく行うことを特徴とする基板処理方法。
  3. 第1の成膜室と、第2の成膜室と、プラズマ処理室と、加熱室と、が接続された基板搬送室を有する処理装置内において複数基板を同時に処理する基板処理方法であって、
    前記第1の成膜室内で、基板上に絶縁膜を形成する第1の処理を行い、
    前記基板搬送室を経由して前記第2の成膜室に前記基板を搬送する第2の処理を行い、
    前記第2の成膜室内で、前記絶縁膜上に非晶質珪素膜を形成する第3の処理を行い、
    前記基板搬送室を経由して前記プラズマ処理室に前記基板を搬送する第4の処理を行い、
    前記プラズマ処理室内で、前記非晶質珪素膜に電子サイクロトロン共鳴条件を利用して生成したヘリウムプラズマ処理を施して前記非晶質珪素膜中の水素を離脱させる第5の処理を行い、
    前記基板搬送室を経由して前記加熱室に前記基板を搬送する第6の処理を行い、
    前記加熱室内で、前記非晶質珪素膜を加熱して結晶化する第7の処理を行い、
    且つ、前記第1乃至第7の処理は、前記処理装置を大気開放することなく行い、
    前記第1の成膜室内に前記基板が留まる時間と、前記第2の成膜室内に前記基板が留まる時間と、前記第プラズマ処理室内に前記基板が留まる時間と、を同じにすることを特徴とする基板処理方法。
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