JP4076352B2 - 流体量計測方法および流体量計測装置 - Google Patents

流体量計測方法および流体量計測装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体収容部材内に充填された圧縮性流体の流体量を計測する方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術と課題】
所定の流体収容部材内に隙間無く充填された圧縮性流体の流体量は、流体収容部材の設計寸法から算出したり、流体収容部材内に圧縮性流体を充填する際の供給量を測定したりすることにより求められるが、流体収容部材の設計寸法から算出する場合には、寸法が分からなければ求めることができないし、加工誤差などにより必ずしも流体量を正確に求めることができない。特に、流体路が複雑に設けられているマニホールド内の流体量については、精度が一層低下する。また、圧縮性流体の供給量から求める場合は、エアの混入などで正確に求めることが難しいし、既に圧縮性流体が充填されている場合には後から求めることができないため、一旦流体を排出した後に再充填して供給量を測定する必要がある。
【0003】
なお、特開平6−331414号公報には、容器内に空間が残る状態で収容されている油などの流体量を測定する技術が記載されているが、容器内に流体が隙間無く充填されている場合には適用できない。
【0004】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、所定の流体収容部材内に隙間無く充填された圧縮性流体の流体量をそのままの状態で計測できるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、所定の流体収容部材内に隙間無く充填された圧縮性流体の流体量V0を計測する方法であって、(a) 前記圧縮性流体の体積を変化させるとともに圧力変化を測定し、体積変化量と圧力変化量との第1相関関係R1を求める第1計測工程と、(b) 内部に前記圧縮性流体と同じ圧縮性流体から成る基準流体が予め定められた基準流体量Vrだけ隙間無く充填されている基準容器を、その基準流体の圧力および体積が前記流体収容部材内の圧縮性流体の圧力の変化に対応して機械的に変化させられるようにその流体収容部材に連結し、その圧縮性流体およびその基準流体の全体の体積を変化させるとともに圧力変化を測定して、全体の体積変化量と圧力変化量との第2相関関係R2を求める第2計測工程と、(c) 前記第1相関関係R1、前記第2相関関係R2、および前記基準流体量Vrに基づいて前記流体量V0を算出する流体量算出工程と、を有することを特徴とする。
【0006】
第2発明は、所定の流体収容部材内に隙間無く充填された圧縮性流体の流体量V0を計測する方法であって、(a) 前記圧縮性流体の体積を変化させるとともに圧力変化を測定し、体積変化量ΔV1に対する圧力変化量ΔP1の関係を表す第1相関関係R1(=ΔP1/ΔV1)を求める第1計測工程と、(b) 内部に前記圧縮性流体と同じ圧縮性流体から成る基準流体が予め定められた基準流体量Vrだけ隙間無く充填されている基準容器を、その基準流体の圧力および体積が前記流体収容部材内の圧縮性流体の圧力の変化に対応して機械的に変化させられるようにその流体収容部材に連結し、その圧縮性流体およびその基準流体の全体の体積を変化させるとともに圧力変化を測定して、全体の体積変化量ΔV2に対する圧力変化量ΔP2の関係を表す第2相関関係R2(=ΔP2/ΔV2)を求める第2計測工程と、(c) 前記第1相関関係R1、前記第2相関関係R2、および前記基準流体量Vrに基づいて、次式(1) に従って前記流体量V0を算出する流体量算出工程と、を有することを特徴とする。
V0=Vr/{(R1/R2)−1} ・・・(1)
【0007】
第3発明は、第2発明の流体量計測方法において、(a) 前記体積変化量ΔV1および前記体積変化量ΔV2は同じ大きさで、(b) 前記第1計測工程は、前記第1相関関係R1として前記体積変化量ΔV1に対する圧力変化量ΔP1を求めるもので、(c) 前記第2計測工程は、前記第2相関関係R2として前記体積変化量ΔV2に対する圧力変化量ΔP2を求めるもので、(d) 前記流体量算出工程は、前記圧力変化量ΔP1、ΔP2、および前記基準流体量Vrに基づいて、次式(2) に従って前記流体量V0を算出するものであることを特徴とする。
V0=Vr/{(ΔP1/ΔP2)−1} ・・・(2)
【0008】
第4発明は、第1発明〜第3発明の何れかの流体量計測方法において、(a) 前記流体収容部材には、前記圧縮性流体の圧力に抗して外部からピストンを押し込むことができるシリンダ装置が一体的に設けられており、(b) 前記第1計測工程および前記第2計測工程では、前記シリンダ装置のピストンを押圧装置によって押し込むとともに、そのピストンの押込み量およびその押圧装置の押圧力変化に基づいて前記第1相関関係R1および前記第2相関関係R2を求めることを特徴とする。
【0009】
第5発明は、第4発明の流体量計測方法において、(a) 前記押圧装置は、前記シリンダ装置に対向して配設された計測用シリンダを有し、流体圧により自身のピストンを突き出してそのシリンダ装置のピストンを押し込むようになっており、(b) 前記第1計測工程および前記第2計測工程では、前記シリンダ装置のピストンの押込み量および前記計測用シリンダの流体圧変化に基づいて前記第1相関関係R1および前記第2相関関係R2を求めることを特徴とする。
【0010】
発明は、内部に隙間無く充填された圧縮性流体の圧力に抗して外部からピストンを押し込むことができるシリンダ装置を備えている流体収容部材内のその圧縮性流体の流体量V0を計測するための装置であって、(a) 前記シリンダ装置に対向して配設され、流体圧により自身のピストンを突き出してそのシリンダ装置のピストンを押し込む計測用シリンダと、(b) 前記シリンダ装置のピストンの押込み量を検出する変位センサと、(c) 前記計測用シリンダの流体圧を検出する圧力センサと、(d) 内部に前記圧縮性流体と同じ圧縮性流体から成る基準流体が予め定められた基準流体量Vrだけ隙間無く充填されているとともに、その基準流体の圧力および体積が前記流体収容部材内の圧縮性流体の圧力の変化に対応して機械的に変化させられるようにその流体収容部材に連結される基準容器と、 (e) その基準容器が油圧回路上で前記流体収容部材から切り離された状態で、前記計測用シリンダにより前記シリンダ装置のピストンを変位させて前記流体収容部材内の圧縮性流体の体積および圧力を変化させ、前記変位センサにより体積変化を測定するとともに前記圧 力センサにより圧力変化を測定し、体積変化量と圧力変化量との第1相関関係R1を求める第1計測手段と、 (f) 前記基準容器が油圧回路上で前記流体収容部材に接続された状態で、前記計測用シリンダにより前記シリンダ装置のピストンを変位させて前記流体収容部材内の圧縮性流体および前記基準流体の全体の体積および圧力を変化させ、前記変位センサにより全体の体積変化を測定するとともに前記圧力センサにより圧力変化を測定し、全体の体積変化量と圧力変化量との第2相関関係R2を求める第2計測手段と、 (g) 前記第1相関関係R1、前記第2相関関係R2、および前記基準流体量Vrに基づいて前記流体量V0を算出する流体量算出手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
第7発明は、第6発明の流体量計測装置において、 (a) 前記第1計測手段は、体積変化量ΔV1に対する圧力変化量ΔP1の関係(ΔP1/ΔV1)を前記第1相関関係R1として求めるもので、 (b) 前記第2計測手段は、全体の体積変化量ΔV2に対する圧力変化量ΔP2の関係(ΔP2/ΔV2)を前記第2相関関係R2として求めるもので、 (c) 前記流体量算出手段は、前記第1相関関係R1、前記第2相関関係R2、および前記基準流体量Vrに基づいて、次式 (3) に従って前記流体量V0を算出するものであることを特徴とする。 (3) 式は前記 (1) 式と同じである。
V0=Vr/{(R1/R2)−1} ・・・ (3)
【0012】
第8発明は、第7発明の流体量計測装置において、 (a) 前記体積変化量ΔV1および前記体積変化量ΔV2は同じ大きさで、 (b) 前記第1計測手段は、前記第1相関関係R1として前記体積変化量ΔV1に対する圧力変化量ΔP1を求めるもので、 (c) 前記第2計測手段は、前記第2相関関係R2として前記体積変化量ΔV2に対する圧力変化量ΔP2を求めるもので、 (d) 前記流体量算出手段は、前記圧力変化量ΔP1、ΔP2、および前記基準流体量Vrに基づいて、次式 (4) に従って前記流体量V0を算出するものであることを特徴とする。 (4) 式は前記 (2) 式と同じである。
V0=Vr/{(ΔP1/ΔP2)−1} ・・・ (4)
【0013】
発明は、第6発明〜第8発明の何れかの流体量計測装置において、前記基準容器は、その基準容器内と前記流体収容部材内とが連通するように連通連結具を介してその流体収容部材に連結され、その流体収容部材内の圧力とその基準容器内の圧力とが一致させられることを特徴とする。
【0014】
10発明は、第6発明〜第8発明の何れかの流体量計測装置において、前記基準容器は、両端部にピストンの受圧面積が等しい一対の連結用シリンダが設けられた連動連結装置を介して、その一対の連結用シリンダのピストンがそれぞれ中立状態となるように前記流体収容部材に連結され、その一対の連結用シリンダのピストンが連動させられることによりその流体収容部材内の圧力とその基準容器内の圧力とが一致させられることを特徴とする。
【0015】
【発明の効果】
第1発明の流体量計測方法によれば、第1計測工程で流体収容部材内の圧縮性流体のみに基づいて体積変化量と圧力変化量との第1相関関係R1を求めるとともに、第2計測工程で流体収容部材および基準容器内の全体の圧縮性流体に基づいて、その体積変化量と圧力変化量との第2相関関係R2を求め、流体量算出工程では、それ等の第1相関関係R1、第2相関関係R2、および基準流体量Vrに基づいて流体量V0を算出するため、流体収容部材の設計寸法を取り寄せたり流体収容部材内の圧縮性流体を充填し直したりする必要がないとともに、温度等の使用条件によって変化する圧縮性流体の体積弾性係数も必要ないため、流体量V0を簡単に比較的高い精度で求めることができる。
【0016】
第2発明は実質的に第1発明の一実施態様に相当するもので、第1計測工程で求めた第1相関関係R1(=ΔP1/ΔV1)、第2計測工程で求めた第2相関関係R2(=ΔP2/ΔV2)、および基準流体量Vrに基づいて、(1) 式に従って流体量V0を算出することができる。すなわち、圧縮性流体の体積弾性係数をKとすると、体積弾性係数の定義から第1相関関係R1および流体量V0を用いて次式(5) が成立するとともに、第2相関関係R2、流体量V0、および基準流体量Vrを用いて次式(6) が成立するため、それ等の(5) 式および(6) 式から次式(7) 、すなわち前記(1) 式が成立するのである。本発明においても、流体収容部材の設計寸法を取り寄せたり流体収容部材内の圧縮性流体を充填し直したりする必要がないとともに、温度等の使用条件によって変化する圧縮性流体の体積弾性係数も必要ないため、流体量V0を簡単に比較的高い精度で求めることができる。
K=R1×V0 ・・・(5)
K=R2×(V0+Vr) ・・・(6)
V0=R2×Vr/(R1−R2)
=Vr/{(R1/R2)−1} ・・・(7)
【0017】
第3発明は、体積変化量ΔV1、ΔV2が同じ大きさであるため、前記(1) 式におけるR1/R2=ΔP1/ΔP2になり、前記(2) 式に従って流体量V0を求めることができる。したがって、一定の体積変化を与えることができれば、必ずしも体積変化量ΔV1、ΔV2を求める必要がなく、演算処理が容易になる。
【0018】
第4発明は、圧縮性流体の圧力に抗して外部からピストンを押し込むことができるシリンダ装置が流体収容部材に一体的に設けられている場合で、第1計測工程、第2計測工程では押圧装置によりそのピストンを押し込むことにより、そのピストンの押込み量および押圧装置の押圧力変化に基づいて第1相関関係R1、第2相関関係R2を求めるようになっているため、それ等の第1相関関係R1、第2相関関係R2を求めるための計測作業や演算処理等が容易である。
【0019】
第5発明は、上記押圧装置として計測用シリンダが用いられ、第1計測工程および第2計測工程では、シリンダ装置のピストンの押込み量および計測用シリンダの流体圧変化に基づいて第1相関関係R1、第2相関関係R2を求めるようになっているため、それ等の第1相関関係R1、第2相関関係R2を求めるための計測作業や演算処理等が更に容易になる。すなわち、圧縮性流体の圧力変化量は計測用シリンダの流体圧変化に対応するため、その計測用シリンダの流体圧を検出することにより圧縮性流体の圧力変化量を容易に計測できるのである。
【0020】
発明の流体量計測装置は、シリンダ装置に対向して配設されてそのシリンダ装置のピストンを押し込む計測用シリンダと、シリンダ装置のピストンの押込み量を検出する変位センサと、計測用シリンダの流体圧を検出する圧力センサと、を備えているため、シリンダ装置のピストンの押込み量に基づいて圧縮性流体の体積変化量を求めるとともに、計測用シリンダの流体圧変化に基づいて圧力変化量を求めることができる。
【0021】
また、流体収容部材内の圧縮性流体と同じ圧縮性流体から成る基準流体が予め定められた基準流体量Vrだけ隙間無く充填されているとともに、その基準流体の圧力および体積が流体収容部材内の圧縮性流体の圧力の変化に対応して機械的に変化させられるようにその流体収容部材に連結される基準容器を備えているため、前記第5発明による流体量計測方法を好適に実施できる。すなわち、基準容器を外すか遮断した状態でシリンダ装置のピストンの押込み量および計測用シリンダの流体圧変化に基づいて第1相関関係R1を求めるとともに、基準容器を接続した状態でシリンダ装置のピストンの押込み量および計測用シリンダの流体圧変化に基づいて第2相関関係R2を求め、それ等の第1相関関係R1、第2相関関係R2、および基準流体量Vrに基づいて、例えば前記(1) 式などに従って流体量V0を算出するのである。したがって、流体収容部材の設計寸法を取り寄せたり流体収容部材内の圧縮性流体を充填し直したりする必要がないだけでなく、温度等の使用条件によって変化する体積弾性係数Kも必要ないため、流体量V0を簡単に比較的高い精度で求めることができる。
【0022】
発明では、連通連結具を介して基準容器内と流体収容部材内とが連通させられるため、それ等の流体収容部材内の圧力と基準容器内の圧力とが確実に一致させられ、全体の体積変化量と圧力変化量との第2相関関係R2を簡単に且つ高い精度で求めることができる。
【0023】
10発明では、両端部にピストンの受圧面積が等しい一対の連結用シリンダが設けられた連動連結装置を介して、その一対の連結用シリンダのピストンがそれぞれ中立状態となるように基準容器と流体収容部材とが連結され、それ等の流体収容部材内の圧力と基準容器内の圧力とが一致させられるようになっているため、例えば一対の連結用シリンダのピストンの受圧面積が互いに相違するなどして流体収容部材内の圧力と基準容器内の圧力とが相違する場合に比較して、第2計測工程で全体の体積変化量と圧力変化量との第2相関関係R2を求める際の計算処理などが容易である。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明は、例えば特開2000−94052号公報等に記載されているプレス機械の均圧クッション装置のマニホールド(多数の均圧用の油圧シリンダや複雑な油路が設けられたクッションパッド)など、設計寸法から流体量V0を求めることが困難な流体収容部材内の流体量V0の計測に好適に適用されるが、円筒形状等の単純な容器内に充填されている流体量V0の計測にも適用できる。圧縮性流体としては、油圧アクチュエータなどに用いられる作動油等の液体や、ゲル等の高い動粘性を有する流動性物質など、流動性を有する種々の流体が可能で、気体であっても良い。
【0025】
基準容器は、第発明の連通連結具や第10発明の連動連結装置を介して、流体収容部材内の圧力と基準容器内の圧力とが互いに一致するように流体収容部材に連結することが望ましいが、例えば連動連結装置の一対の連結用シリンダのピストンの受圧面積が相違するなどして流体収容部材内の圧力と基準容器内の圧力とが異なる場合であっても良く、その場合は、例えば基準容器内の圧力変化や体積変化を補正して全体の体積変化量と圧力変化量との第2相関関係R2や、一定の体積変化量ΔV2に対する圧力変化量ΔP2を求めれば良い。
【0026】
また、一対の受圧面がそれぞれ流体収容部材内、基準容器内に露出する単一のピストンを有する連結シリンダを介して、基準容器と流体収容部材とを連結するなど、両者の連結には種々の態様が可能である。
【0027】
また、均圧クッション装置のマニホールド内の流体量V0を計測する場合など、流体収容部材に互いに連通する多数のシリンダ装置が装着されている場合には、そのシリンダ装置の代わりに上記連通連結具や連動連結装置を接続できるように、その連通連結具や連動連結装置の連結用シリンダを構成することが望ましい。
【0028】
第1発明、第2発明における第1計測工程および第2計測工程は、必ずしも第1計測工程を先に実施する必要はなく、第2計測工程を先に実施することも可能である。第2発明では第1相関関係R1=ΔP1/ΔV1で、第2相関関係R2=ΔP2/ΔV2であるが、第1発明の実施に際しては、それ等の逆数を用いても良いなど、実質的に前記(1) 式に従って流体量V0を求めることができる種々の態様が可能である。また、相関関係R1、R2は、例えば圧縮性流体を加圧することにより、その圧力増加量と体積減少量とに基づいて求められるが、圧縮性流体の体積を増加させることにより、その体積増加量と圧力低下量とに基づいて求めることも可能で、圧縮性流体の特性や種類などを考慮して適宜定められる。
【0029】
第1相関関係R1、第2相関関係R2は、何れも体積変化量に対して圧力変化量が直線的に変化する部分の相関関係であるが、油などの液体の圧縮性流体にエアが混入しているとエアの影響で相関関係が変化する可能性があるため、エアの影響が無くなるように、例えば200×9.8×104 (Pa)程度以上の圧力で計測を行うことが望ましい。また、流体収容部材を実際に使用する際における圧縮性流体の圧力の近傍の圧力範囲で相関関係を求めるようにしても良い。
【0030】
第3発明では体積変化量ΔV1およびΔV2が同じ大きさであったが、第1発明、第2発明の実施に際しては、体積変化量ΔV1、ΔV2が互いに相違していても良く、圧力変化量ΔP1、ΔP2が予め定められた一定の大きさになるようにして体積変化量ΔV1、ΔV2を求め、次式(8) に従って流体量V0を算出するようにしても良い。
V0=Vr/{(ΔV2/ΔV1)−1} ・・・(8)
【0031】
第4発明では流体収容部材にシリンダ装置(例えば前記均圧クッション装置のマニホールドにおける均圧用油圧シリンダなど)が設けられているが、そのようなシリンダ装置を備えていない場合には、流体収容部材内の圧縮性流体の体積を変化させることかできる可動ロッドなどを有する体積変更装置(油圧シリンダなど)を流体収容部材の流体路等に固定するなどして、圧縮性流体の体積を変化させれば良い。
【0032】
第5発明では押圧装置として計測用シリンダを備えており、その計測用シリンダの流体圧変化に基づいて圧縮性流体の圧力変化が検出されるようになっているが、他の発明の実施に際しては、送りねじ装置などシリンダ装置のピストンを押し込むことができる種々の押圧装置を採用できる。圧縮性流体の圧力変化の計測については、例えば送りねじ装置のモータトルクから求めたり、ロードセル等の荷重センサを押圧装置とシリンダ装置のピストンとの間に設けたり、流体収容部材の流体路等に圧力センサを取り付けて圧縮性流体の流体圧を直接検出したりするなど、種々の態様が可能である。
【0033】
上記計測用シリンダの流体圧変化に基づいて圧縮性流体の圧力変化を検出する際には、計測用シリンダおよびシリンダ装置のピストンの受圧面積が等しければ両者の圧力が一致するため、計測用シリンダの流体圧変化をそのまま圧縮性流体の圧力変化とすれば良く、受圧面積が異なる場合にはその面積比に応じて補正すれば良い。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例である流体量計測装置10の概略構成図で、図2はその主要部材を断面で示した油圧回路図であり、プレス機械の均圧クッション装置のマニホールド12内の作動油14の流体量(本実施例では油量)V0を計測する場合である。マニホールド12は流体収容部材に相当するもので、既にプレス機械に組み込まれているものであり、シリンダ装置として多数の均圧用の油圧シリンダ16が一体的に設けられているとともに、それ等の油圧シリンダ16を連通させるように例えば格子状に油路18が設けられており、油圧シリンダ16および油路18内には圧縮性流体として作動油14が隙間無く充填されている。このようなマニホールド12は、所定位置の油圧シリンダ16のピストン16p上に図示しないクッションピンが載置され、そのクッションピンによってしわ押えリングを支持するもので、絞り加工時にしわ押えリングが上型によって下降させられる際に、作動油14の油圧に抗してピストン16pが押し込まれて中立状態になることにより、クッションピンの寸法誤差などに拘らずしわ押え荷重が均等にしわ押えリングに伝達される。このようにプレス加工時に油圧シリンダ16が中立状態になるようにするためには、作動油14の初期油圧(プレス加工前の油圧)を適切に設定する必要があり、その場合に流体量V0が分かれば演算式などで初期油圧を求めることができるなど、できるだけ正確な流体量V0を測定できるようにすることが望まれている。
【0035】
流体量計測装置10は、例えば1個の油圧シリンダ16に対向するように連結ボルトなどにより着脱可能に一体的に固設される油圧式の計測用シリンダ20、およびその計測用シリンダ20に作動油を供給する電動式のオイルポンプ22を有する押圧装置23を備えており、計測用シリンダ20のピストン20pが下方へ突き出されることにより、油圧シリンダ16のピストン16pが押し込まれ、油圧シリンダ16の油室を含むマニホールド12内の作動油14の体積Vが減少させられるとともに、作動油14の油圧Pが上昇させられる。計測用シリンダ20の油圧(流体圧)PPは圧力センサ24によって検出されるようになっており、この油圧PPに基づいて作動油14の油圧Pが求められる。本実施例では、計測用シリンダ20のピストン20pの受圧面積が油圧シリンダ16のピストン16pの受圧面積と等しく、油圧PPは作動油14の油圧Pと一致する。また、油圧シリンダ16のピストン16pの押込み量Xは変位センサ26によって検出されるようになっており、この押込み量Xの変化量ΔXとピストン16pの受圧面積SEとを掛け算することにより、作動油14の体積変化量ΔVが求められる。計測用シリンダ20によって複数nの油圧シリンダ16のピストン16pを同時に押し込む場合は、ΔV=n×SE×ΔXになる。変位センサ26は光学式の距離センサで、ピストン16pと20pとの間に挟んだ反射板28までの離間距離Lを測定することにより、その離間距離Lの変化から押込み量Xが求められる。上記油圧PP、離間距離Lを表す信号は、それぞれコンピュータ30に供給されるようになっている。コンピュータ30はCPU、RAM、ROMなどを備えていて、予め定められたプログラムに従って所定の信号処理を行うようになっており、前記オイルポンプ22はコンピュータ30によって制御される。
【0036】
流体量計測装置10はまた、連結装置32を介してマニホールド12の油路18に着脱可能に連結される基準容器34を備えている。連結装置32は、可撓性を有する耐圧ホース38の両端部にそれぞれ連結用ブロック40、42が設けられたもので、それ等の連結用ブロック40、42がそれぞれボルト等を介してマニホールド12、基準容器34に着脱可能に一体的に固設され、基準容器34内とマニホールド12内とを連通させるようになっている。耐圧ホース38には足踏み式等の人力ポンプ44が接続されて、前記作動油14と同じ圧縮性流体が供給されるようになっており、耐圧ホース38および基準容器34内に圧縮性流体が予め定められた基準流体量Vrだけ隙間無く充填される。この基準容器34および耐圧ホース38内の圧縮性流体が基準流体36で、前記マニホールド12内と連通させられていることから、基準流体36の油圧はマニホールド12内の作動油14の油圧Pと一致させられるとともに、その油圧Pの変化に対応して基準流体36の油圧や体積が機械的に変化させられる。作動油14および基準流体36は互いに流通するもので区別できないが、便宜上マニホールド12内の流体を作動油14とし、耐圧ホース38および基準容器34内の流体を基準流体36とする。本実施例では、厳密には耐圧ホース38を含めて基準容器が構成されており、基準容器34および耐圧ホース38内の合計の流体量が基準流体量Vrであり、耐圧ホース38をマニホールド12に連結する連結用ブロック40が連通連結具に相当する。
【0037】
上記耐圧ホース38の両端部すなわち連結用ブロック40、42との接続部分には、それぞれ手動式の開閉バルブ46、48が設けられ、耐圧ホース38と連結用ブロック40、42との間の作動油の流通を遮断できるとともに、耐圧ホース38内の油圧は圧力計50により検出されて表示されるようになっている。また、人力ポンプ44には逆止弁などが設けられて耐圧ホース38からの作動油の逆流が阻止されるようになっている。なお、人力ポンプ44の代わりに、スイッチ操作で作動状態を切り換えることができる電動ポンプを用いることも可能である。また、マニホールド12に連結される連結用ブロック40は、例えば均圧用の油圧シリンダ16の代わりにマニホールド12に固定できるように、連結部分の形状が油圧シリンダ16と同一形状に構成される。
【0038】
次に、このような流体量計測装置10を用いて作動油14の流体量V0を計測する手順について、図3のフローチャートを参照しつつ具体的に説明する。
【0039】
先ず、ステップS1では、開閉バルブ48を閉じることにより基準容器34を油圧回路上で切り離すとともに開閉バルブ46を開き、ステップS2では、人力ポンプ44で作動油を供給することにより、マニホールド12内の作動油14の油圧Pが予め定められた計測初期油圧P0 となるまで上昇させる。計測初期油圧P0 は、作動油14に混入しているエアの影響が無くなるように200×9.8×104 (Pa)程度以上の値が定められ、圧力計50を見ながら人力ポンプ44を操作し、計測初期油圧P0 に達したら人力ポンプ44の操作を終了するとともに、開閉バルブ46を閉じる。
【0040】
ステップS3では、コンピュータ30のキー操作などで計測開始を指示することにより、コンピュータ30によって第1回目の計測処理が行われ、オイルポンプ22により作動油を所定の流量で出力して、油圧PPを予め定められた設定値PP* まで上昇させるとともに、その後に排出し、その油圧上昇過程または降下過程で圧力センサ24および変位センサ26から逐次信号を取り込み、油圧PPと離間距離Lとの関係を求める。図4の(a) は、この時得られる油圧PPと離間距離Lとの関係の一例で、離間距離L1 は、油圧シリンダ16のピストン16pが突出端に位置している初期値で、油圧PPが計測初期油圧P0 を超えるとピストン16pが油圧シリンダ16内に押し込まれるようになって、離間距離LがL1 よりも大きくなる。また、離間距離L2 は、計測用シリンダ20のピストン20pが突出端に達するか、或いは油圧シリンダ16のピストン16pが押込み端(胴付)に達して、それ以上の離間が阻止される最大値で、離間距離L1 からL2 に達するまでの油圧PPの変化に対して離間距離Lが直線的に変化する部分(P0 〜PP1 )では、油圧PPはマニホールド12内の作動油14の油圧Pと一致する。上記設定値PP* は油圧PP1 よりも大きな値が定められる。
【0041】
ステップS4では、図4(a) に示す油圧PPと離間距離Lとの関係のうち、油圧PPの変化に対して離間距離Lが直線的に変化する部分(P0 〜PP1 )の相関関係に基づいて、予め定められた離間距離変化ΔLに対する油圧P(=PP)の圧力変化量ΔP1を算出する。離間距離変化ΔLは、油圧シリンダ16のピストン16pの押込み量Xの変化量ΔXと同じで、この時のマニホールド12内の作動油14の体積変化量ΔV1=ΔL×SEとなり、この体積変化量ΔV1に対する圧力変化量ΔP1を第1相関関係R1として求める。圧力変化量ΔP1の算出は、コンピュータ30により自動的に行われるようにしても良いが、コンピュータ30の表示画面に図4(a) に示すようなグラフが表示されるようにして、作業者の手作業或いはコンピュータ30を利用したキー操作などで求めることもできる。なお、本実施例ではステップS7の第2回計測処理でも同じ離間距離変化ΔLに対する圧力変化量ΔP2を求めるため、前記(2) 式に従って流体量V0を算出することが可能で、体積変化量ΔV1を求める必要はなく、一定の離間距離変化ΔLに対する圧力変化量ΔP1を求めるだけで良い。
【0042】
次のステップS5では、前記開閉バルブ46、48を開いて基準容器34を油圧回路上でマニホールド12に接続する。ステップS6では、前記ステップS2と同様に人力ポンプ44を操作してマニホールド12内の作動油14および基準容器34内の基準流体36の油圧Pを前記計測初期油圧P0 まで上昇させる。ステップS7では、前記ステップS3と同様にして第2回目の計測処理を行い、油圧PPを設定値PP* まで上昇させるとともに、その後に排出し、その油圧上昇過程または降下過程で圧力センサ24および変位センサ26から逐次信号を取り込み、油圧PPと離間距離Lとの関係を求める。図4の(b) は、この時得られる油圧PPと離間距離Lとの関係の一例で、図4の(a) と同様な傾向を示すが、基準流体36が増えた分だけ離間距離Lの変化に対する油圧PPの変化(増加)は小さくなり、離間距離L2 に達した時の油圧PP2 は図4(a) の油圧PP1 よりも低い。
【0043】
ステップS8では、前記ステップS4と同様にして、図4(b) に示す油圧PPと離間距離Lとの関係のうち、油圧PPの変化に対して離間距離Lが直線的に変化する部分(P0 〜PP2 )の相関関係に基づいて、前記相関関係R1を求めた時と同じ離間距離変化ΔLに対する油圧P(=PP)の圧力変化量ΔP2を算出する。離間距離変化ΔLは、油圧シリンダ16のピストン16pの押込み量Xの変化量ΔXと同じで、この時のマニホールド12内の作動油14および基準容器34内の基準流体36の全体の体積変化量ΔV2=ΔL×SEとなり、この体積変化量ΔV2に対する圧力変化量ΔP2を第1相関関係R2として求める。体積変化量ΔV2は前記ステップS4の体積変化量ΔV1と同じ大きさである。なお、ステップS4およびS8では、離間距離Lが略一致する部分すなわち作動油14の油圧Pが略同じ部分で圧力変化量ΔP1、ΔP2を求めることが望ましい。
【0044】
そして、最後のステップS9では、ステップS4およびS8で求めた圧力変化量ΔP1、ΔP2、および基準流体36の基準流体量Vrを用いて、前記(2) 式に従って流体量V0を算出する。この流体量V0の算出は、作業者の手作業或いはコンピュータ30を利用したキー操作などで求めることもできるが、コンピュータ30により自動的に算出して表示させるようにしても良い。流体量V0は圧力変化に伴って変化するため、(2) 式で求められる流体量V0は、厳密には圧力変化量ΔP1、ΔP2を求めた時の値となる。
【0045】
本実施例ではステップS3およびS4が第1計測工程で、ステップS7およびS8が第2計測工程で、ステップS9が流体量算出工程である。また、これ等の工程をコンピュータ30により自動的に行う場合には、それぞれ第1計測手段、第2計測手段、流体量算出手段として機能している。
【0046】
このように本実施例では、ステップS3およびS4でマニホールド12内の作動油14のみに基づいて体積変化量ΔV1に対する圧力変化量ΔP1を第1相関関係R1として求めるとともに、ステップS7およびS8でマニホールド12および基準容器34内(耐圧ホース38内を含む)の全体の圧縮性流体、すなわち作動油14および基準流体36に基づいて、体積変化量ΔV2(=ΔV1)に対する圧力変化量ΔP2を第2相関関係R2として求め、ステップS9でそれ等の圧力変化量ΔP1、ΔP2、および基準流体量Vrに基づいて前記(2) 式に従って流体量V0を算出するため、マニホールド12の設計寸法を取り寄せたりマニホールド12内の作動油14を充填し直したりする必要がないとともに、温度等の使用条件によって変化する体積弾性係数Kも必要ないため、流体量V0を簡単に比較的高い精度で求めることができる。
【0047】
また、本実施例では予め定められた一定の離間距離変化ΔLすなわち体積変化量ΔV1=ΔV2に対する圧力変化量ΔP1、ΔP2を求めるようになっているため、体積変化量ΔV1、ΔV2を算出する必要がなく、流体量V0を求めるための演算処理が容易になる。
【0048】
また、本実施例では連結装置32を介して基準容器34内とマニホールド12内とが連通させられるため、それ等のマニホールド12内の作動油14の油圧Pと基準容器34内の圧力とが確実に一致させられ、全体の体積変化量ΔV2に対する圧力変化量ΔP2、すなわち第2相関関係R2を簡単に且つ高い精度で求めることができる。
【0049】
また、マニホールド12には、作動油14の油圧Pに抗して外部からピストン16pを押し込むことができる油圧シリンダ16が一体的に設けられており、前記ステップS3およびS4、S7およびS8では、それぞれ押圧装置23によりピストン16pを押し込むことにより、そのピストン16pの押込み量Xすなわち離間距離Lおよび押圧装置23の押圧力の変化に基づいて、圧力変化量ΔP1、ΔP2を求めるようになっているため、それ等の計測作業や演算処理等が容易である。
【0050】
また、本実施例では押圧装置23として計測用シリンダ20が用いられ、油圧シリンダ16のピストン16pの一定の押込み量変化ΔX=ΔLに対する油圧PPの変化に基づいて圧力変化量ΔP1、ΔP2を求めるようになっているため、その計測作業や演算処理等が更に容易になる。すなわち、作動油14の圧力変化量ΔPは、計測用シリンダ20の油圧PPの変化量に対応するため、その計測用シリンダ20の油圧PPを検出することにより作動油14の圧力変化量ΔP1、ΔP2を容易に計測できるのである。特に、本実施例では計測用シリンダ20のピストン20pの受圧面積が油圧シリンダ16のピストン16pの受圧面積SEと等しいため、油圧PPと油圧Pとが一致して演算処理が一層容易になる。
【0051】
なお、上記実施例では一定の離間距離変化ΔLに対する圧力変化量ΔP1、ΔP2を求めて前記(2) 式に従って流体量V0を算出するようになっているが、ステップS4、S7で互いに異なる離間距離変化ΔL1、ΔL2に対する圧力変化量ΔP1、ΔP2を求め、第1相関関係R1としてΔP1/ΔL1、或いはΔP1/(ΔL1×SE)を算出するとともに、第2相関関係R2としてΔP2/ΔL2、或いはΔP2/(ΔL2×SE)を算出して、前記(1) 式に従って流体量V0を算出することもできる。
【0052】
また、上記実施例では耐圧ホース38内の圧縮性流体を含んで基準流体量Vrが定められていたが、耐圧ホース38内の流体量Vhが既知である場合には、基準容器34内のみの流体量を基準流体量Vrとするとともに、ステップS3で開閉バルブ46を開いたまま計測処理を行い、耐圧ホース38内の流体量Vhを含んだ流体量V0を求めた後、その流体量Vhを減算してマニホールド12内の流体量を求めるようにしても良い。耐圧ホース38内の流体量Vhが極めて少量の場合には、流体量V0をそのままマニホールド12内の流体量と見做すこともできる。
【0053】
また、図の流体量計測装置70は、前記図2の流体量計測装置10に比較して、連結装置32の代わりに連動連結装置72が用いられている点が相違し、基準容器34内には作動油14と同じ圧縮性流体から成る基準流体36が予め基準流体量Vrだけ隙間無く充填されている。連動連結装置72は、前記耐圧ホース38の両端部にそれぞれ連結用シリンダ74、76を装着したもので、それ等の連結用シリンダ74、76がそれぞれボルト等を介してマニホールド12、基準容器34に着脱可能に一体的に固設されるとともに、人力ポンプ44により耐圧ホース38内に作動油が供給されてそれ等の連結用シリンダ74、76のピストン74p、76pがそれぞれ中立状態とされることにより、両ピストン74p、76pはマニホールド12内の作動油14の油圧Pの変化に伴って連動させられ、基準容器34内の基準流体36の油圧および体積は作動油14の油圧Pの変化に対応して機械的に変化させられる。連結用シリンダ74、76は、ピストン74p、76pの両端面に油圧が作用するバランスシリンダで、そのピストン74p、76pの大径側および小径側の受圧面積は共に等しく、基準容器34内の基準流体36の油圧がマニホールド12内の作動油14の油圧Pと一致させられる。
【0054】
この流体量計測装置70においても、前記図3のフローチャートに従って流体量V0を計測することができ、同様の作用効果が得られる。その場合に、ピストン74p、76pの受圧面積が等しい一対の連結用シリンダ74、76が設けられた連動連結装置72を介して基準容器34とマニホールド12とが連結され、その基準容器34内の油圧がマニホールド12内の油圧Pと一致させられるようになっているため、例えば一対の連結用シリンダ74、76のピストン74p、76pの受圧面積が互いに相違するなどして基準容器34内の油圧がマニホールド12内の油圧Pと相違する場合に比較して、前記ステップS7およびS8で一定の体積変化量ΔV2に対する圧力変化量ΔP2を求める際の計算が容易である。
【0055】
ここで、図3のステップS2で計測初期油圧P0 を調整する際には、圧力計50の指示値は、連結用シリンダ74のピストン74pの大径側および小径側の受圧面積比RSに応じて油圧Pよりも低くなるため、指示値を油圧Pに換算して油圧調整を行うことになる。なお、連結用シリンダ74として、ピストン74pの両側の受圧面積が等しいものを採用すれば、圧力計50の指示値とマニホールド12内の作動油14の油圧Pとが一致し、圧力計50の指示値が計測初期油圧P0 と一致するように油圧調整を行えば良い。
【0056】
また、開閉バルブ46を閉じてステップS3の計測処理を行う際には、油圧Pの上昇に伴って連結用シリンダ74のピストン74pが後退するため、このピストン74pの後退量を考慮して体積変化量ΔV1に対する圧力変化量ΔP1を求める必要があるが、ピストン74pの大径側の流体量が極僅かでピストン74pの後退量が極めて小さい場合には、これを無視して圧力変化量ΔP1を求めるようにしても良い。特に、人力ポンプ44で供給する作動油として体積弾性係数が大きい非圧縮性流体を使用すれば、その圧縮に起因する計測誤差が一層小さくなる。ステップS7およびS8においても、耐圧ホース38内や連結用シリンダ74内の作動油の体積変化を考慮する必要があるが、体積変化が極僅かであれば、これを無視することもできる。なお、作動油14や基準流体36と同じ圧縮性流体を耐圧ホース38内に供給するとともに、その耐圧ホース38内の流体量Vhを考慮して基準流体量Vrを設定するようにしても良い。
【0057】
また、基準容器34内の基準流体量Vrは圧力変化に伴って変化するため、図3のステップS9で前記(2) 式に従って流体量V0を算出する際の基準流体量Vrは、圧力変化量ΔP2を求める時の油圧値における容積に換算して設定することが望ましい。
【0058】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法を好適に実施できる流体量計測装置を示す概略構成図である。
【図2】 図1の装置の要部を断面で示す油圧回路図である。
【図3】 図1の装置を用いて流体量V0を計測する際の手順を説明するフローチャートである。
【図4】 図3のステップS3、S7の計測処理で得られるデータの一例を示す図である。
【図5】 本発明方法を好適に実施できる別の流体量計測装置の要部を断面で示した油圧回路図である。
【符号の説明】
10、70:流体量計測装置 12:マニホールド(流体収容部材) 14:作動油(圧縮性流体) 16:油圧シリンダ(シリンダ装置) 20:計測用シリンダ 23:押圧装置 24:圧力センサ 26:変位センサ 34:基準容器 36:基準流体 40:連結用ブロック(連通連結具) 72:連動連結装置 74、76:連結用シリンダ
ステップS3、S4:第1計測工程、第1計測手段
ステップS7:S8:第2計測工程、第2計測手段
ステップS9:流体量算出工程、流体量算出手段

Claims (10)

  1. 所定の流体収容部材内に隙間無く充填された圧縮性流体の流体量V0を計測する方法であって、
    前記圧縮性流体の体積を変化させるとともに圧力変化を測定し、体積変化量と圧力変化量との第1相関関係R1を求める第1計測工程と、
    内部に前記圧縮性流体と同じ圧縮性流体から成る基準流体が予め定められた基準流体量Vrだけ隙間無く充填されている基準容器を、該基準流体の圧力および体積が前記流体収容部材内の圧縮性流体の圧力の変化に対応して機械的に変化させられるように該流体収容部材に連結し、該圧縮性流体および該基準流体の全体の体積を変化させるとともに圧力変化を測定して、全体の体積変化量と圧力変化量との第2相関関係R2を求める第2計測工程と、
    前記第1相関関係R1、前記第2相関関係R2、および前記基準流体量Vrに基づいて前記流体量V0を算出する流体量算出工程と、
    を有することを特徴とする流体量計測方法。
  2. 所定の流体収容部材内に隙間無く充填された圧縮性流体の流体量V0を計測する方法であって、
    前記圧縮性流体の体積を変化させるとともに圧力変化を測定し、体積変化量ΔV1に対する圧力変化量ΔP1の関係を表す第1相関関係R1(=ΔP1/ΔV1)を求める第1計測工程と、
    内部に前記圧縮性流体と同じ圧縮性流体から成る基準流体が予め定められた基準流体量Vrだけ隙間無く充填されている基準容器を、該基準流体の圧力および体積が前記流体収容部材内の圧縮性流体の圧力の変化に対応して機械的に変化させられるように該流体収容部材に連結し、該圧縮性流体および該基準流体の全体の体積を変化させるとともに圧力変化を測定して、全体の体積変化量ΔV2に対する圧力変化量ΔP2の関係を表す第2相関関係R2(=ΔP2/ΔV2)を求める第2計測工程と、
    前記第1相関関係R1、前記第2相関関係R2、および前記基準流体量Vrに基づいて、次式(1) に従って前記流体量V0を算出する流体量算出工程と、
    V0=Vr/{(R1/R2)−1} ・・・(1)
    を有することを特徴とする流体量計測方法。
  3. 前記体積変化量ΔV1および前記体積変化量ΔV2は同じ大きさで、
    前記第1計測工程は、前記第1相関関係R1として前記体積変化量ΔV1に対する圧力変化量ΔP1を求めるもので、
    前記第2計測工程は、前記第2相関関係R2として前記体積変化量ΔV2に対する圧力変化量ΔP2を求めるもので、
    前記流体量算出工程は、前記圧力変化量ΔP1、ΔP2、および前記基準流体量Vrに基づいて、次式(2) に従って前記流体量V0を算出するものである
    V0=Vr/{(ΔP1/ΔP2)−1} ・・・(2)
    ことを特徴とする請求項2に記載の流体量計測方法。
  4. 前記流体収容部材には、前記圧縮性流体の圧力に抗して外部からピストンを押し込むことができるシリンダ装置が一体的に設けられており、
    前記第1計測工程および前記第2計測工程では、前記シリンダ装置のピストンを押圧装置によって押し込むとともに、該ピストンの押込み量および該押圧装置の押圧力変化に基づいて前記第1相関関係R1および前記第2相関関係R2を求める
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の流体量計測方法。
  5. 前記押圧装置は、前記シリンダ装置に対向して配設された計測用シリンダを有し、流体圧により自身のピストンを突き出して該シリンダ装置のピストンを押し込むようになっており、
    前記第1計測工程および前記第2計測工程では、前記シリンダ装置のピストンの押込み量および前記計測用シリンダの流体圧変化に基づいて前記第1相関関係R1および前記第2相関関係R2を求める
    ことを特徴とする請求項4に記載の流体量計測方法。
  6. 内部に隙間無く充填された圧縮性流体の圧力に抗して外部からピストンを押し込むことができるシリンダ装置を備えている流体収容部材内の該圧縮性流体の流体量V0を計測するための装置であって、
    前記シリンダ装置に対向して配設され、流体圧により自身のピストンを突き出して該シリンダ装置のピストンを押し込む計測用シリンダと、
    前記シリンダ装置のピストンの押込み量を検出する変位センサと、
    前記計測用シリンダの流体圧を検出する圧力センサと、
    内部に前記圧縮性流体と同じ圧縮性流体から成る基準流体が予め定められた基準流体量Vrだけ隙間無く充填されているとともに、該基準流体の圧力および体積が前記流体収容部材内の圧縮性流体の圧力の変化に対応して機械的に変化させられるように該流体収容部材に連結される基準容器と、
    該基準容器が油圧回路上で前記流体収容部材から切り離された状態で、前記計測用シリンダにより前記シリンダ装置のピストンを変位させて前記流体収容部材内の圧縮性流体の体積および圧力を変化させ、前記変位センサにより体積変化を測定するとともに前記圧力センサにより圧力変化を測定し、体積変化量と圧力変化量との第1相関関係R1を求める第1計測手段と、
    前記基準容器が油圧回路上で前記流体収容部材に接続された状態で、前記計測用シリンダにより前記シリンダ装置のピストンを変位させて前記流体収容部材内の圧縮性流体および前記基準流体の全体の体積および圧力を変化させ、前記変位センサにより全体の体積変化を測定するとともに前記圧力センサにより圧力変化を測定し、全体の体積変化量と圧力変化量との第2相関関係R2を求める第2計測手段と、
    前記第1相関関係R1、前記第2相関関係R2、および前記基準流体量Vrに基づいて前記流体量V0を算出する流体量算出手段と、
    を有することを特徴とする流体量計測装置。
  7. 前記第1計測手段は、体積変化量ΔV1に対する圧力変化量ΔP1の関係(ΔP1/ΔV1)を前記第1相関関係R1として求めるもので、
    前記第2計測手段は、全体の体積変化量ΔV2に対する圧力変化量ΔP2の関係(ΔP2/ΔV2)を前記第2相関関係R2として求めるもので、
    前記流体量算出手段は、前記第1相関関係R1、前記第2相関関係R2、および前記基準流体量Vrに基づいて、次式 (3) に従って前記流体量V0を算出するものである
    V0=Vr/{(R1/R2)−1} ・・・ (3)
    ことを特徴とする請求項6に記載の流体量計測装置。
  8. 前記体積変化量ΔV1および前記体積変化量ΔV2は同じ大きさで、
    前記第1計測手段は、前記第1相関関係R1として前記体積変化量ΔV1に対する圧力変化量ΔP1を求めるもので、
    前記第2計測手段は、前記第2相関関係R2として前記体積変化量ΔV2に対する圧力変化量ΔP2を求めるもので、
    前記流体量算出手段は、前記圧力変化量ΔP1、ΔP2、および前記基準流体量Vrに基づいて、次式 (4) に従って前記流体量V0を算出するものである
    V0=Vr/{(ΔP1/ΔP2)−1} ・・・ (4)
    ことを特徴とする請求項7に記載の流体量計測装置。
  9. 前記基準容器は、該基準容器内と前記流体収容部材内とが連通するように連通連結具を介して該流体収容部材に連結され、該流体収容部材内の圧力と該基準容器内の圧力とが一致させられる
    ことを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載の流体量計測装置。
  10. 前記基準容器は、両端部にピストンの受圧面積が等しい一対の連結用シリンダが設けられた連動連結装置を介して、該一対の連結用シリンダのピストンがそれぞれ中立状態となるように前記流体収容部材に連結され、該一対の連結用シリンダのピストンが連動させられることにより該流体収容部材内の圧力と該基準容器内の圧力とが一致させられる
    ことを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載の流体量計測装置。
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