JP4075390B2 - 振動モータ一体型軸受ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、駆動力を必要とするロボットアームの関節等に配置されて軸受機能とモータ機能の両方を発揮することができる振動モータ一体型軸受ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
ロボットアーム等の駆動力を必要とする個所には、モータが配置されるが、この種のモータとして、磁力を用いたモータと振動の進行波を利用した振動モータ(例えば超音波モータ)とが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
磁力を用いたモータは、パワーとモータの体積とがほぼ比例関係にあるため、高出力化するには、その体積が大きくなり、また、ロボットアームの関節のように高トルクが求められる環境では、減速機を必要とするため、減速機を含んだ体積がさらに大きくなることから、軽薄短小化と高出力化とを両立できないという問題があった。
【0004】
また、振動モータは、低回転および高トルクで軽量であることが特徴であるが、ラジアル荷重を受ける場合には、この荷重を支えるための軸受が必要となり、モータと軸受との両方を配置するためのスペース確保が困難であるという問題があった。
【0005】
この発明の目的は、振動モータをロボットアームの関節のようにラジアル荷重を繰り返し受ける狭いスペースに設置可能とするとともに、本来軸受を組み込む個所にもモータの設置を可能とする振動モータ一体型軸受ユニットを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
この発明による振動モータ一体型軸受ユニットは、1対の軌道輪およびこれらの間に配置された複列の転動体を有する複列転がり軸受と、一方の軌道輪に設けられた少なくとも1つの振動モータステータと、他方の軌道輪に設けられてステータに圧接されているロータとを備えているものである。
【0007】
この発明の振動モータ一体型軸受ユニットによると、軸受によってラジアル荷重を受けることができるので、低回転および高トルクで軽量であることが特徴である振動モータをロボットアームの関節のようにラジアル荷重を繰り返し受ける狭いスペースに設置することができ、また、軸受にモータが一体とされているので、従来の軸受をこの振動モータ一体型軸受に置き換えることにより、本来軸受を組み込む個所にもモータを設置することができる。また、ロータとステータとが圧接されているため、回転停止時にも保持力を有しており、よって、電磁気ブレーキを必要とせず、無通電時に定格以上で保持することができる。さらにまた、機械的時定数を1msec以下とすることが可能で、速度コントロールも無段階に変化可能であり、制御性に優れている。
【0008】
軸受は、ラジアル玉軸受、スラスト玉軸受、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受および球面ころ軸受のいずれであってもよいが、軸受の組立時に予圧を付与するアンギュラ玉軸受または円錐ころ軸受とするとともに、軸受に予圧が付与されることによってステータとロータとの圧接状態が得られるようにすることが好ましい。
【0009】
このようにするには、ステータをロータに圧接する方向を例えば軸方向とし、軸受に軸方向の予圧を与えるようにすればよい。ステータおよびロータには、予圧付加分の寸法差を設けるとともに、ステータ間およびロータ間には、適宜間座が配置される。この間座は、ステータおよびロータとは、別体とされてもよく、また、一体とされてもよい。ステータおよびロータは、環状に形成されており、必要に応じて、その外周縁部または内周縁部に間座となる円筒部を容易に設けることができる。ステータとロータとは、軸方向に対向していることが好ましいが、ラジアル方向以外の方向であれば必ずしも軸方向に対向している必要はなく、要するに、軸受を予圧した際にステータとロータとが圧接可能な方向で対向していればよい。これにより、軸受の予圧と振動モータのステータおよびロータの圧接とを同時に行うことができ、組立工数を削減することができる。
【0010】
ステータおよびロータは、複数組設けられるとともに、これらが軌道輪の両端間に収まるようになされていることが好ましい。このようにすると、ステータおよびロータの組の数だけ、トルクを増加することができ、しかも、これらのステータおよびロータが軌道輪の両端間に収められているので、この振動モータ一体型軸受ユニットを設置するためのスペースは、軸受の軌道輪を収納するスペースだけでよく、従来の軸受をこの振動モータ一体型軸受ユニットに容易に置き換えることができるとともに、回転などの運動を行う種々の個所にこのユニットを使用することができる。
【0011】
ロータに、周方向に所定間隔をおいて並ぶ凹凸を有する回転速度検出用リングが一体に設けられており、ステータが設けられている軌道輪に、回転速度検出用リングの凹凸を検知して軸受の回転速度を検出する非接触センサが設けられていることがある。このようにすると、軸受の回転速度を検出してそれに応じた制御を行うことが可能となる。すなわち、振動モータ一体型でかつセンサ付きの軸受ユニットを得ることができる。溝を検知するには、磁気変化を検知する方法、光の反射の時間差を検知する方法、静電容量の変化を検知する方法などがある。金属板は、必ずしも磁性体である必要はないが、例えば、金属板を磁性体で形成し、非接触センサをステータの回転に伴う凹凸の繰り返しを磁気変化として検知する磁気センサとすることにより、回転速度検出センサを容易に得ることができる。
【0012】
各ステータ、各ロータおよび各間座の形状については、限られたスペースに複数組のステータおよびロータが適正な圧接状態で配置されるように適宜決められる。
【0013】
ステータは、周方向に所定間隔をおいて並ぶ複数の溝を有している環状の金属板に圧電セラミック等の圧電素子を貼り付けたものとされる。そして、全てのステータが同じ形状とされているとともに、ステータとステータとの間に、ステータとは別体の間座が設けられているようにされることがあり、また、ステータは、基準のものとこれに間座が一体に設けられているものとの2種類とされることもある。
【0014】
ロータは、金属製の環状体とされ、穴あき円板状でもよく、穴あき円板の外周縁部または内周縁部に円筒状の間座部が一体に設けられた断面L字状に形成されていてもよい。ロータが穴あき円板状の場合には、ロータとロータとの間に、ロータ同士が圧接状態とするために別体に形成された間座が設けられ、ロータに間座部が一体に設けられている場合には、ロータ同士が圧接状態となるようにこの間座部の長さが調節される。
【0015】
ステータの径方向中間部分に、内周縁部および外周縁部よりも厚みが小さい環状の薄肉部が設けられていることが好ましい。ステータは、その内周縁部および外周縁部のいずれか一方が内輪または外輪に固定され、ステータの内輪または外輪に固定されていない方の縁部に、圧電セラミックス等の圧電素子が貼り付けられる。このようにすると、圧電素子が貼り付けられている金属板の部分が振動しやすくなり、圧電素子に交流電圧が印加された場合に、金属板すなわちステータに進行波型の超音波振動(20kHz以上)が生成されやすくなる。
【0016】
複列転がり軸受は、2列であることが一般的であるが、3列、4列などであってももちろんよい。2列の転がり軸受は、例えば、1対の単列軸受が内輪端面を突き合わせて形成されるとともに、突き合わせ部分の内輪外周に配置される間座の内径に、環状の凹所が設けられ、各単列軸受の内輪の突き合わせ端部外径に、この凹所に嵌め入れられる環状の突起が設けられていることがある。このようにすると、内輪の環状突起が間座の凹所に嵌り合うことによって、軸受のばらけ防止が果たされ、モータユニットとしての使用が容易となる。ばらけ防止のためには、これに代えて、玉とレースによる焼きばめタイプとしてもよい。
【0017】
軌道輪および転動体は、固体潤滑材からなる部材とされることがあり、また、固体潤滑材によってコートされた部材からなることがある。
【0018】
また、軸受は、転動体を保持する保持器を有しており、保持器は潤滑材を含浸したものとされることがある。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。以下の説明において、左右は、図1の左右をいうものとする。
【0020】
図1および図2は、この発明による振動モータ一体型軸受ユニットの第1実施形態を示している。この振動モータ一体型軸受ユニットは、複列の転がり軸受(1)の軸方向中間部分に超音波モータ(振動モータの一例)(2)を一体化したものである。
【0021】
転がり軸受(1)は、左右対称状に形成された2列の背面組合せのアンギュラ玉軸受であり、1対の軌道輪としての外輪(3)および内輪(4)と、これらの間の左右端部にそれぞれ配置された複数の転動体としての玉(5)と、これらの玉(5)を保持する保持器(6)とを有している。外輪(3)および内輪(4)の左右端面同士は、面一とされている。この実施形態では、軸受(1)は、内輪回転型であり、例えば、内輪(4)が回転軸に、外輪(3)がハウジングに固定される。
【0022】
外輪(3)は、単列アンギュラ玉軸受用の外輪部(3a)(3b)が間座(13)を介して突き合わされることにより形成されており、内輪(4)は、各外輪部(3a)(3b)よりもそれぞれ幅広に形成された単列アンギュラ玉軸受用の内輪部(4a)(4b)が間座を介さずに突き合わされることにより形成されている。
【0023】
外輪部(3a)(3b)間に介在させられた間座(13)は、外径が外輪部(3a)(3b)の外径に等しく、内径が外輪部(3a)(3b)の内径よりも大きくなされており、その左端部が左の外輪部(3a)の右端部の外径に設けられた段部に密にはめ止められ、その右端部が右の外輪部(4a)の左端部の外径に設けられた段部に密にはめ止められている。この間座(13)の内径と内輪(4)の外径との間が、超音波モータ配置スペースとされている。
【0024】
左の内輪部(4a)には、軌道溝の右端に連なって2段の段付き環状溝(21a)(21b)を有するカウンタボア(21)が形成されており、右の内輪部(4b)には、軌道溝の左端に連なって2段の段付き環状溝(22a)(22b)を有するカウンタボア(22)が設けられている。これらの環状溝(21a)(21b)(22a)(22b)のうち、軌道輪に近くて径が大きい方のものが第2ロータ嵌め入れ用環状溝(21a)(22a)とされ、軌道輪に遠い方すなわち各内輪部(4a)(4b)の突き合わせ端部にあって径が小さい方のものが第1ロータ嵌め入れ用環状溝(21b)(22b)とされている。左の内輪部(4a)の右端部および右の内輪部(4b)の左端部には、径方向外方に突出する環状の突起(21c)(22c)が設けられている。
【0025】
超音波モータ(2)は、固定輪である外輪(3)に固定された計4つのステータ(7)(17)と、回転輪である内輪(4)に固定されかつ各ステータ(7)(17)に圧接されている計4つのロータ(8)(18)とによって構成されている。
【0026】
この実施形態において、4つのステータ(7)(17)は、中央に配置された2つの第1ステータ(7)と、これの左右方向外側にそれぞれ間隔をおいて配置された第2ステータ(17)とよりなり、4つのロータ(8)(18)は、各第1ステータ(7)に左右方向外側からそれぞれ圧接する第1ロータ(8)と、各第2ステータ(17)に左右方向外側からそれぞれ圧接する第2ロータ(18)とよりなる。
【0027】
第1ステータ(7)は、環状の金属板(弾性体)(9)およびこれの一方の面に貼り付けられた圧電セラミック(10)よりなる。第2ステータ(17)は、間座部(19a)が外周縁部に一体に設けられた環状の金属板(弾性体)(19)およびこれの一方の面に貼り付けられた圧電セラミック(10)よりなる。圧電セラミック(10)は、2つのステータ(7)(17)で共通とされており、電圧を加えたときに伸び縮みが交互になるように厚み方向に分極されている。第1ステータ(7)の金属板(9)(第2ステータ(17)の金属板(19)でも同様)の圧電セラミックス(10)が貼られていない方の面には、図2に示すように櫛歯状の溝(11)が形成されており、各金属板(9)(19)の溝(11)が形成されている面が対応するロータ(8)(18)に圧接されている。第2ステータ(17)の金属板(19)の間座部(19a)は、軸方向内方にのびるように形成されている。各ステータ(7)(17)の金属板(9)(19)の外周縁部と櫛歯状の溝(11)が設けられている部分との間には、環状の薄肉部(9a)(19b)が設けられている。
【0028】
2つの第1ステータ(7)は、その圧電セラミックス(10)同士が間隔をおいて対向させられるように、その金属板(9)の外周縁部同士が圧接されており、各第2ステータ(17)は、その圧電セラミックス(10)が隣にある第1ステータ(7)と同じ方向を向くように、その金属板(19)の間座部(19a)が第1ステータ(7)の金属板(9)の外周縁部に圧接されている。そして、4つのステータ(7)(17)の左右両側にそれぞれ間座(14)が配されて、これらが、左から、間座(14)、第2ステータ(17)、第1ステータ(7)、第1ステータ(7)、第2ステータ(17)および間座(14)の順で左右の外輪部(3a)(3b)間に挟持されている。
【0029】
第1ロータ(8)は、穴あき円板状に形成され、第2ロータ(18)は、穴あき円板の内周縁部に軸方向内方にのびる円筒状の間座部(18a)が一体に設けられた断面L字状に形成されている。各第2ロータ(18)は、その内径が左右内輪部(4a)(4b)のカウンタボア(21)(22)の第2ロータ嵌め入れ用環状溝(21a)(22a)底径に等しくなされており、その軸方向の長さは、同溝(21a)(22a)の幅に等しくなされている。また、各第1ロータ(8)の内径は、左右内輪部(4a)(4b)のカウンタボア(21)(22)の第1ロータ嵌め入れ用環状溝(21b)(22b)底径に等しくなされている。左の第2ロータ(18)は、左の内輪部(4a)に右方から挿入されてその内周縁部が第2ロータ嵌め入れ用環状溝(21a)の側壁に当接した状態で同溝(21a)に嵌め合わせられ、左の第1ロータ(8)は、この後に、左の内輪部(4a)に右方から挿入されてその内周縁部が第1ロータ嵌め入れ用環状溝(21b)の側壁に当接した状態で同溝(21b)に嵌め合わせられている。同様に、右の第2ロータ(18)は、右の内輪部(4b)に左方から挿入されてその内周縁部が第2ロータ嵌め入れ用環状溝(22a)の側壁に当接した状態で同溝(22a)に嵌め合わせられ、右の第1ロータ(8)は、この後に、右の内輪部(4b)に左方から挿入されてその内周縁部が第1ロータ嵌め入れ用環状溝(22b)の側壁に当接した状態で同溝(22b)に嵌め合わせられている。
【0030】
第1ロータ(8)同士は、間座(15)を介して圧接させられており、第1ロータ(8)の内周縁部近くに、第2ロータ(18)の間座部(18a)の内端面が圧接させられている。第1ロータ(8)同士の間に介在させられている間座(15)は、第1ロータ(8)の内径に等しい内径を有し、その内径には、左右の内輪部(4a)(4b)の突き合わせ端部に設けられた環状の突起(21c)(22c)が嵌め入れられている断面円弧状の環状凹所(15a)が形成されており、これにより、左右の内輪部(4a)(4b)がばらけることが防止されている。
【0031】
各圧電セラミック(10)は、超音波領域の周波数の交流電圧を印加する電源(図示略)に接続されており、これらの圧電セラミック(10)に超音波領域の周波数の交流電圧を加えると、金属板(9)(19)に進行波型の超音波振動(20kHz以上)が生成され、ロータ(8)(18)がこの超音波振動を駆動源とした回転運動を行い、これにより、ロータ(8)(18)が固定されている内輪(4)が回転する。こうして、軸受(1)に超音波モータ(アクチュエータ)(2)が内蔵された自転型軸受あるいは軸受アクチュエータの構成が得られている。
【0032】
この振動モータ一体型軸受ユニットでは、転がり軸受(1)に予圧が付与されている。ここで、軸受(1)の予圧方向とステータ(7)(17)をロータ(8)(18)に圧接する方向とは同一方向(この実施形態では軸方向)とされている。そして、ステータ(17)に設けられた間座部(19a)、ロータ(18)に設けられた間座部(18a)および別体に設けられた間座(13)(14)(15)の寸法が適正な予圧を得ることができるように調整されている。したがって、軸受(1)の予圧と超音波モータ(2)のステータ(7)(17)およびロータ(8)(18)の圧接とを同時に行うことができる。
【0033】
なお、潤滑手段としては、超音波モータ(2)が乾性摩擦で駆動することを考慮して、グリースを使用する代わりに、樹脂と潤滑成分との混合物が固形化された潤滑剤を使用するか、玉(5)と軌道輪(3)(4)との間に固体潤滑材の特殊コーティングを施すか、保持器(6)に潤滑油を含浸させるかなどが適宜選択される。
【0034】
図3は、この発明による振動モータ一体型軸受ユニットの第2実施形態を示している。上記第1実施形態のものは、内輪回転に適したものであり、この第2実施形態のものは、外輪回転に適したものである。
【0035】
この振動モータ一体型軸受ユニットは、複列の転がり軸受(1)の軸方向中間部分に超音波モータ(2)を一体化したものであり、軸受(1)は、内輪回転型で、例えば、内輪(4)が固定軸に、外輪(3)が回転軸に固定されるようになされている。軸受(1)の左右の内輪部(4a)に設けられたカウンタボア(21)(22)の環状溝の寸法が若干変更されていることを除いて、軸受(1)の外輪(3)、内輪(4)、玉(5)および保持器(6)と、外輪部(3a)(3b)間に介在されている間座(13)とは、第1実施形態と同じとされており、以下では第1実施形態と異なる点のみを説明する。
【0036】
左の内輪部(4a)には、軌道溝の右端に連なって2段の段付き環状溝(21a)(21b)を有するカウンタボア(21)が形成されており、右の内輪部(4b)には、軌道溝の左端に連なって2段の段付き環状溝(22a)(22b)を有するカウンタボア(22)が設けられている。これらの環状溝(21a)(21b)(22a)(22b)のうち、軌道輪に近くて径が大きい方のものがステータ嵌め入れ用環状溝(21a)(22a)とされ、軌道輪に遠い方すなわち各内輪部(4a)(4b)の突き合わせ端部にあって径が小さい方のものが間座嵌め入れ用環状溝(21b)(22b)とされている。左の内輪部(4a)の右端部および右の内輪部(4b)の左端部には、径方向外方に突出する環状の突起(21c)(22c)が設けられている。
【0037】
超音波モータ(2)は、固定輪である内輪(4)に固定された計4つのステータ(27)(37)と、回転輪である外輪(3)に固定されかつ各ステータ(27)(37)に圧接されている計3つのロータ(28)(38)とによって構成されている。
【0038】
この実施形態において、中央近くに配置された2つの第1ステータ(27)と、これの左右方向外側にそれぞれ配置された第2ステータ(37)とは、同じ形状とされている。そして、3つのロータ(28)(38)のうち、中央に配置された第1ロータ(28)は、2つの第1ステータ(27)に左右方向両側から圧接されるようになされた1つのものとされている。第2ロータ(38)は、2つあり、第1ロータ(28)の左右方向外側にそれぞれ配置されて、各第2ステータ(37)に左右方向内側からそれぞれ圧接している。
【0039】
各ステータ(27)(37)は、環状の金属板(弾性体)(29)およびこれの一方の面に貼り付けられた圧電セラミック(10)よりなる。圧電セラミック(10)は、2つのステータ(27)(37)で共通とされており、電圧を加えたときに伸び縮みが交互になるように厚み方向に分極されている。各ステータ(27)(37)の金属板(29)の圧電セラミックス(10)が貼られていない方の面には、櫛歯状の溝(11)(図2参照)が形成されており、各金属板(29)の溝(11)が形成されている面が対応するロータ(28)(38)に圧接されている。各ステータ(27)(37)の金属板(29)の内周縁部と櫛歯状の溝(11)が設けられている部分との間には、環状の薄肉部(29a)が設けられている。
【0040】
2つの第1ステータ(27)は、その櫛歯状の溝(11)同士が第1ロータ(28)を介して対向させられるように、間座(31)を介してその金属板(29)の内周縁部同士が圧接されている。また、各第2ステータ(37)は、その圧電セラミックス(10)が隣にある第1ステータ(27)と同じ方向を向くように、間座(32)を介して第1ステータ(27)の金属板(29)の内周縁部に圧接されている。
【0041】
第1および第2ステータ(27)(37)は、その内径が左右内輪部(4a)(4b)のカウンタボア(21)(22)のステータ嵌め入れ用環状溝(21a)(22a)底径に等しくなされており、第1および第2ステータ(27)(37)とその間に介在させられる間座(32)とを合わせた軸方向の長さは、同溝(21a)(22a)の幅に等しくなされている。左の第2ステータ(37)は、左の内輪部(4a)に右方から挿入されてその内周縁部がステータ嵌め入れ用環状溝(21a)の側壁に当接した状態で同溝(21a)に嵌め合わせられ、左の間座(32)は、この後に、左の内輪部(4a)に右方から挿入されてその左端部が第2ステータ(37)の内周縁部に当接した状態で同溝(21)に嵌め合わせられ、左の第1ステータ(27)は、さらにこの後に、左の内輪部(4a)に右方から挿入されてその内周縁部が間座(32)の右端部に当接した状態で同溝(21)に嵌め合わせられている。同様に、右の第2ステータ(37)は、右の内輪部(4b)に左方から挿入されてその内周縁部がステータ嵌め入れ用環状溝(22a)の側壁に当接した状態で同溝(22a)に嵌め合わせられ、右の間座(32)は、この後に、右の内輪部(4b)に左方から挿入されてその右端部が第2ステータ(37)の内周縁部に当接した状態で同溝(21)に嵌め合わせられ、右の第1ステータ(27)は、さらにこの後に、右の内輪部(4b)に左方から挿入されてその内周縁部が間座(32)の左端部に当接した状態で同溝(22a)に嵌め合わせられている。そして、ステータ(27)(37)および間座(31)(32)は、左から、第2ステータ(37)、間座(32)、第1ステータ(27)、間座(31)、第1ステータ(27)、間座(32)および第2ステータ(37)の順で左右の内輪部(4a)(4b)間に挟持されている。
【0042】
2つの第1ステータ(27)間に配置された中央の間座(31)は、左右内輪部(4a)(4b)のカウンタボア(21)(22)の間座嵌め入れ用環状溝(21b)(22b)底径に等しい内径を有し、その内径には、左右の内輪部(4a)(4b)の突き合わせ端部に設けられた環状の突起(21c)(22c)が嵌め入れられている断面円弧状の凹所(31a)が形成されており、これにより、左右の内輪部(4a)(4b)がばらけることが防止されている。
【0043】
第2ロータ(38)は、穴あき円板の内周縁部に軸方向外方にのびる円筒状の間座部(38a)が一体に設けられた断面L字状に形成されている。第1ロータ(28)は、穴あき円板の内周縁部に軸方向両方(左右)にのびる円筒状の間座部(28a)が一体に設けられた断面T字状に形成されている。第1および第2ロータ(28)(38)は、外輪部(3a)(3b)間に介在されている間座(13)の外径に等しい内径を有している。第1ロータ(28)の幅は、第2ロータ(38)と第1ステータ(27)の圧電セラミック(10)との間にわずかな間隙が形成される幅とされている。第2ロータ(38)、第1ロータ(28)および第2ロータ(38)は、この順で、別体の間座を介することなく、左右の外輪部(3a)(3b)間に挟持されている。
【0044】
第1ロータ(28)の内径には、全周にわたって周方向に等間隔で凹凸(28b)が設けられている。中央の間座(31)には、この凹凸(28b)を臨むように、非接触センサ(33)が設けられている。そして、第1ロータ(28)は、磁性体とされている。非接触センサ(33)は、磁極を有する磁気センサとされており、磁極によって生成される磁束が凹凸(28b)を有する第1ロータ(28)の回転に伴って変化することを検出することができる。これにより、超音波モータ(2)の構成要素であるロータ(28)を利用して、超音波モータ(2)の回転角を求め、回転制御することが可能となる。
【0045】
各圧電セラミック(10)は、超音波領域の周波数の交流電圧を印加する電源(図示略)に接続されており、これらの圧電セラミック(10)に超音波領域の周波数の交流電圧を加えると、金属板(29)に進行波型の超音波振動(20kHz以上)が生成され、ロータ(28)(38)がこの超音波振動を駆動源とした回転運動を行い、これにより、ロータ(28)(38)が固定されている外輪(3)が回転する。こうして、軸受(1)に超音波モータ(アクチュエータ)(2)が内蔵された自転型軸受あるいは軸受アクチュエータの構成が得られている。
【0046】
この振動モータ一体型軸受ユニットでは、転がり軸受(1)に予圧が付与されている。ここで、軸受(1)の予圧方向とステータ(27)(37)をロータ(28)(38)に圧接する方向とは同一方向(この実施形態では軸方向)とされている。そして、ロータ(28)(38)に設けられた間座部(28a)(38a)およびステータ(27)(37)と別体に設けられた間座(31)(32)の寸法が適正な予圧を得ることができるように調整されている。したがって、軸受(1)の予圧と超音波モータ(2)のステータ(27)(37)およびロータ(28)(38)の圧接とを同時に行うことができる。
【0047】
なお、上記において、第1実施形態は内輪回転型、第2実施形態は外輪回転型であるとしたが、それぞれの構成で、ステータ(7)(17)(27)(37)が固定されている方の軌道輪(3)(4)を回転させることも可能である。この場合には、圧電セラミック(10)に接続される電線には、スリップリングを用いるなどの回転に対する処理が施される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の第1実施形態を示す振動モータ一体型軸受ユニットの縦断面図である。
【図2】図1のII-II線に沿う断面図である。
【図3】図3は、この発明の第2実施形態を示す振動モータ一体型軸受ユニットの縦断面図である。
【符号の説明】
(1) アンギュラ玉軸受
(2) 超音波モータ(振動モータ)
(3) 外輪
(4) 内輪
(5) 玉(転動体)
(7)(17)(27)(37) ステータ
(8)(18)(28)(38) ロータ
(11) 櫛歯状の溝
(9a)(19b)(29a) 薄肉部
(33) 非接触センサ
Claims (6)
- 1対の軌道輪およびこれらの間に配置された複列の転動体を有する複列転がり軸受と、一方の軌道輪に設けられた少なくとも1つの振動モータステータと、他方の軌道輪に設けられてステータに圧接されているロータとを備えている振動モータ一体型軸受ユニット。
- 軸受は、アンギュラ玉軸受または円錐ころ軸受であり、軸受に予圧が付与されることによってステータとロータとの圧接状態が得られている請求項1の振動モータ一体型軸受ユニット。
- ステータおよびロータは、複数組設けられるとともに、これらが軌道輪の両端間に収まるようになされている請求項1または2の振動モータ一体型軸受ユニット。
- ロータに、周方向に所定間隔をおいて並ぶ凹凸を有する回転速度検出用リングが一体に設けられており、ステータが設けられている軌道輪に、回転速度検出用リングの凹凸を検知して軸受の回転速度を検出する非接触センサが設けられている請求項1乃至3の振動モータ一体型軸受ユニット。
- ステータの径方向中間部分に、内周縁部および外周縁部よりも厚みが小さい環状の薄肉部が設けられている請求項1乃至4の振動モータ一体型軸受ユニット。
- 複列転がり軸受は、1対の単列軸受が内輪端面を突き合わせて形成されたもので、突き合わせ部分の内輪外周に配置される間座の内径に、環状の凹所が設けられ、各単列軸受の内輪の突き合わせ端部外径に、この凹所に嵌め入れられる環状の突起が設けられている請求項1乃至5の振動モータ一体型軸受ユニット。
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