JP4074834B2 - シフトレバー回動軸受装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は互いに直交する2方向に回動可能とされた車両用シフトレバーの回動軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
互いに直交する2方向に回動可能とされたシフトレバーの回動軸受装置には、(i)特開2000−291790号公報に開示される球面座からなる全方向回動方式の装置と、(ii)特開平9−99750号公報に開示されるX方向回動方式とY方向回動方式からなる2方向回動方式の装置とがある。
(i)全方向回動方式の装置には、シフトレバーのレバー軸芯まわりの回転を止める回転止めが設けられる。
(ii)2方向回動方式の装置は、シフトレバー下端部のコ字状部をシャフトにまたがせ、コ字状部とシャフトに設けた穴の軸芯を合わせた状態でピンをコ字状部とシャフトの穴に挿通している。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−291790号公報
【特許文献2】
特開平9−99750号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の回動軸受装置には、つぎの問題点がある。
(i)全方向回動方式
シフトレバーのX、Y方向の回動を許しながらシフトレバーのレバー軸芯まわりの回転を止めなければならない。そのため、シフトレバー回動軸受の機構が複雑で、シフトレバー回動軸受装置の大型化をまねくおそれがある。
(ii)2方向回動方式
シフトレバーのレバー軸芯まわりの回転止めが不要であるという利点があるが、コ字状部とシャフトの穴の軸芯を合わせた状態でピンをコ字状部とシャフトの穴に挿通するので、回動軸受装置のベースへの組付けが困難である。
本発明の目的は、シフトレバーのレバー軸芯まわりの回転止めが不要であり、組付容易なシフトレバー回動軸受装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) シフトレバーを中間部材で挟み込むとともに該中間部材に対してX方向に回動可能に支持するX方向回動軸受け部と、
前記中間部材をベースに対して前記X方向と直交するY方向に回動可能に支持するY方向回動軸受け部と、
を有し、
前記X方向回動軸受部は、前記ベースに設けられる単一の円筒形状部内に配置されており、
前記中間部材が、前記円筒形状部内に配置され前記シフトレバーを前記X方向の両側から挟み込む互いに別体の一対の部材からなり、
前記シフトレバーは、シフトレバーとともに動くレバー支持部を備えており、
前記X方向回動軸受部は、X方向のみの回動を許す、前記シフトレバーのレバー支持部の前記X方向の両側面に設けられる円筒面の被軸受面と、前記一対の中間部材の、前記ベースの前記円筒形状部の前記X方向中央側面に設けられる円筒面の軸受面と、からなり、
前記Y方向回動軸受部は、Y方向のみの回動を許す、前記中間部材の外周面に設けられる円筒面の被軸受面と、前記ベースの前記円筒形状部の内周面に設けられる円筒面の軸受面と、からなる、
シフトレバー回動軸受装置。
【0006】
上記(1)のシフトレバー回動軸受装置では、シフトレバーを中間部材に対してX方向に回動可能に支持するX方向回動軸受部と、中間部材をベースに対してY方向に回動可能に支持するY方向回動軸受け部とが設けられているので、シフトレバーがレバー軸芯まわりに回転することはない。
また、シフトレバーを中間部材で挟み込むので、従来の2方向回動方式の装置(従来(ii))のように穴の軸芯を合わせてピンを差し込む必要はない。そのため、従来の(ii)の2方向回動方式の装置に比べて、シフトレバー回動軸受装置のベースへの組付けが容易である。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1〜図4は、本発明実施例1のシフトレバー回動軸受装置を有するシフトレバー装置を示しており、図5は、本発明実施例2のシフトレバー回動軸受装置を有するシフトレバー装置を示している。
本発明実施例1と本発明実施例2にわたって共通する部分には、本発明実施例1と本発明実施例2にわたって共通する符号を付してある。
まず、本発明実施例1と本発明実施例2にわたって共通する部分を、図1〜図5を参照して、説明する。
本発明実施例のシフトレバー回動軸受装置(以下、単に回動軸受装置という)を有するシフトレバー装置は、シフトレバーが車両前後・左右方向に移動可能であって分岐のないシフトパターンを有するゲート式のシフトレバー装置であってもよく、十字形のシフトパターンを有するジョイスティックタイプのシフトレバー装置であってもよい。また、シフトレバー装置は、M位置、+位置、−位置を有するシーケンシャルモードを備えたシフトレバー装置であってもよい。
【0008】
回動軸受装置10は、図1に示すように、シフトレバー30を中間部材40で挟み込むとともに中間部材40に対してX方向(たとえば、車両左右方向)に回動可能に支持するX方向回動軸受部50と、中間部材40をベース20に対してX方向と直交するY方向(たとえば、車両前後方向)に回動可能に支持するY方向回動軸受部60とを、有する。
【0009】
ベース20は、円筒形状部21を有する。円筒形状部21は、ベース20の上端部に設けられている。ベース20の上端部とは、ベース20を上下方向に3分割したときに一番上に位置する部分である。円筒形状部21の軸芯Pは、X方向に延びている。円筒形状部21のX方向両端は、X方向に開放している。円筒形状部21のX方向中間部には、上端部と下端部にシフトレバー30挿通用穴21a、21bが設けられている。円筒形状部21は、ベース20と一体に形成されていてもよく、ベース20と別体に形成されてベース20に固定して取付けられていてもよい(図示例では、円筒形状部21がベース20と一体に形成される場合を示している)。
【0010】
シフトレバー30の軸芯Qは、上下方向に延びている。シフトレバー30は、ノブ31と、レバー支持部32とを、有する。
ノブ31は、図2に示すように、シフトレバー30の上端部に取付けられる。ノブ31は、シフトレバー30とともに動く。
レバー支持部32は、シフトレバー30の長手方向中間部に設けられる。レバー支持部32は、シフトレバー30とともに動く。レバー支持部32は、円筒形状部21内に位置する。レバー支持部32は、図1に示すように、円筒形状部21のX方向中央部またはその近傍に位置する。
【0011】
中間部材40は、レバー支持部32を、X方向の両側から挟み込む、互いに別体の一対の部材からなる。中間部材40は、図1に示すように、円筒形状部21内に位置する。中間部材40は、抜け止めピン41により、円筒形状部21から抜けることを防止されている。抜け止めピン41は、円筒形状部21のX方向両端部に設けられる抜け止めピン挿通用穴21cに、差し込まれている。抜け止めピン41は、たとえばスプリングピンからなる。
【0012】
X方向回動軸受部50は、シフトレバー30を中間部材40に対してX方向のみに回動可能に支持する。
X方向回動軸受部50は、被軸受面51と、軸受面52とを、有する。
被軸受面51は、レバー支持部32のX方向の両側面に設けられる。被軸受面51は、球面または円筒面である。
軸受面52は、中間部材40の、円筒形状部21のX方向中央側面に設けられている。軸受面52は、被軸受面51に面接触している。軸受面52は、図1〜図4に示すように、被軸受面51が球面である場合球面であり、図5に示すように、被軸受面51が円筒面である場合円筒面である。
X方向回動軸受部50は、被軸受面51と軸受面52が球面である場合、シフトレバー30の中間部材40に対するX方向の回動を許してY方向の回動を防止するY方向回動ストッパ53を、さらに有する。
【0013】
Y方向回動軸受部60は、中間部材40を円筒形状部21に対してY方向のみに回動可能に支持する。Y方向回動軸受部60は、被軸受面61と、軸受面62とを、有する。
被軸受面61は、中間部材40の外周面に設けられる。被軸受面61は、円筒面である。
軸受面62は、円筒形状部21の内周面に設けられる。軸受面62は、円筒面である。軸受面62は、被軸受面61に面接触している。
【0014】
ここで、本発明実施例1と本発明実施例2に共通する作用を説明する。
シフトレバー30を中間部材40に対してX方向に回動可能に支持するX方向回動軸受部50と、中間部材40をベース20に対してY方向に回動可能に支持するY方向回動軸受け部60とが設けられているので(2方向に限定した回動方式をとっているので)、シフトレバー30がレバー軸芯Qまわりに回転することはない。
【0015】
また、シフトレバー30を中間部材40で挟み込むので、従来の(ii)の回動軸受装置のように穴の軸芯を合わせてピンを差し込む必要はない。そのため、従来の(ii)の回動軸受装置に比べて、回動軸受装置10のベース20への組付けが容易である。その結果、回動軸受装置10をベース20内のどこに配置しても組付けが可能となり、回動軸受装置10のベース20内での配置の自由度が高い。したがって、シフトレバー装置のコンパクト化をはかることができる。また、回動軸受装置10のベース20内での配置の自由度が高いので、回動軸受装置10をベース20の上端部に配置することができ、その場合シフトレバー30の移動経路を定める溝の形状が小さくて済み、シフトレバー装置のゲート開口および意匠面を小さくできる。
【0016】
つぎに、本発明各実施例に特有な部分を説明する。
本発明実施例1では、図1〜図4に示すように、X方向回動軸受部50の被軸受面51と軸受面52が球面であり、X方向回動軸受部50がY方向回動ストッパ53を有する。
Y方向回動ストッパ部53は、図3に示すように、被軸受面51と軸受面52の一方に設けられるリブ53aと、被軸受面51と軸受面52の他方に設けられるリブ受け53bからなる(図示例では、リブ53aが軸受面52に設けられ、リブ受け53bが被軸受面51に設けられる場合を示している)。以下、本発明実施例1では、リブ53aが軸受面52に設けられ、リブ受け53bが被軸受面51に設けられる場合を例にとって説明する。
リブ53aは、レバー軸芯Qと同方向に延びている。
リブ受け53bは、リブ53aが入り込む溝であってもよく、リブ53aをY方向の両側から挟み込むリブであってもよい(図示例では、リブ受け53bが溝である場合を示している)。リブ受け53bは、レバー軸芯Qと同方向に延びている。
【0017】
本発明実施例1に特有な作動・作用を説明する。
a)シフトレバー30をX方向に回動させるときを説明する。
リブ53aはリブ受け53b内でリブ受け53bの延び方向に移動するだけであり、中間部材40は円筒形状部21に対して動かない(回動しない)。
b)シフトレバー30をY方向に回動させるときを説明する。
リブ53aがリブ受け53b内に入り込んでいるので、中間部材40がシフトレバー30ともに円筒形状部21内でベース20に対して軸芯Pまわりに回動する。
c)シフトレバー30をレバー軸芯Qまわりに回転させようとするときを説明する。
リブ53aがリブ受け53b内に入り込んでいるので、中間部材40もレバー軸芯Qまわりに回転しようとする。しかし、Y方向回動軸受部60がY方向のみの回動を許す円筒面の被軸受面61と軸受面62からなるので、中間部材40はレバー軸芯Qまわりにベース20に対して回転しない。その結果、シフトレバー30はレバー軸芯Qまわりに回転しない。
【0018】
本発明実施例2では、図5に示すように、X方向回動軸受部50の被軸受面51と軸受面52がX方向のみの回動を許す円筒面である。
本発明実施例2に特有な作動・作用を説明する。
a)シフトレバー30をX方向に回動させるときを説明する。
被軸受面51が軸受面52に沿って摺動する。中間部材40は、ベース20に対して動かない(回動しない)。
b)シフトレバー30をY方向に回動させるときを説明する。
被軸受面51と軸受面52がX方向のみの回動を許す円筒面であるので、中間部材40がシフトレバー30とともに軸芯Pまわりにベース20に対して回動する。
c)シフトレバー30をレバー軸芯Qまわりに回転させようとするときを説明する。
被軸受面51と軸受面52が円筒面であるので、中間部材40もレバー軸芯Qまわりに回転しようとする。しかし、Y方向回動軸受部60がY方向のみの回動を許す円筒面の被軸受面61と軸受面62からなるので、中間部材40はレバー軸芯Qまわりにベース20に対して回転しない。その結果、シフトレバー30はレバー軸芯Qまわりに回転しない。
【0019】
【発明の効果】
請求項1記載のシフトレバー回動軸受装置によれば、シフトレバーを中間部材に対してX方向に回動可能に支持するX方向回動軸受部と、中間部材をベースに対してY方向に回動可能に支持するY方向回動軸受け部とが設けられているので、シフトレバーがレバー軸芯まわりに回転することはない。
また、シフトレバーを中間部材で挟み込むので、従来の(ii)のシフトレバー回動軸受装置のように穴の軸芯を合わせてピンを差し込む必要はない。そのため、従来の(ii)のシフトレバー回動軸受装置に比べて、シフトレバー回動軸受装置のベースへの組付けが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例1のシフトレバー回動軸受装置を有するシフトレバー装置の、ノブを略した断面図である。
【図2】本発明実施例1のシフトレバー回動軸受装置を有するシフトレバー装置の、図1と直交する方向から見たときの断面図である。
【図3】本発明実施例1のシフトレバー回動軸受装置を有するシフトレバー装置の、ノブを略した平面図である。
【図4】本発明実施例1のシフトレバー回動軸受装置とその近傍を示す概略斜視図である。
【図5】本発明実施例2のシフトレバー回動軸受装置とその近傍を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
10 回動軸受装置
20 ベース
21 円筒形状部
30 シフトレバー
32 レバー支持部
40 中間部材
50 X方向回動軸受部
51 シフトレバーの被軸受面
52 中間部材の軸受面
53 Y方向回動ストッパ
60 Y方向回動軸受部
61 中間部材の被軸受面
62 円筒形状部の軸受面
P 円筒形状部の軸芯
Q レバー軸芯

Claims (1)

  1. シフトレバーを中間部材で挟み込むとともに該中間部材に対してX方向に回動可能に支持するX方向回動軸受け部と、
    前記中間部材をベースに対して前記X方向と直交するY方向に回動可能に支持するY方向回動軸受け部と、
    を有し、
    前記X方向回動軸受部は、前記ベースに設けられる単一の円筒形状部内に配置されており、
    前記中間部材が、前記円筒形状部内に配置され前記シフトレバーを前記X方向の両側から挟み込む互いに別体の一対の部材からなり、
    前記シフトレバーは、シフトレバーとともに動くレバー支持部を備えており、
    前記X方向回動軸受部は、X方向のみの回動を許す、前記シフトレバーのレバー支持部の前記X方向の両側面に設けられる円筒面の被軸受面と、前記一対の中間部材の、前記ベースの前記円筒形状部の前記X方向中央側面に設けられる円筒面の軸受面と、からなり、
    前記Y方向回動軸受部は、Y方向のみの回動を許す、前記中間部材の外周面に設けられる円筒面の被軸受面と、前記ベースの前記円筒形状部の内周面に設けられる円筒面の軸受面と、からなる、
    シフトレバー回動軸受装置。
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