JP4074753B2 - 液圧成形装置の型締め装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バルジ成形装置、ハイドロフォーム装置等の液圧成形装置に用いられる型締め装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記のような液圧成形装置は、金属管等の成形素材を成形金型内に装入し、成形素材の内部に数百MPaの高い液圧を加えて塑性変形を生じさせ、所定の形状に成形する装置である。このとき成形金型は内圧により押し広げられようとするため、型締めが必要となる。このための型締め装置として、従来は油圧プレス装置のような巨大なシリンダが用いられてきた。
【0003】
この従来のシリンダは、図6に示すようにピストン1を挟んで押側圧力室2と引側圧力室3とを設けたものであって、型締め時には押側注入口4から押側圧力室2に加圧オイルのような作動流体を供給することによりロッド5を前進させ、成形後は引側注入口6から引側圧力室3に作動流体を供給することによりロッド5を待機位置まで復帰させる複動型のものである。
【0004】
ところが上記のような従来の型締め装置には、次のような問題があった。
1.巨大なシリンダを用いているための装置全体が大型化し、場所を取るうえに高価な設備となる。
2.シリンダ内に大量の作動流体を供給・排出する必要があるために迅速に動作させることが難しく、成形のサイクルタイムが長くなる。
3.図示のようにピストンシール7のほかにロッドシール8が必要で、メンテナンスに手数がかかる。
4.坐屈を避けるためにロッド5を太くしなければならず、可動部質量が増加する。
5.ラム(ピストン1、ロッド5)に横方向の外力が加わり傾斜すると(製品形状によっては型締め力が場所によりばらつくため、ラムに横方向の外力が加わることがある)円滑な作動ができなくなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来の問題点を解決して、装置サイズが小型で迅速な型締め動作が可能であり、構造が簡単でメンテナンスの手数も少なく、可動部質量が小さく、またラムの傾斜に対する許容度も大きい液圧成形装置の型締め装置を提供するためになされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、液圧成形用の成形金型が挿入される鋼板積層構造のC型の型締めフレームの内部下面に、上面が開口した偏平な有底筒状のケースの内部に、周囲にシールを設けた偏平なラムを、型締め反力によるC型の型締めフレームの弾性変形に応じて傾斜可能に装入した構造の荷重戻し形シリンダを複数個配置し、各荷重戻し形シリンダは加圧された作動流体を供給したときに成形金型を押し上げて型締めを行い、圧力開放時にはラムの自重及び成形金型の重量により原位置に戻されるものであり、かつ前記荷重戻し形シリンダの偏平なケースと偏平なラムとは、型締めによりラムが傾いた状態においてもシールのみによって接する構造のものであることを特徴とするものである。
【0007】
なお、荷重戻し形シリンダのラムを、型締めフレームの弾性変形に応じて傾斜可能とすることが好ましく、その場合には複数個の荷重戻し形シリンダを、共通のケースに複数のラムを分割配置したものとすることができる。また作動流体の供給孔を、荷重方向投影面の中央部に設けた構造とすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をその実施の形態とともに更に詳細に説明する。
参考例である図1に示すように、本発明の液圧成形装置の型締め装置は型締めフレーム10の内部下面に、荷重戻し形シリンダ11を配置したものである。型締めフレーム10は例えば鋼板積層構造として十分な剛性を持たせ、その内部に液圧成形用の成形金型12を挿入できるものである。型締めフレーム10はC型である。成形金型12と型締めフレーム10との間隙は小さいため、荷重戻し形シリンダ11は偏平でショートストロークのものでよい。
【0009】
この荷重戻し形シリンダ11は、上面が開口した偏平な有底筒状のケース13の内部に偏平なラム14を装入したものであり、ラム14の周囲に設けたシール15によりケース13の内面との間はシールされている。ラム14の下部は圧力室16であり、ケース13の下部に形成された作動流体の供給孔17から加圧オイルなどの作動流体が供給されるとラム14は上方に移動し、作動流体が排出されるとラム14(及び成形金型12)の重量によってラム14は下方に戻される構造となっている。
【0010】
このため、予め成形素材が装入された成形金型12をラム14が下げられた状態でC型の型締めフレーム10の内部に挿入したうえ、作動流体を圧力室16に供給すれば、ラム14は押し上げられて成形金型12の型締めが行われる。この状態で従来と同様に成形金型12の内部に液圧が加えられ液圧成形が行われるが、その間の成形金型12の型開きは、荷重戻し形シリンダ11により確実に防止される。成形完了後は、荷重戻し形シリンダ11の圧力室16の圧力を開放すると、ラム14はラム14の自重及び成形金型12の重量により下降し、原位置に戻される。
【0011】
このような荷重戻し形シリンダ11は、従来の複動型のシリンダとは異なり引き側の圧力室が不要であり、また押出し側のシール(ロッドシール)及びラムの引き側のシールも不要である。従って背を低くしたコンパクトな構造とすることができる。なお、成形金型12をC型の型締めフレーム10に挿入したうえ型締めするため、荷重戻し形シリンダ11はショートストロークのものでよく、迅速な成形速度を達成することができる。
【0012】
しかもこのような荷重戻し形シリンダ11は全体が偏平で坐屈の恐れがなく、外径が同一であっても従来の複動型のシリンダよりも大出力を出すことができ、さらに戻し側を省略できるので駆動回路を単純化することができる。また、ケース13とラム14とはシール15のみによって接しているため、ラム14が多少傾いても支障なく作動することができる。このためC型の型締めフレーム10が型締め反力により口を開くように弾性変形し、ラム14の上面が多少傾斜した場合にも、荷重戻し形シリンダ11の動作に支障は生じない。
【0013】
なお、成形金型12が小型の場合には荷重戻し形シリンダ11は単一であってもよいが、成形品が長い場合には成形金型12も大型になるため、図2に示すように複数個の荷重戻し形シリンダ11を型締めフレーム10の内部下面に配置した構造とすることが好ましい。このような構造とすれば、大きい型締め荷重を各荷重戻し形シリンダ11に最適に分配することができ、例えば成形品の断面積が中央部で大きく両端部で小さいような場合には、断面積の大きい中央部分には大径の荷重戻し形シリンダ11を配置するようなこともできる。
【0014】
また、図2において型締め反力によって型締めフレーム10の中央部が両端部よりも持ち上げられるように弾性変形する場合があるが、そのような場合にも前記したとおり各荷重戻し形シリンダ11は傾きを許容できる。このため、型締めフレーム10や成形金型12の剛性をさほど高めなくともよい。
【0015】
このように複数個の荷重戻し形シリンダ11を型締めフレーム10の内部下面に配置する場合、上記のように荷重に応じてサイズの異なる荷重戻し形シリンダ11を配置してもよいが、全部を同一サイズとしておけば、シール等の消耗品が統一でき、メンテナンスが容易となる。
【0016】
さらに図3に示すように、共通のケース13に複数のラム14を分割配置することにより、複数個の荷重戻し形シリンダ11を構成することもできる。この場合には共通のケース13内に作動流体用の配管19を収納することができ、設備のコンパクト化を図ることができる。
【0017】
なお、各荷重戻し形シリンダ11の圧力室への作動流体の供給孔17は、図1に示したようにケース13の下部側壁に形成するのが普通である。しかしこの部分は圧力室16の側面と底面とをつなぐ応力集中部であるため、この部分に貫通孔を形成することは更に応力集中を高めるおそれがある。従って、図4に示すように作動流体の供給孔17を、ケース13の荷重方向投影面の中央部に設けるようにすれば応力集中が緩和され、ケース13に高強度素材を用いなくともよいようになる。
【0018】
図5は、複数個の荷重戻し形シリンダ11に対してケース13の荷重方向投影面の中央部に作動流体の供給孔17を設けた例を示している。この例では共通ベース18上に複数のケース13を配置し、配管19は共通ベース18内に収納されている。
【0019】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の液圧成形装置の型締め装置は、C型の型締めフレームの内部下面に荷重戻し形シリンダを配置し、作動流体を供給したときに型締めを行い、圧力開放時にはラムの自重及び成形金型の重量により原位置に戻るようにしたものである。この結果、従来のような巨大なシリンダが不要となって装置を小型化でき、迅速動作が可能となって成形のサイクルタイムを短縮できる。また、荷重戻し形シリンダを用いたため構造が簡単となってメンテナンスに手数がかからず、シリンダの可動部質量が減少できる。さらにラムに横方向の外力が加わり傾斜しても円滑に作動させることができるので、C型の型締めフレームが型締め反力により口を開くように弾性変形した場合にも耐えることができるなどの多くの利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例を示す側面図及び荷重戻し形シリンダ部分の拡大断面図である。
【図2】複数の荷重戻し形シリンダを配置した実施形態を示す正面図である。
【図3】請求項3の発明の実施形態を示す要部の断面図である。
【図4】請求項4の発明の実施形態を示す要部の断面図である。
【図5】請求項4の発明の他の実施形態を示す要部の断面図である。
【図6】従来の型締め装置の概念図である。
【符号の説明】
1 ピストン
2 押側圧力室
3 引側圧力室
4 押側注入口
5 ロッド
6 引側注入口
7 ピストンシール
8 ロッドシール
10 型締めフレーム
11 荷重戻し形シリンダ
12 成形金型
13 ケース
14 ラム
15 シール
16 圧力室
17 作動流体の供給孔
18 共通ベース
19 配管

Claims (3)

  1. 液圧成形用の成形金型が挿入される鋼板積層構造のC型の型締めフレームの内部下面に、上面が開口した偏平な有底筒状のケースの内部に、周囲にシールを設けた偏平なラムを、型締め反力によるC型の型締めフレームの弾性変形に応じて傾斜可能に装入した構造の荷重戻し形シリンダを複数個配置し、各荷重戻し形シリンダは加圧された作動流体を供給したときに成形金型を押し上げて型締めを行い、圧力開放時にはラムの自重及び成形金型の重量により原位置に戻されるものであり、かつ前記荷重戻し形シリンダの偏平なケースと偏平なラムとは、型締めによりラムが傾いた状態においてもシールのみによって接する構造のものであることを特徴とする液圧成形装置の型締め装置。
  2. 複数個の荷重戻し形シリンダが、共通のケースに複数のラムを分割配置したものである請求項1記載の液圧成形装置の型締め装置。
  3. 作動流体の供給孔を、荷重方向投影面の中央部に設けた請求項1〜2のいずれかに記載の液圧成形装置の型締め装置。
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