JP4074436B2 - ポリマー電解質および非水系二次電池用ポリマー電解質シート - Google Patents

ポリマー電解質および非水系二次電池用ポリマー電解質シート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水系二次電池等の電気化学デバイスに好適に用いることができる機械的強度、イオン伝導性および電解液保持性に優れたポリマー電解質に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ノートパソコン、携帯電話、ビデオカメラ等の各種情報端末機器の急激な小型化、軽量化、薄型化とそれらの普及に伴い、また、電気自動車の早期実用化を目指して、それらの電源として高エネルギー密度の二次電池の要求が高まっている。特に、非水電解質を使用したリチウムイオン二次電池は、作動電圧が3V以上であり、従来の水溶液電解液を使用した電池の数倍のエネルギー密度を有しているため大きな期待を集めている電池であり、既に実用化されている。
【0003】
このリチウムイオン二次電池は、一般に、後述する正極と、同じく後述する負極の間に電気絶縁性と保液性を備えたセパレータを介装してなる電極群を、負極端子も兼ねる電池缶の中に所定の非水電解液と一緒に収容し、前記電池缶の開口部を、正極端子を備えた封口板で絶縁性のガスケットを介して密閉した構造になっている。
【0004】
ところで、この非水電解液を使用したリチウムイオン二次電池においては、有機電解液を使用しているために電解液が漏れやすいという欠点を有しており、電池の密閉方法等、その製造方法が複雑であった。さらに揮発性有機溶媒が使用されるため過充電時に発火する危険性があり、安全性の点で他の電池よりも不利であり、自動車用途等には使用が制限されていた。一方、さらなる高エネルギー密度化と充放電サイクル寿命の長期化の要望も強まっている。
【0005】
これらの要求に対応すべく、電解液の流動性を抑制するために、上記の非水電解液をポリマー基材に含有させたポリマー電解質を用いた電池が開発され、注目を集めている。このようなポリマー電解質電池におけるポリマー電解質として、一般に、LiPF6 等のリチウム塩の溶質をポリエチレンオキシドやポリフッ化ビニリデン等のポリマー電解質基材に含有させたもの、或いは上記の溶質を炭酸エステル等の有機溶媒に溶解させた非水電解液を上記のポリマー電解質基材に含浸させたものが用いられている。しかしながら、ポリマー電解質基材として、ポリエチレンオキシドまたはポリフッ化ビニリデン等を使用すると、ポリマー電解質の薄膜化が可能ではあるが、機械的強度が劣るため、このポリマー電解質を用いて非水系二次電池を作製した場合、ポリマー電解質が破れて短絡してしまうという問題があった。
【0006】
一方、最近ではイオン伝導度を向上させる目的で、ポリマー電解質基材を多孔性構造として、その孔の中に炭酸エステル等の有機溶媒に溶解させた非水電解液を含有保持させる等の工夫がなされている。これにより、イオン伝導度が高く、高率放電が可能で、大容量化の電池に適したポリマー電解質を得ることができる。このような有孔性ポリマー電解質膜を使用した電池では、さらに電解質膜を薄くすればそれだけ電解質の電導度が高くなるため、できるだけ薄い電解質膜を使用することが好ましいが、薄膜化によって機械的強度が低下するという問題があった。つまり、イオン伝導度の向上と機械的強度の向上の両立が困難であった。
【0007】
そこで、近年においては、特開平11−185773号公報に示されるように、ポリマー電解質基材中に無機酸化物等のフィラーを添加して、ポリマー電解質の機械的強度を向上させたものが提案されている。しかしながら、この方法では依然として機械的強度が充分ではなく、そのさらなる向上が求められている。
【0008】
さらに、特開2000−182672号公報では、有孔性固体高分子電解質膜中にガラス転移温度が200℃以上の耐熱性高分子化合物を含有させることにより、機械的強度を向上させたものが提案されている。しかしながら、この方法においても充分な機械的強度が得られるとは言い難い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、正極と、負極と、ポリマー電解質とを備えた非水系二次電池における上記のような問題点を解決することにある。本発明の他の目的は、イオン伝導度等のポリマー電解質の機能を低下させることなく、機械的強度を向上させたポリマー電解質を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、取り扱い性に優れるため生産性がよく、使用中のポリマー電解質膜の破損が抑制されると共に、充放電時の劣化が防止された二次電池を得るためのポリマー電解質シートを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリマー電解質は、ポリマー電解質基材中に電解液が保持されてなるものであって、該ポリマー電解質基材が、少なくとも、イオン伝導性高分子化合物(A)と、2個以上の反応性官能基を有する芳香族高分子化合物(B)とから形成されたものであり、そして該芳香族高分子化合物(B)が、フェノール性水酸基を有する芳香族ポリアミド樹脂であり、かつ、単独で、または該芳香族高分子化合物(B)の有する反応性官能基と反応可能な官能基を有する化合物(C)によって架橋構造が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明のポリマー電解質において、上記ポリマー電解質基材における上記芳香族高分子化合物(B)の含有量は、1〜40重量%であることが好ましい。
また、上記芳香族高分子化合物(B)は、末端アミノアリール基のオルト位に少なくとも1個のアルキル基を有する芳香族ジアミン化合物とフェノール性水酸基を有するジカルボン酸とを構成単位として有する下記一般式(1)で示される繰り返し構造単位5〜100モル%と、末端アミノアリール基のオルト位に少なくとも1個のアルキル基を有する芳香族ジアミン化合物と、ジカルボン酸とを構成単位として有する下記一般式(2)で示される繰り返し構造単位0〜95モル%とが、不規則に結合してなるフェノール性水酸基を有する芳香族ポリアミド樹脂であることが好ましい。
【0012】
【化2】
Figure 0004074436
(式中、Arは2価の芳香族基を表し、R及びR1 はそれぞれHまたは炭素数1〜4のアルキル基を表し、ただし同時にHであることはなく、R2 はフッ素原子で置換されてもよい炭素数1〜3のアルキレン基を表し、nは1または2を示す。)
また、本発明のポリマー電解質において、上記架橋構造の形成に使用される化合物(C)は、イソシアネート化合物またはエポキシ化合物であることが好ましい。
【0013】
さらにまた、本発明のポリマー電解質は、ポリマー電解質基材の空隙率が30〜90%の多孔性構造であることが好ましい。
本発明の非水系二次電池用ポリマー電解質シートは、上記のポリマー電解質よりなることを特徴とする。
【0014】
本発明の上記のポリマー電解質は、その機械的強度が向上されたものとなる。その理由は定かではないが、高い機械的強度を有する剛直な分子鎖を持つ芳香族高分子化合物が均一に分散され、一部に化合物(B)が結晶体を形成するために、高い機械的強度を発現するものと思われる。また、化合物(B)の有する反応性官能基により架橋構造を形成して、相互侵入網目構造(IPN)を形成することにより、ポリマー電解質の機械的強度が飛躍的に向上するものとなる。したがって、本発明のポリマー電解質は、有機フィラーとして粉状または塊状または繊維状でガラス転移温度が200℃以上の耐熱性高分子化合物を含有させた従来の有孔性固体高分子電解質膜(特開2000−182672号公報)とは、その構成が本質的に異なるものである。さらにまた、本発明のポリマー電解質を非水系二次電池に用いることにより、使用中のポリマー電解質膜の破損が抑制され、充放電時の劣化が防止され、安全性の向上が可能となる。また、これにより充放電の繰り返しに対する安定性にも優れたものとなるため、サイクル寿命に優れた非水系二次電池を得ることが可能になる。
【0015】
また、本発明のポリマー電解質は、機械的強度が向上されるばかりでなく、イオン導電性高分子化合物の持つイオン伝導性を阻害することがなく、また、電解液を保持した時の電解液保持性を阻害することがない。つまり、非水系二次電池に本発明のポリマー電解質を用いた場合、容量特性に優れた非水系二次電池を得ることができる。その理由は定かではないが、IPN構造を形成したポリマー電解質中において、化合物(B)が分子レベルで均一分散していること、また、イオン伝導性高分子化合物(A)とマトリックスとなる化合物(B)の架橋構造との間には化学的な結合を有していないために化合物(A)のセグメント運動の阻害が少ないことが理由と考えられる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のポリマー電解質の実施の形態について詳記する。
本発明のポリマー電解質は、少なくとも、イオン伝導性高分子化合物(A)とフェノール性水酸基を有する芳香族ポリアミド樹脂よりなる2個以上の反応性官能基を有する芳香族高分子化合物(B)を含み、化合物(B)が熱または電磁波によって反応し、架橋構造が形成されたものである。本発明においてイオン伝導性高分子化合物(A)とは、室温で10−11S・cm−1以上のイオン伝導度を有する高分子化合物である。このようなイオン伝導性高分子化合物は公知であって、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン、ポリスチレンおよびポリイソプレン等のイオン伝導性高分子およびこれらの誘導体、上記高分子を構成する各種モノマーを共重合させた高分子化合物、例えばフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体が挙げられる。これらのイオン伝導性高分子化合物は、単独で用いてもよく、また2種以上混合して用いてもよい。これらの高分子化合物の中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニルおよびポリアクリロニトリルを用いた場合に、特に優れた特性を示すので好ましい。その理由は、有機電解液に対するポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニルおよびポリアクリロニトリルの膨潤性が、他の高分子化合物よりも高いためである。
【0017】
本発明において、フェノール性水酸基を有する芳香族ポリアミド樹脂よりなる2個以上の反応性官能基を有する芳香族高分子化合物(B)は、その耐熱性に特に制限はないが、より良好な耐熱性を有するものが好ましい。一般に、芳香族高分子化合物は耐熱性を有しているが、本発明においても、より高い安全性を得るためには、ガラス転移温度が高い芳香族高分子化合物が好ましく、特に200℃以上のガラス転移温度を有する芳香族高分子化合物が好ましい。また、本発明において、芳香族高分子化合物(B)は2個以上の反応性官能基を有しており、電解質シート等を形成する段階において、加熱または電磁波によって架橋構造を形成することができる。
【0019】
本発明において、芳香族高分子化合物(B)としては、機械的強度が高く、反応性官能基の数が容易に制御でき、反応性に富み、耐熱性が高く、溶媒に対する溶解性が良好な理由から、フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂が使用される。フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂は、電解液との親和性が良好でもあるために電解液保持性を向上させ、さらにはイオン伝導性の優れたポリマー電解質を得ることができる。
【0020】
フェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂は、フェノール性水酸基を有する芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとの重縮合により合成することができる。フェノール性水酸基を有する芳香族ジカルボン酸としては、例えば、5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、2−ヒドロキシイソフタル酸、2−ヒドロキシテレフタル酸、2,3−ジヒドロキシテレフタル酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、およびその誘導体が挙げられる。これらの単量体は単独で使用してもよいし、複数種類を混合して使用してもよい。また、フェノール性水酸基を有する芳香族ジカルボン酸に対して95モル%以下の範囲でフェノール性水酸基を含有しない芳香族ジカルボン酸を併用することもできる。併用するフェノール性水酸基を含有しない芳香族ジカルボン酸の配合量が95モル%を超えると、ポリアミド樹脂とエポキシ樹脂との架橋密度が低くなるため、硬化物の強度の向上効果が得られない。併用することができる芳香族ジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、3,3′−メチレン二安息香酸、4,4′−メチレン二安息香酸、4,4′−オキシ二安息香酸、4,4′−チオ二安息香酸、3,3′−カルボニル二安息香酸、4,4′−カルボニル二安息香酸、4,4′−スルホニル二安息香酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、フェニルマロン酸、ベンジルマロン酸、フェニルスクシン酸、フェニルグルタル酸、ホモフタル酸、1,3−フェニレン二酢酸、1,4−フェニレン二酢酸、4−カルボキシフェニル酢酸、5−ブロモ−N−(カルボメチル)アントラニル酸、3,3′−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、3,3′−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸、3,4−ジカルボキシベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
【0021】
また、芳香族ジアミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−トリレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3′−ジエトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ベンジジン、3,3′−ジメチルベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、3,3′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジアミノビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3−ビス(m−アミノフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(4−アミノフェニルメルカプト)ベンゾフェノン、2,2′−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2′−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2′−ビス[4−(2−トリフルオロメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2′−ビス[4−(2−トリフルオロメチル−5−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2′−ビス[4−(3−トリフルオロメチル−4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2′−ビス[4−(3−トリフルオロメチル−5−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2′−ビス[4−(4−トリフルオロメチル−5−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2′−ビス[4−(2−ノナフルオロブチル−5−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2′−ビス[4−(4−ノナフルオロブチル−5−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、2,5−ジアミノピリジン等をあげることができる。
【0022】
本発明において、芳香族高分子化合物(B)としては、特に、末端アミノアリール基のオルト位に少なくとも1個のアルキル基を有する芳香族ジアミン化合物とフェノール性水酸基を有するジカルボン酸とを構成単位として有する下記一般式(1)で示されるくり返し構造単位5〜100モル%と、末端アミノアリール基のオルト位に少なくとも1個のアルキル基を有する芳香族ジアミン化合物と、ジカルボン酸とを構成単位として有する下記一般式(2)で示される繰り返し構造単位0〜95モル%とが不規則に結合した構造のフェノール性水酸基を有するポリアミド樹脂を用いることが好ましい。このポリアミド樹脂は、各種樹脂との相溶性が良好であり、均一分散が可能なことから、耐熱性、機械的強度、強靭性をより一層向上させることができる。
【0023】
【化3】
Figure 0004074436
(式中、Arは2価の芳香族基を表し、R及びR1 はそれぞれHまたは炭素数1〜4のアルキル基を表し、ただし同時にHであることはなく、R2 はフッ素原子で置換されてもよい炭素数1〜3のアルキレン基を表し、nは1または2を示す。)
上記一般式中、Arの2価の芳香族基としては、より具体的には、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、2〜4個のベンゼン環が酸素、硫黄、アルキレン基、スルホン基、スルホキシド基、カルボニル基、ジシロキシ基、ジフルオロメチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基によって結合した二価の基をあげることができる。
【0024】
上記のフェノール性水酸基を含有する芳香族ポリアミド樹脂は、ジカルボン酸類とジアミン類との縮合反応により得ることができ、この方法は公知の技術である。例えば、高分子学会編1991年発行「高分子機能材料シリーズ2 高分子の合成と反応」183頁に記載の方法により行うことができる。特にフェノール性水酸基を有する芳香族ジカルボン酸を使用する場合には、脱水触媒を使用した直接重縮合反応による製造方法が好ましい。具体的には、まず、ピリジン誘導体を含む有機溶媒、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒中に亜リン酸エステルを添加する。その後、ジカルボン酸類とジアミン類を添加し、窒素等の不活性雰囲気下で加熱攪拌することにより得ることができる。さらに、上記重縮合反応には、必要に応じて安定化剤として塩化リチウムまたは塩化カルシウム等を添加することができる。反応終了後、反応液をそのまま塗布液として用いてもよいが、副生成物や無機塩類等を除去する必要がある場合には、反応液をメタノール等の非溶媒中に投入し、生成重合体を分離した後、再沈殿法によって精製し、高純度のポリアミド重合体を得ることができる。
【0025】
上記の芳香族ポリアミド樹脂を作製するために用いるジカルボン酸としては、前記例示したフェノール性水酸基を有する芳香族ジカルボン酸およびフェノール性水酸基を有しない芳香族ジカルボン酸が使用できる。また、末端アミノアリール基のオルト位に少なくとも一個のアルキル基を有する芳香族ジアミン化合物としては、例えば、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−エチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−エチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−プロピルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジプロピルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−イソプロピルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタン、2,2′−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2′−ビス(3,5−ジメチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2′−ビス(3,5−ジエチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2′−ビス(3,5−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2′−ビス(3,5−ジメチル−4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2′−ビス(3,5−ジエチル−4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2′−ビス(3,5−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。これらの芳香族ジアミンは単独で使用してもよいし、複数種類を混合して使用してもよい。
【0026】
本発明における芳香族高分子化合物(B)のポリマー電解質基材中における含有量は、1〜40重量%の範囲にあることが好ましい。含有量がこの範囲よりも少ないと、機械的強度の向上が十分発揮されず、また、多すぎると併用するイオン伝導性高分子化合物(A)の含有量が減少するために、充分なイオン伝導度が得られなくなる。さらに好ましくは、5〜30重量%であり、この範囲で好適な機械的強度とイオン伝導度のバランスが最も良好となる。
【0027】
本発明においては、架橋構造をより容易に形成する目的で、芳香族高分子化合物(B)の有する反応性官能基と反応可能な2個以上の官能基を有する化合物(C)を含有させることが好ましい。これにより、熱または電磁波により架橋度の高いポリマー電解質基材を容易に得ることができ、より高い機械的強度を有するポリマー電解質得ることができる。このような化合物としては、一分子中に官能基を2個以上有する化合物であるならば、如何なるものでも使用することができ、その分子構造、分子量等に特に制限はない。特に、一分子中に官能基を2個以上有するイソシアナート化合物およびエポキシ化合物が容易に入手でき、また、容易に架橋構造を得ることができるので、好ましい。
【0028】
イソシアナート化合物としては、例えば、一分子中に官能基を2個以上有する脂肪族イソシアナート類、脂環式イソシアナート類、芳香族イソシアナート類およびこれらの変性物が挙げられる。より具体的には、脂肪族イソシアナートとしては、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、リジンジイソシアナート等を例示することができる。脂環式イソシアネートとしては、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、1,4−シクロヘキサンジイソシアナート、水添キシレンジイソシアナート、水添トリレンジイソシアナート等を例示することができる。芳香族イソシアナートとしては、トリレンジイソシアナート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナートまたは2,4´−ジフェニルメタンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、トリジンジイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート等を例示することができる。脂肪族、脂環式、芳香族イソシアナート類の変成物としては、上記例示した化合物のイソシアナト基の一部または全部がカーボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、ビューレット基、イソシアヌレート基などに変成された化合物が挙げられる。これらの化合物は単なる例示であり、本発明においてはこれらに限定されるものではない。これらの化合物は単独で用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
【0029】
また、エポキシ化合物は、例えば、グリシジルエーテル類、グリシジルエステル類、グリシジルアミン類、線状脂肪族エポキシド類、脂環式エポキシド類、ヒダントイン型エポキシ類等が挙げられる。具体的には、グリシジルエーテル類としては、例えば、ビスフェノ−ルのグリシジルエーテル類、フェノールノボラックのポリグリシジルエーテル類、アルキレングリコール又はポリアルキレングリコールのグリシジルエーテル類等が挙げられる。より具体的には、ビスフェノールのグリシジルエーテル類としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA等の二価フェノール類のグリシジルエーテルが挙げられ、フェノールノボラックのポリグリシジルエーテル類としては、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ブロム化フェノールノボラック等のノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルが挙げられ、アルキレングリコール又はポリアルキレングリコールのグリシジルエーテル類としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール等のグリコール類のグリシジルエーテルが挙げられる。また、前記グリシジルエステル類としては、例えば、ヘキサヒドロフタル酸のグリシジルエステル、ダイマー酸のグリシジルエステル等が挙げられ、グリシジルアミン類としては、例えば、トリグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。更に、線状脂肪族エポキシド類としては、例えば、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等が挙げられ、脂環式エポキシド類としては、例えば、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、水素添加型ビスフェノールエポキシド等が挙げられる。ヒダントイン型エポキシ樹脂としては、例えば、ジグリシジルヒダントイン、グリシジルグリシドオキシアルキルヒダントイン等があげられる。これらの化合物は単なる例示であり、本発明においてはこれらに限定されるものではない。これらの化合物は単独で用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
【0030】
本発明において、上記化合物(C)の含有量は特に限定されるものではないが、ポリマー電解質基材の1〜40重量%の範囲に設定される。含有量がこの範囲よりも少なすぎると上記の効果が得られず、含有量が多すぎると併用するイオン伝導性高分子化合物(A)の含有量が減少するために、充分なイオン伝導度が得られなくなる。化合物(C)の最適な含有量は、反応する反応性官能基の総数によって決めることが好ましく、具体的には、芳香族高分子化合物(B)の反応性官能基の総数と、化合物(C)の反応性官能基の総数との比が、0.5〜2の範囲になるように化合物(C)の含有量を決定することが好ましい。
【0031】
本発明において、芳香族高分子化合物(B)単独またはそれと化合物(C)とにより架橋構造を形成させるためには、通常、熱または電磁波を与えればよい。この場合、熱は室温から300℃の範囲が一般的であるが、低温では十分な架橋構造を形成するために長時間要するのに対し、高温では樹脂の酸化劣化等を受けやすいため、通常100〜200℃の範囲が好ましい。ここで電磁波とは、紫外線(UV)、赤外線(IR)、可視光線、X線、γ線、電波等を意味する。電磁波を与える場合、取り扱いが容易であることから、UV照射装置または電子線(EB)照射装置を用いることが好ましい。これらの架橋構造の形成は、製造条件にあわせて適宜条件を選択して行えばよく、また、熱と電磁波を併用することもできる。また、本発明において、架橋を容易にするために、ポリマー電解質基材中に、反応促進剤、光反応開始剤、増感剤を適宜添加してもよい。
【0032】
本発明のポリマー電解質は、耐熱性、機械的強度が飛躍的に向上できるために、特に、多孔構造をとる場合に有利である。ポリマー電解質における多孔構造は、電解液の保持性の向上、電解液の含有量の増量、ひいては、イオン伝導度の向上、さらには製造工程の簡略化の点で有利である。多孔構造を得るための手法については、種々の公知技術が適応できるので詳細については省略するが、延伸開孔法、相分離法、溶媒抽出法、化学的発泡法、物理的発泡法等が挙げられる。多孔構造における空隙率は特に制限はないが、好ましくは30〜90%である。空隙率が高いほど電解液を多量に保持でき、イオン伝導度を向上することができるが、上記の範囲より高すぎると、安全性を向上するための機械的強度が充分でなくなる。
【0033】
本発明のポリマー電解質において、ポリマー電解質基材中および多孔性構造の孔中に含有させる電解液としては、有機溶媒とリチウム塩の混合溶液が使用される。その有機溶媒としては、高い電圧をかけた場合にも分解の起こらないものが好ましく、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、メチルアセテート等の極性溶媒、もしくはこれらの混合物が挙げられる。また、電解液に溶解するリチウム塩としては、LiPF6 、LiBF4 、LiAsF6 、LiCF3 CO2 、LiCF3 SO3 、LiN(SO2 CF3 2 、LiN(SO2 CF2 CF3 2 、LiN(COCF3 2 およびLiN(COCF2 CF3 2 等の塩、またはこれらの2種以上の混合物を使用することができる。
【0034】
また、本発明におけるポリマー電解質は、必要に応じて、電気化学的に安定な粒子、繊維状物を含有させて機械的強度を向上する従来の技術を併用することも可能である。このような粒子の例としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の無機粒子、フェノール樹脂粒子、ポリイミド樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等の有機粒子が挙げられ、繊維状物の例としては、アパタイト繊維、酸化チタン繊維、金属酸化物のウィスカー等の無機繊維状物、アラミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維等の有機繊維状物が挙げられる。これらの粒子、繊維状物の形状及び粒径に特に制限はなく、適宜に選択して用いることができる。
【0035】
次に、本発明について、ポリマー電解質シートの製造方法を例にあげて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下の製造方法以外にも公知の技術を用いて電解質シートを得ることが可能である。
【0036】
まず、イオン伝導性高分子化合物(A)と、2個以上の反応性官能基を有する芳香族高分子化合物(B)、またはその芳香族高分子化合物(B)と、それと反応可能な2個以上の官能基を有する化合物(C)とを溶媒に溶解・分散させる。このとき、必要に応じて粒子、繊維状物を分散させる。溶媒としては、これら高分子が溶解可能なものを適宜選択することができ、高沸点で安全性の高い、例えば、NN−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン等を用いることが好ましい。分散・溶解方法としては、マグネチックスターラー、ホモジナイザー等の撹拌機、ポットミル、ボールミル、ス−パーサンドミル、加圧ニーダー等の分散機を用いて、室温または必要により加熱して分散・溶解させる。得られた混合物よりなる塗布液を、基体上に塗布またはキャスティング等によりフィルム状の被覆物を得る。基体としては平滑なものならば如何なるものでも使用することができる。例えば、ポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム等の樹脂フィルムおよび各種ガラス等があげられる。上記塗布液を基体に塗布するための手段は特に限定されるものではなく、基体の材質や形状などに応じて適宜決定すればよい。一般に、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法等が使用されている。その後、必要に応じて、平板プレス、カレンダーロール等により圧延処理を行う。塗布により得られたフィルム状の被覆物を構成する混合スラリー中の溶媒を乾燥により蒸発させることによって、混合物が均一分散したフィルムが形成される。乾燥方法は減圧乾燥でも、風乾でもよい。また、乾燥は加熱によって行ってもよい。それにより、芳香族高分子化合物(B)またはそれと化合物(C)による架橋構造が形成されたフィルムが得られる。次いで形成されたフィルムを、電解液に浸漬して電解液を含浸させて本発明のポリマー電解質を得ることができる。
【0037】
次に、本発明のポリマー電解質を用いた非水系二次電池の製造方法について説明する。
本発明のポリマー電解質を用いた非水系二次電池の構造は特に限定されないが、通常、正極および負極と、ポリマー電解質とから構成され、積層型電池や円筒型電池等に適用される。正極および負極には、電極活物質を用いるが、電池の正極活物質としては、無機化合物として、組成式LixMO2 、またはLiyM2 4 (ただし、Mは遷移金属、0≦x≦1、0≦y≦2)で表される複合酸化物、トンネル状の空孔を有する酸化物、層状構造の金属カルコゲン化物があげられ、その具体例としては、LiCoO2 、LiNiO2 、LiMn2 4 、Li2 Mn2 4 、MnO2 、FeO2 、V2 5 、V6 13、TiO2 、TiS2 等が挙げられる。また、有機化合物としては、例えばポリアニリン、ポリアセン、ポリピロール等の導電性高分子等が挙げられる。さらに、無機化合物、有機化合物を問わず、上記各種活物質を混合して用いてもよい。さらに、電池の負極活物質としては、リチウムおよび/またはリチウムイオンを吸蔵・放出可能な物質である炭素材料、グラファイト、コークス等、その他、Al、Si、Pb、Sn、Zn、Cd等とリチウムとの合金、LiFe2 3 等の遷移金属複合酸化物、WO2 、MoO2 等の遷移金属酸化物、グラファイト、カーボン等の炭素質材料、Li5 (Li3 N)等の窒化リチウム、および金属リチウム箔、又はこれらの混合物を用いてもよい。
【0038】
本発明のポリマー電解質を用いて電池を作製する場合、負極には、炭素材料、リチウム金属、リチウム合金又は酸化物材料等の負極活物質を用い、正極には、リチウムイオンがインターカレート・デインターカレート可能な酸化物または炭素材料等の正極活物質を用いることが好ましい。このような電極を用いることにより、良好な特性のリチウム2次電池を得ることができる。電極活物質として用いる炭素材料は、例えば、メソカーボンマイクロビーズ、天然または人造のグラファイト、樹脂焼成炭素材料、カーボンブラック、炭素繊維等から適宜選択すればよい。これらは粉末として用いられる。中でもグラファイトが好ましく、その平均粒子径は1〜30μm、特に5〜25μmであることが好ましい。平均粒子径が上記範囲よりも小さすぎると、充放電サイクル寿命が短くなり、また、容量のばらつきが大きくなる傾向にある。また、上記範囲よりも大きすぎると、容量のばらつきが著しく大きくなり、平均容量が小さくなってしまう。平均粒子径が大きい場合に容量のばらつきが生じるのは、グラファイトと集電体との接触やグラファイト同士の接触にばらつきが生じるためと考えられる。リチウムイオンがインターカレート・デインターカレート可能な酸化物としては、リチウムを含む複合酸化物が好ましく、例えば、LiCoO2 、LiNiO2 、LiMn2 4 、LiV2 4 等が挙げられる。これらの酸化物は粉末として用いられるが、粉末の平均粒子径は1〜40μm程度であることが好ましい。電極には、必要により導電助剤が添加される。導電助剤としては、好ましくはグラファイト、カーボンブラック、炭素繊維、ニッケル、アルミニウム、銅、銀等の金属が挙げられ、特にグラファイト、カーボンブラックが好ましい。電極の形成に用いるバインダとしては、フッ素樹脂、フッ素ゴム等をあげることができ、バインダの量は電極の3〜30重量%程度の範囲が適当である。
【0039】
電池を作製するには、まず、電極活物質と、必要に応じて添加される導電助剤とを、ゲル電解質溶液またはバインダ溶液に分散して、電極塗布液を調製し、この電極塗布液を集電体に塗布すればよい。集電体は、電池の使用するデバイスの形状やケース内への配置方法等に応じて、通常の集電体から適宜選択すればよい。一般に、正極にはアルミニウム等が、負極には銅、ニッケル等が使用される。電極塗布液を集電体に塗布した後、溶媒を蒸発させて電極を作製する。塗布厚は、50〜400μm程度とすることが好ましい。このようにして得られた正極および負極およびポリマー電解質シートを、正極、ポリマー電解質シート、負極の順に積層し、圧着して電池素体を作製する。その際、ポリマー電解質シートとしては、厚さ5〜50μmの範囲のものが好ましく使用される。
【0040】
なお、本発明のポリマー電解質は、上記のような非水系二次電池に特に好適に用いることができるが、その他の電気化学デバイス、例えば、電気二重層キャパシタ、センサー等に好適に用いることができる。
【0041】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明する。
<芳香族ポリアミド樹脂の合成例>
メカニカルスターラ、還流冷却器、温度計、塩化カルシウム管、および窒素道入管を取り付けた容量300mlの三口丸底フラスコに、ビス(4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン12.42g(40.0mmol)、5−ヒドロキシイソフタル酸7.28g(40.0mmol)、安定化剤として塩化リチウム0.66g、および縮合剤としてN−メチル−2−ピロリドン120g、ピリジン2.0gおよび亜りん酸トリフェニル24.82g(80.0mmol)を投入した。次いで、フラスコをオイルバスで120℃に加温しながら窒素雰囲気下4時間撹拌した。撹拌後、反応液を室温まで冷却し、水−メタノール混合液(水/メタノール=1/1)4リットルに滴下して樹脂を析出させた。得られた樹脂を吸引濾過し、水−メタノール混合液(水/メタノール=9/1)で2回洗浄し、乾燥して、収率98%でフェノール性水酸基を有する芳香族ポリアミド樹脂(水酸基当量:457)を得た。
得られた芳香族ポリアミド樹脂のGPCポリスチレン換算分子量は、重量平均分子量で9,140であった。また、IRスペクトル(KBr錠剤法)を測定して構造を確認したことろ、1650cm-1付近にアミドカルボニル基に基づく吸収が、2900cm-1付近に芳香族ジアミンに由来するアルキル基に基づく吸収が認められ、目的の化合物であることが確認された。
【0042】
<実施例1〜および比較例1〜4>
イオン伝導性高分子化合物(A)として、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF)(Kynar2801、エルフ・アトケム社製)を用い、表1に示す配合量で2個以上の反応性官能基を有する芳香族高分子化合物(B)、または芳香族高分子化合物(B)およびそれと反応可能な2個以上の官能基を有する化合物(C)と混合し、以下のようにしてポリマー電解質基材を作製した。また、比較例4においては、機械的強度の向上のための公知の技術である無機系のフィラーを添加した。
【0043】
次に、具体的な試験片の作製について説明する。上記PVdF、化合物(B)および化合物(C)を、表1の配合量に従って1−メチル−2−ピロリドン(NMP)/メチルエチルケトン(MEK)の混合溶媒(重量比:NMP/MEK=30/70)に添加し、室温下で混合、溶解した。得られた混合物よりなる塗布液を、ドクターブレード法によってポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にキャストし、これを水中に浸漬してNMP/MEKを抽出した。さらに、50〜150℃で送風乾燥してNMP/MEKおよび水を完全に揮発させて多孔質構造を有するシート状のポリマー電解質基材を得た。なお、実施例においては、NMP/MEKおよび水の揮発と同時に、芳香族高分子化合物(B)を単独で、または化合物(C)との反応により架橋させた。
【0044】
【表1】
Figure 0004074436
【0045】
これらのシート状のポリマー電解質基材の乾燥時の膜厚は約30μmであったが、具体的な測定値を表2に示す。また、これらのポリマー電解質基材の空隙率をアルキメデス法により測定した。その結果を表2に示す。
また、これらのポリマー電解質基材の引張り強度の測定を、テンシロン万能試験機を用いて、JIS L1096−1990に準じて行った。試験片のサイズは幅50mm×長さ(測定長)200mmとした。その結果を破断点荷重として表2に示す。
【0046】
次いで、これらのポリマー電解質基材に、電解液として、1MLiPF6 /エチレンカーボネート(EC)+ジメチルカーボネート(DMC)(容積比:EC/DMC=1/2)を含浸させ、ポリマー電解質シートを得た。得られたポリマー電解質シートを直径13mmの白金ブロッキング電極で挟み、25℃におけるイオン伝導度を交流インピーダンス法において測定した。その結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
Figure 0004074436
【0048】
表2の結果から明らかなように、実施例および比較例のいずれにおいても、ポリマー電解質シートは、リチウムイオン電池を製造する上で十分に高いイオン伝導度を有するものであった。一方、機械的強度に関しては、実施例の場合は、製造工程上問題のない強度である4kgf以上を有していたが、比較例の場合はいずれも4kgf以下であった。特に実施例およびにおいて、優れた機械的強度を有しており、さらに薄膜化しても十分強度を4kgf以上に維持することができるものであった。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明のポリマー電解質は、上記の構成を有するから、フェノール性水酸基を有する芳香族ポリアミド樹脂よりなる芳香族高分子化合物(B)の持つ剛直性と、その反応性官能基の反応によって得られる架橋構造により、機械的強度が飛躍的に向上したものとなる。また、本発明のポリマー電解質において、ポリマー電解質基材中に均一分散された芳香族高分子化合物(B)の架橋体は、フィラー等により機械的強度を向上させる従来の場合に比べて、イオン伝導度を阻害することがないので、非水系二次電池を製造する上で十分高いイオン伝導度を有するものである。したがって、本発明のポリマー電解質は、イオン伝導度の向上と機械的強度の向上を両立させるという優れた効果を奏する。したがってまた、本発明のポリマー電解質を用いることによって、容量特性やサイクル寿命に優れ、内部短絡等が発生しない高い安全性を確保できる非水系二次電池を作製することができる。
【0050】
さらにまた、本発明のポリマー電解質は、イオン伝導度を向上させるためにポリマー電解質の多孔度をより高くした場合、またはポリマー電解質を薄膜化した場合においても、製造上十分な機械的強度を維持できる。したがって、本発明のポリマー電解質は、その製造工程上に問題がないばかりでなく、生産性を向上させることができるという効果を奏する。

Claims (6)

  1. ポリマー電解質基材中に電解液が保持されてなるポリマー電解質において、該ポリマー電解質基材が、少なくとも、イオン伝導性高分子化合物(A)と、2個以上の反応性官能基を有する芳香族高分子化合物(B)とから形成されたものであって、該芳香族高分子化合物(B)が、フェノール性水酸基を有する芳香族ポリアミド樹脂であり、かつ、単独で、または該芳香族高分子化合物(B)の有する反応性官能基と反応可能な官能基を有する化合物(C)によって架橋構造が形成されていることを特徴とするポリマー電解質。
  2. ポリマー電解質基材における芳香族高分子化合物(B)の含有量が1〜40重量%であることを特徴とする請求項1に記載のポリマー電解質。
  3. 芳香族高分子化合物(B)が、末端アミノアリール基のオルト位に少なくとも1個のアルキル基を有する芳香族ジアミン化合物とフェノール性水酸基を有するジカルボン酸とを構成単位として有する下記一般式(1)で示される繰り返し構造単位5〜100モル%と、末端アミノアリール基のオルト位に少なくとも1個のアルキル基を有する芳香族ジアミン化合物と、ジカルボン酸とを構成単位として有する下記一般式(2)で示される繰り返し構造単位0〜95モル%とが、不規則に結合してなるフェノール性水酸基を有する芳香族ポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリマー電解質。
    Figure 0004074436
    (式中、Arは2価の芳香族基を表し、R及びR 1 はそれぞれHまたは炭素数1〜4のアルキル基を表し、ただし同時にHであることはなく、R 2 はフッ素原子で置換されてもよい炭素数1〜3のアルキレン基を表し、nは1または2を示す。)
  4. 化合物(C)が、2個以上の官能基を有するイソシアネート化合物またはエポキシ化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリマー電解質。
  5. ポリマー電解質基材の空隙率が30〜90%の多孔性構造であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリマー電解質。
  6. 請求項1〜5のいずれかのポリマー電解質よりなることを特徴とする非水系二次電池用ポリマー電解質シート。
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