JP4074328B1 - レードル精錬方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶鋼のレードルにおける脱酸・脱硫精錬において、大量の塩基性スラグの廃棄、廃棄に際してスラグ中のフッ素Fの地中への溶出問題および塩基性スラグの風解現象による煤塵問題等を解決し、廃棄スラグの転用やスラグ量自体の大幅削減を図るレードル精錬方法を提供する。
【解決手段】レードル4には予め塩基度が1.5以下となる造滓材を装入しておき、溶解炉1において塩基性スラグ下で酸化精錬された溶鋼のみをレードルに出鋼し、同時に脱酸剤を投入し、減圧下でガスバブリングして溶鋼とスラグを反応させ、脱酸・脱非金属介在物を進めるが脱硫はなされなかった精錬終了後の溶鋼を特定の連続鋳造方法による鋳造機11に供し、無偏析且つ主として柱状晶から成る鋼片を製造し、S%の過剰を許容する。該連続鋳造方法は湾曲式の連続鋳造において芯部が凝固するまでに1/4円を超え3/4周まで引き上げて引く抜き、中空鋳片を形成し、圧下して中実とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶鋼を精錬し、精錬された溶鋼を連続鋳造により鋼片とする製鋼工程において大量に使用・廃棄されるスラグの消費量を抜本的に削減するレードル精錬方法に関している。
溶鋼の精錬は通常、脱燐、脱炭及び脱炭に随伴する脱ガスを行う酸化精錬と、酸化後の脱酸・脱硫・脱非金属介在物を図る還元精錬とから成っている。後者は今日では溶解炉の生産能率向上のためレードル内で処理される。
精錬補助剤であるスラグの基本組成は脱燐、脱硫反応を誘導するためCaOを主成分とする塩基性が当然とされている。即ち近代の塩基性製鋼法である。P,S等の不純物を吸収したスラグは役目を果たし、スラグとしては再使用できず廃棄される。その量は約20〜40kg/溶鋼トンで無視できない。
酸化精錬時のスラグは低級酸化物(FeO+MnO+P)を15〜30質量%(以後スラグ組成の濃度はすべて質量%とする。)含有するので、冷却後は硬質の塊状、粒状であり路盤材等に転用される。
還元精錬のスラグは還元性への操作の結果、上記低級酸化物量が少なく、石灰CaOの特質即ち風解するという性質が冷却途上で露呈して大量の粉体と化す。
該廃スラグは各種の問題を引き起こす。1)工場内外に大量の煤塵が発生ししかも集塵・清掃その他の処理が困難・煩雑である。2)路盤材への転用は地盤が硬化せず軟弱なままで実用することはできない。転用先が無い。廃棄量が膨大である。3)埋め立て処理するとスラグ中のフッ素Fが溶出して地下水汚染を誘発する。永らく規制対象外であったが放置されない状況にある。
上記問題の対策として、特殊な添加剤によりスラグの風解を防止する方法、造滓材の蛍石CaF の代替物を部分的に使用してフッ素Fの溶出を削減する方法、酸化スラグと還元スラグを溶融状態で混合させて風解を防止する方法等が実施されている。いずれも作業が繁雑なこと、コスト増加となることしかも産業廃棄物が削減されないどころか増加する場合もある等の問題がある。
特許文献1に、スラグ関連の省資源、省廃棄物の観点から後半の還元精錬には酸性製鋼法を採用することにより解決すると開示されている。即ちスラグの塩基度が1.5以下では酸性であって脱硫能は全くないが、上記低級酸化物濃度を抑制すると脱酸、脱非金属介在物、有価金属の還元、酸化防止及び保温等のスラグの機能は十分に果たす。作業上の特徴はスラグの性状がガラス状でしかも流動性があって蛍石を必要とせず、冷却に際して風解現象が全く発生せず、上記3問題が一挙に解決する。しかも酸性製鋼法の場合有害不純物を吸収しない上、スラグ組成は余り変化せず従って再使用が可能である。適切な作業方法により次の出鋼時に溶融状態のまま再使用即ちホットリサイクルも可能で、省エネルギー、省資源、省廃棄物等に極めて効果的である。
当該方法の致命的弱点は脱硫が全く行われないので予め原料を精選してS含有量を規格内に抑えることが不可欠であり、生産量が限定され原料コストも割高となる。
弁ばね用等の清浄鋼の精錬では特殊な精錬装置を介して酸性スラグにより脱非金属介在物がなされているがS%の管理のため原料の精選又は事前の脱硫処理がなされている。当該方法は量産普通鋼には向かない。
特許文献2には、精錬により廃スラグという形で系外に排出されている原料屑鉄中のMnを製品に回収し、且つ総合してスラグ量を削減する方法が開示されている。当該方法では溶解炉中の塩基性で且つMnOを含有する酸化精錬スラグをレードルに持込み、還元剤添加と還元操作により該スラグを還元性に改質して通常の精錬を仕上げる。総スラグ量は半減するが塩基性の還元スラグの持つ既述の3問題は解決されない。
当該方法の場合、Mnの還元回収とともに不純物燐Pが還元されて溶鋼に戻ってしまうという致命的弱点がある。対策としてPが有害な作用を引き起こさないよう均質に凝固する特殊な連続鋳造方法を併用することで解決している。チル晶、柱状晶の中でのP含有量は溶鋼組成とほぼ同一で燐化物は微細であるが、等軸晶間では粗大な燐化物が晶出し、中心部では該晶出物が集団となって用途によっては欠陥として作用する。
P、S等の不純物含有量の規制について検討する。規格値は通常のプロセス・材料・製品を対象として設定されている。P、S等の不純物が実害を示す場合の多くはそれらの偏析に起因している。即ち多少の偏析は不可避との前提で規格が決められている。その上日常生産では品質管理上規格内の更に厳しい内部規格が運用されることが多い。偏析問題が解消されると規格の修正が可能となる。
提起された連続鋳造方法は以下である。
鋳片引抜軌跡が3/4円周とその後の水平直進部から成り、溶鋼を下方開放の鋳型に垂直で鋳込んで鋳片の外皮を形成し、該鋳型下方から連続的に引抜かれる該鋳片を中心部が凝固するまでに円弧状に且つ半円を越えさらに鋳込面から大気圧相当静鉄圧高さ(約1.4m)を越えて上方に引き抜くことによって中空鋳片を形成し、次に該鋳片を3/4円周点以後でロールによって伸直・圧下して中空内面を互いに圧接して中実鋳片とする連続鋳造方法であって、該方法において鋳込温度を過熱度で20〜50℃と設定することにより表皮のチル晶の内側は柱状晶のみとなる。当然中心偏析など芯部欠陥は発生しない。
上記連続鋳造方法は特許文献3に開示されている。チル晶と柱状晶に制御することにより、場合により一方向凝固鋼塊やESR鋼塊と同様の均質鋼塊の可能性が有ると示唆されている。又偏析解消を通してP,S等の不純物を実質的に低害化することが可能となり管理基準値と管理作業を緩和させる可能性があると示唆されている。しかし不純物の管理基準を大幅に拡張し、過剰な混入をも許容し、それによって精錬を大きく変革することまでは暗示されていない。
特開平11−092817 特願2006−166988 特許第3218361
以上述べたように従来の溶鋼の精錬の仕上げに適用する還元精錬は塩基性スラグを前提とするので1)廃棄されるスラグの風解に伴う労働衛生、コスト負担等の問題、2)埋め立てに伴うFの溶出による地下水汚染問題、2)スラグ使用量・廃棄量が膨大である等の問題がある。本発明はこれらの問題解決の抜本策を提供する。
解決のための基本的な考え方は、酸性スラグを使用する酸性製鋼法を復活させる。該方法の決定的弱点である脱硫不能に対しては、均質鋳造組織が得られる連続鋳造方法を採用して不純物Sの有害性を低下させ、S%の管理規格外を許容する。
発明は、レードルライニングを酸性耐火物又は中性耐火物で構成したレードル内の溶鋼を、非酸化性ないし還元性であり且つ塩基度Vを1.5以下0.3以上としたスラグと撹拌接触させて精錬する工程と、前記工程にて精錬された溶鋼を凝固組織がチル晶と柱状晶から成る連続鋳造方法によって鋳造する工程と、前記鋳造工程の終了後前記スラグを後続する上記精錬に再使用する工程とを具えることを特徴とするレードル精錬方法である。
上記発明において、溶鋼とスラグを撹拌接触させる方法が、スラグで覆われた溶鋼中にレードル底面より精錬用のガスを5Ncc/分/溶鋼kg以上20Ncc/分/溶鋼kg以下の割合で吹き込んでガスバブリングしつつ溶鋼上方の雰囲気圧を6kPa以上40kPa以下に減圧・維持することを特徴とする方法であることが適切である。
同様に上記発明において、溶鋼とスラグを撹拌接触させる方法が、アーク加熱用電極を保持したカバーによりレードルの上方を覆い、該スラグで覆われた溶鋼中に該レードル底面より精錬用ガスを吹き込んで撹拌しつつ溶鋼上方より炭材投入とアーク加熱により還元性スラグを生成することを特徴とする方法も好ましい。
上記発明においては、適用される連続鋳造方法が下記の方法であることが特に好ましい。
記: 鋳片引抜軌跡が3/4円周とその後の水平直進部から成り、溶鋼を下方開放の鋳型に垂直で鋳込んで鋳片の外皮を形成し、該鋳型下方から連続的に引抜かれる該鋳片を中心部が凝固するまでに円弧状に且つ半円を越えさらに鋳込面から大気圧相当静鉄圧高さ(約1.4m)を越えて上方に引き抜くことによって中空鋳片を形成し、次に該鋳片を3/4円周点以後でロールによって伸直・圧下して中空内面を互いに圧接して中実鋳片とする連続鋳造方法であって、該方法において鋳込温度を過熱度で20〜50℃と設定することを特徴とする連続鋳造方法である。
溶鋼のレードルにおける還元から仕上げ精錬において従来の塩基性に替えて酸性スラグが使用されるので、酸性製鋼法の長所がすべて得られる。1)スラグの風解現象が解消され煤塵問題が解決される。2)酸性スラグは精錬中の粘性・流動性が良いので高価な蛍石の使用は全く不必要になる。蛍石の不要はFの溶出による地下水汚染の問題を確実に解消する。3)スラグ組成は主にSiO −CaO−Al から成りハロゲンや重金属等を含まない単純な組成であり、しかも冷却後のスラグの性状はガラス状であるから路盤材その他に容易に転用することができる。4)価格に有利な酸性耐火物、中性耐火物との併用により耐火物コストが削減される。
酸性精錬ではスラグ組成は精錬によりあまり変化しないので精錬後のスラグは精錬用に反復使用することができる。その結果造滓用資材と産業廃棄物の大量削減が可能となる。
精錬・鋳造後のスラグを溶融状態のまま後続のチャージ(溶解ロット)に使用すると省エネルギー効果が得られる。
酸性製鋼法を可能にするには脱硫問題の解決が前提となるがそのための原料の精選は必要ない。高能率高品質が得られる特殊な連続鋳造方法の採用によって容易に実施することができる。
以下実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明を実施する設備例の模式図である。溶解炉1において酸化精錬が終了した溶鋼2は該溶解炉の炉底に付設されたゲートバルブ3から台車に搭載された受鋼用のレードル4に出鋼される。このとき、溶鋼のみ排出して塩基性の酸化スラグは排出しない。該レードル4には予め所定成分で塩基度が1.5以下の酸性の半溶融又は塊状・粒状の酸性スラグ5を装入しておく。出鋼時にフェロシリコンFe−Si等の脱酸剤や合金鉄及び少量の還元用炭材等を投入する。又レードル耐火物には酸性系又は中性系を使用し、内壁6はバーナー7により十分に予熱しておく。受鋼による強力な撹拌によって装入物は溶融・溶解する。
該レードル4は精錬位置に移送され、該位置においてレードル4の上方を真空カバー8で覆い、該カバー8に連接された排気装置9により雰囲気圧を下げる。同時にレードル底部に埋設されたガス吹込みプラグ10より精錬用ガス例えばArガスを吹き込んでガスバブリングを行う。真空度は6〜40kPaを維持する。減圧によりバブリングが沸騰状から強烈な発泡状に変化する。上層部では気泡・溶鋼・スラグが渾然一体となって表面が500mm以上盛り上がる。分析結果から3相間の反応が急速に平衡に接近することが解明されている。脱酸・脱非金属介在物反応が急速に進行する。脱硫は全く進まない。目標成分、目標温度に調整して精錬は終了する。精錬時間は5〜10分で極めて高速である。本方法は周知である。
精錬された溶鋼は連続鋳造機11に供される。本発明では特定の連続鋳造方法が適用される。即ち図2示されるように、鋳片引抜軌跡が3/4円周とその後の水平直進部から成り、タンディシュ22内の溶鋼21は下方開放の鋳型23に垂直に鋳込まれ、鋳片24の外皮が形成され、連続的に引き抜かれながら2次冷却装置25により凝固が進められる。該鋳片24の中心部が凝固するまでに円弧状に且つ半円を越えさらに鋳込面から大気圧相当静鉄圧高さ(約1.4m)Q点を越えて上方に引き抜くことによってQ点で中空鋳片26を形成し、次に該鋳片を3/4円周点で伸直ロール27によって伸直し、その後圧接ロール28により圧下して中空内面を互いに圧接して中実鋳片29とする連続鋳造方法であって、該方法において鋳込温度を過熱度(=溶鋼温度−当該成分の液相温度)で20〜50℃と設定することを特徴とする連続鋳造方法である。該温度により鋳片の鋳造組織は表皮のチル晶の内側をすべて柱状晶とすることができる。該連続鋳造方法の詳細は既述特許文献3に詳細に記載されているので省略する。
問題となる偏析は3形態に分類される。第1のミクロ偏析はチル晶、柱状晶、等軸晶であれ樹枝状凝固における樹枝間の濃縮であり濃縮比と分布は規則的であり且つ大部分固溶していて実害を示さない。第2はセミマクロ偏析であり低融点の炭化物、リン化物、硫化物等から成る介在物として等軸晶間に偏在する。柱状晶間には無い。大きさは10〜数100μmになる。鋼の硬化、脆化等に対して微妙に影響し有害である。第3は中心部偏析で第2形態が中心部で集団となっているものであり、製品鋼材の脆化だけでなく熱延工程でワレを誘発するなど各工程で有害不純物として作用する。従って第2,第3形態の偏析を解消することができれば規格外成分も問題なく使用でき、場合により合金元素としての作用を発揮させることも可能になる。
柱状晶自体は本来均質であるが凝固終点まで柱状晶で固めると中心偏析が発生する。従って一般には等軸晶化により中心偏析の分散が図られる。この場合中心周辺の等軸晶はセミマクロ偏析を随伴する。上記方法では凝固終点が無いので中心偏析は生じない。その上等軸晶が存在しないのでセミマクロ偏析をも解消される。有害な偏析構造を持たないのでS含有量が従来規格の外でも通常の不都合は生じず、実用に供することができる。
チル晶、柱状晶の領域では粗大な硫化物の析出は起こらない。硫化物はデンドライトの樹枝間に比較的微細に混入する。従ってS%が従来の管理基準を超えても問題が発生しにくい。
レードル中の溶鋼が鋳込み終わると横転位置(図1に示される)に移送してゲートバルブ等の整備を行う。このとき溶融スラグ5はレードル上縁に取り付けられたダム12により流出がせき止められる。その後レードルを垂直に戻して次の受鋼の準備に入る。スラグ5は再使用される。スラグ5は一旦排出し、冷却・破砕して通常の造滓材と同様に準備して再使用しても良いが、上記の如くホットリサイクルすると省エネルギー効果が得られる。
スラグは溶損した耐火物、脱酸生成物、保温材等を吸収して成分が多少変化する。基本的にはほぼ大部分を再使用するが必要に応じて量及び造滓材により成分を調整する。
レードル精錬方法の他の例を説明する。
受鋼したレードルの上方にアーク加熱電極を付設したカバーを装着し、底部より吹き込んだガスで撹拌しつつアーク加熱する。所定成分の酸性スラグに炭材を反復添加する。Cとアークの作用により酸性スラグでも強力な還元性状態になってSiO2が乖離してSiが溶鋼中に増加してくる。脱酸、脱非金属介在物には効果的だが脱硫は起こらない。精錬時間は20〜40分を要する。
作業条件の特定について説明する。
レードル耐火物を酸性又は中性とした理由は、スラグが酸性故に耐溶損性に優れること、スラグに塩基性成分が混入しないこと、及び塩基性耐火物と比較して価格が半分以下であるからである。具体的には、ローセキ系等の高珪質(酸性)、アルミナ質(中性)が適切である。耐火物では酸性と中性の区分けはそれなりの意味がある。
塩基度Vはより正確には以下の式により定義される。以下%表示はすべて質量%とする。
V=(CaO%+MgO%+2Na %+2 %)/(SiO %+ %)
本発明では簡易式として次式を使用する。
V=(CaO%+MgO%)/SiO
本願で用いた塩基性、酸性と言う用語について補足する。V値1を境に上を塩基性、下を酸性、1前後を中性とした用法も見られるが、現象面からはV値が約2以上で脱硫効果と風解現象が見られるのでこれを塩基性とした。V値が1.5以下では脱硫能が無く、高温でも常温でもガラス状で風解作用が無いから酸性とした。中性の概念を持ち込む意味は特に無い。
スラグの非酸化性という意味は、酸化精錬終了後、FeO等の低級酸化物が15%以上含まれると溶鋼の酸化が続く。5%程度では変化は小さく還元性ではないが酸化性でもない。
スラグが酸化力を持つか否かは溶鋼中のO濃度に依存して相対的である。出鋼時のO濃度は相当高いので本願では出鋼時FeO濃度が10%以下を非酸化性の目安とする。出鋼時の炭材や脱酸剤の添加と撹拌によりFeO濃度は急速に5%程度に低下する。減圧処理や炭材投入アーク加熱により容易に1〜2%以下の還元性に誘導することができる。
減圧処理における雰囲気圧やバブリング用ガス流量の特定は公知の条件を流用している。
スラグ組成はCaO−SiO Al 系で塩基度V値は1.0前後が望ましい。塩基度が2以下になると融点の降下により流動性が増加し蛍石CaF の使用の必要がなくなる。1.5以下と特定した理由は風解を確実に防止するためである。塩基度が0.5以下では脱酸能の低下が見られる。
適用される連続鋳造方法として、既述の方式ではなく一般的な凝固終点のある方式でも製造鋼種により使用することができる。即ち中心偏析が問題とならない製品例えば鉄筋用棒鋼では等軸晶間のセミマクロ偏析を解消するだけで熱延時のワレ問題が改善される。
通常の屑鉄を原料として30トンアーク溶解炉で鋼種ピアノ線材SWRA82Aを溶解する。酸化精錬後、炉内の塩基性の酸化スラグを大部分掻き出した後に炉体を傾転させてレードルに出鋼する。残存スラグは流出する。造滓材としてSiO :CaO:Al =5:4:1の比になるよう珪砂、石灰、酸性煉瓦屑を配合して出鋼時にレードルに投入した。スラグは造滓分と流出分から成る。次いで約0.1気圧に減圧した状態でガスバブリングを7分間処理し、最終成分と温度を調整して精錬を終え既存の通常の連続鋳造方法による鋳造に供した。鋳片断面寸法は160mm角、鋳込温度は過熱度で20〜30℃、比較材1として鋳型部で電磁撹拌を適用、比較材2として電磁撹拌無し、本発明代替材として電磁撹拌無しとする。該代替材の鋼片の芯部100mm径を全長刳り抜いて中空鋼片とし、両端を微小孔を持つ鋼板で溶接封鎖した。3種の鋼片を再加熱して11.5mm径の線材に圧延、パテンティングに近似する制御冷却を適用して供試材とした。該供試材を2.6mm径に向かって伸線試験し、加工性を比較した。
溶鋼成分の変化を表1に示す。当然脱硫が無く、通常の0.010%Sの3倍となっている。
出鋼時及び精錬後のスラグ組成を表2に示す。出鋼時のスラグ組成が配合と異なるのは、炉内の残存スラグの混入による。ここから炉体構造はスラグが流出する傾転式よりもそうでない底部出鋼式が有利であることが解る。出鋼時のスラグ組成の値は完全に溶解均質化していないので不正確である。精錬終了後の組成の数値は正確である。酸性耐火物の溶損により配合+流出分より多少酸性側に偏る。当該組成は次ぎの出鋼時に再使用する際の配合の参考になる。冷却後のスラグは半透明のガラス状で当然風解は生じなかった。
鋳片の凝固組織は、比較材1では約15mm厚の柱状晶の内側は等軸晶で芯部周辺では多孔質と軽度の偏析がほぼ均等に分布する。
比較材2は中心部近辺までほとんど柱状晶で形成され、芯部に収縮孔と強度の中心偏析が軸方向に間欠して分布する。本発明代替材は比較材2と同様であるが芯部は除去される。
鋳片の凝固組織の1例を図3に示す。左図に示すように柱状晶粒界には非金属相の析出がほとんど無く、僅かにフェライトの析出がある。他方右図に示す中心周辺に位置する等軸晶の粒界には燐化物、硫化物、炭化物あるいはそれらの固溶体の非金属相が析出する。例は硫化物と燐化物を示している。該相の偏析率と寸法はミクロ偏析を圧倒するものである。本発明では全域でSは微小な硫化物として又固溶して均質に存在している。
伸線試験において、比較材2は4.0〜3.3mm径で断線が発生、比較材1は3.3〜3.0で断線、本発明代替材は2.6径まで伸線することができた。それぞれの鋼線を引張試験で確性試験したが断線しない部分でも絞りの著しい低下が見られ、上記差と同様の傾向である。比較材1と2の差は電磁撹拌による中心偏析の分散の効果と見なされる。本発明代替材との差は偏析自体の有無と見なされる。
本発明によると、公知の新方式連続鋳造方法により鋼片の偏析問題が解消され、不純物Sが不純物として作用する影響度が大きく緩和され、従来不可欠とされてきた脱硫精錬の必要性が低下する。その結果現在埋没している酸性製鋼法を復活させることができ、塩基性製鋼法の弱点である造滓材の大量使用とその廃棄に関わる種々の困難な問題を解消する。
実施には連続鋳造機の型式変更だけが問題で操業上の新たなコスト上の負担は無く逆にコスト低減になる。
本発明を実施する設備群の例の模式図である。 本発明に適用される連続鋳造設備の例の要所の概略側面図である。 凝固組織と不純物析出相を示す組織写真である。
符号の説明
1:溶解炉 2:溶鋼 3:ゲートバルブ 4:レードル 5:酸性スラグ 6:内壁 7:バーナー 8:真空カバー 9:排気装置 10:プラグ 11:連続鋳造機 12:ダム 21:溶鋼 22:タンディシュ 23:鋳型 24:鋳片 25:2次冷却装置 26:中空鋳片 27:伸直ロール 28:圧接ロール 29:中実鋳片

Claims (4)

  1. レードルライニングを酸性耐火物又は中性耐火物で構成したレードル内の溶鋼を、FeO濃度が10%以下且つ塩基度Vを1.5以下0.3以上としたスラグと撹拌接触させて精錬して不純物のSの含有量が0.029%以上となることを許容する工程と、前記工程にて精錬された溶鋼を中心偏析が解消され且つ凝固組織がチル晶と柱状晶から成る連続鋳造方法によって鋳造する工程と、前記鋳造工程の終了後前記スラグを後続する上記精錬に再使用する工程とを具えることを特徴とするレードル精錬方法。
    但し、V=(CaO%+MgO%)/SiO
    但し、%はすべて質量%とする。
  2. 溶鋼とスラグを撹拌接触させる方法において、スラグで覆われた溶鋼中にレードル底面より精錬用のガスを5Ncc/分/溶鋼kg以上20Ncc/分/溶鋼kg以下の割合で吹き込んでガスバブリングしつつ溶鋼上方の雰囲気圧を6kPa以上40kPa以下に減圧・維持することを特徴とする請求項1に記載のレードル精錬方法。
  3. 溶鋼とスラグを撹拌接触させる方法において、アーク加熱用電極を保持したカバーによりレードルの上方を覆い、該スラグで覆われた溶鋼中に該レードル底面より精錬用ガスを吹き込んで撹拌しつつ溶鋼上方より炭材投入とアーク加熱により還元性スラグを生成することを特徴とする請求項1に記載のレードル精錬方法。
  4. 適用される連続鋳造方法が下記の方法であることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3に記載のレードル精錬方法。
    記: 鋳片引抜軌跡が3/4円周とその後の水平直進部から成り、溶鋼を下方開放の鋳型に垂直で鋳込んで鋳片の外皮を形成し、該鋳型下方から連続的に引抜かれる該鋳片を中心部が凝固するまでに円弧状に且つ半円を越えさらに鋳込面から大気圧相当静鉄圧高さの分だけ高い部位Q点を越えて上方に引き抜くことによって中空鋳片を形成し、次に該鋳片を3/4円周点以後でロールによって伸直し、圧下して中空内面を互いに圧接して中実鋳片とする連続鋳造方法であって、該方法において鋳込温度を過熱度で20〜50℃と設定することを特徴とする連続鋳造方法。
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