JP4077504B1 - 屑鉄を主原料とする製鋼方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 屑鉄を主原料とする電炉製鋼方法において、原料中のMnは大半が酸化スラグと共に廃棄されている。該Mnの一部を製品溶鋼に還元回収する。
【解決手段】 原料溶解に引き続き通常の酸化精錬を行い、酸化性スラグの過半を炉内に残留させ、出鋼に際して該スラグを溶鋼と共にレードルに移す。同時に該スラグ中の低級酸化物量に対応した還元剤を投入する。レードルに上下気密カバーを装着して減圧し、ガスバブリングを行って還元精錬し、スラグ中のMnを還元回収する。
酸化精錬による脱リンの多くは復リンしP含有量は増加するが、中心偏析が発生せず且つ凝固組織がチル晶と柱状晶から成る連続鋳造方法により鋼片とする。その結果不純物Pの有害元素としての作用が軽減される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、屑鉄を主原料とし、電気炉又は酸素バーナーを使用する溶解炉により該原料を溶解・精錬し、次いでレードルで仕上げ精錬し、次いで連続鋳造して鋼片を製造する方法に関している。
電気炉製鋼法又は類似の製鋼法では通常屑鉄を主原料とし、アーク加熱の溶解炉、通称電炉で溶解し、電炉内で酸化して各種不純物を除去ないし調整を行い、その後脱酸脱硫等の還元・仕上げ精錬を行ってレードルに出鋼される。最近では電炉生産性向上のため還元・仕上げ精錬はレードルで処理されることが多い。所定温度、所定成分に溶製された溶鋼は連続鋳造に供給されて鋼片とされる。
電炉内での酸化精錬工程は1)アークを安定させ、熱効率を向上させ、且つ精錬を誘導する塩基性スラグの生成、2)酸素吹錬による溶鋼中のP等の不純物の酸化・除去、3)酸素吹錬による溶鋼中Cの燃焼とCO沸騰による脱ガス、4)P等の有害不純物を含有したスラグの炉外への排出、5)昇温等からなる。
レードルにおける還元・仕上げ精錬は1)スラグを非酸化性に再生するための再造滓、2)新スラグと還元剤、脱酸剤等の添加によるO,S等の不純物の除去・低減、3)成分・温度の調整等の工程から成る。
酸化性スラグ、還元性スラグとも使用後は産業廃棄物として処理される。
酸化精錬の一対象であるPは鋼を脆化させる不純物としてその含有量は鋼種、鋼材、用途に対応して規制されている。屑鉄は元の鋼種によりPを約0.01〜0.05%含有している。今日では転炉鋼の精錬水準が向上して数十年経過し、市中屑中のP含有量は低下傾向にある。原料中のP平均含有量は屑鉄種の配合に依存し約0.02%と見なされるが、銑鉄の配合、リン酸化成表面処理鋼板や他の不純物の混入により約0.03〜0.05%になると推定される。従って脱リン処理は必須である。脱リンを進めるには溶鋼を酸素吹錬してPを酸化し、生成した酸化物を塩基性スラグに吸収させる。該酸化精錬時のスラグはP,Fe,Mn等の低級酸化物を多量に含有する。該スラグの一部が炉内又はレードルでの還元精錬に持ち込まれると該酸化物は還元され溶鋼中に回帰する。従ってこの復リンを抑制するため予め該スラグを炉外に排出するか又はレードルに排出しない必要がある。
ここで物質量に対する%表示は質量%とし以後同様である。
脱リン処理は同時に脱マンガンを併発する。屑鉄はMnも約0.2〜2.0%含有し、同様に平均約0.5%と見なされる。酸化精錬によりMnは酸化され溶鋼中の含有量は0.1〜0.2%に低下する。残りは酸化物としてスラグに吸収される。Mnは硫化物安定剤として又脱酸安定剤として更に合金元素として有用な精錬補助剤であるがスラグ排出に伴い原料中のMnの大半は廃棄され以後何の役にも立っていない。
脱リン処理は程度の差があれ必要とされ、それに伴うマンガンの酸化・排出は不可避として放置されてきた。Mnの還元精錬自体は特に困難ではない。多少でもMn回収効果のある作業方法を探すと、高炉〜転炉による製鋼において脱リン後の溶鋼に素性の知れた屑鉄を限定量だけ挿入する場合がある。この場合屑鉄中のMnは回収されるが屑鉄の大量再生方法として一般的ではない。
鉄筋用異形棒鋼においてはP含有量の規格上限は0.05%であるので復リンはある程度許容される。従って復リンを承知で酸化精錬スラグを還元すれば多少のMnの回収は見込めるが、還元・脱酸精錬自体も生産性優先のため簡略化され、従って還元機能も省略されていて回収されていない。以上経済的な回収法は未実用である。
P含有量の規制について検討する。規格値は通常のプロセス・材料・製品を対象として設定されている。P、S等の不純物が実害を示す場合の多くはそれらの偏析に起因している。従って多少の偏析は不可避との前提で規格が決められている。
偏析は3形態に分類される。第1のミクロ偏析はチル晶、柱状晶、等軸晶であれ樹枝状凝固における樹枝間の濃縮であり濃縮比と分布は規則的であり且つ大部分固溶していて実害を示さない。第2はセミマクロ偏析であり低融点の炭化物、リン化物、硫化物の介在物として等軸晶間に偏在する。柱状晶間には無い。大きさは10〜数100μmになる。鋼の脆化、硬化等に対して微妙に影響し有害である。第3は中心部偏析で第2形態が中心周辺で集団となっているものであり、製品鋼材の脆化だけでなく熱延工程でワレを誘発するなど明らかに有害不純物として作用する。従って第2,第3形態の偏析を解消することができれば現行の規格外成分も問題なく使用でき、場合により合金元素としての作用を発揮させることも可能になる。
特許文献1には連続鋳造工程における中心偏析の発生を解消する方法が開示されている。同時に該方法において鋳込み温度制御により凝固組織を外皮のチル晶の内側全面を柱状晶とする方法が開示されている。チル晶と柱状晶に制御することにより場合により一方向凝固鋼塊やESR鋼塊と同様の均質鋼塊の可能性が有ると示唆されている。該文献には偏析解消を通してP,S等の不純物を実質的に低害化ないし無害化することが示唆されているが、不純物の規格外量もしくは過剰な混入を許容し且つ合金化へ活用する思想までは開示されていない。
不純物Pの混入を大きく許容するとしてMnの還元回収方法の先行例を検討する。
一般的にはLF法と称して、溶解炉において酸化精錬された溶鋼のみをレードルに移すと共に該レードルに造滓材と炭材を添加しアークで再加熱しつつ還元滓を生成し脱酸・脱硫を促進させる。酸化精錬スラグの一部が持ち込まれると該スラグ中のP,Fe,Mnは還元され溶鋼中に移行する。精錬に通常30分以上を要し、あまり能率的ではない。
特許文献2、特許文献3には高速の還元、脱酸、脱硫精錬方法が開示されている。両方法は基本的に同一原理に基づく。即ち1)非酸化性スラグの誘導、2)減圧下のガスバブリングによる非酸化性雰囲気中のガス・スラグ・溶鋼間の強力な撹拌、3)還元、脱酸剤の添加、4)電磁力による撹拌強化、等により溶鋼及びスラグの還元・脱酸反応を高度・高速に誘導している。スラグ中のMnは容易に還元されると開示されているが、スラグ中のPの多量の還元をも許容する思想は全く気付かれていない。
特許第2989737 特許第1575316 特許第3654248
以上述べたように従来の屑鉄を主原料とする製鋼方法では不純物のPを除去するため溶鋼を酸化精錬してPを酸化物として塩基性スラグに吸収させ、該スラグを炉外に排出して残存スラグからの復リンを防止している。その際、本来有用成分である屑鉄中のMnも全く同様の挙動により大半が排出スラグに持ち出され回収されていない。
本発明は屑鉄中に含まれるMnを溶鋼に回収して精錬補助剤であるMn合金の使用量を節減することを第1の目的とする。第2の目的は再造滓量を少なくしていずれ産業廃棄物となるスラグの量を削減することである。
上記問題を解決するため以下の要素手段により発明を構成した。
1) 酸化精錬スラグを溶鋼と共にレードルに移行させスラグ中のMnを還元回収する。2) Mn回収に伴い必然的に増加する溶鋼中のP含有量を許容する。
3) 連続鋳造において中心偏析解消の手段を講じPの有害作用を抑制する。
第1の発明は、屑鉄を主原料とし溶解炉において該原料を熔解し、精錬し、レードルにおいて仕上げ精錬し、次いで連続鋳造する製鋼方法において、1)溶解中及び溶落後に生成し溶鋼上に浮遊しているスラグの過半を炉内に残留させたまま酸化精錬し、2)該精錬後溶鋼と該スラグを共にレードルに出鋼し、3)該レードルにおいて還元精錬して該スラグ中のMn酸化物をMnとして溶鋼中に0.1質量%Mn以上を回収するとともに、4)P含有量の増加を許容し、次いで5)該溶鋼から下記の連続鋳造方法によって凝固組織がチル晶と柱状晶から成る鋼片を鋳造することを特徴とする製鋼方法である。
記: 溶鋼を下方開放の湾曲鋳型に垂直に鋳込んで鋳片の外皮を形成し、該鋳片を該鋳型下方から連続的に引抜き、該鋳片の中心部が凝固するまでに円弧状に且つ半円を越えさらに鋳込面から大気圧相当静鉄圧高さを越えて上方に引き抜くことによって中空鋳片を形成し、次に該鋳片をロールによって圧下して中空内面を互いに圧接して中実鋳片とする連続鋳造方法であって、該方法において鋳込温度を過熱度で20〜50℃と設定することを特徴とする連続鋳造方法。
第2の発明は、還元精錬の方法が、出鋼時に還元剤としてSi含有材、Al含有材及び炭材の1種以上をレードルに投入し、該還元剤の投入量をスラグ中のFeO、MnO、P25の化学当量の和の0.8〜1.6倍とし、その後、該スラグで覆われた溶鋼中に該レードル底面より精錬用ガスを5〜20Nリットル/分/溶鋼トンの割合で吹き込んでガスバブリングしつつ溶鋼上方の雰囲気圧を6〜40kPaに減圧・維持することを特徴とする第1発明に記載の製鋼方法である。
第3の発明は、還元精錬の方法が、出鋼時に還元剤としてSi含有材、Al含有材及び炭材の1種以上をレードルに投入し、該還元剤の投入量をスラグ中のFeO、MnO、P25の化学当量の和の0.8〜1.2倍とし、その後、アーク加熱用電極を保持したカバーにより該レードルの上方を覆い、該スラグで覆われた溶鋼中に該レードル底面より精錬用ガスを吹き込んで撹拌し、溶鋼上方より炭材投入とアーク加熱によりカーバイド・スラグを生成しつつ還元することを特徴とする第1発明に記載の製鋼方法である。
本発明による第1の効果は、原料の屑鉄中のMnの多くが一度は酸化されてスラグに吸収されるがレードルにおける還元処理により溶鋼に回収され、合金鉄の使用量が節減される。しかも特別のコストを要しない。
第2の効果は酸化スラグの多くが還元・仕上げ精錬スラグに持ち込まれて造滓材の使用量が大幅削減され、産業廃棄物物量が削減される。第3にスラグ量の減少に伴い消費される電力エネルギーも節減される。第4に不純物Pが増加するが偏析が生じない方法で連続鋳造されるので有害性が解消ないし軽減され、Pの合金作用(硬化、切削性、耐摩性、耐蝕性)が附加され品質改良ないし特徴有る新鋼種が容易に製造される。
以下実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明を実施する設備群の前半の例の説明図である。
主原料である屑鉄2が溶解炉1に装入され、アーク3の加熱により溶解される。溶落前より酸素ランス4により酸素吹錬して脱炭処理と共に溶鋼中の不純物Mn,Si,P,S,Zn,Pb等の全部又は一部を酸化除去する。造滓剤として石灰を適量投入し、酸化能を持つ塩基性スラグ5を形成する。Mn,Si,Pは酸化物として該スラグ5中に吸収されるがSの一部,Zn,Pb等は気相中に移行し粉塵となり集塵処理される。
該スラグは通常出鋼までに炉外に排出処理されるが本発明では過半を炉内に残留させ、酸化精錬終了後溶鋼6と共にレードル7へ排出する。該スラグ5はP25,MnO,FeO等の低級酸化物を約20〜30%含有する。出鋼時には規格Si値に対応するフェロシリコンの他に、還元剤としてフェロシリコン、シリコマンガン及び炭材等を該レードル投入する。アルミドロス等も補助的に使用することができる。適量として該低級酸化物量の化学当量の0.8〜1.6倍が望ましい。又スラグ成分調整用として石灰等をレードルに適量投入する。該適量値の把握は当業者には困難ではない。出鋼撹拌のみでスラグ中の上記低級酸化物の一部はC及びSi、Alにより還元され溶鋼中に回帰する。分析用サンプルを取り最終成分調整の準備を行う。
受鋼したレードル7を移送して下部気密カバー8上に静置する。次ぎに合金添加用ホッパー9と排気装置10を連接している上部気密カバー11を該レードル7の上側に装着する。該レードル7は気密側壁を持つので、上下の気密カバーと一体化して気密構造になる。次ぎにレードル底部に付設された通気性耐火物のプラグ12よりArガス等の非酸化性のガスを吹込み、且つレードル上方空間を排気装置10により減圧し、減圧下のガスバブリングをガス流量5〜20Nリットル/分/溶鋼トンの割合で作用させる。他方溶鋼上方の雰囲気圧を6〜40kPaに減圧・維持する。
吹き込まれたガスは気泡となって上昇し溶鋼を撹拌する。気泡は溶鋼上層部に達すると急速に外圧が低下して急膨張する。その結果溶鋼とガスとスラグの3相が激しく混合し、沸騰状ではなく発泡状となり3相間の反応が強力に刺激され平衡へ移行しようとする。減圧初期には炭材と溶鋼中のCが上記低級酸化物と反応し、COガスを発生させつつ還元が進む。その後溶鋼中のSiが反応主体となって還元が進み、3〜6分後にはスラグ中の上記酸化物の濃度は容易に2%以下に低下し、スラグは白色になる。スラグ中のMn、Fe、Pはほとんど溶鋼中に回収される。従って回収量は初期スラグの残留量に依存する。P含有量の増加を無視するなら0.3〜0.4%Mnの回収が期待される。
還元に併行して脱酸、脱硫、脱非金属介在物が進行する。
C,Si,Mnその他合金の成分を最終調整して精錬を終了する。精錬終了後、レードルを連続鋳造機に移送し、溶鋼を連続的に鋳込んで鋼片とする。本発明による溶鋼は有害不純物Pを従来よりも多く含み、場合により0.05%を越える。鋼種に対応して許容値を設定する。Pの増加は偏析が生ずると明らかに有害となる。従って特別の連続鋳造方法が不可欠である。
図2は本発明で使用される設備群の後半をなす連続鋳造装置の説明図であり、図に沿って本発明の鋳造方法を説明する。
精錬の終わった溶鋼をレードル(図示せず)から中間容器であるタンディシュ22に注入し、該溶鋼21を該タンディシュ22から下方が開放した鋳型23に上方より鋳込み、外皮を形成して鋳片24とし、該鋳片24を下方へ円弧に沿って連続的に引抜き、スプレイ冷却装置25により冷却を進め、該鋳片24の中心部が凝固するまでに半円を越え、さらに鋳込面から大気圧相当静鉄圧高さ(約1.4m)P点を越えて上方に引き抜いて中空鋳片26を形成し、該鋳片26を伸直ロール27により伸直し、圧接圧延機28によって圧下し、内面を互いに圧接して中実鋳片29とする。凝固終点が存在しないので中心偏析が原理的に解消される。
該連続鋳造方法の詳細については既述特許文献1に開示されているので省略する。
上記連続鋳造方法において鋳込温度を過熱度(=溶鋼温度−当該成分の液相温度)で20〜50℃と設定すると、凝固組織は外皮がチル晶から成り、内部は柱状晶から成る。等軸晶を実質的に含まない。当該条件と結果については特許文献1に詳細に説明されている。
柱状晶自体は本来均質であるが凝固終点まで柱状晶で固めると中心偏析が発生する。従って一般には等軸晶化により中心偏析の分散が図られる。この場合中心周辺の等軸晶はセミマクロ偏析を随伴する。上記条件では等軸晶が存在しないのでセミマクロ偏析をも避けることができる。有害な偏析構造を持たないのでP含有量が従来規格の外でも通常の不都合は生じず、実用に供することができる。
以下当該プロセスの要点を補足する。
酸化精錬スラグの過半を炉内に残留させると限定した理由は、残留量が多いほどMnの回収量の増加が見込めるが、Pの増加も問題となる。炉内沸騰処理の過程でスラグの発泡により炉外に流出するスラグもある。最適量は原料以下の多くの作業条件に依存するので単純には決まらない。効果があり且つ無難な作業条件として上記の量とした。
不純物Pの規格と許容値に関して、鋼種によりPの規格値は異なる。JISピアノ線では0.025%以下、硬鋼線材では0.030%以下、鉄筋用異形棒鋼では0.05%以下、その他協定値、内規では0.015%,0.01%以下等がある。一般には規格値よりも低い値に管理基準が設定されている。以上からPの妥当な許容値は鋼種や製品、需要家等により異なるから単純に設定すると無理が生ずる。
本発明では一応規格内で従来の管理基準を緩和する。場合により個別に規格外を許容する。当然規制上限が大きいほどMn回収に有利となる。他方小さいと一見回収効果が無いように思えるがそうではない。上限が厳しいほど高度で高コストの不純物管理を適用しているので、Mn回収の効果の低下は脱リンコストの低減により補われる。
一般的にP上限値として0.025%以上を許容すると製鋼作業は相当楽になる。
第2発明のレードルにおける還元精錬において還元剤の量を低級酸化物量の化学当量の0.8〜1.6倍とした根拠は以下である。本発明の還元方法では還元性が大きいので本来約1.0で必要充分である。しかし1)出鋼時のCの燃焼損、2)スラグの排出量のバラツキ、3)スラグ成分不均一性、4)分析値が即時に得られないことから統計的に処理しなければならず、経験的にある幅を設けた。0.8以下では製品成分用のSiの一部が還元に消費されて不都合、1.6以上では逆に製品Si%,C%が増加傾向になって不都合になる。
同発明において、減圧下におけるガスバブリングの作業条件の根拠は特許文献2及び3に説明されており特に変わらないので省略する。
第3発明の還元精錬方法は周知事項であるから詳細は省略するが、還元剤の量の下限値は第2発明と同様の理由で同じ値とした。上限値はアーク加熱時の新たな炭材投入によるカーバイド滓の生成の効果により1.2以上では製品Si%,C%が増加傾向になって不都合になるからである。
凝固組織と偏析について補足する。
凝固の進行に伴い前面にはC,Mn,P,S等の溶質元素の濃縮液層が形成される。該層は柱状晶で進行する場合は樹枝状凝固の樹枝間に取り込まれ上記元素は樹枝内とある比率で分配される。即ちミクロ偏析を形成する。柱状晶はセミマクロ的には均質であり、不純物元素は多くの場合合金元素と同様に固溶している。析出相ではないので該ミクロ偏析は有害にはならない。柱状晶から等軸晶に移行すると、以後では液相中で等軸晶核が個別に成長し、中心周辺領域では多孔質の形成と併行して等軸晶を取り囲む濃縮層の集積と流動と行き詰まりが絡み、セミマクロ偏析を形成する。
図3は高炭素鋼ビレットの凝固組織を示す。左図に示すように柱状晶粒界には非金属相の析出が無く、フェライトの析出がある。他方右図に示す中心周辺に位置する等軸晶の粒界にはリン化物、硫化物、炭化物あるいはそれらの固溶体の非金属相が析出する。該相の偏析率と寸法はミクロ偏析を圧倒するものである。該相自体がある種の機械的性質に有害になることもあれば該相の集団が中心偏析として有害な作用を及ぼす。
本発明では、Pは非金属の析出相として現れずに固溶しており、且つ通常より含有量が多いので合金元素としての作用を発現する。含P鋼のように鋼を硬化、脆化、切削性向上、耐蝕性向上、耐摩性向上、焼戻し脆化等の傾向が強められる。
Mnの還元回収の経済性について検討する。
還元剤としてSi、Alと炭材が使用される。Mnの還元過程で酸化鉄、酸化リンも還元され還元剤が消費される。低級酸化物の濃度は約20〜30%と既述したが、該酸化物中のMnOは30〜40%と見なされる。概算としてMn1当量に対し3当量の還元剤が必要になる。
(1)式に示すように本来Mn1kgの還元にSiは28/110×1=0.25kgでよい。即ち質量比で1/4でよい。Siの合金鉄価格はMnのそれより安い。従って操業上3当量を消費してもなお充分引き合う。因みに下記反応は発熱反応であるから電力消費に問題は生じない。
2MnO+Si=2Mn+SiO2 −−−(1)
原子量 28 110
低級酸化物濃度について補足すると、原料及び吹錬に起因するFeOの発生量は相当多いが、吹錬時の熱効率向上のためスラグを発泡させるよう炭材も吹き込まれる。これが意外にもFeOを還元しており、上記濃度範囲で安定操業になっている。
還元剤としてコスト有利な炭材の反応分を増加させると(2)、(3)式に示されるようにSiの消費は削減される。低価格アルミドロスの併用も有利になる。
MnO+C=Mn+CO −−−(2)
MnO+CO=Mn+CO2 −−−(3)
低級酸化物を多量に含有するスラグに炭材を添加して減圧バブリングするとCO発泡反応が促進され該酸化物の還元に作用する。
又伝統的方法であるアーク加熱により還元能を持つ塩基性スラグと炭材を反応させてカーバイド含有スラグに誘導する方法も有効である。第3発明における還元精錬は本方法を踏襲している。本方法は通称LF法と称され、レードル上方をカバーしてアーク加熱しつつ塩基性スラグに炭材を添加して還元精錬する。当該方法においてもMnの大部分は容易に還元回収でき、しかも炭材分の反応分が増加して好ましいが、反応速度が遅いと言う難点がある。
例1: 第2発明の実証試験を行った。30トン電気炉を使用し、原料として全量屑鉄を溶解し、0.8%Cの高炭素鋼の溶製を行った。酸化精錬後炉内スラグの大半を排出、一部を残存させた。残存量を2水準とし、一方は従来作業条件、他方は目分量で従来に2倍とした。次いで両者ともアーク加熱しつつ新たに石灰を約300kg投入してスラグを増量し、還元用炭材を投入したのちレードルに出鋼した。後者に対して出鋼時にはフェロシリコンを5〜10kg通常より増加させてレードルに投入した。出鋼直後のスラグ組成は従来の通常操業では低級酸化物濃度は平均3%、試験では7〜11%の範囲になった。次ぎに該レードルに上下の気密カバーを取付け、水封ポンプにより約0.1気圧に減圧・維持し、流量160Nリッター/分のArガスを約6分吹き込んでガスバブリングし、還元・脱酸・脱硫・脱非金属介在物処理を進めた。精錬終了後のスラグ組成は、10チャージのテストで低級酸化物濃度はすべて1.0%以下に還元されていた。当該レードル精錬方法が低級酸化物の還元に極めて有効であることが解る。
還元によりP濃度は通常の0.010から0.013%へ増加するのに対して0.010から0.017%になった。溶鋼中のMn濃度は0.04%の増加した。
例2: ばね用Si−Cr鋼を対象に同様にCr酸化物の還元試験を行った。Crの酸素との結合力はMnのそれに近い。従来同様の作業において出鋼前に炉内に紛状のCr鉱石(Cr分33%)を0.5%Cr鋼に相当する量450kgだけ炉内に装入(推定低級酸化物濃度は約50%)し、出鋼時には中和用の石灰と、該鉱石中のCrとFeの化学当量分のSiをフェロシリコンの形でレードルに投入した。減圧ガスバブリングによる還元精錬終了後、スラグ中の低級酸化物濃度(FeO+MnO+Cr23)濃度は1.5%に還元されていた。当該レードル精錬方法は低級酸化物の初期濃度が大きくても充分還元されることが解った。
例3: 例1の実験と同様に、酸化精錬後のスラグを目分量で約半分を炉外へ排出、半分を残留させ石灰を約300kg投入して低級酸化物を希釈し、還元用炭材を投入したのちレードルに出鋼した。レードルにおいて同様の還元、脱酸、脱硫処理を行った。還元前Pは0.010%、還元後は0.025%を越える場合があり、JIS硬鋼線材の規格に問題が生じた。Mnの回収は0.1〜0.2%の効果が得られた。復リンを無視するなら0.2〜0.3%Mnの回収は可能との見通しを得た。
本発明によると、屑鉄が含有していたMnの一部は溶鋼中に回収され、合金鉄使用量が節減される。他方で不純物Pも還元回帰し通常の規制値を越える場合も生ずる。
以上は現行のプロセス・設備・作業を部分修正して容易に実施することができる。Pの増加した溶鋼に対して、中心偏析が発生せず、且つ等軸晶間のセミマクロ偏析も発生させない連続鋳造方法(中空鋳片の圧接による中実化)を採用して鋼片を製造することによりPの有害性を解消ないし抑制する。その結果、1)Mn合金鉄の使用量が削減され、2)スラグ量が消費及び廃棄の両面で削減され、3)スラグ量減少による省エネルギーが得られ、4)且つPの合金化作用を誘導・活用することが可能になる。
本発明は文献1の上記連続鋳造方法の効用を新規に拡張する。
本発明を実施する設備群の前半の例の説明図である。 本発明を実施する設備群の後半の例の説明図である。 凝固組織と不純物析出相を示す組織写真である。
符号の説明
1:屑鉄 2:溶解炉 3:アーク 4:酸素ランス 5:スラグ 6:溶鋼 7:レードル 8:下部気密カバー 9:ホッパー 10:排気装置 11:上部気密カバー 12:プラグ 21:溶鋼 22:タンディシュ 23:鋳型 24:鋳片 25:スプレイ冷却装置 26:中空鋳片 27:伸直ロール 28:圧接圧延機 29:中実鋳片

Claims (3)

  1. 屑鉄を主原料とし溶解炉において該原料を熔解し、精錬し、レードルにおいて仕上げ精錬し、次いで連続鋳造する製鋼方法において、1)溶解中及び溶落後に生成し溶鋼上に浮遊しているスラグの過半を炉内に残留させたままP、Mnの酸化処理を含む酸化精錬を行い、2)該精錬後溶鋼と該スラグを共にレードルに出鋼し、3)該レードルにおいて還元精錬して該スラグ中のMn酸化物をMnとして溶鋼中に0.1質量%Mn以上を回収し、次いで4)該溶鋼から下記の連続鋳造方法によって凝固組織がチル晶と柱状晶から成る鋼片を鋳造することを特徴とする製鋼方法。
    記: 溶鋼を下方開放の湾曲鋳型に垂直に鋳込んで鋳片の外皮を形成し、該鋳片を該鋳型下方から連続的に引抜き、該鋳片の中心部が凝固するまでに円弧状に且つ半円を越えさらに鋳込面から大気圧相当静鉄圧高さを越えて上方に引き抜くことによって中空鋳片を形成し、次に該鋳片をロールによって圧下して中空内面を互いに圧接して中実鋳片とする連続鋳造方法であって、該方法において鋳込温度を過熱度で20〜50℃と設定することを特徴とする連続鋳造方法。
  2. 還元精錬の方法が、出鋼時に還元剤としてSi含有材、Al含有材及び炭材の1種以上をレードルに投入し、該還元剤の投入量をスラグ中のFeO、MnO、P25の化学当量の和の0.8〜1.6倍とし、その後、該スラグで覆われた溶鋼中に該レードル底面より精錬用ガスを5〜20Nリットル/分/溶鋼トンの割合で吹き込んでガスバブリングしつつ溶鋼上方の雰囲気圧を6〜40kPaに減圧・維持することを特徴とする請求項1に記載の製鋼方法。
  3. 還元精錬の方法が、出鋼時に還元剤としてSi含有材、Al含有材及び炭材の1種以上をレードルに投入し、該還元剤の投入量をスラグ中のFeO、MnO、P25の化学当量の和の0.8〜1.2倍とし、その後、アーク加熱用電極を保持したカバーにより該レードルの上方を覆い、該スラグで覆われた溶鋼中に該レードル底面より精錬用ガスを吹き込んで撹拌し、溶鋼上方より炭材投入とアーク加熱によりカーバイド・スラグを生成しつつ還元することを特徴とする請求項1に記載の製鋼方法。
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