JP4074173B2 - 押釦スイッチ用部材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、固定電極と接触する金属接点を備えた押釦スイッチ用部材に関し、特に固定電極と金属接点の間に絶縁性の微小な異物が存在しても導電障害を起こし難い押釦スイッチ用部材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の押釦スイッチ用部材としては、所定形状のシリコーンゴム製ゴム接点本体の一部に、洋白に金メッキを施した金属板にゴム層を積層した積層体を所定形状に打ち抜いた金属接点を設けたものがある(特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭63−96822号公報(第1図)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような単なる板状の金属接点を設けた押釦スイッチ用部材では、金属板自体の強度が高くて変形し難いため、製造工程中に塵や埃等の絶縁性の微小な異物が金属接点と固定電極との間に侵入した場合には、金属板が異物の形状に応じて変形することができず、広い範囲で間隙が生じてしまい、そのため金属接点と固定電極との接触面積が大幅に減少して、押釦スイッチの導通不良を生じ易いといった問題点があった。
【0005】
そこで、この発明では、押釦スイッチ用部材の金属接点と固定電極との間に絶縁性の微小な異物が存在しても接触面積を著しく減少することなく導通障害を起こし難い、押釦スイッチ用部材及びその製造方法を提供することとを課題とする。
【0006】
他の課題は、金属接点と押釦スイッチ用部材との一体成形時に押釦スイッチ用部材の樹脂材料が接触面側に被ることで成形不良を生じることのない押釦スイッチ用部材及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上のような課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、固定電極と接触し得る接触部を有する金属接点と該金属接点が接合される弾性材料からなる本体とを備えた押釦スイッチ用部材であって、前記金属接点は、前記本体と接合する接続仕切膜を有し、該接続仕切膜には前記接触部が突設しており、該接触部には微小な異物が入り得る複数の独立した同一形状の凹部が形成されているとともに、隣り合う前記凹部同士は連続した金属壁で仕切られていることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記金属接点が延性を有する金属材料であって、前記接続仕切膜の厚さが50μm以下であることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加えて、前記金属接点の接続仕切膜には、前記押釦スイッチ用部材の本体と同様の組成を有する弾性部材が設けられていることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、固定電極と接触し得る接触部を有する金属接点と該金属接点が接合される弾性材料からなる本体とを備えた押釦スイッチ用部材の製造方法であって、金属シートの一方の面にエッチング加工又はプレス加工により前記接触部に微小な異物が入り得る複数の独立した同一形状の凹部を形成するとともに、前記凹部同士は連続した金属壁で仕切られるようにする工程と、前記金属シートの他方の面に弾性シートを積層し加熱加圧して弾性シート付き金属シートを製作する工程と、該弾性シート付き金属シートから所定平面形状の接点構造体を分離する切断工程と、分離切断した前記接点構造体を前記押釦スイッチ用部材に接合する工程とを有することを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の構成に加えて、前記切断工程は、ダイセットに備え付けられたポンチとダイスとによる打ち抜き加工を行うものであって、前記弾性シート付き金属シートから前記接点構造体を打ち抜く際に、前記弾性シートに前記ポンチを宛い、前記ポンチの周囲の前記弾性シートを加圧しつつ前記ポンチの下部に対応する前記金属シートの部位を前記ポンチの動きに連動して下降する支持部材で支持するようにしたことを特徴としている。
【0013】
以下、この発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、この発明の実施の形態に係る押釦スイッチ用部材の要部断面図である。図2は、この発明の実施の形態に係る押釦スイッチ用部材の接点構造体の要部断面図である。
【0015】
押釦スイッチ用部材1は、図1に示したように、押圧操作部2と本体3とをドーム状の薄膜4で接続した形態にシリコーンゴムやシリコーン樹脂等の弾性材料で一体成形される。
【0016】
本体3は固定基板5上に固定されるが、固定基板5には予め所定の電気回路が印刷されており、その電気回路を接続又は遮断することのできるスイッチ回路を構成するため、押圧操作部2の下面には固定基板5上の固定電極6と接触することのできる金属接点7が設けられている。
【0017】
金属接点7は、固定電極6と接触する接触部8と、この接触部8の反対側に押釦スイッチ用部材1の本体3と接合するための接続仕切膜9を有している。より具体的には、押圧操作部2に対応する押釦スイッチ用部材1の本体3の下面に設けられた押圧凸部10に、金属接点7が接続仕切膜9を介して固定されている。
【0018】
金属接点7は後述する実施例で示すように50〜100μm程度といった極めて薄く変形し易いものであるため、それ自体では取り扱いが面倒である。そこで、押釦スイッチ用部材1の本体3との一体化を容易にすることをも考慮し、押釦スイッチ用部材1の本体3と接着性のよい押釦スイッチ用部材1の本体3と同様の組成からなる弾性部材11を接続仕切膜9に設けている。以下、金属接点7と弾性部材11とを一体にしたものを接点構造体12ということとする。
【0019】
なお、接続仕切膜9は必ずしも充実体でなくてもよく、金属接点7と弾性部材11とを一体成形する際に、弾性部材11が接触面8を被うことのない程度の孔があいていてもよい。
【0020】
図3は、金属接点の接触面側から見た平面図であり、接触部に独立した凹部が形成されている場合を示している。
【0021】
接触部8に複数の独立した凹部13を設けた場合には、図3に示したように、各凹部13同士の間に連続した金属壁26の先端表面で接触面が構成される。
【0022】
独立した凹部13は、その横断面が正三角形、正四角形、正六角形であれば接触部8に稠密に複数配列することができるので、望ましい。しかし、これに限らず、この発明の目的を達成することができる範囲で円形、楕円形、正八角形の他、他の横断面形状を使用することができる。
【0023】
次に、この発明の実施の形態に係る押釦スイッチ用部材の使用状態について説明する。
【0024】
図5は、微小な異物が金属接点と固定電極との間に侵入した場合の説明図であり、(a)は金属接点の凹部に異物が入った場合を示し、(b)は金属接点の接触面の先端に異物が入った場合を示している。
【0025】
図5(a)に示したように、凹部13の横断面の面積より小さな外形寸法を有する異物15が凹部13に入った場合には、凹部13に異物15が収まるため、金属接点7の接触面8の全面が固定電極6に接触することができるから、導通性能に変わりなく通常通り使用できる。
【0026】
図5(b)に示したように、金属接点7の接触部8の先端と固定電極6との間に異物15が挟まった場合には、異物15の直上の金属接点7の薄肉の接続仕切膜9とこの接続仕切膜9と一体となっている弾性部材11の一部が弾性変形して僅かに上昇することになる。この場合、異物15が接触している接触部8の一部が固定電極6に接触できないことになっても、接触部8のその他の部分は固定電極6に接触することができ、固定電極6と接触部8との接触面積の減少を最小限に留めることができる。したがって、金属接点7の接触部8の先端と固定電極6との間に異物15が挟まった場合でも、導通しないことや導通性能を著しく低下させることにはならない。
【0027】
以下、この発明の実施の形態に係る押釦スイッチ用部材の製造方法について説明する。
【0028】
まず、金、金合金、銀、銀合金、銅、銅合金(洋白、燐青銅等)、ステンレス、ニッケル、ニッケル合金、バラジウム合金等の導電性が良好な金属材料からなる金属シートの一方の面17に多数の独立した凹部13を有する接触部8を形成する。ここで、金属シートに腐食し易いものを使用する場合には、接触部8の先端に金又は金合金等の腐食し難い材料によるメッキ処理を行えばよい。好ましくは、延性があり弾性変形容易な耐食性のよい洋白にニッケルメッキの下地を施した後に、金メッキを施したものがよい。
【0029】
金属シートの一方の面17に独立した凹部13を形成するには、エッチング加工又はプレス加工やその他の手段により所望の形状に加工すればよい。
【0030】
エッチング加工の場合には、図2及び図3に示したように、当初の金属シートの厚みが金属接点7の全高となり、その厚みの中で独立した凹部13が彫り込まれ、その残りの部分が接続仕切膜9となる。接続仕切膜9の厚さtは、接触部8に異物15が侵入した場合に接触部8の一部が容易に変形でき、かつその変形した部分が容易に弾性復元できることを目的として決定される。例えば、エッチング加工により独立した凹部13を形成する場合であって、金属接点7は、独立した凹部13の形状と大きさにもよるが、接触仕切膜9の厚さtは50μm以下がよく、より好ましくは10〜20μmとするとよい。また、独立した凹部13の高さは、金属接点7部に侵入する異物15の大きさや凹部13の横断面の面積にもよるが、20〜70μmが好ましい。したがって、エッチング加工前の金属シートの厚さは30〜90μmのものを使用すればよい。
【0031】
プレス加工の場合には、例えば、金属シートの一方の面17からポンチを押し込んで独立した凹部13を形成すると、他方の面18に独立した凹部13の高さとほぼ等しい高さの突起19が張り出すことになるから、金属接点7の全高は加工前の金属シートの厚みより大きくなる。したがって、加工前の金属シートの厚さは、エッチング加工するものに比べて薄くてよく、30〜50μmのものを使用すればよい。
【0032】
ここで、金属シートをプレス加工した場合の接続仕切膜9とは、接触面側の金属壁26と他方の面18に張り出している突起19を取り去った状態を想定したものであって、この接続仕切膜9から何ら突設物のない薄板状の厚さを持って接続仕切膜9の厚さtとしている。
【0033】
金属シートの一方の面17に接触部8の加工が済んだら、次に、接触部8の反対側に当たる金属シートの他方の面18に、押釦スイッチ用部材1の本体2と同様の組成を有する弾性シート(弾性部材)11を積層し加熱加圧して弾性シート付き金属シートを製作する。ここで、エッチング加工された金属シートの場合は弾性シート11と接触する部分が平面であるが、プレス加工された金属シートの場合は弾性シート側に複数の突起19が食い込む状態となる。したがって、プレス加工された金属シートを使用した場合の方が、エッチング加工された金属シートを使用した場合より弾性シート11との接触面積が大きくなり、結果として、金属シートと弾性シート11と接着強度の高いものが得られる。また、エッチング加工よりプレス加工の方が一般に製造単価が安いため、プレス加工された金属シートと弾性シート11との組み合わせものの方が製造コストが安くなる利点がある。
【0034】
ただし、図6に示したように、プレス加工された金属シートを使用した場合は、金属シートの他方の面18に複数の突起19を有し、この複数の突起19が弾性シート11に食い込んでいるので、接続仕切膜9の厚さtは、独立した凹部13又は連続した凹部14の全高を同一にした場合は、接触部8の弾性変形の度合いがエッチング加工された金属シートを使用した場合より小さくなる。したがって、金属シートをエッチング加工によるかプレス加工によるかで、使用する弾性シート11の硬度を変える等の配慮が必要となる。
【0035】
弾性シート付き金属シートが完成したら、次に、弾性シート付き金属シートから所定平面形状の接点構造体12を分離するため打ち抜き加工等による切断作業を行う。
【0036】
切断作業においては、図7に示したように、ダイセットに備え付けられたポンチPとダイスDとによる打ち抜き加工を行うが、弾性シート付き金属シートから接点構造体12を打ち抜く際に、ポンチPの周囲をセット治具16で加圧しつつポンチPの下部に対応する金属シートの部位をポンチPの動きに連動して下降する支持部材21で支持するとよい。これにより、接点構造体12の切断時に生じる応力による変形を極力抑えることができ、接点構造体12の平坦度が確保される。
【0037】
接点構造体12は、図8に示したように、押釦スイッチ用部材1の押圧操作部2に対応する押圧凸部10と一体化させるため、接点構造体12及び押釦スイッチ用部材1の形状の彫り込みのある雌側金型22と雄側金型23とからなる一対の圧縮成形金型24に、まず押圧凸部用穴25に金属接点7を金型側に向けて接点構造体12を挿入し、その上からシリコーンゴム等の弾性材料を装入し、型締めして加熱加圧することで接点構造体12の弾性部材11の部分が押圧凸部10と一体的に接合され、金属の接点構造体12を有する押釦スイッチ用部材1を得る。
【0038】
なお、上述した実施の形態では、押圧操作部2に対応する押圧凸部10を有する押釦スイッチ用部材1について説明したが、これに限らず、押圧操作部2の下面に押圧凸部10がない押釦スイッチ用部材1についてもこの発明は適用できる。その場合には、押圧操作部2に対応する押釦スイッチ用部材1の本体3に接点構造体12を直接接合するようにすればよい。
【0039】
さらに、上述した実施の形態では、押釦スイッチ用部材1の本体3に接点構造体12を接合する方法として、押釦スイッチ用部材1と接点構造体12とを圧縮成形金型で一体成形する方法について説明したが、これに限らず、押釦スイッチ用部材1の弾性材料の種類に応じて適宜他の方法を採用すればよい。例えば、弾性材料が熱可塑性樹脂であれば射出成形金型による一体成形が考えられる。一体成形に拘らなければ、押釦スイッチ用部材1と接点構造体12とそれぞれ別個に成形し、両者を接着剤で接合するようにしてもよい。
【0040】
【実施例】
次に、この発明の実施例と比較例及びこれらを使用した試験結果について説明する。
【0041】
[実施例1]
厚さ50μmの洋白からなる金属シートの一方の面17をエッチング加工することにより、図3に示したような、接触部8に高さ30μmの横断面が正六角形をした独立した凹部13を等間隔に複数形成した。このとき、接続仕切膜9の厚さtは20μmとなる。
【0042】
金属シートの独立した凹部13同士の間に介在する金属壁26の厚さは40μmとして、独立した凹部13の横断面の対辺間距離(以下、これを凹部空間幅という。)を130μmとしたとき、接触部8の平面から見た投影面積とエッチング加工により削除された複数の独立した凹部13の平面から見た総投影面積の比を百分率で表したものを開口率とすると、実施例1の金属シートの開口率は約60%となる。
【0043】
次に、エッチング加工の済んだ金属プレートの接触部8の先端表面(金属壁26の先端表面)にニッケルメッキの下地を施し、その上から金メッキを施した。
【0044】
次に、接触部8の反対側に当たる金属シートの他方の面18にプライマー(信越化学工業(株)製、No.25)27を塗布し、180℃で1時間かけて乾燥させた。
【0045】
その後、金属シートのプライマー27の塗布面に、シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業(株)製、KE−951U)を100重量部に対して、架橋剤(信越化学工業(株)製、C−8)を2重量部配合したシリコーンゴムシート(弾性シート)11を積層し、160℃で5分間加熱圧縮成形してシリコーンゴムシート11と一体化して弾性シート付き金属シートを得た。
【0046】
弾性シート付き金属シートから平面形状が直径3mmの円形をした接点構造体12を打ち抜き加工にて切断した。
【0047】
次に、接点構造体12及び押釦用カバー部材1の形状の彫り込みのある雌側金型22と雄側金型23とからなる一対の圧縮成形金型24に、まず押圧凸部用穴25に金属接点7を金型側に向けて接点構造体12を挿入し、その上からシリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業(株)製、KE−941U)を100重量部に対して、架橋剤(信越化学工業(株)製、C−8)を2重量部配合したシリコーンゴムシート(弾性シート)11を装入し、型締めして170℃で5分間の加熱加圧することで金属の接点構造体12を有する押釦用カバー部材1を製作し、これを実施例1のNo.1とした。
【0048】
また、実施例1のNo.1の金属シートの厚みを80μmとし接続仕切膜9の厚みtを50μmとしたものを実施例1のNo.2とし、金属シートの厚みを100μmとし接続仕切膜9の厚さtを70μmとしたものを実施例1のNo.3とし、金属シートの厚さを40μmとし接続仕切膜9の厚さtを10μmとしたものを実施例1のNo.4とした。
【0052】
[実施例2]
厚さ50μmの洋白からなる金属シートの一方の面17からポンチを当ててプレス加工し、図6に示したような、接触部8に高さ40μmの直径220μmの独立した凹部13を等間隔に複数形成した。このとき、接続仕切膜9の厚さtは10μmとなる。
【0053】
ここで、金属シートをプレス加工した場合の接続仕切膜9とは、接触面側の金属壁26と他方の面18に張り出している突起19を取り去った状態を想定したものであって、この接続仕切膜9から何ら突設物のない想定した薄板状の膜体の厚さを持って接続仕切膜9の厚さtとしている。
【0054】
金属シートの独立した凹部13同士の間に介在する金属壁26の厚さは50μmとして、独立した凹部13の横断面の直径は220μmであるから、接触部8の平面から見た投影面積とプレス加工により作られた独立した凹部13の平面から見た総投影面積の比を百分率で表したものを開口率とすると、実施例3の金属シートの開口率は約60%となる。
【0055】
その他の条件については、実施例1と同様であるため、その説明を省略する。
【0056】
[実施例3]
厚さ50μmのSUS304からなる金属シートの一方の面17をエッチング加工することにより、図3に示したような、接触部8に高さ40μmの横断面が正六角形をした独立した凹部13を等間隔に複数形成した。このとき、接続仕切膜9の厚さtは10μmとなる。
【0057】
その他の条件については、実施例1と同様であるため、その説明を省略する。
【0058】
[比較例1]
厚さ50μmの洋白からなる金属シートに何ら加工しない接触部8が凹凸のない平坦面であるものを使用した。したがって、比較例1の場合の開口率は0%である。
【0059】
その他の条件については、実施例1と同様であるため、その説明を省略する。
【0060】
[試験とその結果]
以上のような実施例1乃至3と比較例1について、以下のような試験を行った。
【0061】
接点構造体12の接触部8と固定電極6との間に絶縁性の異物15として粒径100μmのガラスビーズを5個/直径3mmの円形面積、10個/直径3mmの円形面積、20個/直径3mmの円形面積の3種類の密度で均一に分布させて配置し、固定電極に直流12V、500mAの負荷をかけて打鍵試験を行い、その際の電圧降下値を測定する試験方法を採用した。なお、打鍵条件は荷重500gで1回/秒で500回とした。
【0062】
判定基準は、電圧降下値の測定値なし(非導通)の場合、又は測定値の読み取り不可能(接触不安定)の場合をNGとした。また、絶縁性の異物15が20個/直径3mmの円形面積でも導通可能な場合を◎、10個/直径3mmの円形面積でも導通可能であるが20個/直径3mmの円形面積でNGの場合を○、5個/直径3mmの円形面積でNGの場合を×として判定した。
【0063】
以上のような試験方法及び判定基準により、表1に示したような試験結果を得た(表中の数字の単位はすべてμmである)。
【0064】
試験結果としては、エッチング加工により接触部8に独立した凹部13を形成した接続仕切膜9の厚さtが20μmである実施例1のNo.1と、接続仕切膜9の厚さが10μmである実施例1のNo.4とは、絶縁性の異物15が20個/直径3mmの円形面積でも導通可能であった。また、エッチング加工により接触部8に独立した凹部13を形成した接続仕切面9の厚みが50μmである実施例1のNo.2とプレス加工により接触部8に独立した凹部13を形成した接続仕切膜9の厚さtが10μmである実施例2と、金属シートがステンレスでエッチング加工により接触部8を独立した凹部13を形成した接続仕切膜9の厚さtが10μmである実施例3とは、10個/直径3mmの円形面積でも導通可能であるが20個/直径3mmの円形面積では接触部8と固定電極6との接触が不安定であった。また、エッチング加工により接触部8に独立した凹部13を形成した接続仕切膜9の厚さが70μmである実施例1のNo.3と接触部8に何ら凹凸のない平坦面の厚さが50μmである比較例1とは、5個/直径3mmの円形面積で接触部8と固定電極6との接触が不安定であった。
【0065】
この試験結果から判断すると、繰り返し使用した場合に10個/直径3mmの円形面積以上で導通可能であるものを実用的な範囲であると仮定した場合には、導電障害を起こし難くくするための効果的な接触部8の局所的な弾性変形が得られるためには、接続仕切膜9の厚さtが50μm以下であることが望ましく、プレス加工により接触部8に凹部又は凸部を形成した場合には接続仕切膜9の厚さtが10μm以下であることが望ましいといえる。
【0066】
【表1】
【0067】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1に記載された発明によれば、金属接点は、本体と接合する接続仕切膜を有し、該接続仕切膜には接触部が突設しており、該接触部には微小な異物が入り得る複数の独立した同一形状の凹部が形成されているとともに、隣り合う凹部同士は連続した金属壁で仕切られているので、固定電極に押釦スイッチ用部材を接触させた際、固定電極と金属接点との接触面の凹部に絶縁性の異物が存在しても、凹部の横断面積より小さい絶縁性の異物は凹部に入り込むことができ、金属接点の接触面と固定電極との接触面積を減少させることがなく、また、隣接する凹部を仕切る金属壁に跨って絶縁性の異物が存在していても、金属接点の変形が容易であるため、金属接点が絶縁性の異物に応じて局部的に変形することができ、接触面積を大幅に減少させることがない。そのため、金属接点と固定電極との間に絶縁性の異物が存在しても、導通に有効な接触面積を確保することができるので導電障害を起こし難い。
さらに、金属接点の接触部は接続仕切膜で押釦スイッチ用部材の本体と仕切られているため、金属接点と弾性部材との一体成形時に弾性部材の樹脂材料が接触面側に被ることがないから、成形不良による導通性能の低下が防止できる。
【0068】
請求項2に記載の発明によれば、金属接点が延性を有する金属材料であって、接続仕切膜の厚さが50μm以下であるので、請求項1の効果に加えて、接触部の局部的な弾性変形の性能をより確実に実現できる。
【0069】
請求項3に記載の発明によれば、金属接点の接続仕切膜には、押釦スイッチ用部材と同様の組成を有する弾性部材が設けられているので、接点構造体と押釦スイッチ用部材との接合強度が高いものが得られるから、請求項1又は2のいずれかの効果に加えて、より信頼性の高い押釦スイッチ用部材が得られる。
【0070】
請求項4に記載の発明によれば、金属シートの一方の面にエッチング加工又はプレス加工により接触部に微小な異物が入り得る複数の独立した同一形状の凹部を形成するとともに、隣り合う凹部同士が連続した金属壁で仕切られるようにする工程と、金属シートの他方の面に弾性シートを積層し加熱加圧して弾性シート付き金属シートを製作する工程と、該弾性シート付き金属シートから所定平面形状の接点構造体を分離する切断工程と、分離切断した接点構造体を押釦スイッチ用部材に接合する工程とを有するので、一般的な製造技術で導通障害の起こり難い金属接点を備えた押釦スイッチ用部材が得られる。
【0071】
請求項5に記載の発明によれば、切断工程は、ダイセットに備え付けられたポンチとダイスとによる打ち抜き加工を行うものであって、弾性シート付き金属シートから接点構造体を打ち抜く際に、弾性シートにポンチを宛い、ポンチの周囲の弾性シートを加圧しつつポンチの下部に対応する金属シートの部位をポンチの動きに連動して下降する支持部材で支持するようにしたので、切断時に生じる応力による変形を極力抑えることができるため、請求項4の効果に加えて、接点構造体の平坦度が確保されることとなるから、押釦スイッチ用部材との一体化作業を正確に、かつ円滑に行うことができ、生産性及び製品の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態に係る押釦スイッチ用部材の要部断面図である。
【図2】同押釦スイッチ用部材の接点構造体の要部縦断面図である。
【図3】同押釦スイッチ用部材の金属接点の接触面側から見た平面図であり、接触部に独立した凹部が形成されている場合を示している。
【図4】同押釦スイッチ用部材に微小な異物が金属接点と固定電極との間に侵入した場合の説明図であり、(a)は金属接点の凹部に異物が入った場合を示し、(b)は金属接点の接触部の先端に異物が入った場合を示している。
【図5】同押釦スイッチ用部材の接点構造体の要部縦断面図であり、接触部に独立した凹部をプレス加工により形成した場合を示している。
【図6】押釦スイッチ用部材の打ち抜き加工方法を示した説明図である。
【図7】同押釦スイッチ用部材の製造方法を示した金型断面の説明図である。
【符号の説明】
1 押釦スイッチ用部材
2 押圧操作部
3 本体
6 固定電極
7 金属接点
8 接触部
9 接続仕切膜
10 押圧凸部
11 弾性部材(弾性シート)
12 接点構造体
13 独立した凹部
15 異物
16 セット治具
17 金属シートの一方の面
26 金属壁
Claims (5)
- 固定電極と接触し得る接触部を有する金属接点と該金属接点が接合される弾性材料からなる本体とを備えた押釦スイッチ用部材であって、
前記金属接点は、前記本体と接合する接続仕切膜を有し、該接続仕切膜には前記接触部が突設しており、該接触部には微小な異物が入り得る複数の独立した同一形状の凹部が形成されているとともに、隣り合う前記凹部同士は連続した金属壁で仕切られていることを特徴とする押釦スイッチ用部材。 - 前記金属接点が延性を有する金属材料であって、前記接続仕切膜の厚さが50μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の押釦スイッチ用部材。
- 前記金属接点の接続仕切膜には、前記押釦スイッチ用部材の本体と同様の組成を有する弾性部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の押釦スイッチ用部材。
- 固定電極と接触し得る接触部を有する金属接点と該金属接点が接合される弾性材料からなる本体とを備えた押釦スイッチ用部材の製造方法であって、金属シートの一方の面にエッチング加工又はプレス加工により前記接触部に微小な異物が入り得る複数の独立した同一形状の凹部を形成するとともに、隣り合う前記凹部同士は連続した金属壁で仕切られるようにする工程と、前記金属シートの他方の面に弾性シートを積層し加熱加圧して弾性シート付き金属シートを製作する工程と、該弾性シート付き金属シートから所定平面形状の接点構造体を分離する切断工程と、分離切断した前記接点構造体を前記押釦スイッチ用部材に接合する工程とを有することを特徴とする押釦スイッチ用部材の製造方法。
- 前記切断工程は、ダイセットに備え付けられたポンチとダイスとによる打ち抜き加工を行うものであって、前記弾性シート付き金属シートから前記接点構造体を打ち抜く際に、前記弾性シートに前記ポンチを宛い、前記ポンチの周囲の前記弾性シートを加圧しつつ前記ポンチの下部に対応する前記金属シートの部位を前記ポンチの動きに連動して下降する支持部材で支持するようにしたことを特徴とする請求項4に記載の押釦スイッチ用部材の製造方法。
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