JP4074102B2 - 流量計測方法及び流量計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、流量計測方法及び流量計測装置に係わり、特に、流体を加熱または冷却する熱源と、流体の温度を計測する温度センサとを備えたフローセンサを制御して、流体の流量を計測するための流量計測方法及び当該方法を実施した流量計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図14に従来の熱型のマイクロフローセンサの構成図を示す。同図に示すように、マイクロフローセンサ1は、図14中断面で示すガス流路10の内壁に配設されており、半導体基台11と、この半導体基台11上に形成された不図示の薄膜層と、この薄膜層上に形成された上流側、下流側サーモパイル12、13及び加熱用のヒータ抵抗器14とを備えている。また、上述した上流側サーモパイル12、ヒータ抵抗器14、下流側サーモパイル13は、この順で、ガス流路10内を流れるガスの流れ方向Dに沿って、等間隔に配列されている。
【0003】
上述した構成のマイクロフローセンサ1の原理について以下説明する。ヒータ抵抗器14は、駆動電流の通電に応じて、加熱を開始する。この結果、ガス流路10にガスが流れていないときは、ヒータ抵抗器14付近のガスに熱が伝わり、該ヒータ抵抗器14付近の上流側、下流側の温度分布は、対称分布となる。つまり、上流側、下流側サーモパイル12、13付近の温度が等しい温度に上昇するため上流側、下流側サーモパイル12、13の熱起電力はほぼ等しくなり、上流側、下流側サーモパイル12、13の熱起電力の差はほぼ0となる。
【0004】
今、ヒータ抵抗器14が通電している間、図14の流れ方向Dに向かってガスが流れると、上流側は冷却され降温する。一方、下流側はガスの流れを媒体としてヒータ抵抗器14から熱伝導が促進され昇温する。この結果、ヒータ抵抗器14の上流側サーモパイル12はガスの流れにより、降温されるためその熱起電力が減少し、一方、下流側サーモパイル13はガスの流れにより、昇温されるためその熱起電力が増加する。流速が増加すると、これに伴って上述した降温分と昇温分も増加するので、上流側、下流側サーモパイル12、13が発生する熱起電力の差は流速に応じた出力となる。
【0005】
そこで、従来の流量計測装置は、上述した上流側、下流側サーモパイル12、13が発生する熱起電力の差に、ガス流路10の断面積などの係数を乗じて流量を演算していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図14に示すようなマイクロフローセンサ1にあっては、ガス流路10を流れる流体の種類や組成が変わると、上記熱起電力の出力特性も変化してしまう。すなわち、流体の種類や組成が変わると、熱伝導率や比熱、粘性、密度等の流体の物性値が変わるため、ヒータ抵抗器14で加熱された流体の温度分布が変化して、同じ流量の流体を流しても、その流体の種類や組成によって、熱起電力が変化してしまう。
【0007】
このため、図15に示すように、ガス種Eの体積流量を計測したときに器差が、ほぼ全流域において、実線で示す検定時の許容器差内となる体積流量演算を行う流量計測装置を用いて、別のガス種A〜Cの体積流量を計測すると、その器差が、上記検定時の許容器差内だけでなく、点線で示す使用時の許容器差をも大きく越えてしまい、このままでは製品として出荷することができない。図16に、ガス種A〜Eの成分の一例を示す。すなわち、従来では、流路に流れるガスの種類や組成が変わってしまうと、流量計測精度が悪化するという問題があった。また、従来では、計測するガスを特定し、特定したガス種や組成に応じた流量演算を行う流量計測装置も考えられいた。しかしこの場合、ガス毎に流量演算式の係数を変える必要があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、流路に流れる流体の物性値が変わっても、正確に流量を計測することができる流量計測方法及び当該流量計測方法を実施した流量計測装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、流路に流れる流体を、該流体を間欠的に加熱または冷却する熱源と、前記流体の温度を計測する温度センサとを備えたフローセンサを制御し、前記熱源の加熱または冷却開始から、予め定めた計測時間経過したときに得られる、前記温度センサが計測した流体温度、または、該流体温度に応じた値であるセンサ出力に基づき、物性値の異なる2つの流体流量を計測するための流量計測方法であって、前記2つの流体は、前記流路に前記流体の一方を流した時に得られる前記センサ出力と、前記流路に前記他方の流体を、前記一方の流体と同一流量、流した時に得られるセンサ出力とが、前記熱源の加熱または冷却開始から所定のクロス時間経過後に等しくなるクロスポイントを有し、前記計測時間は、予め求められた前記クロス時間に定められていることを特徴とする流量計測方法に存する。
【0010】
請求項4記載の発明は、流路に流れる流体を、該流体を間欠的に加熱または冷却する熱源と、前記流体の温度を計測する温度センサとを備えたフローセンサを制御し、前記熱源の加熱または冷却開始から、予め定めた計測時間経過したときに得られる、前記温度センサが計測した流体温度、または、該流体温度に応じた値であるセンサ出力に基づき、物性値の異なる2つの流体流量を演算する流量演算手段を備えた流量計測装置であって、前記2つの流体は、前記流路に前記流体の一方のみを流した時に得られる前記センサ出力と、前記流路に前記他方の流体のみを、前記一方の流体と同一流量、流した時に得られるセンサ出力とが、前記熱源の加熱または冷却開始から所定のクロス時間経過後に等しくなるクロスポイントを有し、前記計測時間は、予め求められた前記クロス時間に定められていることを特徴とする流量計測装置に存する。
【0011】
請求項1及び4記載の発明によれば、熱源の加熱または冷却に応じた流体温度の飽和温度がそれぞれ異なる2つの流体であっても、流路に一方の流体のみを流したときの流体温度、または、流体温度に応じた値であるセンサ出力と、流路に他方の流体のみを、一方の流体と同一流量、流したときのセンサ出力とが、熱源の加熱または冷却開始から所定のクロス時間経過後に等しくなれば、熱源の加熱または冷却開始から、クロス時間経過したときに得られるセンサ出力は、流路に流れている流体によって変動することなく、流量のみによって変動する。以上のことに着目して、予め求めたクロス時間を、計測時間として定め、熱源の加熱または冷却開始から、クロス時間経過したときに得られるセンサ出力に基づき、流量を演算する。
【0012】
従って、物性値が異なり、同じ流量を流したときの熱源の加熱または冷却に応じた流体温度の飽和温度が異なる2つの流体であっても、センサ出力が同一の値となるクロスポイントを計測することにより、流路に流れている流体によって変動することなく、流体の流量のみによって変動するセンサ出力に基づき、流量を演算することができる。
【0013】
請求項2記載の発明は、流路に流れる流体を、該流体を間欠的に加熱または冷却する熱源と、前記流体の温度を計測する温度センサとを備えたフローセンサを制御し、前記熱源の加熱または冷却開始から、予め定めた計測時間経過したときに得られる、前記温度センサが計測した流体温度、または、該流体温度に応じた値であるセンサ出力に基づき、主流体及び該主流体とは異なる物性値を有する複数の副流体の流量を計測するための流量計測方法であって、前記複数の副流体の各々は、前記流路に当該副流体のみを流した時の前記センサ出力と、前記流路に前記主流体のみを、前記副流体と同一流量、流した時の前記センサ出力とが、前記熱源の加熱または冷却開始から所定のクロス時間経過後に等しくなるクロスポイントを各々有し、前記計測時間は、予め求められた各々の前記クロス時間のうち、最も短い時間以上、最も長い時間以下の範囲で定められていることを特徴とする流量計測方法に存する。
【0014】
請求項5記載の発明は、流路に流れる流体を、該流体を間欠的に加熱または冷却する熱源と、前記流体の温度を計測する温度センサとを備えたフローセンサを制御し、前記熱源の加熱または冷却開始から、予め定めた計測時間経過したときに得られる、前記温度センサが計測した流体温度、または、該流体温度に応じた値であるセンサ出力に基づき、主流体及び該主流体とは異なる物性値を有する複数の副流体の流量を演算する流量演算手段を備えた流量計測装置であって、前記複数の副流体の各々は、前記流路に当該副流体のみを流した時の前記センサ出力と、前記流路に前記主流体のみを、前記副流体と同一流量、流した時の前記センサ出力とが、前記熱源の加熱または冷却開始から所定のクロス時間経過後に等しくなるクロスポイントを有し、前記計測時間は、予め求められた各々の前記クロス時間のうち、最も短い時間以上、最も長い時間以下の範囲に定められていることを特徴とする流量計測装置に存する。
【0015】
請求項2及び5記載の発明によれば、複数のクロスポイントに対応するクロス時間のうち、最も短い時間以上、最も長い時間以下の範囲には、流体の物性値によってほとんど変動することなく、流量によってのみ変動するセンサ出力が得られる計測時間がある。また、センサ出力を得るタイミングである計測時間を、各クロスポイントに対応するクロス時間の中から、熱源の加熱または冷却が開始される毎に、変えるなどして、流体の物性値に依存して大きな誤差を含んだセンサ出力及び上記誤差を含んでいないセンサ出力の両者に基づき、流量を演算すれば、流体の物性値に依存して大きな誤差を含んだセンサ出力にのみ基づき、流量を演算する場合に比べて、流体の物性値に依存する計測誤差を小さくすることができる。以上のことに着目し、予め求められた複数のクロス時間のうち、最も短い時間以上、最も長い時間以下の範囲で、計測時間を定め、熱源の加熱または冷却開始から、計測時間経過したときに得られるセンサ出力に基づき、流量を演算する。
【0016】
従って、複数のクロスポイントに対応するクロス時間のうち、最も短い時間以上、最も長い時間以下の範囲で定めた計測時間経過したセンサ出力に基づき、流量を演算することにより、流路に流れている流体の物性値によって変動することがないセンサ出力に基づき、流量を演算することができる。
【0017】
請求項3記載の発明は、流路に流れる流体を、該流体を間欠的に加熱または冷却する熱源と、前記流体の温度を計測する温度センサとを備えたフローセンサを制御し、前記熱源の加熱または冷却開始から、予め定めた計測時間経過したときに得られる、前記温度センサが計測した流体温度、または、該流体温度に応じた値であるセンサ出力に基づき、物性値の異なる少なくとも3つ以上の流体流量を計測するための流量計測方法であって、前記3つ以上の流体の各々は、前記流路に当該流体のみを流した時の前記センサ出力と、前記流路に当該流体以外の他の流体を、当該流体と同一流量、流した時の前記センサ出力の少なくとも1つとが、前記熱源の加熱または冷却開始から所定のクロス時間経過後に等しくなるクロスポイントを有し、前記計測時間は、予め求められた各々の前記クロス時間のうち、最も短い時間以上、最も長い時間以下の範囲で定められていることを特徴とする流量計測方法に存する。
【0018】
請求項6記載の発明は、流路に流れる流体を、該流体を間欠的に加熱または冷却する熱源と、前記流体の温度を計測する温度センサとを備えたフローセンサを制御し、前記熱源の加熱または冷却開始から、予め定めた計測時間経過したときに得られる、前記温度センサが計測した流体温度、または、該流体温度に応じた値であるセンサ出力に基づき、物性値の異なる少なくとも3つ以上の流体流量を演算する流量演算手段を備えた流量計測装置であって、前記3つ以上の流体の各々は、前記流路に当該流体のみを流した時の前記センサ出力と、前記流路に当該流体以外の他の流体を、当該流体と同一流量、流した時の前記センサ出力の少なくとも1つとが、前記熱源の加熱または冷却開始から所定のクロス時間経過後に等しくなるクロスポイントを有し、前記計測時間は、予め求められた各々の前記クロス時間のうち、最も短い時間以上、最も長い時間以下の範囲で定められていることを特徴とする流量計測装置に存する。
【0019】
請求項3及び6記載の発明によれば、複数のクロスポイントに対応するクロス時間のうち、最も短い時間以上、最も長い時間以下の範囲には、流体の物性値によってほとんど変動することなく、流量によってのみ変動するセンサ出力が得られる計測時間がある。また、センサ出力を得るタイミングである計測時間を、各クロスポイントに対応するクロス時間の中から、熱源の加熱または冷却が開始される毎に、変えるなどして、流体の物性値に依存して大きな誤差を含んだセンサ出力及び上記誤差を含んでいないセンサ出力の両者に基づき、流量を演算すれば、流体の物性値に依存して大きな誤差を含んだセンサ出力にのみ基づき、流量を演算する場合に比べて、流体の物性値に依存する計測誤差を小さくすることができる。以上のことに着目し、予め求められた複数のクロス時間のうち、最も短い時間以上、最も長い時間以下の範囲で、計測時間を定め、熱源の加熱または冷却開始から、計測時間経過したときに得られるセンサ出力に基づき、流量を演算する。
【0020】
従って、複数のクロスポイントに対応するクロス時間のうち、最も短い時間以上、最も長い時間以下の範囲で定めた計測時間経過したセンサ出力に基づき、流量を演算することにより、流路に流れている流体の物性値によって変動することがないセンサ出力に基づき、流量を演算することができる。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項4記載の流量計測装置であって、前記物性値の異なる2つの流体は、炭化水素系ガス、または、該炭化水素系の単一ガスから組成される混合流体であることを特徴とする流量計測装置に存する。
【0022】
請求項9記載の発明は、請求項5又は6記載の流量計測装置であって、前記物性値の異なる複数の流体は、炭化水素系のガス、または、該炭化水素系の単一ガスから組成される混合流体であることを特徴とする流量計測装置に存する。
【0023】
請求項7及び9記載の発明によれば、物性値の異なる2つ、又は、複数の流体は、炭化水素系のガス、または、該炭化水素系の単一ガスから組成される混合流体である。本発明者らによって、物性値の異なる炭化水素系のガス同士が、クロスポイントを有することを確認されている。
【0024】
請求項8記載の発明は、請求項4又は7記載の流量計測装置であって、前記物性値の異なる2つの流体は、複数の単一流体から組成される混合流体をであり、かつ、前記単一流体の混合割合が互いに異なることを特徴とする流量計測装置に存する。
【0025】
請求項10記載の発明は、請求項5、6、又は9記載の流量計測装置であって、前記物性値の異なる複数の流体は各々、複数の単一流体から組成される混合流体から成り、前記混合流体同士は、前記単一流体の混合割合が互いに異なることを特徴とする流量計測装置に存する。
【0026】
請求項8及び10記載の発明によれば、物性値の異なる2つ、又は、複数の流体は、複数の単一流体から組成される混合流体であり、かつ、単一流体の混合割合が互いに異なるものである。従って、流路に流れる混合流体の物性値が混合割合の変動によって変わっても、センサ出力が等しくなるクロスポイントを計測することにより、混合割合の変動の影響を受けることなく、流体の流量のみによって変動するセンサ出力に基づき、流量を演算することができる。
【0027】
請求項11記載の発明は、流路に流れる流体を、該流体を間欠的に加熱または冷却する熱源と、前記流体の温度を計測する温度センサとを備えたフローセンサを制御し、前記熱源の加熱または冷却開始から、予め定めた計測時間経過したときに得られる、前記温度センサが計測した流体温度、または、該流体温度に応じた値であるセンサ出力に基づき、複数の単一流体の混合割合が互いに異なる複数の混合流体の流体流量を演算する流量演算手段を備えた流量計測装置であって、前記混合流体は、3種以上の単一流体から組成され、前記各混合流体を構成する流体のうち、最も多く含まれている単一流体は、前記流路に当該単一流体のみを流したときの前記センサ出力と、前記混合流体を構成する単一流体のうち、2番目に多く含まれている単一流体のみを流した時の前記センサ出力とが、前記熱源の加熱または冷却開始から所定のクロス時間経過後に等しくなるクロスポイントを有し、前記計測時間は、予め求められた前記クロス時間に定められていることを特徴とする流量計測装置に存する。
【0028】
請求項11記載の発明によれば、3種以上の混合流体の物性値は、混合流体を構成する流体のうち、最も多く含まれる流体と、2番目に多く含まれている流体との物性値に大きく依存することに着目し、物性値の異なる複数の流体として、混合流体を構成する3種以上の単一流体をさらに含め、計測時間を、流路に、混合流体を構成する流体のうち、最も多く含まれている流体のみを流したときのセンサ出力と、流路に、混合流体を構成する流体のうち、2番目に多く含まれている流体のみを、最も多く含まれている流体と同一流量、流したときのセンサ出力とのクロス時間に、予め定める。従って、流路に流れている3種以上の混合流体の物性値が混合割合の変動しても、ほとんど変動せず、流量のみにより変動するセンサ出力に基づき、流量を演算することができる。
【0029】
請求項12記載の発明は、請求項5、6、9又は10記載の流量計測装置であって、前記計測時間は、前記予め求められた複数のクロス時間の平均時間に、予め定められていることを特徴とする流量計測装置に存する。
【0030】
請求項12記載の発明によれば、流路に流れている流体、または、混合流体の物性値が変わっても、ほとんど変動することなく、流量によってのみ変動するセンサ出力が得られる計測時間は、複数のクロス時間の平均時間であると推測されることに着目し、計測時間を、複数のクロス時間の平均時間に予め定めている。従って、流路に流れている流体、または、混合流体の物性値によって、ほとんど変動することがないセンサ出力に基づき、流量を演算することができる。
【0031】
請求項13記載の発明は、請求項5、6、9又は10記載の流量計測装置であって、前記計測時間は、前記予め求められた複数のクロス時間の何れか1つに、予め定められていることを特徴とする流量計測装置に存する。
【0032】
請求項13記載の発明によれば、複数のクロス時間の何れか一つに、計測時間が予め定められいる。従って、計測時間に定められているクロス時間で、クロスポイントを有していない流体であっても、そのクロス時間でのセンサ出力がクロスポイントを有している2つの流体のセンサ出力に対して許容範囲にあれば、流路に流れている流体、または、混合流体の物性値によって、ほとんど変動することがないセンサ出力に基づき、流量を演算することができる。
【0033】
請求項14記載の発明は、請求項5、6、9又は10記載の流量計測装置であって、前記熱源の加熱または冷却が開始される毎に、前記予め求められた複数のクロス時間の1つをランダムに選択し、該選択したクロス時間を、前記計測時間として定めるランダム選択手段をさらに備えることを特徴とする流量計測装置に存する。
【0034】
請求項14記載の発明によれば、ランダム選択手段が、熱源の加熱または冷却が開始される毎に、複数のクロス時間の1つをランダムに選択し、該選択したクロス時間を、計測時間として定める。従って、熱源の加熱または冷却が開始される毎に、計測時間を、複数のクロス時間の中から、ランダムに変えることにより、流路に流れる流体、または、混合流体の物性値に依存して大きな誤差を含んだセンサ出力及び上記誤差を含んでいないセンサ出力の両者に基づき、流量を演算することができ、流路に流れる流体の物性値、または、混合流体の物性値に依存して大きな誤差を含んだセンサ出力にのみ基づいて、流量演算が行われる場合に比べて、流体、または、混合流体の物性値に依存する流量計測誤差を小さくすることができる。
【0035】
請求項15記載の発明は、請求項5、6、9又は10記載の流量計測装置であって、前記熱源の加熱または冷却が開始される毎に、前記予め求められた複数のクロス時間の1つを予め定めた順番に従って選択し、該選択したクロス時間を、前記計測時間として定める順次選択手段をさらに備えることを特徴とする流量計測装置に存する。
【0036】
請求項15記載の発明によれば、順次選択手段が、熱源の加熱または冷却が開始される毎に、複数のクロス時間の1つを予め定めた順番に従って選択し、選択したクロス時間を、計測時間として定める。従って、熱源の加熱または冷却が開始される毎に、計測時間を、複数のクロス時間の中から、予め定めた順番に従って変えることにより、流体、または、混合流体の物性値に依存して大きな誤差を含んだセンサ出力及び上記誤差を含んでいないセンサ出力の両者に基づき、流量を演算することができ、流体、または、混合流体の物性値に依存して大きな誤差を含んだセンサ出力にのみ基づいて、流量演算が行われる場合に比べて、流体、または、混合流体の物性値に依存する流量計測誤差を小さくすることができる。
【0037】
請求項16記載の発明は、請求項5、6、9又は10記載の流量計測装置であって、前記計測時間は、前記予め求められた複数のクロス時間のうち、少なくとも2つ以上の複数さだめられ、前記流量演算手段は、前記熱源の加熱または冷却開始から、前記各計測時間を経過する毎に得られる前記センサ出力の平均に基づき、前記流体を演算することを特徴とする流量計測装置に存する。
【0038】
請求項16記載の発明によれば、計測時間が、複数のクロス時間のうち、少なくとも2つ以上の複数定められている。流量演算手段が、熱源の加熱または冷却開始から、各計測時間を経過する毎にえられるセンサ出力の平均に基づき、流体を演算する。
【0039】
従って、複数のクロス時間のうち、計測時間を、少なくとも2つい上の複数定め、複数定められた計測時間を経過する毎にセンサ出力を得ることによって、流体、または、混合流体の物性値に依存して大きな誤差を含んだセンサ出力及び誤差を含んでいないセンサ出力の両方の平均値に基づき、流量を演算することができる。このため、流体、または、混合流体の物性値に依存して大きな誤差を含んだセンサ出力にのみ基づいて、流量演算が行われる場合に比べて、流体、または、混合流体の物性値に依存する流量計測誤差を小さくすることができる。
【0040】
請求項17記載の発明は、請求項4、7、8及び13〜15何れか1項に記載の流量計測装置であって、前記流量演算手段は、前記計測時間に定められた前記クロス時間を挟んだ前後期間における前記センサ出力の積分値に基づいて前記流体流量を計測し、前記前後期間は、前記計測時間に定められた前記クロス時間経過後に前記センサ出力が等しくなる2つの流体の1つのみを流したときの前記前後期間における前記センサ出力の積分値と、前記他の流体を前記1つの流体と同一流量、流したときの前記前後期間における前記センサ出力の積分値とが等しくなる期間に定められていることを特徴とする流量計測装置に存する。
請求項18記載の発明は、請求項16に記載の流量計測装置であって、前記流量演算手段により、前記計測時間に定められた複数の前記クロス時間の各々を挟んだ各前後期間における前記センサ出力の積分値の平均に基づいて前記流体流量が計測され、そして、前記前後期間が、前記計測時間に定められた前記クロス時間経過後に前記センサ出力が等しくなる2つの流体の1つのみを流したときの前記前後期間における前記センサ出力の積分値と、前記他の流体を前記1つの流体と同一流量、流した時の前記前後期間における前記センサ出力の積分値とが等しくなる期間に定められていることを特徴とする流量計測装置に存する。
【0041】
請求項17及び18記載の発明によれば、流量演算手段が、計測時間に得られたセンサ出力として、計測時間に相当するクロス時間を挟んだ前後期間におけるセンサ出力の積分値を用いる。前後期間は、クロス時間経過後に同一の値となる2つの流体の1つを流した時の前後期間におけるセンサ出力の積分値と、他の流体を、1つの流体と同一流量、流した時の前後期間におけるセンサ出力の積分値とが等しくなる期間に定められている。しかも、積分値を用いることにより、センサ出力に生じるノイズに起因した誤差を小さくすることができる。
【0042】
請求項19記載の発明は、請求項4〜18何れか1項記載の流量計測装置であって、前記センサ出力は、前記熱源の加熱または冷却開始からの前記温度センサが計測した流体温度の積分値、または、該積分値に応じた値であることを特徴とする流量計測装置に存する。
【0043】
請求項19記載の発明によれば、熱源の加熱または冷却開始からの温度センサが計測した流体温度の積分値、または、該積分値に応じた値を、センサ出力とする。従って、センサ出力として、積分値を用いることにより、流体に応じたセンサ出力の分解能を高くすることができる。しかも、積分値を用いることにより、温度センサが計測した流体温度に生じるノイズに起因する誤差を小さくすることができる。
【0044】
請求項20記載の発明は、請求項4〜18何れか1項記載の流量計測装置であって、前記センサ出力は、前記熱源の加熱または冷却開始から予め定めた遅延時間経過してからの前記温度センサが計測した流体温度の積分値、または、該積分値に応じた値であることを特徴とする流量計測装置に存する。
【0045】
請求項20記載の発明によれば、熱源の加熱または冷却開始から予め定めた遅延時間経過してからの温度センサが計測した流体温度の積分値、または、該積分値に応じた値を、センサ出力とする。従って、センサ出力として、積分値を用いることにより、流体に応じたセンサ出力の分解能を高くすることができる。しかも、積分値を用いることにより、温度センサが計測した流体温度に生じるノイズに起因する誤差を小さくすることができる。また、熱源の加熱または冷却開始から遅延時間経過した後の積分値を用いることにより、熱源の加熱または冷却開始直後であって、温度センサまで熱源からの熱が伝達されていない、または、ほとんど伝達されていないときの流体温度を積分値に加えることがなく、流量以外の不確定要素の影響を除去することができる。
【0046】
請求項21記載の発明は、請求項4〜20何れか1項記載の流量計測装置であって、前記フローセンサが、横側温度センサをさらに有し、前記横側温度センサと前記熱源とが、前記流体の流れ方向と略直交方向に並べて配置され、そして、前記流量演算手段が、前記熱源の加熱または冷却開始から、前記計測時間経過したときに得られる前記センサ出力を、前記熱源の加熱または冷却開始から、前記計測時間経過したときに、前記横側温度センサが計測した流体温度、または、該流体温度に応じた値で、除算する除算手段を有し、そして、前記除算手段で求められた除算値に基づいて前記流量を演算することを特徴とする流量計測装置に存する。
【0047】
請求項21記載の発明によれば、フローセンサが、横側温度センサを有する。流量演算手段内の除算手段が、熱源の加熱または冷却開始から、計測時間経過したときに得られるセンサ出力を、熱源の加熱または冷却開始から、計測時間経過したときに、横側温度センサが計測した流体温度で、除算する。流量演算手段が、その除算値に基づき、流量を演算する。従って、横側温度センサが計測した流体温度は、流体の物性値に応じた値である。このため、センサ出力を横側温度センサが出力した流体温度で除算すれば、一層、流路に流れる流体の物性値によって変動することがないセンサ出力に基づき、流量を演算することができる。
【0048】
請求項22記載の発明は、請求項21記載の流量計測装置であって、前記横側温度センサは、前記流体の流れ方向と略直交方向における前記熱源の両側に各々配置され、前記除算手段は、前記両横側温度センサが計測した流体温度の和、または、該和に応じた値で除算することを特徴とする流量計測装置に存する。
【0049】
請求項22記載の発明によれば、横側温度センサは、流体の流方向と略直交する方向における熱源の両側に各々配置されている。除算手段が、両横側温度センサが計測した流体温度の和、または、この和に応じた値で除算する。従って、両横側温度センサが計測した流体温度の和は、流体の物性値に応じた値である。このため、センサ出力を両横側温度センサが出力した流体温度の和で除算すれば、一層、流路に流れる流体の物性値によって変動することがないセンサ出力に基づき、流量を演算することができる。
【0050】
請求項23記載の発明は、請求項4〜20何れか1項記載の流量計測装置であって、前記温度センサは、前記流体の流れ方向の上下流側に各々配置された上下流側温度センサを有し、前記センサ出力は、前記上下流側温度センサが計測した流体温度の差、または、該差に応じた値であり、前記流量演算手段は、前記熱源の加熱または冷却開始から、前記計測時間経過したときに得られる前記センサ出力を、前記熱源の加熱または冷却開始から、前記計測時間経過したときに、前記上下流側温度センサが計測した流体温度の和、または、該和に応じた値で、除算する除算手段を有し、当該除算値に基づき、前記流量を演算することを特徴とする流量計測装置に存する。
【0051】
請求項23記載の発明によれば、温度センサは、流体の流方向の上下流側に各々配置された上下流側温度センサを有する。センサ出力は、上下流温度センサが計測した流体温度の差、または、該差に応じた値である。除算手段が、熱源の加熱または冷却開始から、計測時間経過したときに得られるセンサ出力を、熱源の加熱または冷却開始から、計測時間経過したときに、上下流側温度センサが計測した流体温度の和、または、該和に応じた値で、除算する。流量演算手段が、除算値に基づき、前記流量を演算する。
【0052】
従って、上下流側温度センサが計測した流体温度の和は、流体の物性値に応じた値である。このため、センサ出力を上下流側温度センサが出力した流体温度の和で除算すれば、一層、流路に流れる流体の物性値によって変動することがないセンサ出力に基づき、流量を演算することができる。
【0053】
請求項24記載の発明は、請求項4〜23何れか1項記載の流量計測装置であって、前記流量演算手段は、前記センサ出力に基づき、熱量流量を演算することを特徴とする流量計測装置に存する。
【0054】
請求項24記載の発明によれば、流量演算手段が、センサ出力に基づき、熱量流量を演算する。従って、一層、流路に流れる流体の物性値によって変動することがないセンサ出力に基づき、流量を演算することができる。
【0055】
【発明の実施の形態】
第1実施形態
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の流量計測方法を実施した流量計測装置を組み込んだ電子式ガスメータの一実施の形態を示す回路図である。同図に示すように、電子式ガスメータは、マイクロフローセンサ1、減算部2、加算部3、積分回路4及び5、A/Dコンバータ6及び7、マイクロコンピュータ8(以下、μCOM8と略記する)及び表示部9を備えている。
【0056】
マイクロフローセンサ1(=フローセンサ)は、図2に示すように電子式ガスメータ内のガス流路10の内壁に配置された半導体基台11と、この半導体基台11上にそれぞれ形成された上下流側温度センサとしての上流側サーモパイル12(=上流側温度センサ)及び下流側サーモパイル13(=下流側温度センサ)と、加熱用のヒータ抵抗器14(=熱源)とを備えている。
【0057】
上記上流側サーモパイル12、ヒータ抵抗器14、下流側サーモパイル13は、この順で、ガス流路10内を流れるガスの流れ方向Dの上流側から、流れ方向Dに沿って等間隔で配列される。また、マイクロフローセンサ1は、ヒータ抵抗器14の両側にガス流路10中のガスの流方向Dと略垂直方向にそれぞれ配置された、横側温度センサとしての右側及び左側サーモパイル15、16さらにを備えている。
【0058】
上述した従来で、説明したように、ヒータ抵抗器14が駆動電流により加熱を行っている間、上流側、下流側サーモパイル12、13から発生される熱起電力の差は、ガス流速に応じた値となる。
【0059】
これに対して、ヒータ抵抗器14が駆動電流により加熱を行っている間、ヒータ抵抗器14から発生した熱は、ガス流速の影響を受けずに、ガスの熱拡散効果のみによって、ヒータ抵抗器14に対してガスの流方向Dと略直交方向に配置された右側サーモパイル15に伝達される。また、ヒータ抵抗器14に対してガスの流れ方向Dと略直交方向に配置された左側サーモパイル16にも、同様の熱が伝達される。このため、右側サーモパイル15及び左側サーモパイル16が発生する熱起電力は、熱伝達と熱拡散、比熱などによって決定される熱拡散定数などのガスの物性値に応じた値となる。
【0060】
また、減算部2は、差動アンプなどからなり、上流側サーモパイル12が発生する熱起電力と、下流側サーモパイル13が発生する熱起電力との差である差信号S1を増幅して出力する。加算部3は、右側サーモパイル15が発生する熱起電力と、左側サーモパイル16が発生する熱起電力とを加算した和信号S2を増幅して出力する。
【0061】
積分回路4は、ヒータ抵抗器14が加熱を行っている間、減算部2から出力される差信号S1を積分して、積分差信号S3として出力する。積分回路5は、ヒータ抵抗器14が加熱を行っている間、加算部3から出力される和信号S2を積分して、積分和信号S4として出力する。上記積分差信号S3及び積分和信号S4は、それぞれ、A/Dコンバータ6、7でデジタル信号に変換されてμCOM8に入力される。なお、上述した積分回路4、5は、μCOM8に接続され、μCOM8により、積分のタイミングなどが制御されている。
【0062】
上述したμCOM8は、プログラムに従って各種の処理を行う中央処理ユニット(CPU8a)、CPU8aが行う処理のプログラムなどを格納した読み出し専用のメモリであるROM8b、CPU8aでの各種の処理過程で利用するワークエリア、各種データを格納するデータ格納エリアなどを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM8cなどを内蔵し、これらが図示しないバスラインによって相互接続される。
【0063】
上述した構成の電子式ガスメータの動作を、CPU8aの処理手順を示す図3のフローチャートを参照して以下説明する。
CPU8aは例えば電池電源の投入によって動作を開始し、図示しない初期ステップにおいて、μCOM8内のRAM8cに形成した各種のエリアの初期設定を行ってからその最初のステップS1に進む。
【0064】
ステップS1において、CPU8aは、ヒータ抵抗器14に対して駆動電流を流し、ヒータ抵抗器14による加熱を開始させる。このヒータ抵抗器14による加熱に応じて、減算部2からは流速に応じた差信号S1が、加算部3からはガスの物性値に応じた和信号S2が出力される。ヒータ抵抗器14の加熱開始と同時に、CPU8aは、例えば、減算部2−積分回路4間、加算部3−積分回路5間にそれぞれ設けられた図示しないスイッチをオンすることにより、積分回路4、5による差信号S1、和信号S2の積分を開始させる。
【0065】
次に、CPU8aは、ヒータ抵抗器14による加熱を開始してから、予め定めた計測時間経過するのを待って(ステップS2でY)、ヒータ抵抗器14による加熱を停止させると共に、積分回路4、5による差信号S1、和信号S2の積分を停止する(ステップS3)。
【0066】
その後、CPU8aは、A/Dコンバータ6、7から出力されるセンサ出力としての積分差信号S3、積分和信号S4のデジタル値を取り込み(ステップS4)、除算手段として働き、積分差信号S3のデジタル信号を、積分和信号S4のデジタル値で除算する除算処理を行う(ステップS5)。
【0067】
次に、CPU8aは、流量演算手段として働き、除算処理で求められた除算値に基づき、ガスの熱量流量(KW/h)を演算する流量演算処理を行う(ステップS6)。その後、CPU8aは、演算された熱量流量を積算し、その積算値を、表示部9に表示する流量積算処理を行う(ステップS7)。なお、熱量流量は、単位時間当たりにガス流路10内を通過するガスの熱量に相当する。
【0068】
上記計測時間の定め方について説明する。まず、2種類の単一ガスであるメタンガス及びエタンガスの熱量流量を計測するときについて、図4を参照にして説明する。図4(a)は、ガス流路10にメタンガス(CH4)及びエタンガス(C2H6)をそれぞれ所定流量α、流したときのヒータ抵抗器14の加熱開始からの経過時間と、ガス温度との関係を示すグラフであり、図4(b)は、ガス流路10にメタンガス及びエタンガスをそれぞれ所定流量β、流した時のヒータ抵抗器14の加熱開始からの経過時間と、ガス温度との関係を示すグラフであります。
【0069】
同図から明らかなように、メタンガスとエタンガスは以下に示す関係がある。つまり、ガス流路10にエタンガスを流したときのガス温度は、ガス流路10にメタンガスを流したときのガス温度と、ヒータ抵抗器14の加熱開始からクロス時間T1経過後に等しくなるクロスポイントP1を有している。そして、クロスポイントP1が現れるクロス時間T1は、流量が変わっても変化しない。これは、メタンガスが飽和温度Tp1α、Tp1βに達する温度上昇率が、エタンガスが飽和温度Tp2α、Tp2βに達するまでの温度上昇率より高く、かつ、メタンガスの飽和温度Tp1α、Tp1βがエタンガスの飽和温度Tp2α、Tp2βより小さいためである。
【0070】
従って、上記ガス温度の積分値に応じる積分差信号S3についても同様のことが言える。すなわち、図5に示すように、ガス流路10にエタンガスを流したとき出力される積分差信号S3も、ガス流路10にメタンガスを流したとき出力される積分差信号S3と、ヒータ抵抗器14の加熱開始からクロス時間T1′(>T1)経過後に同一の値となるクロスポイントP1′を有している。
【0071】
上述したヒータ抵抗器14の加熱開始からクロス時間T1′経過後に得られる積分差信号S3は、流路に流れるガスが、メタンガスからエタンガス、エタンガスからメタンガスに変わっても、変動することなく、熱量流量によってのみ変動する。従って、このクロス時間T1′を計測時間として定め、ヒータ抵抗器14の加熱開始後、計測時間経過後に得られた積分差信号S3を基に、予め定めた演算式を用いて熱量流量を演算すれば、1つの演算式で、メタンガス及びエタンガスの両者を、正確に流量を計測することができる。
【0072】
なお、上述したクロスポイントを有するガスは、メタンガスとエタンガスとに限ったものでなく、種類が異なる2つの炭化水素系の単一ガスや、炭化水素系の単一ガスから構成される混合ガスであれば、どんな組み合わせであってもクロスポイントを有すると考えられる。これは、炭化水素系のガスは、炭素(C)が多いほど、熱容量が大きくなって、飽和温度が高くなり、かつ、熱伝導率が小さくなり、飽和温度に達するまでの、温度上昇率が低くなるからである。
【0073】
次に、3種類以上のガス、例えば、ガス種F〜Iの流量を計測する場合の計測時間の定め方について、図6を参照して説明する。図6は、ガス流路10にガス種F〜Iをそれぞれ単独で流したときのヒータ抵抗器14の加熱開始からの経過時間と、ガス温度との関係を示すグラフである。なお、ガス種Fは、例えば、エタンガスのみから構成させる単一ガスであり、ガス種Gは、エタン90%、メタン10%の混合ガスであり、ガス種Hは、エタン50%、メタン10%の混合ガスである。
【0074】
図中、PFGはガス種Fのガス温度及びガス種Gのガス温度、PFHはガス種Fのガス温度及びガス種Hのガス温度、PFIはガス種Fのガス温度及びガス種Iガス温度のクロスポイントである。また、PGHはガス種Gのガス温度及びガス種Hのガス温度、PGIはガス種Gのガス温度及びガス種Iのガス温度、PHIはガス種Hのガス温度及びガス種のガス温度とのクロスポイントである。このように、3種類以上のガスの場合、例えば、6つのクロスポイントPFG、PFH、PFI、PGH、PGI及びPHIが存在する。
【0075】
従って、上記ガス温度の積分値に応じる積分差信号S3についても同様に、図7に示すように、6つのクロスポイントPFG′、PFH′、PFI′、PGH′、PGI′及びPHI′が存在することが明らかである。例えば、ガス種Iをメインに計測したい場合について考える。
【0076】
この場合、ガス種I以外の全てのガス種F〜Hの積分差信号S3が、ガス種Iの積分差信号S3に対して、許容範囲内となる時間は、ガス種Iの積分差信号S3とガス種F〜Hの積分差信号S3とのクロスポイントPFI′、PGI′及びPHI′に対応するクロス時間TFI′、TGI′及びTHI′のうち、最も短い時間であるクロス時間THI′以上、最も長い時間TFI′以下の範囲Aに存在すると考えられる。
【0077】
これは、範囲A内であれば、ガス種Iの積分差信号S3と、ガス種F〜Hの積分差信号S3のズレ量をそれぞれ、図7中に示すズレ量ΔX及びズレ量ΔYのうち大きい方のズレ量より小さくすることができるからである。なお、ズレ量ΔXは、上記クロス時間THI′におけるガス種Iの積分差信号S3と、クロス時間TH1′におけるガス種F〜Gの積分差信号S3とのズレ量のうち、最大のものである。また、ズレ量ΔYは、上記クロス時間TFI′におけるガス種Iの積分差信号S3と、クロス時間TFI′におけるガス種F〜Gの積分差信号S3とのズレ量のうち、最大のものである。
【0078】
そこで、上記範囲A内の中から、ガス種I以外の全てのガス種F〜Hの積分差信号S3が、ガス種Iの積分差信号S3に対して、許容範囲内となる時間を求め、求めた時間と計測時間として予め定める。このように計測時間を予め定めれば、ガス種F〜Iの物性値の違いによる変動を、許容範囲内に納めることができ、流量によってのみ変動する積分差信号S3が得られる。このため、流量によってのみ変動する積分差信号S3に基づき、熱量流量を演算することができ、1つの電子式ガスメータで、ガス種F〜Iの流量を計測することができる。なお、上記クロス時間THI′、TGI′及びTFI′の平均時間を、上記許容範囲内となる時間と推測して定めることも考えられる。
【0079】
これに対して、特にメインのガス種を定めない場合について考える。この場合、ガス種F〜Hの積分差信号S3のバラツキが、許容範囲内となる時間は、全てのクロスポイントPFG′、PFH′、PFI′、PGH′、PGI′及びPHI′に対応するクロス時間TFG′、TFH′、TFI′、TGH′、TGI′及びTHI′のうち、最も短い時間であるクロス時間THI′以上、最も長い時間TFG′以下の範囲Bに存在すると考えられる。
【0080】
これは、範囲B内であれば、ガス種F〜Hの積分差信号S3のバラツキを、それぞれ、図7中に示すズレ量ΔX及びズレ量ΔZのうち大きい方のズレ量の範囲内に抑えることができるからである。なお、ズレ量ΔXは、上記クロス時間THI′におけるガス種F〜Hの積分差信号S3のバラツキのうち、最大のものである。また、ズレ量ΔYは、上記クロス時間TFI′におけるガス種F〜Hの積分差信号S3のバラツキのうち、最大のものである。
【0081】
そこで、上記範囲B内の中から、ガス種F〜Hの積分差信号S3のバラツキが、許容範囲内となる時間を求め、求めた時間を計測時間として予め定める。このように計測時間を予め定めれば、ガス種F〜Iの物性値の違いによる変動を、許容範囲内に納めることができ、流量によってのみ変動する積分差信号S3が得られる。このため、流量によってのみ変動する積分差信号S3に基づき、熱量流量を演算することができ、1つの電子式ガスメータで、ガス種F〜Iの流量を計測することができる。なお、クロス時間TFG′、TFH′、TFI′、TGH′、TGI′及びTHI′の平均時間を、上記許容範囲内となる時間と推測して定めることも考えられる。
【0082】
なお、上述した第1実施形態では、ガス種F〜Iの4つの流量を正確に計測できると述べた。ところで、メタンとエタンとの混合割合が、エタン10%〜50%、メタン50%〜90%の範囲である混合ガスであれば、その混合ガスの積分差信号S3とガス種Iとの積分差信号S3とのクロスポイントは、クロス時間THI′より長く、かつ、クロス時間TGI′より短いに現れる。
【0083】
また、上記範囲内の混合ガスの積分差信号S3と、他のガス種の積分差信号S3は、クロス時間THI′より長く、かつ、クロス時間TFG′より短い時間に現れる。これは、混合ガスは、メタンの割合が高くなるほど、ヒータ抵抗器14の加熱に応じた温度上昇率が高くなり、かつ、飽和温度が小さくなると考えられるからである。すなわち、何れのクロスポイントも、範囲Aや範囲B内に現れるため、上記第1実施形態は、ガス種F〜Iの4つのガスだけでなく、メタンとエタンとの混合割合が、エタン10%〜50%、メタン50%〜90%の範囲である混合ガスの熱量流量についても高い精度で計測することができる。
【0084】
ここで、上述した電子式ガスメータの効果について、実験データを参照して説明する。図8及び図9は、ガス種A〜Eの積分差信号S3によってできるクロスポイントのうち、最も短い時間以上、最も長い時間以下の範囲内となる計測時間(例えば10msec)を定めた電子式ガスメータを用いて、ガス種A〜Eの熱量流量を計測したときの熱量流量と器差との関係を示すグラフである。
【0085】
但し、図8は、積分差信号S3を、積分和信号S4で除算した値に基づいて、熱量流量を演算したものであり、図9は、上記除算を行わないで、積分差信号S3のみに基づいて、熱量流量を演算したものである。図中、実線は検定時の許容器差を、点線は使用時の許容器差をそれぞれ示す。同図に示すように、上述した電子式ガスメータは、計測するガスの種類や組成が変わって、物性値が変わっても、ほぼ全流域において、その器差を使用時の許容器差内とすることができている。
【0086】
これに対して、ヒータ抵抗器14の加熱開始後、上流側サーモパイル12及び下流側サーモパイル13の熱起電力が飽和する飽和時間よりも長い時間に時間に上記計測時間(例えば20msec)を定めた電子式ガスメータを用いて、ガス種A〜Eの熱量流量を計測したときは、図10及び図11に示すような、熱量流量と器差との関係との関係が得られる。
【0087】
但し、図10は、差信号S1を、和信号S2で除算した値に基づいて、熱量流量を演算したものであり、図11は、上記除算を行わないで、差信号S1のみに基づいて、熱量流量を演算したものである。
【0088】
上記図8及び図10を比べて、または、図9及び図11を比べてみても明らかなように、計測時間を、ヒータ抵抗器14の加熱開始から、ガス種A〜Eの積分差信号S3によってできるクロスポイントのうち、最も短い時間以上、最も長い時間以下の範囲内とした方が、計測時間を、ヒータ抵抗器14の加熱開始から上記飽和時間より長い時間としたときに比べて、ガス種A〜Eの違いによる器差のバラツキが小さいことがわかる。
【0089】
また、図8及び図9を比べて、または、図10及び図11を比べて見ても明らかなように、左右側サーモパイル14及び15の出力に応じた値である和信号S2や、積分和信号S4で除算を行う方が、除算を行わない場合に比べて、ガス種A〜Eの違いによる器差のバラツキが小さいことがわかる。
【0090】
これは、図12に示すように、物性値が各々異なる複数のガスを、同一流量、それぞれ流した時に、ヒータ抵抗器14によって加熱した結果、ガス温度が高くなるガスほど、左右側サーモパイル14及び15の出力和も、大きくなる。即ち、左右側サーモパイル14及び15の出力和が、物性値に応じた値となるからである。
【0091】
上記物性値に応じた値となるのは、左右側サーモパイル14及び15の出力和だけでなく、左右側サーモパイル14及び15の何れか1つの出力や、上下流側サーモパイル12及び13の出力の和についても言える。従って、左右側サーモパイル14及び15の何れか一方の出力や、上下流側サーモパイル12及び13の出力の和や、また、それらに応じた値で、除算しても、ガス種A〜Eの違いによる器差のバラツキが小さくなることができる。
【0092】
また、上述した第1実施形態は、差信号S1の積分値である積分差信号S3に基づいて、熱量流量を演算している。このように、積分値に基づくことにより、上下流側サーモパイル12及び13の出力に生じるノイズに起因する誤差を小さくすることができる。
【0093】
なお、上述した実施形態では、ヒータ抵抗器14の加熱開始からの積分値である積分差信号S3に基づき、熱量流量を計測していた。しかしながら、ヒータ抵抗器14による加熱直後の差信号S1は、上流側サーモパイル12及び13にその熱が全く、または、ほとんど伝達されておらず、流量以外の不確定要素に応じて変動してしまうことがある。
【0094】
そこで、μCOM8が、積分回路4及び5を制御して、ヒータ抵抗器14の加熱開始から予め定めた遅延時間経過してから、差信号S1の積分を開始させる。そして、上記遅延時間経過してからの積分和信号S4のクロスポイントに基づき、上述したように計測時間を定めれば、上記不確定要素の影響を除去して、より一層、計測精度を向上させることができる。
【0095】
また、上述した第1実施形態では、クロスポイントに対応するクロス時間のうち、最も短い時間以上、最も長い時間以下の範囲で定めた、例えば、各クロス時間の平均値などを、計測時間として定めていた。しかしながら、複数のクロスポイントのうち、クロスポイントでクロスする2種のガス以外のガスを流した時のセンサ出力である差信号S1や、積分差信号S3が、上記2種のガスを流した時のセンサ出力である差信号S1や、積分差信号S3に対して、許容範囲内となれば、そのクロスポイントに応じたクロス時間を計測時間として定めても良い。
【0096】
また、上述した第1実施形態では、2種の混合ガスについて述べた。しかしながら、例えば、3種以上の混合ガスに対しても適用することができる。
【0097】
ところで、3種以上の混合ガスを計測したい場合は、混合ガスを構成するガスのうち、最も多く含まれる単一ガスと、2番目に多い単一ガスとのクロスポイントに応じたクロス時間を計測時間として定めることが考えられる。これは、3種以上の混合ガスの物性値は、最も多い単一ガスと2番目に多い単一ガスとの影響が大きいからである。
【0098】
第2実施形態
なお、上述した第1実施形態では、複数存在するクロスポイントのうち、ヒータ抵抗器14の加熱開始からの時間が最も短い時間以上、短い時間以下の範囲で定めた一点を計測時間としていた。しかしながら、ヒータ抵抗器14の加熱が開始される毎に、μCOM8をランダム選択手段、順次選択手段として働かせ、上記計測時間を、複数のクロスポイントに対応するクロス時間の中からランダムに、または、予め定めた順番に従って変えることも考えられる。ここで、積分回路や、除算を行わないで、センサ出力として差信号S1を用いる場合について考えてみる。
【0099】
各ガス種F〜I毎に、図6に示すような、差信号S1が得られたとする。このとき、ガス種Iを請求項中の主流体として、該ガス種Iを流した時の差信号S1に基づいて熱量流量を演算したとき、器差が小さくなるような演算式が設定されているとする。このとき、計測時間を、クロスポイントPHIに応じたクロス時間THIとしたとき、ガス流路10に流れているガスがガス種Gであった場合、上記演算式で演算を行うと、ガス種Hとガス種Gとの差ΔVに応じた誤差が生じてしまう。
【0100】
ところが、次の加熱に応じて、計測時間が、クロスポイントPGIに応じたクロス時間THIに変わると、ガス種Iとガス種Gとの差信号S1が一致するため、計測誤差がない。このように、計測時間を変えることにより、誤差を含んでいる差信号S1と、誤差をほとんど含んでいない差信号S1との両者に基づき、流量を計測することができるため、計測時間をクロス時間THIに一点に固定して、常に差ΔVに応じた誤差を含んだ差信号S1に基づいて、流量演算を行っている場合に比べて、計測精度が向上する。なお、計測時間を変えることにより、同一流量のガス種Iを流しても、差信号S1が変動してしまう。このため、上述したように計測時間を変える場合は、計測時間が変わっても、差信号S1が変動しないように補正する必要がある。
【0101】
また、計測時間を、例えば、各クロスポイントPHI、PGI及びPFIに対応するクロス時間THI、TGI及びTFIの複数定め、複数定めらた計測時間経過する毎に、得られる差信号S1の平均に基づいてもよい。この場合、上記計測時間を変えるものと同様の理由で計測精度を向上することができる。しかも、この平均に基づいて流量を演算するものは、上記補正を行う必要がなくなる。
【0102】
上述したように、ガス種F〜ガス種Iから主流体を特に定めない場合は、クロスポイントPHI、PGI、PGH、PFI、PFH及びPFGに対応するクロス時間THI、TGI、TGH、TFI、TFH及びTFGの中からランダムに、または、予め定めた順番に従って変えたり、計測時間を複数定めてもよい。
【0103】
また、上記実施形態のように、計測時間を、各クロスポイントに対応するクロス時間とするものは、例えば、その計測時間であるクロス時間に得られる差信号S1として、クロス時間を挟んだ前後期間TBAにおける差信号S1の積分値でもよい。なお、前後期間TBAは、図13に示すように、各クロスポイント毎に各々定められ、対応するクロスポイントでクロスする2つのガスの1つを流した時の前後期間TBAにおける差信号S1の積分値と、他のガスを流した時の差信号S1の積分値とが等しくなる期間に定められている。この場合も、第1実施形態で説明したように、積分することにより、差信号S1に生じるノイズに起因する誤差を小さくすることができる。
【0104】
また、上述した実施形態では、熱源としてヒータ抵抗器14を用いていた。しかしながら、熱源として、冷却器を用いても同様の効果が得られる。
【0105】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1及び4記載の発明によれば、熱源の加熱または冷却に応じた流体温度の飽和温度が異なる2つの流体であっても、センサ出力が等しくなるクロスポイントを計測することにより、流路に流れている流体の物性値によって変動することなく、流体の流量のみによって変動するセンサ出力に基づき、流量を演算することができるので、流路に流れる流体が、一方の流体から他方の流体に、他方の流体から一方の流体に変わり、流路に流れる流体の物性値が変わっても、正確に流量を計測することができる流量計測方法及び当該流量計測方法を実施した流量計測装置を得ることができる。
【0106】
請求項2及び5記載の発明によれば、複数のクロスポイントに対応するクロス時間のうち、最も短い時間以上、最も長い時間以下の範囲で定めた計測時間経過したセンサ出力に基づき、流量を演算することにより、流路に流れている流体の物性値によって変動することがないセンサ出力に基づき、流量を演算することができるので、流路に流れる流体が、主流体から副流体に、副流体から主流体に変わり、流路に流れる流体の物性値が変わっても、正確に流量を計測することができる流量計測方法及び当該流量計測方法を実施した流量計測装置を得ることができる。
【0107】
請求項3及び6記載の発明によれば、複数のクロスポイントに対応するクロス時間のうち、最も短い時間以上、最も長い時間以下の範囲で定めた計測時間経過したセンサ出力に基づき、流量を演算することにより、流路に流れている流体の物性値によって変動することがないセンサ出力に基づき、流量を演算することができるので、流路に流れる流体が、3つ以上の流体のうちの1つから、他の流体の何れかに変わり、流路に流れる流体の物性値が変わっても、正確に流量を計測することができる流量計測方法及び当該流量計測方法を実施した流量計測装置を得ることができる。
【0108】
請求項7及び9記載の発明によれば、本発明者らによって、物性値の異なる炭化水素系のガス同士が、クロスポイントを有することを確認されているので、正確に流量を計測することができる流量計測方法及び当該流量計測方法を実施した流量計測装置を得ることができる。
【0109】
請求項8及び10記載の発明によれば、流路に流れる混合流体の物性値が混合割合の変動によって変わっても、センサ出力が等しくなるクロスポイントを計測することにより、混合割合の変動の影響を受けることなく、流体の流量のみによって変動するセンサ出力に基づき、流量を演算することができるので、流路に流れる混合流体の割合が変わり、物性値がかわっても、正確に流量を計測することができる流量計測装置を得ることができる。
【0110】
請求項11記載の発明によれば、流路に流れている3種以上の混合流体の物性値が混合割合の変動しても、ほとんど変動せず、流量のみにより変動するセンサ出力に基づき、流量を演算することができるので、流路に流れる混合流体の物性値が変わっても、高い計測精度で、流量を計測することができる流量計測装置を得ることができる。
【0111】
請求項12記載の発明によれば、流路に流れている流体、または、混合流体の物性値によって、ほとんど変動することがないセンサ出力に基づき、流量を演算することができるので、流路に流れる流体の物性値が変わっても、高い計測精度で、流量を計測することができる流量計測装置を得ることができる。
【0112】
請求項13記載の発明によれば、計測時間に定められているクロス時間で、クロスポイントを有していない流体であっても、そのクロス時間でのセンサ出力がクロスポイントを有している2つの流体のセンサ出力に対して許容範囲にあれば、流路に流れている流体、または、混合流体の物性値によって、ほとんど変動することがないセンサ出力に基づき、流量を演算することができるので、流路に流れる流体の物性値が変わっても、高い計測精度で、流量を計測することができる流量計測装置を得ることができる。
【0113】
請求項14記載の発明によれば、熱源の加熱または冷却が開始される毎に、計測時間を、複数のクロス時間の中から、ランダムに変えることにより、流体、または、混合流体の物性値に依存する流量計測誤差を小さくすることができるので、流路に流れる流体の物性値が変わっても、高い計測精度で、流量を計測することができる流量計測装置を得ることができる。
【0114】
請求項15記載の発明によれば、熱源の加熱または冷却が開始される毎に、計測時間を、複数のクロス時間の中から、予め定めた順番に従って変えることにより、流体、または、混合流体の物性値に依存する流量計測誤差を小さくすることができるので、流路に流れる流体の物性値が変わっても、高い計測精度で、流量を計測することができる流量計測装置を得ることができる。
【0115】
請求項16記載の発明によれば、流体の物性値に依存して大きな誤差を含んだセンサ出力にのみ基づいて、流量演算が行われる場合に比べて、流体の物性値に依存する流量計測誤差を小さくすることができるので、流路に流れる流体の物性値が変わっても、高い計測精度で、流量を計測することができる流量計測装置を得ることができる。
【0116】
請求項17及び18記載の発明によれば、計測時間に得られたセンサ出力として、積分値を用いることにより、流体に応じたセンサ出力の分解能を高くすることができる。しかも、積分値を用いることにより、センサ出力に生じるノイズに起因した誤差を小さくすることができるので、より一層、計測精度向上を図った流量計測装置を得ることができる。
【0117】
請求項19記載の発明によれば、センサ出力として、積分値を用いることにより、流体に応じたセンサ出力の分解能を高くすることができる。しかも、積分値を用いることにより、温度センサが計測した流体温度に生じるノイズに起因する誤差を小さくすることができるので、より一層、計測精度向上を図った流量計測装置を得ることができる。
【0118】
請求項20記載の発明によれば、センサ出力として、積分値を用いることにより、流体に応じたセンサ出力の分解能を高くすることができる。しかも、積分値を用いることにより、温度センサが計測した流体温度に生じるノイズに起因する誤差を小さくすることができる。また、熱源の加熱または冷却開始から遅延時間経過した後の積分値を用いることにより、熱源の加熱または冷却開始直後であって、温度センサまで熱源の熱が伝達されていない、または、ほとんど伝達されていないときの流体温度を積分値に加えることがなく、流量以外の不確定要素の影響を除去することができるので、より一層、計測精度向上を図った流量計測装置を得ることができる。
【0119】
請求項21記載の発明によれば、横側温度センサが計測した流体温度は、流体の物性値に応じた値である。このため、センサ出力を横側温度センサが出力した流体温度で除算すれば、一層、流路に流れる流体の物性値によって変動することがないセンサ出力に基づき、流量を演算することができるので、より一層、計測精度向上を図った流量計測装置を得ることができる。
【0120】
請求項22記載の発明によれば、両横側温度センサが計測した流体温度の和は、流体の物性値に応じた値である。このため、センサ出力を両横側温度センサが出力した流体温度の和で除算すれば、一層、流路に流れる流体の物性値によって変動することがないセンサ出力に基づき、流量を演算することができるので、より一層、計測精度向上を図った流量計測装置を得ることができる。
【0121】
請求項23記載の発明によれば、上下流側温度センサが計測した流体温度の和は、流体の物性値に応じた値である。このため、センサ出力を上下流側温度センサが出力した流体温度の和で除算すれば、一層、流路に流れる流体の物性値によって変動することがないセンサ出力に基づき、流量を演算することができるので、より一層、計測精度向上を図った流量計測装置を得ることができる。
【0122】
請求項24記載の発明によれば、一層、流路に流れる流体の物性値によって変動することがないセンサ出力に基づき、流量を演算することができる流量計測装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の流量計測方法を実施した流量計測装置を組み込んだ電子式ガスメータの一実施の形態を示す回路図である。
【図2】図1の電子式ガスメータを構成するマイクロフローセンサ1の詳細図である。
【図3】図1の電子式ガスメータを構成するCPU8aの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】(a)は、ガス流路10にメタンガス及びエタンガスを所定流量αそれぞれ流した時のヒータ抵抗器14の加熱開始からの経過時間と、ガス温度との関係を示すグラフである。(b)は、ガス流路10にメタンガス及びエタンガスを所定流量βそれぞれ流した時のヒータ抵抗器14の加熱開始からの経過時間と、ガス温度との関係を示すグラフである。
【図5】 ガス流路10にメタンガス及びエタンガスをそれぞれ流した時のヒータ抵抗器14の加熱開始からの経過時間と、積分差信号S3との関係を示す図である。
【図6】ガス流路10にガス種F〜Iをそれぞれ流した時のヒータ抵抗器14の加熱開始からの経過時間と、ガス温度との関係を示すグラフである。
【図7】 ガス流路10にガス種F〜Iをそれぞれ流した時のヒータ抵抗器14の加熱開始からの経過時間と、積分差信号S3との関係を示す図である。
【図8】積分差信号S3を、積分和信号S4で除算した除算値に基づき、熱量流量を演算するμCOM8を組み込んだ電子式ガスメータを用いて、各種類のガスについて計測した熱量流量と、その器差との関係を示すグラフである。
【図9】積分差信号S3に基づき、熱量流量を演算するμCOM8を組み込んだ電子式ガスメータを用いて、各種類のガスについて計測した熱量流量と、その器差との関係を示すグラフである。
【図10】差信号S1を、和信号S3で除算した除算値に基づき、熱量流量を演算するμCOM8を組み込んだ電子式ガスメータを用いて、各種類のガスについて計測した熱量流量と、その器差との関係を示すグラフである。
【図11】差信号S1に基づき、熱量流量を演算するμCOM8を組み込んだ電子式ガスメータを用いて、各種類のガスについて計測した熱量流量と、その器差との関係を示すグラフである。
【図12】差信号S1及び和信号S2と、流量との関係を示すグラフである。
【図13】積分時間である前後期間TBAについて説明するための図である。
【図14】従来の電子式ガスメータに用いられるマイクロフローセンサ1の一例を示す図である。
【図15】従来の問題点を説明するためのグラフである。
【図16】ガス種A〜Eの成分を示す表である。
【符号の説明】
14 ヒータ抵抗器(熱源)
12 上流側サーモパイル(温度センサ、上流側温度センサ)
13 下流側サーモパイル(温度センサ、下流側温度センサ)
15 左側サーモパイル(横側温度センサ)
16 右側サーモパイル(横側温度センサ)
1 マイクロフローセンサ(フローセンサ)
8a CPU(流量演算手段、ランダム選択手段、順次選択手段、除算手段)
Claims (24)
- 流路に流れる流体を、該流体を間欠的に加熱または冷却する熱源と、前記流体の温度を計測する温度センサとを備えたフローセンサを制御し、前記熱源の加熱または冷却開始から、予め定めた計測時間経過したときに得られる、前記温度センサが計測した流体温度、または、該流体温度に応じた値であるセンサ出力に基づき、物性値の異なる2つの流体流量を計測するための流量計測方法であって、
前記2つの流体は、前記流路に前記流体の一方を流した時に得られる前記センサ出力と、前記流路に前記他方の流体を、前記一方の流体と同一流量、流した時に得られるセンサ出力とが、前記熱源の加熱または冷却開始から所定のクロス時間経過後に等しくなるクロスポイントを有し、
前記計測時間は、予め求められた前記クロス時間に定められている
ことを特徴とする流量計測方法。 - 流路に流れる流体を、該流体を間欠的に加熱または冷却する熱源と、前記流体の温度を計測する温度センサとを備えたフローセンサを制御し、前記熱源の加熱または冷却開始から、予め定めた計測時間経過したときに得られる、前記温度センサが計測した流体温度、または、該流体温度に応じた値であるセンサ出力に基づき、主流体及び該主流体とは異なる物性値を有する複数の副流体の流量を計測するための流量計測方法であって、
前記複数の副流体の各々は、前記流路に当該副流体のみを流した時の前記センサ出力と、前記流路に前記主流体のみを、前記副流体と同一流量、流した時の前記センサ出力とが、前記熱源の加熱または冷却開始から所定のクロス時間経過後に等しくなるクロスポイントを各々有し、
前記計測時間は、予め求められた各々の前記クロス時間のうち、最も短い時間以上、最も長い時間以下の範囲で定められている
ことを特徴とする流量計測方法。 - 流路に流れる流体を、該流体を間欠的に加熱または冷却する熱源と、前記流体の温度を計測する温度センサとを備えたフローセンサを制御し、前記熱源の加熱または冷却開始から、予め定めた計測時間経過したときに得られる、前記温度センサが計測した流体温度、または、該流体温度に応じた値であるセンサ出力に基づき、物性値の異なる少なくとも3つ以上の流体流量を計測するための流量計測方法であって、
前記3つ以上の流体の各々は、前記流路に当該流体のみを流した時の前記センサ出力と、前記流路に当該流体以外の他の流体を、当該流体と同一流量、流した時の前記センサ出力の少なくとも1つとが、前記熱源の加熱または冷却開始から所定のクロス時間経過後に等しくなるクロスポイントを有し、
前記計測時間は、予め求められた各々の前記クロス時間のうち、最も短い時間以上、最も長い時間以下の範囲で定められている
ことを特徴とする流量計測方法。 - 流路に流れる流体を、該流体を間欠的に加熱または冷却する熱源と、前記流体の温度を計測する温度センサとを備えたフローセンサを制御し、前記熱源の加熱または冷却開始から、予め定めた計測時間経過したときに得られる、前記温度センサが計測した流体温度、または、該流体温度に応じた値であるセンサ出力に基づき、物性値の異なる2つの流体流量を演算する流量演算手段を備えた流量計測装置であって、
前記2つの流体は、前記流路に前記流体の一方のみを流した時に得られる前記センサ出力と、前記流路に前記他方の流体のみを、前記一方の流体と同一流量、流した時に得られるセンサ出力とが、前記熱源の加熱または冷却開始から所定のクロス時間経過後に等しくなるクロスポイントを有し、
前記計測時間は、予め求められた前記クロス時間に定められている
ことを特徴とする流量計測装置。 - 流路に流れる流体を、該流体を間欠的に加熱または冷却する熱源と、前記流体の温度を計測する温度センサとを備えたフローセンサを制御し、前記熱源の加熱または冷却開始から、予め定めた計測時間経過したときに得られる、前記温度センサが計測した流体温度、または、該流体温度に応じた値であるセンサ出力に基づき、主流体及び該主流体とは異なる物性値を有する複数の副流体の流量を演算する流量演算手段を備えた流量計測装置であって、
前記複数の副流体の各々は、前記流路に当該副流体のみを流した時の前記センサ出力と、前記流路に前記主流体のみを、前記副流体と同一流量、流した時の前記センサ出力とが、前記熱源の加熱または冷却開始から所定のクロス時間経過後に等しくなるクロスポイントを有し、
前記計測時間は、予め求められた各々の前記クロス時間のうち、最も短い時間以上、最も長い時間以下の範囲に定められている
ことを特徴とする流量計測装置。 - 流路に流れる流体を、該流体を間欠的に加熱または冷却する熱源と、前記流体の温度を計測する温度センサとを備えたフローセンサを制御し、前記熱源の加熱または冷却開始から、予め定めた計測時間経過したときに得られる、前記温度センサが計測した流体温度、または、該流体温度に応じた値であるセンサ出力に基づき、物性値の異なる少なくとも3つ以上の流体流量を演算する流量演算手段を備えた流量計測装置であって、
前記3つ以上の流体の各々は、前記流路に当該流体のみを流した時の前記センサ出力と、前記流路に当該流体以外の他の流体を、当該流体と同一流量、流した時の前記センサ出力の少なくとも1つとが、前記熱源の加熱または冷却開始から所定のクロス時間経過後に等しくなるクロスポイントを有し、
前記計測時間は、予め求められた各々の前記クロス時間のうち、最も短い時間以上、最も長い時間以下の範囲で定められている
ことを特徴とする流量計測装置。 - 請求項4記載の流量計測装置であって、
前記物性値の異なる2つの流体は、炭化水素系ガス、または、該炭化水素系の単一ガスから組成される混合流体である
ことを特徴とする流量計測装置。 - 請求項4又は7記載の流量計測装置であって、
前記物性値の異なる2つの流体は、複数の単一流体から組成される混合流体であり、かつ、前記単一流体の混合割合が互いに異なる
ことを特徴とする流量計測装置。 - 請求項5又は6記載の流量計測装置であって、
前記物性値の異なる複数の流体は、炭化水素系のガス、または、該炭化水素系の単一ガスから組成される混合流体である
ことを特徴とする流量計測装置。 - 請求項5、6又は9記載の流量計測装置であって、
前記物性値の異なる複数の流体は、複数の単一流体から組成される混合流体を含み、前記混合流体同士は、前記単一流体の混合割合が互いに異なる
ことを特徴とする流量計測装置。 - 流路に流れる流体を、該流体を間欠的に加熱または冷却する熱源と、前記流体の温度を計測する温度センサとを備えたフローセンサを制御し、前記熱源の過熱または冷却開始から、予め定めた計測時間経過したときに得られる、前記温度センサが計測した流体温度、または、該流体温度に応じた値であるセンサ出力に基づき、複数の単一流体の混合割合が互いに異なる複数の混合流体の流体流量を演算する流量演算手段を備えた流量計測装置であって、
前記混合流体は、3種以上の単一流体から組成され、
前記各混合流体を構成する流体のうち、最も多く含まれている単一流体は、前記流路に当該単一流体のみを流したときの前記センサ出力と、前記混合流体を構成する単一流体のうち、2番目に多く含まれている単一流体のみを流した時の前記センサ出力とが、前記熱源の過熱または冷却開始から所定のクロス時間経過後に等しくなるクロスポイントを有し、
前記計測時間は、予め求められた前記クロス時間に定められている
ことを特徴とする流量計測装置。 - 請求項5、6、9又は10記載の流量計測装置であって、
前記計測時間は、前記予め求められた複数のクロス時間の平均時間に、予め定められている
ことを特徴とする流量計測装置。 - 請求項5、6、9又は10記載の流量計測装置であって、
前記計測時間は、前記予め求められた複数のクロス時間の何れか1つに、予め定められている
ことを特徴とする流量計測装置。 - 請求項5、6、9又は10記載の流量計測装置であって、
前記熱源の加熱または冷却が開始される毎に、前記予め求められた複数のクロス時間の1つをランダムに選択し、該選択したクロス時間を、前記計測時間として定めるランダム選択手段を
さらに備えることを特徴とする流量計測装置。 - 請求項5、6、9又は10記載の流量計測装置であって、
前記熱源の加熱または冷却が開始される毎に、前記予め求められた複数のクロス時間の1つを予め定めた順番に従って選択し、該選択したクロス時間を、前記計測時間として定める順次選択手段を
さらに備えることを特徴とする流量計測装置。 - 請求項5、6、9又は10記載の流量計測装置であって、
前記計測時間は、前記予め求められた複数のクロス時間のうち、少なくとも2つ以上の複数定められ、
前記流量演算手段は、前記熱源の加熱または冷却開始から、前記各計測時間を経過する毎に得られる前記センサ出力の平均に基づき、前記流体を演算する
ことを特徴とする流量計測装置。 - 請求項4、7、8及び13〜15何れか1項に記載の流量計測装置であって、
前記流量演算手段は、前記計測時間に定められた前記クロス時間を挟んだ前後期間における前記センサ出力の積分値に基づいて前記流体流量を計測し、
前記前後期間は、前記計測時間に定められた前記クロス時間経過後に前記センサ出力が等しくなる2つの流体の1つのみを流したときの前記前後期間における前記センサ出力の積分値と、前記他の流体を前記1つの流体と同一流量、流したときの前記前後期間における前記センサ出力の積分値とが等しくなる期間に定められている
ことを特徴とする流量計測装置。 - 請求項16に記載の流量計測装置であって、
前記流量演算手段により、前記計測時間に定められた複数の前記クロス時間の各々を挟んだ各前後期間における前記センサ出力の積分値の平均に基づいて前記流体流量が計測され、そして、
前記前後期間が、前記計測時間に定められた前記クロス時間経過後に前記センサ出力が等しくなる2つの流体の1つのみを流したときの前記前後期間における前記センサ出力の積分値と、前記他の流体を前記1つの流体と同一流量、流した時の前記前後期間における前記センサ出力の積分値とが等しくなる期間に定められている
ことを特徴とする流量計測装置。 - 請求項4〜18何れか1項記載の流量計測装置であって、
前記センサ出力は、前記熱源の加熱または冷却開始からの前記温度センサが計測した流体温度の積分値、または、該積分値に応じた値である
ことを特徴とする流量計測装置。 - 請求項4〜18何れか1項記載の流量計測装置であって、
前記センサ出力は、前記熱源の加熱または冷却開始から予め定めた遅延時間経過してからの前記温度センサが計測した流体温度の積分値、または、該積分値に応じた値である
ことを特徴とする流量計測装置。 - 請求項4〜20何れか1項記載の流量計測装置であって、
前記フローセンサが、横側温度センサをさらに有し、
前記横側温度センサと前記熱源とが、前記流体の流れ方向と略直交方向に並べて配置され、そして、
前記流量演算手段が、前記熱源の加熱または冷却開始から、前記計測時間経過したときに得られる前記センサ出力を、前記熱源の加熱または冷却開始から、前記計測時間経過したときに、前記横側温度センサが計測した流体温度、または、該流体温度に応じた値で、除算する除算手段を有し、そして、前記除算手段で求められた除算値に基づいて前記流量を演算する
ことを特徴とする流量計測装置。 - 請求項21記載の流量計測装置であって、
前記横側温度センサは、前記流体の流れ方向と略直交方向における前記熱源の両側に各々配置され、
前記除算手段は、前記両横側温度センサが計測した流体温度の和、または、該和に応じた値で除算する
ことを特徴とする流量計測装置。 - 請求項4〜20何れか1項記載の流量計測装置であって、
前記温度センサは、前記流体の流れ方向の上下流側に各々配置された上下流側温度センサを有し、
前記センサ出力は、前記上下流側温度センサが計測した流体温度の差、または、該差に応じた値であり、
前記流量演算手段は、前記熱源の加熱または冷却開始から、前記計測時間経過したときに得られる前記センサ出力を、前記熱源の加熱または冷却開始から、前記計測時間経過したときに、前記上下流側温度センサが計測した流体温度の和、または、該和に応じた値で、除算する除算手段を有し、当該除算値に基づき、前記流量を演算する
ことを特徴とする流量計測装置。 - 請求項4〜23何れか1項記載の流量計測装置であって、
前記流量演算手段は、前記センサ出力に基づき、熱量流量を演算する
ことを特徴とする流量計測装置。
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