JP4073752B2 - 被覆電線の止水部材構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芯線を被覆してなる被覆電線を、樹脂製の止水部材で挟持して超音波溶着することにより、被覆電線に止水を施すための被覆電線の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7及び図8を参照すると、従来の被覆電線30の止水構造として、被覆電線30を図7中上下一対の樹脂製の止水部材31で挟持するとともに、止水部材31の図7中上方から超音波溶着ホーン32により超音波を印加することにより、止水部材31を被覆電線30の芯線に溶着させて止水処理するものがある(下記特許文献1及び2参照)。
各止水部材31は、超音波溶着後の被覆電線30の芯線の広がり幅より大きくなるように形成される。これにより、超音波溶着の際、各止水部材31の溶融樹脂が被覆電線30の芯線間に充填され、止水性能が確保される。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−320842号公報
【特許文献2】
特開平11−250952号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の被覆電線30の止水構造では、止水する被覆電線30のサイズが大きくなるにつれて、止水部材31の大きさも正比例して大きくする必要がある。このため、小型化が困難であるという問題があった。
また、小型化を図るべく、小さな止水部材を使用すると、クラック等が生じ易くなり、十分な止水性能を得られないという問題があった。
更に、超音波溶着に時間がかかり、コスト増大が避けられないという問題があった。
【0005】
本発明は、止水部材の小型化を図ることができるとともに、被覆電線の止水処理を確実に行うことができ、更に溶着時間の短縮を図ってコストを低減することができる被覆電線の止水部材構造を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の被覆電線の止水部材構造は、芯線を被覆してなる被覆電線を、樹脂製の一対の止水部材で挟持して超音波溶着することにより、被覆電線に止水を施す被覆電線の止水部材構造において、前記各止水部材は、被覆電線の芯線に超音波溶着される止水部が設けられており、前記一対の止水部材の内の一方の止水部材の止水部が、被覆電線の周方向に沿って湾曲した曲面形状である凹状面、及び該凹状面と同方向を向いて前記凹状面の曲面形状に対応する凸状に湾曲した曲面形状の凸状面を、被覆電線の長手方向に並べて形成されているとともに、他方の止水部材の止水部が、前記一方の止水部材の前記凹状面及び前記凸状面に対応するように凸状面及び凹状面を被覆電線の長手方向に並べて形成されていることを特徴とする。
【0007】
前記構成の被覆電線の止水部材構造によれば、止水される被覆電線は、一対の止水部材間に挟持される。この状態で、止水部材に外部から超音波振動が加振される。加振された止水部材は、止水部を被覆電線に超音波溶着される。これにより、各被覆電線が止水処理される。
【0008】
超音波溶着の際、止水部の凹状面及び凸状面に沿って、被覆電線の芯線が広がるようにして超音波溶着される。したがって、超音波振動が被覆電線に伝わり易く、作業時間が短縮されるとともに、被覆電線のサイズに正比例して止水部材のサイズを大きくする必要がなく、小型化が図れる。
また、止水部の凹状面及び凸状面が、被覆電線の長手方向に並べて形成されており、被覆電線の芯線が止水部の凹状面及び凸状面に沿って長手方向に凹凸状に変形させられるので、被覆電線と止水部材との密着力が増大される。したがって、電線固着力が増大され、止水性能が向上される。
【0009】
請求項2記載の被覆電線の止水部材構造は、前記一対の止水部材の止水部の前記凹状面及び前記凸状面の曲面形状が、円弧状に湾曲していることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の被覆電線の止水部材構造の一実施形態を図1乃至図6に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態である被覆電線の止水部材を示す分解斜視図、図2は図1における止水部材の超音波溶着後の状態を示す斜視図である。また、図3は、図1における止水部材のA−A断面図、図4は図1における止水部材のB−B断面図、図5は図1における止水部材のC−C断面図である。更に、図6は図1における止水部材を示す斜視図である。
【0012】
図1〜図6を参照すると、被覆電線10の止水部材構造において、樹脂製の止水部材20は、芯線10a(図3〜図5)を被覆してなる被覆電線10を、図1中上下一対で挟持するとともに、図示しない超音波溶着ホーンによって図1中上方から超音波を加振されることにより、被覆電線10に止水処理を施す。
【0013】
すなわち、各止水部材20は、図6中左右両側面に、被覆電線10を案内する一対の電線案内溝22を形成されるとともに、各電線案内溝22間の略中央には、被覆電線10の芯線10aに超音波溶着される止水部21を設けられる。
【0014】
止水部21は、凹状面21a及び凸状面21bを被覆電線10の長手方向に並べて形成される。止水部21の凹状面21aは、被覆電線10の周方向に沿って円弧状に湾曲した曲面形状である。また、止水部21の凸状面21bは、前記凹状面21aの曲面形状に対応する曲面形状である。
【0015】
本実施形態の作用を説明する。
被覆電線10の止水部材構造において、図1中上下一対の止水部材20は、間に止水する被覆電線10を位置させ、電線案内溝22に被覆電線10を案内するとともに、止水部21の凹状面21a及び凸状面21b間で各被覆電線10を挟持する(図3〜図5参照)。
【0016】
この状態で、各止水部材20は、図1中上面に上方から超音波溶着ホーンにより超音波振動を加振される。加振された各止水部材20は、止水部21の凹状面21a及び凸状面21b間で、挟持した被覆電線10の被覆を溶かすとともに、凹状面21a及び凸状面21bも溶かされ、各被覆電線10の芯線10aを凹状面21a及び凸状面21bに溶着される(図3〜図5参照)。これにより、各被覆電線10が芯線10a間を伝って侵入する水を食い止める止水処理がなされる。
【0017】
超音波溶着の際、被覆電線10の外形状に沿う曲面形状である凹状面21a及び凸状面21bに沿って、被覆電線10の芯線10aが広がるようにして溶着される(図3及び図4参照)。
したがって、超音波振動が被覆電線10に伝わり易く、作業時間が短縮されるとともに、被覆電線10のサイズに正比例して止水部材20の幅方向寸法Wを大きくする必要がなく、小型化が図れる。換言すると、被覆電線10のサイズに対して、止水部材20の幅方向寸法Wは、比較的小さく設定することができる。
また、止水部21の凹状面21a及び凸状面21bが被覆電線10の長手方向に並べて形成されており、被覆電線10の芯線10aが長手方向に凹凸状に変形させられる(図5参照)ので、被覆電線10と止水部材20との密着力が増大される。したがって、電線固着力が増大され、止水性能が更に向上される。
【0018】
以上のように上記実施形態によれば、各止水部材20の止水部21は、凹状面21a及び凸状面21bを被覆電線10の長手方向に並べて形成されており、凹状面21aが被覆電線10の外形状に沿う曲面形状であるとともに、凸状面21bが凹状面21aの曲面形状に対応する曲面形状である。
【0019】
したがって、止水する被覆電線10のサイズが大きい場合でも、止水部材20の幅方向寸法Wを比較的小さく設定して小型化及び省スペース化を図ることができるものでありながら、被覆電線10の止水処理を確実に行うことができる。
また、被覆電線10に超音波振動が伝わり易く、溶着時間の短縮を図ることができ、コストを低減することができる。
【0020】
更に、被覆電線10の超音波溶着の際、被覆電線10の長手方向に並べて形成された止水部21の凹状面21a及び凸状面21bによって、被覆電線10の芯線10aを長手方向に凹凸状に変形させることができ、被覆電線10と止水部材20との密着力を増大させることができる。これにより、電線固着力を増大させることができ、止水性能を更に向上させることができる。
加えて、各止水部材20の形状を、例えば図1中上下で変更する等の必要がなく、同一形状の止水部材20を共用することができる。したがって、形状の異なる多種類の止水部材20を用意する必要がなく、作業時に止水部材20を形状等により区別することなく使用することができ、作業時間の短縮を図ることができる。これにより、コストを低減することができる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載の被覆電線の止水部材構造によれば、前記各止水部材は、被覆電線の芯線に超音波溶着される止水部を設けられており、一対の止水部材の内の一方の止水部材の止水部が、被覆電線の周方向に沿って湾曲した曲面形状である凹状面、及び該凹状面と同方向を向いて前記凹状面の曲面形状に対応する凸状に湾曲した曲面形状の凸状面を、被覆電線の長手方向に並べて形成されているとともに、他方の止水部材の止水部が、一方の止水部材の凹状面及び凸状面に対応するように凸状面及び凹状面を被覆電線の長手方向に並べて形成されている。したがって、止水部材の小型化を図ることができるとともに、被覆電線の止水処理を確実に行うことができ、更に溶着時間の短縮を図ってコストを低減することができる。
また、被覆電線の超音波溶着の際、被覆電線の長手方向に並べて形成された止水部の凹状面及び凸状面によって、被覆電線の芯線を長手方向に凹凸状に変形させることができ、被覆電線と止水部材との密着力を増大させることができる。これにより、電線固着力を増大させることができ、止水性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である被覆電線の止水部材構造を示す分解斜視図である。
【図2】図1における止水部材の超音波溶着後の状態を示す斜視図である。
【図3】図1における止水部材のA−A断面図である。
【図4】図1における止水部材のB−B断面図である。
【図5】図1における止水部材のC−C断面図である。
【図6】図1における止水部材を示す斜視図である。
【図7】従来の止水構造を示す分解斜視図である。
【図8】図7における止水構造の超音波溶着後の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 被覆電線
20 止水部材
21 止水部
21a 凹状面
21b 凸状面

Claims (2)

  1. 芯線を被覆してなる被覆電線を、樹脂製の一対の止水部材で挟持して超音波溶着することにより、前記被覆電線に止水を施す被覆電線の止水部材構造において、
    前記各止水部材は、被覆電線の芯線に超音波溶着される止水部が設けられており、
    前記一対の止水部材の内の一方の止水部材の止水部が、被覆電線の周方向に沿って湾曲した曲面形状である凹状面、及び該凹状面と同方向を向いて前記凹状面の曲面形状に対応する凸状に湾曲した曲面形状の凸状面を、被覆電線の長手方向に並べて形成されているとともに、
    他方の止水部材の止水部が、前記一方の止水部材の前記凹状面及び前記凸状面に対応するように凸状面及び凹状面を被覆電線の長手方向に並べて形成されていることを特徴とする被覆電線の止水部材構造。
  2. 前記一対の止水部材の止水部の前記凹状面及び前記凸状面の曲面形状が、円弧状に湾曲していることを特徴とする請求項1記載の被覆電線の止水部材構造。
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