JP4073608B2 - 画像形成装置及び画像形成ネットワークシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル複写機、ファクシミリ装置、またはこれらの複合機に代表される画像形成装置に係る。また、この画像形成装置とサーバとによって構築される画像形成ネットワークシステムにも係る。特に、本発明は、記録媒体に対して画像形成を行う際に使用される画像データの変換に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば特開平10−336430号公報に開示されているように、複写機にあっては、原稿の画像をスキャナ部によって読み取って画像データを作成し、この画像データを画像形成部に送信する。そして、画像形成部では、この画像データに基づいて記録用紙への画像形成(印字等)が行われる。また、一般に、この種の複写機では、拡大複写や縮小複写または複写濃度の変更などといった複写画像の変更が可能となっている。
【0003】
このように、これまでの複写機では、原稿画像全体をイメージデータとして扱い、そのまま複写するか、または上述したように拡大、縮小、濃度変更して複写するものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、複写機の普及に伴いユーザの要求する複写モードが拡大しつつある。本発明の発明者は、このユーザの要求の一つとして、原稿とは異なったフォントや配色で複写動作を行いたいといったことが将来的に生じる可能性を見出した。つまり、例えば、原稿に「白色の背景」に「明朝体」の文字画像が描かれている場合において、この原稿を複写した際に、「黄色の背景」に「ゴシック体」の文字画像が描かれた複写物を得たいなどといった要求が出てくる場合がある。
【0005】
現在、このような複写物を得るためには、原稿をOCR(optical character reader)処理し、パーソナルコンピュータのアプリケーションソフトウエアで扱えるテキストデータに一旦変換した後、このソフトウエア上で書式(フォントや配色等)の設定変更操作を行った後、プリンタに出力するといった作業を行わねばならない。このため、所望の印刷物を得るための作業が煩雑で且つ時間を要していた。このため、上記要求が生じる可能性が高いことを本発明の発明者は見出したのである。
【0006】
また、本発明の発明者は、上述の如くフォントや配色などを変更できる複写機を実現するに際し、ユーザの嗜好に拘わりなく常に一定のフォントや配色に画像データを変換して複写物を提供したのでは、全てのユーザが満足する複写物を得ることは到底不可能であることも考慮した。つまり、年齢や性別などが異なる多くのユーザに対してそれぞれが満足する複写物を提供できるようにするための技術的手段についても研究を行った。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、原稿とは異なった背景色で画像形成を行うことができる複写機等の画像形成装置を提供すると共に、この画像形成装置によって得られた画像形成物がユーザに適合したものとして得ることができるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
−発明の概要−
上記の目的を達成するために、本発明は、配色(背景の色)を変更するように画像データを加工可能とすると共に、この加工条件(何れの配色を選定するかといった条件)をユーザの個人情報に適合させて変更できるようにしている。
【0009】
−解決手段−
具体的には、原稿の画像を読み取って画像データを作成する画像データ作成手段と、記録媒体への画像形成を行う画像形成手段とを備えた画像形成装置を前提としている。この画像形成装置に対し、領域分離手段と個人情報取得手段とネットワーク接続手段と加工手段とを備えさせている。領域分離手段は、画像データ作成手段で作成された画像データ中から文字領域以外の背景領域を分離するものである。個人情報取得手段は、ユーザの個人情報を、ユーザが画像形成装置を使用する際に取得するものである。ネットワーク接続手段は、個人情報別に作成され且つ複数の画像形成装置が接続された場合に各画像形成装置で兼用される複数種類の背景色情報が格納されたサーバに通信媒体を介して接続するためのものである。加工手段は、個人情報取得手段から受けた個人情報に基づいてサーバから背景色情報を選出し、その選出した背景色情報を、上記分離された文字領域以外の背景領域全体の色情報として自動的に設定する加工を行う一方、この自動的に加工された背景色をユーザが操作キーを操作することにより変更する場合は、ユーザがサーバに格納された複数種類の背景色データのうちの一つを選出し、上記自動的に加工された背景領域全体の色情報を、選出された背景色情報に置き換える加工を行うものである。そして、この加工後の画像データを上記画像形成手段に出力する構成としている。
【0010】
この特定事項により、画像形成装置によって画像形成動作を行う際、個人情報取得手段によって取得されたユーザの個人情報に基づいて、加工手段が画像データをユーザの個人情報に適合するように加工する。この加工後の画像データは画像形成手段に出力され、画像形成動作に使用される。このため、背景色を変更した画像形成物が得られると共に、この得られた画像形成物がユーザに適合したものとして得られることになる。例えば、比較的高齢の男性がユーザである場合には「白色の背景」とし、比較的若い女性がユーザである場合には「黄色の背景」とするなどといったようにユーザ毎に画像形成条件を変更することができる。また、本発明に係る画像形成装置がネットワークに複数台接続された場合であっても、背景色情報はサーバから選出されるため、各画像形成装置毎に背景色情報を格納させておく必要はない。このため、画像形成装置の構成の簡素化が図れる。
【0024】
更に、画像形成装置をネットワークに接続した場合であって、画像データの加工条件をユーザの操作によって変更可能としたものとして以下の構成が挙げられる。つまり、サーバに、加工手段によって行われる個人情報に対応した画像データの自動加工の実施回数と、ユーザの操作によって行われる画像データの加工の実施回数とを集計し、同一個人情報に対する前者の実施回数と後者の実施回数とを比較して後者の実施頻度が高い場合には、加工手段によって行われる個人情報に対応した画像データの自動加工条件を、この後者の加工条件に変更する個人情報集計手段を備えさせる。また、画像形成装置のネットワーク接続手段が、サーバとの間で、上記各画像データの加工の実施回数情報及び画像データの加工条件情報を送受信可能に構成している。
【0025】
この特定事項により、加工手段によって行われる個人情報に対応した画像データの加工条件は、常に一定とするものではなく、実施頻度を反映して更新されていくことになる。このため、常に、ユーザにとって最適な画像形成物を提供することが可能になる。
【0026】
また、上述した各画像形成装置に対して通信媒体を介してサーバを接続して画像形成ネットワークシステムを構築した場合においても、背景色情報をサーバから選出することができ、各画像形成装置毎に背景色情報を格納させておく必要はないため、画像形成装置の構成の簡素化が図れる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明を電子写真式のデジタルカラー複写機に適用した場合について説明する。
【0028】
−デジタルカラー複写機の全体構成の説明−
図1は本形態に係るデジタルカラー複写機1の内部構成の概略を前方から示す縦断正面図である。この図1のように、本デジタルカラー複写機1は、両面自動原稿送り部2、画像読取部3及び画像形成部4を備えている。以下、各部について説明する。
【0029】
<両面自動原稿送り部2の説明>
両面自動原稿送り部2は、透明なガラス等で成る原稿台21上にこの原稿台21に対して開閉可能に支持され、原稿台21に対して所定の位置関係をもって装着されている。この両面自動原稿送り部2は、原稿をその一方の面(例えば表面)が原稿台21の所定位置において画像読取部3に対向するように搬送し、この一方の面の画像の読み取りが終了した後に原稿を一旦退避させて反転し、原稿をその他方の面(例えば裏面)が原稿台21の所定位置において画像読取部3に対向するように原稿台21に向かって搬送するようになされている。そして、両面自動原稿送り部2は、1枚の原稿について両面の画像の読み取りが終了すると、この原稿を排出してから、次の原稿についての両面搬送動作を実行する。以上の原稿の搬送及び反転動作は、デジタルカラー複写機1全体の動作に関連して制御される。
【0030】
<画像読取部3の説明>
画像読取部3は、原稿台21上に載置された原稿の画像や両面自動原稿送り部2により1枚ずつ給紙される原稿の画像を読み取って画像データを作成する部分であって、デジタルカラー複写機1の上部、つまり原稿台21の下方に設けられている。この画像読取部3は、露光光源31、第1〜第3反射鏡32,33,34、結像レンズ35、光電変換素子36を備えている。この場合、露光光源31及び第1反射鏡32によって第1の走査ユニット37が構成されている一方、第2及び第3反射鏡33,34によって第2の走査ユニット38が構成されている。
【0031】
上記露光光源31は、両面自動原稿送り部2の原稿台21上に載置された原稿や両面自動原稿送り部2を搬送される原稿の画像面に対して光を照射するものである。各反射鏡32,33,34は、図1に破線で光路を示すように、原稿からの反射光像を一旦所定方向(図1では左方向)に偏向(反射)させた後、下方に偏向させ、その後、結像レンズ35に向かうように図中右方向に偏向させるようになっている。
【0032】
第1の走査ユニット37(露光光源31及び第1反射鏡32)は、原稿台21の下面に対し一定の速度を保ちながら所定の走査速度で平行に往復動(図1では左右動)するものである。第2の走査ユニット38(第2及び第3反射鏡33,34)は、原稿台21の下面に対し第1の走査ユニット37と一定の速度関係を保って平行に往復動(図1では左右動)するものである。
【0033】
結像レンズ35は、第2の走査ユニット38の第3反射鏡34により偏向された原稿からの反射光像を縮小し、この縮小された光像を光電変換素子36上の所定位置に結像させるものである。
【0034】
光電変換素子36は、結像された光像を順次光電変換して電気信号として出力するものである。光電変換素子36は、白黒画像またはカラー画像を読み取り、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分に色分解したラインデータを出力することができる3ラインのカラーCCDである。この光電変換素子36(CCD)により電気信号に変換された原稿画像情報は、図示しない画像処理部に転送されて所定の画像データ処理が施される。
【0035】
<画像形成部4の説明>
画像形成部4は、画像形成系41と転写紙搬送系42とを備えている。
【0036】
画像形成系41は、デジタルカラー複写機1の本体10の上部に設けられ、その下側に給紙機構43を備えている。給紙機構43は、本体10の下端部に装着した給紙カセット12内に積載収容されている用紙P(記録媒体)を一枚ずつ分離して画像形成系41に供給するようになされている。この画像形成系41に供給される用紙Pは、カットシート状の紙であり、画像形成系41の手前(図1では右側)に設けられた上下一対のレジストローラ40,40によって、画像形成系41への供給タイミングが制御されるようになっている。また、片面に画像が形成された用紙Pも、レジストローラ40,40によって、画像形成系41での画像形成にタイミングを合わせて再度画像形成系41に供給(搬送)される。
【0037】
画像形成系41の下方には、転写搬送ベルト機構44が設けられている。この転写搬送ベルト機構44は、デジタルカラー複写機1の本体10の略中央部に設けられている。転写搬送ベルト機構44は、その一側(図1では左側)に設けられた駆動ローラ44aと、他側(図1では右側)に設けられた従動ローラ44bと、この両ローラ44a,44b間に張架され、図1中に示す矢印Z方向に駆動する無端の転写搬送ベルト44cとを備え、この転写搬送ベルト44cの表面上に用紙Pを静電吸着させることによって、レジストローラ40,40から供給される用紙Pを他側(上流側)から一側(下流側)に搬送するようになされている。転写紙搬ベルト機構44の用紙P搬送方向下流側(図1では左側)には定着装置45が設けられ、この定着装置45によって、用紙Pに転写形成されたトナー像を用紙P上に定着させることが行われる。定着装置45は、上下一対の定着ローラ45a,45aを備え、転写紙搬ベルト機構44(転写搬送ベルト44c)上を搬送された用紙Pを定着ローラ45a,45a間のニップを介して通過させるようにしている。定着装置45の一側には切換ゲート46が設けられている。この切換ゲート46は、定着ローラ45a,45a間のニップを通過した定着後の用紙Pを、本体10の一側外壁に取り付けた排紙トレイ11に対し上下一対の排出ローラ11a,11aによって排出する排出経路と、転写搬送ベルト機構44の下方を通して画像形成系41に再供給する再供給経路とに選択的に切り換えるように構成されている。この再供給経路は、スイッチバック搬送機構47を備え、切換ゲート46により再供給経路側に搬送された用紙Pの表裏面をスイッチバック搬送機構47によって上下逆転させてから画像形成系41に向かって再供給するようになされている。
【0038】
転写搬送ベルト機構44の上方には、第1の画像形成ステーションS1、第2の画像形成ステーションS2、第3の画像形成ステーションS3及び第4の画像形成ステーションS4がそれぞれ転写搬送ベルト44cに近接して用紙搬送経路上流側(図1では右側)から順に所定間隔置きに並設されている。この場合、転写搬送ベルト44c上の用紙Pは、第1の画像形成ステーションS1、第2の画像形成ステーションS2、第3の画像形成ステーションS3及び第4の画像形成ステーションS4に順次搬送されることになる。
【0039】
各画像形成ステーションS1〜S4は、実質的に同一構成となり、図1に示す矢印F方向にそれぞれ回転する感光体としての感光体ドラム5を具備している。この各感光体ドラム5の周囲には、各感光体ドラム5を帯電させる帯電器51と、感光体ドラム5の外周面上に形成された静電潜像をトナーにより可視像に現像する現像装置52と、感光体ドラム5の外周面上に現像されたトナー像(可視像)を用紙Pに転写する転写用放電器53と、感光体ドラム5の外周面上に残留するトナーを除去するクリーニング装置54とが感光体ドラム5の回転方向(矢印F方向)に沿って順次設けられている。
【0040】
また、各感光体ドラム5の上方には、レーザビームスキャナユニット55(以下、LSUと称する。)が設けられている。この各LSU55は、画像データに応じて変調されたドット光を発する半導体レーザ素子(図示せず)と、この半導体レーザ素子からのレーザビームを主走査方向に偏向させるためのポリゴンミラー55a(偏向装置)と、このポリゴンミラー55aにより偏向されたレーザビームを感光体ドラム5の外周面上に結像させるためのfθレンズ55b及びミラー55c,55dとを備えている。
【0041】
第1の画像形成ステーションS1のLSU55にはカラー原稿画像の黒色成分像に対応する画素信号が入力され、第2の画像形成ステーションS2のLSU55にはカラー原稿画像のシアン色成分像に対応する画素信号が入力され、第3の画像形成ステーションS3のLSU55にはカラー原稿画像のマゼンタ色成分像に対応する画素信号が入力され、さらに、第4の画像形成ステーションS4のLSU55にはカラー原稿画像のイエロー色成分像に対応する画素信号が入力されるようになされている。これにより、色変換された原稿画像情報に対応する静電潜像が各感光体ドラム5の外周面上に形成される。
【0042】
第1の画像形成ステーションS1の現像装置52には黒色のトナーが収容され、第2の画像形成ステーションS2の現像装置52にはシアン色のトナーが収容され、第3の画像形成ステーションS3の現像装置52にはマゼンタ色のトナーが収容され、さらに、第4の画像形成ステーションS4の現像装置52にはイエロー色のトナーが収容されている。各感光体ドラム5の外周面上の静電潜像は、これら各色のトナーにより可視像に現像され、これにより、画像形成系41において色変換された原稿画像情報が各色のトナーによってトナー像として再現されるようになっている。
【0043】
第1の画像形成ステーションS1と給紙機構43との間には用紙吸着用帯電器56が設けられている。この用紙吸着用帯電器56は、転写搬送用ベルト44cの表面を帯電するものであり、給紙機構43から供給された用紙Pを転写搬送用ベルト44c上に確実に吸着させることによって、第1の画像形成ステーションS1から第4の画像形成ステーションS4までの間で用紙Pをずれさせずに搬送するようにしている。
【0044】
一方、第4の画像形成ステーションS4と定着装置45との間には、除電用放電器57が駆動ローラ44aのほぼ真上に位置して設けられている。この除電用放電器57には、転写搬送用ベルト44cに静電吸着されている用紙Pを転写搬送用ベルト44cから分離するための交流電流が印加されている。
【0045】
そして、本デジタルカラー複写機1に使用される用紙Pは、給紙カセット12から送り出されて給紙機構43の用紙搬送経路のガイド内に供給されると、その用紙Pの先端部分がセンサ(図示せず)により検知され、このセンサから出力される検知信号に基づいて一対のレジストローラ40,40により一旦停止される。そして、用紙Pは、各画像形成ステーションS1〜S4とタイミングをとって、図1の矢印Z方向に回転している転写搬送ベルト44c上に送られる。このとき、転写搬送ベルト44cには用紙吸着用帯電器56による所定の帯電が施されているため、用紙Pは、各画像形成ステーションS1〜S4を通過する間、安定して搬送供給される。
【0046】
各画像形成ステーションS1〜S4においては、各色のトナー像がそれぞれ形成され、転写搬送ベルト44cにより静電吸着されて搬送される用紙Pの支持面上で各画像形成ステーションS1〜S4のトナー像が重ね合わされて画像が転写される。そして、第4の画像形成ステーションS4による画像の転写が完了すると、用紙Pは、その先端部分から順次除電用放電器57により転写搬送ベルト44c上から剥離され、定着装置45へと導かれる。この定着装置45においてトナー画像が定着された用紙Pは、排出ローラ11aにより用紙排出口(図示せず)を介して排出トレイ11上に排出されるようになっている。
【0047】
<制御系の構成説明>
図2は、本複写機1の制御系の構成を示すブロック図である。この図に示すように、本複写機1は、原稿読み取り制御手段61、個人情報取得手段62、個人情報集計手段63、フォント格納部64、フォント選択手段65、配色格納部66、配色選択手段67及び画像形成手段68を備えている。以下、それぞれについて説明する。
【0048】
原稿読み取り制御手段61は、画像データ作成手段61A、領域分離手段61B及びOCR処理手段61Cから成っている。画像データ作成手段61Aは、上記画像読取部3を制御すると共に作成した原稿画像データを一旦格納する部分である。領域分離手段61Bは、原稿上の画像を「文字領域」と「背景領域(文字以外の領域)」に分離し、それに基づいて、画像データ作成手段61Aに格納されている原稿画像データを「文字領域データ」と「背景領域データ(文字以外の画像データ)」とに分ける。そして、この「文字領域データ」のみをOCR処理手段61Cに出力するようになっている。このOCR処理手段61Cは、領域分離手段61Bから受けた「文字領域データ」つまりイメージデータを読み込んでテキストデータに変換するものである。このようにして各手段61A,61B,61Cでのデータ処理が行われるため、原稿読み取り制御手段61からは、テキストデータ化された「文字データ」とそれ以外のデータである「背景領域データ」とが出力されるようになっている。
【0049】
個人情報取得手段62は、ユーザの個人情報を、個々のユーザが複写機1を使用する度に取得し、その情報信号を個人情報集計手段63、フォント選択手段65及び配色選択手段67にそれぞれ送信するものである。このユーザの個人情報を取得するための具体的な手段としては、複写機1の図示しない操作パネル上に、年齢入力キーや性別入力キー等の情報入力キーが備えられている。つまり、ユーザが複写機1を使用する際に、この情報入力キーを操作して個人情報を入力し、その情報が個人情報取得手段62によって取得されるようになっている。また、この際、操作パネル上には、個人情報に基づいて選定されたフォント(画像形成を行う際の文字フォントの種類)や配色(画像形成を行う際の背景色の種類)が表示されてユーザが確認できるようになっている。そして、この表示されたフォントや配色をユーザが承認した場合にはそのまま複写実行キーを押圧することにより画像形成動作が実行される。これに対し、操作パネル上に表示されたフォントや配色をユーザが承認しない場合には、手動操作によってフォントや配色を変更することができるようになっている。つまり、操作パネル上には手動操作によってフォントや配色を変更することができる操作キーが配置されている。尚、この複写動作が実行された際、個人情報(年齢及び性別)とその際に実行されたフォントと配色との情報が個人情報集計手段63に送信されるようになっている。つまり、個人情報と実行されたフォント及び配色とが関連付けられた情報が個人情報集計手段63に送信される。具体的には、フォントや配色の変更操作が行われなかった場合には、現在設定(デフォルト設定)されている個人情報とフォントや配色との関連付けによる画像形成動作が1回行われたことを「実行情報」として個人情報集計手段63に送信される一方、ユーザによるフォントや配色の変更操作が行われた場合には、その変更情報及びそれに関連付けられた個人情報(年齢や性別)が「実行情報」として個人情報集計手段63に送信されるようになっている。つまり、ある年齢及びある性別のユーザがフォントや配色をどのように変更したかを逐次、個人情報集計手段63に送信するようになっている。
【0050】
個人情報集計手段63は、上記個人情報取得手段62によって取得されたユーザの個人情報や上記フォントや配色の変更操作が行われた際の変更情報等を蓄積して集計するものである。つまり、個人情報に対応した画像データの加工の実施回数と、ユーザの操作によって行われる画像データの加工の実施回数とを集計するようになっている。そして、上述した如く、フォントや配色の変更操作が行われた場合には、現在設定(デフォルト設定)されている個人情報とフォントや配色との関連付けによる画像形成動作よりも、他の関連付けによる画像形成動作の方が頻度が高くなったか否かを判別し、後者の画像形成動作の頻度の方が高くなった場合には、個人情報とフォントや配色との関連付けを、使用頻度の高い関連付けの設定に変更して(この関連付けをデフォルト設定にして)フォント選択手段65及び配色選択手段67に送信するようになっている。言い換えると、個人情報に対応して自動的に画像データの加工が行われた場合の実施回数と、ユーザの操作によって画像データの加工が行われた場合の実施回数とを集計し、同一個人情報に対する前者の実施回数と後者の実施回数とを比較して後者の実施頻度が高い場合には、この後者の加工情報を、自動的に画像データの加工が行われる場合の加工条件として置き換えるようにしている。
【0051】
フォント格納部64には、本複写機1で画像形成を行う際の文字部分の画像を形成するための複数種類のフォントデータ(例えば「明朝体」「ゴシック体」「楷書体」等)が格納されている。つまり、この複数種類のフォントデータのうちの一つが選出され、そのフォントデータが画像データに取り込めるようになっている。
【0052】
フォント選択手段65は、個人情報とフォント情報とを関連付けた選択情報が格納されており、上記個人情報取得手段62からの情報信号及び個人情報集計手段63からの情報信号を受信し、それに基づいて上記フォント格納部64に格納されている複数種類のフォントデータのうちの一つを選出して、この選出したフォントデータを画像データに取り込ませるものである。
【0053】
配色格納部66には、本複写機1で画像形成を行う際の背景部分の複数種類の配色データ(例えば「黄色」「青色」「赤色」等)が格納されている。つまり、この複数種類の配色データのうちの一つが選出され、その配色データが画像データに取り込めるようになっている。
【0054】
配色選択手段67は、個人情報と配色情報とを関連付けた選択情報が格納されており、上記個人情報取得手段62からの情報信号及び個人情報集計手段63からの情報信号を受信し、それに基づいて上記配色格納部66に格納されている複数種類の配色データのうちの一つを選出して、この選出した配色データを画像データに取り込ませるものである。
【0055】
画像形成手段68は、上記画像形成部4を制御して、上記選出されたフォントデータによる画像形成(印字)及び配色データによる背景の画像形成を行わせるようになっている。
【0056】
このようにして制御系が構成されているために、上記フォント格納部64、フォント選択手段65、配色格納部66及び配色選択手段67によって、画像データをユーザの個人情報に適合するように加工する本発明でいう加工手段69が構成されている。
【0057】
<複写動作の説明>
次に、図3のフローチャートに沿って、本複写機1の複写動作を説明する。先ず、原稿台21上に原稿が載置され、ユーザが操作パネル上の年齢入力キー及び性別入力キーを操作して個人情報を入力する。これにより、個人情報が個人情報取得手段62によって取得される。その後、この個人情報取得手段62は、取得した個人情報信号を個人情報集計手段63、フォント選択手段65及び配色選択手段67にそれぞれ送信する。尚、フォントや背景色の変更をユーザが希望しない場合には、この個人情報の入力操作を行わないことで、原稿がそのまま(データ変更されることなく)複写されることになる。
【0058】
個人情報信号が送信された個人情報集計手段63は、その個人情報に基づいて、操作パネル上に、現在設定されている個人情報に関連付けられたフォントと配色(背景の色)とを表示し、現在表示しているフォント及び配色による画像形成を承認するか否かをユーザに判断させる。この表示されたフォントや配色をユーザが承認した場合にはそのまま複写実行キーを押圧して画像形成動作が実行される。一方、操作パネル上に表示されたフォントや配色をユーザが承認しない場合には、ユーザが操作パネル上のキー操作によってフォントや配色を所望のものに変更し、その後、複写実行キーを押圧することにより画像形成動作が実行される。
【0059】
これらの操作によって画像形成動作が開始されと、先ず、ステップST1において画像読取部3による原稿のスキャンが行われ、画像データ作成手段61Aにより原稿画像データが作成され、且つこの原稿画像データが格納される。
【0060】
その後、ステップST2で、領域分離手段61Bによって原稿上の画像が「文字領域」と「背景領域」とに分離され、それに基づいて、画像データ作成手段61Aに格納されている原稿画像データが「文字領域データ」と「背景領域データ」とに分けられる。
【0061】
そして、ステップST3では、「文字領域データ」のみがOCR処理手段61Cによって処理され、「文字領域データ」がテキストデータに変換される。
【0062】
ステップST4では、上記ユーザが年齢入力キー及び性別入力キーを操作することによって得られた個人情報を個人情報取得手段62が読み込み、その情報が個人情報集計手段63、フォント選択手段65及び配色選択手段67にそれぞれ送信される。これにより、ステップST5及びステップST6において、フォント選択手段65は、上記フォント格納部64に格納されている複数種類のフォントデータのうちの一つを個人情報に基づいて選出して、この選出したフォントデータを「文字領域データ」内のフォント情報として取り込ませる。同様に、配色選択手段67は、上記配色格納部66に格納されている複数種類の配色データのうちの一つを個人情報に基づいて選出して、この選出した配色データを「背景領域データ」内の配色情報として取り込ませる。
【0063】
その後、ステップST7では、ユーザの手動操作によってフォントや配色が変更されたか否かを判断し、変更されていないNOの場合にはステップST9に移って、上記自動選出されたフォント及び配色での画像形成が実行される。一方、ユーザの手動操作によってフォントや配色が変更されたYESの場合にはステップST8に移って、変更されたフォント及び配色の情報をフォント格納部64及び配色格納部66からフォント選択手段65及び配色選択手段67がそれぞれ選出し、この選出されたフォント及び配色での画像形成が実行される(ステップST9)。
【0064】
その後、ステップST10に移り、個人情報に対応した画像データの加工の実施回数またはユーザの操作によって行われる画像データの加工の実施回数が個人情報集計手段63で加算されて集計され、ステップST11で、この両実施回数を比較する。そして、前者の実施回数よりも後者の実施回数の方が多くなった場合(デフォルト設定の選択情報よりも手動変更の選択情報の方が人気がある場合)には、ステップST12において、個人情報とフォントや配色との関連付けを、使用頻度の高い後者の関連付けの設定に変更してフォント選択手段65及び配色選択手段67に送信する。これにより、フォント選択手段65に格納されている個人情報とフォント情報とを関連付けた選択情報が更新されると共に、配色選択手段67に格納されている個人情報と配色情報とを関連付けた選択情報が更新され、これらがデフォルト設定とされる。つまり、次回の画像形成時に、今回と同一の個人情報が入力された場合には、この更新された選択情報に基づいてフォント及び配色が選出されることになる。以上の動作により、ユーザの個人情報に適合したフォント及び背景の配色での複写動作が終了する。
【0065】
−実施形態の効果−
以上説明したように、本形態では、個人情報取得手段62によって取得されたユーザの個人情報に基づいて、フォントや配色を変更した複写物を得ることができる。例えば、図4に示すように、原稿が「白色の背景」に「明朝体」の文字画像が描かれているものである場合において、比較的高齢(例えば60歳)の男性がユーザである場合には「白色の背景」に「楷書体」で印字が行われ(図中複写物A)、比較的若い女性(例えば女子高生)がユーザである場合には「黄色の背景」に「ゴシック体」で印字が行われる(図中複写物B)などといったようにユーザ毎に適合した画像形成が行われる。つまり、本形態によれば、原稿とは異なったフォントや配色で画像形成を行うことができる複写機1を提供することができると共に、この複写機1によって得られた複写物を個々のユーザに適合したものとして自動的に得ることができる。その結果、ユーザによる煩雑な設定作業を必要とすること無しに、ユーザの求める複写物を提供することができる。
【0066】
<変形例>
次に、本発明の変形例について説明する。本例は、上記複写機1をサーバ7に接続してネットワークを構築した場合である。ここでは、上述した実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0067】
図5に示すように、複写機1及びサーバ7には相互に情報を送受信するためのネットワーク接続手段81,82がそれぞれ備えられており、これらネットワーク接続手段81,82によって複写機1とサーバ7とは通信媒体としての通信ケーブル83C介して信号の送受信が可能に接続されている。
【0068】
また、本例の複写機1は、フォント格納部、配色格納部及び個人情報集計手段を備えておらず、これらフォント格納部64、配色格納部66及び個人情報集計手段63はサーバ7に備えられている。つまり、本ネットワークに複数台の複写機1が接続された場合に、サーバ7に格納されたフォント情報及び配色情報を各複写機1が個々に選出することで兼用できるようになっている。その他の構成は上述した実施形態のものと同様である。このため、本例においては、フォント選択手段65及び配色選択手段67によって加工手段69が構成されている。
【0069】
以下、本例における複写動作について説明する。ここでも上述した実施形態の複写動作(図3のフローチャート)との相違点についてのみ説明する。尚、図6の各ステップでは、図3の各ステップと同一の動作部分については同一のステップ番号を付している。
【0070】
本フローチャートにおいて、ステップST6’及びステップST8’にあっては、フォント選択手段65は、上記フォント格納部64に格納されている複数種類のフォントデータのうちの一つをサーバ7から選出して、この選出したフォントデータを「文字領域データ」内のフォント情報として取り込ませる。同様に、配色選択手段67は、上記配色格納部66に格納されている複数種類の配色データのうちの一つをサーバ7から選出して、この選出した配色データを「背景領域データ」内の配色情報として取り込ませる。
【0071】
また、ステップST9Aでは、今回選択されたフォントの種類及び配色情報とそれに関連付けられた個人情報とをネットワーク接続手段81及び通信ケーブル83を経てサーバ7に送信する。ステップST9Bでは、これら情報をサーバ7が受信し、サーバ7側のネットワーク接続手段82がこの情報を個人情報集計手段63に送信する。その他の動作は、上述した実施形態の複写動作と同様である。
【0072】
本例によれば、この複写機1がネットワークに複数台接続された場合であっても、加工情報(フォントや配色の情報)は各複写機1がサーバ7から選出することになるため、各複写機1毎に加工情報を格納させておく必要はない。つまり、各複写機1にはフォント格納部64及び配色格納部66が必要ないので複写機1の構成の簡素化を図ることができる。また、サーバ7に個人情報集計手段63を備えさせたことにより、各複写機1で複写動作が行われた際のフォント及び配色の選択情報を一元管理することができ、頻度の高いフォント及び配色での複写動作を各複写機1において同様に行わせることができる。
【0073】
−その他の実施形態−
上述した実施形態及び変形例では、画像データを加工する加工情報としてフォントデータ及び配色データを採用した場合について説明した。本発明は、これに限らず、配色データのみを採用してもよい。また、これらの他に、文字の色や文字の配置(横書きの原稿を縦書きの複写物に変更する等)などといった加工情報を備えさせるようにしてもよい。
【0074】
また、ユーザの個人情報として「年齢」及び「性別」を採用した場合について説明した。本発明は、これに限らず、何れか一方のみを個人情報としてもよい。また、これらの他に、「職業」、「電話番号」、「名前」などといった個人情報を採用してもよい。
【0075】
更に、上記実施形態及び変形例では、本発明を複写機に適用した場合について説明した。本発明は、これに限らず、ファクシミリ装置(この場合、相手側が発信した画像を加工して出力する)や、複写機とファクシミリ装置との複合機に適用することも可能である。
【0076】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、原稿の画像を読み取ることによって得られた画像データをユーザの個人情報に適合するように加工し、この加工後の画像データに基づいて画像形成を行うようにしている。このため、背景色を変更した画像形成物が得られると共に、この得られた画像形成物がユーザに適合したものとして得られることになる。その結果、個々のユーザによって異なる要求をそれぞれ満たすことができる画像形成物を得ることが可能な画像形成装置が提供できる。また、画像形成装置をネットワークに接続し、サーバに、個人情報別に作成された複数種類の背景色情報や個人情報集計手段を備えさせることにより、画像形成装置がネットワークに複数台接続された場合であっても、各画像形成装置毎に背景色情報や個人情報集計手段を備えさせておく必要はない。このため、画像形成装置の構成の簡素化を図ることができる。
【0081】
加えて、画像データの加工条件をユーザの操作によって変更可能とし、加工手段によって行われる個人情報に対応した画像データの加工の実施回数の頻度よりもユーザの操作によって行われる画像データの加工の実施回数の頻度の方が高い場合には、加工手段によって行われる個人情報に対応した画像データの加工条件を、この後者の加工条件に変更する個人情報集計手段を備えさせた構成を採用すれば、この実施頻度を反映して、常に、個々のユーザにとって最適な画像形成物を提供することが可能になる。その結果、ユーザの要求に的確に応えることができる信頼性の高い画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るデジタルカラー複写機の内部構成の概略を示す断面図である。
【図2】複写機の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】複写動作を説明するためのフローチャート図である。
【図4】複写された複写物の一例を示す図である。
【図5】変形例における図2相当図である。
【図6】変形例における図3相当図である。
【符号の説明】
1 デジタルカラー複写機(画像形成装置)
61A 画像データ作成手段
61B 領域分離手段
61C OCR処理手段
62 個人情報取得手段
63 個人情報集計手段
68 画像形成手段
69 加工手段
7 サーバ
81 ネットワーク接続手段
83 通信ケーブル(通信媒体)
Claims (3)
- 原稿の画像を読み取って画像データを作成する画像データ作成手段と、記録媒体への画像形成を行う画像形成手段とを備えた画像形成装置において、
上記画像データ作成手段で作成された画像データ中から文字領域以外の背景領域を分離する領域分離手段と、
ユーザの個人情報を、ユーザが画像形成装置を使用する際に取得する個人情報取得手段と、
個人情報別に作成され且つ複数の画像形成装置が接続された場合に各画像形成装置で兼用される複数種類の背景色情報が格納されたサーバに通信媒体を介して接続するためのネットワーク接続手段と、
上記個人情報取得手段から受けた個人情報に基づいてサーバから背景色情報を選出し、その選出した背景色情報を、上記分離された文字領域以外の背景領域全体の色情報として自動的に設定する加工を行う一方、この自動的に加工された背景色をユーザが操作キーを操作することにより変更する場合は、ユーザがサーバに格納された複数種類の背景色データのうちの一つを選出し、上記自動的に加工された背景領域全体の色情報を、選出された背景色情報に置き換える加工を行う加工手段とを備え、この加工後の画像データを上記画像形成手段に出力する構成とされていることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1記載の画像形成装置において、
サーバには、加工手段によって行われる個人情報に対応した画像データの自動加工の実施回数と、ユーザの操作によって行われる画像データの加工の実施回数とを集計し、同一個人情報に対する前者の実施回数と後者の実施回数とを比較して後者の実施頻度が高い場合には、加工手段によって行われる個人情報に対応した画像データの自動加工条件を、この後者の加工条件に変更する個人情報集計手段が備えられており、
ネットワーク接続手段は、サーバとの間で、上記各画像データの加工の実施回数情報及び画像データの加工条件情報を送受信可能に構成されていることを特徴とする画像形成装置。 - 上記請求項1または請求項2記載の画像形成装置と、この画像形成装置に通信媒体を介して接続された上記サーバとを備えて構築されていることを特徴とする画像形成ネットワークシステム。
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