本発明は、電子写真感光体・静電記録誘電体などの像担持体に形成担持させたトナー像を転写材上に転写する方式の画像形成装置に関するものである。
近年、電子写真方式によるカラー画像形成装置の普及に伴い、カラー画像の記録品質に対する要求に加え、カラー出力の高速化に対する要求が高まってきている。この要求に応えるために、画像形成方式にいくつかの提案がなされているが、その中でタンデム型と呼ばれるカラー画像形成装置がある(特許文献1参照)。
このタンデム型のカラー画像形成装置は、複数個の画像形成ユニットによって形成された複数のトナー像を、転写材搬送ベルト上に担持した転写材上に、転写手段によって順次形成していくことで一つの画像を形成する方式で、高速にカラー画像を形成することが可能である。
また、近年のプリンタ需要の多様化やデジタルスチルカメラ等のデジタル画像記録装置の普及等により、銀塩写真のような余白無し印刷に対する要望が高まってきている。余白無し印刷は、近年のインクジェット方式の画像形成装置などでは既に実用化されており(特許文献2参照)、電子写真式のカラー画像形成装置にも望まれるようになってきている。
特開2001−109325号公報
特開平10−337886号公報
上述のような電子写真方式の画像形成装置で余白無し印刷をする場合には転写材の端部においてトナーが適切に転写されなければならない。そのためには転写材が転写ニップに到達する時には転写バイアスがトナー転写用の所定の電圧に達している必要があり、そのためには従来よりも早いタイミングで転写バイアスの印加を開始しなければならない。しかしながら、転写バイアスには高い電圧が必要なため実際の転写バイアスの出力には図7に示すように、設定された電圧になる前に設定電圧よりも高い電圧が一瞬出力される現象(以後、オーバーシュートと呼ぶ)が発生する。そのため余白無し印刷のために転写バイアスの印加タイミングを早くすると、転写材が転写ニップに到達する前に転写バイアスのオーバーシュート分が像担持体としての感光ドラムに直接印加されることがある。すると、感光ドラム上には転写バイアスの高圧印加による転写メモリが作られ、それ以後の画像には転写メモリが横スジとなって現れてしまい画像品位を著しく低下させてしまう。
本発明の目的は、像担持体への転写メモリの発生を防止できる画像形成装置を提供することにある。
本発明に係る代表的な画像形成装置の構成は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上のトナー像を転写材へ転写するための移動可能な転写手段と、前記転写手段と前記像担持体とが前記像担持体から前記像担持体上のトナー像を転写するために形成している転写ニップに転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段と、を有し、転写材の移動方向の先端の縁にトナーの転写がされる画像形成装置において、前記像担持体上に転写材へは転写されないトナーの帯が形成され、転写バイアスの制御の切換えに基づくピーク電圧が前記転写バイアス印加手段によって印加される時に、前記転写ニップに前記トナーの帯があることを特徴とする画像形成装置、である。
本発明によれば、像担持体上に形成したトナーの帯によって像担持体への転写メモリの発生を防止することができる。
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施例を詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(1)画像形成装置の全体構成
図1は本発明に係る画像形成装置の一例の構成模式図、図2は画像形成エンジン部の拡大図である。本実施例の画像形成装置は、電子写真プロセス利用のタンデム型の複写機、プリンタ等のカラー画像形成装置である。
図1および図2において、カラー画像形成装置(以下、画像形成装置と記す)Aはスタンドアローンまたはネットワーク経由でホストコンピュータDと接続されている。また、場合によっては画像形成装置Aはプリントデータを一時的に保存するプリントサーバ(不図示)を介してネットワークに接続されることもある。そして、画像形成装置Aが扱う画像は各画素8ビットの多値のカラー画像である。
画像形成装置Aはコントローラ部Bと画像形成エンジン部(以下、エンジン部と記す)Cとから構成され、ホストコンピュータD内のアプリケーションソフトウェア等により作成された画像データはプリンタドライバ31を通して印字情報として出力され、コントローラ部Bに送られる。
コントローラ部Bでは送られてきた画像データを基に色変換、ラスタライズ等の処理をしてエンジン部Cに送る。ただし、色変換やラスタライズ等の処理はホストコンピュータD内で行うような形態をとることもある。
コントローラ部Bにはコントロールパネル29が接続され、画像形成装置Aの動作を設定することができる。さらに、ホストコンピュータD内のプリンタドライバ31からの指示によってもコントローラ部Bは画像形成装置Aの動作の設定が可能である。
次にエンジン部Cを説明する。
図1において、30は制御手段としての制御装置であり、コントローラ部Bと結ばれ、コントローラ部Bからの指示によりエンジン部Cの動作を制御する。制御装置30には、実際にエンジン部Cの制御を行うCPU26、CPU26が制御を行うためのプログラムや各種データが書き込まれている読み出し専用のメモリであるROM28、データ処理のための作業領域になる読み書き可能なメモリであるRAM27などが備えられている。
本実施の形態におけるエンジン部Cは、転写材担持体としての転写ベルト14の走行方向に沿って上流側から順に、イエロー(Y)の画像形成ステーションSY、マゼンタ(M)の画像形成ステーションSM、シアン(C)の画像形成ステーションSC、ブラック(Bk)の画像形成ステーションSBkを配設した、いわゆるタンデム型のカラー画像形成エンジンである。
イエローの画像形成ステーションSYは、像担持体として感光ドラム(ドラム状電子写真感光体)1Yを備え、感光ドラム1Yの周囲には、その矢印R1にて示す回転方向(時計方向)に沿ってほぼ順に、帯電手段としての帯電ローラ(帯電装置)2Y、露光手段としての露光装置11Y、現像手段としての現像装置8Y、転写手段としての転写ローラ(転写部材)4Y、クリーニング手段としてのクリーニング装置10Yが配設されている。
感光ドラム1Yには、例えば、アルミニウム製の円筒状のドラムの表面に、感光層としてOPC(有機光半導体)を設けたものを使用することができる。
帯電ローラ2Yは、感光ドラム1Yの表面に接触配置され、不図示の帯電バイアス印加電源によって帯電バイアスが印加される。帯電ローラ2Yは、その帯電バイアスにより感光ドラム1Yの表面を所定の極性、所定の電位に均一に帯電する。
露光装置11Yは、画像情報に応じて発振されるレーザ光を不図示の多面鏡によって走査させるスキャナユニットまたはLEDアレイによって構成されている。露光装置11Yは、8ビットの画像信号(00h〜FFh、hは16進を表す)に基づいて変調された走査ビーム12Yにより、帯電後の感光ドラム1Yの表面を露光走査し、露光部分の電荷を除去して静電潜像を形成する。本実施例では画像信号が00hの時はべた白をFFhの時はべた黒画像となる。
現像装置8Yは、現像スリーブ5Yと、塗布ローラ6Yと、規制ブレード7Yとを有し、非磁性一成分現像剤(以下、非磁性トナーまたはトナーと記す)3Yを収容している。現像装置8Yは、塗布ローラ6Yによって現像スリーブ5Yの表面に非磁性トナー3Yを塗布し、その塗布したトナーを規制ブレード7Yによって層厚規制し、層厚規制されたトナーを現像スリーブ5Yの回転によって感光ドラム1Yに対向する現像位置まで搬送する。そして、現像スリーブ5Yに不図示の現像バイアス印加電源によって現像バイアスを印加することで、現像スリーブ5Y上のトナーを感光ドラム1Y表面の静電潜像に付着させて現像し、静電潜像をイエローの転写用トナー像(転写用現像剤像)として可視化する。
転写ローラ4Yは、感光ドラム1Y上に形成された上記のトナー像を、転写ベルト14上の転写材Pに静電的に転写するためのもので、例えば金属の芯金を、体積抵抗率105〜108Ωcm程度に抵抗調整したEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、ウレタンゴム、NBR(ニトリルブタジエンゴム)等の弾性体で覆った構成とすることができる。転写ベルト14が移動可能な転写手段である。転写ローラ4Yは、転写ベルト14の内側に配設されて、転写ベルト14を感光ドラム1Y表面に圧着し、これにより感光ドラム1Yと転写ベルト14との間に、転写ニップ部TYが構成されている。転写ローラ4Yには本実施例では、転写バイアス印加手段としての定電圧電源である転写バイアス印加電源23Yが接続されている。また転写バイアス印加手段は定電流電源でも構わない。
クリーニング装置10Yは、転写材Pに転写されずに感光ドラム1Yの表面に残留したトナーを除去するためのクリーニングブレード9Yを有している。
以上のイエローの画像形成ステーションSYにおいて、現像装置8Yは現像ユニットに構成され、またクリーニング装置10Yは、感光ドラム1Yおよび帯電ローラ2Yとともにドラムユニットに構成されている。そしてこれら現像ユニットおよびドラムユニットはそれぞれが画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジを構成したり、現像ユニットとドラムユニットを合わせて一つのプロセスカートリッジを構成することがある。
他の色のマゼンタ、シアン、ブラックの画像形成ステーションSM,SC,SBkも、イエローの画像形成ステーションSYと同様の構成であるので各画像形成ステーションSM,SC,SBkの説明を省略する。各画像形成ステーションSM,SC,SBkにおいて、ステーションSYと同じ構成の装置・部材等については同じ番号を付し、その番号の後にYに代えてM,C,Bkをそれぞれ添えて示すこととする。
転写ベルト14は、4本の張架ローラ(以下、ローラと記す)13a,13b,13c,13dに掛け渡されており、例えばローラ13aを駆動ローラとして矢印R14にて示す反時計方向に所定のスピード(プロセススピード、本実施例では100mms)で回転駆動される。これにより、転写ベルト14は、ベルト表面に担持した転写材Pを画像形成ステーションSY〜SBkに順次搬送する。転写ベルト14には、その表面の不要なトナーを除去する転写ベルトクリーニング装置25が接触配置されている。
転写ベルト14としては厚さ50〜300μm、体積抵抗率109〜1016Ωcm程度のPVdF(ポリフッ化ビニリデン)、ポリアミド、ポリイミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート等の樹脂材料や、厚さ0.5〜2mm、体積抵抗率109〜1016Ωcm程度のクロロプレーンゴム、EPDM、NBR、ウレタンゴム等のゴム材料が用いられる。また、必要に応じて、これらの材料にカーボン、ZnO、SnO2、TiO2等の導電性充填材を分散させて、体積抵抗率を107〜1011Ωcm程度に調整することもある。
転写材Pは給搬送装置によって搬送(移動)される。給搬送装置は、紙等の転写材Pを収納する給紙カセット15と、給紙カセット15から転写材Pを給紙する給紙ローラ16と、給紙された転写材Pを搬送する搬送ローラ17,18と、転写材Pの先端を検知するレジストセンサ19等とを備えてなる。
レジストセンサ19はフラグとフォトインタラプタとからなり、転写材Pがフラグを押してフォトインタラプタを遮ると、転写材Pの先端が到達したという信号S1が制御装置30に取り込まれるようになっている。
吸着ローラ20は、給搬送装置から搬送されてきた転写材Pを転写ベルト14表面に静電吸着させるためのものである。この吸着ローラ20は、例えば金属の芯金を、体積抵抗率105〜108Ωcm程度に調整したEPDM、ウレタンゴム、NBR等の導電弾性体で覆い、その上に中層として厚さ200〜600μm程度のウレタン等の層を設け、さらにその上に250μm程度の表層を設けて構成されている。表層にはスチレン等を用いる。
吸着ローラ20の両端の芯金部を0.04〜0.5N程度の線厚でバネ加圧することにより、吸着ローラ20を転写ベルト14の回転方向R14において最上流側に配設されたローラ13aに転写ベルト14を介して圧着させ、転写ベルト14の移動に対して従動回転させる。これにより、吸着ローラ20とローラ13aとの間には吸着ニップ部が構成されている。
本実施例では、吸着ローラ20には定電圧電源である吸着バイアス印加電源21が接続されている。また吸着バイアス印加電源21には吸着電流測定回路22が接続されている。吸着ローラ20には、吸着バイアス印加電源21から吸着バイアスとして定電圧バイアスが印加され、そのとき流れる吸着電流は吸着電流測定回路22によって計測され、その計測値S2が制御装置30に取り込まれる。制御装置30は吸着電流測定回路22の計測値S2から転写材Pの抵抗を判断し、最適な転写バイアス(転写バイアス値)を設定する。
また、転写ベルト14の回転方向R14において最下流側に配設されたローラ13dのさらに下流側には、転写材Pの表面に転写されたトナー像を定着する定着装置24が配設されている。
(2)画像形成装置の画像形成プロセス
上述の構成の画像形成装置Aにおいて、制御装置30はコントロールパネル29またはホストコンピュータDから印字スタート信号を取り込むと、ROM28に記憶させた所定の画像形成プログラムに従いエンジン部駆動系(不図示)および給搬送装置駆動系(不図示)を駆動して、画像形成動作を実行する。エンジン部駆動系が駆動されると、感光ドラム1Y,1M,1C,1Bkおよび転写ベルト14等が所定のプロセススピードで、それぞれ矢印R1方向、矢印R14方向等に回転を始めるとともに露光装置11Y,11M,11C,11Bkが起動する。回転を始めた感光ドラム1Yは帯電ローラ2Yによって所定の極性、所定の電位に均一に帯電される。
一方、給搬送装置駆動系が駆動されると、給紙カセット15に収納されている転写材Pは、給紙ローラ16によって給紙され、搬送ローラ17,18によって吸着ローラ20に搬送される。そして転写材Pは、吸着ローラ20とローラ13aとの間の電圧印加によって転写ベルト14表面に静電吸着される。
このとき、感光ドラム1Yの表面には、転写材Pの搬送に同期して露光装置11Yからの走査ビーム12Yによって画像情報に従った静電潜像が形成される。感光ドラム1Yがさらに回転すると、この静電潜像は現像装置8Yによってトナーを付着して現像され、イエローの転写用トナー像(以下、トナー像と記す)として可視化される。感光ドラム1Y上のトナー像3Yiは、転写ベルト14に吸着して搬送されてきた転写材Pに、転写バイアス印加電源23Yによって転写ローラ4Yに印加された画像形成用の転写バイアスにより転写される。
マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成ステーションSM、SC、SBkにおいても、イエローの画像形成ステーションSYと同様に、それぞれの感光ドラム1M,1C,1Bk上にそれぞれの色のトナー像3Mi,3Ci,3Bki(不図示)が形成される。そして転写材Pが転写ベルト14によって搬送されていくのに同期して、感光ドラム1M,1C,1Bk上のトナー像が転写材P上に重ね合わせて転写され、転写材P上にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色を重ねたトナー像が形成担持される。すなわち、転写ベルト14は、転写材Pを担持し、転写材は、転写ベルト14上で感光ドラムからトナー像の転写を受ける。
一方、トナー像転写後の感光ドラム1Y,1M,1C,1Bkは、転写材Pに転写されずに表面に残留したトナーがそれぞれのクリーニング装置10Y,10M,10C,10Bkによって除去された後、つぎの画像形成に供される。また転写ベルト14は、表面に残った不要なトナーが転写ベルトクリーニング装置25によって除去され、つぎの転写材Pの搬送に供される。
(3)画像形成モードの説明
制御装置30は、画像形成モードとして、従来通り転写材P上の端部に余白部を設けて画像を印刷する余白有りモードと、転写材P上で余白部を設けずに画像を印刷する余白無しモードとをROM28に記憶している。ここで、余白有りモードとは、転写材Pの搬送方向の先端の縁にトナーの転写がなされない余白部のある画像を形成するモードをいう。また余白無しモードとは、転写材Pの搬送方向の先端の縁にトナーの転写をする余白部の無い画像を形成するモードをいう。これら2つのモードはホストコンピュータD内のプリンタドライバ31からの指示、またはコントロールパネル29の設定により選択することができる。つまり、上記の2つのモードはホストコンピュータDからの指示、またはコントロールパネル29の設定によって切り換え可能である。またROM28には余白無しモードに対応させてトナー帯形成モードが記憶されている。
図3(a)は、余白有りモードの印字領域Mと転写材Pの大きさの関係と、さらに転写材Pの搬送方向を矢印方向とした場合の転写材Pの各部が転写ニップTY,TM,TC,TBkにある時の転写バイアス値を併せて示したものである。「0」は転写材Pが転写ニップTY,TM,TC,TBkに到達した時点を表し、「E」は転写材後端が転写ニップTY,TM,TC,TBkを離れる時点を表している。
余白有りモードの場合、図3(a)に示すように、印字領域Mを転写材Pの大きさよりも小さく設定することにより、転写材P上の4辺の端部の縁にトナーの転写がされない余白部Paを確保している。この余白部Paの大きさは適宜設定されるものであり、本実施例においては、余白有りモードの印字領域Mを転写材Pの4辺の端部の縁から5mm内側に設定することにより、転写材P上で最小でも5mmの余白部Paを確保している。
本実施例における転写バイアス電源23Y,23M,23C,23Bkはバイアスonからオーバーシュートの頂点すなわちピーク電圧に達するまでの時間が10ms、その後電圧値が設定値に安定するまでに10ms程度かかる。そこで転写材Pの先端が転写ニップTY,TM,TC,TBkに到達した20ms後(転写材先端から2mm入ったところ)に転写バイアスをオンにしている。これにより転写材Pの先端から5mm入った印字領域Mが転写ニップTY,TM,TC,TBkに到達した時には転写バイアスは確実に必要な電圧に達している。また、転写材Pの搬送には±1mm程度の誤差があるので転写材Pの搬送が1mm遅れたとしても転写バイアスがonになる時には転写材Pは転写ニップに到達しているため転写メモリを作ることはない。逆に転写材Pの搬送が1mm早まったとしても転写バイアスは必要な電圧になっている。転写バイアスのoffは印字領域Mの後端から1mm後、すなわち転写材後端から4mmのところで行っている。
一方、余白無しモードの場合、図3(b)に示すように、印字領域Mを転写材Pの大きさよりも大きく設定することにより、転写材Pの4辺の端部の縁に上記の余白部が全く無い画像を印字することができる。すなわち、トナー像が転写材Pの4辺の端部の縁からはみ出すようにすることで、転写材Pの位置が少々ずれても転写材Pの端までトナー像を乗せることができる。
本実施例においては、余白無しモード時の印字領域Mを、転写材Pの4辺の端部の縁から2mm外側に設定している。印字領域Mを通常よりも広げるためには画像データを広げる必要がある。これはユーザがアプリケーション上であらかじめ転写材Pの大きさよりも大きな画像を作っておいたり、コントローラ部Bが画像データを所定の倍率で拡大したり、コントローラ部Bが画像データの最外周のデータを繰り返して拡大部を作ることで実現できる。このような余白無しの画像を転写材Pの端から適切に転写するためには転写材Pが転写ニップに到達するときには転写バイアスが所定の値に達している必要がある。
そこで、図3(c)に示すように、転写バイアスがオーバーシュートの頂点に達する前の所定の転写バイアスになる瞬間(図3(c)のT)に転写材Pの先端が転写ニップTY,TM,TC,TBkに到達するように転写バイアスの印加タイミングを制御すればよい。
しかし、実際には前述のように転写材Pの搬送には誤差があるため正確なタイミングが要求される設定をすると、転写ニップTY,TM,TC,TBkへの転写材先端の到達が遅れた場合に、オーバーシュートした高い転写バイアスが直接感光ドラム1Y,1M,1C,1Bkに印加されてしまい転写メモリを作ってしまう。また、転写ニップTY,TM,TC,TBkへの転写材先端の到達が早まった時には、転写バイアスの印加が遅れ転写材先端に転写不良が発生してしまう。
(4)転写メモリ、転写不良発生抑制策
そこで本実施例では、余白無しモードが選択されたときには制御装置30は、図4に示すように印字領域Mの画像の形成前に所定のデータ(たとえばFFh)でトナーによって帯画像Bを形成する。すなわち、制御装置30は、余白無しモードが選択されたときには、上記の印字領域M内に画像を形成する前に、トナー帯形成モードを実行して露光装置11Y,11M,11C,11Bkと現像装置8Y,8M,8C,8Bkにより感光ドラム1Y,1M,1C,1Bk面に転写材Pへ転写するトナー像とは別にトナーの帯画像Bを形成する。そして制御装置40は、この帯画像Bが転写ニップTY,TM,TC,TBkに到達するタイミングで転写バイアス電源23Y,23M,23C,23Bkをonして、転写バイアスのオーバーシュートの頂点(ピーク電圧)が帯画像Bの中に入るように転写ローラ4Y,4M,4C,4Bkを介して転写ニップTY,TM,TC,TBkに転写バイアスを印加させる。ここで、転写バイアスのオーバーシュートの頂点(ピーク電圧)とは、転写バイアスの制御の切換えに基づいて生成される最大電圧値である。また、転写バイアスの制御の切換えとは、転写バイアスが印加されていない状態から、転写バイアスを印加することである。この時、必要があれば帯電バイアスの印加タイミングや現像バイアスの印加タイミング、露光装置の起動タイミングも早める。そして、余白無しモードでは帯画像Bが転写ニップTY,TM,TC,TBkに到達した時に転写バイアスを印加するようにしている。従って、余白無しモードと、余白有りモードでは、転写バイアスの制御の切換えタイミングが異なっている。
この帯画像(トナーの帯)Bの主走査方向の長さをW、現像装置の現像可能な幅をD、転写装置の転写可能な幅をTとする。ここで、主走査方向とは、露光装置11Y,11M,11C,11Bkが回転中の感光ドラム1Y,1M,1C,1Bk面を露光走査する方向をいう。また主走査方向は感光ドラム1Y,1M,1C,1Bkの軸線方向でもあり、転写材Pの搬送方向R14と直交(交差)する方向でもある。現像装置の現像可能な幅Dとは、感光ドラム1Y,1M,1C,1Bk面に現像スリーブ5Y,5M,5C,5Bkでトナーを付着させる最大現像領域幅をいう。転写装置の転写可能な幅Tとは、感光ドラム1Y,1M,1C,1Bk面上のトナー像を転写ローラ4Y,4M,4C,4Bkで転写できる最大転写領域幅をいう。つまり転写ローラ4Y,4M,4C,4Bkの回転方向(移動方向(転写材搬送方向))に直交する方向において、主走査方向の長さWは帯画像Bの幅に、現像装置の現像可能な幅Dは帯画像Bの幅に、転写装置の転写可能な幅Tは転写ニップTY,TM,TC,TBkの幅に、それぞれ対応している。
上記のW,D,Tにおいて、D≧Tの仕様(DとTは所定の一定値)で構成されている画像形成装置の場合には、最大転写領域幅T以上に転写メモリが作られることはないので、形成する帯画像Bの長さWは最大転写領域幅T以上最大現像領域幅D以下の設定にすればよく、D≧W≧Tの関係を満たせばよい。また、T≧Dの仕様(DとTは所定の一定値)で構成されている画像形成装置の場合ならば、転写メモリが作られても最大現像領域幅D以上には現像されないため、形成する帯画像Bの長さWは最大現像領域幅Dと等しい設定にすればよい。そして、帯画像Bの副走査方向の長さLは転写バイアスの印加開始から出力が安定するまでに20msほどかかることから転写ベルト14の搬送スピードの誤差も考慮して5mmとしている。ここで、副走査方向とは、主走査方向と直交(交差)する方向をいう。副走査方向は感光ドラム1Y,1M,1C,1Bkの回転方向でもある。
本実施例では、帯画像Bは印字領域M内の画像と接して形成しているが、印字領域M内の画像と間隔を空けて形成してもよい。
そして、転写ニップTY,TM,TC,TBkに転写材Pの後端が到達するタイミングで転写バイアス電源23Y,23M,23C,23Bkをoffしている。ただし、転写バイアス電源offの代わりに、画像形成用の転写バイアスを印加する前後に紙間バイアスと呼ばれる弱い転写バイアスを印加することもある。
このように帯画像Bを印字領域M内の画像形成に先だって形成し、その帯画像Bの領域内に転写バイアスのオーバーシュートの頂点が入るような動作を4色の露光装置11Y,11M,11C,11Bkと、現像装置8Y,8M,8C,8Bkと、転写装置4Y,4M,4C,4Bkについて行えば転写バイアスが直接感光ドラム1Y,1M,1C,1Bkに印加されるのを防ぐことができる。このため上記の転写メモリ、転写不良の発生を抑制しつつ高画質の余白無し画像を得ることができる。
なお、帯画像Bは転写バイアスの印加によって転写ベルト14上に転写されるけれども、転写ベルト14に転写された帯画像Bはクリーニング装置25によって除去される。これにより転写ベルト14は次の転写材搬送に供される。
本発明の画像形成装置の実施例2を説明する。
本実施例では、実施例1の画像形成装置Aと同じ機能を有する装置・部材には同一符号を付して再度の説明を省略する。実施例3〜7についても同様とする。
本実施例の画像形成装置では、制御装置30はトナー帯形成モードにおいて、転写材Pの搬送方向R14において最上流にある画像形成ステーションSYの露光装置11Bkと現像装置8Bkとにより帯画像Bを形成して転写ベルト14に転写し、後続の画像形成ステーションSMではこの帯画像B内に転写バイアスのオーバーシュートの頂点が入るように転写バイアスを印加することを特徴とする。
帯画像Bが転写ベルト14上に適切に転写されるのは転写バイアスが印加されてからである。そのため全画像形成ステーションSY,SM,SC,SBkの転写バイアスの印加タイミングが帯画像Bに対して同一になっていると、最上流以外の画像形成ステーションSM,SC,SBkでは転写ニップTM,TC,TBkに転写ベルト14上の帯画像Bが完全に入る前に転写バイアスが印加されてしまう恐れがある。
そこで、最上流の画像形成ステーションSYの転写ローラ4Yが帯画像Bに対して転写バイアスを印加するタイミングを他の画像形成ステーションSM,SC,SBkの転写ローラ4M,4C,4Bkが帯画像に対して転写バイアスを印加するタイミングよりも早くする必要がある。
そこで本実施例の画像形成装置Aでは、制御装置30はトナー帯形成モード時において、帯画像Bの副走査方向の長さLを実施例1よりも長めの7mmとし、最上流の画像形成ステーションSYの転写バイアスの印加タイミングを他の画像形成ステーションSM,SC,SBkよりも20ms早くしている。これにより転写バイアスの印加時間は最上流の画像形成ステーションSYの方が他の画像形成ステーションSM,SC,SBkよりも長くなる。
このように最上流の画像形成ステーションSYで転写ベルト14上に帯画像Bを形成すれば、後続の画像形成ステーションSM,SC,SBkはその帯画像Bの中で転写バイアスを印加することができ転写メモリの発生を確実に抑えることが出来る。そして、帯画像Bとしてのトナーの消費を1色だけに抑えることが出来る。
本発明の画像形成装置の実施例3を説明する。
実施例1の画像形成装置Aでは、余白無しモードが選択された時は4色すべての画像形成ステーションSY,SM,SC,SBkにおいて印字領域M内に画像を形成する前に帯画像Bを形成していた。実施例2の画像形成装置Aでは、余白無しモードが選択された時は最上流の画像形成ステーションSYにおいて印字領域M内に画像を形成する前に帯画像Bを形成していた。しかし、実際に転写メモリが問題になるのは転写バイアスが高い画像形成ステーションである。
抵抗の低い転写材の場合には転写メモリが発生しない転写バイアスで十分転写できることがある。
そのため本実施例の画像形成装置Aでは、制御装置30は帯画像Bの形成/非形成をその帯画像を形成するトナーによって形成されたトナー像を転写材Pに転写する時の転写バイアスで判定することを特徴とする。
以下に、図5のフローチャートを用いて本実施例の画像形成装置Aの動作を説明する。
まず、画像形成動作がスタートすると、制御装置30は余白無し印字かを判断する(S41)。余白有り印字の場合(No)は通常の画像形成を行う(S42)。一方、余白無し印字の場合(Yes)は、転写バイアスの印加タイミング、さらに必要に応じて帯電バイアスや現像バイアスの印加タイミング、露光装置11Y,11M,11C,11Bkの起動タイミングを余白無しモード用(図では余白無し印字用)に変更する(S43)。
次に転写材Pの給紙を行い吸着ローラ20にて転写材Pの抵抗値測定を行い、その測定値に基づいて各画像形成ステーションSY,SM,SC,SBkの転写バイアスを決定する(S44)。
各画像形成ステーションSY,SM,SC,SBk毎に転写バイアスが所定の閾値(ここでは1.2kV)以上か未満かを判断する(S45〜S48)。閾値未満(所定値未満)の場合(No)はそのまま画像形成を行う(S49〜S412)。閾値以上(所定値以上:Yes)の画像形成ステーションに対しては転写メモリが発生する可能性があるので帯画像Bを形成してから(S413〜S416)画像形成を行う。
このように帯画像Bの形成/非形成を転写バイアスで判定するようにすれば、転写メモリが発生する可能性がある画像形成ステーションについてのみ帯画像Bを形成するので、トナーが無駄に消費されるのを防ぎつつ転写メモリの発生も効果的に抑えることができる。
本発明の画像形成装置の実施例4を説明する。
前述の各実施例1〜3の画像形成装置Aでは、帯画像Bの画像データとしてはFFhを用いてきた。しかし、転写バイアスの閾値をわずかに超えただけならばFFhのベタ画像を形成する必要はない。
そこで、本実施例の画像形成装置Aでは、制御装置30はトナー帯形成モードにおいて、転写バイアスが所定の閾値を超えた場合、転写バイアスに応じて帯画像Bを形成する画像データを変えることにより、トナーの帯画像Bのトナーの乗り量(トナー層の厚み(濃度))を変えることを特徴とする。換言すれば、帯画像Bの画像データは、その帯画像を形成するトナーによって形成されたトナー像を転写材Pに転写する時の転写バイアス値に応じて変わることを特徴とする。
まず、転写メモリが発生する転写バイアスのバイアス値が1.2kVでこの時A0hの画像データの帯画像Bで転写メモリを防げるとする。次に、FFhの画像データの帯画像Bでなければ転写メモリが防げない転写バイアスのバイアス値が2.5kV以上だとする。この場合、転写バイアスのバイアス値が1.2kVから2.5kVに変わるに従って帯画像Bの画像データもA0hからFFhに順次変化するようにすれば常に最小限のトナー消費で転写メモリの発生を抑えることが出来る。
本発明の画像形成装置の実施例5を説明する。
一般に、転写材上に複数回トナー像を転写する本実施例のような多重転写方式の画像形成装置では、転写される度に転写材が帯電する(チャージアップする)ため、転写材の搬送方向の上流から下流の画像形成ステーションに向かってトナー像の転写に必要な転写バイアスは高くなっていく。したがって、実施例3の画像形成装置のように転写バイアスで帯画像Bの形成/非形成を判定していると、下流側の画像形成ステーションほど帯画像Bが形成されやすくなる。そのため下流側の画像形成ステーションほどトナーの消費が多くなってしまう。
そこで本実施例では、制御装置30は帯画像形成モードにおいて、下流側の画像形成ステーションの転写バイアスだけが閾値以上になった場合には、該下流側の画像形成ステーションよりも上流側の画像形成ステーションに帯画像Bを形成させて転写ベルト14上に転写させ、その帯画像Bが下流側の画像形成ステーションに到達する時には必要なトナー乗り量の帯画像になっているようにすることを特徴とする。
例えば、最下流の画像形成ステーションSBkのみ転写バイアスが2kVで転写メモリが発生する恐れがあり、それを防ぐのにはFFhの帯画像Bが必要な場合、画像データとトナー乗り量とが比例するならば、最下流の画像形成ステーションSBkよりも上流側の各画像形成ステーションSCでそれぞれ40hの画像データで画像を形成して転写ベルト14に帯画像Bを転写していく。そして4つのステーションSBk,SC,SM,SYでも40hの画像で帯画像Bを形成すれば帯画像の合計のトナー乗り量はFFhの画像で形成した時と同等になる。
すなわち、4つの画像形成ステーションSBk,SC,SM,SYにおいて、任意の画像形成ステーションの感光ドラムを第一の感光ドラムとすると、この第一の感光ドラムよりも転写ローラの転写材搬送方向下流側に位置する画像形成ステーションの感光ドラムを第二の感光ドラムとする。そして、第一の感光ドラムに対応した画像形成ステーションの転写ローラで該第一の感光ドラム上のトナー像を転写材上に転写するための転写バイアスを第一の転写バイアスとし、第一の感光ドラム上に形成される帯画像を第一の帯場像とする。また、第二の感光ドラムに対応した画像形成ステーションの転写ローラで該第二の感光ドラム上のトナー像を転写材上に転写するための転写バイアスを第二の転写バイアスとし、第二の感光ドラム上に形成される帯画像を第二の帯画像とする。そして、第一の帯画像のトナー乗り量(濃度)を第二の転写バイアスの値によって変化させる。
このようにすれば下流側の画像形成ステーションのみトナーの消費が早くなるということは避けられる。またこの方法では転写バイアスが非常に高く設定されてFFhの画像でも転写メモリを防ぎきれない場合には2色以上のトナーを重ねることでFFh以上のトナー乗り量にすることができる。
なお、本実施例の画像形成装置Aの場合には、帯画像Bの副走査方向の長さLを例えば最上流から下流側に11mm、9mm、7mm、5mmと順次短くなるようにし、転写バイアスもそれらに合わせて帯画像Bの先端から所定の長さ(例えば2mm)のところで印加するのが好ましい。この時、転写バイアスの印加時間は各画像形成ステーションSBk,SC,SM,SYで異なることになる。
また、上流側の画像形成ステーションSC,SM,SYで形成される帯画像Bの画像データは均等に分ける必要はなく、各画像形成ステーションSC,SM,SYのトナーの残量等から重み付けをして決めてもよい。
本発明の画像形成装置の実施例6を説明する。
近年、市場からは画像形成装置に対してますます高画質化への要求がある。そこで高画質化を実現するためには解像度を上げていかなければならない。ところが露光装置11Y,11M,11C,11Bkのレーザのスポット径を絞りレーザの点灯間隔を短くすることにより主走査方向の解像度を上げることは比較的容易に実現可能である。しかしながら、副走査方向の解像度を上げるには多面鏡の回転数を上げなければならず、多面鏡や駆動部の強度アップをしなければならないため大幅なコストアップを招いてしまう。このような場合には多面鏡の回転数を上げる代わりにプロセススピードを落とすことで副走査方向の解像度を上げる方法がしばしば採られる。
また、転写材Pとして、厚紙を用いた場合、普通紙と同様の定着条件で定着すると十分な熱量が与えられず、火膨れといった定着不良が発生する。この解決法としてはやはりプロセススピードを落とすことで定着スピードも落とし必要な熱量を転写材に与える方法がしばしば採られる。
このようにプロセススピードを落とした場合でも転写バイアスの立ち上がりのスピードは変わることはない。この場合、帯画像Bの副走査方向の長さLを短くすることが可能になる。
実施例1ではプロセススピード100mm/sで、転写バイアスがオンから安定するまで20ms要していたので最低限2mmの帯画像Bが必要であった。この時、プロセススピードが1/2になれば帯画像Bに必要な副走査方向の長さLは1mmになる。
そこで本実施例ではプロセススピードによって(転写手段の移動速度に応じて)帯画像Bの副走査方向の長さLを変えるようにしたことを特徴とする。
すなわち、4つの画像形成ステーションSBk,SC,SM,SYにおいて、任意の画像形成ステーションの感光ドラムを第一の感光ドラム(第一の像担持体)とすると、この第一の感光ドラムよりも転写ベルト14の転写材搬送方向下流側(転写手段の移動方向下流側)に位置する画像形成ステーションの感光ドラムを第二の感光ドラム(第二の像担持体)とする。そして、第一の感光ドラム上(第一の像担持体上)に形成される帯画像を第一の帯画像(第一のトナー帯)とし、第二の感光ドラム上(第二の像担持体上)に形成される帯画像を第二の帯画像(第二のトナー帯)とする。そして、第二の帯画像の副走査方向の長さL(転写材搬送方向の幅)を、第一の帯画像の副走査方向の長さ以下とする。すなわち、第二のトナー帯の第二の像担持体の移動方向における幅が、第一のトナー帯の第一の像担持体の移動方向における幅以下である。
これによりトナーの消費を最小限に抑えつつ転写メモリの発生を抑えることができる。
また、帯画像Bの形成箇所を転写材へ転写する像とは一定の間隙をもって形成することとした。それは以下の理由からである。
(i)転写バイアスの立ち上げを、十分に早めに設定し、より安定した転写バイアスになってから、像担持体(感光ドラム)から転写を受けるような構成にした方が、画像の均一性に富み、画像品位が高まるからである。
(ii)また、帯画像Bのいわゆる副走査方向の長さの必要条件は、転写バイアスの立ち上げ過程における、いわゆるオーバーシュートする期間に、像担持体(感光ドラム)と、転写手段(転写ローラ)との間にトナー像があることである。
(iii)不用なトナーの消費を避けるためには、上記、帯画像の長さは、必要な長さに限った方が良いからである。
つまり、実際に転写材に転写するトナー像とは、離れた位置(トナー像としては連続していない状態で)で転写する方が、必要最小限のトナーの消費で、均一性の高いトナー像の転写が得られるのである。
本発明に係る画像形成装置は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲で種々に変更可能である。例えば上記実施例は多重転写方式の画像形成装置について説明してきたが中間転写体を用いた画像形成装置にも適用できる。
図6に中間転写体を用いた一例の画像形成装置を示す。本実施例の画像形成装置は、第2像担持体(中間転写体)として中間転写ベルトの移動方向に沿って4個の画像形成ステーションをタンデム配設した4色フルカラーの画像形成装置であり、中間転写ベルト上のトナー像を、2次転写部にて同時転写するようにしたものである。すなわち、本実施例の画像形成装置においては、転写手段は、像担持体からトナー像の転写を受け、転写手段上のトナー像を転写材上へ転写する。
この画像形成装置はエンジン部に図面上左から右に順に配列した第1〜第4の4つの画像形成ステーションSY,SM,SC,SBkと、中間転写ベルト40を備えている。
中間転写ベルト40は上記第1から第4までの画像形成ステーションSY,SM,SC,SBkの下側に各画像形成ステーションの第1像担持体としての感光ドラム1Y,1M,1C,1Bkの下面に上方側のベルト部分を渡らせて、4本の張架ローラ41a,41b,41c,41d(以下、ローラと記す)間に懸回張設してある。中間転写ベルト40はローラ41aを駆動ローラとして矢印の時計方向に感光ドラム1Y,1M,1C,1Bkの回転周速度(プロセススピード)とほぼ同じ周速度にて回転駆動される。
42は2次転写ローラであり、中間転写ベルト40の表側(外面側)に配置され、中間転写ベルトの下方側ベルト部分(ローラ41bに懸回されたべルト部分)を介して中間転写ベルトの表側(外側面)との間に2次転写ニップTnを形成させている。
画像形成動作は次のとおりである。制御装置(不図示)30は印字スタート信号を取り込むと、画像形成プログラムに従いエンジン部駆動系(不図示)および給搬送装置駆動系(不図示)を駆動して、画像形成動作(作像プロセス)を実行する。
エンジン部駆動系が駆動されることによって第1〜第4の各画像形成ステーションSY,SM,SC,SBkは画像形成のタイミングに合わせて順次駆動される。また中間転写ベルト40も回転駆動される。第1の画像形成ステーションSYの感光ドラム1Y面にはイエロートナー像が、第2の画像形成ステーションSMの感光ドラム1M面にはマゼンタトナー像が、第3のステーションSCの感光ドラム1C面にはシアントナー像が、第4のステーションSBkの感光ドラム1Bk面にはブラックトナー像が、それぞれ所定の制御タイミングにて形成される。
その各画像形成ステーションの感光ドラム面に形成されるイエロトナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像は、各画像形成ステーションの1次転写ニップTY,TM,TC,TBkにおいて第1転写手段となる第1転写ローラ4Y,4M,4C,4Bkから転写バイアスの印加を受けて中間転写ベルト40の表面に順次に重ね合わされた状態に転写されて、中間転写ベルト40上に未定着のフルカラートナー画像3Yi〜3Bkiが合成形成される。
中間転写ベルト40上に合成形成された未定着のフルカラートナー画像3Yi〜3Bkiは引き続く中間転写ベルト40の回動で2次転写ニップTnに搬送される。
一方、給搬送装置駆動系が駆動されると、給搬送装置から給紙された転写材Pは搬送ローラ18にて所定のタイミングで2次転写ニップTnへと搬送され、フルカラートナー画像3Yi〜3Bkiは第2転写手段としての第2転写ローラ42により2次転写ニップTnに転写バイアスが印加されることで転写材Pに転写される。43は第2転写ローラ42用の第2転写バイアス電源である。
一方、2次転写ニップTnを通過した中間転写ベルト40の表面(層担持体面)はベルトクリーニング装置25によってクリーニングされる。
上記のような画像形成ステーションをタンデム配設した4色のフルカラーの画像形成層装置においても、実施例1〜6に示す制御装置30におけるトナー帯形成モードを適用することによって同様な作用・効果を得ることができる。
[その他]
1)本発明に係る画像形成装置は、タンデム型の多重転写方式の画像形成装置以外にも一つの感光ドラムに複数の現像装置からなる多重転写方式または中間転写体方式の画像形成装置にも適用可能である。
2)像担持体は静電記録誘電体でもよい。
実施例1の画像形成装置の概略構成を示す縦断面図
実施例1の画像形成装置の電子写真作像プロセス機構部の拡大図
余白有りモードの印字領域と転写材の大きさと転写バイアスの印加タイミングの関係を示す図
余白無しモードの印字領域と転写材の大きさの関係を示す図
余白有りモードのときの転写バイアスのオーバーシュートの発生メカニズムの説明図
余白無しモードの帯画像と印字領域と転写材の大きさと転写バイアスの印加タイミングの関係を示す図
実施例2の画像形成装置の画像形成方法を示すフローチャート
実施例7の画像形成装置の一例の電子写真作像プロセス機構部と中間転写ベルトを示す構成模型図
オーバーシュートの概念を示す図
符号の説明
1Y,1M,1C,1Bk…感光ドラム
2Y,2M,2C,2Bk…帯電ローラ
3Y,3M,3C,3Bk…現像剤
4Y,4M,4C,4Bk…転写ローラ
5Y,5M,5C,5Bk…現像スリーブ
6Y,6M,6C,6Bk…現像材塗布ローラ
7Y,7M,7C,7Bk…現像材塗布ブレード
9Y,9M,9C,9Bk…クリーナ
11Y,11M,11C,11Bk…露光装置
12Y,12M,12C,12Bk…走査ビーム
14…転写ベルト
20…吸着ローラ
21…定着装置
23Y,23M,23C,23Bk…転写バイアス電源