JP4072432B2 - 脊椎関節固定装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明が属する技術分野】
本発明は、脊椎関節固定装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
【０００３】
こうした装置は、一般的に、治療すべき脊椎の両側に互いに平行に配置されることを目的とした二つの支持ロッドおよび、これらのロッドを該脊椎へ固定する、フックまたは椎弓根スクリューのような機構を含む。場合によっては、この装置は、これらのロッドを横方向に次から次へと連結して互いに固定する横材を含むことができる。
【０００４】
支持ロッドを固定機構に組み立てるために、とりわけ、固定機構に近接した部分に二つの壁面を向かい合わせて設けることが考案されたが、該壁面は、それらの間にロッドを受けるくぼみを画定し、かつ、ねじ切りまたはねじ立てのような手段を有して、ロッドを締め付けるナットまたはねじ切り栓を受けるものである。これらの壁面は、この近接した部分に、「音叉」または「チューリップ」の形状を与えているが、これらの呼び名は、この種の取り付けを指し示すにあたって一般的になったものである。
【０００５】
この種の装置に存在するフックは、椎弓根の周辺に係合することを目的としており、そのため、先端がそれ相応に湾曲して形作られた薄板を有する。しかしながら、このフックを使用する機会は椎弓根を支持することに限定されており、このため、発生する可能性のある様々な状況に適応することはできない。実際、ある場合には、特にこのフックのところにある支持ロッドの位置および方向により、あるいは脊椎骨の特性により、別の支持領域を探すことが望ましいことがある。
【０００６】
現存するフックは、限られた場合ではあるが、それが可能にする取り付け強度の完全さの面で、不確実性を招くこともある。
【０００７】
本発明は、主としてこうした重要な不都合を改善することを目指す。
【０００８】
他方、「音叉」（「チューリップ」）状をした現存するフックには、これらのロッドを受けるくぼみの内部にロッドを導入する際、時折、大きな努力が必要となるという点で重大な不都合がある。胸椎、特に椎骨Ｄ１からＤ４の場合のように、椎弓根が小さな寸法を有するときには、椎弓根が破損する危険性が存在するため、ねじよりもむしろフックを用いることが必要となる。前述した制限を考慮に入れると、発生する可能性のある全ての状況に対して、現存するフックが完全に適応するとはいえない。
【０００９】
その上、現存するフックには、支持ロッドを受けるくぼみを画定する前記壁面の高さが原因で、該フックの高さが高くなるという点で不都合がある。腰椎の場合のように、組織の厚さが厚いときは、この高さが特に邪魔になるということはないが、逆に胸椎の場合のように、組織の厚さが相対的に薄いときには、皮膚の下で装置が感じられるため、そのときには邪魔になる。
【００１０】
本発明は、この不都合を改善することも目指している。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明が関係する装置は、それ自体知られているように、少なくとも一つの支持ロッドおよび、該支持ロッドを脊椎に固定する少なくとも一つの組立体とを含み；各固定組立体は、フックと一体になっている台座および、前記支持ロッドを該固定組立体に組み立てるための手段を含むものであって；フックは、湾曲したベース部分および、ほぼ平坦な部分を有しており、該ベース部分を介してフックが台座に接合され、該ほぼ平坦な部分は、平行な平面に延びているか、または、この台座との間に１５度未満の狭い角度を形成しているものである。
【００１３】
本発明によると、
−台座は、平行な平面に沿って設けられているか、または、フックの前記平坦部分の長手方向との間に前述したような狭い角度を形成している、それ自体を端から端まで突き抜ける穴を有するものであって；この穴は、フックのベース側から、円形の断面をもつ口を経由して貫通しており、かつ、この口の外側に細長い横断面を有するものであって、この細長い断面の縦が、平行な平面に延びているか、または、前記平坦部分が延びている平面との間に前述したような狭い角度を形成している；また
−固定組立体はフック状の部品を含むものであって、該部品の、フックのベースに対応する部分が、ねじ切り式ロッドに連結しており、このロッドは、その軸に沿って回転可能かつ前記平面上で偏位可能な形で、前記穴の中に係合することができ、また、前記口を通して貫通する端部においてナットを受けることができ、このナットは、それを締めたとき、前記部品が形成するフックを、台座と一体になっているフックに近づけることができる。
【００１４】
このように、各組立体は、前記台座と一体になっている第一フックおよび、第一フックと対置する第二フックを含むが、この第二フックは、第一フックに対して多様な位置に、すなわち、ねじ切り式ロッドの軸の回りの様々な回転位置に応じて、および、前記穴の中にある該ロッドの偏位によって生じうる、台座に対する様々な角度の位置に応じて、配置されることができる。
【００１５】
これら二つのフックは、それらの間に支持脊椎の二つの領域を取り囲むことができるが、その内の少なくとも一つの領域については、支持ロッドの位置または方向に応じて、および／または、骨の特性に応じて、実施すべき固定に最もよく対応するように選定することができる。本発明による組立体は、このようにして、とりわけ、椎弓根−椎弓板、椎弓板−横突起、椎弓根−横突起、または椎弓板−椎弓板の支持をすることができる。
【００１６】
有利には、前述したような固定組立体に支持ロッドを組み立てるための手段は、以下を含む：
−内部には少なくとも部分的に球形の形状をした空洞を画定し、かつ、外部には球形の壁面部を画定する、台座と一体になっているボスであって；該空洞の一つまたは複数の球形の領域および前記球形の壁面部を生成する中心が、台座に垂直な方向に沿って互いに異なった位置に存在するボスと；
−台座の前記空洞の中に係合し、保持されることを目的とした凸状のベースを一端に含むねじ切り式ロッドであって、この凸状のベースは、空洞の一つまたは複数の球形の領域と協動するのに適した、少なくとも部分的に球形の形状を有しており、それにより、台座に対する回転またはジョイントが可能になるねじ切り式ロッドと；
−あぶみ状部品であって、支持ロッドを受けるのに適した丸みのある部分と、前記ねじ切り式ロッドの上にあぶみ状部品を係合することができるようにするための穴があいており、上下に配置されている二つの羽根、ならびに、中空の球形部をなし、あぶみ状部品が前記支持ロッドに係合されるときに前記球形の壁面部に当接するようになることを目的とした面、を呈するあぶみ状部品、および
−前記球形の壁面部との間に該あぶみ状部品を締め付けることができるよう、ねじ切り式ロッドに締めることができるナット。
【００１７】
空洞、および凸状のベースのおかげで、それ自体が事前に支持ロッドの回りに係合されているあぶみ状部品の方向に、ねじ切り式ロッドを向けることができる。この方向付けにより、あぶみ状部品のアイレットをこのねじ切り式ロッドに容易に係合することができる。
【００１８】
そこで、ナットをねじ切り式ロッドに係合し、締めることができるが、その結果、あぶみ状部品の前記くぼんだ面は、ボスの前記球形の壁面部に接触するように導かれ、次いで、一旦この接触が行われると、前述した二つの中心の変位を考慮して、該ナットの締め付けにつれて、前記ねじ切り式ロッドは、台座にほぼ垂直な方向に徐々に導かれる。
【００１９】
これらの組み立て手段は、このように、容易に装置を定置し、かつ、事前に脊椎に定置しておいた、この装置に含まれる固定組立体に向けて、支持ロッドを徐々に進めることができる。
【００２０】
【発明の実施の形態】
【００２１】
本発明をよく理解するため、本発明が関係する装置の好ましい実施形態を非限定的事例として表した添付概略図を参照しながら、あらためて本発明について以下説明する。
【００２２】
図１は、装置に含まれる固定組立体の、取り付け前の斜視図である；
図２から４は、装置に含まれる台座およびフックの、それぞれ側面、正面および上部から見た図であり、また
図５は、固定組立体の、図１の線Ｖ−Ｖに沿った断面で拡大した、取り付け後の部分図である。
【００２３】
図１は、脊椎関節固定装置の一部を構成する固定組立体１を表している。
【００２４】
この装置は、脊椎の両側に互いに平行に配置されることを目的とした二つの支持ロッドおよび、これらのロッドを該脊椎へ固定する機構を含む。これらの固定機構は、椎弓根スクリューおよび／または、一つもしくは複数の固定組立体１であることができる。該装置は、その他に、支持ロッドを横方向に次から次へと連結して互いに固定する横材を含むことができる。
【００２５】
これらのロッド、椎弓根スクリュー、および横材は、それ自体よく知られているため、したがって特記はしない。
【００２６】
図１に示すように、固定組立体１は、平行六面体の台座３と一体になっているフック２、ねじ切り式ロッド５に連結されているフック状の部品４、このねじ切り式ロッド５に締めることができるナット６、ねじ切り式ロッド７、あぶみ状部品８、および、ナット９を含む。
【００２７】
フック２は、湾曲したベース部分２ａおよび、ほぼ平坦な部分２ｂを有しており、該ベース部分を介してフックが台座３に接合され、該ほぼ平坦な部分は、フック２が接合されている台座の面３ａとの間に八度の角度を形成している。
【００２８】
台座３は、それ自体を端から端まで突き抜ける穴１０を有する。特に図３および４に示すように、この穴１０は、全体としては、該台座の面３ａに平行な方向に沿って、および、平坦部分２ｂの長手方向に沿って、設けられている。この穴１０は、台座３の向かい合う二つの側面を貫通している；この穴１０は、ベース部分２ａの側から、ロッド５の横断面よりわずかに大きい断面を有する円形の口１１を通って突き抜ける；この口１１の外側では、穴１０は、細長い横断面を有しており、この細長い断面の縦は、面３ａに平行に伸びている。
【００２９】
台座３はまた、面３ａと向かい合う主要面３ｂから突出しているボス１５を有する。このボス１５は、内部には空洞１６を画定し、かつ、外部には球形の壁面部をなす面１７を有する。
【００３０】
図３および４から、空洞１６が、正反対に向き合っており、同一半径ならびに同一中心によって生成される、中空の球形の形状をした二つの領域２０、および、台座３の、穴１０が貫通していない側面に平行な二つの平面部２１によって画定されることが分かる。
【００３１】
図５は、一つまたは複数の領域２０および、面１７が形成する球形部とを生成する中心Ｃ１、Ｃ２が、台座３の前記主要面３ａ、３ｂに垂直な方向に沿って互いに異なった位置に存在することを示す。
【００３２】
部品４は、先端がフック状に湾曲した部分４ａおよび、ベース部分４ｂを有する。ベース部分４ｂは、ねじ切り式ロッド５に連結している。
【００３３】
このロッド５は、それ自体が穴１０に係合でき、その軸に沿って回転し、かつ穴１０の中で偏位できるような直径を有する。
【００３４】
口１１を通って貫通する端部において、ねじ切り式ロッド５は、ナット６を受けることができる。こうすることにより、このナットは、それを締めたとき、部品４の部分４ａが形成するフックに、フック２を近づけることができる。
【００３５】
ロッド７は、二つの球形の領域および二つの平面部を有する凸状のベース２５を一端に含むが、該領域および該平面部は、領域２０および平面部２１に正確に対応する形状を有している。このベース２５を組立体１の製作時に空洞１６の中に係合し、次いでボス１５の側壁をこのベース２５にはめ込んで、ベース２５を空洞１６の中にしっかりと保持し、かつ球形の領域が互いにすべることにより、台座３に対してロッド７が回転できるようになる。
【００３６】
またロッド７は、装置の最終取り付け後にその切断が可能な小径部３０も有する。
【００３７】
あぶみ状部品８は、支持ロッドを受けるのに適したくぼみを画定する丸みのある部分３１および、上下に配置された二つの穴３３が設けられた、平行した二つの羽根３２を有する。これらの穴３３によって、あぶみ状部品８をロッド７に係合することが可能になり、それにより、支持ロッドが組立体１に連結する。
【００３８】
図５に示すように、上部の穴３３は円錐状の面３５によって画定され、下部の穴３３は、面１７と同一半径の中空の球形部をなす面３６によって画定される。
【００３９】
このように、組立体１は、台座３と一体になっている第一フック２および、第一フック２と対置する第二フック４ｂを含むが、この第二フックは、第一フック２に対して多様な位置に、すなわち、ねじ切り式ロッド５の軸の回りの様々な回転位置に応じて、および、穴１０の中にあるこのロッド５の偏位によって生じうる、台座３に対する様々な角度の位置に応じて、配置されることができる。本発明による組立体は、このようにして、とりわけ、椎弓根−椎弓板、椎弓板−横突起、椎弓根−横突起、または椎弓板−椎弓板の支持をすることができる。
【００４０】
他方、空洞１６、および凸状のベース２５のおかげで、装置の定置時に、事前に支持ロッドの回りに係合されている、対応するあぶみ状部品８の方向に、ロッド７を向けることができる。この方向付けにより、穴３３を、このロッド７に容易に係合することができる。そこで、ナット９をロッド７に係合し、締めることができるが、その結果、くぼんだ面３６は面１７に接触するように導かれ、次いで、一旦この接触が行われると、前述した二つの中心Ｃ１、Ｃ２の変位を考慮して、ナット９の締め付けにつれて、ロッド７は台座３にほぼ垂直な方向に徐々に導かれる。
【００４１】
これらの組み立て手段は、このように、容易に装置を定置し、かつ、この装置に含まれる一つまたは複数の組立体１に向けて、支持ロッドを徐々に進めることができる。
【００４２】
先に述べたことからわかるように、本発明は、先行技術における対応する装置と比較して、前述した重大な利点を有する、脊椎関節固定装置を提供する。
【００４３】
当然ながら、本発明は、事例として上述した実施形態に限定されるものではなく、逆に、ここに添付する請求の範囲に含まれる、その全ての実施変型例を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】装置に含まれる固定組立体の、取り付け前の斜視図である。
【図２】装置に含まれる台座およびフックの側面図である。
【図３】装置に含まれる台座およびフックを正面から見た図である。
【図４】装置に含まれる台座およびフックを上部から見た図である。
【図５】固定組立体の、図１の線Ｖ−Ｖに沿った断面で拡大した、取り付け後の部分図である。

Claims (4)

1. 少なくとも一つの支持ロッドおよび、該支持ロッドを脊椎に固定する少なくとも一つの組立体（１）を含む脊椎関節固定装置であって、各固定組立体（１）は、フック（２）と一体になっている台座（３）、および前記支持ロッドを該固定組立体（１）に組み立てるための手段を含むものであり、フック（２）は、フックと台座を接合する湾曲したベース部分（２ａ）、および、この台座（３）と平行な平面に延びているか、またはこの台座（３）との間に１５度未満の狭い角度を形成しているほぼ平坦な部分（２ｂ）を有しており、
   −台座（３）が、フック（２）の前記平坦部分（２ｂ）の長手方向と平行な平面に沿って設けられているか、またはフック（２）の前記平坦部分（２ｂ）の長手方向との間に前述したような狭い角度を形成している、それ自体を端から端まで突き抜ける穴（１０）を有するものであり、この穴（１０）は、フック（２）のベース側から、円形の断面をもつ口（１１）を経由して貫通しており、かつ、この口（１１）から離れるに従ってその断面が徐々に細長くなっていくものであり、この細長い断面を結ぶ線が、前記平坦部分（２ｂ）が延びている平面と平行な平面に延びているか、または、前記平坦部分（２ｂ）が延びている平面との間に前述したような狭い角度を形成すること、および
   −固定組立体（１）がフック状の部品（４）を含むものであり、該部品の、フックのベースに対応する部分（４ｂ）が、ねじ切り式ロッド（５）に連結しており、このロッド（５）は、その軸に沿って回転可能かつ前記平面上で偏位可能な形で、前記穴（１０）の中に係合することができ、また、前記口（１１）を通して貫通する端部においてナット（６）を受けることができ、このナット（６）は、それを締めたとき、前記部品（４）が形成するフックを、台座（３）と一体になっているフック（２）に近づけることができること、
   を特徴とする装置。
2. 前述したような固定組立体（１）に支持ロッドを組み立てるための手段として、
   −内部には少なくとも部分的に球形の形状をした空洞（１６）を画定し、かつ外部には球形の壁面部（１７）を画定する、台座（３）と一体になっているボス（１５）であって、該空洞（１６）の一つまたは複数の球形の領域（２０）および前記球形の壁面部（１７）を定める中心（Ｃ１、Ｃ２）が、台座（３）に垂直な方向に沿って互いに異なった位置に存在するボスと、
   −台座（３）の前記空洞（１６）の中に係合し、保持されることを目的とした凸状のベースを一端に含むねじ切り式ロッド（７）であって、この凸状のベースは、空洞（１６）の一つまたは複数の球形の領域（２０）と協動するのに適した、少なくとも部分的に球形の形状を有しており、それにより、台座（３）に対する回転またはジョイントが可能になるねじ切り式ロッドと、
   −あぶみ状部品（８）であって、支持ロッドを受けるのに適した丸みのある部分（３１）と、前記ねじ切り式ロッド（７）の上にあぶみ状部品（８）を係合することができるようにするための穴（３３）があいている、上下に配置されている二つの羽根（３２）、および、中空の球形部をなし、あぶみ状部品（８）が前記支持ロッド（７）に係合されるときに前記球形の壁面部（１７）に当接するようになることを目的とした面（３６）を有するあぶみ状部品、および
   −ねじ切り式ロッド（７）に締めて、自身と前記球形の壁面部（１７）との間で該あぶみ状部品を締め付けるナット（９）
   を含むことを特徴とする、請求項１に記載の装置。
3. −空洞（１６）が、同一半径および同一中心によって形成される球面を形成する正反対に向き合った二つの領域（２０）と、台座（３）の、穴（１０）が貫通していない側面に平行な二つの平面部（２１）とによって画定されること、および
   −前記凸状のベースが、二つの球形の領域および二つの平面部を有しており、これらが、台座（３）の領域（２０）および平面部（２１）に正確に対応している
   ことを特徴とする、請求項２に記載の装置。
4. ねじ切り式ロッド（７）が、装置の最終取り付け後に切断することが可能な小径部（３０）を有することを特徴とする、請求項２または３に記載の装置。

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