JP4072240B2 - 非侵襲血液分析装置 - Google Patents

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  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、非侵襲血液分析装置に関するものであり、採血することなく経皮的に、血管のサイズや血液成分濃度,血液成分濃度比をリアルタイムで、再現性よく計測する装置を提供する。
【0002】
【従来の技術とこの発明が解決しようとする課題】
血管幅を画像を使って直接計測する手法は、微小循環(特に網膜上の血管)を対象に行われている(例えば、M. J. DEVANEY他著、“Continuous Measurement of Vascular Diameters via Television Microscopy”ISA TRASRATION, 第15巻、第1号、第73−78頁、1976年、参照)。しかし、この手法は数十μmの血管を対象としているため、実際の臨床的な使用には適さない。
【0003】
また、ヘモグロビン濃度およびヘマトクリットを経皮的に計測しようとする装置も考案されている。例えば、「ヘモグロビン濃度測定装置」(特公平3−71135号公報)には、生体に複数波長の光を照射し、その脈動による光強度変化から血中ヘモグロビンを計測する装置が開示されている。同様に、「System and method for noninvasive hemarocrit monitoring」(米国特許第5,372,136号)にも脈動等利用して血中ヘマトクリットを求める方法が記載されている。
【0004】
しかしながら、これらは検出対象となる血液量が特定されていない為、絶対的な値を求めるには精度上問題があった。さらに、センサーを装着する部位によって計測値に差が生じ、再現性等に問題があることが予想される。
【0005】
また、「Apparatus and method for in vivo analysis of RED and WHITE blood cell indices」(米国特許第4,998,533号)には、毛細血管内を流れる赤血像から上記項目を計測する方法が開示されているが、このような方法ではシステムが極めて大掛かりなものとなってしまう。
【0006】
また、次のような種々の非侵襲血液分析装置が知られている。すなわち、生体の一部に含まれる血管内を撮像し、撮像された画像から血球の形態や数を解析するようにしたもの(米国特許第5,598,842号又は特開平7−308312号公報参照)、生体の一部に含まれる血管を複数回撮像し、その差分画像から血球像を検出するようにしたもの(特開平7−308311号公報参照)、生体の皮膚表面に密着させた透明板を介して生体の一部に含まれる血管を撮像する手段を備え、その透明板を皮膚表面に沿って機械的に移動させることにより所望のサイズの血管を検索して撮像するようにしたもの(特開平8−299310号公報参照)、生体の一部に含まれる血管と組織を撮像し、撮像された画像について血管を横切って分布する画像濃度分布から血液成分の量を演算するもの(国際特許出願公開番号WO97/24066)などである。
【0007】
ところで、このような非侵襲血液分析装置を用いて生体の一部を経時的に撮像して分析値の経時変化を求める場合、一度撮像した後、撮像装置を生体から分離し、数時間又は数日後に再び生体の一部を撮像することになる。しかしながら、撮像する血管部位の再現性が保証されないため、同一血管部位についての分析値を精度よく得ることが困難であった。
【0008】
この発明はこのような事情を考慮してなされたもので、経時的に撮像された複数の画像において、同一血管部位を含む解析領域を特定して分析することにより、同一血管部位についての経時的分析値を精度よく求めることができ、被験者に対する運動や透析のような各種の刺激に対する変化や薬剤投与などに対する効果を知ることができる血液分析装置を提供するものである。
【0009】
この発明は、血管を含む生体の一部を照明するための光源部と、照明された生体の一部を撮像する撮像部と、光源部と撮像部を生体の一部に対して保持するための保持部材と、撮像された画像中に解析領域を設定し、その解析領域内の血管部分を計測して解析する解析部と、解析部により解析された解析結果を表示するための表示部とを備え、撮像部は、撮像指示に応じて、生体の一部を撮像して第1撮像画像を取得し、解析部は、過去の計測時に撮像部により撮像された第2撮像画像中に設定された第2解析領域に関する情報に基づいて、第2解析領域に含まれる血管部位と同一の血管部位が含まれる第1解析領域を第1撮像画像中に設定し、設定した第1解析領域内の血管部位について血管幅、血液成分濃度および血液成分濃度比の少なくとも1つを算出することを特徴とする非侵襲血液分析装置を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明の装置において、生体とはヒトを含む哺乳動物であり、生体の一部とは生体から分離した組織ではなく、生体のありのままの組織の一部であり、例えば指や耳朶などがあげられる。
【0011】
光源部には、半導体レーザ(以下、LD)やLEDあるいはハロゲン光源が使用でき、直接生体の一部に照射してもよいし、ファイバーを介して照射してもよい。波長としては生体組織を透過し、水の吸収が大きくない600〜950nmの範囲にあることが好ましい。
【0012】
撮像部は、レンズなどの光学系とCCDなどの撮像デバイスから構成できる。
撮像部では、血管部分の濃度分布情報が得られる。撮像素子としては、CCDの他にラインセンサーやフォトダイオード・アレイが使用できる。
また、フォトダイオード1個を血管を横切る方向に駆動させて濃度分布情報を得ることもできる。生体の一部を複数回撮像するとは、1波長で複数回撮像することや、複数波長で各波長ごとに少なくとも1回撮像することをいう。
【0013】
撮像部の光学系は、単にTV用レンズ(例えばCOMICAR製 BD1214D)だけをいて構成してもよい。
撮像部は、生体の一部を光源部が照明するとき、その透過光又は反射光を受光して生体の一部を撮像することができる。
【0014】
また光源部と撮像部を生体の一部に対して保持するための保持部材は、生体の一部が例えばヒトの手の指である場合には、光源部と撮像部との間にその指を離脱可能に固定するような部材であればよく、それには、指を指の形状に合わせた穴や溝に挿入させる方式のものや、指を可動片で両側から挟む方式のものを用いることができる。
【0015】
この場合、光源と撮像部の位置に対して指を再現性よく固定することが好ましいが、指を余り強く締付けたり屈曲させて固定すると、血管が圧迫されてうっ血状態となり正常な血管画像および測定結果が得られないので注意を要する。
【0016】
この発明の装置における解析部は、解析部は、撮像された画像ごとにその画像における生体の一部の形態上の特徴を抽出する特徴抽出部と、抽出された各特徴を記憶する特徴記憶部と、撮像画像における各特徴を比較する比較部と、比較結果に基づき複数の画像において同一血管部位を含む領域を特定しその領域を解析領域として設定する解析領域設定部と、設定された解析領域内の血管部位について血管幅,血液成分濃度および血液成分濃度比の少なくとも1つを算出する演算部から構成されてもよい。これには市販のパーソナルコンピュータを利用することもできる。
【0017】
生体の一部の形態上の特徴が、指の輪郭,関節部の輪郭及び血管の配置パターンの少なくとも一つに基づくものであることが好ましい。撮像部は生体の一部を経時的に複数回撮像し、解析部は、複数の画像から得られた血管幅,血液成分濃度又は血液成分濃度比を経時的変化として表示部に表示させてもよい。解析部は、この経時的変化をグラフで表示部に表示させてもよい。
【0018】
この発明の装置における血液成分濃度とは、例えばヘモグロビン濃度又はヘマトクリットである。その場合には、光源部の波長(帯)は、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光度が実質的に等吸収となるような波長(例えば805nm)や波長帯を使用することが好ましい。
【0019】
また、光源部が、第1および第2波長の光又は3波長以上の光を選択的に出射する発光素子からなることが好ましい、第1および第2波長は、ヘモグロビン濃度やヘマトクリットの計測用としては、それぞれ酸化ヘモグロビンおよび還元ヘモグロビンの実質的な等吸収波長であることが望ましい。第3波長は還元ヘモグロビンの吸収が酸化ヘモグロビンの吸収より十分大きいものであってもよい。それによってヘモグロビンの酸素化率(全ヘモグロビン濃度に対する酸化ヘモグロビン濃度の割合)の計測が可能になる。
【0020】
なお、ヘモグロビンやヘマトクリット又は酸素化率を計測するためには、2波長以上が必要であるが、血管のサイズをモニターしたい場合は、1波長だけでもよい。
【0021】
光源は酸化ヘモグロビンの吸収と還元ヘモグロビンの吸収が実質的に等しい波長の光を発する光源からなり、解析部は撮像した画像について血管を横切る部分の画像濃度分布を算出し、その画像濃度分布に基づいて血管幅を算出してもよい。
【0022】
光源は酸化ヘモグロビンの吸収と還元ヘモグロビンの吸収が実質的に等しい2つの波長をそれぞれ発する光源からなり、解析部は各波長の光で撮像して得られた各画像の解析領域の血管を横切る部分の画像濃度分布を算出し、それらの画像濃度分布に基づいてヘモグロビン濃度又はヘマトクリットを算出してもよい。
【0023】
光源は酸化ヘモグロビンの吸収と還元ヘモグロビンの吸収が実質的に等しい波長の光と還元ヘモグロビンの吸収が酸化ヘモグロビンの吸収より十分に大きい波長の光をそれぞれ発する光源からなり、解析部は各波長の光で撮像して得られた各画像の解析領域の血管を横切る部分の画像濃度分布に基づいて全ヘモグロビン濃度に対する酸化ヘモグロビン濃度の割合を算出してもよい。
この発明においては、グルコース,コレステロール,ビリルビン等の生化学物質の濃度を解析対象とすることができる。
【0024】
また、この発明は、他の観点から、血管を含む生体の一部を照明し、照明された生体の一部を複数回撮像し、撮像された画像ごとにその画像における生体の一部の形態上の特徴を抽出し、抽出した各特徴を比較し、比較結果に基づき複数の画像において同一血管部位を含む領域を特定し、特定された領域内の血管部位について血管幅、血液成分濃度および血液成分濃度比の少なくとも1つを算出することを特徴とする血液分析方法を提供するものである。
【0025】
以下、図面に示す実施例に基づいてこの発明を詳述する。これによってこの発明が限定されるものではない。
図1はこの発明の分析装置の構成を示すブロック図であり、「血管幅計測モード」,「血液成分濃度計測モード」および「酸素化率計測モード」を選択的に実行できる。図1において、検出部1は、血管を含む生体の一部(ここではヒトの指)を照明するための光源部11と、照明された生体部分の光像(ここでは透過光像)を撮像する撮像部12を備える。
【0026】
解析部2は、撮像部12が生体の一部を複数回撮像するとき、撮像された画像ごとにその画像における生体の一部の位置的特徴(ここでは、指の第1関節位置の輪郭におけるくぼみの座標)を抽出する特徴抽出部31と、抽出された各特徴を記憶する記憶部32と、各特徴を比較する比較部33と、比較結果に基づき複数の画像において同一血管部位を含む解析領域を特定する解析領域設定部34を備える。
【0027】
さらに、解析部2は、撮像された画像について解析領域内の血管を直角に直線的に横切る部分の画像濃度分布を画像の濃度プロファイルとして抽出する抽出部21と、抽出された濃度プロファイルの形態的特徴を定量化する定量化部22と、定量化された特徴に基づいて血管径,血液の成分濃度や酸素化率などを演算する演算部23と、演算結果を記憶する記憶部25と、演算結果やモニタ画像を出力する出力部(CRT)24を備える。なお、入力部35はキーボードとマウスからなり、計測モードの設定や解析領域の初期設定、演算部23の演算条件の入力などを行う。また、解析部2はパーソナルコンピュータによって構成される。
【0028】
図2は図1に示す装置の外観斜視図であり、検出部1と解析部2とは信号ケーブル3によって接続されている。図3は検出部1の断面図であり、検出部1は光源部11と、撮像部12、つまりレンズ14と撮像素子15を備え、開口部13に指16が挿入されると、光源部11が指16を照明し、その透過光による画像がレンズ14を介して撮像素子15で撮像されるようになっている。
ここで、開口部13は、挿入される指16を軽く固定できるように指先に向かって内径が小さくなり、保持部材を構成している。
【0029】
なお、撮像素子15はCCDで構成される。また、図11は光源部11の正面図であり、LED11aとLED11bとLED11cを備える。この実施例ではLED11aと11bの波長(第1,第2波長)は、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンに対する吸収が等しくなるように選択されている。LED11cの波長は還元ヘモグロビンの吸収が酸化ヘモグロビンの吸収よりも十分に大きくなるような波長(第3波長)に選択されている。
つまり、LED11aとして、中心波長830nm、半値幅40nmのL3989(浜松ホトニクス(株)製)を使用し、LED11bとして中心波長890nm、半値幅50nmのL2656(同上製)を使用し、LED11cとして中心波長660nm,半値幅40nmのLED(同上製)を使用している。なお、後述するように、「血管幅計測モード」ではLED11aのみを点灯させ、「血液成分濃度計測モード」ではLED11a,11bを、「酸素化率計測モード」ではLED11a,11b,11cを点灯させる。
【0030】
このような構成において実施される計測手順を説明する。
(1)血管幅計測モード
このモードにおいては、一つの波長を使って経時的に複数回血管像を撮像する。
図4に示すように、まず、入力部35を操作して「血管幅計測モード」を設定し(ステップS1)、LED11a(第1波長)によって指16を照明して撮像すると、図6に示すように、指16の輪郭16aと共に、CCD15側の皮膚表面に局在する血管(静脈)像40を含む画像41が得られる(ステップS2)。次に、画像41において解析領域R1を設定する(ステップS3)。
【0031】
解析領域R1の設定手順は図5に示す手順により実行される。つまり、計測が第1回目であるときには(ステップS31)、血管像40の最もコントラストのよい領域を検索し、決定した領域を解析領域R1として設定する(ステップS32)。なお、解析領域R1は解析領域設定部34により自動的に設定されるが、使用者が出力部24に出力されるモニタ像を見ながら入力部35を操作して手動設定してもよい。
【0032】
設定された解析領域R1は、画像41の画面をX−Y座標平面として、四角形の各頂点の座標が記憶部32に記憶される(ステップS33)。次に、特徴抽出部31が、画像41において輪郭16aのくぼみから関節位置P1を抽出し、抽出した位置P1の座標を記憶部32に記憶させる(ステップS34,S35)。
【0033】
また、ステップ31において、計測が第2回目以降である場合には、前のステップにおいて、例えば、図7に示すような画像41aが得られると、記憶されている解析領域R1の座標が読み出されると共に、画像41aから関節位置P2が特徴抽出部31によって抽出される(ステップS36,S37)。
【0034】
次に、第1回の計測時に設定した関節位置P1と今回抽出した関節位置P2について座標の差ΔX,ΔYが比較部33によって算出される(ステップS38)。そして、ΔX,ΔYがいずれも所定の許容範囲δを越えない場合には(ステップS39)、解析領域設定部34は初期設定した解析領域R1をΔX,ΔYだけずらすことにより、新しい解析領域R2を設定する(ステップS40)。
【0035】
これによって領域R2内の血管部位は、第1回目の計測時に設定された領域R1内の血管部位と実質的に同一となる。このようにして、一人の被検者の指について経時的(例えば、2時間おき)にn回計測しても、解析領域R1,R2……Rnがその都度設定され、常に血管の同一部位についての計測が行われる。なお、ステップS39において、ΔX,ΔYのいずれかが許容値δを越えると、指16が検出部1に対して正常に設置されていないものと判断され、出力部24に「エラー」が表示される。
【0036】
次に、図4のステップS4において、プロファイル抽出部21が、設定された解析領域内で血管に垂直な方向の濃度プロファイル(図8)を作成すると、定量化部22は、この濃度プロファイルをベースラインで規格化する。ベースラインは、血管部分以外の濃度プロファイルから、最小二乗法などによって求め、これで図8のプロファイルを図9に示すように規格化する(ステップS5)。このようにすることによって、入射光量に依存しない濃度プロファイルを得ることができる。
【0037】
演算部23は、この規格化した濃度プロファイル(図9)からピーク高さh1を求め、(1/2)h1における分布幅(半値幅)w1を血管幅として算出し、記憶部25に格納する(ステップS6)。そして、所定回数の計測が完了すると、算出した血管幅からその経時的変化を表わすグラフや表を作成して表示する(ステップS7〜S9)。
【0038】
図12は、1人の被検者の指について、2時間おきに計測し、血管幅w1の相対的な経時変化をグラフにして出力部24に表示させた例である。これによって、経時的に血管幅w1がどの程度変化するかを知ることができた。また、運動や透析や各種刺激に対する血管幅のふるまいを知ることができ臨床的に有用である。
【0039】
(2)血液成分濃度計測モード
このモードにおいては、2波長について各1回撮像する動作を経時的に複数回行う。
図4において、まず、入力部35を操作して「血液成分濃度計測モード」を設定し(ステップS11)、LED11a(第1波長)とLED11b(第2波長)とによって順に指16を照明し、それぞれ撮像を行い(ステップS12,S13)、第1波長により得られた画像について、ステップS3と同じ手順、つまり図5に示す手順により解析領域を設定する(ステップS14)。
【0040】
次に、プロファイル抽出部21が、第1および第2波長により得られた各画像について、図8に示すようなそれぞれの第1の濃度プロファイルおよび第2の濃度プロファイルを作成する(ステップS15)。定量化部22は、第1,第2の濃度プロファイルをベースラインでそれぞれ図9,図10に示すように規格化する(ステップS16)。
【0041】
そこで、演算部23は、規格化された第1の濃度プロファイル(図9)についてピーク高さh1および半値幅w1を算出し規格化された第2の濃度プロファイル(図10)について同様にピーク高さh2を算出し(ステップS17)、次のようにしてヘモグロビン濃度HGBおよびヘマトクリットHCTを算出する(ステップS18)。
【0042】
つまり、第1波長における血液の散乱係数をS1、吸収係数をA1とし、近似的にBeerの法則が成立っているとすると
log(1−h1)=−k(S1+A1)w1 ……(1)
である。ここで、kは比例定数である。
【0043】
ところで散乱係数S1と吸収係数A1は、それぞれ血液のヘマトクリットHCTとヘモグロビン量に比例すると考えられるので、σ1,ε1を定数として、
S1=σ1・HCT、A1=ε1・HGB ……(2)
故に、
log(1−h1)=−(kσ1・HCT+kε1・HGB)・w1……(3)
となる。
【0044】
そこで、LED11b(第2波長)による画像から求めたピーク高さh2についても同様に、S2=σ2・HCT,A2=ε2・HGB(σ2,ε2は定数)として、
Figure 0004072240
となる。
k,σ1,σ2,ε1,ε2は理論的又は実験的に決定されるので、h1,h2,w1が得られると、式(3),(4)よりHGB,HCTが求まる。
【0045】
ところで、実際には血管から表皮までに存在する組織によって画像はボケるため、観察されるピーク値は組織がない場合に比べて小さくなる。よって、実際には
log(1−h1)=−k(S+A)w1+T ……(5)
となる。
ここで、Sは血液の散乱係数、Aは血液の吸収係数、Tは生体組織による影響を表す項である。
【0046】
さて、このTは、得られる画像の中で血管像のコントラストが最大となる部分を解析領域に選択することによって、比較的一定となることを実験的に見いだした。従って、実験的に求めたTを用いればHGB,HCTを求めるのに問題とはならない。
算出されたHGBとHCTは記憶部25に格納される。このような計測が所定回数くり返されると、演算部23は、算出した値からその経時的変化を表わすグラフや表を作成して表示する(ステップS19,S20)。
【0047】
図13は、1人の被検者の指について2日おきに計測し、HGBとHCTの経日変化をグラフにして出力部24に表示させた例である。出血の有無や食事療法,薬剤投与の効果などを知ることができ臨床的に有用である。
【0048】
(3)酸素化率計測モード
このモードでは複数波長について各1回撮像する動作を(経時的に)複数回行う。
入力部35により「酸素化率計測モード」を設定する。そして、図14に示すようにLED11a(第1波長:830nm)によって指16を照明し撮像を行う(ステップS51)。次に、LED11b(第2波長:890nm)によって指16を照明し、同様に撮像する(ステップ52)。次に、LED11c(第3波長:660nm)によって指16を照明し撮像する(ステップS53)。そして、図5に示す手順で、解析領域を設定する(ステップ54)。
【0049】
次に、第1,第2および第3波長による画像の各濃度プロファイルを図8に示すように作成する。(ステップS55)。
次に、各濃度プロファイルを規格化し(ステップS56)、ピーク高さh1,h2,h3と幅w1を算出する(ステップS57)。
次に、酸素化率を算出して記憶部25に格納する(ステップS58)。所定回数の計測をくり返し、その経時的変化を表すグラフや表を作成して表示してもよい(ステップS59〜S61)。
【0050】
ここで、ステップS58において酸素化率を算出する原理を説明する。
全ヘモグロビン量をHGB,酸化ヘモグロビン量をHGBo,還元ヘモグロビン量をHGBrとすると
HGB=HGBo+HGBr ……(6)
である。
【0051】
また、第1波長での酸化および還元ヘモグロビンに対する吸光度をε1(等吸収なので)、第2波長での酸化および還元ヘモグロビンに対する吸光度をε2(等吸収なので)、第3波長での酸化および還元ヘモグロビンに対する吸光度をそれぞれε3o,ε3rとする。
【0052】
さらに、第1波長での吸収係数をA1,散乱係数をS1、第2波長での吸収係数をA2,散乱係数をS2、第3波長での吸収係数をA3,散乱係数をS3とし、各波長について規格化された濃度プロファイルのピーク高さをそれぞれ、h1,h2,h3、幅をw1とすると、式(1)と同様にして、
log(1−h1)=−k(A1+S1)w1 ……(7)
log(1−h2)=−k(A2+S2)w1 ……(8)
log(1−h3)=−k(A3+S3)w1 ……(9)
となり、式(7),(8)よりA1,A2,S1,S2は決定する。
【0053】
一方、S3は、S1,S2と同様に、血液のヘマトクリットHCTに比例すると考えられ、
S3=σ3・HCT ……(10)
として決定される。
従って、式(9),(10)からA3も求まる。
【0054】
ところで、
A3/A1=(ε3o・HGBo+ε3r・HGBr)/(ε1・HGB)……(11)
ε3r>>ε3oであるから
Figure 0004072240
となる(a=ε3r/ε1)。
【0055】
酸素化率の定義から
Figure 0004072240
となり、酸素化率が算出される。
なお、静脈の酸素化率の臨床的な意義は、現時点では動脈血の酸素飽和度ほど明確ではない。しかし、動脈の酸素飽和度と静脈の酸素飽和度の差が実際に消費される酸素量であり、静脈の酸素飽和度は、生体の酸素の予備量を反映していると考えられる。本発明を契機にその臨床的有用性はますます具体的に明らかにされると期待される。
【0056】
【発明の効果】
この発明によれば、得られた複数の画像について同一血管部位を解析しているので、血管幅や血液成分濃度や血液成分濃度比などをばらつき要因少なく測定できる。また、生体の一部を経時的に複数回撮像すればそれら画像から被検者の状態の詳細な経時変化まで観察することができる。また、撮像された画像を使って生体の一部の特徴を抽出して比較することにより、別途特別な機構を必要とすることなく同一血管部位を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施例の外形を示す斜視図である。
【図3】この発明の実施例の要部を示す断面図である。
【図4】この発明の実施例の動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施例の他の動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施例により得られる画像例を示す説明図である。
【図7】この発明の実施例により得られる画像例を示す説明図である。
【図8】この発明の実施例の画像の濃度プロファイルを示す説明図である。
【図9】この発明の実施例の正規化された濃度プロファイルを示す説明図である。
【図10】この発明の実施例の正規化された他の濃度プロファイルを示す説明図である。
【図11】この発明の実施例の光源の正面図である。
【図12】この発明の実施例の表示例を示す説明図である。
【図13】この発明の実施例の他の表示例を示す説明図である。
【図14】この発明の実施例のさらに他の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 検出部
2 解析部
11 光源部
12 撮像部
21 抽出部
22 定量化部
23 演算部
24 出力部
25 記憶部
31 特徴抽出部
32 記憶部
33 比較部
34 解析領域設定部
35 入力部

Claims (7)

  1. 血管を含む生体の一部を照明するための光源部と、
    照明された生体の一部を撮像する撮像部と、
    光源部と撮像部を生体の一部に対して保持するための保持部材と、
    撮像された画像中に解析領域を設定し、その解析領域内の血管部分を計測して解析する解析部と、
    解析部により解析された解析結果を表示するための表示部とを備え、
    撮像部は、撮像指示に応じて、生体の一部を撮像して第1撮像画像を取得し、
    解析部は、過去の計測時に撮像部により撮像された第2撮像画像中に設定された第2解析領域に関する情報に基づいて、第2解析領域に含まれる血管部位と同一の血管部位が含まれる第1解析領域を第1撮像画像中に設定し、設定した第1解析領域内の血管部位について血管幅、血液成分濃度および血液成分濃度比の少なくとも1つを算出することを特徴とする非侵襲血液分析装置。
  2. 解析部は、第1撮像画像および第2撮像画像における生体の一部の形態上の特徴を抽出する特徴抽出部と、第2解析領域に関する情報として、特徴抽出部により抽出された第2撮像画像における前記特徴と、第2撮像画像中に設定された第2解析領域とを記憶する記憶部と、第1撮像画像における前記特徴と第2撮像画像における前記特徴とを比較する比較部と、比較結果に基づき第1解析領域を第1撮像画像中に設定する解析領域設定部と、設定された第1解析領域内の血管部位について血管幅、血液成分濃度および血液成分濃度比の少なくとも1つを算出する演算部とを含むことを特徴とする請求項1記載の非侵襲血液分析装置。
  3. 生体の一部がヒトの指であり、生体の一部の形態上の特徴が、指の輪郭,関節部の輪郭及び血管の配置パターンの少なくとも一つに基づくものである請求項2に記載の非侵襲血液分析装置。
  4. 撮像部は、第1撮像画像および第2撮像画像から得られた解析算出結果を経時的変化として表示部に表示させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の非侵襲血液分析装置。
  5. 光源部は、酸化ヘモグロビンの吸収と還元ヘモグロビンの吸収とが実質的に等しい波長の光を発する光源からなり、
    解析部は、撮像した画像について血管を横切る部分の画像濃度分布を算出し、その画像濃度分布に基づいて血管幅を算出する請求項1〜4のいずれか1項に記載の非侵襲血液分析装置。
  6. 光源部は、酸化ヘモグロビンの吸収と還元ヘモグロビンの吸収とが実質的に等しい2つの波長の光をそれぞれ発する光源からなり、
    解析部は、各波長の光で撮像して得られた各画像の解析領域の血管を横切る部分の画像濃度分布を算出し、それらの画像濃度分布に基づいてヘモグロビン濃度又はヘマトクリットを算出する請求項1〜5のいずれか1項に記載の非侵襲血液分析装置。
  7. 光源部は、酸化ヘモグロビンの吸収と還元ヘモグロビンの吸収とが実質的に等しい波長の光と還元ヘモグロビンの吸収が酸化ヘモグロビンの吸収より十分に大きい波長の光をそれぞれ発する光源からなり、
    解析部は、各波長の光で撮像して得られた各画像の解析領域の血管を横切る部分の画像濃度分布に基づいて全ヘモグロビン濃度に対する酸化ヘモグロビン濃度の割合を算出する請求項1〜6のいずれか1項に記載の非侵襲血液分析装置。
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