JP4071725B2 - キャッシュ・フロー分析表、キャッシュ・フロー分析表の作成方法と作成装置、並びに作成プログラム - Google Patents
キャッシュ・フロー分析表、キャッシュ・フロー分析表の作成方法と作成装置、並びに作成プログラム Download PDFInfo
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Description
これまでにも、資金に着目した財務諸表に関する提案がなされている(たとえば、特許文献1参照。)。
このように、貸借対照表と損益計算書を「資金の流れ」として見た場合、貸借対照表こそ、いわば資金の貯蔵庫といえるのである。
しかしながら、資産の評価が時価評価されていないなど、貸借対照表がその企業の経営の実体を表していない場合には、そのような貸借対照表からその企業の真の「資金創出能力」を測定・評価することは不可能である(企業の実体を考慮しない特許文献1も同様である)。
なお、本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表は、すべての企業、つまり、財務状態の良し悪しに関わらず適用することができるが、特に、財務状態の悪い企業、たとえば、再生中の企業にとっては、その財務体質の問題点を的確に把握することができるなど、特に有益なものである。
本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表とは、企業の資金創出能力(過去と現在から将来に向かって)と資金配分バランスを分析するために用いる表であって、貸借対照表と損益計算書に基づき作成する。なお、その作成に当たっては、先ず、修正貸借対照表を作成する。修正貸借対照表とは、企業の財務状態の実体を表すように貸借対照表を修正したものである。すなわち、本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表を作成するには、先ず、従来から利用されているその企業の貸借対照表と損益計算書を準備し、この貸借対照表から修正貸借対照表を作成した上で、修正貸借対照表と損益計算書とからキャッシュ・フロー分析表を作成する。
なお、キャッシュ・フロー分析表を作成するタイミングは、会計期間の期中であっても、あるいは期末であってもよい。
貸借対照表の修正は、資産と負債の「実在性」、つまり、現実に存在しているか否かの調査に基づき行う。具体的には、「資産の部」の修正は、勘定科目ごとに、
・換金性の有無
・換金性があるとすればその額
・その額が「負債の部」に示された各債務の返済に対応できるか否か
を評価するため、各資産の「実在性」と「資産性」を調査し、これらの各勘定科目を時価評価により評価して表示額を修正する。ここで、資産性とは貸借対照表に計上することが妥当か否か、ということを指す。また、換金性とは、現時点(つまり時価評価)で資産の売却が可能か否か、あるいは債権の回収が可能か否か(回収可能性)ということを指す。
一方、「負債の部」の修正は、勘定科目ごとに、
・支払(返済)の妥当性
・隠れた債務の存在の有無
を調査して、本来あるべき姿に修正する。
ここで、具体的な修正の内容について説明する。符号X1,X2で示すように棚卸資産の5,000千円と、開発費10,000千円の2件は、「修正理由・備考」欄に記載してある通り、過年度において損金処理すべき内容である。したがって、修正前の金額からこれらの金額を減額する修正を行う。また、X3,X4で示すように、土地と有価証券については、時価評価した際の評価損の金額を減額する修正を行う。
以上の修正により、自己資本と言われる資本合計は、修正前の61,500千円から21,500千円に修正される。
なお、修正貸借対照表に表示(記入)するのは、
・貸借対照表の大項目の科目とその金額
・貸借対照表の調査により、問題とされた科目とその金額
・上記調査により問題とされない科目の合計金額
である。
・「経営基本活動キャッシュ・フロー」
・「設備投資活動キャッシュ・フロー」
・「財務等活動キャッシュ・フロー」
から構成される。
また、「経営基本活動キャッシュ・フロー」は、
・「前期迄に創出した基礎資本キャッシュ・フロー」
・「今期に創出した事業資金キャッシュ・フロー」
に大別される。
さらに、「今期に創出した事業資金キャッシュ・フロー」は、
・「今期の事業活力キャッシュ・フロー」
・「今期の売上仕入資金キャッシュ・フロー」
に大別される。
・A1ブロック:前期迄に創出した基礎資本キャッシュ・フローを算出するためのブロック
・A2ブロック:今期の事業活力キャッシュ・フローを算出するためのブロック
・A3ブロック:今期の売上仕入資金キャッシュ・フローを算出するためのブロック
・Bブロック:設備投資活動に関する資金を算出するためのブロック
・Cブロック:財務等活動に関する資金を算出するためのブロック
の5つのブロックとを備える。
[ステップ1]
5つのブロックの右側の勘定科目の合計額から左側の勘定科目の合計額を差し引いた額を図3に示す(1)(2)(3)(6)(8)の各欄にそれぞれ記入する。また、前期末現金預金残高を(10)の欄に記入する。これらの金額については、後述する各ブロックの説明の中で詳述する。
[ステップ2]
(2)と(3)の欄の合計金額を「今期に創出した事業資金キャッシュ・フロー」として(4)の欄に記入する。
[ステップ3]
(1)と(4)の欄の合計金額を「経営基本活動資金」として(5)の欄に記入する。
[ステップ4]
(5)と(6)の欄の合計金額を「余裕資金」として(7)の欄に記入する。
[ステップ5]
(7)と(8)の欄の合計金額を当期の「現金預金残高」として(9)の欄に記入する。
[ステップ6]
(9)と(10)の欄の差額を「当期現金預金増加高」として(11)の欄に記入する。
先ず、A1ブロックについて説明する。A1ブロックは、前期迄に創出した基礎資本キャッシュ・フローを算出するためのものである。このブロックは、右側が資金の留保部分で、左側が資金の流出部分と見る。したがって、右側の合計額から左側の合計額を差し引けば、資金の残高を算出することになる。
企業には、経営活動にとって、最低必要な資金が常に保留されていなければならない。これを「基礎資本」という。この基礎資本は、
基礎資本=1年間の借入返済額+設備等の割賦代金+必要社内留保金
で算出される。ここで、必要社内留保金には、「当初3ヶ月の必要固定費」「設備計画」「特別支出額」「今後のための余裕資金」が含まれる。特別支出額の例としては、役員の退職金などがある。
図3に示す(1)の欄の「基礎資本キャッシュ・フロー」は、過去の資金創出能力を測る数値であり、創業以来、前期までに創出された資金のうち前期末時点に保留されている資金量が表示されている。この金額が、これから将来にわたり事業展開を進めるための資金原資となるものであり、事業発展能力を測る重要な数値である。経営不振に陥る企業は、この基礎資本が、この先1年間の借入金返済額にも及ばず、この不足を補うために借入金はむしろ増加し、ついに倒産に至ることになる。
このブロックは、企業の創業から直前期までの継続的な「資金創出能力」を評価することができる意義を有する。
左側には、以下の内容を記載する。
・前期以前に支払った費用性の前払費用
・資産に計上しているもので、前期以前に支払った費用性のもの
(たとえば、「賃貸事務所の支払い保証金のうち、解約時に償却されている金額」「在庫として計上されている金額のうち、すでに実在しない金額」「仮払金のうち、旅費などの経費金額」「固定資産に計上されている機械などで、現存していない金額」)
・前期以前の処理での修正損
(仮装処理された金額で、その実体のないもの)
・前期以前に取得した資産で、現金化(売却)出来ないもの
(前期以前にすでに貸倒れとなっているものを含む)、または時価に及ばない評価損
・資産計上しているが、目的の終わったもの
(前期以前に支出したもので、たとえば、開発費や試験研究費など)
・前期以前に発生していた費用や税金の未納額で、貸借対照表の負債の部に未計上のもの
(ここに記載すると同時に、この金額の内、A3ブロック「売上仕入資金」に係る費用の未払額については、A3ブロックの右側に記載し、それ以外の未払額については、Cブロック「財務等活動」の右側に記載する)
・資本金・利益の積立金
・前期以前の非資金的引当金の残高
・前期以前の処理での修正益
・前期以前に取得した資産の評価益
・前期迄の減価償却累計額
・前期以前に発生していた未収収益で、貸借対照表の資産の部に未計上のもの
(ここに記載すると同時に、この金額の内、A3ブロック「売上仕入資金」に係る収益額については、A3ブロックの左側に記載し、それ以外の収益額については、Cブロック「財務等活動」の左側に記載する)
また、非資金的とは、例えば、貸倒引当金のように、一定の基準により引当(繰入)額として損金処理しているが、この金額は資金の支出を伴うものではなく、資金の留保と同じ効果を生むものなので右側に記載する。但し、当期に繰入れた金額は、後述する「A2ブロック」に記載する。
さらに、減価償却累計額は、一定の基準により、固定資産の取得額を毎年費用化するもので、このために資金を支出するものではない。これも、前述の引当金と同じように資金を留保したのと同じ効果を生むので、右側に記載する。但し、当期の減価償却した金額は、後述する「A2ブロック」に記載する。
これらの用語の定義は、後述する各ブロックにおいて共通である。
次に、A2ブロックについて説明する。A2ブロックは、今期の事業活力キャッシュ・フローを算出するためのものであり、現在の事業活動(収益−費用=利益の創出活動)に基づき、ここから「資金創出能力」を測り、後述するA3ブロック(売上・仕入資金)と合わせて、当期(現在)の「事業資金の創出力」を測定し、評価することを目的とする。企業にとって、このA2ブロックとA3ブロックで測定される「利益と資金の創出力」が高いか低いかは、将来の事業の発展に大きく影響する。ここで創出された資金は、次のBブロック(設備投資)とCブロック(財務等活動)の資金源となり、更にその残額は、翌期以降になると、A1ブロックに「基礎資本」として蓄積され、企業の発展基盤となる。
このブロックの上段には、損益計算書より、右側に収益、左側に費用を大項目のみ列挙し、(税引後の)当期利益を記載する。また、下段には、損益計算書より、収益または費用として計上された内容のうち、非資金的な内容のもの、また貸借対照表の中に計上されている資産・負債のうち、当期の損益に影響を及ぼす非資金的なもの(A3,B,Cの各ブロックに属するものは除く)を抽出し、その抽出した項目の中から右側に損益計算書で費用処理したもの、左側に同じく損益計算書で収益処理したもの、または費用処理すべき内容のものを記載する。
なお、当期の損益計算書に計上されている収益または費用の内、当期だけに臨時的に発生したもので、比較的高額な金額をこのまま残しておくことは、分析結果の判断を誤らせる原因にもなるので、このブロックから除外する。そこで、その金額が収益に係るものであれば下段の左側に記載し、費用に係るものは、下段の右側に記載すると同時に、Cブロックの右側(収益)、あるいは左側(費用)に同額を記載する。
A2ブロックの具体的な記載内容は、以下の通りである。
・損益計算書より売上原価以下の費用項目(大項目のみ)
・当期の法人税などの納税引当金額
・損益計算書より売上高以下の収益項目(大項目のみ)
・当期支払の前払費用で翌期以降に費用として処理される額
・非資金性の引当金戻入額
・当期のみの臨時的かつ高額な収益額
・当期引当した非資金性引当金の額
・当期の減価償却費
・決算時点までに発生した費用の未払額
・資産の評価損や除去損(当期計上額)
・固定資産の売却損(当期計上額)
・期末で精算する法人税等の未払額
・当期だけの臨時的かつ高額な費用額
次に、A3ブロックについて説明する。A3ブロックは、今期の売上仕入資金キャッシュ・フローを算出するためのもので、企業の仕入債務額と売上債権額のギャップを測定し、企業の中に資金の余裕を作るか否かを評価することを目的とする。
商取引において、仕入れ(購買)から販売(営業)までの一般的な流れは、図7の様に表すことができる。
「1」商品仕入(仕入債務の発生)
「2」在庫
「3」商品販売(売上債権の発生)
「4」商品代金回収(売上債権の回収)
「5」商品代金支払(仕入債務の支払)
と、このように商行為が流れることが標準なパターンである。ここで、仕入債務とは、仕入代金の現金による未支払額であり、支払手形や買掛金などが該当する。また、売上債権とは、売上代金の現金による未回収額であり、受取手形や売掛金などが該当する。
また、A3ブロックは、資金のバランス状態から在庫品として資金が滞留している金額が適正かどうかを検討する切っ掛けを提供してくれる、という効果も備えている。
「1」仕入債務の発生 10,000円
「2」在 庫 3,000円 (滞留3,000円のため)
「3」売上債権の発生 8,000円
「4」売上債権の回収 8,000円
「5」仕入債務の支払 10,000円
この事例の場合、仕入に計画性がなく、在庫が多いため、資金は2,000円不足する。
「1」仕入債務の発生 10,000円
「2」在 庫 1,000円 (適正在庫)
「3」売上債権の発生 10,000円
「5」仕入債務の支払 10,000円
「4」売上債権の回収 10,000円
この事例の場合、売上債権の回収前に、仕入債務を支払うため、資金は10,000円不足する(売上債権としての資金滞留が原因)。
「1」仕入債務の発生 10,000円
「2」在 庫 1,000円 (適正在庫)
「3」売上債権の発生 10,000円
「4」売上債権の回収 10,000円
「5」仕入債務の支払 10,000円
この事例の場合、売上債権の回収後に、仕入債務を支払うため、資金的問題は生じない。
左側には、以下の内容を記載する。
・売上に係る売上債権の現金未決済残高
・在庫になっている商品等金額
・商品を仕入れる前に、仕入先へ代金の一部を前渡した金額
・当期に発生した貸倒損
・前期以前に発生していた売上債権で、貸借対照表に計上されていなかった金額(A1ブロックの記載内容と連動)
・商品・材料費・外注費など企業の基本業務に係る仕入債務の現金未決済残高
・商品を引き渡す前に売上先から代金の一部を前受けした金額
・前期以前に発生していた仕入債務で、貸借対照表に計上されていなかった金額(A1ブロックの記載内容と連動)
A2ブロックを用いて、今期の事業活動(仕入→販売→回収の諸活動並びに事業全体の管理活動を通じて、「売上−費用=利益」の利益拡大をすすめる行為)の損益面から資金創出額を測定する(今期の事業活力キャッシュ・フロー)。
次に、A3ブロックを用いて、上記の事業活動の流れの内、売上と仕入に係る債権・債務の残高と、在庫品の残高を抽出し、この間の資金の流れのバランス状況を測定する(売上仕入資金キャッシュ・フロー)。
すなわち、A2ブロックとA3ブロックは、今期の事業活動を2方面から測定したことになり、このA2ブロックとA3ブロックから導き出された資金量の合計、つまり、図3に示す(4)欄の「事業資金キャッシュ・フロー」が、企業の「資金創出能力」を測る基本数値とみなすことができる。
この「事業資金キャッシュ・フロー」が毎期プラスになっていくことが、企業の「支払能力」を高めることになる。この意味から、「事業資金キャッシュ・フロー」は事業能力を評価する場合の最も重要な指標の1つである。
A1ブロックで測定した「(前期迄に創出した)基礎資本キャッシュ・フロー」と、A2ブロックとA3ブロックから測定した「(今期に創出した)事業資金キャッシュ・フロー」の合計額を「経営基本活動資金」とする。
この「経営基本活動資金」の範囲内で、資金の配分が行われることが最も望ましい企業の経営の姿である。
先ず、図1に示した修正貸借対照表の「負債の部」で、この1年間で返済すべき短期借入金・未払金・未払法人税等の主な債務額は、
25,000千円+4,000千円+3,000千円=32,000千円
である。この金額を、返済出来るか否かを判断するため、図5の(2)欄の今期の事業活力キャッシュ・フローを見ると、今期は37,100千円の資金を創出しているので、翌期も、今期と同様の業績を挙げることができれば、「返済可能」と推測される。
また、前期迄に創出した基礎資金キャッシュ・フローが44,300千円有るので、なんとか返済は可能であろうが、(5)欄の経営基本活動資金には、6,400千円と全く余裕が無く、近い将来、資金不足が生じることが予想される。
以上より、早急に事業資金キャッシュ・フローを高めるための経営戦略を構築することが急務である、と評価することができる。
次に、Bブロックについて説明する。Bブロックは、設備投資活動に関する資金を算出するブロックであり、設備取得のための資金の原資は何か、資金的にムリなく投資が行われているか、または他人資本への依存度は高くないかどうかを評価することを目的とする。
左側には、以下の内容を記載する。
・建物・機械・土地等の有形固定資産(減価償却後の簿価)
・上記有形固定資産に係る今期までの減価償却費の累計額
・リース物件の金額が、その金額を含む有形固定資産合計の50%以上ある場合は、そのリース金額の残額(この場合、右側にも同額を計上する。つまり左側は「リース資産」、右側は「リース未払金」となる。)
・無形固定資産の額(換金性の有るもの)
・生産設備や建物の賃借に係る保証金・敷金(返還部分)
・設備等の損害保険契約に伴い支払った積立部分の損害保険料
・ノウハウや特許権等でその権利を売却できるものの額
・借地に係る借地権(時価)
・固定資産の評価損や売却損の額
・設備を取得するための借入金・支払手形・未払金等の債務残高
・建物等固定資産の賃貸契約に係る預り保証金
また、固定資産を評価して評価損を減額させた場合、または、売却した場合の売却損の金額は、左側に併記して、上記有形固定資産と同じ趣旨から投下資本の総額をつかむ。
さらに、たとえば、図5に示す例では、(6)欄の「設備投資活動資金」が、19,900千円(=157,000千円−176,900千円)のマイナス表示となっている。このようにマイナス表示となるのは、借入金の返済が順調に進んでいる場合、投資の原資として、前述の(5)欄に示す「経営基本活動資金」の範囲内で自己資金を活用し、借入金の割合が低い場合などである。この他、「経営基本活動資金」の有高に比べて、過大な設備を取得した場合も考えられる。この(6)欄の「設備投資活動資金」は、プラス・マイナスのいずれにしても、実体によって評価する。
余裕資金は、「経営基本活動資金」と「設備投資活動資金」を合計して測定する。企業にこの余裕資金、つまり、財務活動をするのに充分な資金が有れば、特別な事態が発生しない限り、資金繰りが圧迫されることはない。この時点でマイナスになれば、運転資金の不足が発生し、これを補填するための借入金や、受取手形の割引が増えてくる。これを放置しておくと、やがては窮地に陥ると評価することができる。
次に、Cブロックについて説明する。Cブロックは、財務等活動に関する資金を算出するためのものであり、先に説明した「余裕資金」の動向によって、外部からの資金の導入、つまり、借入や社債発行などを図ったり、逆に、余裕資金をより収益効率の高いところへ投資して、資金を無駄なく運用している状況などを把握することを目的としている。
このブロックには、経営の基本活動(主要業務)以外の取引から発生した内容の残高を記載する。
なお、Cブロックに記載される、たとえば、ゴルフ会員権・有価証券・不動産等に多額の投資を行い、「余裕資金」をも食い潰してしまうと、その企業は不振状態に陥ることとなる。
左側には、以下の内容を記載する。
・投資的な資産や権利金を取得した金額
・比較的長期的な貸付金残高
・主要業務以外の取引から発生した債権額
・役員や社員を被保険者とする生命保険契約の積立額(返戻金額)
・上記資産や債権額を時価評価した場合の評価損または売却損
・前期以前に発生していた収益で、貸借対照表の資産の部に未計上の売上債権以外の債権額
・当期の費用の内、臨時的かつ比較的高額な費用で、A2ブロックの下段に記載しなかったもの
・「余裕資金」の不足額を補うための借入金や割引手形の残高
・主要業務以外の取引に係る預り金・保証金等の残高
・主要業務以外の資産を取得したことによる債務額の残高
・前期以前に発生していた費用や税金の未納額で、貸借対照表の負債の部に未計上の仕入債務以外の債務額
・当期の収益の内、臨時的かつ比較的高額な収益で、A2ブロックの下段に記載しなかったもの
現金預金残高は、「余裕資金」にCブロックから導き出された「財務等活動資金」を合計して算出する。この現金預金残高の金額は、図1に示したの修正貸借対照表の「資産の部」の「現金預金」(50,000千円)に一致する。
「コメント」欄と「総評」欄について説明する。
本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表を作成する目的は、企業の「資金創出力」の測定と「資金配分バランス」の状況把握にある。そして、この分析表を利用・活用するのは、その企業の経営者である。したがって、経営者が現状の問題点を正しく認識し、改善に向かって行動する方向を示すのがこの分析表である。
ブロックごとの「コメント」欄に、問題点の指摘と評価を記載し、この分析表の最下段の「総評」欄に、今、その企業が最も取り上げて改善すべき問題点と今後の課題を記載することによって、経営者の認識を高揚させ、改善への行動の動機づけとすることができる。
なお、この「コメント」欄や「総評」欄には、その企業の財務コンサルティングを行う専門家、たとえば、税理士などが各ブロックの金額を参照した上でコメントなどを記載した上で、その企業の経営者に提示するようにするとよい。
図10は、本装置10がユーザからブロック基礎データを受付けるための画面の例であり、本装置10が、たとえば、ディスプレイ8に表示する。ユーザは、予め用意しておいた修正貸借対照表と損益計算書を参照しながら、キーボード7を用いて、図10の画面に表示された各ブロックを形成する勘定科目の金額を入力する。なお、前期以前(A1ブロック)か、今期(A2,A3ブロック)かの振り分けを行うために、必要に応じて勘定科目内訳明細書を参照する。ユーザが金額の入力を終え、図10に示した画面上の「入力」ボタンを選択すると、画面上に入力された各勘定科目の金額が、ブロック基礎データとして本装置10に読込まれる。
次に、本装置10は、コメント読込部4を用いて、キーボード7から入力されたコメントと総評とを読込む(S4)。なお、ここでは、図11に示した分析データの表示画面のコメント記入欄と総評記入欄にコメントなどを記入できるようになっている。ユーザがコメントなどの入力を終え、図11に示した画面上の「入力」ボタンを選択すると、画面上に入力されたコメントなどが、本装置10に読込まれる。
先に説明した実施の形態は、損益計算書と修正貸借対照表とを事前に準備しておき、これら損益計算書と修正貸借対照表からブロック基礎データを読み取ってキャッシュ・フロー分析表を作成するようにしたものであった。キャッシュ・フロー分析表には、コメント欄や総評欄が設けられていて、ブロックごとの分析データに対する、その企業の資金創出能力と資金配分バランスに関する専門家からのコメントを表示することができた。
以下、図面を参照しながら、本実施の形態について説明する。
端末200のディスプレイ8xには、会計ソフトウェアにより、図15に示すような仕訳データ入力画面P2が表示される。経理担当者などは、伝票などを参照しながら、キーボード7xを用いて画面P2に仕訳データを入力する。図15は、土地40,000千円を当座預金で、商品1,000千円を現金で、それぞれ購入した平成12年8月1日の取引に関する仕訳データが入力されている様子を示す。
仕訳データ読込部11は、画面P2に入力された仕訳データを読み込んで、DB61に格納する。図16は、DB61に格納された仕訳データの様子を示す図であり、仕訳データは、取引ごとに日付、摘要、勘定科目、金額が関連付けて格納されている。
財務諸表出力部12は、ディスプレイ8xに、図17に示すような財務諸表選択画面P3を表示する。ここで、たとえば、経理担当者が貸借対照表を閲覧したい場合、画面P3上のボタンB31を図示しないマウスなどで選択すると、財務諸表出力部12は、ディスプレイ8xに、図18(a)に示す会計期間入力画面P41を表示する。財務諸表出力部12は、画面P41に入力された会計期間を受付けた後に、DB61に格納された仕訳データを読み込み、受付けた会計期間に基づいて貸借対照表を構成する勘定科目ごとに仕訳データを集計し、ディスプレイ8xに集計結果を表示する。図18(b)は、集計結果としてディスプレイ8xに表示された貸借対照表を示している。
本装置10bは、仕訳データ取得部13、修正データ取得部14、ブロック基礎データ算出部15、ブロック基礎データ読込部16、分析データ算出部17、分析データ判定部18、データ記憶部6b、とを有してなる。データ記憶部6b内には、仕訳データの記憶手段(DB62)と、ブロック基礎データの記憶手段(DB63)と、分析データの記憶手段(DB64)と、分別マスタと判定マスタとを記憶するマスタファイル(MF)が含まれる。
図14に示す例では、仕訳データ取得部13が、端末200内のDB61に格納された仕訳データを読み込んでDB62に格納する。つまり、ここでの仕訳データの取得とは、電子データのいわゆるデッドコピーに相当するものである。
なお、取得する仕訳データは、端末200で動作する会計ソフトウェアが格納したデータそのもの、つまり、当該会計ソフトウェア固有のデータ形式のものでもよいし、あるいは、汎用的なデータ形式(CSV形式など)に変換したものであってもよい。データ形式の変換は、端末200と本装置10bのどちらで実施してもよい。
また、仕訳データの取得は、通信ネットワークを介して行うものに限らず、たとえば、DB61内の仕訳データを端末200において情報記録媒体にコピーして、その情報記録媒体を本装置10bで読み込むようにしてもよい。
なお、仕訳データの修正は、当企業の財務状態の実体を把握して、資金創出能力と資金配分バランスを正確に判定するためであり、資産の時価評価などにより行う。したがって、取得する仕訳データが、すでに時価評価などされたものであれば、本装置10bで修正する必要はない。つまり、修正データ取得部14は、本装置10bの必須構成要素ではない。
ここで、分別マスタとは、損益計算書と貸借対照表を構成する勘定科目のそれぞれが、資金の増加原因または減少原因のいずれであるかを特定し、かつ、前述の5つのブロック(A1ブロック、A2ブロック、A3ブロック、Bブロック、Cブロック)のいずれのブロックに属するかを特定するための手段であり、具体的には、図19に示すように、ブロックごとに、「資金の減少原因となる勘定科目」(左欄)と「資金の増加原因となる勘定科目」(右欄)の組み合わせに関する情報のテーブルとしてMFに記憶されている。ユーザは、本装置10b内の図示しない手段を用いて、この分別マスタの内容を適宜、追加、変更、削除することができ、たとえば、新たな勘定科目が生じたときに、その勘定科目を所定のブロックの所定の欄に追加することができる。
図20は、本プログラムが起動したときにディスプレイ8に表示される初期画面P1の例を示す図である。ユーザは、画面P1上の各ボタンB11〜B13を選択することで、後述の本プログラムの各処理を実行させることができる。
仕訳データ取得部13は、画面P1上のボタンB11が選択されたことを受付けると、端末200内のDB61に格納された仕訳データを読み込んで、DB62に格納する。
なお、DB61からの仕訳データの読み込みは、DB62にすでに格納されている仕訳データ(たとえば、以前に取得した前期までの仕訳データなど)を確認した上で行うようにする。この確認は、たとえば、仕訳データ取得部13が、ボタンB11が選択された際に自動的に行うようにしてもよいし、あるいは、ユーザが指定した期間の仕訳データを取得するようにしてもよい。
修正データ取得部14は、画面P1上のボタンB12が選択されたことを受付けると、ディスプレイ8に、図22(a)に示す修正データ選択画面P51を表示する。ユーザは、修正を希望する仕訳データを検索するために、画面P51内で修正対象の勘定科目を選択する。
修正データ取得部14は、画面P51で選択された勘定科目を受付けると、DB62に格納された仕訳データの中から、受付けた勘定科目に該当する取引を検索して、検索結果を掲載した修正データ入力画面P52をディプレイ8に表示する。
画面P52には、DB62内に、画面P51で受付けた勘定科目と関連付けて格納されている日付、摘要、金額が表示される。ユーザは、画面P52を閲覧して修正後の金額を「修正後」欄に、また、修正理由を「修正理由・備考」にそれぞれキーボード8から入力する。図22(b)は、土地を時価評価したことで、取引当初40,000千円であった金額を、30,000千円に修正していることを示している。
また、修正データ取得部14は、修正前の金額と修正後の金額の差額を算出し、評価損益としてDB62に格納する。図22の例であれば、土地の評価損10,000千円(30,000千円−40,000千円)をDB62に格納する。
なお、DB62に格納する評価損益に関する仕訳データの「日付」欄には、修正データ取得日ではなく、修正の対象である仕訳データの「日付」欄の日付を格納する。図21(b)は、評価損の仕訳データの「日付」欄には、土地の取得日「平成12年8月1日」が格納されていることを示している。このように評価損益の「日付」欄を取り扱うのは、修正の原因が、今期の事業活動の成果に起因するものではなく(A2,A3ブロックには配置されない)、前期迄の事業活動の成果に起因するものだからである(A1ブロックに配置される)。
図23は、ユーザが修正を希望する勘定科目の取引が、複数件存在した場合の修正データ入力画面P52aの例を示している。ユーザは、画面P52aに表示された取引の中から、修正を希望する取引についてのみ、修正データを入力する。修正データ取得部14は、画面P52aに入力された修正データを受付けて、対応する仕訳データと関連付けてDB62に格納する。
図24は、本装置の別の実施の形態を示すブロック図であり、本装置10bは図示しない通信ネットワークを介してサーバ100と接続している。サーバ100内の評価DB内には、本装置が取得する修正データそのもの、あるいは修正データを算出するための基礎となるデータが格納されている。評価DBに格納されているデータの例としては、土地の路線価や株価などに関するデータがある。修正データ取得部14xは、たとえば、定期的にDB62から修正候補の仕訳データを検索し、サーバ100に接続して修正データを取得する。
また、修正データ取得部14xは、サーバ100にアクセスすることなく、たとえば「売掛金」と関連付けて格納されている日付(取引日)や摘要欄の「受取期限日」からの経過期間に応じて修正額を算出、たとえば、経過期間が6ヶ月以上12ヶ月未満であれば5割減額、12ヶ月以上であれば9割減額など、と算出するようにしてもよい。
ブロック基礎データ算出部15は、画面P1上のボタンB13が選択されたことを受付けると、DB62に格納された仕訳データを読み込んで、ブロック基礎データを算出、つまり仕訳データを、損益計算書と貸借対照表を構成する勘定科目ごとに集計する。集計した結果は、ブロック基礎データとしてDB63に格納する。ブロック基礎データを算出する際、仕訳データを単に勘定科目ごとに集計するのではなく、仕訳データに含まれる「日付」を基に、「当期」と「前期以前」とに分けて集計する。
なお、ブロック基礎データを算出する際、修正された仕訳データについては、修正後の金額を用いる。つまり図21(b)に示した例であれば、平成12年8月1日の取引にかかる「土地」の金額は、取得時の40,000千円ではなく、修正後の30,000千円である。
なお、DB63内には、ブロック基礎データを会計期間ごとに、つまり、会計期間ごとに図28の(a)〜(d)に示したデータを格納するようにしてもよい。
分析データ算出部17は、ブロック基礎データ読込部16によるブロック基礎データの読み込みが完了すると、分別マスタを参照して、ブロック基礎データ読込部16が読み込んだブロック基礎データを各ブロック(A1,A2,A3,B,C)に分別し、ブロックごとに、「資金の増加原因となる勘定科目の合計額」と「資金の減少原因となる勘定科目の合計額」の差額を算出する。分析データ算出部17が算出するブロックごとの差額は、分析データの一部であり、図4に示した(1)(2)(3)(6)(8)に相当する金額である。分析データ算出部17は、さらに、図4に示した計算式に基づき、残りの分析データ、つまり図4に示した(4)(5)(7)(9)(10)(11)に相当する金額を算出する。
図5に示した例であれば、M1〜M11は以下のとおりである。
M1 = 44,300千円 M2 = 37,100千円
M3 =−75,000千円 M4 =−37,900千円
M5 = 6,400千円 M6 =−19,900千円
M7 =−13,500千円 M8 = 63,500千円
M9 = 50,000千円 M10= 45,000千円
M11= 5,000千円
図29はDB64に格納された分析データの例を示す図であり、(a)は分析データ算出前の状態、(b)は算出された分析データが格納された時点の状態、(c)は後述する判定結果が格納された時点の状態、をそれぞれ示す。なお、本実施の形態では、後述するように、資金配分バランスの是非の判定に、BブロックとCブロックの各ブロックの左欄の合計額を用いるため、BブロックとCブロックの左欄の合計額(それぞれM61,M81とする)も分析データとしてDB64に格納する。
また、図30はディスプレイ8に表示された分析データの表示画面の例である。ユーザが画面P6の「分析表出力」ボタンを選択すると、図示しない手段により、キャッシュ・フロー分析表(図5に示したキャッシュ・フロー分析表のうち「コメント」「総評」欄の無いもの)をディスプレイ8に表示する。また、ユーザが画面P6の「判定」ボタンを選択すると、後述の分析データ判定部18による分析データの判定処理が実行される。
分析データの判定は、「資金創出能力」と「資金配分バランス」の2面から行う。なお判定は、基礎資本キャッシュ・フロー(M1)、事業資金キャッシュ・フロー(M4)、経営基本活動資金(M5)を、所定の判定基準値(必要基礎資本、必要事業資金、必要経営基本活動資金)と比較して行う。
<前提条件>
当企業(以下、「甲社」という)の年間借入金返済額(元本)は、今期は23,000千円、翌期は20,000千円と予想されている。
今期の当初3ヶ月間の必要固定費(一般管理費)は、25,000千円である。翌期の当初3ヶ月の必要固定費については、節減に努める計画で22,000千円を予定している。
設備計画として、今期5,000千円、翌期8,000千円の投資が必要である。設備などの割賦残金やその他の特別支出は無い。
甲社は、余裕資金として最低でも20,000千円を保有しておきたいと考えている。
今期の年間借入金返済額(Q1)
今期の当初3ヶ月の必要固定費(Q2)
今期の設備計画(Q3)
今期の設備等固定資産割賦支払額(Q4)
今期の特別支出額(Q5)
今後のための余裕資金(Q6)
翌期の年間借入金返済額(R1)
翌期の当初3ヶ月の必要固定費(R2)
翌期の設備計画(R3)
翌期の設備等固定資産割賦支払額(R4)
翌期の特別支出額(R5)
今後のための余裕資金(R6)
また、たとえば、複数年の判定結果を比較表示するなど、判定結果の経時的変化を出力する手段を本装置に備える構成としてもよい。
これまで説明したように、A1ブロックは、前期迄(創業から前期まで)に創出した基礎資本キャッシュ・フロー(M1)を算出するためのものである。また、A2ブロックとA3ブロックは、今期の事業活動により創出した事業資金キャッシュ・フロー(M4)を算出するためのものである。
(判定式1) M1≧Q1+Q2+Q3+Q4+Q5+Q6
の関係を満たすことが望ましい。
(判定式2) M4≧R1+R2+R3+R4+R5+R6
の関係を満たすことが望ましい。
事業資金キャッシュ・フロー(M4)の期待値とは、先に説明した判定式1の関係が満たされない(特に、M1が大幅に不足している)場合に、その不足分(=必要基礎資本−基礎資本キャッシュ・フロー)を今期で埋めるとすれば今期に創出すべきだった資金量のことである。この事業資金キャッシュ・フローの期待値は、たとえば、資金創出能力に問題がある企業などの再生をするための条件といえる。
すでに説明したように、前期迄に創出した資金量である基礎資本キャッシュ・フロー(M1)と、今期に創出した資金量である事業資金キャッシュ・フロー(M4)の合計が経営基本活動資金(M5)である。つまり、M1,M4,M5の間には、
M5=M1+M4
の関係がある。そこで、事業資金キャッシュ・フロー(M4)の期待値は、先ず経営基本活動資金としていくらの資金量が必要かを算定した上で、算定した資金量から、基礎資本キャッシュ・フロー(M1)を減額して算定する。
・今期に「Bブロック」「Cブロック」に流れる資金
・翌期に向かっての資金(翌期へ繰り越す「A1ブロック」に流れる資金)
の合計である。
今期に「Bブロック」「Cブロック」に流れる資金は、
・今期の年間借入金返済額(Q1)
・今期の設備計画(Q3)
・今後のための余裕資金(Q6)
の合計である。
一方、翌期に向かっての資金は、
・翌期の年間借入金返済額(R1)
・翌期の当初3ヶ月の必要固定費(R2)
・翌期の設備計画(R3)
・翌期の設備等固定資産割賦支払金額(R4)
の合計である。
したがって、経営基本活動資金として必要な資金量は、
Q1+Q3+Q6+R1+R2+R3+R4
で算定できる。
以上より、事業資金キャッシュ・フロー(M4)の期待値は、
M4の期待値=(Q1+Q3+Q6+R1+R2+R3+R4)−M1
で算定することができる。
前述したように、企業は創出した資金量の範囲内、つまり経営基本活動資金(M5)で投資活動を行うことが望ましい姿である。ここで、Bブロックの左欄は設備投資活動に配分した資金量を示す。また、Cブロックの左欄は財務等活動に配分した資金量を示す。したがって、設備投資活動に必要な資金量(M61)と財務等活動に配分した資金量(M81)の合計額である必要経営基本活動資金(=M61+M81)は、企業が創出した資金量(M5)の範囲内であること、つまり、
(判定式3) M5≧M61+M81
の関係を満たすことが望ましい。なお、判定式3の関係を満たさない場合は、外部からの借入金で、その不足分(=必要経営基本活動資金−経営基本活動資金)を補っていることになる。
次に、分析データ判定部18は、DB64から、経営基本活動資金(M5)と、Bブロックの左欄の合計額(M61)と、Cブロックの左欄の合計額(M81)を読み込み、M5と「M61とM81の和」とを比較する(判定式3)。
また、翌期の必要事業資金が70,000千円(=R1+R2+R3+R4+R5+R6=20,000千円+22,000千円+8,000千円+0千円+0千円+20、000千円)であるのに対して、事業資金キャッシュ・フロー(M4)は−37,900千円であり、判定式2の関係も満たさない。
さらに、必要経営基本活動資金が229,200千円(=M61+M81=176,900千円+52,300千円)であるのに対して、経営基本活動資金(M5)は6,400千円であり、判定式3の関係も満たさない。
したがって、分析データ判定部18は、図32に示した判定マスタを参照して、上記判定結果からケース7に対応する判定内容を検索して、図33に示すような判定結果出力画面をディスプレイ8に表示する。
そこで、分析データ判定部18は、資金創出能力に問題があると判定した場合には、資金配分バランスを是正して、売上債権と支払債務のバランスを改善すべき旨を判定結果として出力するようにしてもよい。
このように、不足する資金量に応じた売却候補の資産を表示すれば、ユーザは、どの資産を売却すれば、資金配分バランスを改善することができるか判断をすることができる。
なお、ランク付けをして資金創出能力の有無を判定する場合、判定結果として、単に、M1とM4のランクとそのランクに対応する判定内容を出力するものでもよいし、あるいは、M1とM4のランクの組み合わせに応じた判定内容を出力する(この場合、判定マスタにはランクの組み合わせに応じた判定内容を登録しておく)ようにしてもよい。M1とM4のランクの組み合わせに応じた判定内容を出力する場合、キャッシュ・フローごとに重み付けをして、たとえば、M4をM1より重要視した判定をするようにしてもよい。
また、必要事業資金が70,000千円であるのに対して実績値(M4)は−37,900千円とマイナス値である。よって、M4の判定結果は「Fランク」となる(実績値がマイナスの場合、たとえば、判定基準値に対する割合を算出するまでもなく、Fランクに位置付ける)。
したがって、M1が「Cランク」、M4が「Fランク」となる甲社の資金創出能力の判定結果としては、たとえば、M4に重み付けの設定がなされている場合には、Fランクとする。
13 仕訳データ取得部
14 修正データ取得部
15 ブロック基礎データ算出部
1,16 ブロック基礎データ読込部
2,17 分析データ算出部
18 分析データ判定部
3 分析データ表示部
4 コメント読込部
5 分析表出力部
DB データベース
MF マスタファイル
Claims (5)
- 「貸借対照表の資産の部を構成する勘定科目ごとの金額」と「貸借対照表の負債の部を構成する勘定科目ごとの金額」と「貸借対照表の資本の部を構成する勘定科目ごとの金額」と「損益計算書を構成する勘定科目ごとの金額」とが記憶されている記憶手段と、入力装置と、出力装置と、を備え、
上記記憶手段には、上記「貸借対照表の資産の部を構成する勘定科目ごとの金額」と上記「貸借対照表の負債の部を構成する勘定科目ごとの金額」とが「前期迄」と「今期」とに分けて記憶されていて、
前期迄に創出された資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたA1ブロックと、
今期の事業活動で創出された資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたA2ブロックと、
今期の売上仕入活動で創出された資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたA3ブロックと、
設備投資活動に関する資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたBブロックと、
財務等活動に関する資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたCブロックと、
を含むキャッシュ・フロー分析表を作成する情報処理装置であって、
上記記憶手段には、上記「A1ブロック」「A2ブロック」「A3ブロック」「Bブロック」「Cブロック」の5つのブロックごとに、ブロックと、このブロックに属する資金の増加原因となる勘定科目と、このブロックに属する資金の減少原因となる勘定科目と、を関連付けた分別マスタが記憶されていて、
上記記憶手段に記憶されている、「貸借対照表の資産の部を構成する勘定科目」ごとの「前期迄の金額」と「今期の金額」と、「貸借対照表の負債の部を構成する勘定科目」ごとの「前期迄の金額」と「今期の金額」と、「貸借対照表の資本の部を構成する勘定科目」ごとの金額と、「損益計算書を構成する勘定科目」ごとの金額と、を読み込む手段と、
上記読み込まれた勘定科目ごとの金額が上記5つのブロックのうちのいずれのブロックの資金の増加原因または減少原因に属するかを上記分別マスタを参照して特定した上で上記読み込まれた勘定科目ごとの金額を集計して、上記5つのブロックごとの「資金の増加原因となる勘定科目の合計額」と「資金の減少原因となる勘定科目の合計額」とを算出する手段と、
上記5つのブロックごとに、上記算出された「資金の増加原因となる勘定科目の合計額」から「資金の減少原因となる勘定科目の合計額」を減額して、上記5つのブロックごとの残高を算出する手段と、
上記算出された5つのブロックごとの残高を上記記憶手段に記憶する手段と、
上記5つのブロックと上記算出された5つのブロックごとの残高とを含むキャッシュ・フロー分析表を作成して上記出力装置に出力する手段と、
上記入力装置から入力された、「今期の借入金返済額」と「今期の設備計画額」とを含む「今期の事業活動に必要な金額」と、「翌期の借入金返済額」と「翌期の設備計画額」とを含む「翌期の事業活動に必要な金額」と、を取得する手段と、
上記取得された「今期の事業活動に必要な金額」と「翌期の事業活動に必要な金額」とを上記記憶手段に記憶する手段と、
上記記憶手段に記憶されている「A1ブロックの残高」(M1)と、「今期の事業活動に必要な金額」(Q)と、「A2ブロックの残高」(M2)と、「A3ブロックの残高」(M3)と、「翌期の事業活動に必要な金額」(R)と、の間に、
「M1≧Q」かつ「(M2+M3)≧R」
の関係が成立するか否かを判定する手段と、
上記判定の結果、
「M1≧Q」かつ「(M2+M3)≧R」
の関係が成立するとき、資金創出能力に問題がない旨の判定結果を上記出力装置に出力する手段と、
を有してなることを特徴とするキャッシュ・フロー分析表作成装置。 - 記憶手段に記憶されている「A1ブロックの残高」(M1)と、「A2ブロックの残高」(M2)と、「A3ブロックの残高」(M3)と、「Bブロックの資金の増加原因となる勘定科目の合計額」(M61)と、「Cブロックの資金の増加原因となる勘定科目の合計額」(M81)と、の間に、
(M1+M2+M3)≧(M61+M81)
の関係が成立するか否かを判定する手段、
を備え、
上記判定の結果、上記「(M1+M2+M3)≧(M61+M81)」の関係が成立するとき、資金配分バランスに問題がない旨の判定結果を出力装置に出力する、
請求項1記載のキャッシュ・フロー分析表作成装置。 - コンピュータを、請求項1または2記載のキャッシュ・フロー分析表作成装置として機能させることを特徴とするキャッシュ・フロー分析表作成プログラム。
- 「貸借対照表の資産の部を構成する勘定科目ごとの金額」と「貸借対照表の負債の部を構成する勘定科目ごとの金額」と「貸借対照表の資本の部を構成する勘定科目ごとの金額」と「損益計算書を構成する勘定科目ごとの金額」とが記憶されている記憶手段と、入力装置と、出力装置と、を備え、
上記記憶手段には、上記「貸借対照表の資産の部を構成する勘定科目ごとの金額」と上記「貸借対照表の負債の部を構成する勘定科目ごとの金額」とが「前期迄」と「今期」とに分けて記憶されていて、
前期迄に創出された資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたA1ブロックと、
今期の事業活動で創出された資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたA2ブロックと、
今期の売上仕入活動で創出された資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたA3ブロックと、
設備投資活動に関する資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたBブロックと、
財務等活動に関する資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたCブロックと、
を含むキャッシュ・フロー分析表を作成する情報処理装置により実行される方法であって、
上記記憶手段には、上記「A1ブロック」「A2ブロック」「A3ブロック」「Bブロック」「Cブロック」の5つのブロックごとに、ブロックと、このブロックに属する資金の増加原因となる勘定科目と、このブロックに属する資金の減少原因となる勘定科目と、を関連付けた分別マスタが記憶されていて、
上記情報処理装置が、上記記憶手段に記憶されている、「貸借対照表の資産の部を構成する勘定科目」ごとの「前期迄の金額」と「今期の金額」と、「貸借対照表の負債の部を構成する勘定科目」ごとの「前期迄の金額」と「今期の金額」と、「貸借対照表の資本の部を構成する勘定科目」ごとの金額と、「損益計算書を構成する勘定科目」ごとの金額と、を読み込むステップと、
上記情報処理装置が、上記読み込まれた勘定科目ごとの金額が上記5つのブロックのうちのいずれのブロックの資金の増加原因または減少原因に属するかを上記分別マスタを参照して特定した上で上記読み込まれた勘定科目ごとの金額を集計して、上記5つのブロックごとの「資金の増加原因となる勘定科目の合計額」と「資金の減少原因となる勘定科目の合計額」とを算出するステップと、
上記情報処理装置が、上記5つのブロックごとに、上記算出された「資金の増加原因となる勘定科目の合計額」から「資金の減少原因となる勘定科目の合計額」を減額して、上記5つのブロックごとの残高を算出するステップと、
上記情報処理装置が、上記算出された5つのブロックごとの残高を上記記憶手段に記憶するステップと、
上記情報処理装置が、上記5つのブロックと上記算出された5つのブロックごとの残高とを含むキャッシュ・フロー分析表を作成して上記出力装置に出力するステップと、
上記情報処理装置が、上記入力装置から入力された、「今期の借入金返済額」と「今期の設備計画額」とを含む「今期の事業活動に必要な金額」と、「翌期の借入金返済額」と「翌期の設備計画額」とを含む「翌期の事業活動に必要な金額」と、を取得するステップと、
上記情報処理装置が、上記取得された「今期の事業活動に必要な金額」と「翌期の事業活動に必要な金額」とを上記記憶手段に記憶するステップと、
上記情報処理装置が、上記記憶手段に記憶されている「A1ブロックの残高」(M1)と、「今期の事業活動に必要な金額」(Q)と、「A2ブロックの残高」(M2)と、「A3ブロックの残高」(M3)と、「翌期の事業活動に必要な金額」(R)と、の間に、
「M1≧Q」かつ「(M2+M3)≧R」
の関係が成立するか否かを判定するステップと、
上記判定の結果、
「M1≧Q」かつ「(M2+M3)≧R」
の関係が成立するとき、上記情報処理装置が、資金創出能力に問題がない旨の判定結果を上記出力装置に出力するステップと、
を有してなることを特徴とするキャッシュ・フロー分析表作成方法。 - 情報処理装置が、記憶手段に記憶されている「A1ブロックの残高」(M1)と、「A2ブロックの残高」(M2)と、「A3ブロックの残高」(M3)と、「Bブロックの資金の増加原因となる勘定科目の合計額」(M61)と、「Cブロックの資金の増加原因となる勘定科目の合計額」(M81)と、の間に、
(M1+M2+M3)≧(M61+M81)
の関係が成立するか否かを判定するステップと、
上記判定の結果、上記「(M1+M2+M3)≧(M61+M81)」の関係が成立するとき、上記情報処理装置が、資金配分バランスに問題がない旨の判定結果を出力装置に出力するステップと、
を有する請求項4記載のキャッシュ・フロー分析表作成方法。
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