JP4071725B2 - キャッシュ・フロー分析表、キャッシュ・フロー分析表の作成方法と作成装置、並びに作成プログラム - Google Patents

キャッシュ・フロー分析表、キャッシュ・フロー分析表の作成方法と作成装置、並びに作成プログラム Download PDF

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Description

本発明は、貸借対照表と損益計算書に基づき作成する表であって、企業の資金創出能力(前期までの創出能力並びに現在から将来に向かっての創出能力)と資金配分バランスの測定・評価を可能とするキャッシュ・フロー分析表に関するものである。
企業は、財政状態や経営成績を利害関係者などに報告するために財務諸表を作成する。ここで、財務諸表には、貸借対照表,損益計算書,キャッシュ・フロー計算書がある。
貸借対照表は、その右側、つまり貸方に、どのような種類の負債や資本がどれだけあるのか、すなわち、企業が必要な資金をどのように調達したのかを示し、その左側、つまり借方に、どのような種類の資産がどれだけあるのか、すなわち、調達した資金の使途を示す。
損益計算書は、資金を生み出す源泉、たとえば、売上をはじめとする収益と、事業活動を行うための資金の使途、たとえば、材料費をはじめとする諸経費と、事業活動の結果として当期利益を示す。
図12に示す従来の制度会計に基づくキャッシュ・フロー計算書は、当期の税引前当期純利益を基本ベースとして、これに非資金的項目、たとえば、減価償却費や資産の評価損益等を加減算し、貸借対照表の勘定科目については、前期末残高と当期末残高の差額を算出して、その科目の特性から資金増加要因差額、たとえば、売上債権の減少や仕入債務の増加を加算し、資金減少要因差額、たとえば、売上債権の増加・棚卸資産の増加・仕入債務の減少・法人税等の支払額を減算して、当期の創出した資金を示す。
ここで、企業が発展を続けるためには、「利益」を生み出すことはもとより、「資金創出能力」と「資金配分バランス」がより重要である。資金創出能力とは、企業が独自に資金を創出する能力を指し、資金配分バランスとは、創出した資金を所定の活動区分別に適切に配分することを指す。つまり、企業は継続して適正な利益を生み、独自で資金を創出し、資金を所定の活動区分別に適切に配分しなければならない。
これまでにも、資金に着目した財務諸表に関する提案がなされている(たとえば、特許文献1参照。)。
しかしながら、従来から利用されている財務諸表では、企業の「資金創出能力」と「資金配分バランス」を測定・評価することができなかった。すなわち、従来の損益計算書では、資金の源泉→使途→結果(利益)の過程で、「資金をいくら生み出したか」を直ちに認識することは困難である。特に、信用取引(取引時点では資金を伴わない取引)を経済活動の基本とする現在においては、信用取引による収益と費用の差額を利益として算出したとしても、この利益額は必ずしも資金創出額と一致しない。また、損益計算書は、資金を生み出す事業活動の過程と利益額(創出した資金の額とは一致しない)を示すものであって、これのみでは創出した資金を測定することはできない。
また、図12に例示する従来から利用されているキャッシュ・フロー計算書は、「当期単年度だけ」の資金の流れを把握し、当期に創出した資金量を測るものである。しかし、単年度だけのキャッシュ・フロー計算書からは、企業の根本的な「資金創出能力」を測ることは出来ない。仮に、資金創出能力を測ろうとする場合には、キャッシュ・フロー計算書を過年度ごとに作成するか、あるいは、時系列に並べて測定するしかない。さらに、従来から利用されているキャッシュ・フロー計算書では、「資金配分バランス」を測定することは不可能である。なぜなら、現行制度では計算書の上から下へ、資金の増加項目と減少項目を加減算した、正にフローとして把握するに留まるからである。「資金配分バランス」を見るためには、資金が「どこから,どこへ,いくら,どのような形で有るか」が判り易く表示されないと判定することが出来ないのである。
創出された資金は、実は、貸借対照表の中に有る、つまり、「資産の部」に具体的な形として存在している。貸借対照表から資金が損益計算書に流れ(資金の使途)、手許に充分な資金が無い時には、支払手形や買掛金などで一部支払時期を延期する、あるいは、借入金によって外部から資金を調達(他人資本という)するなどして、損益計算書(時には貸借対照表に表示される固定資産などの資産取得に流れる)に流れる。こうした他人資本による資金調達残高(=調達額−返済額)は、貸借対照表の「負債の部」に表示されている。貸借対照表の「資本の部」には、当該企業の株主からの投資額である資本金や資本剰余金、そして過年度から利益の一部を保留してきた剰余金と当期利益が表示されており、この合計が「自己資本」である。
このように、貸借対照表と損益計算書を「資金の流れ」として見た場合、貸借対照表こそ、いわば資金の貯蔵庫といえるのである。
しかしながら、資産の評価が時価評価されていないなど、貸借対照表がその企業の経営の実体を表していない場合には、そのような貸借対照表からその企業の真の「資金創出能力」を測定・評価することは不可能である(企業の実体を考慮しない特許文献1も同様である)。
登録実用新案第2077899号公報
本発明は以上のような従来の実情に鑑みてなされたもので、企業の「資金創出能力」と「資金配分バランス」を把握して事業能力を評価し、資金面から企業の財務改善ポイントを導き出すことができる、キャッシュ・フロー分析表を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、「貸借対照表の資産の部を構成する勘定科目ごとの金額」と「貸借対照表の負債の部を構成する勘定科目ごとの金額」と「貸借対照表の資本の部を構成する勘定科目ごとの金額」と「損益計算書を構成する勘定科目ごとの金額」とが記憶されている記憶手段と、入力装置と、出力装置と、を備え、記憶手段には、「貸借対照表の資産の部を構成する勘定科目ごとの金額」と「貸借対照表の負債の部を構成する勘定科目ごとの金額」とが「前期迄」と「今期」とに分けて記憶されていて、前期迄に創出された資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたA1ブロックと、今期の事業活動で創出された資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたA2ブロックと、今期の売上仕入活動で創出された資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたA3ブロックと、設備投資活動に関する資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたBブロックと、財務等活動に関する資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたCブロックと、を含むキャッシュ・フロー分析表を作成する情報処理装置であって、記憶手段には、「A1ブロック」「A2ブロック」「A3ブロック」「Bブロック」「Cブロック」の5つのブロックごとに、ブロックと、このブロックに属する資金の増加原因となる勘定科目と、このブロックに属する資金の減少原因となる勘定科目と、を関連付けた分別マスタが記憶されていて、記憶手段に記憶されている、「貸借対照表の資産の部を構成する勘定科目」ごとの「前期迄の金額」と「今期の金額」と、「貸借対照表の負債の部を構成する勘定科目」ごとの「前期迄の金額」と「今期の金額」と、「貸借対照表の資本の部を構成する勘定科目」ごとの金額と、「損益計算書を構成する勘定科目」ごとの金額と、を読み込む手段と、読み込まれた勘定科目ごとの金額が5つのブロックのうちのいずれのブロックの資金の増加原因または減少原因に属するかを分別マスタを参照して特定した上で読み込まれた勘定科目ごとの金額を集計して、5つのブロックごとの「資金の増加原因となる勘定科目の合計額」と「資金の減少原因となる勘定科目の合計額」とを算出する手段と、5つのブロックごとに、算出された「資金の増加原因となる勘定科目の合計額」から「資金の減少原因となる勘定科目の合計額」を減額して、5つのブロックごとの残高を算出する手段と、算出された5つのブロックごとの残高を記憶手段に記憶する手段と、5つのブロックと算出された5つのブロックごとの残高とを含むキャッシュ・フロー分析表を作成して出力装置に出力する手段と、入力装置から入力された、「今期の借入金返済額」と「今期の設備計画額」とを含む「今期の事業活動に必要な金額」と、「翌期の借入金返済額」と「翌期の設備計画額」とを含む「翌期の事業活動に必要な金額」と、を取得する手段と、取得された「今期の事業活動に必要な金額」と「翌期の事業活動に必要な金額」とを記憶手段に記憶する手段と、記憶手段に記憶されている「A1ブロックの残高」(M1)と、「今期の事業活動に必要な金額」(Q)と、「A2ブロックの残高」(M2)と、「A3ブロックの残高」(M3)と、「翌期の事業活動に必要な金額」(R)と、の間に、「M1≧Q」かつ「(M2+M3)≧R」の関係が成立するか否かを判定する手段と、判定の結果、「M1≧Q」かつ「(M2+M3)≧R」の関係が成立するとき、資金創出能力に問題がない旨の判定結果を出力装置に出力する手段と、を有してなることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、記憶手段に記憶されている「A1ブロックの残高」(M1)と、「A2ブロックの残高」(M2)と、「A3ブロックの残高」(M3)と、「Bブロックの資金の増加原因となる勘定科目の合計額」(M61)と、「Cブロックの資金の増加原因となる勘定科目の合計額」(M81)と、の間に、(M1+M2+M3)≧(M61+M81)の関係が成立するか否かを判定する手段、を備え、判定の結果、「(M1+M2+M3)≧(M61+M81)」の関係が成立するとき、資金配分バランスに問題がない旨の判定結果を出力装置に出力することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、コンピュータを、請求項1または2記載のキャッシュ・フロー分析表作成装置として機能させることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、「貸借対照表の資産の部を構成する勘定科目ごとの金額」と「貸借対照表の負債の部を構成する勘定科目ごとの金額」と「貸借対照表の資本の部を構成する勘定科目ごとの金額」と「損益計算書を構成する勘定科目ごとの金額」とが記憶されている記憶手段と、入力装置と、出力装置と、を備え、記憶手段には、「貸借対照表の資産の部を構成する勘定科目ごとの金額」と「貸借対照表の負債の部を構成する勘定科目ごとの金額」とが「前期迄」と「今期」とに分けて記憶されていて、前期迄に創出された資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたA1ブロックと、今期の事業活動で創出された資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたA2ブロックと、今期の売上仕入活動で創出された資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたA3ブロックと、設備投資活動に関する資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたBブロックと、財務等活動に関する資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたCブロックと、を含むキャッシュ・フロー分析表を作成する情報処理装置により実行される方法であって、記憶手段には、「A1ブロック」「A2ブロック」「A3ブロック」「Bブロック」「Cブロック」の5つのブロックごとに、ブロックと、このブロックに属する資金の増加原因となる勘定科目と、このブロックに属する資金の減少原因となる勘定科目と、を関連付けた分別マスタが記憶されていて、情報処理装置が、記憶手段に記憶されている、「貸借対照表の資産の部を構成する勘定科目」ごとの「前期迄の金額」と「今期の金額」と、「貸借対照表の負債の部を構成する勘定科目」ごとの「前期迄の金額」と「今期の金額」と、「貸借対照表の資本の部を構成する勘定科目」ごとの金額と、「損益計算書を構成する勘定科目」ごとの金額と、を読み込むステップと、情報処理装置が、読み込まれた勘定科目ごとの金額が5つのブロックのうちのいずれのブロックの資金の増加原因または減少原因に属するかを分別マスタを参照して特定した上で読み込まれた勘定科目ごとの金額を集計して、5つのブロックごとの「資金の増加原因となる勘定科目の合計額」と「資金の減少原因となる勘定科目の合計額」とを算出するステップと、情報処理装置が、5つのブロックごとに、算出された「資金の増加原因となる勘定科目の合計額」から「資金の減少原因となる勘定科目の合計額」を減額して、5つのブロックごとの残高を算出するステップと、情報処理装置が、算出された5つのブロックごとの残高を記憶手段に記憶するステップと、情報処理装置が、5つのブロックと算出された5つのブロックごとの残高とを含むキャッシュ・フロー分析表を作成して出力装置に出力するステップと、情報処理装置が、入力装置から入力された、「今期の借入金返済額」と「今期の設備計画額」とを含む「今期の事業活動に必要な金額」と、「翌期の借入金返済額」と「翌期の設備計画額」とを含む「翌期の事業活動に必要な金額」と、を取得するステップと、情報処理装置が、取得された「今期の事業活動に必要な金額」と「翌期の事業活動に必要な金額」とを記憶手段に記憶するステップと、情報処理装置が、記憶手段に記憶されている「A1ブロックの残高」(M1)と、「今期の事業活動に必要な金額」(Q)と、「A2ブロックの残高」(M2)と、「A3ブロックの残高」(M3)と、「翌期の事業活動に必要な金額」(R)と、の間に、「M1≧Q」かつ「(M2+M3)≧R」の関係が成立するか否かを判定するステップと、判定の結果、「M1≧Q」かつ「(M2+M3)≧R」の関係が成立するとき、情報処理装置が、資金創出能力に問題がない旨の判定結果を出力装置に出力するステップと、を有してなることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、情報処理装置が、記憶手段に記憶されている「A1ブロックの残高」(M1)と、「A2ブロックの残高」(M2)と、「A3ブロックの残高」(M3)と、「Bブロックの資金の増加原因となる勘定科目の合計額」(M61)と、「Cブロックの資金の増加原因となる勘定科目の合計額」(M81)と、の間に、(M1+M2+M3)≧(M61+M81)の関係が成立するか否かを判定するステップと、判定の結果、「(M1+M2+M3)≧(M61+M81)」の関係が成立するとき、情報処理装置が、資金配分バランスに問題がない旨の判定結果を出力装置に出力するステップと、を有することを特徴とする。
本発明によれば、従来から利用されている財務諸表からは把握することができない、企業の「資金創出能力」と「資金配分バランス」を把握することができる。
以下、図面を参照しながら本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表、キャッシュ・フロー分析表の作成方法と作成装置、並びに作成プログラムの実施の形態について説明する。
なお、本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表は、すべての企業、つまり、財務状態の良し悪しに関わらず適用することができるが、特に、財務状態の悪い企業、たとえば、再生中の企業にとっては、その財務体質の問題点を的確に把握することができるなど、特に有益なものである。
先ず、本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表について説明する。
本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表とは、企業の資金創出能力(過去と現在から将来に向かって)と資金配分バランスを分析するために用いる表であって、貸借対照表と損益計算書に基づき作成する。なお、その作成に当たっては、先ず、修正貸借対照表を作成する。修正貸借対照表とは、企業の財務状態の実体を表すように貸借対照表を修正したものである。すなわち、本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表を作成するには、先ず、従来から利用されているその企業の貸借対照表と損益計算書を準備し、この貸借対照表から修正貸借対照表を作成した上で、修正貸借対照表と損益計算書とからキャッシュ・フロー分析表を作成する。
なお、キャッシュ・フロー分析表を作成するタイミングは、会計期間の期中であっても、あるいは期末であってもよい。
ここで、修正貸借対照表について説明する。
貸借対照表の修正は、資産と負債の「実在性」、つまり、現実に存在しているか否かの調査に基づき行う。具体的には、「資産の部」の修正は、勘定科目ごとに、
・換金性の有無
・換金性があるとすればその額
・その額が「負債の部」に示された各債務の返済に対応できるか否か
を評価するため、各資産の「実在性」と「資産性」を調査し、これらの各勘定科目を時価評価により評価して表示額を修正する。ここで、資産性とは貸借対照表に計上することが妥当か否か、ということを指す。また、換金性とは、現時点(つまり時価評価)で資産の売却が可能か否か、あるいは債権の回収が可能か否か(回収可能性)ということを指す。
一方、「負債の部」の修正は、勘定科目ごとに、
・支払(返済)の妥当性
・隠れた債務の存在の有無
を調査して、本来あるべき姿に修正する。
図1は、修正貸借対照表の例を示す説明図である。修正貸借対照表は、従来から利用されている貸借対照表の資産、負債、資本の各部に「修正」「修正後」「修正理由・備考」欄を備えた「評価」欄を設けたものである。すなわち、たとえば、186,300千円と示された資産の部の「流動資産」は、後述するように、「修正」欄に示される5,000千円を減額する修正がなされ、「修正後」欄に示される181,300千円に修正されていることを示す。
ここで、具体的な修正の内容について説明する。符号X1,X2で示すように棚卸資産の5,000千円と、開発費10,000千円の2件は、「修正理由・備考」欄に記載してある通り、過年度において損金処理すべき内容である。したがって、修正前の金額からこれらの金額を減額する修正を行う。また、X3,X4で示すように、土地と有価証券については、時価評価した際の評価損の金額を減額する修正を行う。
このような修正の結果、X5に示すように、資産合計が、40,000千円減額、すなわち、換金価値が低下する。この評価損は、今期になって突然発生したものではなく、過年度においてすでに発生していた内容であるから、過年度の損益を修正する。つまり、X6に示すように、利益剰余金を40,000千円減額し、X7に示すように、資本合計額から40,000千円減額する。
以上の修正により、自己資本と言われる資本合計は、修正前の61,500千円から21,500千円に修正される。
なお、修正貸借対照表に表示(記入)するのは、
・貸借対照表の大項目の科目とその金額
・貸借対照表の調査により、問題とされた科目とその金額
・上記調査により問題とされない科目の合計金額
である。
図2は、貸借対照表と並んで、キャッシュ・フロー分析表の基となる損益計算書の例を示す説明図である。
以下、本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表とその作成方法について、図1に示した修正貸借対照表と図2に示した損益計算書を例に用いながら説明する。
図3は、本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表の実施の形態を示す説明図である。キャッシュ・フロー分析表は、「資金創出能力」と「資金配分バランス」を明らかにするため、
・「経営基本活動キャッシュ・フロー」
・「設備投資活動キャッシュ・フロー」
・「財務等活動キャッシュ・フロー」
から構成される。
また、「経営基本活動キャッシュ・フロー」は、
・「前期迄に創出した基礎資本キャッシュ・フロー」
・「今期に創出した事業資金キャッシュ・フロー」
に大別される。
さらに、「今期に創出した事業資金キャッシュ・フロー」は、
・「今期の事業活力キャッシュ・フロー」
・「今期の売上仕入資金キャッシュ・フロー」
に大別される。
換言すると、本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表は、
・A1ブロック:前期迄に創出した基礎資本キャッシュ・フローを算出するためのブロック
・A2ブロック:今期の事業活力キャッシュ・フローを算出するためのブロック
・A3ブロック:今期の売上仕入資金キャッシュ・フローを算出するためのブロック
・Bブロック:設備投資活動に関する資金を算出するためのブロック
・Cブロック:財務等活動に関する資金を算出するためのブロック
の5つのブロックとを備える。
なお、各ブロックは、資金の増加原因となる勘定科目の欄と当該勘定科目の合計額の欄、並びに資金の減少原因となる勘定科目の欄と当該勘定科目の合計額の欄、とからなる。図3に示すキャッシュ・フロー分析表は、5つのブロックが、中心線を挟んで左右にそれぞれ、右側に利益と資金の増加原因となる勘定科目の欄とその合計額の欄、左側に利益と資金の減少原因となる勘定科目の欄とその合計額の欄が設けられている。ここで、左右それぞれの勘定科目の欄は、さらに勘定科目とその金額の欄とからなる。また、いずれのブロックも、右側の勘定科目の合計額から左側の勘定科目の合計額を差し引いて、その差額(差額がマイナスとなる時は数値の頭に「△」表示)を所定の欄に記載した上で、次の方法で順次集計する。
図4は、図3に示す(1)から(11)の各欄の関係を示す説明図である。各欄の金額の集計は、以下のステップ1からステップ6により行う。
[ステップ1]
5つのブロックの右側の勘定科目の合計額から左側の勘定科目の合計額を差し引いた額を図3に示す(1)(2)(3)(6)(8)の各欄にそれぞれ記入する。また、前期末現金預金残高を(10)の欄に記入する。これらの金額については、後述する各ブロックの説明の中で詳述する。
[ステップ2]
(2)と(3)の欄の合計金額を「今期に創出した事業資金キャッシュ・フロー」として(4)の欄に記入する。
[ステップ3]
(1)と(4)の欄の合計金額を「経営基本活動資金」として(5)の欄に記入する。
[ステップ4]
(5)と(6)の欄の合計金額を「余裕資金」として(7)の欄に記入する。
[ステップ5]
(7)と(8)の欄の合計金額を当期の「現金預金残高」として(9)の欄に記入する。
[ステップ6]
(9)と(10)の欄の差額を「当期現金預金増加高」として(11)の欄に記入する。
以下、5つのブロックについて、それぞれ説明する。
<A1ブロック:前期迄に創出した基礎資本キャッシュ・フロー>
先ず、A1ブロックについて説明する。A1ブロックは、前期迄に創出した基礎資本キャッシュ・フローを算出するためのものである。このブロックは、右側が資金の留保部分で、左側が資金の流出部分と見る。したがって、右側の合計額から左側の合計額を差し引けば、資金の残高を算出することになる。
企業には、経営活動にとって、最低必要な資金が常に保留されていなければならない。これを「基礎資本」という。この基礎資本は、
基礎資本=1年間の借入返済額+設備等の割賦代金+必要社内留保金
で算出される。ここで、必要社内留保金には、「当初3ヶ月の必要固定費」「設備計画」「特別支出額」「今後のための余裕資金」が含まれる。特別支出額の例としては、役員の退職金などがある。
図3に示す(1)の欄の「基礎資本キャッシュ・フロー」は、過去の資金創出能力を測る数値であり、創業以来、前期までに創出された資金のうち前期末時点に保留されている資金量が表示されている。この金額が、これから将来にわたり事業展開を進めるための資金原資となるものであり、事業発展能力を測る重要な数値である。経営不振に陥る企業は、この基礎資本が、この先1年間の借入金返済額にも及ばず、この不足を補うために借入金はむしろ増加し、ついに倒産に至ることになる。
このブロックは、企業の創業から直前期までの継続的な「資金創出能力」を評価することができる意義を有する。
A1ブロックに記載する内容について説明する。
左側には、以下の内容を記載する。
・前期以前に支払った費用性の前払費用
・資産に計上しているもので、前期以前に支払った費用性のもの
(たとえば、「賃貸事務所の支払い保証金のうち、解約時に償却されている金額」「在庫として計上されている金額のうち、すでに実在しない金額」「仮払金のうち、旅費などの経費金額」「固定資産に計上されている機械などで、現存していない金額」)
・前期以前の処理での修正損
(仮装処理された金額で、その実体のないもの)
・前期以前に取得した資産で、現金化(売却)出来ないもの
(前期以前にすでに貸倒れとなっているものを含む)、または時価に及ばない評価損
・資産計上しているが、目的の終わったもの
(前期以前に支出したもので、たとえば、開発費や試験研究費など)
・前期以前に発生していた費用や税金の未納額で、貸借対照表の負債の部に未計上のもの
(ここに記載すると同時に、この金額の内、A3ブロック「売上仕入資金」に係る費用の未払額については、A3ブロックの右側に記載し、それ以外の未払額については、Cブロック「財務等活動」の右側に記載する)
右側には、以下の内容を記載する。
・資本金・利益の積立金
・前期以前の非資金的引当金の残高
・前期以前の処理での修正益
・前期以前に取得した資産の評価益
・前期迄の減価償却累計額
・前期以前に発生していた未収収益で、貸借対照表の資産の部に未計上のもの
(ここに記載すると同時に、この金額の内、A3ブロック「売上仕入資金」に係る収益額については、A3ブロックの左側に記載し、それ以外の収益額については、Cブロック「財務等活動」の左側に記載する)
なお、費用性とは、いずれ費用として損金処理されるものを指す。
また、非資金的とは、例えば、貸倒引当金のように、一定の基準により引当(繰入)額として損金処理しているが、この金額は資金の支出を伴うものではなく、資金の留保と同じ効果を生むものなので右側に記載する。但し、当期に繰入れた金額は、後述する「A2ブロック」に記載する。
さらに、減価償却累計額は、一定の基準により、固定資産の取得額を毎年費用化するもので、このために資金を支出するものではない。これも、前述の引当金と同じように資金を留保したのと同じ効果を生むので、右側に記載する。但し、当期の減価償却した金額は、後述する「A2ブロック」に記載する。
これらの用語の定義は、後述する各ブロックにおいて共通である。
<A2ブロック:今期の事業活力キャッシュ・フロー>
次に、A2ブロックについて説明する。A2ブロックは、今期の事業活力キャッシュ・フローを算出するためのものであり、現在の事業活動(収益−費用=利益の創出活動)に基づき、ここから「資金創出能力」を測り、後述するA3ブロック(売上・仕入資金)と合わせて、当期(現在)の「事業資金の創出力」を測定し、評価することを目的とする。企業にとって、このA2ブロックとA3ブロックで測定される「利益と資金の創出力」が高いか低いかは、将来の事業の発展に大きく影響する。ここで創出された資金は、次のBブロック(設備投資)とCブロック(財務等活動)の資金源となり、更にその残額は、翌期以降になると、A1ブロックに「基礎資本」として蓄積され、企業の発展基盤となる。
A2ブロックに記載する内容について説明する。
このブロックの上段には、損益計算書より、右側に収益、左側に費用を大項目のみ列挙し、(税引後の)当期利益を記載する。また、下段には、損益計算書より、収益または費用として計上された内容のうち、非資金的な内容のもの、また貸借対照表の中に計上されている資産・負債のうち、当期の損益に影響を及ぼす非資金的なもの(A3,B,Cの各ブロックに属するものは除く)を抽出し、その抽出した項目の中から右側に損益計算書で費用処理したもの、左側に同じく損益計算書で収益処理したもの、または費用処理すべき内容のものを記載する。
なお、当期の損益計算書に計上されている収益または費用の内、当期だけに臨時的に発生したもので、比較的高額な金額をこのまま残しておくことは、分析結果の判断を誤らせる原因にもなるので、このブロックから除外する。そこで、その金額が収益に係るものであれば下段の左側に記載し、費用に係るものは、下段の右側に記載すると同時に、Cブロックの右側(収益)、あるいは左側(費用)に同額を記載する。
A2ブロックの具体的な記載内容は、以下の通りである。
上段の左側には、以下の内容を記載する。
・損益計算書より売上原価以下の費用項目(大項目のみ)
・当期の法人税などの納税引当金額
上段の右側には、以下の内容を記載する。
・損益計算書より売上高以下の収益項目(大項目のみ)
下段の左側には、以下の内容を記載する。
・当期支払の前払費用で翌期以降に費用として処理される額
・非資金性の引当金戻入額
・当期のみの臨時的かつ高額な収益額
下段の右側には、以下の内容を記載する。
・当期引当した非資金性引当金の額
・当期の減価償却費
・決算時点までに発生した費用の未払額
・資産の評価損や除去損(当期計上額)
・固定資産の売却損(当期計上額)
・期末で精算する法人税等の未払額
・当期だけの臨時的かつ高額な費用額
図6は、A2ブロックで、資金創出額、つまり、図3に示す(2)欄に記入する金額を算出する過程を示す説明図である。資金創出額に相当する(2)欄の今期の事業活力キャッシュ・フローは、当期利益(損失)に当ブロック下段の右側の合計数値を加算した上で、当ブロック下段の左側の合計数値を減額して算出する。
<A3ブロック:今期の売上仕入資金キャッシュ・フロー>
次に、A3ブロックについて説明する。A3ブロックは、今期の売上仕入資金キャッシュ・フローを算出するためのもので、企業の仕入債務額と売上債権額のギャップを測定し、企業の中に資金の余裕を作るか否かを評価することを目的とする。
商取引において、仕入れ(購買)から販売(営業)までの一般的な流れは、図7の様に表すことができる。
「1」商品仕入(仕入債務の発生)
「2」在庫
「3」商品販売(売上債権の発生)
「4」商品代金回収(売上債権の回収)
「5」商品代金支払(仕入債務の支払)
と、このように商行為が流れることが標準なパターンである。ここで、仕入債務とは、仕入代金の現金による未支払額であり、支払手形や買掛金などが該当する。また、売上債権とは、売上代金の現金による未回収額であり、受取手形や売掛金などが該当する。
商行為において、相手先との力関係による決済条件や、市場単価による利益幅などにより、仕入債務額と売上債権額にギャップが生ずるのは常である。このギャップを「売上仕入資金キャッシュ・フロー」として測定し、その値がプラス(余裕=資金創出)であるか、マイナス(資金不足)であるかにより、資金の余裕を作るか否かを判定する。マイナスの場合には、早急に仕入債務と売上債権のバランスが取れる様に相手先との決済条件や、仕入・売上単価の改定を含む取引条件の改善が必要と評価することができる。
また、A3ブロックは、資金のバランス状態から在庫品として資金が滞留している金額が適正かどうかを検討する切っ掛けを提供してくれる、という効果も備えている。
資金の額の流れを見ると、ときには商行為の途中で資金が滞留し、この滞留額が多いときに、資金の額に不足を生ずる場合がある。以下、具体例を3つ示す。
(事例1):売上金額に比して仕入が多く、在庫として多額の資金が滞留している場合
「1」仕入債務の発生 10,000円
「2」在 庫 3,000円 (滞留3,000円のため)
「3」売上債権の発生 8,000円
「4」売上債権の回収 8,000円
「5」仕入債務の支払 10,000円
この事例の場合、仕入に計画性がなく、在庫が多いため、資金は2,000円不足する。
(事例2):売上債権の回収が、仕入債務の支払より遅い場合
「1」仕入債務の発生 10,000円
「2」在 庫 1,000円 (適正在庫)
「3」売上債権の発生 10,000円
「5」仕入債務の支払 10,000円
「4」売上債権の回収 10,000円
この事例の場合、売上債権の回収前に、仕入債務を支払うため、資金は10,000円不足する(売上債権としての資金滞留が原因)。
(事例3):望ましい資金の流れ
「1」仕入債務の発生 10,000円
「2」在 庫 1,000円 (適正在庫)
「3」売上債権の発生 10,000円
「4」売上債権の回収 10,000円
「5」仕入債務の支払 10,000円
この事例の場合、売上債権の回収後に、仕入債務を支払うため、資金的問題は生じない。
A3ブロックに記載する内容について説明する。
左側には、以下の内容を記載する。
・売上に係る売上債権の現金未決済残高
・在庫になっている商品等金額
・商品を仕入れる前に、仕入先へ代金の一部を前渡した金額
・当期に発生した貸倒損
・前期以前に発生していた売上債権で、貸借対照表に計上されていなかった金額(A1ブロックの記載内容と連動)
右側には、以下の内容を記載する。
・商品・材料費・外注費など企業の基本業務に係る仕入債務の現金未決済残高
・商品を引き渡す前に売上先から代金の一部を前受けした金額
・前期以前に発生していた仕入債務で、貸借対照表に計上されていなかった金額(A1ブロックの記載内容と連動)
なお、当期において、貸倒損として貸借対照表上の売上債権額を減額した場合には、売上債権額の総額と仕入債務額の総額とを対比して、そのバランスを測る必要から貸倒損の金額を売上債権(左側)と併記する。
以上説明したA2ブロックとA3ブロックとから、「事業資金キャッシュ・フロー」の測定について説明する。
A2ブロックを用いて、今期の事業活動(仕入→販売→回収の諸活動並びに事業全体の管理活動を通じて、「売上−費用=利益」の利益拡大をすすめる行為)の損益面から資金創出額を測定する(今期の事業活力キャッシュ・フロー)。
次に、A3ブロックを用いて、上記の事業活動の流れの内、売上と仕入に係る債権・債務の残高と、在庫品の残高を抽出し、この間の資金の流れのバランス状況を測定する(売上仕入資金キャッシュ・フロー)。
すなわち、A2ブロックとA3ブロックは、今期の事業活動を2方面から測定したことになり、このA2ブロックとA3ブロックから導き出された資金量の合計、つまり、図3に示す(4)欄の「事業資金キャッシュ・フロー」が、企業の「資金創出能力」を測る基本数値とみなすことができる。
この「事業資金キャッシュ・フロー」が毎期プラスになっていくことが、企業の「支払能力」を高めることになる。この意味から、「事業資金キャッシュ・フロー」は事業能力を評価する場合の最も重要な指標の1つである。
ここで、資金配分バランスの評価の指標である、経営基本活動資金について説明する。
A1ブロックで測定した「(前期迄に創出した)基礎資本キャッシュ・フロー」と、A2ブロックとA3ブロックから測定した「(今期に創出した)事業資金キャッシュ・フロー」の合計額を「経営基本活動資金」とする。
この「経営基本活動資金」の範囲内で、資金の配分が行われることが最も望ましい企業の経営の姿である。
ここで、具体例を、図5に示すキャッシュ・フロー分析表を用いて説明する。図5は、図1に示した修正貸借対照表と図2に示した損益計算書に基づき作成したキャッシュ・フロー分析表の例を示す説明図である。
先ず、図1に示した修正貸借対照表の「負債の部」で、この1年間で返済すべき短期借入金・未払金・未払法人税等の主な債務額は、
25,000千円+4,000千円+3,000千円=32,000千円
である。この金額を、返済出来るか否かを判断するため、図5の(2)欄の今期の事業活力キャッシュ・フローを見ると、今期は37,100千円の資金を創出しているので、翌期も、今期と同様の業績を挙げることができれば、「返済可能」と推測される。
しかし、(3)欄の売上仕入資金キャッシュ・フローは、75,000千円のマイナスであり、この結果、返済原資であるべき(4)欄の事業資金キャッシュ・フローは、マイナス37,900千円である。これでは、当期に創出した事業資金では借入金の返済が出来ない。
また、前期迄に創出した基礎資金キャッシュ・フローが44,300千円有るので、なんとか返済は可能であろうが、(5)欄の経営基本活動資金には、6,400千円と全く余裕が無く、近い将来、資金不足が生じることが予想される。
以上より、早急に事業資金キャッシュ・フローを高めるための経営戦略を構築することが急務である、と評価することができる。
<Bブロック:設備投資活動キャッシュ・フロー>
次に、Bブロックについて説明する。Bブロックは、設備投資活動に関する資金を算出するブロックであり、設備取得のための資金の原資は何か、資金的にムリなく投資が行われているか、または他人資本への依存度は高くないかどうかを評価することを目的とする。
Bブロックに記載する内容について説明する。
左側には、以下の内容を記載する。
・建物・機械・土地等の有形固定資産(減価償却後の簿価)
・上記有形固定資産に係る今期までの減価償却費の累計額
・リース物件の金額が、その金額を含む有形固定資産合計の50%以上ある場合は、そのリース金額の残額(この場合、右側にも同額を計上する。つまり左側は「リース資産」、右側は「リース未払金」となる。)
・無形固定資産の額(換金性の有るもの)
・生産設備や建物の賃借に係る保証金・敷金(返還部分)
・設備等の損害保険契約に伴い支払った積立部分の損害保険料
・ノウハウや特許権等でその権利を売却できるものの額
・借地に係る借地権(時価)
・固定資産の評価損や売却損の額
右側には、以下の内容を記載する。
・設備を取得するための借入金・支払手形・未払金等の債務残高
・建物等固定資産の賃貸契約に係る預り保証金
なお、有形固定資産は、減価償却後帳簿価額で計上するが、取得した総額と右側の取得するための債務総額とを対比させるために、今迄の減価償却累計額を加算して取得総額(投下資本の総額)としてつかむ。
また、固定資産を評価して評価損を減額させた場合、または、売却した場合の売却損の金額は、左側に併記して、上記有形固定資産と同じ趣旨から投下資本の総額をつかむ。
さらに、たとえば、図5に示す例では、(6)欄の「設備投資活動資金」が、19,900千円(=157,000千円−176,900千円)のマイナス表示となっている。このようにマイナス表示となるのは、借入金の返済が順調に進んでいる場合、投資の原資として、前述の(5)欄に示す「経営基本活動資金」の範囲内で自己資金を活用し、借入金の割合が低い場合などである。この他、「経営基本活動資金」の有高に比べて、過大な設備を取得した場合も考えられる。この(6)欄の「設備投資活動資金」は、プラス・マイナスのいずれにしても、実体によって評価する。
図5に示した例では、この経営基本活動資金が6,400千円しか無く、後述のBブロック(設備投資活動)の左側に投資金額176,900千円がある。当然に資金不足のため、同ブロックの右側にある借入金や未払金によって設備を取得したことが判明する。
ここで、余裕資金について説明する。
余裕資金は、「経営基本活動資金」と「設備投資活動資金」を合計して測定する。企業にこの余裕資金、つまり、財務活動をするのに充分な資金が有れば、特別な事態が発生しない限り、資金繰りが圧迫されることはない。この時点でマイナスになれば、運転資金の不足が発生し、これを補填するための借入金や、受取手形の割引が増えてくる。これを放置しておくと、やがては窮地に陥ると評価することができる。
<Cブロック:財務活動キャッシュ・フロー>
次に、Cブロックについて説明する。Cブロックは、財務等活動に関する資金を算出するためのものであり、先に説明した「余裕資金」の動向によって、外部からの資金の導入、つまり、借入や社債発行などを図ったり、逆に、余裕資金をより収益効率の高いところへ投資して、資金を無駄なく運用している状況などを把握することを目的としている。
このブロックには、経営の基本活動(主要業務)以外の取引から発生した内容の残高を記載する。
なお、Cブロックに記載される、たとえば、ゴルフ会員権・有価証券・不動産等に多額の投資を行い、「余裕資金」をも食い潰してしまうと、その企業は不振状態に陥ることとなる。
Cブロックに記載する内容について説明する。
左側には、以下の内容を記載する。
・投資的な資産や権利金を取得した金額
・比較的長期的な貸付金残高
・主要業務以外の取引から発生した債権額
・役員や社員を被保険者とする生命保険契約の積立額(返戻金額)
・上記資産や債権額を時価評価した場合の評価損または売却損
・前期以前に発生していた収益で、貸借対照表の資産の部に未計上の売上債権以外の債権額
・当期の費用の内、臨時的かつ比較的高額な費用で、A2ブロックの下段に記載しなかったもの
右側には、以下の内容を記載する。
・「余裕資金」の不足額を補うための借入金や割引手形の残高
・主要業務以外の取引に係る預り金・保証金等の残高
・主要業務以外の資産を取得したことによる債務額の残高
・前期以前に発生していた費用や税金の未納額で、貸借対照表の負債の部に未計上の仕入債務以外の債務額
・当期の収益の内、臨時的かつ比較的高額な収益で、A2ブロックの下段に記載しなかったもの
ここで、図3に示す(9)欄の現金預金残高について説明する。
現金預金残高は、「余裕資金」にCブロックから導き出された「財務等活動資金」を合計して算出する。この現金預金残高の金額は、図1に示したの修正貸借対照表の「資産の部」の「現金預金」(50,000千円)に一致する。
以上説明したように、本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表は、5つのブロックから構成されるが、各ブロックに「コメント」欄を設け、また、表全体に対する「総評」欄を設けるようにしてもよい。
「コメント」欄と「総評」欄について説明する。
本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表を作成する目的は、企業の「資金創出力」の測定と「資金配分バランス」の状況把握にある。そして、この分析表を利用・活用するのは、その企業の経営者である。したがって、経営者が現状の問題点を正しく認識し、改善に向かって行動する方向を示すのがこの分析表である。
ブロックごとの「コメント」欄に、問題点の指摘と評価を記載し、この分析表の最下段の「総評」欄に、今、その企業が最も取り上げて改善すべき問題点と今後の課題を記載することによって、経営者の認識を高揚させ、改善への行動の動機づけとすることができる。
なお、この「コメント」欄や「総評」欄には、その企業の財務コンサルティングを行う専門家、たとえば、税理士などが各ブロックの金額を参照した上でコメントなどを記載した上で、その企業の経営者に提示するようにするとよい。
次に、本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成装置と作成プログラムについて説明する。本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成装置(以下、「本装置」という)は、先に説明した本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表を作成する情報処理装置であって、たとえば、パーソナルコンピュータなどで構成される。また、本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成プログラム(以下、「本プログラム」という)は、後述する本装置が備える各手段を制御することで、本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表を作成するコンピュータプログラムである。つまり、本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表の作成・閲覧を希望する者(以下、「ユーザ」という)は、コンピュータに本プログラムを読取らせて実行することで、当該コンピュータが本装置として機能し、後述する手順に従って、キャッシュ・フロー分析表を作成・閲覧することができる。
なお、ユーザは、本プログラムを利用するのに先立って、先ず、その企業の貸借対照表と損益計算書とを準備し、先に説明したように、貸借対照表の修正、つまり図1に例を示した修正貸借対照表を作成しておく。その後、修正貸借対照表と損益計算書に表された勘定科目とその金額とを参照しながら、本プログラムを利用してキャッシュ・フロー分析表を作成する。
図8は、本装置の実施の形態を示すブロック図であり、符号10は、本装置を示す。本装置10は、ブロック基礎データ読込部1,分析データ算出部2,分析データ表示部3,コメント読込部4,分析表出力部5,データ記憶部6とを有してなる。
ブロック基礎データ読込部1とは、ブロック基礎データを読込む手段である。ブロック基礎データとは、キャッシュ・フロー分析表を構成するブロックごとの勘定科目の金額に関する情報であって、修正貸借対照表に表された勘定科目の金額(以下、「修正貸借対照表データ」という)と、損益計算書に表された勘定科目の金額(以下、「損益計算書データ」という)とからなる。
分析データ算出部2とは、分析データを算出する手段である。分析データとは、資金創出能力と資金配分バランスの評価指標であって、具体的には図3に示すキャッシュ・フロー分析表内の(1)から(11)の各欄に表示されるデータであり、各ブロックの右側と左側のそれぞれの合計額が算出された上で、図4に示す集計方法に従って算出される。
分析データ表示部3とは、分析データ算出部2で算出した分析データを表示する手段である。図8に示す例では、ディスプレイ8に表示するようにしているが、表示の手段はディスプレイに限定するものではなく、ユーザが、分析データを確認することができる手段であればよく、たとえば、印刷出力するようにしてもよい。
コメント読込部4とは、コメント欄と総評欄に表示される各ブロックのコメントと総評とを読込む手段である。なお、キャッシュ・フロー分析表には、先に説明したようにコメント欄と総評欄は必ずしも設ける必要はなく、その場合には、コメント読込部4は不要である。
分析表出力部5とは、ブロック基礎データ読込部1を用いて読込んだブロック基礎データと、コメント読込部4を用いて読込んだコメントと総評、及び分析データ算出部2を用いて算出した分析データに基づきキャッシュ・フロー分析表を作成して出力する手段である。図8に示す例では、プリンタ9に印刷出力するようにしているが、出力の手段は印刷に限定するものではなく、ユーザが、キャッシュ・フロー分析表を閲覧することができる手段であればよく、たとえば、ディスプレイ表示するようにしてもよい。
データ記憶部6とは、本装置10がキャッシュ・フロー分析表に表示されるデータ、つまり、ブロック基礎データ、分析データ、コメント、総評を記憶する手段である。すなわち、本装置10は、たとえば、ブロック基礎データ読込部1を用いて、ブロック基礎データを読込むと共に、データ記憶部6に読込んだデータを記憶する。なお、本装置10がデータ記憶部6を備えることで、ユーザは、たとえば、ブロック基礎データを読込んだ時点で、一旦、本プログラムを終了してキャッシュ・フロー分析表の作成を中断し、後日、改めて本プログラムを起動して、キャッシュ・フロー分析表の作成を再開、つまり、分析データを表示させてコメントを入力し、分析表を出力させる、といったことが可能となる。
なお、図8は、本装置10が、キーボード7からブロック基礎データとコメントを読込み、ディスプレイ8に分析データを表示し、プリンタ9にキャッシュ・フロー分析表を出力することを示している。ここで、キーボード7,ディスプレイ8,プリンタ9は、本装置10に直接接続したもの(いわゆる、スタンドアロン型の利用形態)であってもよいし、あるいは、図示しない通信ネットワークを介して接続した本装置10とは別の情報処理装置に接続したもの(いわゆる、クライアントサーバ型の利用形態)であってもよい。
次に、本プログラムについて説明する。図9は、本プログラムの実施の形態を示すフローチャートであり、本装置10は、本プログラムが動作することで、S1からS5の各処理を行う。以下、図9を参照しながら、本プログラムの動作、つまり、本プログラムを利用したキャッシュ・フロー分析表の作成方法について説明する。
先ず、本装置10は、ブロック基礎データ、つまり、修正貸借対照表データと損益計算書データとを読込む(S1)。
図10は、本装置10がユーザからブロック基礎データを受付けるための画面の例であり、本装置10が、たとえば、ディスプレイ8に表示する。ユーザは、予め用意しておいた修正貸借対照表と損益計算書を参照しながら、キーボード7を用いて、図10の画面に表示された各ブロックを形成する勘定科目の金額を入力する。なお、前期以前(A1ブロック)か、今期(A2,A3ブロック)かの振り分けを行うために、必要に応じて勘定科目内訳明細書を参照する。ユーザが金額の入力を終え、図10に示した画面上の「入力」ボタンを選択すると、画面上に入力された各勘定科目の金額が、ブロック基礎データとして本装置10に読込まれる。
次に、本装置10は、分析データ算出部2を用いて、分析データを算出し(S2)、分析データ表示部3を用いて、ディスプレイ8に分析データを表示する(S3)。図11は、分析データを表示した画面の例である。
次に、本装置10は、コメント読込部4を用いて、キーボード7から入力されたコメントと総評とを読込む(S4)。なお、ここでは、図11に示した分析データの表示画面のコメント記入欄と総評記入欄にコメントなどを記入できるようになっている。ユーザがコメントなどの入力を終え、図11に示した画面上の「入力」ボタンを選択すると、画面上に入力されたコメントなどが、本装置10に読込まれる。
なお、図11に示した例では、分析データの表示画面とコメントなどを入力する画面とを同一画面としているが、分析データの表示画面とコメントなどの入力画面とは別々の画面としてもよい。
次に、本装置10は、分析表出力部5を用いて、先に読込んだブロック基礎データとコメント・総評、及び算出した分析データに基づきキャッシュ・フロー分析表を作成し、プリンタ9に、作成したキャッシュ・フロー分析表、つまり、図5に例示したような表を出力する(S5)。
ユーザは、本プログラムを利用する、つまり、本装置を用いることで、本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表を作成することができ、先に説明したように、企業の「資金創出能力」と「資金配分バランス」を測定・評価することができる。
次に、本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成方法と作成装置、並びに作成プログラムの別の実施の形態について説明する。
先に説明した実施の形態は、損益計算書と修正貸借対照表とを事前に準備しておき、これら損益計算書と修正貸借対照表からブロック基礎データを読み取ってキャッシュ・フロー分析表を作成するようにしたものであった。キャッシュ・フロー分析表には、コメント欄や総評欄が設けられていて、ブロックごとの分析データに対する、その企業の資金創出能力と資金配分バランスに関する専門家からのコメントを表示することができた。
本実施の形態は、公知の会計ソフトウェアを用いて蓄積された仕訳データを利用して分析データを算出し、算出した分析データの判定結果を出力するものである。分析データの判定とは、当企業の資金創出能力の有無や資金配分バランスの是非について、所定の判定ロジックに基づき行う。判定ロジックなど詳細については、後述する。図13は、本実施の形態にかかる本プログラムのフローチャートである。本プログラムは、先ず、仕訳データを取得する(T1)。その後、取得した仕訳データを修正した上で(T2)ブロック基礎データを算出する(T3)。次に、算出したブロック基礎データから分析データを算出する(T4)。さらに、算出した分析データを判定した上で(T5)、その結果を出力する(T6)。
以下、図面を参照しながら、本実施の形態について説明する。
図14は、本装置の実施の形態を示すブロック図であり、符号10bは本装置を示す。本装置は、図示しないインターネットやLAN(Local Area Network)などの通信ネットワークを介して端末200と接続する。端末200は、公知の会計ソフトウェアが動作している情報処理端末であり、仕訳データ読込部11、財務諸表出力部12、データベース(DB)61とを有してなる。仕訳データ読込部11は、キーボード7xから入力された仕訳データを読み込んで、DB61に格納する手段である。財務諸表出力部12は、DB61に格納された仕訳データを読み込み、勘定科目ごとに集計するなどして、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書などの財務諸表を作成してディスプレイ8xに出力(表示)する手段である。
図15乃至18を参照しながら、端末200の動作について説明する。
端末200のディスプレイ8xには、会計ソフトウェアにより、図15に示すような仕訳データ入力画面P2が表示される。経理担当者などは、伝票などを参照しながら、キーボード7xを用いて画面P2に仕訳データを入力する。図15は、土地40,000千円を当座預金で、商品1,000千円を現金で、それぞれ購入した平成12年8月1日の取引に関する仕訳データが入力されている様子を示す。
仕訳データ読込部11は、画面P2に入力された仕訳データを読み込んで、DB61に格納する。図16は、DB61に格納された仕訳データの様子を示す図であり、仕訳データは、取引ごとに日付、摘要、勘定科目、金額が関連付けて格納されている。
財務諸表出力部12は、ディスプレイ8xに、図17に示すような財務諸表選択画面P3を表示する。ここで、たとえば、経理担当者が貸借対照表を閲覧したい場合、画面P3上のボタンB31を図示しないマウスなどで選択すると、財務諸表出力部12は、ディスプレイ8xに、図18(a)に示す会計期間入力画面P41を表示する。財務諸表出力部12は、画面P41に入力された会計期間を受付けた後に、DB61に格納された仕訳データを読み込み、受付けた会計期間に基づいて貸借対照表を構成する勘定科目ごとに仕訳データを集計し、ディスプレイ8xに集計結果を表示する。図18(b)は、集計結果としてディスプレイ8xに表示された貸借対照表を示している。
次に、本装置について説明する。
本装置10bは、仕訳データ取得部13、修正データ取得部14、ブロック基礎データ算出部15、ブロック基礎データ読込部16、分析データ算出部17、分析データ判定部18、データ記憶部6b、とを有してなる。データ記憶部6b内には、仕訳データの記憶手段(DB62)と、ブロック基礎データの記憶手段(DB63)と、分析データの記憶手段(DB64)と、分別マスタと判定マスタとを記憶するマスタファイル(MF)が含まれる。
仕訳データ取得部13は、仕訳データを取得してDB62に格納(記憶)する手段である。
図14に示す例では、仕訳データ取得部13が、端末200内のDB61に格納された仕訳データを読み込んでDB62に格納する。つまり、ここでの仕訳データの取得とは、電子データのいわゆるデッドコピーに相当するものである。
なお、取得する仕訳データは、端末200で動作する会計ソフトウェアが格納したデータそのもの、つまり、当該会計ソフトウェア固有のデータ形式のものでもよいし、あるいは、汎用的なデータ形式(CSV形式など)に変換したものであってもよい。データ形式の変換は、端末200と本装置10bのどちらで実施してもよい。
また、仕訳データの取得は、通信ネットワークを介して行うものに限らず、たとえば、DB61内の仕訳データを端末200において情報記録媒体にコピーして、その情報記録媒体を本装置10bで読み込むようにしてもよい。
修正データ取得部14は、取得した仕訳データに対する修正データを読み込んで、DB62内に格納された仕訳データを、読み込んだ修正データで更新する手段である。
なお、仕訳データの修正は、当企業の財務状態の実体を把握して、資金創出能力と資金配分バランスを正確に判定するためであり、資産の時価評価などにより行う。したがって、取得する仕訳データが、すでに時価評価などされたものであれば、本装置10bで修正する必要はない。つまり、修正データ取得部14は、本装置10bの必須構成要素ではない。
ブロック基礎データ算出部15は、DB62に格納された仕訳データを読み込んでブロック基礎データを算出し、DB63に格納する手段である。端末200から取得した仕訳データが修正されている場合は、修正後の仕訳データを用いてブロック基礎データを算出する。なお、ブロック基礎データの算出は、従来からある会計ソフトウェア、たとえば図14に示した端末200内の財務諸表出力部12と同様に、読み込んだ仕訳データを勘定科目ごとに集計して行う。
ブロック基礎データ読込部16は、図8のブロック基礎データ読込部1に相当する手段であり、DB63に格納されたブロック基礎データを読み込む手段である。
分析データ算出部17は、分別マスタを参照して、ブロック基礎データ読込部16が読み込んだブロック基礎データを5つのブロックに分別し、ブロックごとに「資金の増加原因となる勘定科目の合計額」と「資金の減少原因となる勘定科目の合計額」の差額を算出し、さらに図4に示した計算式に基づき、分析データを算出してDB64に格納する手段である。
ここで、分別マスタとは、損益計算書と貸借対照表を構成する勘定科目のそれぞれが、資金の増加原因または減少原因のいずれであるかを特定し、かつ、前述の5つのブロック(A1ブロック、A2ブロック、A3ブロック、Bブロック、Cブロック)のいずれのブロックに属するかを特定するための手段であり、具体的には、図19に示すように、ブロックごとに、「資金の減少原因となる勘定科目」(左欄)と「資金の増加原因となる勘定科目」(右欄)の組み合わせに関する情報のテーブルとしてMFに記憶されている。ユーザは、本装置10b内の図示しない手段を用いて、この分別マスタの内容を適宜、追加、変更、削除することができ、たとえば、新たな勘定科目が生じたときに、その勘定科目を所定のブロックの所定の欄に追加することができる。
分析データ判定部18は、DB64に格納された分析データを読み込み、後述する所定の判定方法に基づいて分析データを判定し、その判定結果(判定内容)を出力、たとえば、ディスプレイ8に表示したり、図示しないプリンタ装置に印字などする手段である。
以下、本装置10bが、仕訳データを取得してから分析データの判定結果を出力するまでの動作について説明する。
図20は、本プログラムが起動したときにディスプレイ8に表示される初期画面P1の例を示す図である。ユーザは、画面P1上の各ボタンB11〜B13を選択することで、後述の本プログラムの各処理を実行させることができる。
先ず、仕訳データの取得(図13のT1)について説明する。
仕訳データ取得部13は、画面P1上のボタンB11が選択されたことを受付けると、端末200内のDB61に格納された仕訳データを読み込んで、DB62に格納する。
なお、DB61からの仕訳データの読み込みは、DB62にすでに格納されている仕訳データ(たとえば、以前に取得した前期までの仕訳データなど)を確認した上で行うようにする。この確認は、たとえば、仕訳データ取得部13が、ボタンB11が選択された際に自動的に行うようにしてもよいし、あるいは、ユーザが指定した期間の仕訳データを取得するようにしてもよい。
図21は、DB62に格納された仕訳データを示す図であり、仕訳データが取引ごとに、日付、摘要、勘定科目、金額、修正後の金額、修正理由・備考が関連付けて格納されていることを示している。なお、(a)は修正前の仕訳データ、(b)は修正後の仕訳データを示している。
次に、修正データの取得(図13のT2)について説明する。
修正データ取得部14は、画面P1上のボタンB12が選択されたことを受付けると、ディスプレイ8に、図22(a)に示す修正データ選択画面P51を表示する。ユーザは、修正を希望する仕訳データを検索するために、画面P51内で修正対象の勘定科目を選択する。
修正データ取得部14は、画面P51で選択された勘定科目を受付けると、DB62に格納された仕訳データの中から、受付けた勘定科目に該当する取引を検索して、検索結果を掲載した修正データ入力画面P52をディプレイ8に表示する。
図22(b)は、ユーザが、勘定科目「土地」の金額の修正をしようとしており、過去に1件の取引が存在していることを示している。
画面P52には、DB62内に、画面P51で受付けた勘定科目と関連付けて格納されている日付、摘要、金額が表示される。ユーザは、画面P52を閲覧して修正後の金額を「修正後」欄に、また、修正理由を「修正理由・備考」にそれぞれキーボード8から入力する。図22(b)は、土地を時価評価したことで、取引当初40,000千円であった金額を、30,000千円に修正していることを示している。
修正データ取得部14は、画面P52に入力された修正データ(「修正後」欄と「修正理由・備考」欄に入力された情報)を受付けて、図21(b)に示すように、DB62の修正前の仕訳データと関連付けて格納する。
また、修正データ取得部14は、修正前の金額と修正後の金額の差額を算出し、評価損益としてDB62に格納する。図22の例であれば、土地の評価損10,000千円(30,000千円−40,000千円)をDB62に格納する。
なお、DB62に格納する評価損益に関する仕訳データの「日付」欄には、修正データ取得日ではなく、修正の対象である仕訳データの「日付」欄の日付を格納する。図21(b)は、評価損の仕訳データの「日付」欄には、土地の取得日「平成12年8月1日」が格納されていることを示している。このように評価損益の「日付」欄を取り扱うのは、修正の原因が、今期の事業活動の成果に起因するものではなく(A2,A3ブロックには配置されない)、前期迄の事業活動の成果に起因するものだからである(A1ブロックに配置される)。
ここで、修正データの取得方法について別の例を図23乃至27に示す。
図23は、ユーザが修正を希望する勘定科目の取引が、複数件存在した場合の修正データ入力画面P52aの例を示している。ユーザは、画面P52aに表示された取引の中から、修正を希望する取引についてのみ、修正データを入力する。修正データ取得部14は、画面P52aに入力された修正データを受付けて、対応する仕訳データと関連付けてDB62に格納する。
図24乃至26は、修正データ取得部14が、キーボード8から入力された修正データを受付けるのに代えて、本装置10bと通信ネットワークを介して接続したサーバから取得するようにしたものである。
図24は、本装置の別の実施の形態を示すブロック図であり、本装置10bは図示しない通信ネットワークを介してサーバ100と接続している。サーバ100内の評価DB内には、本装置が取得する修正データそのもの、あるいは修正データを算出するための基礎となるデータが格納されている。評価DBに格納されているデータの例としては、土地の路線価や株価などに関するデータがある。修正データ取得部14xは、たとえば、定期的にDB62から修正候補の仕訳データを検索し、サーバ100に接続して修正データを取得する。
図25は、修正データ入力画面の別の例を示す図であり、図22に示した例と同様、「土地」の修正額を取得する場合である。修正データ取得部14xは、図25(a)に示す画面P52bの「実行」ボタンが選択されたことを受付けると、DB62に格納された摘要欄の所在地に関する情報、たとえば住所(○○4丁目)をサーバ100に送信する。サーバ100は、本装置10bから受信した所在地に関する情報を検索キーとして評価DBに格納された路線価を検索し、検索結果を本装置10bに送信する。修正データ取得部14xは、サーバ100から受信した路線価と、先に検索しておいた摘要の土地の面積に関する情報(○坪)から土地の評価額30,000千円を算出(たとえば、路線価×面積)し、修正額として図25(b)に示す画面P52bに表示する。また、修正データ取得部14xは、画面P52bの「OK」ボタンが選択されたことを受付けると、算出結果を修正後の金額として対応する仕訳データと関連付けてDB62に格納する。
その他、「有価証券」である株価の修正データの取得であれば、たとえば、修正データ取得部14xは、DB62から検索した証券コードなどをサーバ100に送信し、サーバから受信した株価(単価)情報に基づき、摘要欄に格納されている株式数などから株価を算出して修正データとする。なお、証券コードは、たとえば、仕訳データ取得部13が端末200から取得した仕訳データをDB62に格納する際に、図示しない証券コードの一覧表を検索して、取得した仕訳データと共にDB62に格納しておく。
また、勘定科目「売掛金」について、回収の可能性に応じて金額の修正をする場合に、修正データ取得部14xが、債務者である取引先企業の証券コードなどをサーバ100に送信し、当該取引先企業の株価の推移などから回収の可能性を判断して修正額を算出するようにしてもよい。
また、修正データ取得部14xは、サーバ100にアクセスすることなく、たとえば「売掛金」と関連付けて格納されている日付(取引日)や摘要欄の「受取期限日」からの経過期間に応じて修正額を算出、たとえば、経過期間が6ヶ月以上12ヶ月未満であれば5割減額、12ヶ月以上であれば9割減額など、と算出するようにしてもよい。
図26は、修正データ入力画面のさらに別の例を示す図であり、複数件の取引が存在する場合に、ユーザが修正を希望する取引を選択することができるようにしたものである。(a)は3件の取引のうち2件が選択され、(b)は選択された2件の修正額が表示されていることを示す(選択されなかった取引については、DB62に格納されていた金額がそのまま修正後の金額として表示されている)。
図27は、修正データ入力画面のさらに別の例を示す図であり、ユーザに修正額の参考額を提示して、修正額の算出を支援するようにしたものである。修正データ取得部14xは、(a)に示す画面P52dの「実行」ボタンが選択されたことを受付けると、前述の方法により、たとえば路線価に基づく時価35,000千円を算出して、(b)に示すように評価額として表示する。ユーザは、(b)の画面P52dに表示された評価額を参照して修正額30,000千円を入力し、「OK」ボタンを選択する。修正データ取得部14xは、「OK」ボタンが選択されたことを受付けると、ユーザが入力した修正額30,000千円を修正データとしてDB62に格納する。
次に、ブロック基礎データの算出(図13のT3)について説明する。
ブロック基礎データ算出部15は、画面P1上のボタンB13が選択されたことを受付けると、DB62に格納された仕訳データを読み込んで、ブロック基礎データを算出、つまり仕訳データを、損益計算書と貸借対照表を構成する勘定科目ごとに集計する。集計した結果は、ブロック基礎データとしてDB63に格納する。ブロック基礎データを算出する際、仕訳データを単に勘定科目ごとに集計するのではなく、仕訳データに含まれる「日付」を基に、「当期」と「前期以前」とに分けて集計する。
なお、ブロック基礎データを算出する際、修正された仕訳データについては、修正後の金額を用いる。つまり図21(b)に示した例であれば、平成12年8月1日の取引にかかる「土地」の金額は、取得時の40,000千円ではなく、修正後の30,000千円である。
図28は、DB63に格納されたブロック基礎データを説明するための図であり、(a)〜(c)は修正貸借対照表データ、(d)は損益計算書データであり、貸借対照表と損益計算書を構成する勘定科目ごとに集計された金額が格納されていることを示す。図28の(a)は「資産の部」、(b)は「負債の部」、(c)は「資本の部」に対応する。また、(a)と(b)に示すように、資産と負債については、各勘定科目について、「前期迄」と「今期」に分けて集計した金額と、その合計額とを格納する。従来から用いられている貸借対照表に表示される金額は、「合計」欄に格納された金額である。「前期迄」と「今期」の振り分けは、DB62に格納された仕訳データの「日付」欄を参照して行う。たとえば、判定対象年が「平成15年」であれば、「日付」欄が平成15年の仕訳データと、平成14年以前の仕訳データを別々に集計する。
なお、DB63内には、ブロック基礎データを会計期間ごとに、つまり、会計期間ごとに図28の(a)〜(d)に示したデータを格納するようにしてもよい。
次に、分析データの算出(図13のT4)について説明する。
分析データ算出部17は、ブロック基礎データ読込部16によるブロック基礎データの読み込みが完了すると、分別マスタを参照して、ブロック基礎データ読込部16が読み込んだブロック基礎データを各ブロック(A1,A2,A3,B,C)に分別し、ブロックごとに、「資金の増加原因となる勘定科目の合計額」と「資金の減少原因となる勘定科目の合計額」の差額を算出する。分析データ算出部17が算出するブロックごとの差額は、分析データの一部であり、図4に示した(1)(2)(3)(6)(8)に相当する金額である。分析データ算出部17は、さらに、図4に示した計算式に基づき、残りの分析データ、つまり図4に示した(4)(5)(7)(9)(10)(11)に相当する金額を算出する。
なお、以下の説明においては、分析データ(1)〜(11)をそれぞれ符号M1〜M11で示し、たとえば、M1は、基礎資本キャッシュ・フロー、つまり、A1ブロックに係る差額(=「資金の増加原因となる勘定科目の合計額」と「資金の減少原因となる勘定科目の合計額」の差額)を示す。
図5に示した例であれば、M1〜M11は以下のとおりである。
M1 = 44,300千円 M2 = 37,100千円
M3 =−75,000千円 M4 =−37,900千円
M5 = 6,400千円 M6 =−19,900千円
M7 =−13,500千円 M8 = 63,500千円
M9 = 50,000千円 M10= 45,000千円
M11= 5,000千円
分析データ算出部17は、算出した分析データをDB64に格納すると共に、ディスプレイ8に表示する。
図29はDB64に格納された分析データの例を示す図であり、(a)は分析データ算出前の状態、(b)は算出された分析データが格納された時点の状態、(c)は後述する判定結果が格納された時点の状態、をそれぞれ示す。なお、本実施の形態では、後述するように、資金配分バランスの是非の判定に、BブロックとCブロックの各ブロックの左欄の合計額を用いるため、BブロックとCブロックの左欄の合計額(それぞれM61,M81とする)も分析データとしてDB64に格納する。
また、図30はディスプレイ8に表示された分析データの表示画面の例である。ユーザが画面P6の「分析表出力」ボタンを選択すると、図示しない手段により、キャッシュ・フロー分析表(図5に示したキャッシュ・フロー分析表のうち「コメント」「総評」欄の無いもの)をディスプレイ8に表示する。また、ユーザが画面P6の「判定」ボタンを選択すると、後述の分析データ判定部18による分析データの判定処理が実行される。
次に、分析データの判定(図13のT5)について説明する。
分析データの判定は、「資金創出能力」と「資金配分バランス」の2面から行う。なお判定は、基礎資本キャッシュ・フロー(M1)、事業資金キャッシュ・フロー(M4)、経営基本活動資金(M5)を、所定の判定基準値(必要基礎資本、必要事業資金、必要経営基本活動資金)と比較して行う。
以下、分析データの判定について、図5に示したキャッシュ・フロー分析表を用いて説明する。なお、説明の便宜上、以下の前提条件を設定する。
<前提条件>
当企業(以下、「甲社」という)の年間借入金返済額(元本)は、今期は23,000千円、翌期は20,000千円と予想されている。
今期の当初3ヶ月間の必要固定費(一般管理費)は、25,000千円である。翌期の当初3ヶ月の必要固定費については、節減に努める計画で22,000千円を予定している。
設備計画として、今期5,000千円、翌期8,000千円の投資が必要である。設備などの割賦残金やその他の特別支出は無い。
甲社は、余裕資金として最低でも20,000千円を保有しておきたいと考えている。
分析データ判定部18は、図30に示した画面P6の「判定」ボタンが選択されたことを受付けると、図31に示す判定基準値入力画面P7をディスプレイ8に表示する。画面P7には、以下の12の情報を入力することができるように構成されている。
今期の年間借入金返済額(Q1)
今期の当初3ヶ月の必要固定費(Q2)
今期の設備計画(Q3)
今期の設備等固定資産割賦支払額(Q4)
今期の特別支出額(Q5)
今後のための余裕資金(Q6)
翌期の年間借入金返済額(R1)
翌期の当初3ヶ月の必要固定費(R2)
翌期の設備計画(R3)
翌期の設備等固定資産割賦支払額(R4)
翌期の特別支出額(R5)
今後のための余裕資金(R6)
ユーザ(甲社の経理担当者など)は、画面P7に情報(Q1,Q2,・・・,R5,R6)を入力して「OK」ボタンを選択する。分析データ判定部18は、画面P7の「OK」ボタンが選択されたことを受付けると、画面P7に入力された情報を取得し(読取り)、判定基準値(必要基礎資本と必要事業資金)を算出した上で、分析データの判定を行う。
なお、画面P7は、判定対象年を選択することができる構成にしてもよい。図31は、ユーザが判定対象年として平成15年を選択していることを示している。分析データ判定部18は、ユーザから受付けた判定対象年「平成15年」を検索キーとしてDB64に格納された分析データを検索し、その年の分析データに対する判定処理を行う。この構成によれば、ユーザは、過去の分析データの判定結果をいつでも閲覧することができる。
また、たとえば、複数年の判定結果を比較表示するなど、判定結果の経時的変化を出力する手段を本装置に備える構成としてもよい。
先ず、資金創出能力の判定について説明する。
これまで説明したように、A1ブロックは、前期迄(創業から前期まで)に創出した基礎資本キャッシュ・フロー(M1)を算出するためのものである。また、A2ブロックとA3ブロックは、今期の事業活動により創出した事業資金キャッシュ・フロー(M4)を算出するためのものである。
ここで、たとえば平成15年を今期とした場合、基礎資本キャッシュ・フロー(M1)は、平成14年迄に創出した資金量を示す。したがって、平成15年の必要基礎資本(=Q1+Q2+Q3+Q4+Q5+Q6)は、基礎資本キャッシュ・フロー(M1)の範囲内であること、つまり、
(判定式1) M1≧Q1+Q2+Q3+Q4+Q5+Q6
の関係を満たすことが望ましい。
また、事業資金キャッシュ・フロー(M4)は、平成15年に創出した資金量を示す。したがって、平成16年の必要事業資金(=R1+R2+R3+R4+R5+R6)は、事業資金キャッシュ・フロー(M4)の範囲内であること、つまり、
(判定式2) M4≧R1+R2+R3+R4+R5+R6
の関係を満たすことが望ましい。
ここで、事業資金キャッシュ・フロー(M4)の期待値について説明する。
事業資金キャッシュ・フロー(M4)の期待値とは、先に説明した判定式1の関係が満たされない(特に、M1が大幅に不足している)場合に、その不足分(=必要基礎資本−基礎資本キャッシュ・フロー)を今期で埋めるとすれば今期に創出すべきだった資金量のことである。この事業資金キャッシュ・フローの期待値は、たとえば、資金創出能力に問題がある企業などの再生をするための条件といえる。
すでに説明したように、前期迄に創出した資金量である基礎資本キャッシュ・フロー(M1)と、今期に創出した資金量である事業資金キャッシュ・フロー(M4)の合計が経営基本活動資金(M5)である。つまり、M1,M4,M5の間には、
M5=M1+M4
の関係がある。そこで、事業資金キャッシュ・フロー(M4)の期待値は、先ず経営基本活動資金としていくらの資金量が必要かを算定した上で、算定した資金量から、基礎資本キャッシュ・フロー(M1)を減額して算定する。
ここで、経営基本活動資金として必要な資金量、つまり、企業が翌期以降も永続的に存続できることを保証するだけの資金量は、
・今期に「Bブロック」「Cブロック」に流れる資金
・翌期に向かっての資金(翌期へ繰り越す「A1ブロック」に流れる資金)
の合計である。
今期に「Bブロック」「Cブロック」に流れる資金は、
・今期の年間借入金返済額(Q1)
・今期の設備計画(Q3)
・今後のための余裕資金(Q6)
の合計である。
一方、翌期に向かっての資金は、
・翌期の年間借入金返済額(R1)
・翌期の当初3ヶ月の必要固定費(R2)
・翌期の設備計画(R3)
・翌期の設備等固定資産割賦支払金額(R4)
の合計である。
したがって、経営基本活動資金として必要な資金量は、
Q1+Q3+Q6+R1+R2+R3+R4
で算定できる。
以上より、事業資金キャッシュ・フロー(M4)の期待値は、
M4の期待値=(Q1+Q3+Q6+R1+R2+R3+R4)−M1
で算定することができる。
基礎資本キャッシュ・フロー(M1)が必要基礎資本に満たない企業は、算定されたM4の期待値に相当する資金量を今期に創出すべきであり、実際に創出した資金量(M4)が、算定されたM4の期待値に満たない場合、その不足分を埋めるための施策、つまり、A2ブロックとA3ブロックで創出する資金量を増加させるための施策を早急に実施しなければならない。また、その不足分が大きいものであれば、A2ブロックとA3ブロックで創出する資金量を増加する一方で、BブロックとCブロックへの資金配分の見直し、たとえば設備計画の保留や中止、あるいは遊休資産の売却などを検討しなければならない。
次に、資金配分バランスの判定について説明する。
前述したように、企業は創出した資金量の範囲内、つまり経営基本活動資金(M5)で投資活動を行うことが望ましい姿である。ここで、Bブロックの左欄は設備投資活動に配分した資金量を示す。また、Cブロックの左欄は財務等活動に配分した資金量を示す。したがって、設備投資活動に必要な資金量(M61)と財務等活動に配分した資金量(M81)の合計額である必要経営基本活動資金(=M61+M81)は、企業が創出した資金量(M5)の範囲内であること、つまり、
(判定式3) M5≧M61+M81
の関係を満たすことが望ましい。なお、判定式3の関係を満たさない場合は、外部からの借入金で、その不足分(=必要経営基本活動資金−経営基本活動資金)を補っていることになる。
図32は、MFに格納された判定マスタの内容を示す図である。判定マスタとは、「判定式1,2,3の判定結果の組み合わせ」と「判定内容」との組み合わせに関する情報のテーブルである。図中、「○」は判定式の関係を満たすことを示し、「×」は判定式の関係を満たさないことを示す。たとえば、ケース4は、判定式1の関係は満たすが、判定式2,3の関係は満たしていないケースであることを示している。なお、ケース7は、判定式1,2の関係を満たしていない場合には、判定式3の結果如何に関わらず、同一の判定内容とすることを示している。
分析データ判定部18は、図31の画面P7に入力されたQ1〜Q6をもとに今期の必要基礎資本を算定して、DB64に格納された基礎資本キャッシュ・フロー(M1)と比較をする(判定式1)。同様に、画面P7に入力されたR1〜R6をもとに翌期の必要事業資金を算定して、DB64に格納された事業資金キャッシュ・フロー(M4)と比較をする(判定式2)。
次に、分析データ判定部18は、DB64から、経営基本活動資金(M5)と、Bブロックの左欄の合計額(M61)と、Cブロックの左欄の合計額(M81)を読み込み、M5と「M61とM81の和」とを比較する(判定式3)。
分析データ判定部18は、判定式1,2,3の演算を終えたのち、判定マスタを参照して、判定結果に対応する判定内容を検索してディスプレイ8に表示する。
甲社の場合、今期の必要基礎資本が73,000千円(=Q1+Q2+Q3+Q4+Q5+Q6=23,000千円+25,000千円+5,000千円+0千円+0千円+20,000千円)であるのに対して、基礎資本キャッシュ・フロー(M1)は44,300千円であり、判定式1の関係を満たさない。
また、翌期の必要事業資金が70,000千円(=R1+R2+R3+R4+R5+R6=20,000千円+22,000千円+8,000千円+0千円+0千円+20、000千円)であるのに対して、事業資金キャッシュ・フロー(M4)は−37,900千円であり、判定式2の関係も満たさない。
さらに、必要経営基本活動資金が229,200千円(=M61+M81=176,900千円+52,300千円)であるのに対して、経営基本活動資金(M5)は6,400千円であり、判定式3の関係も満たさない。
したがって、分析データ判定部18は、図32に示した判定マスタを参照して、上記判定結果からケース7に対応する判定内容を検索して、図33に示すような判定結果出力画面をディスプレイ8に表示する。
なお、資金創出能力に問題がある場合、企業が存続するために、早急に資金を創出する必要がある。資金を創出するには、いわば事業活動における組織力の成果であるA2ブロックと、対外的な関係の成果であるA3ブロックの内容を見直すことはもとより、保有資産を売却するなどして現金化する必要がある。A2ブロックの内容の見直しには、自社製品の市場性・将来性の見直しや新製品の開発などがある。A3ブロックの内容の見直しには、売上債権の早期回収や、支払債務の支払条件の改善などがある。
そこで、分析データ判定部18は、資金創出能力に問題があると判定した場合には、資金配分バランスを是正して、売上債権と支払債務のバランスを改善すべき旨を判定結果として出力するようにしてもよい。
また、資金配分バランスに問題がある場合、債務圧縮のために保有資産の売却が必要となる。そこで、分析データ判定部18は、資金配分バランスに問題がある、つまり、判定式3の関係を満たさないと判定した場合、DB62を参照して、不足する資金量(=「M61+M81」−M5)に応じた売却候補の資産を検索して、判定結果と共に画面P8に表示するようにしてもよい。その際、企業の事業活動と直接関係の無いCブロックの資産をBブロックの資産に優先して表示するとよい。また、資産価値の大きい資産、つまり仕訳データの金額の大きい資産を優先して表示するとよい。
このように、不足する資金量に応じた売却候補の資産を表示すれば、ユーザは、どの資産を売却すれば、資金配分バランスを改善することができるか判断をすることができる。
以上説明した実施の形態によれば、仕訳データから算出した分析データを用いて、従来の決算書からは読取ることができない、資金創出能力の有無や、資金配分バランスの是非を判定することができる。よって、本プログラムを活用することで、企業の財務面での経営課題を的確に把握することができる。特に、再生中の企業であれば、資金創出能力の有無や資金配分バランスの是非の判定結果から、再生の可能性の有無や、再生に必要な施策を把握することができる。
なお、以上説明した実施の形態では、資金創出能力の判定は、キャッシュ・フロー(M1,M4,M5)と判定基準値との大小比較をする、つまり、図32に示した判定マスタは、各キャッシュ・フローが判定基準値以上であれば「○」としている。これに代えて、判定基準値に対する割合で判定、たとえば、キャッシュ・フローが判定基準値の8割以上であれば「○」とするようにしてもよい。
また、判定基準値に対するキャッシュ・フローの実績値の割合に応じたランク付けをして判定結果を出力するようにしてもよい。図34は、判定マスタの別の例であり、ここでは、判定基準値に対する実績値の割合に応じて、判定結果を「Aランク」から「Fランク」の6段階に分けて、それぞれのランクに判定内容が対応付けられていることを示している。
なお、ランク付けをして資金創出能力の有無を判定する場合、判定結果として、単に、M1とM4のランクとそのランクに対応する判定内容を出力するものでもよいし、あるいは、M1とM4のランクの組み合わせに応じた判定内容を出力する(この場合、判定マスタにはランクの組み合わせに応じた判定内容を登録しておく)ようにしてもよい。M1とM4のランクの組み合わせに応じた判定内容を出力する場合、キャッシュ・フローごとに重み付けをして、たとえば、M4をM1より重要視した判定をするようにしてもよい。
甲社の場合、必要基礎資本が73,000千円であるのに対して実績値(M1)は44,300千円であり、(44,300/73,000)×100≒61%であるから、M1の判定結果は「Cランク」となる。
また、必要事業資金が70,000千円であるのに対して実績値(M4)は−37,900千円とマイナス値である。よって、M4の判定結果は「Fランク」となる(実績値がマイナスの場合、たとえば、判定基準値に対する割合を算出するまでもなく、Fランクに位置付ける)。
したがって、M1が「Cランク」、M4が「Fランク」となる甲社の資金創出能力の判定結果としては、たとえば、M4に重み付けの設定がなされている場合には、Fランクとする。
また、以上説明した実施の形態における分析データの判定基準値を算定する情報は、一例であって、これに限定するものではない。つまり、分析データの判定基準値は、その企業の業種や業態などに依存するものである。したがって、先に説明した例では、必要固定費は当初3ヶ月を対象としているが、この対象期間は、業種などに応じて変更することができるものとし、たとえば、「卸売業」「小売業」では2ヶ月、「製造メーカ」であれば3ヶ月など、適宜設定することができる手段を備えるとよい。
さらに、以上説明した実施の形態では、本装置と端末200とは別としたものであったが、本プログラムを公知の会計ソフトウェアが動作する端末200で実行するようにしてもよい。このとき、本プログラムは公知の会計ソフトウェアのいわばアドインソフトとして機能するように構成してもよい。
本発明は、仕訳データを読み込んで決算書を作成する公知の会計ソフトウェアと連携して、財務面からの企業経営の診断、つまり資金創出能力の有無や資金配分バランスの是非を判定するツールとして適用できる。特に、再生中の企業にあっては、今後再生の可否を判断するに当たっては、従来の決算書からは読取ることができない資金創出能力と資金配分バランスの是非を判定することは極めて重要であり、本発明は再生の可否の判断ツールとしても適用できる。
本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表を作成するために利用する修正貸借対照表の例を示す説明図である。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表を作成するために利用する損益計算書の例を示す説明図である。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表の実施の形態を示す説明図である。 上記分析表に表される分析データの集計方法を示す説明図である。 上記修正貸借対照表と損益計算書を基に作成したキャッシュ・フロー分析表の例を示す説明図である。 上記分析表のA2ブロックの今期の事業活力キャッシュ・フローを算出する過程を示す説明図である。 一般的な商取引の流れを示す説明図である。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成装置の実施の形態を示すブロック図である。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成プログラムの実施の形態を示すフローチャートである。 上記装置にブロック基礎データを入力する画面の例を示す説明図である。 上記装置が分析データを表示する画面の例を示す説明図である。 従来から利用されているキャッシュ・フロー計算書の例を示す説明図である。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成プログラムの別の実施の形態を示すフローチャートである。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成装置の別の実施の形態を示すブロック図である。 公知の会計ソフトウェアが表示する画面例である。 公知の会計ソフトウェアが仕訳データを格納するデータベースの構造を示す図である。 公知の会計ソフトウェアが表示する別の画面例である。 公知の会計ソフトウェアが表示する別の画面例である。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成プログラムが参照する分別マスタの内容を示す図である。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成プログラムが表示する初期画面の例である。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成装置内の仕訳データを格納するデータベースの内容を示す図である。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成プログラムが表示する別の画面の例である。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成プログラムが表示するさらに別の画面の例である。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成装置のさらに別の実施の形態を示すブロック図である。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成プログラムが表示するさらに別の画面の例である。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成プログラムが表示するさらに別の画面の例である。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成プログラムが表示するさらに別の画面の例である。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成装置内のブロック基礎データを格納するデータベースの内容を示す図である。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成装置内の分析データを格納するデータベースの内容を示す図である。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成プログラムが表示するさらに別の画面の例である。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成プログラムが表示するさらに別の画面の例である。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成プログラムが参照する判定マスタの内容を示す図である。 本発明にかかるキャッシュ・フロー分析表作成プログラムが表示するさらに別の画面の例である。 上記判定マスタの別の例を示す図である。
符号の説明
10,10b キャッシュ・フロー分析表作成装置
13 仕訳データ取得部
14 修正データ取得部
15 ブロック基礎データ算出部
1,16 ブロック基礎データ読込部
2,17 分析データ算出部
18 分析データ判定部
3 分析データ表示部
4 コメント読込部
5 分析表出力部
DB データベース
MF マスタファイル

Claims (5)

  1. 「貸借対照表の資産の部を構成する勘定科目ごとの金額」と「貸借対照表の負債の部を構成する勘定科目ごとの金額」と「貸借対照表の資本の部を構成する勘定科目ごとの金額」と「損益計算書を構成する勘定科目ごとの金額」とが記憶されている記憶手段と、入力装置と、出力装置と、を備え、
    上記記憶手段には、上記「貸借対照表の資産の部を構成する勘定科目ごとの金額」と上記「貸借対照表の負債の部を構成する勘定科目ごとの金額」とが「前期迄」と「今期」とに分けて記憶されていて、
    前期迄に創出された資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたA1ブロックと、
    今期の事業活動で創出された資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたA2ブロックと、
    今期の売上仕入活動で創出された資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたA3ブロックと、
    設備投資活動に関する資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたBブロックと、
    財務等活動に関する資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたCブロックと、
    を含むキャッシュ・フロー分析表を作成する情報処理装置であって、
    上記記憶手段には、上記「A1ブロック」「A2ブロック」「A3ブロック」「Bブロック」「Cブロック」の5つのブロックごとに、ブロックと、このブロックに属する資金の増加原因となる勘定科目と、このブロックに属する資金の減少原因となる勘定科目と、を関連付けた分別マスタが記憶されていて、
    上記記憶手段に記憶されている、「貸借対照表の資産の部を構成する勘定科目」ごとの「前期迄の金額」と「今期の金額」と、「貸借対照表の負債の部を構成する勘定科目」ごとの「前期迄の金額」と「今期の金額」と、「貸借対照表の資本の部を構成する勘定科目」ごとの金額と、「損益計算書を構成する勘定科目」ごとの金額と、を読み込む手段と、
    上記読み込まれた勘定科目ごとの金額が上記5つのブロックのうちのいずれのブロックの資金の増加原因または減少原因に属するかを上記分別マスタを参照して特定した上で上記読み込まれた勘定科目ごとの金額を集計して、上記5つのブロックごとの「資金の増加原因となる勘定科目の合計額」と「資金の減少原因となる勘定科目の合計額」とを算出する手段と、
    上記5つのブロックごとに、上記算出された「資金の増加原因となる勘定科目の合計額」から「資金の減少原因となる勘定科目の合計額」を減額して、上記5つのブロックごとの残高を算出する手段と、
    上記算出された5つのブロックごとの残高を上記記憶手段に記憶する手段と、
    上記5つのブロックと上記算出された5つのブロックごとの残高とを含むキャッシュ・フロー分析表を作成して上記出力装置に出力する手段と、
    上記入力装置から入力された、「今期の借入金返済額」と「今期の設備計画額」とを含む「今期の事業活動に必要な金額」と、「翌期の借入金返済額」と「翌期の設備計画額」とを含む「翌期の事業活動に必要な金額」と、を取得する手段と、
    上記取得された「今期の事業活動に必要な金額」と「翌期の事業活動に必要な金額」とを上記記憶手段に記憶する手段と、
    上記記憶手段に記憶されている「A1ブロックの残高」(M1)と、「今期の事業活動に必要な金額」(Q)と、「A2ブロックの残高」(M2)と、「A3ブロックの残高」(M3)と、「翌期の事業活動に必要な金額」(R)と、の間に、
    「M1≧Q」かつ「(M2+M3)≧R」
    の関係が成立するか否かを判定する手段と、
    上記判定の結果、
    「M1≧Q」かつ「(M2+M3)≧R」
    の関係が成立するとき、資金創出能力に問題がない旨の判定結果を上記出力装置に出力する手段と、
    を有してなることを特徴とするキャッシュ・フロー分析表作成装置。
  2. 記憶手段に記憶されている「A1ブロックの残高」(M1)と、「A2ブロックの残高」(M2)と、「A3ブロックの残高」(M3)と、「Bブロックの資金の増加原因となる勘定科目の合計額」(M61)と、「Cブロックの資金の増加原因となる勘定科目の合計額」(M81)と、の間に、
    (M1+M2+M3)≧(M61+M81)
    の関係が成立するか否かを判定する手段、
    を備え、
    上記判定の結果、上記「(M1+M2+M3)≧(M61+M81)」の関係が成立するとき、資金配分バランスに問題がない旨の判定結果を出力装置に出力する、
    請求項1記載のキャッシュ・フロー分析表作成装置。
  3. コンピュータを、請求項1または2記載のキャッシュ・フロー分析表作成装置として機能させることを特徴とするキャッシュ・フロー分析表作成プログラム。
  4. 「貸借対照表の資産の部を構成する勘定科目ごとの金額」と「貸借対照表の負債の部を構成する勘定科目ごとの金額」と「貸借対照表の資本の部を構成する勘定科目ごとの金額」と「損益計算書を構成する勘定科目ごとの金額」とが記憶されている記憶手段と、入力装置と、出力装置と、を備え、
    上記記憶手段には、上記「貸借対照表の資産の部を構成する勘定科目ごとの金額」と上記「貸借対照表の負債の部を構成する勘定科目ごとの金額」とが「前期迄」と「今期」とに分けて記憶されていて、
    前期迄に創出された資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたA1ブロックと、
    今期の事業活動で創出された資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたA2ブロックと、
    今期の売上仕入活動で創出された資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたA3ブロックと、
    設備投資活動に関する資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたBブロックと、
    財務等活動に関する資金の増加原因となる勘定科目とその金額並びに減少原因となる勘定科目とその金額とが格納されたCブロックと、
    を含むキャッシュ・フロー分析表を作成する情報処理装置により実行される方法であって、
    上記記憶手段には、上記「A1ブロック」「A2ブロック」「A3ブロック」「Bブロック」「Cブロック」の5つのブロックごとに、ブロックと、このブロックに属する資金の増加原因となる勘定科目と、このブロックに属する資金の減少原因となる勘定科目と、を関連付けた分別マスタが記憶されていて、
    上記情報処理装置が、上記記憶手段に記憶されている、「貸借対照表の資産の部を構成する勘定科目」ごとの「前期迄の金額」と「今期の金額」と、「貸借対照表の負債の部を構成する勘定科目」ごとの「前期迄の金額」と「今期の金額」と、「貸借対照表の資本の部を構成する勘定科目」ごとの金額と、「損益計算書を構成する勘定科目」ごとの金額と、を読み込むステップと、
    上記情報処理装置が、上記読み込まれた勘定科目ごとの金額が上記5つのブロックのうちのいずれのブロックの資金の増加原因または減少原因に属するかを上記分別マスタを参照して特定した上で上記読み込まれた勘定科目ごとの金額を集計して、上記5つのブロックごとの「資金の増加原因となる勘定科目の合計額」と「資金の減少原因となる勘定科目の合計額」とを算出するステップと、
    上記情報処理装置が、上記5つのブロックごとに、上記算出された「資金の増加原因となる勘定科目の合計額」から「資金の減少原因となる勘定科目の合計額」を減額して、上記5つのブロックごとの残高を算出するステップと、
    上記情報処理装置が、上記算出された5つのブロックごとの残高を上記記憶手段に記憶するステップと、
    上記情報処理装置が、上記5つのブロックと上記算出された5つのブロックごとの残高とを含むキャッシュ・フロー分析表を作成して上記出力装置に出力するステップと、
    上記情報処理装置が、上記入力装置から入力された、「今期の借入金返済額」と「今期の設備計画額」とを含む「今期の事業活動に必要な金額」と、「翌期の借入金返済額」と「翌期の設備計画額」とを含む「翌期の事業活動に必要な金額」と、を取得するステップと、
    上記情報処理装置が、上記取得された「今期の事業活動に必要な金額」と「翌期の事業活動に必要な金額」とを上記記憶手段に記憶するステップと、
    上記情報処理装置が、上記記憶手段に記憶されている「A1ブロックの残高」(M1)と、「今期の事業活動に必要な金額」(Q)と、「A2ブロックの残高」(M2)と、「A3ブロックの残高」(M3)と、「翌期の事業活動に必要な金額」(R)と、の間に、
    「M1≧Q」かつ「(M2+M3)≧R」
    の関係が成立するか否かを判定するステップと、
    上記判定の結果、
    「M1≧Q」かつ「(M2+M3)≧R」
    の関係が成立するとき、上記情報処理装置が、資金創出能力に問題がない旨の判定結果を上記出力装置に出力するステップと、
    を有してなることを特徴とするキャッシュ・フロー分析表作成方法。
  5. 情報処理装置が、記憶手段に記憶されている「A1ブロックの残高」(M1)と、「A2ブロックの残高」(M2)と、「A3ブロックの残高」(M3)と、「Bブロックの資金の増加原因となる勘定科目の合計額」(M61)と、「Cブロックの資金の増加原因となる勘定科目の合計額」(M81)と、の間に、
    (M1+M2+M3)≧(M61+M81)
    の関係が成立するか否かを判定するステップと、
    上記判定の結果、上記「(M1+M2+M3)≧(M61+M81)」の関係が成立するとき、上記情報処理装置が、資金配分バランスに問題がない旨の判定結果を出力装置に出力するステップと、
    を有する請求項4記載のキャッシュ・フロー分析表作成方法。
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