JP4071062B2 - 焼酎蒸留粕からのエタノール抽出残さ、エタノール抽出物及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、腫瘍、例えば、癌、特に胃癌の予防又は治療を可能にする医薬組成物及び健康食品などの有効成分として使用することができる焼酎蒸留粕からのエタノール抽出残さ及びエタノール抽出物及びそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
焼酎は、世界に誇れる日本国独自の蒸留酒であり、蒸留の方式が連続式であるものを焼酎甲類(ホワイトリカー)、単式であるものを焼酎乙類(本格焼酎)と呼んで区分している。両者とも、焼酎を製造するとき、蒸留終了時に蒸留釜の底部に残さが残り、これを焼酎蒸留粕(焼酎粕や蒸留廃液ともいう)と言い、本格焼酎の場合、クエン酸、蛋白質、脂肪、繊維分、微量の栄養素等を含んでいる。また、焼酎蒸留粕は、不揮発成分が濃縮されており、濾過性が非常に悪いことが特徴である(古澤淑、酒の科学、朝倉書店、1995年、60頁)。
現在、焼酎蒸留粕の処理処分が問題となっている。ロンドン条約(廃棄物投棄による海洋汚染防止に関する条約)により、2001年から産業廃棄物の海洋投入が禁止され、これまで、一般的に行われてきた焼酎蒸留粕の海洋投入ができなくなりつつある。今後、海洋投入に替わる低コストの処理処分方法が見出せない場合、例えば九州全土だけでも、三百社を超える焼酎メーカーの大半を占める小規模メーカーが、廃業に追い込まれる懸念がある。
【0003】
以上のことから、焼酎業界では、焼酎蒸留粕の有効利用、処理法の開発が切望されており、例えば、特開平8−56584号公報には、焼酎蒸留粕から得られる飼料の製造方法が示されている。また、特開平10−130121号公報には、焼酎蒸留粕の発酵生成物からなる化粧料が示されている。特開2000−198983号公報には、酒類廃棄物を用いた多孔質炭化材の製造方法が示されている。この他、多数の焼酎蒸留粕処理に関する技術開発が、本発明の以前よりなされている。しかし、これまで焼酎蒸留粕の癌予防、治療に関わる研究は皆無であり、これを利用した医薬組成物や健康食品については、従来、全く知られていなかった。
本発明者らは、このような状況下において、焼酎蒸留粕が癌予防・治療に有効であることを見出し、焼酎蒸留粕を有効成分とする腫瘍の予防及び治療の為の医薬組成物及び健康食品について既に特許出願している(特許出願2001-115081号)。しかしながら、ここで有効成分として用いる焼酎蒸留粕は、独自の酵母の香りや酸味が強く、そのままでは飲み難いとの問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、腫瘍の予防及び治療の為の医薬組成物や健康食品の有効成分として有用な焼酎蒸留粕として、一層利用しやすい形態のものを提供することにある。
本発明の第2の目的は、上記一層利用しやすい形態の有効成分を効率的に製造できる方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、上記一層利用しやすい形態の有効成分を腫瘍の予防及び治療の為の医薬組成物や健康食品の有効成分として使用することを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水分を含有する焼酎蒸留粕から液状物を分離し、これを乾燥して固形分を得た後、得られた固形分をエタノール抽出して得られるその残さ又は抽出物が、医薬組成物又は健康食品の有効成分として一層利用しやすい形態であることを見出し、これによれば上記課題を解決できるとの知見によりなされたものである。
すなわち、本発明は、焼酎蒸留粕から分離した液状物を乾燥して得た固形分のエタノール抽出残さを提供する。
本発明は、又、水分を含有する焼酎蒸留粕を遠心分離し、その上澄液を凍結乾燥して固形分を得た後、得られた固形分をエタノール抽出してその残さを採取することを特徴とする上記エタノール抽出残さの製造方法を提供する。
本発明は、又、焼酎蒸留粕から分離した液状物を乾燥して得た固形分のエタノール抽出物を提供する。
本発明は、又、水分を含有する焼酎蒸留粕を遠心分離し、その上澄液を凍結乾燥して固形分を得た後、得られた固形分をエタノール抽出してそのエタノール抽出物を採取することを特徴とする上記エタノール抽出物の製造方法を提供する。
本発明は、又、腫瘍の予防又は治療用医薬組成物を製造するための上記エタノール抽出残さ又はエタノール抽出物の使用を提供する。
本発明は、又、医薬組成物を製造するための上記エタノール抽出残さ又はエタノール抽出物の使用を提供する。
本発明は、又、健康食品を製造するための上記エタノール抽出残さ又はエタノール抽出物の使用を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明でいう焼酎蒸留粕とは、特に限定するものではなく、例えば芋焼酎蒸留粕、米焼酎蒸留粕、甘藷焼酎蒸留粕や麦焼酎蒸留粕というような通常のいずれの焼酎蒸留粕も使用することができる。焼酎の蒸留粕は、例えば図1に示すような焼酎の製造工程より容易に得られるものである。
具体的には、原料として、さつま芋、甘藷、麦(大麦、小麦など)、そば、米などの穀物類を蒸して砕き、これに別途調製した1次もろみを加えて2次もろみを調製し、これを常温などで醗酵させた後、蒸留し、留出分を製品である焼酎として採取し、蒸留釜の底部に溜まったものが蒸留粕、つまり焼酎蒸留粕である。尚、1次もろみは、麹に焼酎酵母と水を添加して調製した後、常温などで醗酵させたものである。
【0007】
従って、蒸留粕、つまり焼酎蒸留粕には、エタノール以外の原料に起因するさつま芋などの穀物類から由来する繊維質、たんぱく質、灰分、脂肪、一部醗酵せずに残る糖分、醗酵生成物、麹菌や酵母菌の菌体やそれらが生成したクエン酸を主体とする有機酸、アミノ酸、ビタミンなどや、醗酵中や加熱中に変性や重合又は開裂して生成した各種成分が含まれている。例えば、甘藷焼酎蒸留粕には、乾燥固形分が約5.45重量%程度含まれ、これらは、全糖約1.46重量%、直糖約0.19重量%、粗脂肪約0.21重量%、粗蛋白約1.15重量%、粗繊維約0.42重量%、有機物約5.00重量%、アルコール約0.2重量%、粗灰分約0.45重量%、Na約140ppm、K約2250ppm、Ca約220ppm、Mg約120ppm、Fe約10ppmなどが含まれており、TOCは約206000〜約237000、TNは約1700〜約23000、BODは約48900、CODは約30100である。又、その甘藷焼酎蒸留粕の遠心分離による上澄液には、乾燥固形分が約2.43〜約2.74重量%含まれ、これらは、全糖約0.77重量%、直糖約1.23重量%、粗蛋白約0.44重量%、有機物約2.27重量%、アルコール約0.2重量%、粗灰分約0.35〜約0.47重量%、Na約150ppm、K約2380ppm、Ca約6.3ppm、Mg約103ppm、Fe約3.2ppmなどが含まれており、TOCは約11100〜約11700、TNは約640〜約1000、BODは約30100、CODは約17600である(“醸造物の成分” 日本醸造協会 平成11年12月発行第139頁〜第141頁第IX章“蒸留廃液成分”の項)。又、麦焼酎蒸留粕の組成は、特開平10−229825号公報の第4頁に記載されている。
【0008】
本発明では、このような焼酎蒸留粕から液状物を分離する。分離は任意の方法でよいが、遠心分離により上澄液として分離するのが好ましい。遠心分離は、常法により行うことができる。
本発明では、次で、遠心分離による上澄液を乾燥する。ここで、乾燥前に、上澄液中の固形分を完全に除去するためにろ過するのが好ましい。乾燥の方法は、通常知られるいかなる乾燥方法であって良いが、好ましくはスプレードライや凍結乾燥などの工業的に利用可能な方法が用いられる。
本発明では、次で、乾燥により得られた固形分をエタノール抽出し、その残さ(固形分)又はエタノール抽出液を採取する。ここで使用するエタノールとしては、純度の高いものが好ましく、例えば、純度95重量%以上のものが好ましく、さらに99.5重量%以上のものが好ましい。抽出温度は特に限定されないが、室温〜50℃程度であるのが好ましく、特に40℃近辺で行うのが好ましい。
【0009】
このようにして得られるエタノール抽出残さは、次で乾燥してエタノール分を出来だけ除去するのが好ましい。このようにして得られたものは、薄く黄色に着色した白色粉状形態にあり、平均粒径が5〜200μmであるのが好ましく、より好ましくは30〜150μmである。このエタノール抽出残さは、酵母の香りと酸味が弱い上に、水に容易に溶解するとの利点があり、医薬組成物や健康食品の成分として使用するのに好適である。
一方、エタノール抽出液は、酵母の香りが強いものの茶褐色の油状であり、天然油脂などの油状成分に容易に混合でき、油状成分などを含有する医薬組成物や健康食品中に容易に配合することができる。
本発明では、特にエタノール抽出残さを用いるのが好ましい。
【0010】
本発明のエタノール抽出残さ及びエタノール抽出液は、そのまま或いは滅菌などの加工処理をへて医薬組成物や健康食品に配合することにより、腫瘍などの細胞増殖性疾患の予防または治療に対して有効に働く。また従来公知の医薬組成物や健康食品に必須成分として含まれて提供されることによっても、腫瘍などの細胞増殖性疾患の予防または治療に対して有効に働く。
ここで、腫瘍とは、例えば急性白血病、慢性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、マクログロブリン血症などの造血器癌や、脳腫瘍、頭頸部癌、乳癌、肺癌、食道癌、胃癌、大腸癌、肝癌、胆嚢・胆管癌、膵癌、膵島細胞癌、腎細胞癌、副腎皮質癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸腫瘍、卵巣癌、子宮癌、絨毛癌、甲状腺癌、悪性カルチノイド腫瘍、皮膚癌、悪性黒色腫、骨肉腫、軟部組織肉腫、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、胎児性横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫などの固形腫瘍を形成する腫瘍、またはそれらに由来・関連する癌疾患である。本発明で用いるエタノール抽出残さ及びエタノール抽出液が、有効成分として働くことにより予防・治療できる腫瘍は、前記癌に限定されるものではないが、この有効成分を含む医薬組成物や健康食品が経口的に使用される場合、対象となる腫瘍疾患が、胃癌、肺線癌及ぶ悪性黒色腫であるときに予防・治療上、特に効果がある。又、有効成分としてエタノール抽出残さを用いると、対象となる腫瘍疾患が肝臓癌であるときに予防・治療上、特に効果がある。
【0011】
本発明のエタノール抽出残さ及びエタノール抽出液は、それ自体公知の薬理的に許容される担体、賦形剤、崩壊剤、矯正剤、増量剤、希釈剤、溶解補助剤などと混合し、公知の方法に従って医薬組成物とすることができる。但し、経口投与する場合、該エタノール抽出残さ及びエタノール抽出液を医薬組成物全体に対して2重量%以上、好ましくは5重量%以上、特に5〜20重量%となるように配合するのがよい。
本発明の医薬組成物は、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、丸剤、溶剤、ドリンク剤、注射剤、点滴剤、座剤などの形態に製剤化することができる。このような製剤は経口的もしくは非経口的に投与することができる。
【0012】
本発明の医薬組成物を腫瘍の予防・治療等に使用する場合の投与量は、投与対象、投与経路、症状などによっても異なるが、通常、経口的に投与する場合、成人の場合、1日の投与量が50mg/日〜500g/日となるよう、1日1〜3回程度投与するのがよい。これにより、腫瘍、特に胃癌などに対し、顕著な予防・治療効果が得られる。
また、医薬組成物が、注射剤または点滴剤として非経口的に投与されるとき、場合によっては、本発明のエタノール抽出残さ又はエタノール抽出液を適宜処理して分子集合体に含有させて投与せしめることもできる。こららを含有させる分子集合体の例としては、脂肪乳剤、高分子ミセル、アルブミンなどのタンパクとの複合体、リポソームなどが挙げられるが、安全性などの点からリポソームが最も好ましものとして挙げられる。
【0013】
例えば、該エタノール抽出残さ又はエタノール抽出液を含有するリポソーム溶液は、公知のいかなる方法によって形成してもよい。例えば薄膜法、逆相蒸発法、凍結融解法、エタノール注入法、高圧乳化法、超音波分散法、透析法、エクストルージョン法など、公知の製造方法を適宜利用することができ、更には特開平9−87168号公報に記載される方法などを利用してもよい。
このようにして得られるリポソーム溶液は、限外濾過、遠心分離、ゲル濾過等の方法によって精製してよく、また濃縮や希釈等の操作を自由に行ってもよく、注射剤や点滴剤として調製され医薬組成物として用いることができる。
注射剤や点滴剤のような形態で、本発明の医薬組成物を血中に投与する場合、一回量として該エタノール抽出残さ又はエタノール抽出液を1×10-1〜1×10-6Mの濃度で含む溶液を0.01〜100ml/kg体重、好ましくは該エタノール抽出残さ又はエタノール抽出液を5×10-2〜5×10-4Mの濃度で含む溶液を1〜50ml/kg体重で1日1〜3回程度投与するのがよい。
【0014】
本発明のエタノール抽出残さ又はエタノール抽出液は、それ自体公知の食品的に許容される食材、防腐剤、増粘剤、着色料、酸化防止剤、添加剤、調味料等の素材と混合し、公知の方法に従って健康食品とすることができる。本発明でいう健康食品とは、好ましくは従来公知の食品または健康食品に、本発明のエタノール抽出残さ又はエタノール抽出液を配合してなるものである。但し、本発明のエタノール抽出残さ又はエタノール抽出液を健康食品全体に対して2重量%以上、好ましくは5重量%以上、特に5〜10重量%となるよう配合するのがよい。
【0015】
健康食品は、通常の方法により、例えば錠剤、ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤、顆粒剤、固形剤、散剤、粉末剤、丸剤、溶剤、チュアブル剤、ドリンク剤、ドレッシング類、菓子類などの形態に製造することができる。また、これらの形態にとらわれることなく、本発明の健康食品は、広く一般の食品形態に加工・配合して提供しても良い。このような健康食品は、例えば、天ぷら、お好み焼き、たこ焼き、焼きイモ、大学イモ、加工肉、おでん、ハンバーガー、肉まん、ギョウザ、ホットドック、サンドイッチ、カレー、ハヤシライス、海苔、漬物、キムチ等の通常の食品はもちろん、お茶、コーヒー、ココア、野菜ジュース、青汁、味噌汁、スープ等の液状飲食品や、本発明のエタノール抽出残さ又はエタノール抽出液を添加・配合できるものであれば、うどん、焼きそば、そば、ラーメンなどの麺類や、パン、ビスケット、パスタ、マカロニ、加工米、加工豆、せんべい等の澱粉系食品、あるいはキャンデー、ガム、チョコレート、ケーキ、ショートクリーム、アイスクリーム、和菓子等の甘味菓子類、加工牛乳、ヨーグルト等の乳製品や醤油、ソース、食酢、ラー油、タバスコ、洋風ドレッシング、和風ドレッシング、青じそドレッシング、味噌、ニョクマム、マヨネーズ等の調味料などのいかなる飲食品にも用いることができる。
【0016】
本発明のエタノール抽出残さ又はエタノール抽出液は、各食品、飲食品の特性、目的に応じ、適当な製造工程の段階で、適宜配合すればよい。本発明の健康食品を提供する場合、かかる食品、飲食品全体に対して本発明のエタノール抽出残さ又はエタノール抽出液を2重量%以上、好ましくは10重量%以上配合して提供されるのが、癌の予防・治療の点から好ましい。
本発明の健康食品の形態は、これらの態様に限定されず、製造方法も限定されないが、しいて具体例を挙げるとすれば、本発明のエタノール抽出残さ又はエタノール抽出液を5〜30重量部(以下、部と略称する)、食用精製魚油を5〜30部、醸造酢5〜25部、果糖ぶどう糖液糖5〜15部、食塩0.5〜5部、砂糖0.2〜3部、キサンタンガム0.1〜2部、グルタミン酸ソーダ0.1〜2部、香辛料0.05〜3部、バランスとして水を20〜50部を原料として加え常法に従って混合しドレッシングとすることができる。また、本発明のエタノール抽出残さ又はエタノール抽出液を5〜150部、カカオマスを20〜60部、カカオバター20〜60部、砂糖70〜110部、牛乳1〜5部、ショートニング3〜20部を原料として加え常法に従ってチョコレートとすることができる。また、本発明のエタノール抽出残さ又はエタノール抽出液を10〜500部、小麦粉100〜600部、砂糖50〜350部、マーガリン50〜300部、全卵粉20〜100部、バニラエッセンス0.5〜8部、水70〜250部を原料として加え常法に従ってクッキーとすることができる。また本発明のエタノール抽出残さ又はエタノール抽出液0.1〜8部、ココアパウダー0.5〜8部、砂糖0.5〜8部、脱脂粉乳0.1〜3部、乳化剤0.05〜2部、食塩0.01〜0.5部、バニラフレーバー0.01〜0.5部、処理水70〜150部を原料として加え、常法に従ってココア飲料とすることができる。
【0017】
本発明における健康食品は、人体に対して無毒性であるから、その摂取量に特に制限はないが、実際に健康食品として摂取する場合には、成人の場合、1日の摂取量が1〜1000mg/kg体重/日となるよう、1日1〜3回程度摂取するのがよい。これにより、癌、特に胃癌などに対し、顕著な予防・治療効果が得られる。
【発明の効果】
本発明のエタノール抽出残さは、酵母の香りと酸味が弱い上に、水に容易に溶解するとの利点があり、医薬組成物や健康食品の成分として使用するのに好適である。又、エタノール抽出液は、酵母の香りが強いものの茶褐色の油状であり、天然油脂などの油状成分に容易に混合でき、油状成分などを含有する医薬組成物や健康食品中に容易に配合することができるとの利点がある。従って、本発明のエタノール抽出残さ及びエタノール抽出液は、医薬組成物および健康食品の有効成分として好適に用いることができ、この有効成分を配合してなる医薬組成物および健康食品は、副作用もなく、安全であり、腫瘍、特に胃癌の予防または治療に極めて有効である。
特に、エタノール抽出残さは、粉末であるため原料の保存が容易で、水に溶けやすいため、健康食品への適用に好適である。さらに、エタノール抽出残さには、焼酎粕特有の臭みや味も無いので、食品の味覚や香りを損ねることがないか若しくは少ない点でも好ましい。
【0018】
【実施例】
以下に実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
<本発明のエタノール抽出液と抽出残さの調製>
峰の露酒造株式会社より入手した米焼酎蒸留粕(減圧蒸留粕)1kgを4℃で20分間遠心分離し(回転数8000rpm)、上澄み液約900gと沈殿物約100gとに分離した。上澄み液をメンブレンフィルター(0.45μm)でろ過し、ろ液約800gを得た。このろ液を凍結乾燥して水分を除去し、固形分約40gを得た。
このようにして得た固形分40gに特級品のエタノール(純度99.5%)を800ml添加して、1時間ずつ2回温浸し(40℃)、エタノール抽出液と抽出残さとを得た。これらを減圧乾燥(40℃)してエタノールを除去し、エタノールに溶解する成分(抽出物)約23gとエタノールに溶解しない成分(抽出残さ)約17gを得た。
エタノールに溶解する成分(抽出物)は、茶褐色の油状であり、エタノールに溶解しない成分(抽出残さ)は、薄く黄色に着色した白色粉末であった。このエタノール抽出残さは、酵母の香りと酸味が弱い上に、水に容易に溶解した。
【0019】
<培養腫瘍細胞に対するin vitroでの細胞増殖抑制試験>
1−1.使用細胞・培養培地の説明
ヒト肺腺がん細胞(RERF−LC−OK)は、国立衛生試験所より購入したものを用いた。ヒト胃がん細胞(GT3TKB)およびヒト肝臓がん細胞(Hep−G2)は、理化学研究所・細胞開発銀行より購入したものを用いた。マウス由来悪性黒色腫細胞(B16−melanoma)は、大日本製薬より購入したものを用いた。培養培地としては、ヒト肺腺がん細胞(RERF−LC−OK)には、RPMI−1640(+10%FBS)を、ヒト胃がん細胞(GT3TKB)、ヒト肝臓がん細胞(Hep−G2)およびマウス由来悪性黒色腫細胞(B16−melanoma)には、DME−M(+10%FBS)を培養培地として使用し、増殖抑制試験に用いた。
【0020】
1−2.試験サンプル
上記の方法で製造したエタノール抽出物及びエタノール抽出残さ、及びその製造原料として用いた上澄み液、つまり、米焼酎蒸留粕(減圧蒸留粕)1kgを4℃で20分間遠心分離(回転数8000rpm)して得た上澄み液をメンブレンフィルター(0.45μm)でろ過して得たろ液をそれぞれ試験サンプルとして用いた。
【0021】
1−3.増殖抑制試験
増殖抑制試験は、酵素活性測定法であるWST−1 assay法により行った。テトラゾリウム塩WST−1を用いたWST−1 assay法は、細胞のWST−1代謝物による発色によって細胞増殖活性を測定する方法である。原理は、WST−1が細胞内ミトコンドリアの脱水素酵素のよい基質であり、生存能の高い細胞ほど分解されるWST−1量が多く、その結果生じるホルマザン量が生存細胞数とよく対応することに基づいている。
1−1に示した各細胞について、初期細胞数を1.0×104Cells/mlに調製した細胞懸濁液100μl/wellを、96wellマルチプレートに播種し、24時間プレインキュベーション後に、1−2で得た試験サンプルを10μl/well添加した。37℃、CO2濃度5%、湿度95%の条件下で48時間または72時間培養後、WST−1溶液を10μl/well添加した。更に3時間培養後、分光光度計(Molecular Device)を用いて、450nmの吸光度を測定した。細胞増殖抑制効果は、陰性対照としてPBS(−)を添加した場合の吸光度(AControl)および試験サンプルを添加した場合の吸光度(AMean)の比(AMean/AControl)を算出し、評価を行った。
【0022】
1−4.結果
結果を図2に示す。この結果から明らかなように、エタノール抽出物に対して、エタノール残さの方が優れた腫瘍細胞増殖抑制効果を示した。特に、エタノール残さは、胃がん細胞、肺線がん細胞及び悪性黒色腫細胞に対して焼酎粕上澄み液と同等の効果を示し、かつ肝臓がん細胞に対しては、焼酎粕上澄み液よりも優れた効果を示すことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 焼酎の製造工程を示す図である。
【図2】 本発明のエタノール抽出物及び抽出残さの種々の腫瘍細胞に対する増殖抑制効果を示す図である。
Claims (1)
- 焼酎蒸留粕から分離した液状物を乾燥して得た固形分のエタノール抽出残さ又は焼酎蒸留粕から分離した液状物を乾燥して得た固形分のエタノール抽出物を含有することを特徴とする悪性黒色腫である腫瘍の予防又は治療用医薬組成物。
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