JP4070690B2 - ブラシの製造方法 - Google Patents

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本発明は、ブラシの製造方法及びブラシに関わり、特に、歯ブラシの製造方法及び歯ブラシに関する。
歯ブラシの製造方法として、植毛孔を有する植毛基部に用毛束を挿入し、前記植毛孔から突出する前記用毛束の片端部に溶融塊を形成し、前記溶融塊を被覆材で被覆するブラシの製造方法が提案されている(例えば、下記特許文献1及び2参照)。
これらの技術により製造される歯ブラシは、被覆材と植毛基部とが強固に接着されることが要求される。しかし、これらの技術においては、図11(a)に示すように、溶融塊30を形成するときに用毛束3の構成成分が溶融して植毛基部20の上面に広がりやすいため、植毛基部と被覆材(図示せず)との接着面積が狭くなり、十分な接着強度が得られない問題があった。特に、植毛基部の面積を狭くしたり、溶融塊を接触型の熱溶融手段17で溶融させる場合には、図11(b)に示すように、溶融塊30が植毛基部からはみ出してしまう場合があった。また、歯ブラシにおいては、被覆材と用毛束に溶解度パラメータ(SP値)の差が1以上である材が組み合わされて用いられる場合があり、このような場合には溶融塊の部分と被覆材との間の接着性が期待できないため、植毛基部と被覆材との接着領域が確保できないと、これらの間の十分な接着性が得られなくなるおそれがある。
特開平9−182632号公報 米国特許第5458400号明細書
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、植毛基部と被覆材との接着性が良好なブラシの製造方法及びブラシを提供することにある。
本発明は、複数の植毛孔を有する植毛基部の該植毛孔に用毛束を挿入し、前記植毛孔から突出する前記用毛束の片端部を加熱して溶融塊を形成し、しかる後前記溶融塊を被覆材で被覆するブラシの製造方法であって、前記溶融塊を形成するときに、該溶融塊の広がり又は前記用毛束を溶融させるときに発生する飛沫の前記植毛基部への付着を規制する規制手段を該植毛基部に配しておくブラシの製造方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。
本発明によれば、植毛基部と被覆材との接着性が良好なブラシが得られる。
また、被覆部材の接着時に障害を与える様な溶融塊の広がりやはみ出しがないブラシの製造方法が得られる。特に、本発明は、植毛基部の外縁部に起立壁部が全くない場合、あるいは一部にしかない場合において植毛基部と被覆部材との接着領域を確保する上で有効である。
以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づいて説明する。
まず、本発明のブラシの製造方法の第1実施形態について説明する。
本実施形態のブラシの製造方法では、先ず、図1(a)に示すような、先端部に植毛基部20を有する歯ブラシ本体2を成形する。歯ブラシ本体2の成形には、図1(b)に示すような、歯ブラシ本体2の形態に対応したキャビティ11及びキャビティ11に通じる樹脂注入路12を有する成形金型10を用いる。そして、成形金型10を射出成形機(図示せず)にセットし、所定の射出成形圧で樹脂注入路12から該キャビティ11内に熱可塑性樹脂(図示せず)を溶融状態で射出し、冷却、固化させた後に脱型する。
図2に示すように、植毛基部20の外縁部には、起立壁部200が設けられている。起立壁部200には、被覆材4と植毛基部2との接着面積を増大させる接着面203が設けられており、被覆材4との接着強度を増大させるとともに、溶融塊30を形成する際の溶融塊30の植毛基部20の外側への流れ出しを防ぐ。
植毛基部20の底面部分の厚みt2は、大きくなる程成形性が容易で曲げ強度も大きくなるが、歯ブラシ1の操作性や実用性を考慮するとt2は1〜4mmであることが好ましく、1〜2mmであることがより好ましい。
従って起立壁部200の高さhは、前記厚みt2との関係や、溶融塊30の被覆厚み等を考慮すると、1〜4mmであることが好ましく、更に歯ブラシ1の操作性を重要視するならば1〜2mmであることがより好ましい。
植毛孔21の上側の開口周縁部210には、上方に向けて拡開するテーパー状の部分が設けられていることが好ましい。この部分のテーパーの角度αは、20〜120°、特に30〜90°であることがより好ましい。角度αを好ましい範囲に設定すると、植毛孔21への用毛束3の挿入がより容易となる。
植毛孔21どうしの間隔dは、少なくとも0.3mm以上とするのが好ましく、0.5mm以上とするのがより好ましい。植毛孔21どうしの間隔が狭すぎると、植毛孔21への用毛束3の挿入に支障を来したり、植毛基部20の強度が低下したり、植毛基部20の成形時における樹脂の流路の確保が困難になるおそれがある。
植毛孔21の断面形状は、略円形のほか、略長円形状、略楕円形状、各種三角形状及び各種矩形状等を適宜選択することができる。また、植毛孔21は、植毛基部20の先端部、中央部及び両側部にそれぞれ大きさや形の異なるものを設けることができる。
歯ブラシ本体2には、従来から歯ブラシ本体に用いられている通常の熱可塑性樹脂を特に制限なく用いることができる。該熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等が挙げられる。該熱可塑性樹脂は、単独で又は複数を適宜選択して用いることができる。
次に、図3に示すように、前記植毛孔21に前記用毛束3を挿入する。植毛孔21への用毛束3の挿入方法に特に制限はないが、切断済みの用毛を所定本数束ねて挿入する方法が好ましい。用毛束3の挿入時には、植毛孔21に対応した位置に挿入孔130を有する用毛束保持治具13を用いることが好ましい。植毛基部20の上面からの用毛束3の突出長さは、所望の大きさの溶融塊が得られるように設定する。なお、このとき、用毛束3の突出長さが短い場合は、所望の大きさの溶融塊が形成できず、後述のように溶融塊を被覆材で被覆するときに、植毛孔21と溶融塊との間から被覆樹脂の漏れが発生したり、所望の用毛束抜け強度が確保できない場合があり、用毛束3の突出長さを必要量確保することが重要である。
用毛束3を構成する個々の用毛の太さ、長さあるいは断面形状は、歯ブラシ1の機能等に応じて適宜選択することができる。また、該用毛には、従来から歯ブラシの用毛に用いられている通常の材質のものを特に制限なく用いることができる。用毛束3を構成する用毛の材質としては、例えば、ナイロン等のポリアミド、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル等が挙げられる。
特に、歯ブラシ本体2及び、後述する溶融塊の被覆材には、ポリプロピレン樹脂〔溶解度パラメーター(SP値)=8.0〕やポリエチレンテレフタレート〔溶解度パラメーター(SP値)=10.7〕、用毛束3に、ナイロン〔溶解度パラメーター(SP値)=13.6〕を用いる場合のように、植毛基部20を構成する材と用毛束3の用毛を構成する材に、溶解度パラメーターの差が1以上大きいものを組み合わせる場合(接着性に乏しい材料どうしを組み合わせる場合)に、本発明の効果が十分に奏される。
次に、図4及び図5に示すように、溶融塊を形成するときに、該溶融塊の広がり及び用毛束3を溶融させるときに発生する飛沫の植毛基部20への付着を規制するためのマスクプレート(規制手段)14を植毛基部20に配する。ここで、用毛束3を溶融させるときに発生する飛沫とは、溶融手段によって用毛束を溶融させるときに生じる、用毛の構成成分が気化したもの(当該構成成分が昇華する場合や熱分解して気化した成分を含む)をいう。特に、後述するように、溶融手段としてレーザービームを使用する場合においては、前記飛沫が発生しやすいため、マスクプレート14を用いることで、植毛基部20(起立壁部200の接着面203を含む)のマスクプレート14で被覆された部分への当該飛沫の付着が防止される。マスクプレート14の植毛基部20への配置は、用毛束3の植毛孔21への挿入前に行ってもよい。
マスクプレート14は、起立壁部200の接着面203を覆う周壁部(壁部)140を有している。また、マスクプレート14は、前記溶融塊どうしの全部又は一部が連結されず、植毛基部接着面を確保する仕切り壁部(壁部)141を有する形態を採用できる。そしてこれらの仕切り壁部141で、溶融塊30どうしの間に隙間を設け、溶融塊30の一部が連結されないようにする。仕切り壁部の形態は、用毛束の配置や連結させる溶融塊等に応じてその形態、数、位置が適宜設定される。
図6に示すように、溶融塊30を形成する前の植毛基部20の上面部(起立壁部200を除く。)201を平面視したときの面積A0に対する、溶融塊30を形成した後の植毛基部200の上面部201の接着領域の総面積(起立壁部200の接着面203及び溶融塊30を除く。)A1の割合A1/A0は、5〜30%、特に10〜30%であることが好ましい。該割合が斯かる範囲であると、植毛基部20と被覆材4との接着性がより良好となる。
図4及び図5に示すように、溶融塊30を形成する前の起立壁部200の接着面203の面積B0に対する、溶融塊30を形成した後の接着面203の接着可能な領域の面積B1の割合(B1/B0)は、100%に近いことが高い接着強度を得る上で最も好ましい。なお、起立壁部、植毛孔又は所望の溶融塊を形成する上での制約により、前記接着領域B1が100%確保できない場合でも、できるだけ広い接着領域を確保することが望ましく、その値としては前記割合を30%以上が好ましい。
また、植毛基部20の接着面(上面部)201(図6参照)と起立壁部200の接着面203(図4及び図5参照。)の双方に、被覆材との接着面がより広くあることが、複数の曲げ方向に対する植毛基部と被覆材の接着力を確保する上で好ましい。
マスクプレート14を用いることで、溶融塊30を形成するときには、壁部140によって起立壁部200側への溶融塊30の広がり及び植毛基部20への前記飛沫の付着が防止される。このため、マスクプレート14を退避させた後には、植毛基部20には所望の面積で且つ分散状態で被覆材4との接着領域が確保される。また、マスクプレート14によって植毛基部20が押さえられているため、溶融塊30の形成時における植毛基部20のそりや変形を防止することができる。
マスクプレート14の材質は、溶融塊の形成時における熱変形に耐え得る材質のものであれば特に制限はないが、溶融塊30と接着しにくく、溶融塊の形成の際に発生する前記飛沫の付着しにくいものが好ましい。このような観点から、マスクプレート14の材質としては、アルミニウム合金、ステンレス鋼などの金属、フッ素樹脂等の高分子材料、セラミックス等が挙げられる。また、マスクプレート14の表面は、樹脂の付着を抑える観点から、フッ素樹脂などによってコーティングを施しておくことが好ましい。
マスクプレート14の上には、気流供給手段(図示せず)を配することが好ましい。そして、当該気流供給手段から不活性ガスの気流を吹き付けながら、溶融塊30の形成中に溶融塊30及び植毛基部20を冷却するとともに、不活性ガス雰囲気又は低酸素濃度雰囲気下で溶融塊30を形成することが好ましい。なお、該気流の吹き付けは、溶融塊30の形成直後に行うこともできる。前記気流供給手段によれば、溶融塊30の形成時における気流の吹き付けによって用毛の焦げ、変色を防止することができるとともに、用毛の溶融樹脂がマスクプレート14へ付着することを防止することができる。吹き付ける該不活性ガスとしては、窒素、アルゴン等が挙げられる。
次に、図5に示すように、用毛束3の片端部を非接触式溶融手段で溶融し、溶融塊30を形成して当該溶融塊30と植毛孔21の開口周縁部210とを固着させる。このとき、溶融塊30を押圧せずに形成すると、用毛束3に応力がかからず、用毛のねじれや乱れが無く、高品質な植毛状態を維持できる。植毛基部20と被覆材4との接着面積や用毛束3の配向に影響を与えない範囲で押圧手段(図示せず)で溶融箇所を押圧し、溶融塊30と開口周縁部210との密着性をさらに高めることもできる。
本実施形態では、前記非接触式溶融手段による溶融塊30の形成手段として、所定のレーザー発振器からレーザービームを照射する方法が採用される。この方法では、個々の溶融塊30を必要形状に精度良く且つ効率よく形成する上で好ましい。
本実施形態においては、レーザー発振器から結像レンズに至るレーザー光の光路において、植毛孔21及び各用毛束3の片端部の断面形態に応じ、予め記憶部に登録された照射パターン(走査パターン)に基づいて、コントローラーが前記光路内に配された反射鏡の角度をサーボー制御するとともにフォーカスレンズの位置を制御することで、結像レンズから照射されるレーザービームを正確に各用毛束3の片端部に走査照射する。
前記レーザービームのビームの太さ(ビーム径)は、植毛孔21及び用毛束3の断面形態、数、位置等に応じて適宜設定する。
本実施形態では、個々の植毛孔21の開口周縁部210及び個々の用毛束3の片端部に走査照射するために、ビーム径は0.1〜4mmであることが好ましい。なお、レーザービームのエネルギーを高めて細かな走査形態で、個々の植毛孔21の開口周縁部210の溶融変形並びに個々の用毛束3に溶融塊30を形成する場合は、0.1〜1mmであることがより好ましい。
前記レーザービームの照射パターンについては、前記各用毛束3の用毛の長さ、各用毛束3の断面寸法、各用毛束3の植毛基部20における植毛位置、各用毛束3の植毛基部20に対する角度、各用毛束の用毛密度、各用毛束の用毛の種類(太さ、色(光吸収率))や先端形状等に基づいて、最適なパラメーター(照射スポット径、照射熱量、照射時間、走査速度、走査ピッチなど)を設定し、個々の用毛束3に対応した走査照射を行うことで、良好な溶融塊30の形成がなされる。
レーザービームの走査ピッチは、レーザービームのスポット径、走査速度、又は出力にもよるが、0.05〜2mmとすることが好ましい。
また、レーザービームの走査速度は、開口周縁部210及び開口内周面部211の溶融変形並びに溶融塊30の形成に必要な熱容量と溶融時間を確保する点から60〜800mm/秒(出力12〜50Wにおいて)であることが好ましい。
前記レーザービームの照射パルスは、高い出力が得られ、且つパルス化が図れる点から、1〜10kHzであることが好ましい。また、前記レーザービームの出力は、レーザービームの走査形態への対応性と簡素な設備の点から、10〜100Wであることが好ましい。
照射するレーザービームは、用毛束3の片端部を溶融させることができる出力を発生できるものであれば、そのレーザービームの発生源は特に制限はない。該レーザービームの発生源としては、CO2、Ar、TEA CO2、エキシマ、He−cd、YAG等が挙げられ、これらの中でも、プラスチック材料を効率良く溶融する点ではCO2が好ましい。
本実施形態では、小径のレーザー光で、個々の用毛束3の片端部に、照射するパラメーターを変化させて溶融塊30を形成する。このため、例えば、各用毛束3の突出長さが異なる場合には、突出量の多い形態、又は用毛束断面積の大きい形態に対しては、照射時間、走査ピッチなどのパラメーターを変更し、走査照射時により多くの熱量を加え、適切に溶融塊30を形成する。用毛束3の突出量が少なく、用毛束3の断面積が小さい形態では、前記と逆にパラメーターを変化させ、走査照射時に加える熱量を少なくする。特に、一つの用毛束3の片端部の形態において、個々の用毛の突出量が変化している場合(例えば、一つの用毛束3の片端部の断面が斜めになっていたり、凹凸を有している場合)には、その高い部分を一度走査照射し、さらに片端部の全体を再度重ねて走査照射することで、高さが均一な溶融塊30を良好に形成することができる。
レーザービームの走査照射は、用毛束3の高い部分(多く溶融させたい部分)に集中して熱量を与えることができるほか、走査ピッチを部分的に狭くしたり、走査速度を部分的に変更し、必要な部分に集中して溶融熱量を多く加えることができるため、その特徴を活した適切な形態の溶融塊を形成することができる。
非接触式溶融手段としてレーザービームを用いると、溶融塊30の形成時にかかる用毛への応力も低く抑えることができる。特にレーザービームでは、溶融塊30の形成時に、溶融する箇所のみに熱を加え、加熱不要な部分には熱を加えないようにすることができるので、熱風方式や熱プレス方式などに比べ、植毛基部20の変形やそりが極めて小さい歯ブラシの製造が可能となる。
本実施形態では、個々の用毛束3毎に走査レーザー方式で溶融塊30を形成し、さらに気流で随時冷却できるため、溶融塊30同士が連なった状態でも溶融塊30の収縮は個別に行われる。このため、用毛束3の植毛角度のズレを防止することができる。
次に、図7に示すように、固化した溶融塊30を被覆材4で被覆する。溶融塊30の被覆は、用毛束3が固着されたブラシ本体2を、用毛束保持治具13と共に射出成形装置15に取り付け、植毛基部20に前記被覆材4用の樹脂を充填し、固化させて行う。
被覆材4は、植毛基部20と接着可能な材であれば、特に制限はない。被覆材4は、植毛基部20と同じ材とすることもできるし、異なる材とすることもできる。
被覆材4による溶融塊30の被覆後、用毛束保持治具13を射出成型装置15から取り外し、さらに、歯ブラシ1を用毛束保持治具13からはずしてその製造を完了する。
図8は、前記実施形態の歯ブラシの製造方法で製造された歯ブラシの一実施形態を示すものである。図8において、符号1は歯ブラシを示している。
図8(a)に示すように、本実施形態の歯ブラシ1は、歯ブラシ本体2の先端部に植毛基部20を有している。図8(b)に示すように、植毛基部20には複数の植毛孔21が設けられており、これらの植毛孔21に用毛束3がそれぞれ挿入されている。植毛孔21から突出する用毛束3の片端部には溶融塊30が形成されている。植毛基部20は、接着面201、203で被覆材4と接着しており、溶融塊30は、被覆材4で被覆されている。
溶融塊30は、その周囲が前記植毛基部から立ち上がるように整形された端面部300を有している。すなわち、端面部300は、前記周壁部140や仕切り壁部141と接していた部分が起立壁部200や溶融塊どうしの間に隙間を有するように整形されている。その形状は、例えば、歯ブラシ1の断面を拡大観察することで確認することができる。
歯ブラシ1の植毛部分(歯ブラシヘッド部分)の好ましい厚みt1は、口腔内での良好な操作性を考慮すると、5.5mm以下であり、薄ければ口腔内の操作性がより向上するが、歯ブラシとしての強度を確保し、用毛束3を安定的に植毛基部20に保持する上でより好ましい植毛部分の厚みt1の範囲は3〜5mmである。
本実施形態の歯ブラシ1は、溶融塊30の形成後にも植毛基部20と被覆材4の接着領域が十分に確保されるため、従来のような溶融塊形成時に当該溶融塊が広がったり、植毛基部からはみ出したりすることがない。従って、植毛基部20と被覆材4の接着が良好になされる。
本実施形態の歯ブラシの製造方法では、上記歯ブラシ1を好適に製造することができる。
次に、本発明のブラシの製造方法の第2実施形態について説明するが、この第2実施形態の歯ブラシの製造方法は、植毛基部及び規制手段の形態並びに用毛束の溶融手段が異なる以外は、第1実施形態の歯ブラシの製造方法と同じである。従って、以下の説明では、相違点についてのみ説明する。
図9及び図10は、本発明のブラシの製造方法の第2実施形態による歯ブラシの製造工程の一部を模式的に示したものである。これらの図において、前記第1実施形態と共通する部分については同一符号を付している。従って、特に説明のない部分については、前記第1実施形態の説明が適宜適用される。
図9及び図10に示すように、第2実施形態のブラシの製造方法では、植毛基部20の外縁部に起立壁部を実質的に有していないブラシ本体2’が用いられる。溶融塊30を形成するときには、所定の孔142が設けられたマスクプレート(規制手段)14’を植毛基部20に配する。この状態では、全ての植毛孔21の開口部は孔142の内周面で囲まれている。また、マスクプレート14’は、植毛基部20の外縁部を覆っており、溶融塊30の形成時に当該溶融塊30の広がりを規制する。外縁部の被覆幅は、植毛基部20の面積、植毛孔21の数及びその配置等に応じて設定される。
植毛基部20にマスクプレート14’を配した後、図10に示すように、前記接触式溶融手段16で用毛束3の片端部を溶融変形させて溶融塊30を形成する。接触式溶融手段16には、ヒートプレスや超音波による溶融方式を採用することができる。接触式溶融手段に前記仕切り壁部と同様に機能する仕切部を設けて溶融塊の広がりを規制し、溶融塊どうしの間に隙間が形成されるようすることもできる。
そして、溶融塊30の形成後、第1実施形態の製造方法と同様にして、被覆材4で固化した溶融塊30を被覆する。
第2実施形態の歯ブラシ製造方法において製造される歯ブラシは、第1実施形態の製造方法で製造された歯ブラシ1と同様に、植毛基部20と被覆材4との接着性が良好である。また、第2実施形態の歯ブラシの製造方法によれば、外縁部に起立壁部を有していないブラシ本体2を用いた場合にも、植毛基部20と被覆材4との接着性が良好な歯ブラシを好適に製造することができる。
本発明は前記実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
本発明は、前記実施形態のように、植毛基部における植毛孔の開口周縁部に、テーパー状の部分を設けておくことが好ましいが、開口周縁部にテーパー状の部分を設けておかなくてもよい。
また、本発明は、前記実施形態のように、溶融塊どうしの一部が連結されていなくてよいが、溶融塊どうしの全部が連結されていなくてもよいし、溶融塊どうしが全部が連結されていてもよい。
また、前記非接触式溶融手段による用毛束の片端部の溶融は、前記実施形態のように、レーザービームを移動させて走査させて行うことが好ましいが、レーザービームは固定しておき、植毛基部を移動させて照射してもよい。
また、前記非接触式溶融手段には、ハロゲンランプ等の光源を備えたものを採用することができ、該光源から発せられる光を集光させることで、レーザービームと同様の効果を得ることができる。この場合は、前記同様に、集光した光源を固定し、植毛基部を移動する方式が、装置構成上好ましい。また、これ以外に、熱風の送風手段を備えた非接触式溶融手段を採用することもできる。
また、前記第1実施形態の非接触式溶融手段は各種接触式溶融手段に替えることができ、前記第2実施形態の接触式溶融手段は各種非接触式溶融手段に替えることもできる。
また、前記非接触式溶融手段と、前記接触式溶融手段とを適宜組み合わせて前記溶融塊を形成することもできる。
また、起立壁部は、前記実施形態のように植毛基部の外縁部に植毛孔を囲繞するように外縁部の全周に亘って設けることが好ましいが、外縁部の一部に設けてもよいし、全く設けなくてもよい。
また、起立壁部を覆うマスクプレート(規制手段)は、起立壁部の接着面の全面を覆うことが好ましいが、起立壁部、植毛孔又は所望の溶融塊を形成する際の制約によっては、前記接着面の一部分を被覆してもよい。
また、マスクプレート(規制手段)での溶融塊の広がりの規制、及び植毛基部の接着領域の確保は、植毛基部全体(全周)に対して行うことが好ましいが、植毛基部の一部分に対して行うこともできる。
また、本発明は、前記実施形態のように、用毛束3は、植毛基部20の背面側から植毛孔21に挿入することが好ましいが、植毛基部の正面側から植毛孔に挿入することもできる。
また、本発明は、前記実施形態におけるように、予め所定長さに切断された用毛を用いることが好ましいが、リールに巻き取られた用毛束を用いることもできる。この場合には、用毛束を植毛基部の正面側から植毛孔に挿入し、突出させた用毛束の片端部を非接触式溶融手段で溶融させて溶融塊を形成するとともに該溶融塊と前記植毛孔の開口周縁部とを固着させた後、用毛束を所望の長さに切断することが好ましい。
本発明のブラシの製造方法は、前記実施形態のように、用毛束の片端部に溶融塊を形成して該溶融塊と植毛基部の開口周縁部とを固着させ、しかる後、溶融塊を充填樹脂で被覆して一体化することが好ましいが、例えば、溶融塊が形成された植毛基部に板状部材を接着等により接合一体化することもできる。
本発明は、歯ブラシ、ヘアブラシ、マッサージブラシ、洗浄ブラシ、その他各種のブラシ及びその製造方法に適用される。
本発明のブラシの製造方法の第1実施形態において用いられる歯ブラシ本体及びその成形金型を模式的に示す図であり、(a)歯ブラシ本体の断面図、(b)は成形金型の側断面図である。 図1(a)の歯ブラシ本体の先端部の形態を模式的に示す部側断面図である。 図1(a)の歯ブラシ本体の植毛孔に用毛束を挿入した状態を模式的に示す要部側断面図である。 規制手段を植毛基部へ配置する状態を模式的に示す斜視図である。 規制手段を用いた溶融塊の形成工程を模式的に示す要部断面図である。 溶融塊の形成前後における植毛基部の接着領域を模式的に示す部分平面図であり、(a)は溶融塊形成前の図、(b)は溶融塊形成後の図である。 同実施形態における被覆材による溶融塊の被覆工程を模式的に示す要部断面図である。 同実施形態により製造された歯ブラシの一実施形態を模式的に示す図であり、(a)は側面図、(b)は要部の側断面図である。 本発明のブラシの製造方法の第2実施形態において、規制手段を植毛基部へ配置する状態を模式的に示す斜視図である。 本発明のブラシの製造方法の第2実施形態に係る歯ブラシの方法における規制手段を用いた溶融塊の形成工程を模式的に示す要部断面図(図4相当図)である。 従来の歯ブラシの製造方法における問題点を模式的に示す図である。
符号の説明
1 歯ブラシ
2、2’ ブラシ本体
20 植毛基部
200 起立壁部
201、203 接着面
21 植毛孔
210 開口周縁部
211 開口内周面部
3 用毛束
30 溶融塊
300 端面部
31 外周
4 被覆材
10 成形金型
11 キャビティ
12 樹脂注入路
13 用毛束保持治具
14、14’ マスクプレート(規制手段)
140 周壁部(壁部)
141 仕切り壁部(壁部)
142 貫通孔
15 射出成形装置

Claims (6)

  1. 複数の植毛孔を有する植毛基部の該植毛孔に用毛束を挿入し、前記植毛孔から突出する前記用毛束の片端部を加熱して溶融塊を形成し、しかる後前記溶融塊を被覆材で被覆するブラシの製造方法であって、
    前記溶融塊を形成するときに、該溶融塊の広がり又は前記用毛束を溶融させるときに発生する飛沫の前記植毛基部への付着を規制する規制手段を該植毛基部に配しておくブラシの製造方法。
  2. 前記植毛基部は外縁部に起立壁部を有し、前記規制手段は、該起立壁部の内面を覆い且つ該起立壁部と前記溶融塊との間に隙間を設ける壁部を有している請求項1記載のブラシの製造方法。
  3. 前記植毛基部は、外縁部に起立壁部を有していない請求項1記載のブラシの製造方法。
  4. 前記用毛束の前記片端部を非接触式溶融手段で溶融させる請求項1〜3の何れかに記載のブラシの製造方法。
  5. 前記非接触式溶融手段がレーザービームである請求項4記載のブラシの製造方法。
  6. 前記用毛束の前記片端部を接触式溶融手段で溶融させる請求項1〜3の何れかに記載のブラシの製造方法。

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