JP4070590B2 - 筆記具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸筒内のインキ吸蔵体に含浸されたインキを筆記部となるペン先に供給する所謂中綿式タイプの筆記具に関し、更に詳しくは、この構造の筆記具においてインキの終了サインを簡単に検知することができる終点検知式の筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インキの残量・インキの終了サインを知ることができる筆記具としては、例えば、軸体内に直接液状インキを収容してなるコレクター構造を有する直液筆記具、インキがカートリッジ式のインキ収容管に収容された構造の筆記具、透明のリフィールにボールペン用インキが充填されたタイプのボールぺンなどが知られている。
【0003】
ところで、軸筒内のインキ吸蔵体に含浸された水性インキ、油性インキなどの筆記具用インキを筆記部となるペン先に供給する筆記具、所謂中綿式の筆記具にあっては、今までインキ終了サインを検知できる機構を具備した筆記具はないのが現状である。
そのため、この構造の筆記具では、筆記中にインキがカスレるまで使用して初めてインキの終了が判り、その後、廃棄又はインキを補充することにより再使用されるものであるが、カスレはペン先の乾燥等によっても生じるため、インキ吸蔵体に含浸されたインキが十分あるにも拘わらずペン先の乾燥等によりカスレた場合等には本来のインキの終了サインではなく、使用性等に課題があるものである。
【0004】
一方、透明な軸筒内にインキ吸蔵体となる中綿が収納され、該中綿に含浸されたインキを筆記部となるペン先に供給されると共に、中綿からペン先まで筆記具の中身を視認することができる筆記具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−270585号公報(特許請求の範囲、実施例、図1等)
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載される筆記具にあっては、中綿に吸蔵されたインキ量が少なくなってもそのインキ残量の確認は困難であり、確実にインキの終了サインを検知できるものではなく、この筆記具にあっても使用性等に課題があるものである。
【0007】
他方、本願出願人は、中綿式でありながらインキ終了検知機構を具備した筆記具として、軸筒内のインキ吸蔵体に含浸されたインキを筆記部となるペン先に供給する筆記具において、上記インキ吸蔵体に含浸されたインキは中継芯を介して視認性を有するインキ誘導管へ供給されると共に、該インキ誘導管を介してペン先に供給され、かつ、インキ吸蔵体からのインキ終了サインを軸筒に形成した視認部を介して上記インキ誘導管を視認することにより検知する筆記具を出願している(特願2002−138518号)。
【0008】
この筆記具において、インキ誘導管、インキ吸蔵体、中継芯、インキ誘導管と中継芯との接合部によって形成されるキャピラリーの毛細管力(毛管力)が、インキ誘導管と中継芯との接合部>ペン先>中継芯>インキ吸蔵体>インキ誘導管の関係にあることが好ましいことを記載しているが、これらの毛細管力の関係調査を進めてきた結果、上記の毛細管力の関係はエンド検知式筆記具を成立させるための必要条件ではあるが、実際の筆記性能、インキ消費率、直流性、逆流性、エンド検知の感度を加味した場合には、更に詳細に各毛細管力を微妙に調整させる必要があることが判った。
すなわち、この筆記具は、中綿式でありながらインキ終了検知機構を具備した従来にない筆記具であるが、更なる追試などを行った結果、筆記描線がカスレた状態になっても終了検知が表示されなかったり、インキ吸蔵体内のインキが半分以上残存しているにも関わらずインキ終了検知が表示されたりする場合が若干生じることがある。また、インキ終了サインを表示させやすくするために、インキ吸蔵体の保持力を弱くした場合や、インキ誘導管の長さを長くした場合などにはペン先からインキが直流したり、上向き時にインキが逆流する場合があるなどの若干の課題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、軸筒内のインキ吸蔵体に含浸された水性インキ、油性インキなどの筆記具用インキを筆記部となるペン先に供給する筆記具において、従来の中綿式筆記具と同じインキ流出量、インキ消費率を維持しながら、ペン先からのインキの直流、上向き時においてもペン先のインキが逆流することもなく、インキ吸蔵体のインキが終了した時点でインキ終了サインを簡単に検知することができる筆記具を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の課題等について鋭意検討を重ねた結果、軸筒内のインキ吸蔵体に含浸されたインキを筆記部となるペン先に供給する筆記具における軸筒の構成、並びに、インキ吸蔵体からペン先にインキを供給する機構を特定の構成等とすることにより、上記目的の筆記具が得られることを見いだし、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(6)に存する。
(1) 軸筒内のインキ吸蔵体に含浸されたインキを筆記部となるペン先に供給するものであって、上記インキ吸蔵体に含浸されたインキは中継芯を介して視認性を有するインキ誘導管へ供給されると共に、該インキ誘導管を介してペン先に供給され、かつ、インキ吸蔵体からのインキ終了サインを軸筒に形成した視認部を介して上記インキ誘導管を視認することにより検知する機構を備えた筆記具において、インキ吸蔵体の毛管力をT1、中継芯の毛管力をT2、インキ誘導管の毛管力をT3、ペン先の毛管力をT4、インキの密度をρ、重力加速度をg、ペン先からインキ吸蔵体内のインキ面後端までの高さをhとした場合に、下記式(I)〜(III)を満足することを特徴とする筆記具。
T4>T2>Tl>T3 ………(I)
Tl>ρgh ………(II)
T4>Tl+ρgh ………(III)
(2) 軸筒内のインキ吸蔵体のインキ毛管力がTl>ρghであり、かつインキ吸蔵体の気孔率が75%以上である上記(1)に記載の筆記具。
(3) インキ吸蔵体に使用されるフィラメントのクリンプ率が10%以上である上記(1)又は(2)に記載の筆記具。
(4) 上記式(I)〜(III)における各毛管力T1〜T4が、夫々インキ吸蔵体の保持力T1、中継芯の保持力T2、インキ誘導管の保持力T3、ペン先の保持力T4であり、かつ、上記各保持力T1〜T4は、各ヘッド(mm)×インキの密度(ρ)×重力加速度(g)で求めることができる上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の筆記具。
(5) ペン先と中継芯間の保持力の差がヘッドで5mm以上である上記(4)に記載の筆記具。
(6) 中継芯とインキ吸蔵体間の保持力の差がヘッドで5mm以上である上記(4)又は(5)に記載の筆記具。
【0011】
なお、本発明において規定する「毛管力」は、1本の細い管の他、本発明で用いるインキ吸蔵体、中継芯、ペン先などの繊維束、多孔体や焼結体等の間隙のように不規則な細管の集合体も対象とするものであるため、1本の細い管の場合は、既知の式、液面の上昇する高さ(Z)=2Tcosθ/ρgr〔θ:接触角、T:表面張力、r:細管半径、ρ:液体の密度、g:重力加速度〕等により求めることができるが、インキ吸蔵体、中継芯、ペン先などの繊維束、多孔体等の場合は、一概には規定できないため、これらの場合は、下記に詳述する液体を保持する力、すなわち、「保持力」として捉えるものである。
また、本発明において規定するインキ吸蔵体、中継芯、インキ誘導管、ペン先における「各保持力T1〜T4」は、上述の如く、各ヘッド(mm)×インキの密度(ρ)×重力加速度(g)により求めることができ、上記各ヘッドは下記方法により測定される「高さ(x)」をいう。
(各ヘッドの測定方法)
図7(a)及び(b)に示すように、シリコーン製のチューブをインキの収容された容器に入れ、一方を測定対象物(インキ吸蔵体、中継芯、インキ誘導管、ペン先)と連結させ、チューブ内をインキで満たす。このとき測定対象物内はインキで満たされ測定対象物の上端までインキは充填される。次いで、測定対象物の下端を徐々に上げる。このとき、測定対象物の上端でメニスカスが発生し、測定対象物の毛管力でインキ柱を保持する。測定対象物の下端と液面との距離(x)が測定対象物が支えているインキ柱の高さである。この測定対象物が保持しているインキ柱を高くしていき、測定対象物がインキ柱を支えきれなくなり測定対象物下端から空気が侵入する高さを求めることにより、「ヘッド」を測定する。更に、本発明で規定する「クリンプ率」は、フィラメントの重量増加率で求めた値である。すなわち、一般に、単位長さ当たりのフィラメントの実測の重量は、総フィラメント本数から計算した重量より重い。これは、フィラメントに捲縮がかかっているためで、この重量増加率を「クリンプ率」とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照しながら、詳しく説明する。
本発明の筆記具は、軸筒内のインキ吸蔵体に含浸されたインキを筆記部となるペン先に供給するものであって、上記インキ吸蔵体に含浸されたインキは中継芯を介して視認性を有するインキ誘導管へ供給されると共に、該インキ誘導管を介してペン先に供給され、かつ、インキ吸蔵体からのインキ終了サインを軸筒に形成した視認部を介して上記インキ誘導管を視認することにより検知する機構を備えた筆記具において、インキ吸蔵体の毛管力をT1、中継芯の毛管力をT2、インキ誘導管の毛管力をT3、ペン先の毛管力をT4、インキの密度をρ、重力加速度をg、ペン先からインキ吸蔵体内のインキ面後端までの高さをhとした場合に、下記式(I)〜(III)を満足することを特徴とするものである。
T4>T2>Tl>T3 ………(I)
Tl>ρgh ………(II)
T4>Tl+ρgh ………(III)
【0013】
図1及び図2は、本発明の第1実施形態を示すものであり、図1(a)は使用状態、(b)はインキ終了状態を示す概略断面図であり、図2(a)及び(b)はその具体的実施形態を示すものである。この第1実施形態の筆記具Aは、ペン先種により、サインペン、マーカー等に好適に適用することができるものである。
本第1実施形態の筆記具Aは、図1及び図2に示すように、筆記具本体となる軸筒10、インキ吸蔵体20、中継芯25、インキ誘導管30、ペン先40、尾栓50とを備えたものである。
軸筒10は、例えば、合成樹脂製から構成されるものであり、先端側がテーパー部を有する小径部10aと、大径部10bとが一体となったものであり、該小径部10a内にはペン先40を嵌着する嵌着部を有すると共に、大径部10b内は筆記具用インキIを含浸したインキ吸蔵体20、中継芯25、インキ誘導管30を収容する構造となっている。
【0014】
また、軸筒10の大径部10bの先端側は、図2(a)及び(b)に示すように、軸筒10内を視認できるように透明体又は半透明体から構成された視認部12を有し、それ以外は別部材等により非視認部となっている。
なお、軸筒10全体を視認性を有する透明又は半透明材料から構成して、軸筒10全体を視認できるものであってもよいものであり、また、軸筒10全体を視認性を有する透明又は半透明材料から構成して、視認部12以外を着色部や装飾部として非視認部としてもよいものである。
この視認部12の全長は、該視認部12により、軸筒10内に保持されるインキ誘導管30を視認できる長さであればよく、1mm以上筆記具本体(本実施形態では軸筒)の全長以下、好ましくは、5mm以上とすることが望ましい。なお、視認部12の全長が1mm未満であると、インキ終了サインの検知を視認し難く検知機能を果たせないこととなる。
【0015】
インキ吸蔵体20は、水性インキ、油性インキなどの筆記具用インキIを含浸したものであり、例えば、天然繊維、獣毛繊維、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂などの1種又は2種以上の組み合わせからなるト繊維束、フェルト等の繊維束を加工したもの、また、スポンジ、樹脂粒子、焼結体等の多孔体を含むものであり、軸筒10の前方部を封塞する後部保持体21と尾栓50とにより軸筒20内に収容されている。好ましくは、効率よくインキを吸蔵及び中継芯に供給する点から、上記各種の天然繊維、樹脂等からなるクリンプを有する繊維束(フィラメント束)が好ましい。
【0016】
中継芯25は、上記インキ吸蔵体20と同様に繊維束、フェルト等の繊維束を加工した繊維束芯、または、硬質スポンジ、樹脂粒子焼結体等からなる樹脂粒子多孔体、スライバー芯等の連続気孔(流路)を有するものであり、インキ吸蔵体20に含浸されたインキを該中継芯25を介して視認性を有するインキ誘導管30へ供給できるものであれば、特にその形状、構造等は限定されるものでないが、例えば、図2(a)に示すように、中継芯25はインキ吸蔵体20と接触し、その先端部はインキ誘導管30の後端部内に挿入されるものが挙げられる。この中継芯25により、インキ吸蔵体20に含浸されたインキIは中継芯25を介して視認性を有するインキ誘導管30へ更に効率よく供給できるものとなっている。
【0017】
インキ誘導管30は、図2(a)及び(b)に示すように、視認性を有する筒状(管状)のインキ流路部材となるものであり、例えば、樹脂、ゴム、または、ガラス製等の透明部材又は半透明部材の材質から構成されている。具体的には、透明又は半透明の樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、ポリ(1−メチル−4−ペンテン)などのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートやポリブチレンテレフタレート、並びに、フッ素樹脂、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−パ−フルオロアルキルビニルエーテルコポリマー(PFA)などのフッ素プラスチックなどが挙げられ、また、透明又は半透明のゴムとしては、フッ素ゴムやシリコーンゴムなどが挙げられる。本実施形態では、ポリプロピレンから構成されている。
更に、インキ誘導体20からペン先40までのインキの供給を更に円滑に、かつ、スムーズに行うために、上記構成の視認性を有するインキ誘導管30のインキと接する面又はインキ誘導管30の材質自体の表面張力がインキの表面張力よりも小さくすることが好ましい。なお、インキ誘導管30のインキと接する面がインキの表面張力よりも大きい場合には、フッ素コートやフッ素樹脂コート、又はジメチルシリコーンを骨格とするシリコーン樹脂コート処理等を施すことにより、インキ誘導管30のインキと接する面をインキの表面張力よりも小さくすることもできる。
このインキ誘導管30の後端部分は、後部保持体21を貫通してインキ吸蔵体20内部に通じると共に、前端部分は軸筒10の小径部10a内を封塞する前部保持体22を貫通してペン先40の後端部分に嵌入されている。これにより、インキ誘導管30は、軸筒10内を封塞する後部保持体21と前部保持体22とにより、軸筒10内に視認空間部13が形成されると共に、該視認空間部13の中心部分に保持されるものとなっている。
【0018】
ペン先40は、例えば、天然繊維、獣毛繊維、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂などの1種又は2種以上の組み合わせからなる平行繊維束、フェルト等の繊維束を加工又はこれらの繊維束を樹脂加工した繊維芯、または、各種のプラスチック粉末などを融結したポーラス体などからなるペン先からなるものであり、その形状も筆記具の形態、例えば、マーキングペン、サインペン等に応じて各形状のものが選択されるものである。
【0019】
上記インキ吸蔵体20に含浸せしめるインキIとしては、一般に用いられている各配合組成となる水性インキ、油性インキなどの筆記具用インキであれば、特に限定されず、サインペン用、マーキングペン用、ボールペン用などの用途に応じた水性又は油性の液状インキが挙げられる。好ましくは、インキ誘導管30での終了サインを更に良好に検知するために、インキの表面張力を25℃下で18mN/m以上、更に好ましくは、20〜50mN/mとすることが望ましい。なお、インキの表面張力の調整は、インキ組成に界面活性剤などを必要に応じて配合することにより、調整することができる。
更に、インキ吸蔵体20から、中継芯25及びインキ誘導管30を介してペン先40へのインキを更に円滑に、かつ、スムーズな供給をするために、好ましくは、インキの粘度係数を25℃下で500mPa・s以下、更に好ましくは、200mPa・s以下、特に好ましくは1〜100mPa・sとすることが望ましい。このインキの粘度係数が500mPa・sを越えると、インキの流動性が悪くなり、十分なインキ流出量が出ないため流量不足による描線カスレや早書きできない場合が生じることがある。なお、インキの粘度係数の調整は、インキ組成に増粘剤などを必要に応じて配合することにより、調整することができる。
【0020】
この本第1実施形態の筆記具Aにおいて、図1に示すように、インキ吸蔵体20の毛管力をT1、中継芯25の毛管力をT2、インキ誘導管30の毛管力をT3、ペン先40の毛管力をT4、インキの密度をρ、重力加速度をg、ペン先40からインキ吸蔵体20内のインキ面後端までの高さをhとした場合に、下記式(I)〜(III)を満足することが必要である。
T4>T2>Tl>T3 ………(I)
Tl>ρgh ………(II)
T4>Tl+ρgh ………(III)
上記式(I)〜(III)の何れか一つを充足しない場合は、本発明の効果、すなわち、インキ流出量、インキ消費率、筆記性能を損なうことなく、ペン先からのインキの直流、上向き時においてもペン先のインキが逆流することもなく、インキ吸蔵体のインキが終了した時点でインキ終了サインを簡単に検知することができないものとなる。
更に詳述すれば、式(I)における、T4>T2>Tl>T3の関係を満たさない場合は、インキ終了時に、インキ誘導管内のインキが切れない、インキ吸蔵体やインキ誘導管内にインキが残存しているのにペン先からインキが流出されない、インキ誘導管のインキが直ぐに切れてしまうこととなり、また、式(II)における、Tl>ρghの関係を満たさない場合は、ペン先からインキが直流することとなり、更に、式(III)における、T4>Tl+ρghの関係を満たさない場合は、上向き時に、ペン先のインキが逆流してしまうこととなる(これらの点は、更に後述する実施例等で詳述する)。
好ましくは、精確な毛管力を算出し、本発明の効果をより有効に発揮せしめる点から、上記式(I)〜(III)におけるインキ吸蔵体、中継芯、インキ誘導管、ペン先における各毛管力T1〜T4は、夫々インキ吸蔵体の保持力T1、中継芯の保持力T2、インキ誘導管の保持力T3、ペン先の保持力T4であり、かつ、上記各保持力T1〜T4は、各ヘッド(mm)×インキの密度(ρ)×重力加速度(g)で求めることが望ましい。
【0021】
本実施形態の筆記具Aでは、上記構成及び上記式(I)〜(III)を満足することにより、図1及び図2に示すように、インキ吸蔵体20に含浸されたインキは中継芯25を介して効率よくインキ誘導管30に流入し、該インキ誘導管30を介してペン先40に供給されると共に、ペン先40からのインキの直流、上向き放置時においてもペン先40のインキが逆流することもなく、インキ吸蔵体20内のインキが終了した時点でインキ終了サイン(エンド検知)を表示でき、すなわち、図1(b)に示すように、インキ誘導管30内のインキがなくなることによりインキ終了サインを表示でき、これを視認することにより簡単に検知することができるものとなる。
【0022】
この実施形態の筆記具Aは、インキ誘導管30内のインキIが消費されることによりエンドを検知する機構であるので、筆記描線がカスレる状態になる前にインキ誘導管30内のインキが消費されなければならないことが必要となる。
本発明では、上記ペン先40の保持力T4と中継芯25の保持力T2の関係を試験した結果、ペン先40と中継芯25間の保持力の差(T4−T2)をある程度大きく設定することで、筆記描線がカスレるインキ流出量になる前にインキ誘導管30内のインキが効率よく消費されることが判った。また、上記保持力差の大小を調整することにより、エンド検知の感度(エンド検知を機能させるインキ流出量)を更に調整できることが判明した。
このペン先40、中継芯25間のヘッド差(T4−T2)が、具体的には5mm以上とすることが好ましく、更に好ましくは、20mm以上、特に好ましくは50mm以上であると、更に良好なエンド検知を発揮せしめることができることとなる。
【0023】
また、上記筆記具Aにおいては、インキ誘導管30内のインキが消費されることにより終点となるが、その際インキ流路が分断されるため、その時点でインキ吸蔵体中に残存するインキは消費することはできなくなる。一般の中綿式筆記具でも、中綿内のインキの75〜90%程度しか消費することができないが、本発明のエンド検知式の筆記具においては、更にインキ消費率の低下が生じることがある。本発明では、中継芯25の保持力T2とインキ吸蔵体20の保持力T1の関係を調査等した結果、中継芯25とインキ吸蔵体20の保持力T1の差(T2−T1)をある程度大きく設定することで、インキ消費率の低下を更に改善できることが判った。具体的には、上記と同様に中継芯25、インキ吸蔵体20のインキ保持力差をヘッド差(T2−T1)として、5mm以上とすることが好ましく、更に好ましくは、20mm以上、特に好ましくは50mm以上であると、更に良好なインキ消費率を得られるものとなる。
【0024】
更に、通常の筆記具でも同様であるが、インキ吸蔵体20はペン先40からインキ吸蔵体20内のインキ充填位置までの高さ分(h)のインキ保持力がなければ、ペン先40からインキが直流してしまうこととなる。同様に上向き時においては、ペン先40はペン先40からインキ吸蔵体20内インキ充填位置までの高さ分のインキ保持力がなければインキがペン先40から逆流してしまうこととなる。従って、ペン先40とインキ吸蔵体20間の保持力差をできるだけ大きくした方がインキ消費率、終点検知感度の調整の上で有利である反面、ペン先40の保持力を強くすることは、ペン先40の気孔率を高くすることであるので、インキ流出量が低下してしまうため、極端にペン先40の保持力を高くすることはできないものである。また、同様にインキ吸蔵体の保持力を強くしてしまうと、インキ消費率、終点検知感度が低下するので、あまり保持力を強くできない。また、この実施形態の筆記具Aでは、インキ誘導管30がペン先40とインキ吸蔵体20間にあるため、通常の従来における中綿式に比べ、ペン先40までの高さが高くなってしまうこととなる。本実施形態の筆記具Aにおいて、終点を検知させるための商品設計においてはインキ誘導管30、インキ吸蔵体20、中継芯25、インキ誘導管30と中継芯25との接合部によって形成されるインキ保持力が、インキ誘導と中継芯との接合部>ペン先>中継芯>インキ吸蔵体>インキ誘導管の関係にある条件を満たし、かつ「インキ吸蔵体20の保持力>ρghの条件を満たし、かつ「ペン先40の保持力(T4)>インキ吸蔵体20の保持力(T1)+ρgh」を満たすことが必要である。(但し、ρ:インキの密度、g:重力加速度、h:ペン先からインキ吸蔵体重点位置までの高さをいう)。
【0025】
更に、通常、インキ吸蔵体Aの気孔率が低くなるほど、インキIの保持力は高くなるが、インキ吸蔵体20からのインキの流出性は低下することとなる。この実施形態の筆記具Aにおいては、上述のように、ペン先40とインキ吸蔵体20間の保持力差(T4−T2)をできるだけ大きくした方が良好な性能を発揮できるが、その際にはペン先40の保持力を高くして差を広げる場合には、インキ流出量の低下が避けられないものとなる。一方、逆に、インキ吸蔵体20の保持力T2を低くして差を広げた場合には、ペン先40によるインキ流出量の調整の幅が広がるため、任意のインキ流出性能を得られやすいものとなる。
これらのことから、インキ吸蔵体の種類について種々検討を行った結果、インキ吸蔵体と中継芯間の保持力差(T2−T1)以外にも、同じ保持力差であってもインキ吸蔵体20の気孔率を高くした際に、インキ消費率が向上することが判明した。最も良好なエンド検知の性能を得るためには、ペン先40からの直流を防くための「インキ吸蔵体の保持力(T2)>ρgh」の関係を維持した状態で、できる限りインキ吸蔵体20の気孔率は高く設定したほうが更に良いことが判明した。具体的には、インキ吸蔵体の気孔率は75%以上とすることが好ましく、更に好ましくは、80%以上の気孔率を有したものとすることにより、更に良好なインキ消費率を発揮することができるものとなる。
【0026】
更にまた、一般的に、インキ吸蔵体20の保持力T2を高める方法として、インキ吸蔵体20に使用されるフィラメントの総数を多くすることにより、インキ吸蔵体20の気孔率を低くし、保持力を向上させる方法が用いられる。また、フィラメントには、一定の倦縮がかかっているが、倦縮の度合い(クリンプ率)が高いフィラメントを用いた場合には、同じフィラメント総数の場合、気孔率は同じであるが保持力は高くなる。インキ吸蔵体20は多数のキヤピラリーの集合体であると仮定した場合、インキ吸蔵体20を構成するフィラメントは倦縮がかかっているため、径が大小変化したキヤピラリーが存在していると考えられる。従って、フィラメント総数を多くした場合には、全体的にキャピラリーが細くなり、空間体積も減少する。一方、同一のフィラメント総数でもクリンプ率を高くした場合には、細いキャピラリーはより細くなる一方、太いキャピラリーはむしろ太くなり、インキ吸蔵体20全体としては空間体積に変化はないものとなる。しかしながら、インキ吸蔵体20の保持力T2が向上することから、インキ吸蔵体20の保持力は、細いキャピラリーの毛細管力と細いキャピラリーの数に起因していると考えられる。
従って、本発明の筆記具Aにおいては、上述の如く、インキ吸蔵体の気孔率をなるべく高く設定した方がインキ消費率を向上させることとなるが、インキ吸蔵体20の気孔率を高くすることで中綿の保持力も低下し、ペン先40からのインキの直流が発生し易くなる。
そこで、本発明で用いるインキ吸蔵体20について更に種々検討した結果、インキ吸蔵体20に使用されるフィラメントのクリンプ率を高くすることにより、インキ吸蔵体20の保持力T2は高くなるが、エンド検知の性能についてはフィラメント総数を増やして保持力を高めたインキ吸蔵体20に比べ各段に向上することが判った。具体的には、インキ吸蔵体に使用されるフィラメントのクリンプ率を10%以上とすることが好ましく、更に好ましくは20%以上、特に好ましくは25%以上のものを用いた場合、ペン先40からのインキの直流に問題はなく、かつ、インキ保持力を維持しながら、更に良好なエンド検知性能が得られる筆記具となる。
【0027】
図3は、本発明の第2実施形態を示すものである。なお、上記第1実施形態と同様の構成は、同一符号を付してその説明を省略する(以下同様)。
本第2実施形態の筆記具Bは、上記式(I)〜(III)を充足するものであり、ペン先40がインキ誘導芯を備えたボールペン用となっている点、ペン先40を保持する先軸42が別部材からなり軸筒10の先端に固着されている点、前部保持体22を省略した点、中継芯25の形状、大きさが異なる点、インキ誘導管30を細管とし、その先端部をインキ誘導芯内に挿入されている点で、上記第1実施形態の筆記具Aと異なるものであり、筆記具Aと同様に、ペン先40からのインキの直流や、上向き時にペン先のインキが逆流することなく、インキ吸蔵体20内のインキが終了した時点でインキ終了サインを表示でき、該インキ終了サインを視認部12を介してインキ誘導管30のインキを視認することにより簡単に検知できるものである。
なお、上述の如く、更に本発明の効果を発揮させるために、▲1▼ペン先40と中継芯25間の保持力の差をヘッドで5mm以上とすること、▲2▼中継芯とインキ吸蔵体間の保持力の差をヘッドで5mmとすること、▲3▼軸筒10内のインキ吸蔵体のインキ保持力をTl>ρghとし、かつインキ吸蔵体20の気孔率を75%以上とすること、▲4▼インキ吸蔵体20に使用されるフィラメントのクリンプ率を10%以上とすることなどの上記▲1▼〜▲4▼の少なくとも1つ以上の構成を追加してもよいものである(以下の実施形態においても同様)。
【0028】
図4は、軸筒10内のインキ吸蔵体20に含浸されたインキを軸筒10の両側に設けた筆記部となるラインマーカー用のペン先40、並びに、サインペン用のペン先45に供給するツインタイプの筆記具Cであり、検知機構が何れか一方側にある構造である。
インキ吸蔵体20からのインキの供給は、ペン先40側では図1の第1実施形態と同様に、インキ吸蔵体20からのインキが中継芯25、視認性を有するインキ誘導管30を介してスムーズに効率よく供給されるものであり、ペン先45側ではペン先45の後端部分がインキ吸蔵体20内に嵌入し接触することによりインキ吸蔵体20からのインキが直接供給されるものとなっている。なお、図示符号41は軸筒10の一方側に固着される別部材からなる先軸部であり、46は、軸筒10の他方側に一体に形成される先軸部である。
このツインタイプの筆記具Cでは、インキの消費は各ペン先40、45で行われ、上記第1実施形態と同様に、インキ吸蔵体20のインキ終了サインを視認部12を介してインキ誘導管30のインキを視認することにより検知することができるものである。
【0029】
図5(a)及び(b)は、軸筒10内のインキ吸蔵体20に含浸されたインキを軸筒10の両側に設けた筆記部となるラインマーカー用のペン先50、60に供給するツインタイプの筆記具Dであり、検知機構が両側にある構造である。
この実施形態の筆記具Dでは、上記式(I)〜(III)を適用する際には、ペン先50側の方ではインキ吸蔵体20の毛管力はT1(共通)であり、中継芯25aの毛管力をT2a、インキ誘導管30の毛管力をT3a、ペン先50の毛管力をT4a、インキの密度をρ、重力加速度をg、ペン先50からインキ吸蔵体20内のインキ面後端までの高さをhとした場合に、上記式(I)〜(III)は、下記(I−a)〜(III−a)が適用されることとなる。
T4a>T2a>Tl>T3a………(I−a)
Tl>ρgh ………(II−a)
T4a>Tl+ρgh ………(III−a)
また、ペン先50側の方では,上記と同様に、中継芯25bの毛管力をT2b、インキ誘導管40の毛管力をT3a、ペン先60の毛管力をT4a、インキの密度をρ、重力加速度をg、ペン先60からインキ吸蔵体20内のインキ面後端までの高さをhとした場合に、上記式(I)〜(III)は、下記(I−b)〜(III−b)が適用されることとなる。
T4b>T2b>Tl>T3b………(I−a)
Tl>ρgh ………(II−a)
T4b>Tl+ρgh ………(III−a)
このツインタイプの筆記具Dでは、インキの消費は各ペン先50、60で行われ、上記第1実施形態と同様に、インキ吸蔵体20のインキ終了サインを視認部12、13を介してインキ誘導管30又は40のインキを視認することにより検知することができるものである。
【0030】
図6は、軸筒10内が隔壁10fにより、軸筒10内が隔離され、隔離された各軸筒内10g、10hには夫々インキ吸蔵体20c、20dが収容され、該インキ吸蔵体20に含浸されたインキを各中継芯25c、25d及びインキ誘導管30,40を介して軸筒10の両側に設けた筆記部となるラインマーカー用のペン先50、60に供給するツインタイプの筆記具Eであり、検知機構が両側にある構造である。
この実施形態の筆記具Fでは、上記式(I)〜(III)の適用は、隔壁10fにより隔離されるタイプ、すなわち、上記第1実施形態と同様のペン先を有する筆記具が独立に二本有するものとなるので、ペン先50、60側で夫々独立に、上記式(I)〜(III)が適用されることとなる。
このツインタイプの筆記具Fでは、インキの消費は各ペン先50、60で行われ、上記第1実施形態と同様に、インキ吸蔵体20のインキ終了サインを視認部12、13を介してインキ誘導管30又は40のインキを視認することにより検知するものである。なお、インキ吸蔵体20c、20dに吸蔵するインキを異ならしめることにより、色相等が相違する描線を得ることができる。
【0031】
本発明の筆記具は、上記各実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の形態に変更できることはいうまでもない。
例えば、本発明の筆記具は、ペン先、インキ種をボールペン、サインペン、マーキングペン、筆ペンなどの用途などによって変更して好適に各種用途の筆記具に適用することができるものである。
更に、筆記具用インキを修正液、塗布液、化粧品等の液状化粧料等とした塗布具にも適用してもよいものである。
【0032】
【実施例】
次に、本発明を具体的な実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
なお、インキ等の表面張力の測定は、ウィルヘルミー法(協和界面科学社製、CBVP−Z型)により測定し、インキの粘度係数は、回転粘度計(トキメック社製、TV−20L)により測定した。また、各保持力T1〜T4における「ヘッド」は、図7及び上述で定義した方法により測定した。
【0033】
〔実施例1〜4及び比較例1〜4〕
下記構成の軸筒、インキ吸蔵体、インキ誘導管、中継芯、ペン先、インキ組成を用いた図1及び図2に準拠するサインペンを作製した。
▲1▼軸筒
ポリプロピレン製、大径部の直径10mm、視認部の長さ15mm(視認部以外は着色層により非視認部となる)、全長150mm
▲2▼ペン先(ペン芯)
ポリエステル繊維束芯から構成した下記表1に示す各ヘッドとなる3種類を使用した。
▲3▼中継芯
ポリエステル繊維束から構成した下記表1に示す各ヘッドとなる3種類を使用した。
▲4▼インキ吸蔵体
ポリエステル繊維束から構成した下記表1に示す各ヘッド、気孔率、クリンプ率となる4種類を使用した。
▲5▼インキ誘導管
PFA(テトラフルオロエチレン−パ−フルオロアルキルビニルエーテルコポリマー)製、内径3mm、長さ20mm、インキ流路断面積約7mm2、インキ誘導管の材質自体の表面張力(25℃)20mN/m、後端部分がインキ吸蔵体20に嵌入する長さ3mm
▲6▼インキ組成(全量100重量%)
Victoria Blue BSA 3.0
Rhodamine 6JHSA 1.0
固着性樹脂(ラロパールA101) 12.0
プロピレングリコールモノメチルエーテル 残部
インキの表面張力(25℃)27mN/m、インキの粘度係数(25℃)4mPa・s、インキ吸蔵体への含浸量4.0g、インキの密度は、0.954g/cm3であった。なお、重力加速度ρは、980cm/s2である。
【0034】
下記表2に示すペン芯、中継芯、インキ吸蔵体となる組み合わせにより、各筆記具を作製し、下記各方法により、インキ消費率、直流性、逆流性、終点検知感度を評価等した。
これらの結果を下記表2に示す。
【0035】
(インキ消費率の評価方法)
インキ消費率は、ミニテック筆記試験装置により筆記試験を行い、終点検知が働くまで筆記を行った際のインキ消費率を調べ、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:インキ消費率80%以上
○:インキ消費率75%以上80%未満
△:インキ消費率70%以上75%未満
×:インキ消費率70%未満
【0036】
(直流性の評価方法)
直流性は、キャップを閉めた状態で下向きにして、50℃の環境下に3日間放置した後、室温(25℃)下に戻し、目視により、下記評価基準で直流性を評価した。
評価基準:
○:全く問題なし
△:僅かにペン先からの直流が確認される
×:ペン先からインキが直流している
【0037】
(逆流性の評価方法)
逆流性は、キャップを閉めた状態で上向きにして、50℃の環境下に3日間放置した後、室温(25℃)下に戻し、筆記して、その状態を目視により、下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:全く問題なし
△:僅かにペン先からのインキの出が悪い
×:筆記描線がカスレる
【0038】
(終点検知感度の評価方法)
終点検知感度は、ミニテック筆記試験装置により筆記試験を行い、筆記描線がカスレるまで筆記を行った際のインキ誘導管内のインキの切れを目視により、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:通常の筆記描線状態でインキ誘導管内のインキが切れる
○:筆記描線がカスレ始めた時にインキ誘導管内のインキが切れる
△:筆記描線がカスレた状態になった後にインキ誘導管内のインキが切れる
×:インキが出なくなってもインキ誘導管内のインキが切れない
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
上記表1及び表2の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1〜4は、本発明の範囲外となる比較例1〜4に較べて、インキ消費率、直流性、逆流性、終点検知感度の全てにおいて優れた筆記具となることが判明した。
比較例を個別的に見ると、比較例1〜4は上記式(I)〜(III)の条件を充足しない場合、すなわち、比較例1は、T4=T2であり、比較例2は、T2=T1であり、比較例3はT4<T1+ρghであり、比較例4はT1<ρghであり、これらの場合は、インキ消費率、直流性、逆流性、終点検知感度の全てを満足することができないことが判明した。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、ペン先からのインキの直流、上向き時においてもペン先のインキが逆流することもなく、インキ吸蔵体内のインキが終了した時点でインキ終了サインとなるエンド検知をインキ誘導管に表示でき、これを視認することにより簡単に検知することができると共に、良好な描線を描くことができる終点検知式の筆記具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は、本発明の第1実施形態を示す筆記具の概略断面図であり、(a)は使用状態、(b)はインキ終了状態を示す概略断面図である。
【図2】(a)及び(b)は、本発明の第1実施形態を具体的に示す筆記具の縦断面図、部分縦断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態を示す筆記具の縦断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態を示す筆記具の部分縦断面図である。
【図5】(a)及び(b)は、本発明の第4実施形態を示す筆記具の縦断面図、部分縦断面図である。
【図6】本発明の第5実施形態を示す筆記具の部分縦断面図である。
【図7】(a)及び(b)は、本発明において、インキ吸蔵体、中継芯、インキ誘導管、ペン先における保持力を求める際のヘッドの測定方法を説明する図面である。
【符号の説明】
A 筆記具
10 軸筒
12 視認部
20 インキ吸蔵体
25 中継芯
30 視認性を有するインキ誘導管
40 ペン先
Claims (6)
- 軸筒内のインキ吸蔵体に含浸されたインキを筆記部となるペン先に供給するものであって、上記インキ吸蔵体に含浸されたインキは中継芯を介して視認性を有するインキ誘導管へ供給されると共に、該インキ誘導管を介してペン先に供給され、かつ、インキ吸蔵体からのインキ終了サインを軸筒に形成した視認部を介して上記インキ誘導管を視認することにより検知する機構を備えた筆記具において、インキ吸蔵体の毛管力をT1、中継芯の毛管力をT2、インキ誘導管の毛管力をT3、ペン先の毛管力をT4、インキの密度をρ、重力加速度をg、ペン先からインキ吸蔵体内のインキ面後端までの高さをhとした場合に、下記式(I)〜(III)を満足することを特徴とする筆記具。
T4>T2>Tl>T3 ………(I)
Tl>ρgh ………(II)
T4>Tl+ρgh ………(III) - 軸筒内のインキ吸蔵体のインキ毛管力がTl>ρghであり、かつインキ吸蔵体の気孔率が75%以上である請求項1に記載の筆記具。
- インキ吸蔵体に使用されるフィラメントのクリンプ率が10%以上である請求項1又は2に記載の筆記具。
- 上記式(I)〜(III)における各毛管力T1〜T4が、夫々インキ吸蔵体の保持力T1、中継芯の保持力T2、インキ誘導管の保持力T3、ペン先の保持力T4であり、かつ、上記各保持力T1〜T4は、各ヘッド(mm)×インキの密度(ρ)×重力加速度(g)で求めることができる請求項1〜3の何れか一つに記載の筆記具。
- ペン先と中継芯間の保持力の差がヘッドで5mm以上である請求項4に記載の筆記具。
- 中継芯とインキ吸蔵体間の保持力の差がヘッドで5mm以上である請求項4又は5に記載の筆記具。
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