JP4069933B2 - コアヤーンの製造方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、コアヤーンの芯糸を確実に存在させるようにするコアヤーンの製造方法及び装置に関する。
繊維束内に弾性芯糸が配されたコアヤーンを製造する装置として、例えば特許文献1のコアヤーン製造装置がある。この製造装置によれば、弾性芯糸供給装置から供給される弾性糸を芯糸とし、ドラフト装置でドラフトされた繊維束をカバーリング繊維として、紡績装置で空気紡績を行うことによりコアヤーンを製造している。そして、弾性芯糸供給装置には、エアサッカー装置が備えられており、このエアサッカー装置から噴射される高圧エアによって、弾性芯糸を繊維束に合流させるよう構成されている。
しかし、上記のコアヤーン製造装置で、細番手のコアヤーンを製造する場合、ドラフト装置に供給されるスライバ量が少ないので、繊維束の幅が狭く、又エアサッカー装置からの高圧エアの影響で、ドラフト装置の繊維束が乱れ、芯糸供給装置からの芯糸を繊維束が捕捉できず合流しない場合がある。これにより、芯糸がフロントボトムローラに巻き付いてしまい(いわゆるボトムラップ)、芯糸のない糸がパッケージに巻き取られてしまうことが多々ある。
特開2002−363834号公報(図4、エアサッカー装置58、段落番号0035)
本発明が解決しようとする課題は、前記した事情に鑑みてなされたものであって、繊維束が弾性芯糸供給装置からの弾性芯糸を確実に捕捉することができ、コア無し紡出の頻度の軽減を図るようにしたコアヤーンの製造方法及び装置を提供することにある。
前記した課題を解決するために、本発明に係るコアヤーンの製造方法は、ドラフト装置に所定量のスライバを供給し、このスライバに芯糸を合流させてコアヤーンを製造する方法において、紡績開始後の所定期間、所定量よりも多い量のスライバをドラフト装置に供給してこの間に芯糸をスライバに合流させ、その後、所定量のスライバをドラフト装置に供給する。
そして、本発明に係るコアヤーンの製造装置は、ドラフト装置に所定量のスライバを供給し、このスライバに芯糸を合流させてコアヤーンを製造する装置において、ドラフト装置に供給するスライバの量を変更する手段と、この変更のタイミングを制御する手段とを備え、制御手段によって、紡績開始後の所定期間、所定量よりも多い量のスライバをドラフト装置に供給してこの間に芯糸をスライバに合流させ、その後、所定量のスライバをドラフト装置に供給する。
好ましくは、前記ドラフト装置の所定のドラフトローラの回転速度によって、ドラフト装置に供給するスライバの量を変更する。
前記したように、細番手のコアヤーン等を製造するとき、紡績開始後の所定期間、ドラフト装置に供給するスライバの量を多くする。このように、スライバの量を多くすることで、エアサッカー装置の高圧エアーによる繊維束の乱れを減少することができ、更にドラフト装置の繊維束の幅を広くすることができる。これにより、芯糸供給装置からの芯糸は、繊維束に確実に捕捉され合流することになる。従って、細番手のコアヤーン等を製造する場合であっても、芯糸のないコアヤーンの巻取りを確実に防止することができる。
又、ドラフト装置の所定のドラフトローラの回転速度を調整して、ドラフト装置に供給するスライバの量を変更するようにする。例えば、コアヤーン紡績機のバックローラ及びサードローラは、紡績ユニット毎に速度調整できるので、所定の紡績ユニットで糸継ぎするときでも、紡績開始後の所定期間だけ、簡単にスライバの供給量を変更できる。
以下、添付図面に基づいて、本発明に係るコアヤーンの製造方法及び装置について詳細に説明する。
図1は、コアヤーン紡績機を示す全体正面図である。図2は、図1の一部断面側面図である。コアヤーン紡績機は、原動機ボックス10とダストボックス11との間に、多数の紡績ユニット(糸処理ユニット)1,1,1・・・が並設されている。更に、このコアヤーン紡績機は、各紡績ユニット1,1,1・・・に沿うレール14が設けられており、このレール14を糸継ぎ台車9が左右方向に往復走行可能なよう構成されている。そして、この糸継ぎ台車9は、糸継ぎを要求する紡績ユニット1に走行、停止して、糸継ぎ作業を行う。
各紡績ユニット1は、ドラフト装置3、弾性芯糸供給装置2、紡績装置4、糸送り装置5及び巻取り装置8を備えている。ドラフト装置3は、バックローラ31、サードローラ32、ミドルローラ33及びフロントローラ34を有している。弾性芯糸供給装置2は、弾性芯糸パッケージ21等を有している。紡績装置4は、空気噴射ノズル等を有しており、巻取り装置8は、巻取りパッケージ81等を備えている。
機台15の背部に設けられたスライバケンス(図示略)から引き出されたスライバSが、バックローラ31へ供給され、ドラフト装置3によってドラフト(延伸)される。そして、ドラフト装置3におけるミドルローラ33とフロントローラ34との間の繊維束に、弾性芯糸供給装置2からの弾性芯糸Dが合流する。紡績装置4によって、この繊維束に圧縮空気の旋回気流を作用させて紡績して、スライバSをカバーリング繊維とし、弾性芯糸Dを芯糸とする、コアヤーンCを生成する。
紡績装置4から送出されたコアヤーンCは、糸送り装置5によって下方に送られ、糸の欠点を除去するためのカッター装置6、糸欠点を検出するスラブキャッチャ(糸欠点検出器)7を経て、巻取り装置8によって巻取りパッケージ81に巻き取られる。スラブキャッチャ7は、糸の太さムラ欠陥を検出する機能や、糸に混入した異物を検出する機能等を有する。
糸送り装置5は、デリベリローラ51と、このデリベリローラ51に接触するように設けられたニップローラ52とからなる。紡績装置4から送出されたコアヤーンCは、デリベリローラ51とニップローラ52との間に挟まれて、デリベリローラ51の回転駆動によって下方へ送られる。
弾性芯糸供給装置2は、弾性芯糸パッケージ21を有しており、この弾性芯糸パッケージ21の周面に接触して回転する回転ローラ22を有している。この回転ローラ22は、ベルト23を介して駆動モータ24の駆動によって回転する。そして、弾性芯糸パッケージ21は、クレードルアーム25によって回転自在に支持されている。
回転ローラ22の回転を受けて、弾性芯糸パッケージ21から解舒された弾性芯糸Dは、エアサッカー装置26の高圧エアの噴射によって、供給ガイド筒27を通過する。そして、弾性芯糸Dは、供給ガイド筒27からフロントローラ34のやや上流側の位置へ供給され、ドラフト装置3の繊維束に合流して紡績装置4へ導入される。
糸送り装置5のデリベリローラ51の回転速度は、弾性芯糸供給装置2の回転ローラ22の回転速度よりも大きく設定されており、これにより、弾性芯糸Dは引き伸ばされた状態(例えば3倍に)で、紡績されるよう構成されている。
糸継ぎ台車9は、供給側となる紡績装置4から連続的に供給されるコアヤーンCを吸引捕捉するサンクションパイプ(供給側糸端捕捉手段)91と、巻取りパッケージ81のコアヤーンCを吸引捕捉するサクションマウス(巻取り側糸端捕捉手段)92と、このサクションパイプ91とサクションマウス92とが捕捉した各コアヤーンCを繋ぐための糸継ぎ装置93と、を備えている。サクションパイプ91及びサクションマウス92の端部は、吸引流発生源(図示省略)によって吸引空気流が発生しており、糸端を吸引、捕捉する。糸継ぎ装置93は、図示しないクランプ部材、カッタ部材、スプライサ等で構成されている。
次に、スラブキャッチャによって糸欠点を検出した際の、糸欠点を除去して糸継ぎする動作について説明する。図3は、糸継ぎ動作等を説明するためのフローチャート図である。図4は、繊維束と芯糸との合流点付近を示す概略斜視図である。
カッター装置6及びスラブキャッチャ7は、機台15の正面側に設けられており、紡績装置4から紡出されたコアヤーンCを通過させるようになっている。そして、スラブキャッチャ7によって、走行するコアヤーンCの糸欠点を検知可能なよう構成されている。
スラブキャッチャ7は、コアヤーンCの糸欠点を検知したとき、紡績ユニットコントローラ13へ信号を送る(S2)。この信号により、コアヤーンCの糸欠点を除去すると共に、次の糸継ぎ動作を開始する。
この信号を受信した紡績ユニットコントローラ13は、直ちにカッター装置6を作動させてコアヤーンCを切断すると共に、ドラフト装置3、弾性芯糸供給装置2及び紡績装置4を一旦停止する(S3)。そして、糸継ぎ台車9は、該当する紡績ユニット1の前まで自走する。その後、紡績ユニットコントローラ13が、ドラフト装置3、弾性芯糸供給装置2及び紡績装置4を再駆動する(S4)。
その際、紡績ユニットコントローラ13は、バックローラ31及びサードローラ32を駆動する駆動モータ35を制御して、バックローラ31及びサードローラ32の回転速度を速くする。これにより、巻取り時よりもドラフト装置3へのスライバSの供給量を多くし、所定期間、太番手化したコアヤーンCを紡出する(S5)。
このように、糸継ぎ時における紡績開始後の所定期間において、バックローラ31及びサードローラ32の回転速度を速くすることによって、図4に示すように、ドラフト装置3におけるミドルローラ33とフロントローラ34との間にあるスライバSの量が増加する。これに伴って、エアサッカー装置26の高圧エアによる乱れが少なくなり、ミドルローラ33とフロントローラ34との間の繊維束の幅Wも広くなる。そして、この繊維束の幅Wが広くなることにより、弾性芯糸供給装置2からの弾性芯糸Dが、フロントローラ34上流側の繊維束に合流し易くなり、芯糸の供給ミスが少なくなり、芯糸のないコアヤーンCの製造を減少させることができる。
そして、サクションパイプ91を上方へ旋回させ、サクションパイプ91の端部にコアヤーンCの糸端を吸引把持させ、下方へ振り下ろす。糸継ぎ前に、バックローラ31及びサードローラ32の回転速度を元に戻して糸太さを元に戻した後(S6)、サクションパイプ91の吸引力を弱めて、コアヤーンCを弛ませることにより、糸縮みが生じて糸太さが通常時の糸太さよりも太くなることを利用して、スラブキャッチャー7によりコアヤーンCの芯糸Dの有無を検知する(S7)。
弾性芯糸Dが入っている正常なコアヤーンCであると判定した場合には、糸継ぎ台車9は、サクションパイプ91、サクションマウス92及び糸継ぎ装置93を操作して、所定の糸継ぎ動作を行うことにより、糸欠点を除去すると共に、紡出側のコアヤーンCと、巻取りパッケージ81側のコアヤーンCとを糸継ぎする(S8)。そして、通常太さの所定番手のコアヤーンCを製造する(S1)。
それに対して、弾性芯糸Dの入っていない不良なコアヤーンCであると判定した場合には、スラブキャッチャー7が、その信号を紡績ユニットコントローラ13へ送る。この信号を受信した紡績ユニットコントローラ13は、直ちにカッター装置6で不良コアヤーンを切断し、再び前記と同様の作業を行う(S3〜S6)。又、異常を報知し停止して、オペレータが手動で異常を取り除いても良い。そして、正常コアヤーンCであると判定した後、紡出側のコアヤーンCと、巻取りパッケージ81側のコアヤーンCとを糸継ぎし(S8)、通常太さの所定番手のコアヤーンCを製造する(S1)。
なお、上記の実施例は、芯糸Dは弾性糸であるが、フィラメントの芯糸でも本発明を適用することができる。
コアヤーン紡績機を示す全体正面図である。 図1の一部断面側面図である。 糸継ぎ動作等を説明するためのフローチャート図である。 繊維束と芯糸との合流点付近を示す概略斜視図である。
符号の説明
1.紡績ユニット
2.弾性芯糸供給装置
21.弾性芯糸パッケージ
24.駆動モータ
3.ドラフト装置
31.バックローラ
32.サードローラ
33.ミドルローラ
34.フロントローラ
6.カッター装置
7.スラブキャッチャ(芯糸有無判定装置)
9.糸継ぎ台車
91.供給側糸端捕捉手段(サクションパイプ)
92.巻取り側糸端捕捉手段(サクションマウス)
93.糸継ぎ装置
S.スライバ
D.弾性芯糸
C.コアヤーン

Claims (4)

  1. ドラフト装置に所定量のスライバを供給し、このスライバに芯糸を合流させてコアヤーンを製造する方法において、紡績開始後の所定期間、前記所定量よりも多い量のスライバをドラフト装置に供給してこの間に芯糸をスライバに合流させ、その後、前記所定量のスライバをドラフト装置に供給することを特徴とするコアヤーンの製造方法。
  2. 前記ドラフト装置の所定のドラフトローラの回転速度によって、ドラフト装置に供給するスライバの量を変更することを特徴とする請求項1に記載のコアヤーンの製造方法。
  3. ドラフト装置に所定量のスライバを供給し、このスライバに芯糸を合流させてコアヤーンを製造する装置において、前記ドラフト装置に供給するスライバの量を変更する手段と、この変更のタイミングを制御する手段とを備え、前記制御手段によって、紡績開始後の所定期間、前記所定量よりも多い量のスライバをドラフト装置に供給してこの間に芯糸をスライバに合流させ、その後、前記所定量のスライバをドラフト装置に供給することを特徴とするコアヤーンの製造装置。
  4. 前記変更手段が、前記ドラフト装置の所定のドラフトローラの回転速度を調整してなることを特徴とする請求項3に記載のコアヤーンの製造装置。
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