JP4069174B2 - 土壌の無害化処理方法 - Google Patents
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Description
本発明は、有機ハロゲン化合物で汚染された土壌の浄化技術に関する。
背景技術
半導体工場や金属加工工場等において脱脂溶剤として過去より多量に使用され、使用後排出されあるいは投棄されてきたトリクロロエチレン等有機塩素系化合物が、土壌または地下水を汚染した状態で蓄積され、工場跡地の再利用や周辺地域の土地開発に障害をもたらし、また、その蓄積有機塩素系化合物による地下水の汚染がこの地下水利用上の障害になる等大きな社会問題となっている。
このような有機塩素系化合物による汚染水を鉄系金属還元剤で処理し、汚染物質を分解させ無害化する方法については、例えば、特公平2−49158号公報、特公平2−49798号公報、特許第2636171号公報、特表平5−501520号公報および特表平6−506631号公報に開示されている。
特公平2−49158号公報の方法は、被処理水即ち難分解性ハロゲン化炭化水素含有水をpH6.5〜9.5に調整したのち鉄等卑金属系還元剤により還元処理する方法であり、特公平2−49798号公報の方法は、有機化合物を有する被処理水を金属系還元剤により無害化処理するにあたり、予め被処理水をpH6.5以上とし、還元性物質により酸化還元電位を下げて酸化性物質を除去しておく方法であり、特許第2636171号公報の方法は、有機ハロゲン化合物を含有する汚染水に水素を供給して溶存酸素を除いた後、鉄等金属を担持した活性炭等担体物質に接触させて還元処理を行う方法である。
また、特表平5−501520号公報の方法は、ハロゲン有機汚染物質による汚染地下水の浄化方法として、酸素が遮断された環境の下で、汚染地下水を鉄粒子等金属体からなる透過性の地中層に通して汚染物質の分解を行わせる方法であり、さらに、特表平6−506631号公報の方法は、同様の汚染地下水の浄化方法として、汚染地下水を地中に形成した活性炭等吸着物質と鉄ヤスリ屑等金属粒子からなる混合物による透過性の層を通過させることで、汚染物質の吸着・分解を行わせる方法である。
その他、汚染地下水については、この汚染地下水を土壌外に抽出して無害化処理する真空抽出法や揚水曝気法等があり、また、土壌については、土壌を掘削して加熱処理によって無害化する熱脱着法および熱分解法が知られ、さらにまた、土壌または地下水中の汚染物質を分解して無害化する方法として、微生物を利用したバイオレメディエーション法による浄化法が知られている。
しかしながら、特公平2−49158号公報、特公平2−49798号公報および特許第2636171号公報の発明方法は、いずれも用水あるいは工場排水を処理対象としているもので、汚染地下水の処理には面倒な汚染水の揚水作業が前提となり、また、汚染水についてpH調整および他の還元物質や水素ガスの供給等による溶存酸素の除去操作を必要としているので、汚染された土壌または地下水の原位置処理には適用し難く、さらに、反応性の低い鉄還元剤を用いているため活性炭等に担持させて用いる等コストの点からも不利な面が多い。
また特表平5−501520号と特表平6−506631号の発明方法は、地下水を対象とした原位置処理法でもあるが、汚染地域を流れる地下水流による下流域への汚染拡散防止を主な目的としており、汚染地域自体の無害化を目的としたものではない。さらに、金属還元剤を活性炭による吸着剤と併用する、また鉄の層が地下水中の炭酸塩イオンと反応して生成した炭酸鉄(FeCO3)により閉塞し、そのため定期的に交換を必要とする等コストの点から不利な面が多い。即ち、有機塩素系化合物で汚染された土壌および土壌中の汚染水の無害化処理に関して、従来の技術の場合、次のような問題があった。
(1)真空抽出・揚水ばっき等で汚染物質を含む土壌ガス・地下水を地中より抽出、揚水する方法では、土壌ガス、抽出水について汚染物質除去および分解のため活性炭や分解剤を使用するにあたり地上に設備を設け、抽出、揚水して発生した汚染物質を無害化処理を行う等、高コストな別途処理を必要としている。また、土壌そのものを浄化するものでないので、前記したような土地開発上の障害を除く等の目的は達成できず、十分な無害化処理方法とはいえない。
(2)鉄等金属系還元剤による地下水浄化法は、飽くまでも地下水を対象とするものであり、汚染地下水の拡散は防げても、土壌自体の汚染を浄化するものではなく、したがって、地下水の水位以上の不飽和帯あるいは掘削後の土壌の浄化に適用できないので、上記方法と同様に十分な無害化処理方法とはいえない。
また、本法は地下水の通過性を良くし、かつ上述したような閉塞の問題を避けるために、粒度の大きい鉄を使用する。そのため反応性が悪く使用量も多くなるためコスト面でも不利がある。
また、他の方法も汚染水を対象としたものであり、鉄等金属系還元剤を用いて有機塩素系化合物等汚染物質を水に満たされた環境で浄化する場合に限定されていた。
(3)掘削土壌を高温で熱分解する方法では、土壌を加熱処理する大がかりな設備が必要であり、かつ土壌粒子自体が熱により変質し、例えば、構造物を支持する、生物を生息させるといった土壌の機能が著しく損なわれるため、処理後の土壌の再利用が難しくなる。
(4)バイオレメディエーション法では、各々の土壌のもつ特性により全ての土壌に適応可能なわけではなく、又、可能であったとしても微生物作用によるため反応が遅く、長期の処理期間を必要としている。
発明の開示
従って、本発明は、地下水水位以下の飽和帯の土壌のみならず、水で満たされていない地下水水位以上の不飽和帯の土壌あるいは掘削後の土壌を含む土壌全般を処理対象とすることができ、有機塩素系化合物等の有機ハロゲン化合物で汚染された土壌について比較的安価な鉄材のみの還元剤により、短期間で、且つ、常温で汚染物質を分解できる土壌の無害化処理方法の提供を目的とする。
第1の態様において本発明は、地下水水位より深部に位置する土壌または地下水水位より浅部に位置する土壌または掘削した土壌であって、かつ有機ハロゲン化合物で汚染された、含水率が5重量%以上の土壌に鉄粉を存在させること、または前記土壌の近傍に鉄粉を存在させることにより、前記有機ハロゲン化合物を分解して前記土壌を浄化することを特徴とする土壌の無害化処理方法を提供する。
前記鉄粉としては、0.1重量%以上の炭素を含み且つ500cm2/g以上の比表面積を有し、50重量%以上が150μmのふるいを通過する粒度を有するものを選び、前記土壌に対して0.1〜10重量%の範囲内で前記土壌またはその近傍に存在させることにより、前記土壌の無害化処理方法を好適に実施することができる。
また、前記鉄粉として、銅含有鉄粉であって、該銅含有鉄粉の銅含有率が0.1〜20重量%の範囲内にあるものを選び、前記土壌に対して0.1〜10重量%の範囲内で前記土壌またはその近傍に存在させることにより、前記土壌の無害化処理方法を好適に実施することができる。
第2の態様において本発明は、前記鉄粉を前記土壌またはその近傍に存在させる際に、前記鉄粉と共に水溶性であって、水中で弱酸性を示す還元性物質を添加することを特徴とする土壌の無害化処理方法を提供する。
前記水溶性であって水中で弱酸性を示す還元性物質が窒素およびリンを含むものを除く無機化合物から選ばれ、その添加量は前記土壌に対して100ppm以上であることが好ましい。
また、前記水溶性であって水中で弱酸性を示す還元性物質は亜硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウムおよび亜ジチオン酸ナトリウムからなる群より選ばれた1種または2種以上の化合物であることが好ましい。
前記有機ハロゲン化合物を分解するpHは3.5〜9の範囲内にあることが好ましい。
第3の態様において本発明は、前記有機ハロゲン化合物を分解する際、前記土壌に熱を付与して自然温度よりも昇温させることを特徴とする土壌の無害化処理方法を提供する。
前記土壌への与熱は、無機化合物の化学反応熱、熱媒、またはジュール熱のいずれか1つ以上を利用することにより行うことができる。
前記有機ハロゲン化合物はジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、メチルクロロホルム、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,3−ジクロロプロペンおよび1,3−ジクロロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機ハロゲン化合物である。
第4の態様において本発明は、前記土壌に前記鉄粉または前記銅含有鉄粉の少なくとも1種を均一混合することを特徴とする土壌無害化処理方法を提供する。
第5の態様において本発明は、前記土壌に前記鉄粉または前記銅含有鉄粉の少なくとも1種を均一混合することなく、前記土壌の近傍の地中に分散させることを特徴とする土壌の無害化処理方法を提供する。
第5の態様の一つの例としては、前記鉄粉または前記銅含有鉄粉の少なくとも1種と土壌との層状混合攪拌相を施工する手段により前記鉄粉または前記銅含有鉄粉の少なくとも1種を分散させる方法がある(ここでいう層状混合撹拌相は地表面に対して水平でもよいし、垂直あるいは斜めの角度を有したものでもよい)。
第5の態様の今一つの例としては、前記鉄粉または前記銅含有鉄粉の少なくとも1種と土壌との柱状混合攪拌相を施工する手段により前記鉄粉または前記銅含有鉄粉の少なくとも1種を分散させることを特徴とする方法がある(ここでいう層状混合撹拌相は地表面に対して水平でもよいし、垂直あるいは斜めの角度を有したものでもよい)。
第5の態様のさらに今一つの例としては、前記鉄粉または銅含有鉄粉の少なくとも1種と土壌との層状混合攪拌相と、前記鉄粉または銅含有鉄粉の少なくとも1種と土壌との柱状混合攪拌相と、を組み合わせて施工する手段により前記鉄粉または前記銅含有鉄粉の少なくとも1種を分散させる方法がある。
第5の態様のさらに今一つの例としては、前記層状混合攪拌相を複層状態に施工する方法がある。
前記層状混合攪拌相と前記柱状混合攪拌相における相互間隔が0.05〜5mであることが望ましい。
第6の態様において本発明は、地下水水位より深部に位置する土壌または地下水水位より浅部に位置する土壌であって、かつ有機ハロゲン化合物で汚染された、含水率が5重量%以上の土壌を原位置で浄化する方法であって、気体を汚染域またはその近傍に吹き込むことによって上記汚染物質の移動を促進させ、あらかじめ汚染域又はその近くに敷設した鉄粉混合攪拌相で分解処理することを特徴とする土壌の無害化処理方法を提供する。
前記気体は、空気に比べて酸素含有率の低いガスであり、さらに好ましくは純度98%以上の窒素ガスである。
第7の態様において本発明は、地下水水位より深部に位置する土壌または地下水水位より浅部に位置する土壌であって、かつ有機ハロゲン化合物で汚染された、含水率が5重量%以上の土壌を飽和帯の原位置で浄化する方法であって、気体を飽和帯中の汚染域またはその近傍に吹き込むことによって上記汚染物質の移動を促進させ、あらかじめ汚染域の近くに敷設した鉄粉混合攪拌相で分解処理する土壌の無害化処理方法を提供する。
第6または第7の態様の一つの例では、前記鉄粉混合攪拌相は、厚さが1cm以上の単層が少なくとも1つ以上存在する混合攪拌相である。
第6または第7の態様の今一つの例では、前記鉄粉混合攪拌相は、径が1cm以上の単柱が少なくとも1つ以上存在する混合攪拌相である。
第6または第7の態様のさらに今一つの例では、前記鉄粉混合攪拌相は、少なくとも1つ以上存在する厚さが1cm以上の単層と、少なくとも1つ以上存在する径が1cm以上の単柱とからなる混合撹拌相である。
発明を実施するための最良の形態
本発明は、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、メチルクロロホルム、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,3−ジクロロプロペンおよび1,3−ジクロロプロパンなどの有機ハロゲン化合物により汚染された土壌を浄化の対象とし、これらの有機ハロゲン化合物を分解させ無害化することを特徴としている。
汚染土壌の浄化に用いる鉄粉は、炭素量が0.1重量%以上であり、殆どの普通鋼成分及び普通鋳鉄成分のものが含まれる。炭素量が0.1重量%より低いと汚染物質の分解速度が遅くなり実用的ではない。また、鉄粉の粒度は目開き150μmのふるいを全体の50重量%以上が通過するように調整されたものを用いる。これより粗い粒度の鉄粉を用いれば、汚染物質の分解速度が低下すると共に、鉄粉の利用効率が低下し、より多くの鉄粉添加量を強いられるため、経済的に不利となる。
土壌に添加する鉄粉としては、汚染物質との接触面積を大として反応効率を高める点から比表面積が500cm2/g以上、望ましくは2000m2/g以上の海綿状の鉄粉および/または銅含有鉄粉が用いられる。また、同時に鉄粉としては、汚染物質との反応性を高める点で、結晶成長度が低く、結晶構造としてパーライト組織が存在するものが望ましい。
前記銅含有鉄粉は、例えば鉄粉を硫酸銅水溶液等の銅イオンを含む溶液中に混合して得られた沈澱物を回収することによって容易に調製される。銅含有鉄粉の銅含有率は0.1〜20重量%の範囲内とするのが好ましい。銅含有率が0.1重量%より大きい場合、有機塩素化合物の分解速度に顕著な効果を期待でき、銅含有率が20重量%を超えると銅含有鉄粉の原価が高くなり経済的に不利となる。
土壌または地下水への鉄粉の添加量は、土壌の湿重量に対して、0.1〜10重量%の範囲とする。0.1重量%よりも添加量が少ないときには分解速度が著しく低下し、10重量%を越える多量の添加量では、経済的に不利となる。
鉄粉を土壌に添加して混合するには、原位置処理の場合、空気または水等による高圧媒体を利用して地中に散布する方法または地盤改良工事で利用される土木機械を用いて機械的に掘削混合する方法がとられる。掘削処理の場合は、ニーダー、ミキサー、ブレンダー等の混合装置の利用も可能である。特に掘削した土壌が粘土質等で流動性が低い場合、数個の軸を持つ回転するハンマーによる打撃式混合方法が望ましい。
なお、鉄粉は表面が酸化されることで徐々に不活性化して反応力が低下するので、鉄粉による汚染物質の分解作用を助けるために、鉄粉を混合した後の土壌に対して新たな酸素あるいは酸化性物質の供給が行われないように注意する必要がある。即ち、原位置処理または掘削後処理において、土壌表面が新たな外気と直接接触しないようにすることが望ましい。
また、本発明者らは、鉄粉による汚染土壌の原位置処理を目標にして土壌中の有機塩素系化合物の効果的な分解除去法を確立すべく種々の試験研究を重ねてきたが、汚染土壌に熱を付与して自然温度よりも昇温させると有機塩素系化合物の分解が著しく促進されることを知見した。そして、この汚染土壌への与熱は、無機化合物の中和熱・水和熱・その他の化学反応熱を利用すれば比較的簡単に且つ無害に行えることも明らかとなった。また使用する鉄粉としては、炭素含有量が1重量%以上、比表面積が500cm2/g以上、粒度が150μmのふるいを通過するものが50重量%以上で、鉄粉表層上にパーライト状の組織が形成されている海綿状の鉄粉が特に好適であることがわかった。
汚染土壌への与熱手段としては、発熱を起こす無機化合物を単独または組み合わせて該土壌に添加するのが最も簡易である。例えば中和熱を利用する場合には、酸性化合物と塩基性化合物を添加して無害な塩を生成させ、水和熱を利用する場合には、生石灰等の水和反応熱を生成する無機化合物を添加すればよい。このような単独または組み合わせて使用する酸性無機化合物としては、鉱酸である硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等が好ましく、塩基性無機化合物としては、生石灰、消石灰、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等が好ましい。このような無機化合物をその種類によって水溶液の形態もしくは固体の状態で土壌に添加することによって、また固体状態のものはその添加の前または後にさらに水を添加することによって、土壌の温度を自然温度より高く維持させることができる。
汚染土壌への他の与熱手段としては熱媒またはジュール熱も利用できる。熱媒としては昇温された空気または水もしくはその複合体(温風、温水、熱水、上記等)を用いるのが経済的である。これらを直接的に土壌中に供給して土壌を昇温させることもできるし、熱交換パイプを敷設し、その中に該熱媒を通して該孔から土壌中に該熱媒を供給させるようにしてもよい。ジュール熱を利用する場合には、温室栽培で利用されているように、通電により発熱する発熱マットや電熱線を土壌中に敷設するのが便利である。
以上のような土壌処理を行うことにより、2〜3か月で日本における土壌の汚染に係る環境基準(平成3年8月23日環告、改正、平5環告19、平6環告5・環告25、平成7年環告19)以下まで土壌を無害化することができる。
本発明の態様1〜7をそれぞれ実施例1〜7によってさらに具体的に説明する。
実施例1から4までのサンプルの調整は次のように行った。内径100mm×高さ500mmの塩化ビニル製の光を透さない容器に、トリクロロエチレンで汚染された土壌と所定割合の鉄粉とを混合して作成した試料を封入した。さらに容器下部から150mmまでは蒸留水を添加して地下水水位以下の土壌に相当する飽和帯を再現し、上部350mmは地下水水位以上の土壌に相当する不飽和帯を再現した。
試料は、前もって予定されるサンプルの数だけ容器を用意して作成し、所定期間常温で放置した後、各容器ごとにサンプリングを行った。サンプルは筒型のサンプラーを用いて容器最上部から最下部まで棒状に採取したので、サンプル中には、飽和帯土壌と不飽和帯土壌の両方が含まれている。
鉄粉は同和鉄粉工業(株)製、海綿状鉱石還元鉄粉(E−200)を原料として還元精製、焼結、粉砕、ふるい分けの操作により所定の物性値に調整したものを用いた。
トリクロロエチレンの分析方法について、当該鉄粉が有機塩素化合物を分解している状況をより完全に把握するため環境基準に準拠した方法ではなく、土壌中の水分含有量を測定し、土壌乾量に対するトリクロロエチレン濃度を求める方法によった(本方法は、社団法人日本環境測定分析協会発行「環境と測定技術」Vol.16,No.15,1989,31−34に記載の方法に準ずる)。
尚、日本における土壌環境基準は土壌重量の10倍量の水への溶出値(mg/l)で示される。よって、日本の土壌環境基準値(mg/l)の10倍値以下の含有量値(mg/kg)であれば土壌環境基準を満たすと判断できる。
[実施例1]
鉄粉の粒度を変えて土壌中のトリクロロエチレンの分解状況を調べた。
鉄粉には、炭素含有量が0.2重量%、比表面積が2,000m2/gのものを用い、土壌に対する添加量を0.2重量%とし、土壌に鉄粉を加えなかった場合と、土壌に50重量%以上が300μmのふるいを通過する粒度の鉄粉を加えた場合と、土壌に50重量%以上が150μmのふるいを通過する粒度の鉄粉を加えた場合とについてトリクロロエチレンの分解状況を調べた。
結果を第1表に示した。
この結果から、鉄粉の粒度としては、50重量%以上が150μmのふるいを通過する粒度が望ましいことがわかる。
[実施例2]
鉄粉の土壌への添加割合を変えてトリクロロエチレンの分解状況を調べた。
鉄粉は、炭素含有量が0.2重量%、比表面積は2,000cm2/gのものとし、粒度としては、50重量%以上が150μmのふるいを通過するものを用い、鉄粉を土壌に添加しない場合と、鉄粉を0.03重量%、0.1重量%及び1.0重量%の割合で添加した場合についてトリクロロエチレンの分解状況を調べた。
結果を第2表に示した。
この結果から、鉄粉の土壌への添加割合としては少なくとも0.1重量%以上、望ましくは0.2重量%以上の場合が望ましいことがわかる。
[実施例3]
鉄粉の炭素含有量を変えてトリクロロエチレンの分解状況を調べた。
鉄粉には、比表面積が2,000cm2/gのものを用い、土壌に対する添加割合を0.2重量%とし、粒度としては50重量%以上が150μmのふるいを通過するものを用い、炭素含有量が0.005重量%、0.05重量%、0.1重量%及び0.2重量%の鉄粉について、トリクロロエチレンの分解状況を調べた。
結果を第3表に示した。
この結果から、鉄粉としては炭素含有量が0.1重量%以上、望ましくは0.2重量%以上のものが望ましいことがわかる。
[実施例4]
単位重量当たりの表面積即ち比表面積の異なる鉄粉についてトリクロロエチレンの分解状況を調べた。
鉄粉には、炭素含有量が0.2重量%で、粒度としては50重量%以上が150μmのふるいを通過する粒度分布のものを用い、土壌への添加割合は0.2重量%とし、鉄粉の比表面積を300cm2/g、500cm2/gおよび2,0000m2/gとした場合のトリクロロエチレンの分解状況を調べた。
結果を第4表に示した。
この結果から、鉄粉の比表面積は少なくとも500cm2/g以上、望ましくは2,000m2/g以上のものにおいて顕著な効果が得られることがわかる。
以上のように、有機塩素化合物分解に必要な鉄粉とは、鉄粉中の炭素含有量が0.1重量%以上で、150μmのふるいを50重量%以上が通過する粒度分布を有し、比表面積としては500cm2/g以上特には2,000cm2/g以上で、且つ、土壌に対して土壌の0.1重量%乃至10重量%の割合で添加することにより従来には見られない顕著な効果を得ることができたものである。
[実施例5]
土壌の含水率(%)の違いによるトリクロロエチレンの分解状況を調べるため、乾燥状態の異なる不飽和帯土壌を再現した試験を行った。
100mlガラスバイアルびんに、乾燥土壌:40g、トリクロロエチレン:1μl、鉄粉E−200:1gおよび添加量を変化させて水を加え混合した後放置し、ヘッドスペース中のTCE濃度変化を測定した。
上記試験結果より、飽和帯の存在しない系でも土壌中の水分量が5%以上あれば当該方法によるトリクロロエチレンの分解が効果的に進行することが判明した。
[実施例6]
銅含有鉄粉による地下水浄化の効果について検討するため、銅含有鉄粉による分解試験を次のようにして行った。
100mLバイアル瓶(日電理化硝子製、容量120mL)中に脱イオン水100mLを入れ、これに有機塩素化合物1μLと銅含有鉄粉0.6gを加えた後、テフロンライナー付きゴム栓とアルミキャップでバイアル瓶を密封した。このとき、バイアル瓶の上部に20mL程度のヘッドスペースが生じる。密封した前記のバイアル瓶を恒温室内で振とう機を使用して120回/minの振とう速度で振とうした。
前記のヘッドスペースから一定時間毎に100μLのサンプルガスを採取し、ガスクロマトグラフ質量分析装置GC−MS(ヒューレット・パッカード社製HP−5973)によって分析を行い、各サンプル内の有機塩素化合物濃度の経時変化を求めた。
試験に使用する銅含有鉄粉は、50g/lの硫酸銅水溶液を調製し、この溶液に鉄粉(E−200)を添加し(重量比で銅:鉄=1:3.5)、析出したものを吸引濾過装置で回収後、真空乾燥することによって作成した。この操作によって銅含有率20重量%の銅含有鉄粉を得た。
有機塩素化合物として、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、メチルクロロホルム(トリクロロメタン)、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,3−ジクロロプロペンおよび1,3−ジクロロプロパンの16物質を選び、それぞれについて上記の方法で銅含有鉄粉による分解試験を行った。試験の結果を第6表に示す。
これら16物質のうち、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレンおよび1,3−ジクロロプロパンは、反応開始後13日以内にその含有量が半減または半分以下に減少した。シス−1,2−ジクロロエチレンと1,3−ジクロロプロペンは、反応開始から1〜5日後に残存率が10%以下になった。その他の物質は、反応開始から1〜5日後に検出限界値以下のレベルまで減少した。
さらに、これら16物質の分解産物は、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロペン等の無害ガスであり、その他の中間副生成物は検出されなかった。
[比較例1]
銅含有鉄粉の代わりに鉄粉(E−200)を使用した以外は実施例6と同様の方法で、上記16物質について分解試験を行った。試験の結果を第6表に示す。
これら16物質のうち、四塩化炭素、1,1,1,2−テトラクロロエタンおよび1,1,2,2−テトラクロロエタンは、反応開始後1日で85%以上の分解を示したが、その他の物質については、反応開始後1〜13日では有意な濃度減少がみられなかった。
[実施例7]
銅含有鉄粉による土壌浄化の効果について検討するため、40g砂質土壌中に脱イオン水で調製したトリクロロエチレン溶液を加えて、100mg/kgのトリクロロエチレン汚染土壌を作製した。この土壌に重量比2.5%の銅含有鉄粉を混合し、容量120mLバイアル瓶中で密封することによってサンプル試料とした。トリクロロエチレン濃度測定は、GC−FIDによって経時的に行なった。分解期間中、試料サンプルは25℃恒温室中に静置した。
第7表から、トリクロロエチレンは、反応開始後3日以内に検出限界値以下のレベルまで減少した。さらに、分解産物はエチレンとエタンのみの無害化ガスであり、その他の中間産物は検出されなかった。
この傾向はトリクロロエチレンの分解に限らず、テトラクロロエチレンやメチルクロロホルム、ジクロロメタンなどの有機塩素化合物について見られた。
[比較例2]
銅含有鉄粉の代わりに鉄粉(E−200)を使用した以外は実施例7と同様の方法でトリクロロエチレンについて分解試験を行なった。試験の結果を第7表に示す。
トリクロロエチレンは反応開始後3日で65%以上、12日で99%以上の分解を示したが、銅含有鉄粉を用いた場合と比較して反応時間が長くかかることが確認された。
[実施例8]
本発明の方法によれば、水溶性であって水中で弱酸性を示す還元性物質、特に亜硫酸水素ナトリウムを併用することによって鉄粉による有機ハロゲン化合物の還元が著しく促進され、反応速度を速めることができる。
水溶性であって水中で弱酸性を示す還元性物質は鉄粉と一緒に同時に地下に注入してもよいし、あるいは鉄粉注入とは別の経路で予め被処理汚染源に添加してもよい。水溶性であって水中で弱酸性を示す還元性物質の添加量が被処理物に対して100ppm未満であれば水溶性であって水中で弱酸性を示す還元性物質の併用効果が極めて低く実用的でない。したがって添加量は100ppm以上であることが望ましい。さらに望ましい添加量の範囲は500〜10000ppmである。これは、添加量が500ppm以上ではさらに顕著な反応促進効果が見られるが、10000ppmを超えると処理に要する薬剤費が高くなり実用的でなくなるからである。
有機ハロゲン化合物としてトリクロロエチレン(TCE)100ppmを含有する水に亜硫酸水素ナトリウムを(NaHSO3)500ppm加え、さらに鉄粉(E−200)を6000〜12000ppm添加して容器内に密封した後、容器を振とうした。容器上部のヘッドスペースから一定時間毎にガスのサンプルを採取し、トリクロロエチレン濃度の経時変化を測定した。測定結果を第8表および第1図に示す。第8表および第1図から明らかなように、時間の経過と共にトリクロロエチレン濃度は急速に減少し、例えば鉄粉添加量が6000ppmの場合、8日後にはトリクロロエチレンの濃度が10ppm以下に減少した。
[比較例3]
亜硫酸水素ナトリウムを添加しなかった点を除けば実施例8と同じ条件でトリクロロエチレン濃度の経時変化を測定した。得られた結果を第9表および実施例8の結果と併せて第1図に示す。第9表および第1図によれば、亜硫酸水素ナトリウムを使用しなくても鉄粉の使用によってトリクロロエチレン濃度は時間経過と共に着実に低下するが、例えば鉄粉を6000ppm添加した場合、トリクロロエチレン濃度が10ppm以下まで低下するには26日以上の時間を要した。
[実施例9]
有機ハロゲン化合物としてトリクロロエチレン(TCE)100ppmを含有する水に二亜硫酸ナトリウム(Na2S2O5)を500ppm加え、さらに鉄粉(E‐200)を6000ppm添加して容器内に密封した後、容器を振とうした。容器上部のヘッドスペースから一定時間毎にガスのサンプルを採取し、トリクロロエチレン濃度の経時変化を測定した。測定中のpHは4.7〜6.6であった。測定結果を第10表および第2図に示す。第10表および第2図から明らかなように、時間の経過と共にトリクロロエチレン濃度は急速に減少し、鉄粉添加量が6000ppmの場合、10日後にはトリクロロエチレンの濃度が10ppm以下に減少した。
[実施例10]
有機ハロゲン化合物としてトリクロロエチレン(TCE)100ppmを含有する水に亜ジチオン酸ナトリウム(Na2S2O4)を500ppm加え、さらに鉄粉(E−200)を6000ppm添加して容器内に密封した後、容器を振とうした。容器上部のヘッドスペースから一定時間毎にガスのサンプルを採取し、トリクロロエチレン濃度の経時変化を測定した。測定中のpHは4.3〜6.6であった。測定結果を第11表および第3図に示す。第11表および第3図から明らかなように、時間の経過と共にトリクロロエチレン濃度は急速に減少し、鉄粉添加量が6000ppmの場合、10日後にはトリクロロエチレンの濃度が10ppm以下に減少した。
[実施例11]
有機ハロゲン化合物としてトリクロロエチレン(TCE)100ppmを含有する水に亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3)を500ppm加え、さらに鉄粉(E−200)を6000ppm添加して容器内に密封した後、容器を振とうした。容器上部のヘッドスペースから一定時間毎にガスのサンプルを採取し、トリクロロエチレン濃度の経時変化を測定した。測定中のpHは4.7〜6.6であった。測定結果を第12表および第4図に示す。第12表および第4図から明らかなように、時間の経過と共にトリクロロエチレン濃度は急速に減少し、鉄粉添加量が6000ppmの場合、10日後にはトリクロロエチレンの濃度が10ppm以下に減少した。
[参考例1]
有機ハロゲン化合物としてトリクロロエチレン(TCE)100ppmを含有する水に鉄粉(E−200)を6000ppm添加して空気とともに容器内に密封した後、容器を振とうした。容器上部のヘッドスペースから一定時間毎にガスのサンプルを採取し、トリクロロエチレン濃度の経時変化を測定した。一方、容器内の空気を100%CO2で置換した以外は同様の実験を行った。測定結果を第13表および第5図に示す。第13表および第5図から明らかなように、時間の経過と共にトリクロロエチレン濃度は減少するが、空気をCO2で置換し場合は反応速度が顕著に改善されることがわかる。
[参考例2]
有機ハロゲン化合物としてトリクロロエチレン(TCE)100ppmを含有する水に(1)鉄粉10000ppmのみ、(2)鉄粉10000ppmと亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)0.04M、(3)鉄粉10000ppmと亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3)0.04Mをそれぞれ添加して容器内に密封した後、容器を振とうした。容器上部のヘッドスペースから一定時間毎にガスのサンプルを採取し、トリクロロエチレン濃度の経時変化を測定した。測定結果を第14表および第6図に示す。第14表および第6図から明らかなように、時間の経過と共にトリクロロエチレン濃度は減少するが、鉄粉のみ添加の場合は速度が小さく、鉄粉と亜硫酸ナトリウムとを共存させた場合は反応速度が僅かに促進される。これに対し、鉄粉と亜硫酸水素ナトリウムとを共存させた場合は反応速度が顕著に促進される。
以下に、実施例を挙げて、熱を付与すると、土壌中の有機塩素系化合物が鉄粉で良好に分解し無害化されることを示す。
[実施例12]
第7図に示すように、蓋付き容器1(容量2リットル)に試験土壌2(ほぼ3kg)を装入し、容器ごと恒温槽3内にセットして一定温度に維持する。容器1のヘッドスペース4はほぼ100cm3である。容器1にはガスサンプリングのためのセプタム5が取り付けてある。このセプタム5にマイクロシリンジ6を差し込むことによって、ヘッドスペース4内のガスを該シリンジ6に採取し、この採取したガスを分析器で分析する。分析器はヒューレットパッカード社製のGC−MSを用いた。この分析器により、採取ガス中の有機塩素化合物の濃度が計測できる。
試験土壌として、含水率が10%の土壌に、トリクロロエチレン(TCE)を5mg/kg、鉄粉を1重量%分散含有させたものを使用した。使用した鉄粉は、同和鉄粉工業株式界社製の商品名E−200である。この鉄粉は、炭素含有量が0.3%で、150μmの篩を60重量%通過する粒度を有し、比表面積が2000cm2/g以上であり、表層にはパーライト状の組織が存在している。
この試験土壌2を入れた容器1を、40℃に維持した恒温槽3内で30日間静置し、ヘッドスペース4のガスを分析した。その結果を第15表に示した。
比較のために、鉄粉を添加しなかった以外は前記と同じ試験土壌について同じ試験(40℃での恒温保持)を行った。その結果も比較例Aとして第15表に併記した。また、実施例13と同じ試験土壌(鉄粉入り)を装填した容器を恒温炉に入れずに、17〜25℃の室温に保持した例を比較例Bとして第15表に併記した。
第15表の結果から、鉄粉を添加して与熱すると気相のTCEは完全に分解し、土壌の外には有機塩素化合物は放出しないことがわかる。なお、第15表中の「〈0.001」は検出はされたが定量できるほどの量ではないことを意味している。これに対し、鉄粉を添加しても与熱しない比較例Bでは与熱した場合に比べるとTCEの分解は遅く、分解には時間を要することがわかる。
[実施例13]
第8図に示したように、円筒形の断熱容器7(内直径30cm、高さ36cm)内に、下層から順に、厚さ5cmの非汚染土壌層、厚さ1cmの生石灰層、厚さ5cmの非汚染土壌層、厚さ10cmのTCE汚染土壌層、および厚さ10cmの(TCE汚染土壌+鉄粉)層を積層した。
生石灰層はフレーク状の生石灰であり、使用量はほぼ2kgである。TCE汚染土壌は、非汚染土壌にトリクロロエチレン(TCE)を7.5mg/kgの濃度で均一に分散させたものである。(TCE汚染土壌+鉄粉)層は、該TCE汚染土壌に鉄粉を1重量%の濃度で均一に分散させたものである。使用した鉄粉は実施例13と同じものである。
以上のように各材料を容器7内に積層し、その上に水1リットルを散水したあと蓋をした。また、表層から10cm深さのところの土中温度を測定できるように測温計8をセットした。同一のものを4組作って周囲温度が15〜27℃の直射日光が当たらない保管場所に静置し、各々日数を変えて蓋9を取り、表層から19〜20cm深さ部分(鉄粉を添加しないTCE汚染土壌)からサンプリングし、TCE濃度を測定した。TCE濃度の測定は、土壌中の水分含有量を測定して土壌乾量を求め、この土壌乾量に対するTCE濃度を求める方法(社団法人日本環境測定分析協会発行「環境と測定技術」Vol.16,No.15,1989,p31−32の方法に準ずる)によった。この方法によると、TCEが分解して除去された状況が把握できる。この濃度測定結果を測温結果とともに第16表に示した。
比較のために、生石灰を装填せず且つ散水しなかった以外は、前記実施例13と同様の試験を行った。その充填状態を第9図に示した。この場合の温度およびTCE濃度の測定結果を比較例イとして第17表に示した。
さらに、鉄粉も生石灰も使用せず且つ散水しなかった以外は、前記実施例13と同様の試験を行った。その充填状態を第10図に示した。この場合の温度およびTCE濃度の測定結果を比較例ロとして第18表に示した。
第16表の結果から、これを第17表のものと対比すると明らかなように、与熱があるとTCEの浄化速度が速くなり、30日目では、与熱なしの0.80mg/kgから0.023mg/kgの極低域までTCE濃度が低減した。しかも、この極低域までTCE濃度が低減した土壌の位置(サンプリング位置)は、TCE汚染土壌層(鉄粉無添加層)内であり、且つ鉄粉含有層から最も離れたところである。すなわち、鉄粉の存在する位置に拘わらず、与熱によって、TCE汚染土壌全体にわたってTCEが分解除去されたことがわかる。
他方、第17表と第18表の対比から、鉄粉の存在はTCEの分解に寄与することが明らかであり、前記とサンプリング位置(鉄粉無添加のTCE汚染土壌層)でも鉄粉の存在によって、存在しない場合よりもTCE濃度が低下するが、与熱しないと第17表のように極低濃度にまでは達しない。
したがって、鉄粉の存在はTCE分解に寄与するが、与熱があると一層分解が促進され、しかも鉄粉から離れた位置に存在するTCEも良好に分解できることが明らかである。
以上説明したように、本発明によると、有機塩素系化合物で汚染された土壌を鉄粉を用いて浄化する場合に有機塩素系化合物の分解を良好に行わせることができ、短期間で浄化処理が終了する。そして、本発明法は大気への有機塩素系化合物の放出が防止でき有害な二次生成物の発生も防止できるし、処理が簡易で経済的であるから、最近の緊急課題である汚染土壌の浄化技術として多大の貢献ができる。
[実施例14]
本発明の実施に際しては、土地の使用履歴、対象とする汚染土壌中に含まれる汚染物質の種類、量、存在形態、汚染範囲即ち汚染域の広さと深さ等汚染状況の他、汚染物質の水への溶解度、蒸気圧、比重、粘性、表面張力、土壌への吸着能力等汚染物質の物性、また、土質(土壌粒子の粒径、透水係数、コーン指数)、土壌温度、含水率、土壌空隙率、地下水位、水量、流速、地下水流方向等を把握した上で施工を行うことが望ましい。
有機塩素系化合物を分解する反応剤としては、還元作用を有する卑金属材の粉体、特に鉄粉が望ましく、さらに望ましいのは、海綿状鉄粉である。
原位置における施工は、主として土地の汚染状況に対応して、鉄粉等反応剤と表層土壌との層状混合攪拌相を対象汚染域の上部乃至上方に施工することで行われる。汚染範囲即ち汚染域の広さと深さに対応して複数の層状混合攪拌相を水平方向に相互間隔をもって並設し、あるいは、複数の層状混合攪拌相を上下方向に相互間隔をもって積層することによって行われる。上記の相互間隔は、好ましくは0.05〜5mであるが一定とは限らず、積層位置も垂直方向に重層状態になるとは限らない。さらに、局所的な汚染箇所を対象とした場合においては、上記の層状混合攪拌相の積層手段の他、地表から垂直孔を穿設し、この垂直孔に鉄粉等反応剤と土壌との攪拌材を柱状に埋設した状態に柱状混合攪拌相を形成することによって施工できる。上記混合攪拌相の相互間隔は層状混合攪拌相と柱状混合攪拌相間の相互間隔にも適用されるものであり、下限の0.05mは作業上の便宜のためであり、上限の5mを越えると、汚染物質の分解に著しい遅延を生じるので得策ではない。
なお、上記の柱状混合攪拌相の内径は、大口径になれば施工にかかる時間や労力が増大する。コアの内径が10cm以下の簡易型土木穿孔機を用いて、土壌中に網目状、三角格子状に等間隔に施工するのが望ましい。その際の柱状混合攪拌相間の間隔は、鉄粉量、土質、汚染物質の種類、量等によって異なるが、10m以内、好ましくは5m以内に施工する。
上記層状混合攪拌相および柱状混合攪拌相の形成においては、有機塩素系化合物で汚染された土壌すべてに鉄粉等反応剤を均質に混合攪拌する必要はないが、これは、地中汚染物の有機塩素系化合物を分解する鉄粉等反応剤を局部的に偏在させた場合、この鉄粉等反応剤の近傍にある土壌・地下水における汚染物質が鉄粉等反応剤表面に吸着されると共に、離間状態にある汚染物質は土壌中を拡散して均一分布になろうとして鉄粉等反応剤側に濃度拡散するという現象を示し、結局は自発的に鉄粉等反応剤表面へ回収され、表面脱着することなく分解されることになるからであり、鉄粉等反応剤と汚染土壌との接触を図る均質混合は好ましい状態ではあるが必要条件とはならない。即ち、鉄粉等反応剤と汚染源とは直接接触していなくても、鉄粉等反応剤の存在によって有機塩素系化合物が気相中に拡散する恐れもなく浄化が進行する。なお、本法における土壌の含水率は5%以上あれば適応可能である。
したがって、鉄粉等反応剤の土壌中への混合攪拌は、適宜、所定箇所の土壌から夾雑物である木片やコンクリート片等を除いた後、土壌への鉄粉等反応剤の散布をし、バックホー等の重機による攪拌混合、あるいはトラクターや耕耘機等による土壌表層部の攪拌混合、さらには土木穿孔機により地表に垂直に穿孔後、回収土壌に鉄粉等反応剤を混合して、または鉄粉等反応剤を単独で柱状に埋め戻す手段により、ラフに即ち簡略的に行うことができ、あるいはまた、鉄粉等反応剤の分散手段としては、圧力空気や圧力水によって任意箇所の地中に鉄粉等反応剤を強制的に注入分散させるようにしてもよい。
汚染源近傍等で汚染濃度が高く、汚染域が比較的に深部にある場合、あるいは、水より重い汚染物質が地中の不透水層上に塊状になって局所的に存在する状況(DNAPL)にあって汚染源を形成している場合、その汚染地域上に鉄粉等反応剤を分散させた層状混合攪拌相を数層に形成する、または汚染源域あるいは汚染源近傍域に鉄粉等反応剤を分散させた柱状混合攪拌相を構築するのが望ましい。
また、掘削土を原位置以外で浄化する場合、鉄粉を拡散混合させた小山等を造成することで浄化可能である。その場合、原位置で行う場合と同様に、鉄粉を土壌へ均一に拡散させることは必ずしも絶対条件ではなく、層状拡散でも十分浄化が可能である。ただし、原位置における工法より掘削土を原位置以外で用いる工法では、土壌中に拡散させた鉄粉が大気に触れ、鉄粉の酸化が起きて浄化能力が低下する恐れがある。よって鉄粉を攪拌混合した小山をシートで覆ったり、下記に述べる弱酸性の還元性物質を併用したりするのが望ましい。また、このシートによる覆いは汚染土壌の浄化期間中の飛散防止にも役立つので望ましい。
用いる鉄粉等反応剤は、浄化対象となる有機塩素系化合物の種類、濃度、汚染深度、汚染範囲、存在形態、また、汚染土壌の土質、土壌温度、含水率、土壌空隙率、地下水位、水量、流速、地下水流方向、透水係数等を考慮し、土壌量に対し、0.1〜10重量%程度の濃度で、且つ、攪拌層の厚さは1cm以上となるように、土壌と攪拌混合するのが望ましい。0.1重量%以下であると分解反応が遅く、10重量%以上では処理コストがかかり望ましくない。
本発明で反応剤として好適に用いる鉄粉は、炭素量を0.1%以上を含み、且つ150μmの篩を50重量%以上通過するもので、且つまた比表面積が500cm2/g以上の海綿状鉄を呈しており、さらに、構造上パーライト組織が存在するものであることが望ましい。炭素量が0.1未満であると汚染物質の分解速度が小さく、150μmの篩を通過する量が50重量%未満のものであると、汚染物質の分解速度が低下するのみならず、鉄粉の利用効率が低下し、鉄粉の使用量が大となる。鉄粉は反応性を高める点から比表面積が大な海綿状鉄粉とすることが望ましい。また、鉄粉はパーライト組織があるものが望ましい。このパーライト組織は、炭素や鉄などが層状構造をなす組織であるが、層間をサーキット状に流れる微小電流によって汚染物質の有機塩素系化合物の分解が促されるのではないかとみられている。
なお、対象となる土壌の溶出pHとしてはpH3.5〜9の範囲で、且つ還元雰囲気にすることが鉄粉の活性度からみて望ましい。土壌の溶出pHが高すぎると鉄粉表面に水酸化物を生成して活性度が失われ、浄化がうまくいかない。また、溶出pHが極端に高いあるいは低いということは、浄化後の土壌の再利用ということから考えると好ましいことではない。
鉄粉による分解反応を効率よく行わせるには、還元雰囲気で鉄粉を用いることが望ましく、その手段の一つとして層状混合攪拌相あるいは柱状混合攪拌相の形成時に鉄粉と弱酸性の還元性物質と併用するのが望ましい。具体的には、亜硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム等還元物質を土壌の溶出pHが3.9〜9、好ましくは3.5〜8程度となるように用いる。
なお、処理対象とする土壌の溶出pHが、3.5〜9程度の上記中性域を外れて酸・アルカリ域に偏って、かつ弱酸性の還元物質を用いる場合、層状混合攪拌相あるいは柱状混合攪拌相の形成時に無機化合物を添加混合し、上記の鉄粉の活性度のための好ましいpH域に調整するのが望ましい。無機化合物としては、価格、安全性、取扱性を考慮し、酸性無機化合物においては硫酸、りん酸、硫酸水素ナトリウムが好ましく、塩基性無機化合物においては、生石灰、消石灰、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムが好ましい。またこの塩基性無機化合物中で常温で固体のものについては、粉末、フレーク、小塊状、顆粒のものを用いるのが好ましい。
また、鉄粉の活性度を高めるその他の手段としては、対象となる有機塩素系化合物の種類や濃度、および施工工期等によっては、還元性雰囲気で熱源等を併用する手段により促進させることもできる。
以上の本発明の方法によって、土壌中の有機塩素系化合物は、効率的に脱塩素化あるいは脱塩素水素化される。
[実施例15]
200リットル円筒型(高さ86cm、直径58cm)に含水率10%の砂質土壌およびトリクロロエチレン(TCE)1gを注入後2日間静置し、カラム系内に均質なTCE汚染土壌を得た。この汚染土壌の表面に、汚染土壌に対し重量比1%の鉄粉を用い鉄粉層を形成し、形成直後(0hr)から1、6、23、47、75および142hr後において、表層(0mm)から150、350、450、550、650および750mmの深さの部位からガスを吸引してガス中のTCE濃度を測定し、カラム鉛直方向のTCE濃度の経時変化を追跡し、その結果を第19表および第11図に示した。また、試験前後において土壌におけるTCEの溶出試験を行い、その結果を第20表および第12図に示した。なお、溶出試験に用いた試料は、容器上部より筒状の器具にて採取した。鉄粉はE−200を用いた。
第19表に示したこの結果から、不飽和帯の土壌については、鉄粉等反応剤と汚染土壌とは必ずしも均質に混合する必要はなく、汚染物質である有機塩素系化合物が自発的に反応剤表面へと拡散吸着することを利用して土壌の浄化が進行することが確認された。
その結果、鉄粉層形成後、約6日間(142時間)でTCEガス濃度は系内全域にわたり開始直後の約1/10に低減し、第20表に示されるように、試験開始前後に採取した試料のTCE溶出値(mg/l)により、溶出値も日本国の土壌環境基準値である0.03(mg/l)を超えないことが確認された。
[実施例16]
第13図に示すように、施工対象の地下の構造は、砂層や礫層からなる易透過層2と粘土や基盤岩類からなる難透過層1とに分類される。また前述の通り地下水面WLの上下で不飽和帯5と飽和帯4とにも分類される。
地表面FLから地中に浸透した汚染物質は、不飽和帯5および飽和帯4を通して土壌、地下空気および地下水を汚染しながら、矢印Xで示した地下水の流れに沿って汚染域6を拡大している。また、水より重い難水溶性の汚染物質は難透過層1上に塊状となって溜り(DNAPL)7を形成し、地下水の汚染源になっている。
なお、第13図の記載はもっとも地表に近い難透過層1が地下水位面WLより深い位置に描かれているが、自然界は必ずしもこのような構成ばかりでなく、地下水位面より浅い位置に難透過層が存在する場合もある。
有機塩素系化合物の地中における拡散は、地表より地中に浸透した後、いったん難透過層でせきとめられて有機塩素系化合物の溜りを形成する。そして難透過層の切れ目よりさらに深部へ拡散してゆくものと考えられている。
本発明の方法は、有機塩素系化合物による汚染物質の地中におけるこのような汚染状況を地層、土質および地下水流等との関連において、あらかじめ調査した結果に基づいて効率的に実施することができる。すなわち、汚染物質の種類、地中汚染域の位置および汚染域の広がり状況等を確認した後、第13図および第14図のように、汚染域6の近く、例えば汚染域6の上層部に層状鉄粉混合攪拌相8を敷設し、この汚染域あるいは汚染域の近傍に達するボーリング孔を穿設して気体注入井戸9とし、気体aの注入により汚染物質を上記層状鉄粉混合攪拌相8の敷設域に移動させることにより、汚染土壌の原位置浄化処理を効率的に実施することができる。
鉄粉を地中に分散させる方法としては、汚染が広範囲にわたる場合、トラクターや耕うん機等による土壌の表層部に広範囲に鉄粉拡散混合相を構築するのが望ましい。また、水より重い難水溶性の汚染物質が地中の難透過層1上に塊状となって局所的に存在する溜り(DNAPL)7で地中汚染域を構成している場合のように汚染が局所的に進行している場合、バックホウ等の重機による局所的な層状鉄粉混合攪拌相8を数層に形成、または鉄粉を柱状に混合攪拌させた柱状鉄粉混合攪拌相10を地中に構築する等が望ましい。また、ボーリング孔から気体または液体による圧縮媒体を利用し、地中に鉄粉を強制分散させることも可能である。さらに、局所的な高濃度汚染と広範囲な低濃度汚染が複合的に存在する場合、上記の方法を汚染状況によって組み合わせて用いるのが望ましい。
分解反応材としての鉄粉相は、汚染物質を含む土壌と直接接触させる必要はなく、汚染物質としての有機塩素系化合物は移動状態にあっては、自発的に土壌中を拡散移動し、近傍の鉄粉反応材表面に接触して分解されるものであって、鉄粉混合攪拌相における鉄粉の均一性は特には必要なく、汚染域の近傍における鉄粉混合攪拌相の断続的な配置であっても、土壌中の有機塩素系化合物の移動による浄化は十分に可能であり、鉄粉混合攪拌相の配設の現地施工性は極めて良好である。
用いる鉄粉の地中への分散量は、対象となる有機塩素系化合物の種類、濃度、汚染深度、汚染範囲、土質、含水率、土壌空隙率、地下水位、透水係数等を考慮し、土壌量に対し0.1〜10重量%程度にするのが望ましい。また、その際の層状の鉄粉混合層8の厚さは1cm以上、好ましくは10cm以上、柱状の鉄粉混合層10の径は1cm以上、好ましくは5cm以上とし、かつ、大気と接触しない状況に施工するのが望ましい。土壌量に対する鉄粉の混合量は、0.1重量%未満であると分解速度が著しく低下し、10重量%を越えても顕著な効果は得られず経済的に不利である。また、層状鉄粉混合相8の厚さまたは柱状の鉄粉混合相10の太さが1cm未満では高濃度汚染源には対応しきれなくなる。
また、特に汚染の濃度の高い場所、汚染の深度が深い場所に対して効果的な鉄粉混合攪拌相を地中に柱状に構築する方法では、この柱状相の深さが、汚染を受けている最深部の易透過層の下方に位置する難透過層まで達しており、かつ近隣の土質と比較して鉄粉混合攪拌相部分の透水係数が同じかもしくは高く、地下水を通し易い状況とすることが望ましい。
なお、対象となる有機塩素系化合物の種類や濃度および施工工期等によっては、鉄粉の拡散場所に対して鉄粉と共に弱酸性の還元性物質(亜硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、ピロ硫酸ナトリウム等)や熱源等を併用することにより、鉄粉のもつ分解能を促進させることも望ましい。
気体注入井戸9を通して地中へ供給する気体は、通常の大気を用いることも可能であるが、鉄粉の分解特性の上で、空気に比べて酸素含有率の低いガスが好ましい。これは土壌・地下水の浄化物質として鉄粉を用いる場合、酸素によって鉄粉が酸化され、その結果分解能が阻害される恐れがあるからである。このため、供給する気体は、鉄粉表面の酸化を防止でき、コスト的に有利である窒素ガスを使用することが望ましい。純度としてはできるだけ高純度のものが望ましいが、地下環境やコストを考え、純度98%以上の窒素ガスが適当である。また、本発明で用いるこの気体は、常温以外にも加熱空気、蒸気およびその組み合わせ等により地中の汚染物質の移動性をさらに促進させるものが望ましい。
気体注入井戸9は、ボーリングにより垂直孔、斜孔あるいは蛇行孔として構築できるが、汚染の確認された地中の位置に対し、井戸先端がその下方となる態様に施工し、その井戸の先端より上記気体を微細な泡状に放出させるのが望ましい。たとえば、飽和帯中に気泡を放出することにより、飽和帯中にDNAPL状に存在する滞留汚染物質(難水溶性の物質が多い)を気泡中に気化させるかまたは移動させ、飽和帯から不飽和帯に移行を促すことができる。これらの操作によって、飽和帯の底部に滞留しているDNAPL状の汚染物質であっても、その流動化が促がされ、汚染物質は上方の不飽和帯に移行し、その周囲に配設した柱状あるいは層状の鉄粉混合攪拌相による分解浄化が進行する。なお、気体の供給量・間隔は気体注入井戸先端の上方部に存在する汚染物質の種類・量・土質等によって異なるが、汚染物資の濃度が高い場合、連続的、定期的な気体供給による汚染物質の地中曝気により、浄化期間の短縮を図るのが望ましい。また、汚染範囲が広い場合、ボーリングによる気体注入井戸は複数構築し、上記の気体を同時供給して効率化を図ることも可能である。
本発明においては、汚染物質の種類や土質、地下水位、水量、地下水の流れの向き等によっても異なるが、気体注入により汚染物の拡散が推測される場合、上記のように、鉄粉混合攪拌相の配置状況を配慮することによりその拡散防止を図ることが可能である。なお、さらに汚染地域周辺への汚染拡散が懸念される場合には、第14図に示したように、周囲に公知の地中鉄粉反応壁11を設置し、汚染された地下水の拡散を防止するのが望ましい。
[実施例17]
第15図に示すように、内径58cm,高さ86cmの円筒容器A内に、土壌によるカラム21を作成した。すなわち、100mg/lの濃度のトリクロロエチレン(TCE)で汚染された飽和帯土壌(含水率40%、砂質土壌)22を下から30cmの高さまで充填し、その上に正常土即ち非汚染土壌からなる不飽和帯土壌(含水率15%、砂質土壌)23を30cmの厚さに積み上げ、さらに、厚さ約1cmの鉄粉層(重量比1.0%、含水率10%)24を敷設した後に厚さ20cmの非汚染土壌による盛り土25を施してカラム21に作成した。なお、鉄粉としては、炭素含有量が0.3重量%で、150μmのふるいを50重量%以上が通過する比表面積が約2,000cm2/gの海綿鉄粉を用いた。
作成したカラム21の上部から、カラム底部に達する長さの管型カラムbを差し込み、気体として空気を用い100ml/minの割合で連続供給した。カラム上部は解放型とし、上部に取り付けた風船によって注入した気体と同量の気体を回収し、分析した。なお、この操作は試験系を定圧かつ密閉性の条件に整えるために行なった。
濃度分析は、カラム底部の飽和帯22についてはカラム底部から高さ5cmの箇所から試料水を、カラム中部の不飽和帯23についてはカラム底部から高さ40cmの箇所から試料土壌を、カラム上部からは風船内の試料ガスを採取し、ヒューレット パッカード社製のガスクロマトグラフ質量分析計(HP−5973)によって行なった。試料土壌の分析は、環境庁告示第46号に定める土壌溶出試験に従って行なった。試験は5日間継続し、試料採取は開始から5日後に行なった。
上記の試験結果を試験番号1として第21表に示した。
この試験結果に見られるように、カラム下部から空気を連続供給した場合、当初濃度100mg/lのTCEで汚染されたカラムの底部の飽和帯22からの試料水においてはTCEは殆ど検出されず、中部の不飽和帯23の土壌溶出水においても微量の濃度であることが確認された。また、カラム上部からの土壌ガスについては、検出TCEの濃度は少量で、空気等気体によるスパージングによってTCEが気相中に移行し、鉄粉表面に吸着、分解されたことが示された。また、試験系で回収した気体中には、TCEが分解して生成したと思われるエチレンガスが検出された。
[実施例18]
第15図で示した実施例17と同様の容器および土壌構成でカラムを作成し、気体として空気に替えて窒素ガスを用いた以外は実施例17の場合と同一条件で管型カラムにより連続供給した。
その結果を試験番号2として第21表に示したが、試験開始から5日後で、飽和帯22の試料水および不飽和帯23の土壌溶出水からのTCEが殆ど検出されなくなり、カラム上部からの土壌ガスについても、極微量の検出となり、十分にTCEが分解除去されたことが確認された。
なお、実施例17の空気供給の場合、不飽和帯23の上部の鉄粉層24が酸化し、不活性となったことが試験後確認された。
[比較例h]
第16図(1)に示すように、実施例18の場合と同様の容器Aを用い、汚染された飽和帯土壌22と不飽和帯土壌23と鉄粉層24と盛り土25とによる同様の土壌構成で作成されたカラム21を用意し、管型カラムによる土壌内への気体吹き込みを行なわなかった場合について試験をした。
得られた結果を試験番号hとして第21表に併載した。
不飽和帯23から鉄粉層24を隔てたカラム上部にかけてのTCE濃度は微量であり、鉄粉層24によるTCE分解効果はあることが認められるものの、飽和帯22の試料水からは開始から5日後においてもTCEの検出が見られ、気体を飽和帯22の汚染地下水に連続供給しない場合、鉄粉層24を敷設しても浄化期間が長いため、飽和帯22の浄化には不利であることがわかる。
[比較例i]
第16図(2)に示したように、実施例18の場合と同様容器Aを用い、底部に厚さ30cmのTCEで汚染された飽和帯22を設け、かつカラム中部に厚さ30cmの非汚染土壌による不飽和帯23を設けるが、鉄粉層を敷設することなく、非汚染土壌による20cmの盛り土25を直接施してカラム26を作成した。作成後そのまま5日間放置した後について、TCEの濃度推移を調査した。
得られた結果を試験番号iとして第21表に併載した。
カラム作成後そのまま放置した試験番号5の場合においては、当初100mg/lの濃度のTCEで汚染させた飽和帯22の試料水からのTCEの検出は続き、また、カラム上部からの土壌ガスからも高濃度のTCEが検出され、全体としてTCEは殆ど低減することなく長時間にわたりカラム内における拡散を続けるものと認められた。
[比較例j]
第16図(3)に示したように、実施例18の場合と同様容器Aを用い、比較例iの場合と同じ飽和帯22と不飽和帯23と盛り土25からなる土壌構成のカラム6を作成した。そしてカラム上部から底部にかけて管型カラムbを差し込み、この管型カラムbを通して窒素ガスを連続供給した。5日間の窒素ガスの連続供給後の結果を、試験番号jとして第21表に併載した。
鉄粉層を介設しないこの土壌構成のものに、窒素ガスを連続供給したこの試験番号jの場合については、カラム底部の飽和帯22におけるTCEは殆ど検出されない程度までに低減するが、カラム上部からの土壌ガスにおけるTCE濃度は高く、TCEはそのままの形で分解されることなく大気に放出されるものと認められた。
産業上の利用の可能性
以上のように、本発明の態様1の方法によれば、従来方法では処理対象外となっていた有機塩素系化合物で汚染された土壌について、地下水水位以下の飽和帯の土壌のみならず地下水水位以上の不飽和帯の土壌および掘削土壌をも対象とし、鉄粉の炭素成分、形状、寸法を規制し、また、土壌への添加量を規制するのみで、比較的安価で、かつ従来と比較して少量の鉄粉単味の添加混合という簡便な常温処理方法により、短期間で環境への影響のない状況にまで汚染物質を分解し無害化できるという効果が得られる。さらに、鉄粉として海綿状鉄粉および/または銅含有鉄粉を利用することで、前記効果を容易に得ることができる。
本発明の態様2の方法によれば、上記実施例2に示されたように、有機ハロゲン化合物で汚染された土壌の鉄粉による浄化処理の速度を著しく改善することができる。
本発明の実施の態様3の方法によれば、土壌に熱を付与することによって汚染された土壌の鉄粉による浄化処理の速度をさらに改善することができる。
本発明の実施の態様4の方法によれば、汚染土壌を鉄粉と均一混合することにより、汚染土壌の浄化処理を簡易に行うことができる。
本発明の態様5の方法によれば、鉄粉等反応剤を汚染土壌に均質に混合させる必要がなく、原位置と掘削土、飽和帯と不飽和帯とを問わず浄化が可能なので、鉄粉等反応剤の土壌への混合分散作業を著しく簡略化でき、したがって、汚染土壌の浄化処理を安価に実施できる。また層状混合攪拌相の施工により鉄粉等反応剤の分散を図る手段によれば、鉄粉等反応剤の分散作業が著しく簡略化されるという効果があり、汚染度は低いが汚染域が広い範囲にわたる場合において、効率的な処理が可能になるという効果が得られる。さらに柱状混合攪拌相の施工により鉄粉等反応剤の分散を図る手段によれば、汚染源等汚染度が高く且つ深い地中の汚染域に対して効率的な浄化処理が可能になると共に、鉄粉等反応剤の分散作業が著しく簡略化されるという効果が得られる。層状混合攪拌相と柱状混合攪拌相とを混用する手段を利用する方法によれば、汚染源を含む広範囲の汚染域を対象とする汚染土壌の浄化処理が簡略化された鉄粉等反応剤の分散作業で効率的に行えるという効果が得られる。複数の層状混合攪拌相を重ねる手段によれば、汚染源等汚染度が高く且つ深い地中の汚染域に対する浄化処理が簡略化された鉄粉等反応剤の分散作業により効率的に実施できるという効果が得られる。また、掘削土についても同様の簡易な施工において汚染土壌の浄化が実施できる。混合攪拌相間の相互間隔を0.05〜5m以下とすることにより、鉄粉等反応剤が均質でなくまた汚染物質と離間していても十分な浄化が可能であるという効果が得られる。
本発明の態様6または7の方法によれば、(1)地中の汚染源近傍に気体の注入を行なうと共に、汚染域の近くに鉄粉混合攪拌相を配設するという本発明の方法によれば、気体の注入により地中汚染源を含む広範囲の地中の汚染物が移動するので、敷設した鉄粉混合攪拌相との反応が促進され効率的な浄化処理が行なえるという効果が得られ;(2)飽和帯の汚染源に気体を放出させると共に、汚染域近くに鉄粉混合攪拌相を配設することにより、飽和帯中に分散あるいは滞留している汚染物質が流動化し不飽和帯に移行する等移動させることができ、上層部等近傍に敷設した鉄粉混合攪拌相により土壌中の有機塩素系化合物からなる汚染物質の分解処理がさらに効率的に行なえるという効果が得られ;(3)鉄粉の添加量を0.1〜10重量%に、そして鉄粉混合攪拌相として厚さが1cm以上の単層および/または径が1cm以上の柱を1つ以上設けることにより、効率的にかつ経済的に処理が行なえるという効果が得られ;また、(4)地中への注入気体を不活性または還元性を示すガスを用いることで、土壌中の酸素を除き、還元雰囲気を形成することで、鉄粉の分解能が向上するという効果が得られ;さらに、(5)前記不活性ガスとして、純度98%以上の窒素ガスを用いることで、比較的安価なコストで還元雰囲気を形成でき、鉄粉の分解能を向上できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例9および比較例3におけるトリクロロエチレン濃度の経時変化を示すグラフである。
第2図は、実施例10におけるトリクロロエチレン濃度の経時変化を示すグラフである。
第3図は、実施例11におけるトリクロロエチレン濃度の経時変化を示すグラフである。
第4図は、実施例12におけるトリクロロエチレン濃度の経時変化を示すグラフである。
第5図は、参考例1におけるトリクロロエチレン濃度の経時変化を示すグラフである。
第6図は、参考例2におけるトリクロロエチレン濃度の経時変化を示すグラフである。
第7図は、実施例13において本発明者らが行った試験状況を説明するための略断面図である。
第8図は、実施例14において本発明者らが行った他の試験状況を説明するための略断面図である。
第9図は、本発明者らが行った他の試験状況を説明するための略断面図である。
第10図は、本発明者らが行った他の試験状況を説明するための略断面図である。
第11図は、実施例16におけるトリクロロエチレン汚染土壌の表面に鉄粉層を形成した場合の汚染土壌の表層面からの深さ位置におけるTCE濃度の経時変化を示す、カラム試験における図表である。
第12図は、第11図のカラム試験の前後における表層面からの深さ位置の汚染土壌のTCE溶出試験の結果を示す図表である。
第13図は、実施例17における有機塩素系化合物の地中汚染状況と本発明浄化方法の施工状況を示す略断面図である。
第14図は、第13図の施工状況を示す略平面図である。
第15図は、実施例18におけるカラムの土壌構成を示す略断面図である。
第16図は、
(1)比較例hにおける鉄粉層を有し気体の吹き込みを行なわない場合のカラムの土壌構成を示す第1図相当の略断面図である。
(2)比較例iにおける鉄粉層を有せずかつ気体の吹き込みを行なわない場合のカラムの土壌構成を示す第13図相当の略断面図である。
(3)比較例jにおける鉄粉層を有せずかつ窒素の吹き込みを行なう場合のカラムの土壌構成を示す第13図相当の略断面図である。
Claims (10)
- 地下水水位より深部に位置する土壌または地下水水位より浅部に位置する土壌であって、かつ有機ハロゲン化合物で汚染された、含水率が5重量%以上の土壌を原位置で浄化する方法であって、あらかじめ前記土壌に海綿状鉄粉および銅含有鉄粉の少なくとも1種を均一混合することなく、前記土壌の近傍の地中に分散させて鉄粉混合攪拌層を敷設した後、空気を前記土壌の有機ハロゲン化合物で汚染された領域に吹き込むことによって有機ハロゲン化合物の移動を促進させ、前記鉄粉混合攪拌層で前記有機ハロゲン化合物を分解して前記土壌を浄化することを特徴とする土壌の無害化処理方法。
- 前記海綿状鉄粉は、0.1重量%以上の炭素を含み且つ500cm2/g以上の比表面積を有し、50重量%以上が150μmのふるいを通過する粒度を有し、前記土壌に対して0.1〜10重量%の範囲内で前記土壌の近傍の地中に分散させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記銅含有鉄粉は、その銅含有率が0.1〜20重量%の範囲内であり、
前記土壌に対して0.1〜10重量%の範囲内で前記土壌の近傍の地中に分散させることを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 前記鉄粉を前記土壌の近傍の地中に分散させる際に、前記鉄粉と共に水溶性であって、水中で弱酸性を示す還元性物質を添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 前記水溶性であって水中で弱酸性を示す還元性物質が窒素およびリンを含むものを除く無機化合物から選ばれ、添加量が前記土壌に対して100ppm以上である請求項4記載の方法。
- 前記水溶性であって水中で弱酸性を示す還元性物質が亜硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウムおよび亜ジチオン酸ナトリウムからなる群より選ばれた1種または2種以上の化合物である請求項4または5に記載の方法。
- 前記有機ハロゲン化合物を分解するpHが3.5〜9の範囲内である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
- 前記有機ハロゲン化合物を分解する際、前記土壌に熱を付与して自然温度よりも昇温させることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
- 前記土壌への与熱は、無機化合物の化学反応熱、熱媒、またはジュール熱のいずれか1つ以上を利用する請求項8記載の方法。
- 前記有機ハロゲン化合物がジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、メチルクロロホルム、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,3−ジクロロプロペンおよび1,3−ジクロロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機ハロゲン化合物である請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
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