JP4068899B2 - サーマルヘッドの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、フォトプリンタやサーマルプリンタ等に搭載されるサーマルヘッドに関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】
サーマルヘッドには、多数の発熱抵抗体に電源を供給する電極として、全ての発熱抵抗体に接続された共通電極と、各発熱抵抗体を個別に選択して通電するための個別電極とが備えられている。このようなサーマルヘッドでは、共通電極における電圧降下(コモンドロップ)が印字品質のばらつきの原因となるため、共通電極の抵抗(コモン抵抗)を最小限に抑えることが望まれている。
【0003】
そこで従来では、図8に示すように、発熱抵抗体を構成する抵抗膜40上に共通電極50aと個別電極50bを同時に形成し、共通電極50aの膜厚を厚くすることでコモン抵抗を低減させる対策が採られている。しかしながら、共通電極50a及び個別電極50bの膜厚が厚くなると、これら電極50a、50bと抵抗膜40の間の段差αが大きくなるため、共通電極50a及び個別電極50bを保護層80で確実に覆えずに電極腐食の原因となったり、その段差αに印字カスが堆積してしまったり等の問題が生じてしまう。また個別電極50bの膜厚が厚くなることにより、発熱抵抗体40a及び個別電極50bの幅寸法を正確に規制しづらく、該幅寸法のばらつきが生じやすくなる問題も生じる。
【0004】
別の対策としては、図9に示すように先ず共通電極50a’を厚膜で形成しておき、次にフォトリソグラフィ技術を用いて抵抗膜40’及び個別電極50b’を形成することが知られている。しかしながら、抵抗膜形成前に厚膜が形成されていると、レジスト層を均一に塗布できず、この結果、抵抗体パターンが一様に形成されず発熱抵抗体40a’の抵抗値がばらついてしまう。また共通電極50a’を厚膜で形成すると、該厚膜を構成する粒子が粗いため、共通電極50a’と抵抗膜40’が密着しづらい問題も生じる。
【0005】
以上のように従来対策では、コモン抵抗を低減できる反面、共通電極(及び個別電極)が厚いために新たな課題が生じてしまっている。したがって、上記課題を生じさせずにコモン抵抗を低減させるには、共通電極及び個別電極を薄い膜厚で形成した後、共通電極上に厚い膜厚の共通厚膜電極をメッキにより形成できればよい。
【0006】
この場合、共通電極及び個別電極を形成する導体材料には、比抵抗の小さいAu、Cu、Alを用いることが考えられる。AuまたはCuを用いる場合には、Au及びCuが単層では抵抗膜及び保護層と密着しづらいため、Cr/Au/Cr、Cr/Cu/CrのようにAuまたはCuの上下をCrで挟んだ3層構造にする必要がある。しかしながら、上記3層構造とすると、ウエットエッチング工程時に上下のCr層がサイドエッチングされ、特に上のCr層は2度エッチング液に曝されるためサイドエッチング量が多く、図10に示すようにAuまたはCuが露出してしまう。このAuまたはCuの露出は、保護層との密着性劣化に伴う腐食の要因となる。これに対し、Alを用いる場合には、Alは抵抗膜及び保護層との密着性が良好であるから多層構造とする必要がなく、また単層構造となるのでエッチングが容易である。これにより、導体材料としてはAlを用いるのが最適である。
【0007】
しかしながら、Al導体膜上に共通厚膜電極をメッキ形成するためには、Al表面に存在する自然酸化皮膜がメッキの密着を阻害してしまうことから、前処理として亜鉛置換処理(ジンケート処理)が不可欠である。このため、工程が非常に煩雑となって好ましくなかった。また個別電極上には、該電極に導通するパッド部が形成されるが、導体材料がAlである場合にはパッド部を形成する工程でも亜鉛置換処理が不可欠であるため、工程が非常に煩雑となっている。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、上記問題点に鑑み、簡単な工程で形成でき且つコモン抵抗を低減可能なサーマルヘッドの製造方法を得ることを目的とする。
【0009】
本発明は、Al導体膜及び保護層との密着性が良好なメッキシード層をAl導体膜上に設ければ、亜鉛置換処理等の煩雑な処理をすることなく、共通電極上に共通厚膜電極をメッキにより形成できることに着目したものである。すなわち、本発明は、抵抗膜上にAl導体膜を薄膜形成する工程と、前記抵抗膜の実際に発熱させる発熱エリア上のAl導体膜を除去し、該発熱エリアの両側それぞれに導通する共通電極及び個別電極を形成する工程と、リフトオフ法により、前記共通電極の厚膜電極形成エリア上に、Cr/Cu、Cr/Ni、Cr/NiFe、Cr/CuNi、Ti/Cu、Ti/Ni、Ti/NiFeまたはTi/CuNiの2層構造で、メッキシード層を形成する工程と、前記メッキシード層上に、前記共通電極の抵抗値を低減させる共通厚膜電極を、Cu/Ni、Cr/AuまたはTi/Auの2層構造でメッキにより形成する工程と、リフトオフ法を用いて前記個別電極のボンディングパッド形成エリア上に、メッキシード層を形成する工程と、このメッキシード層上に、パッド層をメッキにより形成する工程とを有することを特徴としている。
【0010】
上記製造方法によれば、リフトオフ法により厚膜電極形成エリアにのみメッキシード層が形成されるから、該厚膜電極形成エリア以外は保護層との密着が良好なAl導体膜(共通電極)を残すことができ、共通電極の密着性を悪化させることがない利点も得られる。また、抵抗膜と共通電極及び個別電極との段差が抑えられるので、電極腐食や印字カスの堆積など該段差が原因で生じる問題点を解消することができる。さらに、パッド層を形成する際にも亜鉛置換処理が不要となるので、製造工程を容易にすることができる。製造工程をより容易にするには、メッキシード層を、厚膜電極形成エリア上及びボンディングパッド形成エリア上に同時形成することが好ましい。
【0013】
厚膜電極形成エリア上に形成されるメッキシード層は、形成すべき共通厚膜電極の材料に応じて適宜選択することが好ましい。すなわち、メッキシード層は、共通厚膜電極がCu/Ni、Cr/AuまたはTi/Auによる2層構造あるいはNi/Cu/NiまたはNi/Au/Niによる3層構造で形成される場合にも、Cr/Cu、Cr/Ni、Cr/NiFe、Cr/CuNi、Ti/Cu、Ti/Ni、Ti/NiFeまたはTi/CuNiの2層構造で形成されることが好ましい。一方、共通厚膜電極がAu/Niによる2層構造で形成される場合には、Cr/AuまたはTi/Auによる2層構造でメッキシード層を形成することが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明によるサーマルヘッド1の発熱部構造を示す断面図である。サーマルヘッド1は、放熱性の高いアルミナ基板2上に高断熱性のガラスから形成されたグレーズ保温層3を有している。このグレーズ保温層3上には、高抵抗化しやすいTa−Si−O、Ti−Si−O、Cr−Si−O等の高融点金属のサーメット材料からなる抵抗膜4が一様に形成されている。この抵抗膜4には通電により発熱する発熱抵抗部4aが多数設けられており、抵抗膜4上には各発熱抵抗部4aの抵抗長L方向の両端部それぞれに導通する共通電極5a及び個別電極5bがAl導体膜5により形成されている。これら発熱抵抗部4a、共通電極5a及び個別電極5bの一部は、耐摩耗性材料からなる保護層8によって覆われている。
【0017】
共通電極5aは、全ての発熱抵抗部4aに導通された電極である。この共通電極5a上には、厚膜電極形成エリアに位置させて、第1メッキシード層6aがリフトオフ法により形成されている。第1メッキシード層6a上には、共通電極5aの抵抗値を低減させる共通厚膜電極7がメッキにより形成されている。これら共通電極5a、第1メッキシード層6a及び共通厚膜電極7は、一体の電極層として働き、電圧降下(コモンドロップ)を良好に抑制することができる。
【0018】
個別電極5bは、各発熱抵抗部4aを個別に選択して通電するための電極である。この個別電極5bの保護層8に覆われていない部分上には、ボンディングパッド形成エリアに位置させて、第2メッキシード層6bがリフトオフ法により形成されている。第2メッキシード層6b上には、各発熱抵抗部4aを駆動させる駆動IC(不図示)に接続されるパッド層9がメッキにより形成されている。
【0019】
上記構成のサーマルヘッド1は、フォトプリンタやサーマルプリンタに搭載され、発熱抵抗部4aの発する熱を感熱紙またはインクリボンに与えることで印刷を行なう。なお、不図示であるが、サーマルヘッド1は、発熱抵抗部4aを通電するための駆動ICやPCB(Print Circuit Board)等も備えている。
【0020】
以下では、図2〜図7を参照し、サーマルヘッド1の発熱部の製造工程について説明する。図2、図3、図5〜図7はサーマルヘッド1の発熱部の製造工程を示す断面図であり、図4は図3に示す工程時の平面図である。
【0021】
先ず、図2に示すようにアルミナ基板2上に、グレーズ保温層3、抵抗膜4及びAl導体膜5を連続成膜する。成膜にはスパッタや蒸着法を用いることができる。グレーズ保温層3は断熱性の高いガラスで形成され、抵抗膜4は高抵抗化しやすいTa−Si−O、Ti−Si−O、Cr−Si−O等の高融点金属のサーメット材料により形成される。Al導体膜5は、0.2μm以上0.5μm以下程度の薄い膜厚で成膜されることが好ましい。
【0022】
次に、フォトリソグラフィ技術を用いて共通電極及び個別電極パターンを形成した(抵抗長L、抵抗幅W及び導体幅を規制した)後、抵抗膜4の発熱抵抗部4aとなる部分上のAl導体膜5を除去する(図3、図4)。これにより、発熱抵抗部4aの抵抗長L方向の両側には、Al導体膜5からなる共通電極5aと個別電極5bがそれぞれ形成される。Al導体膜5は薄い膜厚で形成されているため、共通電極5a及び個別電極5bと発熱抵抗部4aとの間にはあまり段差が生じない。
【0023】
続いて、リフトオフ法を用いて、共通電極5aの厚膜電極形成エリア上及び個別電極5bのボンディングパッド形成エリア上に、第1及び第2メッキシード層6a、6bを形成する(図5、図6)。すなわち、図5に示すように厚膜電極形成エリア及びボンディングパッド形成エリア以外の発熱抵抗体4a、共通電極5a及び個別電極5b上にレジスト層Rを形成してからメッキシード膜6を成膜し、メッキシード膜6の不要部分とレジスト層Rを除去する。これにより、図6に示すように、厚膜電極形成エリア上に第1メッキシード層6aが形成され、ボンディングパッド形成エリア上に第2メッキシード層6bが形成される。第1及び第2メッキシード層6a、6bを局部的に形成すれば、後工程で形成される保護層との密着性が良好なAl導体膜5部分がメッキシード膜6で覆われずに残るので、該保護層と共通電極5a及び個別電極5bとの密着性を良好に確保することができる。
【0024】
続いて、図7に示すように、第1メッキシード層6a上に共通厚膜電極7をメッキにより形成し、第2メッキシード層6b上にパッド層9をメッキにより形成する。このように第1メッキシード層6aを介して共通厚膜電極7が共通電極5a上に形成されれば、共通電極5a、第1メッキシード層6a及び共通厚膜電極7の全体としての抵抗(コモン抵抗)が低減され、コモンドロップを抑制することができる。
【0025】
共通厚膜電極7は、共通電極5aよりも抵抗値が低くなるように、比抵抗の小さいCuまたはAuを主体とする導体層により形成されることが好ましい。具体的には、該共通厚膜電極7上に形成される保護層との密着性を考慮して、Cu/Ni、Au/Ni、Cr/AuまたはTi/Auによる2層構造あるいはNi/Cu/NiまたはNi/Au/Niによる3層構造で形成されることが好ましい。
【0026】
第1メッキシード層6aは、上記材料で形成される共通厚膜電極7のメッキ成長を整えられる材料であって、共通電極5a及び保護層との密着が良い材料で形成されることが好ましい。すなわち、第1メッキシード層6aは、共通厚膜電極7がCu/Ni、Cr/AuまたはTi/Auによる2層構造あるいはNi/Cu/NiまたはNi/Au/Niによる3層構造で形成される場合には、Cr/Cu、Cr/Ni、Cr/NiFe、Cr/CuNi、Ti/Cu、Ti/Ni、Ti/NiFeまたはTi/CuNiの2層構造で形成されることが好ましい。これに対し、共通厚膜電極7がAu/Niによる2層構造で形成される場合には、Cr/AuまたはTi/Auによる2層構造で形成されることが好ましい。
【0027】
パッド層9は、フリップチップボンディングで形成される場合には、Snによる単層構造あるいはNi/Sn、Ni/SnCuまたはNi/Auによる2層構造からなることが好ましい。また、ワイヤーボンディングで形成される場合には、Auによる単層構造からなることが好ましい。
【0028】
第2メッキシード層6bは、上記材料で形成されるパッド層9のメッキ成長を整えられる材料であって、個別電極5bとの密着がよい材料で形成されることが好ましい。すなわち、第2メッキシード層6bは、パッド層9がSnによる単層構造あるいはNi/Sn、Ni/SnCuまたはNi/Auによる2層構造で形成される場合には、Cr/Cu、Cr/Ni、Cr/NiFe、Cr/CuNi、Ti/Cu、Ti/Ni、Ti/NiFeまたはTi/CuNiの2層構造で形成されることが好ましい。これに対し、パッド層9がAuによる単層構造で形成される場合には、Cr/AuまたはTi/Auによる2層構造で形成されることが好ましい。
【0029】
本実施形態では、上述のように第1及び第2メッキシード層6a、6bを同時形成するため、該第1及び第2メッキシード層6a、6bを同一材料により形成している。
【0030】
そして、共通厚膜電極7、第1メッキシード層6a、共通電極5a、発熱抵抗体4a及びパッド層9が形成された領域付近を除く個別電極5b上に、SiAlONやTa2O5等の耐摩耗材料からなる保護層8を形成する。上述したように共通電極5a及び個別電極5bと発熱抵抗体4aとの間には段差があまり生じていないから、保護層8で発熱抵抗部4a、共通電極5a及び個別電極5bの一部を確実に覆うことができ、電極腐食を防止することができる。この保護層8の形成にはバイアススパッタ法を用いることができる。以上により、図1に示すサーマルヘッド1の発熱部を得ることができる。
【0031】
以上のように本実施形態では、共通電極5a及び個別電極5bを薄膜形成した後、リフトオフ法により厚膜電極形成エリア上に第1メッキシード層6aを形成し、該第1メッキシード層6aを介して共通電極5a上に共通厚膜電極7をメッキにより形成している。よって、煩雑な亜鉛置換処理を行なわずに共通厚膜電極7をAl導体膜からなる共通電極5上にメッキ形成することができ、製造工程が容易となる。また、共通電極5a自体を厚い膜厚で形成しなくてもコモン抵抗を低減できるので、発熱抵抗部4aと共通電極5a及び個別電極5bとの段差を抑えて電極の腐食及び印字カスの堆積を防止することができる。
【0032】
また本実施形態では、リフトオフ法によりボンディングパッド形成エリア上に第2メッキシード層6bを形成し、該第2メッキシード層6bを介して個別電極5b上にパッド層9をメッキにより形成する。よって、パッド層9を形成する際にも亜鉛置換処理が不要となり、製造工程が容易となる。さらに第2メッキシード層6bは、第1メッキシード層6aを形成するためのメッキシード膜6により同時形成されるから、新たな工程を設けずに済む。
【0033】
以下では、図1に示す本実施例と図8に示す比較例(従来例)において、下記条件でコモン抵抗値を算出した結果を示し、比較して説明する。
共通電極の長さ寸法l=50mm
共通電極の幅寸法w=1.5mm
共通電極に流れる電流=2.5A
個別電極に流れる電流=5mA
【0034】
【比較例】
図8に示す従来構造のサーマルヘッド1では、共通電極50a及び個別電極50bがAl導体厚膜で形成されており、該膜厚が3μmとなっている。ここで、共通電極50aのシート抵抗(=比抵抗/膜厚)Rs’は3mΩ・cm/3μm=10mΩ/□であるから、コモン抵抗Rは、Rs’×(l/w)により、10mΩ/(50mm/1.5mm)=0.33Ωとなっている。よって、通電された1番目の発熱抵抗体とN番目の発熱抵抗体との間には0.33Ω×2.5mA=0.825Vの電圧差が生じる。すなわち、0.825V×5mA=0.4mW/dotの電力差が生じる。
【0035】
【実施例】
図1に示すサーマルヘッド1では、発熱抵抗体4aとの間の段差を抑えるため共通電極5aの膜厚を0.5μmとし、共通厚膜電極7の膜厚を20μmとしている。また共通厚膜電極7としては、例えばCuを主体とするCu/Niによる2層構造またはNi/Cu/Niによる3層構造で形成され、比抵抗が2μΩ・cmとなっている場合を想定する。このとき、共通電極5aのシート抵抗(=比抵抗/膜厚)は3μΩ・cm/0.5μm=60mΩ/□であるが、共通厚膜電極7のシート抵抗は2μΩ・cm/20μm=1mΩ/□である。よって、電流は共通厚膜電極7に流れやすく、共通厚膜電極7のシート抵抗1mΩ/□が、見かけ上、共通電極5a及び共通厚膜電極7全体としてのシート抵抗Rsとなる。このシート抵抗Rsは、上述した比較例でのシート抵抗Rs’の1/10倍となっている。このとき、コモン抵抗はRs×(l/w)により、1mΩ×(50mm/1.5mm)=0.033Ωであり、通電された1番目の発熱抵抗体とN番目の発熱抵抗体との間には0.033Ω×2.5mA=0.0825Vの電圧差が生じる。すなわち、電力差は0.0825V×5mA=4mW/dotとなり、上述した比較例の1/10倍に抑えられる。これにより、印字品質のばらつきを比較例の1/10に抑えることができる。
【0036】
上記結果から明らかなように、本実施例は、比較例よりもコモン抵抗が低減されていること、すなわち印字品質のばらつきを良好に抑えられることがわかる。
【0037】
本実施形態では、グレーズ保温層3がアルミナ基板2上の全面に形成された全面グレーズタイプのサーマルヘッド1について説明したが、本発明は部分グレーズやリアルエッジ、ダブルグレーズ、DOS等の他タイプにも適用可能である。また本発明は、シリアルヘッドにもラインヘッドにも適用可能である。
【0038】
また本実施形態では、ヘッド基板としてアルミナ基板2を用いているが、アルミナ基板2に替えてシリコン基板を用いることも可能である。シリコン基板を用いる場合には、保温層として酸化物の蒸着膜からなる蒸着保温層を用いることが好ましい。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、リフトオフ法により厚膜電極形成エリア上にメッキシード層を形成し、該メッキシード層を介して共通電極上に共通厚膜電極をメッキにより形成している。よって、煩雑な亜鉛置換処理を行なう必要がなく、製造工程が容易となる。また本発明では、共通電極を薄い膜厚で形成しつつ該共通電極の抵抗値を低減させるので、発熱抵抗部と共通電極及び個別電極との段差が抑えられ、電極腐食及び段差部分での印字カスの堆積を防止することができる。さらに本発明では、ボンディングパッド形成エリア上にもメッキシード層を形成し、該メッキシード層を介して個別電極上にパッド層をメッキにより形成するから、パッド層を形成する際にも亜鉛置換処理を行なう必要がなくなり、製造工程を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるサーマルヘッドの発熱部構造を示す断面図である。
【図2】図1に示すサーマルヘッドの発熱部の製造方法の一工程図である。
【図3】図2に示す工程の次に行なわれる一工程図である。
【図4】図3に示す工程時の平面図である。
【図5】図3に示す工程の次に行なわれる一工程図である。
【図6】図5に示す工程の次に行なわれる一工程図である。
【図7】図6に示す工程の次に行なわれる一工程図である。
【図8】従来のサーマルヘッドの発熱部構造を示す断面図である。
【図9】従来の図7とは別態様によるサーマルヘッドの発熱部構造を示す断面図である。
【図10】Cr/Au/CrまたはCr/Cu/Crからなる3層構造の電極をエッチングしたときに生じるサイドエッチングを説明する模式図である。
【符号の説明】
1 サーマルヘッド
2 アルミナ基板
3 グレーズ保温層
4 抵抗膜
4a 発熱抵抗部
5 Al導体膜
5a 共通電極
5b 個別電極
6 メッキシード膜
6a 第1メッキシード層
6b 第2メッキシード層
7 共通厚膜電極
8 保護層
9 パッド層
Claims (5)
- 抵抗膜上にAl導体膜を薄膜形成する工程と、
前記抵抗膜の実際に発熱させる発熱エリア上のAl導体膜を除去し、該発熱エリアの両側それぞれに導通する共通電極及び個別電極を形成する工程と、
リフトオフ法により、前記共通電極の厚膜電極形成エリア上に、Cr/Cu、Cr/Ni、Cr/NiFe、Cr/CuNi、Ti/Cu、Ti/Ni、Ti/NiFeまたはTi/CuNiの2層構造で、メッキシード層を形成する工程と、
前記メッキシード層上に、前記共通電極の抵抗値を低減させる共通厚膜電極を、Cu/Ni、Cr/AuまたはTi/Auの2層構造でメッキにより形成する工程と、
リフトオフ法を用いて前記個別電極のボンディングパッド形成エリア上に、メッキシード層を形成する工程と、
このメッキシード層上に、パッド層をメッキにより形成する工程と、
を有することを特徴とするサーマルヘッドの製造方法。 - 抵抗膜上にAl導体膜を薄膜形成する工程と、
前記抵抗膜の実際に発熱させる発熱エリア上のAl導体膜を除去し、該発熱エリアの両側それぞれに導通する共通電極及び個別電極を形成する工程と、
リフトオフ法により、前記共通電極の厚膜電極形成エリア上に、Cr/Cu、Cr/Ni、Cr/NiFe、Cr/CuNi、Ti/Cu、Ti/Ni、Ti/NiFeまたはTi/CuNiの2層構造で、メッキシード層を形成する工程と、
前記メッキシード層上に、前記共通電極の抵抗値を低減させる共通厚膜電極を、Ni/Cu/Niの3層構造でメッキにより形成する工程と、
リフトオフ法を用いて前記個別電極のボンディングパッド形成エリア上に、メッキシード層を形成する工程と、
このメッキシード層上に、パッド層をメッキにより形成する工程と、
を有することを特徴とするサーマルヘッドの製造方法。 - 抵抗膜上にAl導体膜を薄膜形成する工程と、
前記抵抗膜の実際に発熱させる発熱エリア上のAl導体膜を除去し、該発熱エリアの両側それぞれに導通する共通電極及び個別電極を形成する工程と、
リフトオフ法により、前記共通電極の厚膜電極形成エリア上に、Cr/Cu、Cr/Ni、Cr/NiFe、Cr/CuNi、Ti/Cu、Ti/Ni、Ti/NiFe、Ti/CuNi、Ti/AuまたはCr/Auの2層構造で、メッキシード層を形成する工程と、
前記メッキシード層上に、前記共通電極の抵抗値を低減させる共通厚膜電極を、Ni/Au/Niの3層構造でメッキにより形成する工程と、
リフトオフ法を用いて前記個別電極のボンディングパッド形成エリア上に、メッキシード層を形成する工程と、
このメッキシード層上に、パッド層をメッキにより形成する工程と、
を有することを特徴とするサーマルヘッドの製造方法。 - 抵抗膜上にAl導体膜を薄膜形成する工程と、
前記抵抗膜の実際に発熱させる発熱エリア上のAl導体膜を除去し、該発熱エリアの両側それぞれに導通する共通電極及び個別電極を形成する工程と、
リフトオフ法により、前記共通電極の厚膜電極形成エリア上に、Cr/AuまたはTi/Auの2層構造で、メッキシード層を形成する工程と、
前記メッキシード層上に、前記共通電極の抵抗値を低減させる共通厚膜電極を、Au/Niの2層構造でメッキにより形成する工程と、
リフトオフ法を用いて前記個別電極のボンディングパッド形成エリア上に、メッキシード層を形成する工程と、
このメッキシード層上に、パッド層をメッキにより形成する工程と、
を有することを特徴とするサーマルヘッドの製造方法。 - 請求項1ないし4のいずれか一項に記載のサーマルヘッドの製造方法にお いて、前記メッキシード層は、前記厚膜電極形成エリア上及び前記ボンディングパッド形成エリア上に同時形成するサーマルヘッドの製造方法。
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