JP4068766B2 - パイプルーフ構築装置及びパイプルーフの構築工法 - Google Patents

パイプルーフ構築装置及びパイプルーフの構築工法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地山特に岩盤層からなる地山にパイプを推進すると共に並置したパイプルーフを構築するための装置と、構築工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
道路や滑走路或いは河川の土手等にトンネルを構築する場合、目的のトンネルに沿って複数の鋼管を並列させると共に隣接する鋼管(パイプ)を互いに接続して敷設し、敷設されたパイプによって地盤を支持しつつ、該パイプの下側の地山をくり抜く工法がある。この工法はパイプルーフ工法と呼ばれており、比較的に短い距離のトンネルを構築する場合に有利である。
【0003】
パイプルーフを構築するに当たり、パイプはセミシールド工法を採用して地中に推進される。この場合、掘進機は推進されるパイプの内部に配置され、該パイプを目的にの長さ推進した後、掘進機のみがパイプの内部を通って発進側に引き戻される。そして掘進機を引き戻すことによって、パイプは地中に推進された状態で敷設される。
【0004】
パイプルーフでは隣接して推進された複数のパイプは互いにジャンクションを介して接続される。またパイプルーフを構成するパイプとして、種々のジャンクション構造を持ったものが提供されている。代表的なジャンクションとして、パイプの外周面に2本のアングル材を対向させて溶接することで、対向させたフランジによって形成された間隙と、一対のアングル材によって形成された溝を持った雌部分と、T形鋼を溶接して形成した雄部分とを有するものがある。またパイプの内周面に溝形鋼を溶接すると共にパイプの溝形鋼のフランジ間に対応する部分を切断してT形鋼のウエブを嵌合させる間隙を形成したものもある(特願平9−2625号参照)。
【0005】
特に、後者の構造はパイプの内周面に溝形鋼のフランジを溶接し、且つパイプの周の部分を切断する必要があるため、製造が容易ではない。しかし、外周部位に突出する部分が少ないため、岩盤層からなる地盤にパイプルーフを構築するような場合に利用される。
【0006】
そしてパイプルーフを構築する場合、既に敷設されたパイプの雌部分に新たなパイプの雄部分を嵌合させておき、この状態で新たなパイプを推進することで、隣接させたパイプを互いに接続しつつ複数のパイプを並列させて、高い剛性を持ったパイプルーフを構築することが出来る。
【0007】
パイプルーフを構築する際に用いる掘進機はパイプの内部に配置されており、該パイプを所定距離推進した後、発進側に引き戻されるため、掘進機の引き戻しに伴って先頭に配置したカッターヘッドが容易にパイプ内に引き込まれるように構成することが必要である。
【0008】
例えば、カッターヘッドの外径をパイプの外径と略等しいか或いは僅かに大きくしておき、掘進機の引き戻しに伴ってカッターヘッドを構成するスポークが屈折し得るように構成されたもの、或いはカッターヘッドの外径をパイプの内径よりも僅かに小さくしておき、カッターヘッドをそのままの状態で掘進機を引き戻しし得るように構成されたもの等がある。
【0009】
前者の掘進機では地山にパイプの外径よりも大きな径を持ったトンネルを形成することが可能であり岩盤層に対応することが出来るが、後者の掘進機では地山にパイプの外径よりも小さい径を持ったトンネルを形成し、該トンネルの周囲にパイプを圧入して推進するため、岩盤層に対応することが出来ないという夫々の特徴を有している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
目的の地山が岩盤層である場合、推進すべきパイプの外径よりも大きい径を持ったトンネルを形成する所謂オーバーカットを行う必要があり、このような掘進機をスポークを屈折し得るように構成した場合、構造が複雑となり且つ強度上の問題が生じる。
【0011】
またパイプルーフを構築する場合、パイプは目的のトンネルの周囲に沿って敷設されるが、各パイプがジャンクションを有することから、該パイプには方向性が生じることとなり、推進時には掘進機もトンネルの周の接線方向を基準として傾けることが必要となる。そして、この場合、切羽に於ける泥水の供給位置と排泥位置が鉛直線に対して大幅に傾くこととなり、円滑な掘削土砂の排出をなし得なくなるという問題が生じる。
【0012】
またパイプを推進した後、掘進機を引き戻すのに伴って、パイプの前端部分が開放されることとなり、地下水がパイプ内に侵入して発進側に噴出するという問題がある。
【0013】
本発明の目的は、岩盤層からなる地山に円滑にパイプルーフを構築することが出来るパイプルーフ構築装置と、この構築装置を用いたパイプルーフの構築工法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係るパイプルーフ構築装置は、内周面の長手方向にジャンクションを設けたパイプを地中に推進してパイプルーフを構築するパイプルーフ構築装置であって、推進すべきパイプを推進方向の先頭に配置される先頭パイプと該先頭パイプに後続する本体パイプとによって構成すると共に先頭パイプを本体パイプに対し屈折可能に接続し、前記先頭パイプの先端部分に所定の円弧長を持った切欠部を形成すると共に該切欠部を除く内周面に所定の内径と長さを持った円弧状の支持部材を設け、且つ前記本体パイプ内周面であっての先頭パイプとの接続部の近傍に所定の長さを持った複数の支持部を設けると共に長手方向にジャンクションを設け、更に、先端にカッターヘッドを設けたシールド本体を前記先頭パイプの内周面に設けた支持部材によって支持すると共に該シールド本体に屈折可能に接続されたテールシールドを前記本体パイプの内周面に設けた支持部によって支持して前記カッターヘッドを先頭パイプの更に先頭に配置し、且つテールシールドと本体パイプとを推力伝達部材によって接続したものである。
【0015】
上記パイプルーフ構築装置(以下単に「構築装置」という)では、推進すべきパイプを先頭パイプと本体パイプとによって構成すると共に両者を屈折可能に接続して構成し、且つ先端にカッターヘッドを設けたシールド本体とテールシールドを互いに屈折可能に接続して掘進機を構成し、先頭パイプの内周面に設けた支持部材によってシールド本体を支持すると共に本体パイプの内周面に設けた複数の支持部によってテールシールドを支持して構成することによって、シールド本体と先頭パイプ、及びテールシールドと本体パイプとが互いに一体化し、パイプの推進時に掘進機の推進方向が予定線からズレた場合であっても、この推進方向を修正することが出来る。
【0016】
またテールシールドと本体パイプとを推力伝達部材によって接続することによって、発進側に設置した元押し装置によって本体パイプの後端側に推力を付与したとき、この推力は本体パイプから推力伝達部材を介してテールシールドに伝達される。このため、パイプと掘進機とを同時に推進することが出来る。
【0017】
上記構築装置に於いて、カッターヘッドが、先頭パイプの内周面に設けた円弧状の支持部材の内径よりも小さい径を持った本体部と、前記本体部の外周に構成され先頭パイプに形成された切欠部の弦の長さよりも小さい幅を持った突起部からなる面盤を有し、該面盤がシールド本体の隔壁に設けた駆動軸に取り付けられていることが好ましい。
【0018】
構築装置を上記の如く構成することによって、掘進機を発進側に引き戻す際にカッターヘッドの突起部を先頭パイプの切欠部に対向させることで、掘進機の引き戻しに伴って、先ず、突起部が切欠部に嵌入し、次いで、シールド本体が先頭パイプに設けた支持部材による支持を解除されると同時にテールシールドが本体パイプに設けた支持部による支持を解除されることで、掘進機の軸心がパイプの軸心よりも下方になるように落下する。この掘進機の落下によって、カッターヘッドの突起部がパイプの内部に嵌入し、引き続く掘進機の引き戻しの際に該突起部がパイプに干渉することがない。従って、掘進機の引き戻しを容易に行うことが出来る。
【0019】
またシールド本体の先端部位に先頭パイプに形成された切欠部に対向させてカバーを設けることが好ましい。このようにカバーを設けることによって、先頭パイプに形成された切欠部の影響を受けることなく、シールド本体の先端部位に形成される削土室の外周部位を規定することが出来る。このため、削土室に供給された泥水が先頭パイプの外周部と地山との間隙に漏洩することがなく、且つ地山の崩壊が発生した場合であっても、土砂が切欠部を通過してに入り込むことがない。
【0020】
またシールド本体とテールシールドが本体パイプの内周面に設けたジャンクションと干渉することのない断面形状を有することが好ましい。このような断面形状を有することによって、掘進機を発進側に引き戻す際にも、該掘進機の外周部が本体パイプの内周面に形成したジャンクションに干渉することがなく、円滑な引き戻しを実現することが出来る。
【0021】
またテールシールドの外周に本体パイプに設けた支持部と接触して摺動する摺動部材を設け、推力伝達部材によるテールシールドと本体パイプとの接続を解除して該テールシールドを本体パイプの後方側に引き戻したとき、前記カッターヘッドの突起部が先頭パイプの切欠部を通って先頭パイプの後方側に引き戻され且つ前記摺動部材が支持部から離脱してシールド本体及びテールシールドの軸心が先頭パイプ及び本体パイプの軸心から偏心してカッターヘッドが先頭パイプ及び本体パイプの内部を通過し得るように構成することが好ましい。
【0022】
構築装置を上記の如く構成することによって、地中にパイプを推進すると共に推進後、掘進機を円滑に発進側に引き戻すことが出来る。
【0023】
またシールド本体に削土室と機内室とに分割する隔壁を設け、該隔壁に排泥管と送泥管を曲管を介して接続し、前記排泥管の削土室側の開口部が鉛直方向の下方に且つ前記送泥管の削土室側の開口部が鉛直方向の上方に位置するように構成することが好ましい。
【0024】
構築装置を上記の如く構成することによって、目的のパイプルーフに於ける側壁部分やアーチ部分に対応するパイプを推進する場合であっても、泥水を削土室に対し常に鉛直方向の上方側に供給することが出来、且つ掘削土砂が混入した泥水を削土室の鉛直方向下方側から排出することが出来る。
【0025】
本発明に係るパイプルーフの構築工法は、内周面の長手方向にジャンクションを設けたパイプを発進立坑から地中に推進した後、カッターヘッドを取り付けたシールド本体とテールシールドを発進立坑に引き戻し、更に、既に地中に推進されたパイプに順次新たなパイプを隣接させて推進して構築するパイプルーフの構築工法であって、推進方向の先頭に配置される先頭パイプと該先頭パイプに後続する本体パイプとによって構成すると共に先頭パイプを本体パイプに対し屈折可能に接続し、前記先頭パイプの先端部分に所定の円弧長を持った切欠部を形成すると共に該切欠部を除く内周面に所定の内径を持った円弧状の支持部材を設け、且つ前記本体パイプ内周面であっての先頭パイプとの接続部の近傍に複数の支持部を設けると共に長手方向にジャンクションを設け、更に、先端にカッターヘッドを設けたシールド本体を前記先頭パイプの内周面に設けた支持部材によって支持すると共に前記シールド本体に屈折可能に接続されたテールシールドを前記本体パイプの内周面に設けた支持部によって支持して前記カッターヘッドを先頭パイプの更に先頭に配置し、且つテールシールドと本体パイプとを推力伝達部材によって接続したパイプルーフ構築装置を用いて先頭パイプを発進立坑から地中に推進するに際し、該先頭パイプに形成した切欠部とシールド本体に設けたカバーとによって形成された空隙に充填材を充填することを特徴とするものである。
【0026】
上記構築工法では、パイプの推進を開始する際に、予め先頭パイプに形成した切欠部と該切欠部と対向して配置されたカバーとによって形成された空隙に充填材を充填することで、先頭パイプの先端部を連続した円筒として形成することが出来る。このため、先頭パイプを発進側から地中に嵌入させる際には先頭パイプの周囲を合理的にシールすることが出来、地下水や切羽に供給した泥水が切欠部を通って流出することがない。
【0027】
上記構築工法に於いて、シールド本体及びテールシールドを発進立坑側に引き戻す際に、カッターヘッドが本体パイプに到達するまでの間に又は本体パイプに到達した後、地山と先頭パイプとの間に形成された間隙を発泡モルタルを含む閉塞材によって閉塞することを特徴とするものである。
【0028】
上記構築工法では、掘進機を発進側に引き戻す際に地中に残置される先頭パイプの内周面を発泡モルタルを含む閉塞部材によって閉塞することが出来る。このため、掘進機を引き戻したとき、地下水が発進側に漏洩することがない。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、上記構築装置の好ましい実施形態について図を用いて説明し、合わせて構築工法について説明する。図1は構築装置の構成を説明する図である。図2は図1のII矢視図でありカッターヘッドの構成を説明する図である。図3は図1のIII 断面図である。図4は図1のIV矢視図である。図5は掘進機に後続させる油圧ユニットの台車と制御装置の台車の構成を説明する図である。図6はパイプルーフを構成する複数のパイプを敷設した状態を説明する図である。図7は互いに隣接したパイプの接続状態を説明する図である。図8はパイプを推進する装置の全体構成を説明する図である。図9は掘進機を引き戻す際の装置の構成を説明する図である。図10〜図12はパイプを推進するに際し切羽に対する泥水の供給と排出を鉛直方向に配置するための構成を説明する図である。図13はパイプを推進する際の構築装置の状態を説明する図である。図14,図15は掘進機を発進側に引き戻す状態を説明する図である。
【0030】
本実施例に係る構築装置の説明に先立ってパイプルーフの構造について図6,図7により説明する。パイプルーフは、例えば図6に示すように、地中に複数のパイプAを並列させて敷設すると共に隣接するパイプA(Aa,Ab)を互いに接続して敷設することで、これらのパイプAによって地盤を支持するものである。そして、パイプルーフを構築した後、該パイプルーフの内部を掘削して壁を構成することでトンネルを構築することが可能である。
【0031】
パイプルーフを構成する際のパイプの配置としては、トンネルの設置位置や使用目的等に対応して種々のものがあり、本発明ではパイプAの配置状態を限定するものではない。即ち、図6に示すように、複数のパイプAをアーチ状に敷設して構築する場合や、複数のパイプを水平方向及び垂直方向に敷設して構築する場合等がある。以下の説明では、アーチ型のパイプルーフを構築する場合について説明する。
【0032】
パイプルーフを構成する複数のパイプAは、パイプルーフの周上に並列して敷設される。また複数のパイプAを敷設する場合、先ず、基準となるパイプA(パイプAa)を推進し、この基準となるパイプAaの両側に隣接させて他のパイプA(パイプAb)を敷設するようにしている。
【0033】
基準となるパイプAaは、単に他のパイプAbを推進する際の基準であるばかりではなく、パイプルーフの基準となるものであり、位置の精度や姿勢の精度共に高い水準を保持し得ることが必要である。このため、パイプAaは、図7に示すように、外周部に突出する部材のないパイプとして構成されている。
【0034】
パイプルーフを構成するパイプAは、隣接する他のパイプAと互いに接続して敷設される。このため、各パイプAにはジャンクション1,2が形成されている。
【0035】
ジャンクション1は、パイプAの内周面の所定位置であって、且つ該パイプAの長手方向に配置されると共に溶接によって固定された溝形鋼1aを有して構成されている。そして溝形鋼1aに対向したパイプAを長手方向に切断して溝1bを形成することで、溝形鋼1aと溝1bとによってジャンクション1が形成されている。またジャンクション2は、パイプAの外周面の所定位置であって、且つ長手方向に配置されると共に溶接によって固定されたT形鋼によって構成されている。
【0036】
従って、ジャンクシャン1は雌状に形成され、ジャンクション2は雄状に形成されている。そして、既に敷設されたパイプAに隣接させて新たなパイプAを推進する場合、既に推進されているパイプAのジャンクション1に新たなパイプAのジャンクション2を嵌合させて接続し、この状態で、新たなパイプAを推進することによって、新たなパイプAは既に推進されているパイプAによって推進方向を規制されると共に接続状態を維持することが可能である。
【0037】
基準となるパイプAaには2つのジャンクション1が形成され、他のパイプAbには1つのジャンクション1と1つのジャンクション2が形成される。またパイプAに形成されるジャンクション1,2は、目的のパイプルーフの断面形状に対応した位置を有しており、必ずしもパイプAの直径上に配置されるとは限らない。即ち、本実施例のようにパイプルーフがアーチ型である場合、該アーチの径に応じて最適な位置に形成される。またパイプルーフが角型である場合、コーナー部に配置されるパイプでは2つのジャンクションは互いに90度の角度を持って配置され、前記以外のパイプでは互いに直径上に配置される。
【0038】
次に、構築装置の構成について図1〜図5により説明する。構築装置は、パイプAの先端部分と、該先端部分の内部に配置された掘進機Bとによって構成されており、発進側に設置した元押し装置C(図8参照)によってパイプA,掘進機Bを推進し、この過程で掘進機Bによって地山を掘削すると共に掘削した土砂を外部に排出するものである。
【0039】
そして所定長さの推進が終了した後、掘進機Bを発進側に引き戻すことによってパイプAを地中に残置することで該パイプAを敷設し、更に、既に敷設されたパイプAに新たなパイプAを隣接させると共に互いのジャンクション1,2を接続して推進して敷設し、この作業を繰り返して行って、所定数のパイプAを敷設することでパイプルーフを構築するものである。
【0040】
図に示すように、パイプAは先頭に配置した先頭パイプ10と、該先頭パイプ10に後続させた本体パイプ11とによって構成されている。前記先頭パイプ10と本体パイプ11とは互いに屈折可能に接続されており、後述する掘進機Bの屈折に伴って屈折し得るように構成されている。そして本体パイプ11の所定位置にジャンクション1,2が形成されている。
【0041】
先頭パイプ10は掘進機Bを構成するカッターヘッド21とシールド本体22の長さに対応して予め設定された長さを有しており、後端側が本体パイプ11の先端と嵌合して屈折し得るように構成されている。そして掘進機B(シールド本体22とテールシールド23)が屈折したとき、この掘進機Bに駆動されて屈折することで、推進方向を制御し得るように構成されている。
【0042】
先頭パイプ10の先端部には、周方向に予め設定された幅を持ち、且つ長手方向(軸心方向)に予め設定された長さを持つ切欠部10aが形成されている。この切欠部10aは、パイプAを推進した後、掘進機Bを発進側へ引き戻す際にカッターヘッド21の突起部21aを通過させる機能を有するものであり、該突起部21aが容易に通過することが可能な幅と長さを持って形成されている。
【0043】
先頭パイプ10の先端部であって切欠部10aを除く周の内面には、予め設定された内径と長さを有し、且つ一部が切欠部10aと略等しい寸法を持って切り欠かれたリング状の支持部材12が配置され、前記切り欠かれた部分を先頭パイプ10の切欠部10aと一致させて溶接等の手段で固着されている。この支持部材12は掘進機Bのシールド本体22の外周を嵌合して支持する機能と、シールド本体22から推力を伝達される機能と、シールド本体22の先端部分と共同して削土室24を形成する機能を有するものである。
【0044】
このため、支持部材12には、先端側に先頭パイプ10の先端部から後方に向かって径が小さくなるテーパ部12aが形成されており、このテーパ部12aに引き続いてシールド本体22の先端部分に形成されたテーパ部22aが配置され、両者のテーパ部12a,22aによって削土室24が形成されている。また支持部材12にはインロー状の段部12bが形成されており、該段部12bにシールド本体22の外周面に形成した段部22bが当接することで、両段部12b,22bによって推力が伝達される。更に、支持部材12の後端側にはテーパ部12cが形成されており、掘進機Bを引き戻す際にシールド本体22はテーパ部12cに沿って移動しつつ下方に落下し得るように構成されている。
【0045】
本体パイプ11はパイプAの本体部分を構成するものであり、先端部分が先頭パイプ10に嵌合して屈折可能に接続され、且つ後端部分には目的のパイプルーフの距離に対応させて新たなパイプを溶接等によって接続して所望の長さに構成されている。従って、本体パイプ11は長尺の1本のパイプとして形成されており、後端に元押し装置Cが当接して推力が付与される。
【0046】
本体パイプ11の先端側であって内周面の所定位置には複数の支持部11a,11bが形成されている。この支持部11a,11bは本体パイプ11の内周面を複数に分割した位置に配置されており、下側に高さの高い支持部11aが形成され上側に高さの低い支持部11bが形成されている。本実施例では、支持部11a,11bは垂直線を避けた位置に夫々2か所形成されている。
【0047】
本体パイプ11の内周面であって掘進機Bを構成するテールシールド23の後端部と対応する位置には、複数の推力伝達部材13が形成されている。この推力伝達部材13は、元押し装置Cによって本体パイプ11に付与された推力を掘進機Bに伝達する機能を有するものであり、本体パイプ11の内周面に固着された反力受け部材13aと、反力受け部材13aに取り付けられたプレッシャロッド13bと、テールシールド23に設けたブラケット13cと、によって構成され、プレッシャロッド13bをブラケット13cに連結することで、本体パイプ11とテールシールド23を一体化させ、これにより、掘進機Bに推力を伝達し得るように構成されている。尚、掘進機Bに伝達された推力は、シールド本体22の段部22bから支持部材12の段部12bに伝達され、これにより、本体パイプ11に付与された推力は掘進機Bを介して先頭パイプ10に伝達される。
【0048】
掘進機Bは、先頭に配置されて地山を掘削するカッターヘッド21と、カッターヘッド21を回転可能に支持するシールド本体22と、ジャッキ25を介してシールド本体22と屈折可能に接続されたテールシールド23とを有して構成されており、カッターヘッド21を先頭パイプ10の先端よりも更に先端に配置し、且つシールド本体22とテールシールド23は夫々先頭パイプ10,本体パイプ11の先端側の内部に配置されている。
【0049】
シールド本体22は先端部分が先頭パイプ10に形成された支持部材12に嵌合されると共に段部22bが支持部材12の段部12bと係合して配置されている。即ち、シールド本体22は、外径がパイプAの内径よりも充分に小さい円で、且つパイプAの内周面に設けたジャンクション1との干渉を回避し得るように、該ジャンクション1に対応する部位が直線状に形成(図3参照)されている。そしてシールド本体22の先端部分を先頭パイプ10に設けた支持部材12に嵌合させて支持したとき、シールド本体22の軸心22aは先頭パイプ10の軸心と一致し得るように構成されている。
【0050】
シールド本体22は段部22bよりも先端側でシヤーピン14を介して支持部材12と係合している。従って、シールド本体22に推力が作用しているとき、該推力は段部22b,12bの当接によって先頭パイプ10に伝達される。またシールド本体22に引き戻し力が作用したとき、この力はシヤーピン14を介して先頭パイプ10に伝達される。このため、既に推進されたパイプAの距離が大きく、引き戻し力に対するパイプAの抵抗が大きい場合、シヤーピン14が剪断されて掘進機Bが引き戻される。また推進されたパイプAの距離が小さく、引き戻し力に対する抵抗が小さい場合、掘進機BとパイプAが一体的に引き戻される。
【0051】
シールド本体22は隔壁26によって削土室24と機内室27とに分割されている。隔壁26にはカッターヘッド21の軸が支持されると共に、機内室27側にカッターヘッド21を駆動する電動モーター,減速機,変速機を含む駆動装置28が取り付けられている。また隔壁26の機内室27側であって該隔壁26から所定距離離隔した位置には支持壁29が設けられており、該支持壁29にジャッキ25の一方の端部が固定されている。
【0052】
シールド本体22の隔壁26よりも先端側(カッターヘッド21を配置する側)に削土室24が形成されている。この削土室24は、シールド本体22の先端側の周壁と、先頭パイプ10の先端に設けた支持部材12の内周面とによって形成され、隔壁26に接近した側の径が小さく、カッターヘッド21に接近するに従って径が大きくなるテーパ状に形成されている。
【0053】
支持部材12は、先頭パイプ10に形成された切欠部10aを除く部位に対応させた円弧状に形成されている。即ち、切欠部10aに対応する部位には支持部材12が配置されていない。このため、シールド本体22の外周部であって先頭パイプ10の切欠部10aに対向する部分にはカバー22bが取り付けられている。
【0054】
カバー22bは、支持部材12に於ける先頭パイプ10に形成された切欠部10aと対向する部位の形状と略等しい形状を持って形成されており、シールド本体22の外周面に溶接等の手段によって固着されている。このカバー22bの外径は先頭パイプ10の内径よりも小さいことが必要である。
【0055】
従って、削土室24は、先頭パイプ10に切欠部10aが形成されているにも関わらず、該先頭パイプ10に設けた支持部材12とカバー22bとによって、先端側から隔壁26側に向けて径が小さくなるテーパ状に形成される。
【0056】
テールシールド23は、シールド本体22の外形形状と同一の形状を持って形成されており、内部に機内室27が形成されている。テールシールド23の外周面であって本体パイプ11の内周面に形成された支持部11a,11bと対向する位置には夫々支持部材11a,11bと接触して摺動する摺動部材23a,23bが設けられている。摺動部材23aは支持部材11aと接触するものであり高さが低く、また摺動部材23bは支持部材11bと接触するものであり高さが高く形成されている。そしてテールテールシールド23が支持部材11a,11bと摺動部材23a,23bとの接触によって支持されたとき、テールシールド23の軸心23cは本体パイプ11の軸心と一致し得るように構成されている。
【0057】
カッターヘッド21は駆動装置28に駆動されて同心回転或いは偏心回転し、この回転と同時に付与される推力によって地山を掘削するものである。カッターヘッド21が同心回転するか、偏心回転するかは特に限定するものではない。本実施例では、カッターヘッド21はシールド本体22の軸心22aに対し所定の偏心量を持って偏心回転し得るように構成されている。
【0058】
一般にカッターヘッドは地山の地層に対応させて構成されており、本実施例では、岩盤層に掘削し得るように複数のローラカッター30とスクレーパ31を有しており、且つ掘削された礫を破砕するコーンロータ32が設けられている。また岩盤層を掘削する場合、カッターヘッド21による掘削径はパイプAの外径よりも大きい(オーバービット)のが一般的である。従って、カッターヘッド21の最も外周部に配置されたローラカッター30の外周径は先頭パイプ10の外径よりも大きく設定されている。
【0059】
即ち、カッターヘッド21は、先頭パイプ10に設けた支持部材12の内径よりも小さい径を持った本体部21bと、この本体部21bから一方側へ突出した突起部21aと、を有して構成されている。突起部21aは幅寸法がパイプAの先頭パイプ10に形成した切欠部10aの幅よりも小さく形成されており、軸心から最も離隔した位置までの距離がオーバービットを含む掘削半径と等しい。
【0060】
従って、カッターヘッド21の突起部21aを先頭パイプ10の切欠部10aに対向させたとき、該カッターヘッド21は先頭パイプ10び支持部材12と切欠部10aとによって形成される空間の形状と略相似した形状を有する。このため、掘進機Bを発進側に引き戻す際に、カッターヘッド21を前記空間に嵌入させることが可能である。
【0061】
カッターヘッド21に設けたコーンロータ32は、シールド本体22の隔壁26に接近した側の径が大きく本体部21bに接近するに従って径が小さくなるテーパ状に形成されている。コーンロータ32はカッターヘッド21の軸に対し自由に回転し得るように装着され、削土室24を規定するシールド本体22の先端部の内周壁面,支持部材12のテーパ部12aとの間に礫を挟持したとき、該礫の抵抗によってカッターヘッド21の回転とは無関係に回転し、この回転に伴って礫を破砕する。
【0062】
削土室24には予め地下水圧に対応した圧力を有し且つ掘削土砂を混合して搬送し得る比重に調整された泥水が供給される。この泥水は機内室27に配置された送泥管33を介して供給され、排泥管34を介して排出される。前記送泥管33,排泥管34は止水バイパス弁35を介して接続されており、推進長の延長に伴ってパイプAの内部に新たな送泥管33,排泥管34を接続する際にこれらの管33,34と削土室24との導通を遮断し、且つパイプAを推進する際に各管33,34と削土室24とを導通させる。
【0063】
カッターヘッド21によって地山を掘削したとき、削土室24に於ける掘削土砂は鉛直方向の下方に滞留する。このため、排泥管34は掘進機Bの姿勢に関わらず削土室24に於ける鉛直方向下方側に開口することが好ましい。削土室24に於ける送泥管33の開口位置については特に限定するものではないが、該削土室24に於ける鉛直方向の上方側に開口することが好ましい。このように、送泥管33を削土室24に於ける鉛直方向の上方側に開口させると共に排泥管34を下方側に開口させることによって、削土室24に於ける泥水の流れ方向を上方側から下方側とし、掘削した土砂を重力に逆らうことなく下方側から排出することが可能となる。
【0064】
複数のパイプAを互いに接続しつつ推進してパイプルーフを構築する場合、ジャンクション1,2の位置に対応して個々のパイプaが方向性を有するため、図6に示すように、パイプルーフの位置に応じてパイプA及び掘進機Bの姿勢が変化する。このため、削土室24に於ける送泥管33の位置と排泥管34の位置が鉛直線から大幅にズレ、掘削土砂を円滑に排出し得なくなる。
【0065】
即ち、図6に於いて、基準となるパイプAaを中心としてナンバー10〜ナンバー13に位置するパイプAを推進する場合には基準となるパイプAaを推進するのと略同じ姿勢として良い。しかし、ナンバー6〜ナンバー9,ナンバー14〜ナンバー17或いはナンバー2〜ナンバー5,ナンバー18〜ナンバー21を推進する場合、排泥管34の位置が鉛直線の下方側から大幅なズレが生じる。このため、掘進機Bの姿勢を維持して、削土室24に於ける送泥管33の開口位置と排泥管34の開口位置を可及的に鉛直線の方向に沿わせる必要が生じる。
【0066】
本実施例では、送泥管33,排泥管34の端部を支持壁29に接続し、掘進機Bの姿勢の変化に伴って、シールド本体22の削土室24に対応する部分を機内室27に対応する部分に対し所定のピッチで回動させると共に、支持壁29と隔壁26との間を直管やベンド管或いはエルボ等の曲管によって接続することによって、掘進機Bの姿勢に関わらず、送泥管33及び排泥管34の開口位置を略鉛直線に沿った上下方向に配置し得るように構成している。
【0067】
即ち、図6のナンバー10〜ナンバー13のパイプAを推進する場合、図10に示すように、支持壁29と隔壁26の間に直管35を配置して各管33,34と削土室24とを接続することで、鉛直線に沿った略上下側から送泥すると共に排泥することが可能である。
【0068】
またナンバー6〜ナンバー9,ナンバー14〜ナンバー17に対応するパイプAを推進する場合、図11に示すように、シールド本体22の削土室24に対応する部分を機内室27に対応する部分に対し所定角度回転させ、更に、支持壁29と隔壁26との間にエルボ36を配置して各管33,34と削土室24とを接続することで、鉛直線に沿った略上下側から送泥すると共に排泥することが可能である。
【0069】
またナンバー2〜ナンバー5,ナンバー18〜ナンバー21に対応するパイプAを推進する場合、図12に示すように、シールド本体22の削土室24に対応する部分を機内室27に対応する部分に対し所定角度回転させ、更に、支持壁29と隔壁26との間にエルボ37を配置して各管33,34と削土室24とを接続することで、鉛直線に沿った略上下側から送泥すると共に排泥することが可能である。
【0070】
尚、機内室27にはパイプAを推進する際に掘進機Bの推進方向を検出する光学径38や、テールシールド23の傾斜を検出する傾斜計39が設けられている。
【0071】
シールド本体22とテールシールド23を接続するジャッキ25は油圧シリンダーによって構成される。このため、図5に示すように、ジャッキ25を駆動する圧油を発生する油圧ユニット40や、ジャッキ25を駆動制御し、或いは光学系38,傾斜計39から発生する信号の授受を行う制御装置41が設けられる。これらの油圧ユニット40,制御装置41の配置位置については特に限定するものではない。
【0072】
即ち、推進すべきパイプAの径が大きく、且つ発進側にスペースの余裕があるような場合、シールド本体22やテールシールド23の径や長さを大きくすることが可能であり、このような掘進機Bでは、油圧ユニット40や制御装置41をテールシールド23の内部に配置することが可能である。しかし、本実施例では、油圧ユニット台車40aと制御台車41aを設け、これらの台車40a,41aに油圧ユニット40,制御装置41を搭載すると共に、各台車40a,41aをテールシールド23の後方に配置している。
【0073】
尚、油圧ユニット40や制御装置41はパイプAの軸心を避けて設けられており、光学系38に照射されるレーザー光に干渉しないように構成されている。
【0074】
次に図8によりパイプAを推進する際の手順と装置の構成について説明する。図に於いて、発進坑Dは、パイプAを推進する起点となるものであり、パイプルーフを構築する部位に対応して立坑の場合もありまた地上である場合もある。
【0075】
発進坑Dには元押し装置Cが設置されており、該元押し装置Cのガイドレール50にパイプAを載置してジャッキ51を駆動し、これにより押し輪52をパイプAに当接させて前進させることで、パイプAの後端に推力を付与し得るように構成されている。
【0076】
また発進坑Dの所定位置には、送泥管33を介して泥水を供給すると共に排泥管34を介して排出された泥水を受け入れ、泥水に混合した掘削土砂を分離し、且つ比重や粘度を調整する泥水供給装置53、及び制御装置41と電気的に接続され、掘進機Bの内部に配置された機器類や光学系38による掘進機Bの推進方向を監視し、推進方向が予定線からズレたとき、ジャッキ25を駆動して方向修正し、或いは泥水供給装置53の駆動を制御するための操作盤54が設置されている。
【0077】
先ず、ガイドレール50に内部に掘進機Bを配置し且つテールシールド23と本体パイプ11を推力伝達部材13によって接続した先頭に配置される先頭パイプ10と本体パイプ11からなる単位長さの第1のパイプを搭載し、ジャッキ51を駆動して押し輪52を前進させ、掘進機Bのカッターヘッド21を掘削すべき地山に押し当てる。そして、カッターヘッド21を回転させると、該カッターヘッド21が地山に対し圧接しているため地山が掘削され、掘進機B及び第1のパイプが推進される。先頭パイプ10が地山に到達した後、削土室24に泥水を供給しつつ押し輪52を前進させると共にカッターヘッド21を駆動することで、第1のパイプは更に推進される。
【0078】
このとき、先頭パイプ10に形成された切欠部10aの部分から泥水や地下水が漏洩して発進坑Dに噴出する虞がある。このため、本実施例では、先頭パイプ10の推進に先立って、切欠部10aに充填材を充填して閉塞している。このとき用いる充填材は、切欠部10aが全長にわたって推進される間、泥水や地下水が発進坑Dに漏洩することを防止するように機能すれば良く、掘進機Bを発進坑D側に引き戻す際にカッターヘッド21の突起部21aが嵌入する際に邪魔をしてはならない。このような充填材として粘土がある。
【0079】
第1のパイプの推進が終了した後、押し輪52を引き戻し、ガイドレール50に新たな第2のパイプを搭載して既に推進されている第1のパイプの後端に接続して溶接することで一体化させ、その後、押し輪52を前進させて既に推進された第1のパイプと、該第1のパイプに接続された第2のパイプを推進する。更に、この操作を繰り返して所定長さのパイプAを推進し、地中に敷設する。
【0080】
パイプAを推進するに際し、オペレータは操作盤54を常に監視しており、例えば掘進機Bの推進方向が予定線からズレたことを認識したとき、ジャッキ25を駆動してシールド本体22とテールシールド23をズレを解消する方向に屈折させると、シールド本体22とテールシールド23との間に発生する屈折により、先頭パイプ10と本体パイプ11が屈折する。この状態を維持して更に推進することで、掘進機Bの推進方向を予定線に一致させることが可能である。そして掘進機Bが予定線に一致したとき(一致することを見越したとき)、ジャッキ25を再度駆動して元の状態に復帰させて推進する。
【0081】
上記の如くして地中に所定長さのパイプAを敷設した後、先頭パイプ10を含むパイプAを残置し、掘進機Bを発進坑D側に引き戻す。次に、掘進機Bを発進坑Dに引き戻す操作手順について図9,図13〜図15により説明する。
【0082】
パイプAが所定長さ推進されたとき、元押し装置Cでは押し輪52に対する駆動が解除され、該押し輪52は退避位置に移動する。
【0083】
その後、掘進機Bのテールシールド23と本体パイプ11を一体化している推力伝達部材13の接続を解除し、該テールシールド23及び各台車40a,41aにワイヤー55を接続する。このワイヤー55は掘進機Bに発進坑D方向への引き戻し力を付与するものであり、元押し装置Cを構成する押し輪52によって駆動しても良い。しかし、本実施例では、元押し装置Cのガイドレール50に設置したウインチ56によって駆動している。
【0084】
パイプAの径が大きい場合、該パイプAの内部に作業員が入って所定の作業を行うことが可能である。即ち、作業員によって推力伝達部材13によるテールシールド23と本体パイプ11との接続を解除する作業や、ワイヤー55を取り付ける作業を行うことが可能である。しかし、パイプAの径が小さい場合、該パイプAの内部に作業員が入ることが不可能であるため、このような場合には、推力伝達部材13によるテールシールド23と本体パイプ11との接続及び解除作業を遠隔操作によって行うように構成することが必要となる。また掘進機Bに対するワイヤー55の取り付けは、推進を開始するに先立って行っておくことが必要である。
【0085】
そして図13に示す状態で、掘進機Bにワイヤー55を接続した後、カッターヘッド21を回転させて突起部21aを先頭パイプ10の切欠部10aに対向させる。その後、ウインチ56を駆動して掘進機Bに引き戻し力を付与する。
【0086】
尚、図に於いて57はウレタンバッグ製のパッカーであり、予め先頭パイプ10の支持部材12よりも後方側に配置された状態でパイプAと共に推進される。このパッカー57は風船状の袋体に図示しないホースが接続されて構成されており、該ホースを介して圧縮空気及び発泡モルタル等の閉塞部材を供給することで、先頭パイプ10の内部を閉塞するものである。
【0087】
ワイヤー55を介して付与された引き戻し力はシヤーピン14に集中して作用し、該シヤーピン14を切断する。これにより、掘進機BとパイプAとの接続が解除され、該掘進機Bは発進坑Dに引き戻される方向にはパイプAに拘束されることなく自由に移動することが可能である。
【0088】
更に掘進機Bを引き戻すと、シールド本体22は先頭パイプ10の内部に設けた支持部材12に沿って摺動し、且つテールシールド23は本体パイプ11に設けた支持部11a,11bと摺動部材23a,23bとが接触した状態で摺動し、掘進機Bが後退する。このとき、カッターヘッド21の突起部21aは最外周までの距離が先頭パイプ10の外径と略等しいにも関わらず、該先頭パイプ10の切欠部10aに嵌入し、シールド本体22,テールシールド23の後退に伴ってする。
【0089】
そして、図14に示すように、シールド本体22と支持部材12との接触が解除し、且つ支持部11a,11bと摺動部材23a,23bとの接触が解除したとき、掘進機Bは支持部11aの高さに対応する高さだけ落下し、この落下に伴ってカッターヘッド21の突起部21aは先頭パイプ10,本体パイプ11の内周側に退避する。このため、前記突起部21aがパイプAと干渉することがなく、極めて容易に発進坑D側に引き戻すことが可能である。
【0090】
掘進機Bが引き続き発進坑D側に引き戻され、パッカー57がカッターヘッド21の前面に位置したとき、発進坑D側から圧縮空気と発泡モルタルが供給され、該パッカー57が膨張して先頭パイプ10の内部を閉塞し、この状態で発泡モルタルが硬化してより強固に閉塞して地下水が発進坑D側に漏洩することを防止する。
【0091】
引き続きウインチ56を駆動して掘進機Bを発進坑D側に引き戻し、該掘進機Bが発進坑Dに到達したとき、元押し装置Cのガイドレール50に載置して新たなパイプAを構成する先頭パイプ10,本体パイプ11の内部に組み込んで、新たなパイプAを推進する。
【0092】
特に、基準となるパイプAaを推進する場合、該パイプAaを単独で推進することとなる。しかし、既に推進されたパイプAに隣接させて新たなパイプAを推進する場合、該パイプAの外周に形成されたジャンクション2を既に推進されたパイプAのジャンクション1に係合させた状態で推進することで、互いに接続した状態を保持して推進することが可能である。
【0093】
上記の如くして、予め設定された位置に夫々パイプAa,パイプAbを敷設することでパイプルーフを構築することが可能である。
【0094】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明に係る構築装置では、特に岩盤層にパイプルーフを構築する際に鋼管からなるパイプを合理的に推進することが出来、且つ所定長のパイプを推進した後、掘進機を発進側に引き戻す作業を容易に行うことが出来る。特に、推進すべきパイプの先頭に位置する先頭パイプに切欠部を設け、カッターヘッドの突起部を該切欠部に嵌入させることで、カッターヘッドの構造を簡単なものとし、且つ容易に引き戻すことが出来る。
【0095】
また掘進機を構成するシールド本体の先端部位に先頭パイプに形成された切欠部と対応するカバーを設けることによって、削土室を規定することが出来、該削土室に供給された泥水が掘進機の周囲に漏洩することなく、合理的な推進を実現することが出来る。
【0096】
またシールド本体とテールシールドの外形がジャンクションと干渉することのない形状とすることによって、掘進機を容易に引き戻すことが出来る。
【0097】
また本体パイプの内周面に支持部を設けると共にテールシールドの外周に摺動部材を設け両者を接触させることで、掘進機を引き戻したとき、摺動部材と支持部との接触が解除されるのに伴って掘進機が落下し、これによりカッターヘッドがパイプと干渉することがない。
【0098】
また先頭パイプに形成された切欠部に充填材を充填することで、掘進機を推進する際に切欠部から泥水や地下水が発進側に漏洩することがない。
【0099】
また掘進機を引き戻したとき、先頭パイプの内部に形成された開口部分を閉塞材によって閉塞することで、地下水が発進側に漏洩することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】構築装置の構成を説明する図である。
【図2】図1のII矢視図でありカッターヘッドの構成を説明する図である。
【図3】図1のIII 断面図である。
【図4】図1のIV矢視図である。
【図5】掘進機に後続させる油圧ユニットの台車と制御装置の台車の構成を説明する図である。
【図6】パイプルーフを構成する複数のパイプを敷設した状態を説明する図である。
【図7】互いに隣接したパイプの接続状態を説明する図である。
【図8】パイプを推進する装置の全体構成を説明する図である。
【図9】掘進機を引き戻す際の装置の構成を説明する図である。
【図10】パイプを推進するに際し切羽に対する泥水の供給と排出を鉛直方向に配置するための構成を説明する図である。
【図11】パイプを推進するに際し切羽に対する泥水の供給と排出を鉛直方向に配置するための構成を説明する図である。
【図12】パイプを推進するに際し切羽に対する泥水の供給と排出を鉛直方向に配置するための構成を説明する図である。
【図13】パイプを推進する際の構築装置の状態を説明する図である。
【図14】掘進機を発進側に引き戻す状態を説明する図である。
【図15】掘進機を発進側に引き戻す状態を説明する図である。
【符号の説明】
A パイプ
B 掘進機
C 元押し装置
D 発進坑
1,2 ジャンクション
10 先頭パイプ
10a 切欠部
11 本体パイプ
11a,11b 支持部
12 支持部材
12a,12c テーパ部
12b 段部
13 推力伝達部材
13a 反力受け部材
13b プレッシャロッド
13c ブラケット
14 シヤーピン
21 カッターヘッド
21a 突起部
21b 本体部
22 シールド本体
22a 軸心
22b 段部
23 テールシールド
24 削土室
25 ジャッキ
26 隔壁
27 機内室
28 駆動装置
29 支持壁
30 ローラカッター
31 スクレーパ
32 コーンロータ
33 送泥管
34 排泥管
35 直管
36,37 エルボ
38 光学径
39 傾斜計
40 油圧ユニット
40a 油圧ユニット台車
41 制御装置
41a 制御台車
50 ガイドレール
51 ジャッキ
52 押し輪
53 泥水供給装置
54 操作盤
55 ワイヤー
56 ウインチ
57 パッカー

Claims (8)

  1. 内周面の長手方向にジャンクションを設けたパイプを地中に推進してパイプルーフを構築するパイプルーフ構築装置であって、推進すべきパイプを推進方向の先頭に配置される先頭パイプと該先頭パイプに後続する本体パイプとによって構成すると共に先頭パイプを本体パイプに対し屈折可能に接続し、前記先頭パイプの先端部分に所定の円弧長を持った切欠部を形成すると共に該切欠部を除く内周面に所定の内径と長さを持った円弧状の支持部材を設け、且つ前記本体パイプ内周面であっての先頭パイプとの接続部の近傍に所定の長さを持った複数の支持部を設けると共に長手方向にジャンクションを設け、更に、先端にカッターヘッドを設けたシールド本体を前記先頭パイプの内周面に設けた支持部材によって支持すると共に該シールド本体に屈折可能に接続されたテールシールドを前記本体パイプの内周面に設けた支持部によって支持して前記カッターヘッドを先頭パイプの更に先頭に配置し、且つテールシールドと本体パイプとを推力伝達部材によって接続したことを特徴とするパイプルーフ構築装置。
  2. 前記カッターヘッドが、先頭パイプの内周面に設けた円弧状の支持部材の内径よりも小さい径を持った本体部と、前記本体部の外周に構成され先頭パイプに形成された切欠部の弦の長さよりも小さい幅を持った突起部からなる面盤を有し、該面盤がシールド本体の隔壁に設けた駆動軸に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載したパイプルーフ構築装置。
  3. 前記シールド本体の先端部位に先頭パイプに形成された切欠部に対向させてカバーを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載したパイプルーフ構築装置。
  4. 前記シールド本体とテールシールドが本体パイプの内周面に設けたジャンクションと干渉することのない断面形状を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載したパイプルーフ構築装置。
  5. 前記テールシールドの外周に本体パイプに設けた支持部と接触して摺動する摺動部材を設け、推力伝達部材によるテールシールドと本体パイプとの接続を解除して該テールシールドを本体パイプの後方側に引き戻したとき、前記カッターヘッドの突起部が先頭パイプの切欠部を通って先頭パイプの後方側に引き戻され且つ前記摺動部材が支持部から離脱してシールド本体及びテールシールドの軸心が先頭パイプ及び本体パイプの軸心から偏心してカッターヘッドが先頭パイプ及び本体パイプの内部を通過し得るように構成したことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載したパイプルーフ構築装置。
  6. 前記シールド本体に削土室と機内室とに分割する隔壁を設け、該隔壁に排泥管と送泥管を曲管を介して接続し、前記排泥管の削土室側の開口部が鉛直方向の下方に且つ前記送泥管の削土室側の開口部が鉛直方向の上方に位置するように構成したことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載したパイプルーフ構築装置。
  7. 内周面の長手方向にジャンクションを設けたパイプを発進立坑から地中に推進した後、カッターヘッドを取り付けたシールド本体とテールシールドを発進立坑に引き戻し、更に、既に地中に推進されたパイプに順次新たなパイプを隣接させて推進して構築するパイプルーフの構築工法であって、推進方向の先頭に配置される先頭パイプと該先頭パイプに後続する本体パイプとによって構成すると共に先頭パイプを本体パイプに対し屈折可能に接続し、前記先頭パイプの先端部分に所定の円弧長を持った切欠部を形成すると共に該切欠部を除く内周面に所定の内径を持った円弧状の支持部材を設け、且つ前記本体パイプ内周面であっての先頭パイプとの接続部の近傍に複数の支持部を設けると共に長手方向にジャンクションを設け、更に、先端にカッターヘッドを設けたシールド本体を前記先頭パイプの内周面に設けた支持部材によって支持すると共に前記シールド本体に屈折可能に接続されたテールシールドを前記本体パイプの内周面に設けた支持部によって支持して前記カッターヘッドを先頭パイプの更に先頭に配置し、且つテールシールドと本体パイプとを推力伝達部材によって接続したパイプルーフ構築装置を用いて先頭パイプを発進立坑から地中に推進するに際し、該先頭パイプに形成した切欠部とシールド本体に設けたカバーとによって形成された空隙に充填材を充填することを特徴とするパイプルーフの構築工法。
  8. シールド本体及びテールシールドを発進立坑側に引き戻す際に、カッターヘッドが本体パイプに到達するまでの間に又は本体パイプに到達した後、地山と先頭パイプとの間に形成された間隙を発泡モルタルを含む閉塞材によって閉塞することを特徴とする請求項7に記載したパイプルーフの構築工法。
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