以下、本発明に係る照明装置の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、本発明の照明装置1の構成を説明する。
図1は、本発明の照明装置1の外観を示す斜視図である。図2は、電源装置2のA方向面の構造を示す断面図である。図3は、光源ユニット3のB方向の構造を示す断面図である。
図1に示すように照明装置1は、電源装置2と、光源ユニット3とにより構成される。図2、図3に示すように、電源装置2は、その内部に、複数の回路素子と、基板21とを備える。
電源装置2は、円柱型であり、コンセント4と、筐体5から構成される。電源装置2は交流の電源を直流に変換し、光源ユニット3に直流を供給する。
また、光源ユニット3は、筐体部31を備え、筐体部31の内部に、複数の固体発光素子32と、基板33と、保護用透光板34とを備える。
コンセント4は、電源装置2が商用等の交流の電源を利用するために用いられ、商用電源41と電源装置2とを接続する。
筐体5は、円柱型のケースであり、電源装置2の外観上の形状となる。
接続ケーブル6は、電源装置2と、光源ユニット3とを接続する電気ケーブルである。
また、筐体5は、その内部に電源装置2を構成する回路素子が収納されている。また、筐体5は、樹脂などにより形成されるものであってよい。また、アルミニウム等の熱伝導性の高い材料を用いて構成してもよい。このようにすることにより、電源装置2内で発生した熱の放熱性を高めることが可能となる。
光源ユニット3は、電源装置2から接続ケーブル6を介し供給される直流を用いて内部のLED等の固体発光素子を発光させる。
筐体部31は、断面が略コの字形状に形成される。筐体部31は、熱伝導率が高い金属(好ましくは、熱伝導率が200W・m-1・K-1以上の金属)により構成される。例えば、筐体部31は、アルミニウムで構成される。筐体部31にアルミニウムを用いる理由としては、安価であること、成形が行いやすいこと、リサイクル性が良いこと、熱伝導率が200W・m-1・K-1以上であること、及び放熱特性が高いことなどが挙げられる。
また、筐体部31は、アルミニウムで構成した後、アルマイト処理することが望ましい。アルマイト処理することによって、表面積が増加し、放熱効果が高まる。
保護用透光板34は、透光性を有し、固体発光素子32の発光方向に配置される。保護用透光板34は、平板状に形成される。筐体部31と保護用透光板34とを一体的に組み合わせることで、断面が略四角形状となる。
保護用透光板34は、透明なガラス又はアクリル樹脂、ポリカーボネート等により形成される。保護用透光板34の表面又は裏面には、表面処理により、微細な凹凸が不均一に形成される。この表面処理は、例えば、サンドブラスト法を適用することにより容易に行うことができる。保護用透光板34は、照明装置1の内部に配置される固体発光素子32などを保護する。また、保護用透光板34は、固体発光素子32から発せられた光を拡散する役目を担う。固体発光素子32から発せられた光は、指向性が強く、局所的に照射される傾向にある。固体発光素子32から発せられた光を表面処理された保護用透光板34により拡散することによって、光の指向性を弱め、広い面積に均一に光を照射することができる。
基板33は、筐体部31と保護用透光板34とにより形成される中空構造の内側に配置される。基板33は、中空構造の内側の保護用透光板34に対向する面の表面に形成される。基板33は、熱伝導率が高い金属(好ましくは、熱伝導率が200W・m-1・K-1以上の金属)により構成される。好ましくは筐体部31と同一材質により構成される。例えば、基板33は、アルミニウムにより構成される。
複数の固体発光素子32は、基板33に配置される。複数の固体発光素子32は、例えば、LEDである。固体発光素子32は、1個当たりの消費電力が1W以上のいわゆるハイパワーLEDであり、表面実装型のLEDである。ハイパワーLEDは、光度が高く照明装置用途に好適である。照明装置1を一般的な照明として使用する場合、使用する固体発光素子32の発光色は、昼光色、昼白色、白色、温白色又は電球色などに相当するものが好適である。具体的には、例えば、複数の固体発光素子32は、JISZ9112「蛍光ランプの光源色及び演色性による区分」の4.2「色度範囲」に規定された昼光色、昼白色、白色、温白色又は電球色に相当する光を発光する。
また、複数の固体発光素子32は、ピーク波長が380〜500nmの光である青色光を発光してもよい。青色は、精神的興奮を抑える効果があるといわれている。そのため、青色光を発光する照明装置1は、防犯灯として好適である。
ここで、筐体部31と、基板33とは、互いに接触させることが好ましい。なぜならば、筐体部31と基板33との間に、空気が入ることにより、筐体部31と基板33との間の熱伝導が阻害され、このことより効率的な熱処理ができなくなるためである。すなわち、筐体部31と基板33とを同じ材質により構成することにより、筐体部31と基板33との密着性を高めることが好ましい。さらに、プレス加工を行い、密着性をより高めることが好ましい。
上記プレス加工を行う際には、筐体部31と基板33との間に接着性を有する材料(例えば、接着剤又は基材なしの両面テープなど)(不図示)を挟み込み、両者の密着性を高めることが好ましい。
なお、両面テープを使用する場合には、基材を含まないものを選択することが肝要である。それは、基材は熱伝導率が低いので、筐体部31から基板33への熱伝導が阻害されるためである。
また、基板33を複数個に分割することも好ましい。これは、筐体部31と基板33との線膨張係数が異なる場合において、光源ユニット3の温度が上昇した際に、筐体部31と基板33との密着性が悪化することを防ぐためである。基板33を分割することにより、基板33の1枚あたりの長手方向の長さが短くなる。これにより、基板33の1枚あたりの膨張量が小さくなる。よって、接着性を有する材料で筐体部31と基板33との膨張の違いを吸収しやすくなるので、筐体部31と基板33との密着性を維持しやすくなる。この基板33を分割する手法は、特に光源ユニット3の長手方向の長さが長い場合に有効である。
次に、本発明の照明装置1を、図面を用いて具体的に説明する。図4は、本発明の照明装置1の機能ブロック図である。
照明装置1は、交流の電源を利用し複数の固体発光素子を発光させることにより照明する照明装置であって、整流部42と、測定部43と、選択部44と、検出部45と、マイコンユニット46と、発光部47とを備え構成される。
照明装置1は、外部の電源である商用電源41からの供給される交流の電源を利用して、単数あるいは複数の固体発光素子から構成される発光部47に直流を供給し、固体発光素子を発光させる。
商用電源41は、本発明に係る交流の電源に相当する。具体的には、一般家庭、事業所などに電力会社から供給され、照明装置1に交流を供給する電源である。
整流部42は、本発明に係る変換手段に相当し、前記電源の正弦波の電圧を脈流に変換する。具体的には、商用電源41から供給された交流電圧を全波整流し、全波整流波形を測定部43へ出力する。
測定部43は、本発明の指定手段の一部を構成する。脈流の電流値(瞬時値)を検知する。検知した脈流の電流値はマイコンユニット46に送られる。
選択部44は、本発明に係る選択手段に相当し、前記整流部42から出力される脈流を通過させるオン時間と前記脈流を通過させないオフ時間(以下、デューティ比と記載)を選択する。このことにより、デューティ比を制御された脈流の電圧を生成する。具体的には、整流部42から出力され、測定部43を通過した全波整流波形を、所定の時間間隔で分割する。この分割された全波整流波形を、上記所定の時間間隔の各期間内でパルス状波形の電圧にする。このデューティ比の制御については、マイコンユニット46からの指示に基づく。
デューティ比を制御された脈流の電圧は、選択部44が備える複数の変圧器のうち、1つの変圧器において変圧され出力される。
ここで、複数の変圧器のうち、変圧を行う1つの変圧器の指定は、整流部42より出力される脈流の任意の時刻における電圧値(瞬時値)に応じて、マイコンユニット46が行う。
また、選択部44が備える複数の変圧器とは、任意の変圧器の1次側と、2次側との巻線の比率(以下、巻線比と記載)が、所定の変圧器の巻線比と異なる。すなわち、選択部44が具備する変圧器は全て巻線比が異なる。
変圧器は、巻線比に応じて1次側に送られた電圧を、2次側に変圧し出力する。したがって、全ての変圧器の巻線比が異なるということは、全ての変圧器において異なる変圧比の変圧が行われる。
このように巻線比が異なる変圧器を複数備える理由であるが、電源効率を高め、かつ好調波の発生を抑えるためである。詳細は後ほど述べることとする。
検出部45は、電源装置2により直流が供給されて駆動されている状態での発光部47の動作点を検出する。ここで、動作点とは、発光部47を構成する固体発光素子32に電流を流した際に発生する順方向電圧の積、すなわち、(電流)×(順方向電圧)の積により算出される。
マイコンユニット46は、本発明の指定手段と、指示手段(一部)に相当する。
マイコンユニット46は、まず指示手段として、整流部42より出力される脈流の電圧値(瞬時値)に応じて、選択部44が具備する変圧器のうち1つを指示し、変圧を行わせる。
また、指示手段の一部として、測定部43が検知した脈流の電流値(瞬時値)を読み取り、所定期間内の平均電流を測定する。その期間内の平均電流より、測定部43を流れると推定される電流の波形(以下、推定波形と記載)を求める。
なお、前記平均電流を求める所定期間は、商用電源41の周期(周波数の逆数)の1/2に相当する期間より長いことが望ましい。これは、測定部43を流れる電流は、商用電源41を全波整流したものであり、事実上、商用電源41に対して2倍の周波数(1/2の周期)で波形が繰り返される。よって、所望の平均電流を求めるためには、商用電源41の周期の1/2に相当する期間が必要である。
推定波形を求めた上で、現時点での測定部43にて検知した脈流の電流値(瞬時値)と、推定波形に基づく現時点における脈流の推定電流値(瞬時値)とを比較する。
比較結果に基づき、選択部44にデューティ比を指定する。すなわち、推定電流値(瞬時値)に対し、測定部43で検知した脈流の電流値(瞬時値)のほうが大きければ、直前のデューティ比に対し、低いデューティ比を選択部44に指示する。
また、推定電流値(瞬時値)に対し、測定部43で検知した脈流の電流値(瞬時値)のほうが小さければ、直前のデューティ比に対し、高いデューティ比を選択部44に指示する。
指示手段として、選択部44に対しデューティ比を指定する別の方法は次の通りである。
まず、検出部45により検出された動作点と、予めマイコンユニット46内に設定されている基準となる動作点(以下、基準動作点と記載)とに基づき、発光部47の目標とする動作点(以下、目標動作点と記載)を決定する。その上で、マイコンユニット46は、その目標動作点を実現すべく選択部44にデューティ比を指示する。
発光部47は、本発明に係る光源ユニット3に相当し、前記複数の固体発光素子32を発光する。すなわち、単数または複数の固体発光素子32を備える。固体発光素子32は、例えば、LEDである。
図5は、照明装置1の概略回路構成を示す図である。
図4で示した照明装置1は、図5のような概略回路図の構成をとることで実現することができる。
整流部42は、インダクター51とインダクター52と、コンデンサ53と、ダイオードブリッジ54とより構成される。
インダクター51とインダクター52とコンデンサ53とは、外部よりの擾乱から保護する保護回路である。したがって、コンデンサ53は、平滑コンデンサではない。ところで、平滑コンデンサは容量が大きいことが要求される。そのため、通常電解コンデンサが用いられる。しかしながら、このタイプのコンデンサは大きさ及び寿命等に問題がある。
コンデンサ53は、上述したように外部よりの擾乱から、照明装置1を保護することを目的としており、容量は小さくてよい。故に、例えば、セラミックコンデンサ等の小型で長寿命のコンデンサを用いる。
ダイオードブリッジ54は、交流を全波整流して出力する全波整流器である。
図6は、交流を整流するダイオードブリッジの出力波形を説明する図である。
ダイオードブリッジ54は、図6(a)に示すような交流波形を整流し、図6(b)のような全波整流波形を形成し出力する。
測定部43は、抵抗55より構成される。ダイオードブリッジ54から出力される脈流の電流値を検知する。検知した電流値は、コントローラユニット69に通知される。
選択部44は、ドライバ56と、Field Effect Transistor(以下、FETと記載)57と、ドライバ58と、FET59と、変圧器60と、変圧器61とにより構成される。
ここでは、変圧器を2台として構成しているが、3台以上でもよい。変圧器の台数を増やすことにより、電源効率、及び力率をより高めるというメリットがある。ただし、変圧器の台数を増やすことにより、電源装置2の体積が大きくなるというデメリットがある。
発明者らの実験によれば、変圧器を2台とすることで、所望の電源効率、及び力率を得ることができることを確認しており、電源装置2の体積の問題も加味し、ここでは変圧器を2個とした。
また、変圧器は、1次コイル側にセンタータップが付加されたタイプを用いてもよい。1次側コイルにセンタータップが付加された変圧器は、1次側コイルのセンタータップを中心とした2つの部分を交互に使用することにより、変圧器のコアが不要に磁化されることを防ぐことができる。よって、変圧器の信頼性を高めることが可能となり、電源装置2の長寿命化にも寄与できるという効果がある。
ここで、変圧器を3台以上、或いは変圧器として1次コイル側にセンタータップが付加されたタイプを使用するときは、それに応じてドライバ、及びFETも更に必要になることは言うまでもない。
選択部44に対しては、コントローラユニット69が、変圧を行う変圧器を指定する。これは、任意の時刻において変圧を行う変圧器は、変圧器60、又は変圧器61の何れか1つであるためである。
変圧を行う変圧器(変圧器60、変圧器61の何れか)側のドライバ(ドライバ56、ドライバ58の何れか)には、コントローラユニット69より、実現すべきデューティ比を指示する制御信号が送られる。
制御信号が送れられたドライバ(ドライバ56、ドライバ58の何れか)においては、それに接続されるFET(FET57、FET59の何れか)に対しドライブ信号を生成する。
FET(FET57、FET59の何れか)は、脈流(全波整流波形)の通過/非通過を選択することにより、コントローラユニット69から指示されるデューティ比のパルス状の脈流(パルス状波形)を生成する。FET(FET57、FET59の何れか)は、このパルス状の脈流を、接続される変圧器(変圧器60、変圧器61の何れか)の1次側に供給する。
変圧器(変圧器60、変圧器61の何れか)は、接続されるFET(FET57、FET59の何れか)より1次側に供給されたパルス状の脈流を変圧し、その2次側に出力する。
ここで、変圧器60、及び変圧器61は、互いに巻線比が異なる。巻線比は、2次側の巻線数/1次側の巻線数であり、変圧比は巻線比と同じ数値となる。ここでいう変圧比とは、変圧器の1次側への入力電圧を分母、2次側の出力電圧を分子としたものである。
変圧器60の巻線比を1/nとすれば、変圧器61の巻線比は1/mであり、nとmの関係は、n>mである。すなわち変圧器60の巻線比は、変圧器61の巻線比より小さい。したがって、変圧比についても、変圧器60の変圧比は、変圧器61の変圧比より小さい。
なお、発明者の試験においては、変圧器60の巻線比は、1:0.4であり、変圧器61の巻線比は1:1が最適であった。この場合において、変圧器60が行う変圧は降圧であり、変圧器61が行う変圧は、等倍の変圧(すなわち、1次側と、2次側とを絶縁する作用のみ)である。
また、上記のように、変圧器60と、変圧器61とは同時に動作させず、脈流の電圧値が所定の閾値より高い場合には、変圧器60をコントローラユニット69が指定し、変圧器60において降圧が行われる。
一方、脈流の電圧が所定の閾値より低い場合には、変圧器61をコントローラユニット69が指定し、変圧器61において昇圧が行われる。
このようにすることにより、電源効率を高め、かつ力率の向上を図ることが可能となる。
検出部45は、ダイオード62と、ダイオード63と、コンデンサ64と、抵抗65と、抵抗66とにより構成される。
選択部44における変圧器(変圧器60、変圧器61の何れか)から出力されるパルス状の波形をダイオード62と、ダイオード63と、コンデンサ64とからの回路素子により平滑化(ノイズ除去)する。ここでコンデンサ64は、容量の小さいコンデンサでよく、電解コンデンサではない。
上記平滑化された、変圧器(変圧器60、変圧器61の何れか)から出力されるパルス状の波形は、発光部47に供給される。
この際、抵抗65により発光部47に流れる電流を検出し、抵抗66により発光部47の順方向電圧を検出することができる。抵抗65および抵抗66により検出された電流値および電圧値の情報は、コントローラユニット69に送られる。
マイコンユニット46は、コントローラユニット69、電源部101により構成される。
電源部101は、変圧器67と、ダイオード68とにより構成される。商用電源41から供給された交流を、変圧器67と、ダイオード68とを用いて直流化し、コントローラユニット69に直流を供給する。ここで、変圧器67は、変圧器60、及び変圧器61と別の個体であって各々独立したものである。
したがって、電源部101は、発光部47に直流を供給する電源装置2の回路素子とは絶縁されている。
コントローラユニット69は、主に次の3つの機能を有する。
まず1つ目として、コントローラユニット69は、商用電源41の電圧値をモニターし、これに基づき、現時点でのダイオードブリッジ54が交流を全波整流して出力する脈流の電圧値(瞬時値)を推定する。
なお、ダイオードブリッジ54が交流を全波整流して出力する脈流の電圧値(瞬時値)は、端子A、A’間に抵抗(不図示)を挿入することなどを行ったうえで、その値をコントローラユニット69で読み取ってもよい。
コントローラユニット69は、この推定、若しくは読み取った脈流の電圧値(現時点での瞬時値)に基づき、ドライバ56、またはドライバ58に対し、実現すべきデューティ比を指示する制御信号を送る。
具体的には、予め内部メモリ(不図示)に記録された脈流の電圧が所定の閾値(この閾値は、発光部47の構成(順方向電圧等)、及び変圧器61の巻線比等に依存する)と、現時点での脈流の電圧値(瞬時値)とを比較する。
コントローラユニット69は、脈流の電圧値(瞬時値)のほうが高い場合には、ドライバ56に制御信号を送る。また、脈流の電圧値(瞬時値)のほうが低い場合には、ドライバ58に制御信号を送る。
制御信号を送られなかったドライバは動作せず、故にそのドライバ側の変圧器は変圧を行わない。したがって、変圧器60、及び変圧器61は、互いに同時には変圧を行わない。
ここで、前述のように変圧器60の変圧比は、変圧器61の変圧比より小さい。また、上記のような基準によりドライバ56、又はドライバ58の何れかに制御信号を送る。したがって、脈流の電圧値(瞬時値)が閾値より高い場合には、変圧器60で変圧(変圧比の小さい変圧)が行われる。一方、脈流の電圧値(瞬時値)のほうが低い場合には、変圧器61で変圧(変圧比の大きい変圧)が行われる。
この理由を図7、図8に基づき説明する。図7は、照明装置1において、図6(b)に示すダイオードブリッジ54から出力される全波整流波形(脈流の電圧)を変圧器により変圧した場合の変圧器の出力波形(端子B、B’における電圧波形)である。図7(a)は、変圧器60のみを使用した場合の出力波形である。図7(b)は、変圧器61のみを使用した場合の出力波形である。図7(c)は、変圧器60と変圧器61とを使用した場合の出力波形である。
なお、実際には全波整流波形(脈流)をデューティ制御してから、変圧器60、又は変圧器61に供給されるため、パルス状であるが、ここでは図面を見やすくするため包絡線を表示している。
図8は図7における変圧を行った場合における測定部43を構成する抵抗55を流れる電流である。図8(a)は、図7(a)に対応し、以下も同様である。
まず、変圧器60のみを使用して、変圧を行う場合を述べる。変圧器60は、巻線比が変圧器61より小さく、そのため変圧比も変圧器61より小さくなる。その結果、端子B、B’における電圧波形(変圧器60から出力される電圧波形)は図7(a)に示すように、電圧が低くなる。
ここで、電源装置2は負荷として発光部47(光源ユニット3)が接続されている。発光部47には、固体発光素子32が、単数若しくは複数備えられている。
固体発光素子32には、順方向電圧が存在する。それ故、発光部47にはそれに基づく順方向電圧が存在し、その順方向電圧以上の電圧が印加されなければ、発光部47には電流が流れない。
したがって、変圧器60のみを使用した場合においては、変圧器60からの出力波形図7(a)に示すようになる。この際、順方向電圧を超えない部分においては、抵抗55に電流が流れない。すなわち、図8(a)に示すように、流通角が狭くなってしまう(力率が低くなってしまう)。
次に、変圧器61のみを使用して、変圧を行う場合を述べる。変圧器61は、巻線比が変圧器60より大きく、そのため変圧比も変圧器60より大きくなる。したがって、この場合の端子B、B’における電圧波形は図7(b)に示すとおりとなり、図7(a)と比較して高い電圧となる。そのため、光源ユニット3(発光部47)の順方向電圧を超える領域が広くなる。このことは、図8(b)に示すように流通角を広げることに寄与する。すなわち、力率が向上する。
次に、本発明の変圧器60と、変圧器61とにより変圧を行った場合を説明する。図7(c)は、本発明の変圧器60と、変圧器61の動作方法を実施した場合の端子B、B’における電圧波形である。
本発明においては、図6(b)に示す全波整流波形(脈流)の電圧(瞬時値)が、コントローラユニット69の内部メモリ(不図示)に記録された閾値より高い場合は、変圧器60により変圧を行い、逆に閾値より低い場合には変圧器61により変圧を行う。
したがって、この場合の端子B、B’における電圧波形は、図7(c)に示すように、図6(b)全波整流波形(脈流)の電圧(瞬時値)が低い部分に対応する部分のみが、持ちあげられたかのような、略台形形状の波形となる。
したがって、全波整流波形(脈流)の電圧(瞬時値)が低い部分においても、昇圧(または、等倍の変圧)が行われることにより、変圧器からの出力が、発光部47の順方向電圧を超える領域が広がることになり、流通角が広がることとなる。
このようにすることにより、変圧器60と、変圧器61とを本発明の動作方法をもって使用した場合、流通角が、図8(c)のように図8(a)と比較して広がり、図8(b)と同程度となる。したがって、変圧器61のみを使用した場合と同様に、力率を向上することができる。
ここで、本発明にかかる電源装置2において、変圧器61のみではなく、変圧器60と変圧器61とを使用して変圧を行う理由は、電源効率の向上のためである。
本発明の動作方法により変圧器60と、変圧器61とを使用して変圧を行った場合の電源効率は、変圧器60のみを使用して変圧を行った場合と電源効率に対して、約10%の改善が、発明者らの試験において明らかとなっている。
ここで、電源効率とは、電源装置2に供給される商用電源41の電力に対する、発光部47に供給される電力の比である。
力率を改善することを目的として変圧器61を使用することにより変圧を行ったとしても、電源効率が低く問題となる。一方、変圧器60と変圧器61を使用して変圧を行う本発明の場合は、電源効率は、変圧器61のみを使用して変圧を行った場合と比較して、大幅に電源効率が改善される。
したがって、変圧器60と変圧器61を使用して変圧を行う本発明は、力率を向上できるだけでなく、高い電源効率も実現することが可能となる。
固体発光素子32は、上記のように順方向電圧以上の電圧を印加しなければ電流が流れないが、一方で順方向電圧に対しあまりに高い電圧を印加することも好ましいことではない。このようにした場合、固体発光素子32に流れる電流が大きくなり、結果として固体発光素子32の故障につながるリスクもある。
この観点から見ても、変圧器61のみを使用して変圧を行うことは、固体発光素子32への印加電圧が高くなることにつながり好ましくない。
ここで、特開2003−250272号公報においては、力率を改善したスイッチング電源が開示されている。しかしながら、力率を改善するために平滑コンデンサを使用している。ここで、平滑コンデンサには、高い容量が要求されることが一般的であり、通常電解コンデンサが使用される。
電解コンデンサは、外気温の上昇等により劣化が進みやすいといわれており、その寿命特性は十分なものでない。したがって、長寿命であるLEDを用いた照明装置内の電源装置に、この電解コンデンサを用いることは不安がある。
したがって、前述のようにLEDを駆動するための電源装置として、特開2003−250272号公報に開示されるスイッチング電源を用いることは困難である。
一方、照明装置1の電源装置2においては、変圧器60と、変圧器61とを使用することにより、力率の改善のみならず、電源効率の高い電源装置を提供することが可能となる。また、平滑コンデンサも使用していない。したがって、本発明にかかる変圧器60と変圧器61とを使用して変圧を行う方法は、非常に技術的価値の高いものである。
なお、ここで変圧器60の電気容量は、変圧器61の電気容量に対して大きい変圧器を選定するべきである。これは、変圧器60は、脈流の電圧値(瞬時値)が大きい場合に変圧を行うことで、脈流の電圧値が大きいことに伴い、それに流れる電流値(瞬時値)も大きくなるためである。したがって、それに対応できる電気容量を備える変圧器を選定しなければならない。
このようにすることにより、変圧器60の故障を防ぐことができるため、電源装置2の信頼性を向上することができる。
一方、変圧器61は、脈流の電圧値(瞬時値)が小さいときに変圧を行う。したがって、それに流れる電流値(瞬時値)は小さくなり、大きな電気容量を持つ変圧器を選定する必要はない。不要に大きな電気容量を持つものを選定することは、変圧器61が大きくなることを意味し、電源装置2の大型化につながる。そのため、適切な変圧器の選定が好ましい。
コントローラユニット69の2つ目の機能として、測定部43を構成する抵抗55を流れる平均電流(ダイオードブリッジ54から出力される全波整流波形(脈流)の平均電流)を求める。なお、平均電流を求める期間は、商用電源41の周期の1/2に相当する期間より長いことが好ましい。
この平均電流をもとに、測定部43を流れると推定される推定波形を求める。この推定した波形(推定波形)は、選択部44に対して行うデューティ比の指示に利用する。
コントローラユニット69の3つ目の機能として、制御信号が送られるドライバ(ドライバ56、又はドライバ58の何れか)に対し、デューティ比を指定する。
このデューティ比の指定は、抵抗65により検出された発光部47に流れる電流、及び抵抗66により検出された発光部47に印加される電圧より求まる動作点と、基準となる基準動作点とにより求まる目標動作点を実現するために行われる。
ここで、基準動作点は、外部信号受信機や外部入力スイッチ(不図示)、例えば、リモコンにより設定してよい。また、予め、コントローラユニット69の内部メモリ(不図示)に、記憶させておいてもよい。
また、前述の推定波形を利用したデューティ比の指定も行う。これは、測定部43を構成する抵抗55に流れる脈流の現時点での電流値(瞬時値)を検知する。その上で、推定波形に基づき求まる現時点での推定電流値と、前記測定した現時点での電流値(瞬時値)とを比較し、その大小関係に基づきデューティ比の指定を行う。
ここで、電源部101は、変圧器67とダイオード68とから構成され、商用電源41から供給された交流を、変圧器67とダイオード68とを用いて直流化し、コントローラユニット69に直流を供給する。ここで、変圧器60、及び変圧器61と、変圧器67とは別の個体であって各々独立したものである。したがって、電源部101は、発光部47に直流を供給する電源装置2の回路素子とは絶縁されている。
また、マイコンユニット46により決定された目標動作点を実現するドライバ56とドライバ58とに対する動作の指示は、コントローラユニット69とドライバ56およびドライバ58とを接続する信号線を介して行われる。ここで、コントローラユニット69とドライバ56およびドライバ58とを接続する信号線は、その途中で、例えば、フォトカプラを用いることで、電気的に絶縁されている。
以上により、コントローラユニット69と、選択部44等とは、電気的に絶縁されて構成される。このため、例えば、選択部44等において生じたノイズ等が、コントローラユニット69に侵入することを防ぐことが可能である。このことにより、コントローラユニット69が誤動作することが防止され、電源装置2そのものの安全性が向上する。すなわち、照明装置1の信頼性が高くなる。
ここで、特開2004−303431号公報記載のバックライト装置内の直流電源については、本生成装置のコントローラユニット69に相当するマイコンが、本発明のFET57、FET59に相当するトランジスタと電気的に絶縁されていない。よって、ノイズ等による誤動作の危険性が危惧される。
しかしながら、本発明の照明装置1は、上述したように、コントローラユニット69と、選択部44と、具体的には、FET57およびFET59とが電気的に絶縁されており、ノイズによる誤動作の危険性を低減し、照明装置1の信頼性を高めている。
ここで、コントローラユニット69は、デューティ比を、前記のようにフォトカプラを介して指示する。コントローラユニット69は、マイクロコンピュータなどを使用して構成され、選択部44における入力端子対である端子対A、A’から入力される全波整流波形(脈流)を平滑化することなく、全波整流波形(脈流)から直接所望のパルス状波形を生成する制御を実現している。
それにより、平滑コンデンサを用いる必要がなくなるので、大幅に電源装置2の体積を低減し、信頼性を向上することが可能となる。以下、その理由を詳細に説明する。
特開平8−241133号公報記載の定電流直流電源では、全波整流波形(脈流)を一旦、平滑化した上で、所望の特性を有するパルス電圧波形を得ている。この平滑化を行うためには、容量の大きい電解コンデンサを使用されている。具体的には、図5において、選択部44における入力端子対である端子対A、A’に電解コンデンサが接続される。また、電解コンデンサは、体積が大きく装置を大型化させてしまうという問題がある。さらには周囲温度の影響による容量が変化しやすいという問題もある。また、電解コンデンサは寿命が短く安定性の問題もあった。
また、特開2004−303431号公報記載のバックライト装置内の直流電源においては、電解コンデンサを使用する必要はないものの、上述したように安全性及び安定性の上で問題がある。
しかしながら、本発明における電源装置2ではそれらの問題点をすべて解決しており、長寿命(高い信頼性)を実現することができ、LEDを使用した照明装置に好適である。
次に、照明装置1の動作について図を用いて説明する。
図9は、照明装置1の動作を示すフローチャートである。
まず、S91において、照明装置1の電源装置2に商用電源41が投入され給電が開始される。そして、コントローラユニット69が運転を開始する。ここで、商用電源41が投入された直後には、コントローラユニット69の運転は開始されているが、選択部44には給電されておらず、選択部44は起動していない。この方法をとる理由は、電源装置2の安全性を高めるためである。コントローラユニット69を先に起動させることにより、電源装置2、商用電源41、あるいは発光部47に異常が発生している場合は、即座にその運転を停止することができるからである。
また、この方法をとる他の理由は、選択部44が駆動する前までに商用電源41の周波数を検出する(この検出は、コントローラユニット69において行う)必要があるためである。日本国内においても、商用電源41の周波数は、東日本地区は50Hz、西日本地区は60Hzというように異なる。コントローラユニット69を用いて上記のような所望の制御を行うためには、商用電源41の周波数を検出することが必要となる。
次に、図9のS92において、マイコンユニット46等により、デューティ比の決定を行う。これは図10に基づき、後ほど詳細に説明する。
次に、図9のS93において、マイコンユニット46により、制御信号を作成する。これは、図13により、後ほど詳細に説明する。
次に、図9のS94において、マイコンユニット46等は、測定部43により測定した脈流の平均電流に基づき、デューティ比の指定(補正)が行われる。詳細は、図14により後ほど説明する。
次に、図9のS95において、マイコンユニット46、外部入力スイッチ(不図示)等から停止信号が入力されていないか確認し、停止信号が入力されていれば電源装置2の動作を停止する(S95においてYESの場合)。これは、例えば、照明装置1を利用するユーザが照明装置1の発光部47を消灯する、すなわち、照明装置1の電源装置2への電源供給を停止することに相当する。この際、選択部44は、コントローラユニット69に対し所定時間前に運転を停止する。言い換えると、その時間内に、コントローラユニット69は選択部44に対する指示を終了する。ここで、所定時間とは、0.2[s]〜1[s]程度であることが望ましい。
このような、方法をとる理由は、照明装置1における電源装置2の安全性を高めるためである。
なお、停止信号が入力されていなければ(S95においてNO)、S92に戻り上述した動作を繰り返す。
図10は、照明装置1において、デューティ比を決定する動作を説明するフローチャートである。
S101において、マイコンユニット46は、基準動作点に変更がなされていないかチェックを行う。
ここで、動作点とは、抵抗65により検出された発光部47に流れる電流値と、抵抗66により検出された発光部47に印加された順方向電圧値との積により求まる値である。動作点の単位はワット[W]であり、電力と同等のものである。発光部47が有する固体発光素子の特性や個数等により順方向電圧が定まる。
また、固体発光素子を有する発光部47は電流制御素子であるため、それに流れる電流の大きさによって、発光部47の発光強度は定まる。
したがって、基準動作点は、使用する発光部47の特性等に応じた順方向電圧と、発光部47において必要な発光強度に対応する電流値から定まるものである。
上述したように発光部47に流れる電流の大きさによって発光部47の発光強度が定まる。言い換えれば発光部47の発光強度は、発光部47に流れる電流の大きさを設定することにより自在に変化させる、すなわち調光することができる。
ここで、調光するとは、発光部47の基準動作点を変更することに相当する。また、発光部47の基準動作点を変更することで、その時点における発光部47の発光強度を強く(明るく)したり、弱く(暗く)したりすることができる。
ここで、図11は、発光部47の基準動作点の設定を変更することにより発光強度を変更することを説明する図である。図11(a)は、その時点(初期)の発光強度を示す基準動作点を示している。初期の発光部47の発光強度をより強く(明るく)したい場合は基準動作点を図11(b)のように移動させて設定する。逆に初期の発光部47の発光強度をより弱く(暗く)したい時は、図11(c)のように移動させて設定すればよい。
なお、基準動作点の設定は、マイコンユニット46に接続される外部入力スイッチ(不図示)からの入力により行ってよく、マイコンユニット46に接続される外部信号受信装置(不図示)からの入力により行ってよい。このようにすることで、外部より基準動作点の設定を変更できる、すなわち外部より発光部47を調光することが可能となる。
上述した基準動作点の変更が行われていれば(S101でYES)、S102に進む。変更が行われていなければ(S101でNO)、S103に進む。
次に、図10のS102において、マイコンユニット46は、基準動作点を読み出す。これは、マイコンユニット46に接続される外部入力スイッチ(不図示)、マイコンユニット46に接続される外部信号受信装置(不図示)等から入力された情報を直接、あるいはコントローラユニット69に備えられた内部メモリ(不図示)に記憶された基準動作点に関する情報を読み出すことにより行う。
またこの基準動作点を、目標動作点としてコントローラユニット69に備えられた内部メモリ(不図示)に記憶する。
次に、図10のS103において、目標動作点を決定する。
まず、抵抗65により検出された発光部47に流れる電流値と、抵抗66により検出された発光部47に印加された順方向電圧値を測定し、現在の動作点を求める。
検出された動作点と、基準動作点とを比較し、その結果に基づき目標動作点を設定する。
図12は発光部47の実際に検出された動作点が、基準動作点からの所定動作範囲を外れてしまった場合の目標動作点が再設定されることを説明する図である。
図12(a)は、検出された動作点が図中の左上に変動した場合、すなわち、所定動作範囲の上限範囲外へ外れてしまった場合の対応を示す図である。これは、周囲温度等の上昇により、発光部47の順方向電圧が低下し、その分それに流れる電流が上昇してしまう場合に相当する。この場合において、発光部47は、所望の発光強度より強く(明るく)発光している。そのため、制御動作点を定めて、これを新たな目標動作点とする。こうすることにより、所定動作範囲(ここでは、発光部47に流れる電流が基準動作点に基づく電流値を100とした場合に、95〜105の範囲、すなわち±5%の範囲を所定動作範囲としている)内に動作点が収まるようになる。
なお、この所定動作範囲は、±5%の範囲でなくともよく、±10%の範囲のように広くしてもよい。しかしながら、広くすればするほど、発光部47の発光強度の変化が大きくなり、利用者に違和感を与えるので適度な範囲を設定する必要がある。発明者らの試験では、上記±5%の範囲であれば違和感がないとして、この値を採用している。
図12(b)に示すように、検出された動作点が図中の右下に変動した場合、すなわち、所定動作範囲の下限範囲外へ外れてしまった場合、図12(a)の場合と同様に、制御動作点を定め、これを目標動作点とする。
また、検出された動作点が所定動作範囲内であった場合は、それをそのまま新たな目標動作点とする。
図10のS104においては、マイコンユニット46は、目標動作点を実現するためのデューティ比を算出する。すわなち、マイコンユニット46は、目標動作点を実現するための選択部44の変圧器(変圧器60、又は変圧器61の何れか)の1次側に入力される脈流の電圧のデューティ比を決定する。
図10のS105においては、マイコンユニット46は、S104で算出したデューティ比を実現するために必要な制御信号を作成する。詳細は、後ほど述べるものとする。
図10のS106においては、目標動作点と、実際の動作点が一致しているか否かをマイコンユニット46は判断する。
これは、抵抗65により検出された発光部47に流れる電流値と、抵抗66により検出された発光部47に印加された順方向電圧値を測定し、現在の動作点を求める。
その上で、検出された動作点と、目標動作点(S102、又はS103にて設定)とを比較する。目標動作点からの所定動作範囲(例えば、±5%の範囲)から外れていなければ(S106においてYES)、デューティ比の決定を終了する。
目標動作点からの所定動作範囲(例えば、±5%の範囲)から外れていれば(S106においてNO)、S107に進む。
図10のS107においては、動作点を目標動作点から所定動作範囲(例えば、±5%の範囲)内となるよう、デューティ比を補正する。その上でS105に戻り繰り返す。
図13は、制御信号を作成する動作を説明するフローチャートである。
S131においては、デューティ比の制御を選択部44において実現すべく、選択部44を制御するための信号(制御信号)をコントローラユニット69において作成する。
ここで、選択部44に入力される電圧は、図6(b)に示すような全波整流波形(脈流)である。図6(b)で示す全波整流波形(脈流)の電圧を用いて、目標動作点を実現するのに必要な電力を生成する必要がある。そのため次のような手法を用いる。
まず、図6(a)に示すように、商用電源41の交流電圧の0クロス点を検出する。ここで、0クロス点の検出は、商用電源41から供給される交流の電圧波形が0クロス点を横切るたびに行う。なぜなら、商用電源41から供給される交流の電圧波形は、微妙な周波数変動が生ずる場合があり、微妙な周波数変動は、選択部44における制御の精度を悪化させることになるからである。選択部44における制御精度の悪化を防ぐため、交流の電圧波形が0クロス点を横切るたびにその0クロス点を検出する。
次に、図6(b)のように0クロス点を基準点として、全波整流波形(脈流)を所定の時間間隔で分割する。時間間隔は2[μs]〜20[μs]程度の範囲に設定してよく、発明者らの実験では、4[μs]が最適であった。
次に、各区間において、必要な電力を実現する。ここで、電力は、当然のごとく電圧と電流の積である。そのため、各区間すべてにおいて必要な電力が得られるよう、デューティ比を変更するよう選択部44を制御する制御信号をコントローラユニット69において作成する。
S132において、マイコンユニット46は、商用電源41の電圧値をモニターし、これに基づき整流部42が交流を全波整流して出力する脈流の電圧値(瞬時値)を推定する。
なお、整流部42が交流を全波整流して出力する脈流の電圧値(瞬時値)は、図5における端子A、A’間の電圧を測定し、その電圧値(瞬時値)をマイコンユニット46で読み取ってもよい。
この脈流の電圧値(瞬時値)が閾値(これは、発光部47の構成などに依存する)以上であれば(S132でYES)、S133に進む。一方、閾値電圧以下であれば(S132でNO)、S134に進む。
図13のS133においては、マイコンユニット46は、ドライバ56にS131において作成した制御信号を送付する。
これにより、選択部44内の変圧器61では変圧が行われない。変圧器60にて変圧が行われることとなる。なお、変圧器60は、変圧器61と比較して巻数比が小さい。したがって変圧比も、変圧器60は変圧器61に対し小さい。
図13のS134においては、マイコンユニット46は、ドライバ58に対してS131において作成した制御信号を送付する。
これにより、選択部44内の変圧器60では変圧が行われない。変圧器61にて変圧が行われることとなる。なお、変圧器61は、変圧器60と比較して巻数比が大きい。したがって変圧比も、変圧器61は変圧器60に対し大きい。
図14は、脈流の平均値に基づくデューティ比の指示(補正)を説明する図である。
S141において、マイコンユニット46は、測定部43を構成する抵抗55を流れる電流(ダイオードブリッジ54から出力される全波整流波形(脈流)の電流)の平均値を求める。
平均電流を求める期間は、商用電源41の周期の1/2に相当する期間より長くなければならない。
図14のS142において、マイコンユニット46は、S141で求めた平均電流値を基に、測定部43を流れると推定される電流の波形を推定する。この推定した波形(推定波形)は、コントローラユニット69内の内部メモリ(不図示)に記憶される。
図14のS143において、マイコンユニット46は、S142において推定した推定波形と、現時点で測定部43に流れる電流値(瞬時値)とを比較する。
すなわち、マイコンユニット46は、その内部メモリ(不図示)に記憶される推定波形から、現時点において測定部43に流れると推定される電流値(瞬時値)を読み出す。この読み出した値と、現時点で測定部43に流れる電流値(瞬時値)とを比較する。
現時点で測定部43に流れる電流値(瞬時値)が、推定される電流値(瞬時値)より高ければ(S143においてYES)、S144に進む。
一方、現時点で測定部43に流れる電流値(瞬時値)が、推定される電流値(瞬時値)より低ければ(S143においてNO)、S145に進む。
図14のS144において、マイコンユニット46は、デューティ比を指定(補正)する。これは、直前のデューティ比に対し低いデューティ比を指定する。
この理由は、測定部43に流れる電流を小さくするためである。推定される電流より大きいが故、それを補正するために直前のデューティ比に対し低いデューティ比を指定する。
図14のS145において、マイコンユニット46は、デューティ比を指定(補正)する。これは、直前のデューティ比に対し高いデューティ比を指定する。
この理由は、測定部43に流れる電流を大きくするためである。推定される電流より小さいが故、それを補正するために直前のデューティ比に対し高いデューティ比を指定する。
図14のS146において、マイコンユニット46は制御信号を作成する。これについては、図13のフローチャートを用いて説明したとおりである。
図14のS147において、マイコンユニット46は、脈流の平均値に基づくデューティ比の指定(補正)を開始してからの通算回数が、基準回数に達しているか否かを判断する。なお、基準回数とは任意に設定されてよい。
通算回数が基準回数に達していれば(S148においてYES)、本指定(補正)を終了する。一方、通算回数が基準回数に達していれば、S143に戻り指定(補正)を続ける。
以上のように脈流の電流値に基づくデューティ比の補正を行うことが可能である。
このことにより、商用電源41の電圧変動などをいち早く検知し、それによる照明装置1が受ける影響を避けることが可能となる。
これは、上記のように照明装置1においては、測定部43を流れる電流(瞬時値)を監視し、あらかじめ測定した測定部43を流れる電流(平均値)に基づき、デューティ比の制御を行うことにより補正を行う。
このことから、商用電源41の電圧が高くなった場合においても、照明装置1の測定部43を流れる電流値(瞬時値)が高くなることにより、発光部47の動作点が高くなってしまう(すなわち、発光強度が強くなってしまう)ことを避けることができる。もちろん、商用電源41の電圧が低くなった場合にも対応可能である。
このことは、発光部47の発光強度の変動を避け、照明装置1の利用者に対して安定した照明を提供することはもとより、商用電源41の電圧変動による電源装置2、光源ユニット3(発光部47)の故障を避けることに対しても効果がある。
照明装置1は、固体発光素子32を使用している。固体発光素子32の特徴のひとつは、長寿命性であり、この性能を完全に享受する意味でも電源装置2、光源ユニット3(発光部47)の故障を防ぐことは重要である。
図15は、電源装置2を構成する基板21の概略構造を示す図である。電源装置2の筐体5に収納される基板21は、回路素子が実装される実装前基板であり、図15(a)に示すメイン基板151と、図15(b)に示すサブ基板A152及びサブ基板B153とにより構成される。ここで、サブ基板の数はこれに限らず、自由に設定してよいことは言うまでもない。
メイン基板151は、円形状である。図15(a)は、メイン基板151の実装面となる方向から見た図である。サブ基板A152およびサブ基板B153は、半円形状である。図15(b)は、メイン基板151の実装面となる方向から見た図である。
図16は、電源装置2を構成する基板21に各種回路素子を実装した場合の図である。図16では、メイン基板151、サブ基板A152及びサブ基板B153に変圧器60など、図2に示す照明装置1における電源装置2を構成する回路素子を実装している。
図16(a)は、メイン基板151を実装面となる方向から見た図である。図16(a)は、ハッチングされている部分が電源装置2を構成する各種回路素子を示し、電源装置2を構成する各種回路素子が実装されたメイン基板151を示している。
一方、図16(b)は、サブ基板A152およびサブ基板B153を実装面となる方向から見た図である。図16(a)は、ハッチングされている部分が電源装置2を構成する各種回路素子を示し、電源装置2を構成する各種回路素子が実装されたサブ基板A152およびサブ基板B153を示している。
なお、サブ基板Bには、マイコンユニット46を構成する部品(コントローラユニット69、電源部101、フォトカプラ(不図示)など)が実装される。
図17は、メイン基板151とサブ基板A152およびサブ基板B153とがお互いの実装面で対向して配置されたことを示す図である。図17は、図16(a)に示す各種回路素子が実装されたメイン基板151の実装面と、図16(b)に示す各種回路素子が実装されたサブ基板A152およびサブ基板B153の実装面とが向かい合うように配置されている。ここで、肝要なことは、図17に示すようにメイン基板151の実装面上にサブ基板A152、及びサブ基板B153の実装面が対向するように配置した際、実装された各種回路素子同士が干渉しないようにすることである。
したがって、メイン基板151の実装面と、サブ基板A152及びサブ基板B153の実装面とがなす距離は、メイン基板151およびサブ基板A152及びサブ基板B153らに実装される各種回路素子のうち最も高さが高い回路素子(ここでは変圧器60)と略同一となる。
ここで、変圧器60は、変圧器61に対して、前述のように電気容量が大きい変圧器であるがため、大きさも大きい(高さも高い)。
また、メイン基板151の実装面上にサブ基板A152、及びサブ基板B153の実装面が対向するように載せた際、メイン基板151から、サブ基板A152及びサブ基板B153がはみ出すことなく、完全に載るようにすることが肝要である。
以上のようにすることにより、電源装置2の高さを、電源装置2を構成する最も高い回路素子(ここでは、変圧器60)とほぼ等しく、十分な小型化を実現することが可能となる。
ここで、上述のように電源装置2は、固体発光素子(ここではLED)を用いた照明装置への適用を前提にしている。個々のLEDは非常に小型であり、それ故、従来の蛍光ランプなどを使用した照明装置では実現できなかった、小型、かつデザイン性の高い照明装置を、LEDを使用することで実現できる。そのため、電源装置2もできるだけ小型化し、照明装置1の組み込みを容易にする必要がある。これは、照明装置1を構成する電源装置2の照明装置1に対して占める体積割合を非常に小さくすることで実現される。
ところで、特開2004−303431号公報記載のバックライト装置内の直流電源は、上述のとおり小型化については明記されていない。それ故、LEDを用いた照明装置への適用は、特開2004−303431号公報記載のバックライト装置内の直流電源では実現できない。
一方、本発明における電源装置2は、電源装置2の構成に必要な回路素子が高密度化され実装されているため、非常にコンパクトとなり、LEDを用いた小型の照明装置1を実現するのに好適である。それ故、その産業的価値は大きいと考える。
なお、本発明の照明装置1は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で自由に変形して実施することができる。
例えば、目標動作点の設定を、光源ユニット3内の温度を指標として行ってもよい。固体発光素子32は、温度が高くなることにより故障が発生するリスクがある。
このことを避けるため、光源ユニット3内に温度センサ(サーミスタ)などを付加し、コントローラユニット69にて、その温度を監視する。その上で、温度が異常に上昇した場合は、目標動作点を低く設定することで、温度を低下させ固体発光素子32の故障を防ぐ。
また、変圧器は3つ以上具備してもよい。例えば、昇圧を行う変圧器、等倍の変圧を行う変圧器、降圧を行う変圧器の3つを具備してもよい。
整流部42から出力される脈流の電圧値(瞬時値)が第1の閾値以上であれば、降圧を行う変圧器により変圧を行い、第2の閾値以上、第1の閾値未満であれば、等倍の変圧を行う変圧器により変圧を行い、第2の閾値未満であれば昇圧を行う変圧器により変圧を行う。なお、第1の閾値は、第2の閾値より高い値であり、これらは光源ユニット3などの構成に基づき設定する。
このようにすることによっても、当然に力率を向上し、電源効率が高い固体発光素子を利用した照明装置に最適な電源装置を得ることができる。
また、電源装置2の形状を円柱型としたが、メイン基板151とサブ基板A152とサブ基板B153とを長方形状とし、角柱形状としてもよい。
発明者らの試作においては、発光部47に供給される電力を最大100Wとして設計した場合、略箸箱程度の大きさにおいて電源装置2を実現することが可能であった。
また、電源装置2は、LEDのみでなくELを駆動する電源としても好適である。更に、固体発光素子の駆動のみならず、力率の悪い負荷(例えば、容量性の大きい負荷)を駆動する電源装置としても好適である。