JP4068282B2 - 可撓性のストッパー片、これを使用した関節接続システム、並びに医療機器 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、第２の部材に対して第１の部材の軸を中心とした回動を制限するためのストッパー片に関する。
【０００２】
【従来技術】
多くの関節接続システムは、互いに回動可能な複数の部材を使用している。
周囲の空間の占有程度、もしくはパワー、データまたは流体の伝達に関係した事項のために、これら部材間の回動（角度移動）は、ストッパー片により、両回転方向に対しても制限されなければならない。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなストッパー片は、一般的には硬く、このために、上記部材の変位速度並びに質量に応じて、ストッパー片により急に停止されると、振動と、多くの場合にはノイズとを発生させる。
さらに、遊びを生じさせるように繰り返しの衝撃と完成とは、システムの安全性を損なう恐れがある。
【０００４】
本発明の目的は、固定されたストッパー片の上記問題点を解決しながら、２つの部材間で衝撃が生じないで回動を制限することができると共に、これら部材間の総体的回動を除々に制動させることの可能な可撓性のストッパー片を提供することである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明の一態様に係われば、第１の部材は、第２の部材のスリーブ部内で、軸と同軸的に延びた内部を有する。さらにストッパー片は、中間接続部の両端に夫々接続され同じ方向に巻かれた２つのヘリカル状に巻かれたコイル部を備え、前記内部とスリーブ部との間には配置された弾性部材を具備する。前記各コイル部は、端部で終端しており、また、前記スリーブ部は、前記弾性部材の中間接続部と圧接することが可能な第１のストッパー部を有し、そして、前記内部は、各々が弾性部材の対応する端部と圧接することが可能な第２のストッパー部と第３のストッパーとを少なくとも有する。
【０００６】
本発明の他の特別な特徴に係われば、
前記第２のストッパー部並びに第３のストッパーは互いに周方向にオフセットされ、
前記コイル部の各々は、通常は緩く内部を囲むように配置され、
前記端部は、ほぼ軸方向もしくは径方向にに延びている。
本発明は、また、少なくとも１つの、前記したような可撓性のストッパー片と、第１の部材並びに第２の部材内で延びている少なくとも１つの可撓性パイプもしくは導体とを有する関節接続システムに関する。
本発明は、また、前述したような関節接続システムを少なくとも１つ有する医療機器。
【０００７】
【発明の実施の形態】
図１は、第１の部材２と、第２の部材３との間に、本発明に係わる可撓性のストッパー片を備えた関節接続システム１の例を示す。
図４に示す適用例では、可撓性のストッパー片を備えた関節接続システム１は、点灯器具４を支持する支持アーム（第２の部材）３の基部と、プレート（第１の部材）２との間で、支持アームがプレートに対して回動可能となるように配置されている。このプレート２は、アーム５の一端に関節接続されており、また、このアーム５は、少なくとも第２のアーム７を効果的に支持する天井装着部材６に取着されている。
【０００８】
図１において、前記アーム３の基部は、ヘッド７に固定されており、また、このヘッドは、前記第１の部材２と一体的なスリーブ１０内でベアリング９ａ，９ｂにより回動可能に装着されたチューブ部材８に取着されている。
【０００９】
本発明の一態様に係われば、電流を流すため並びに／もしくはデジタル、電気もしくは光学データを伝送するための少なくとも１つのケーブル１１、並びに／もしくは医療用流体（酸素、真空排気等）の搬送のための少なくとも１つのパイプが、前記アーム３と、チューブ部材８との中を通って、チューブ部材から第１の部材２の所で、延びている。
【００１０】
前記チューブ部材８とスリーブ１０とは、軸１２に対して同軸的に配置されている。第１の部材２に対して、軸１２を中心とするアーム３の回動は、固定のスリーブ１０により支持されたチューブ部材８に突設されたストッパー片１４，１５と、固定ピン１６とに、後述するように、選択的に共同するコイル形状の弾性部材１３により制御された方法で制限される。
【００１１】
図２並びに３により明確に示されるように、前記弾性部材１３は、スチール製のばねワイヤーにより代表的に形成され、同じ方向に巻かれた２つの領域１７ａ，１７ｂを有する。これら領域（コイル部）１７ａ，１７ｂは、これら領域により規定される円筒に対して正接をなす面内で延びた中間接続部１８の両端に夫々接続されている。 図１ないし４に示す実施の形態において、前記コイル部の各々は、１回半巻回されており、軸方向端部１９ａ，１９ｂで終端している。これら軸方向端部１９ａ，１９ｂは、互いにアラインメントされ（同一軸線に沿って延びており）、かつ前記中間接続部１８に対して径方向に対向している。
【００１２】
図１に示すように、前記弾性部材１３は、チューブ部材８とスリーブ１０との間で、チューブ部材８の外周に緩く巻かれて接触していると共に、ストッパー片１６を構成するピンにより係支されている。このピンは、前記スリーブ１０に基端が挿入されて固定され、先端が前記弾性部材１３の中間接続部１８とこれの側面で当接することにより選択的に共同するように、コイル部１７ａ，１７ｂ間で径方向内方に延びている。
【００１３】
同様に、前記２つのストッパー片１４，１５は、チューブ部材８に装着され、弾性部材の軸方向端部１９ａ，１９ｂとこれらの側面で当接することにより選択的に共同するように、径方向内方に延びている。
【００１４】
かくして、前記アーム（第２の部材）３が第１の部材２に対して軸１２を中心として回動されると、弾性部材１３のコイル部の一方の端部が回動される。この回動は、アーム３が時計方向に回動された場合には、一方のピン１４によりなされ、反時計方向に回動された場合には、他方のピン１５によりなされる。
【００１５】
前記の回動量が大きい場合には、弾性部材１３の中間接続部１８は、固定ピン１６を押圧するようになる。そして、このモーメントにより、チューブ部材８の回動は、弾性部材を圧縮するようになり、アームが完全に停止されるまで、アームの回動を除々に制動するような反対のトルクが発生する。
このようにして弾性部材１３に蓄積されるエネルギーの回復は、前記アーム３を逆方向に回動させる。可撓性のストッパー片の緩衝は、弾性部材１３の剛性を調節することにより、調節され得る。
【００１６】
以上のことから理解し得るように、アーム３とチューブ部材８の回転方向に応じて、弾性部材１３の一方のコイル部（１７ａもしくは１７ｂ）のみが付勢され、他方のコイル部は付勢されない。
そして、付勢されたコイル部は、巻方向に、かくしてチューブ部材８を巻線部で締め付ける方向に強制されるかくして、総緩衝は、コイル部の巻線部の全てがチューブ部材８を締め付けたときに、達成される。この結果、弾性部材１３が歪みの許容範囲を越えるリスクを無くすことができる。
【００１７】
図１に示すような、本発明の一態様に係われば、前記ピン１４，１５は、代表的には９０°だけ周方向にオフセットして配置されている。
このオフセットにより、アームの全回動を一定にすることが可能になる。本発明に係わるピンをオフセットされる構成により、単一の固定ストッパーピンを備えた従来の機構では一般的に不可能である３６０°以上の回動（角移動）が可能になる。
【００１８】
図５に示される簡素化した実施の形態において、弾性部材１３のコイル部１７ａ，１７ｂは、１巻に制限されており、また、内方のチューブ部材８と一体的なストッパー部（ストッパー領域）は、この場合には、チューブ部材８に周方向にずれて形成された開口（切欠部）１４０，１５０の軸方向の面により構成されている。これら開口の中には、自由端部（軸方向端部）１９ａ´，１９ｂ´が挿入され、この場合には、弾性部材１３の径方向内方に向かい、後方に曲げられている。前記ストッパー領域相互で見られるの角度的（周方向の）オフセットは、前記開口１４０，１５０の角度的オフセット並びに／もしくは一方の開口１５０の周方向の延長により与えられる。外方のチューブ部材１０におけるストッパー領域は、前述したように、チューブ部材１０に径方向に延びるように形成された孔に一端が挿入されて軸方向内方に延びるピン１６により構成されている。
【００１９】
本発明は、特別な実施の形態に対して説明されているけれども、これに限定されるものではなく、請求項の範囲内でこの分野の者にとって明らかなように変形並びに変更され得る。
【００２０】
特に、好ましい適用の１つは、上述した点灯ユニット、操作上の顕微鏡、分配アーム、可動Ｘ線装置等の医療機器を支持するための懸架ユニットに対してであるけれども、カメラのための回転ヘッドもしくは回転ファンのための支持構造のような公衆のための他の産業分野にも適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は、本発明に係わる可撓性のストッパー片を備えた関節接続システムの縦断面図である。
【図２】図２は、図１に示す機構のばねの上面図である。
【図３】図３は、図１に示す機構のばねの前面図である。
【図４】図４は、本発明に係わる可撓性のストッパー片を備えた天井照明ユニットを示す概略図である。
【図５】図５は、本発明に係わる可撓性のストッパー片を備えた関節接続システムのの他の実施の形態を示す一部切欠斜視図である。
【符号の説明】
１…関節接続システム、２…プレート（第１の部材）、３…支持アーム（第２の部材）８…チューブ部材、１０…スリーブ、１２…軸、１３…弾性部材、１４，１５…ストッパー片、１６…固定ピン、１７ａ，１７ｂ…領域（コイル部）、１８…中間接続部。

Claims (11)

1. 第２の部材（２，１０）に対しての第１の部材（３，８）の、これの軸（１２）を中心とする回動を制限し、前記第１の部材は、前記第２の部材のスリーブ部（１０）内で、前記軸（１２）と同軸的に延びた内部（８）を有する、可撓性のストッパー片であり、この可撓性のストッパー片は、中間接続部（１８）の両端に夫々接続され同じ方向に巻かれた２つのヘリカル状のコイル部（１７ａ，１７ｂ）を備え、前記内部（８）とスリーブ部（１０）との間に配置された弾性部材（１３）を具備し、各コイル部（１７ａ，１７ｂ）は、端部（１９ａ，１９ｂ；１９ａ´，１９ｂ´）で終端しており、また、前記スリーブ部（１０）は、前記弾性部材の中間接続部（１８）と圧接することが可能な第１のストッパー部（１６）を有し、そして、前記内部は、各々が弾性部材の対応する端部と圧接することが可能な第２のストッパー部（１４，１４０）と第３のストッパー（１５，１５０）とを少なくとも有する可撓性のストッパー片。
2. 前記コイル部（１７ａ，１７ｂ）の各々は、通常は緩く内部（８）を囲むように配置されている請求項１の可撓性のストッパー片。
3. 前記第２のストッパー部（１４，１４０）並びに第３のストッパー（１５，１５０）は互いに周方向にオフセットされている請求項１もしくは２の可撓性のストッパー片。
4. 前記端部（１９ａ，１９ｂ）は、ほぼ軸方向に延びている請求項１ないし３のいずれか１の可撓性のストッパー片。
5. 前記端部（１９ａ，１９ｂ）は、ほぼ径方向に延びている請求項１ないし３のいずれか１の可撓性のストッパー片。
6. 前記少なくとも１つのストッパー部（１４，１５，１６）は、径方向に延びたピンにより構成されている請求項１ないし５のいずれか１の可撓性のストッパー片。
7. 前記少なくとも１つのストッパー部（１４０，１５０）は、前記内部（８）の切欠部により構成されている請求項５の可撓性のストッパー片。
8. 前記内部（８）はチューブ部材である請求項１ないし７のいずれか１の可撓性のストッパー片。
9. 請求項１ないし８のいずれか１の少なくとも１つの可撓性のストッパー片を備えた関節接続システム。
10. 前記第１の部材（３）並びに第２の部材（２）内で延びている少なくとも１つの可撓性パイプもしくは導体（１１）を有する請求項９の関節接続システム。
11. 請求項９もしくは１０の少なくとも１つの関節接続システムを有する医療機器。

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