JP4068276B2 - ポリビニルアルコール系組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水に溶解して使用する際に防錆性に優れたポリビニルアルコール系組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリビニルアルコールは上質紙、板紙や段ボールライナー用紙等の表面強度向上剤や剥離紙のアンダーコート剤として紙加工分野では広く使用されている。また、繊維加工、フィルム、接着剤、各種無機材料のバインダー、乳化安定剤などの他の用途においても広く使用されている。
【0003】
一般に、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する)を使用する際は、多くの場合、水に溶解して使用する。PVAを水に溶解して使用する際に、PVA自体は金属を腐食させるようなことはないが、溶媒である水が金属、特に鉄の腐食を促進させる場合がある。特に、PVA水溶液を比較的高い湿度で、しかも高速回転させた金属ロール等で紙に塗工するような場合には、静電気等の影響もあって、金属ロールが腐食し、均一な塗工ができなくなることもある。
【0004】
PVA水溶液を使用する際に、このような金属の腐食を防止する方法としては、腐食しにくい材質のものを使用するか、PVA水溶液に防錆剤を添加する2通りの方法がある。前者の方法では設備費がかかるため、一般的には後者の方法が多く採用されている。PVA水溶液系の防錆剤としては、亜硝酸ナトリウムが一般的であって、少量の添加で防錆効果は十分である。その他の防錆剤も多数市販されているが、亜硝酸ナトリウムと比較すると防錆効果は著しく低く、しかも少量亜硝酸ナトリウムを含んでいるようなものまである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように亜硝酸ナトリウムはPVA水溶液を塗工する際の防錆剤として使用されているが、この亜硝酸ナトリウムには人体に対して有害との疑いがあり、事実、物質安全データーシートにも変異原性、ガン原性ともに陽性と記載されており、毒性のない防錆性に優れたPVA系組成物が望まれている。
【0006】
本発明は、かかる現状に鑑み、水溶液にして使用する際に金属を腐食することなく、しかも人体に対して悪影響を及ぼさないPVA系組成物を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のPVA系組成物は、かかる目的を達成するものであって、(A)ケン化度が60モル%以上で、20℃における4%水溶液粘度が1.5mPa・s以上のポリビニルアルコール100重量部に対して、(B)燐酸塩を0.1〜5重量部含有させてなることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0009】
本発明に使用されるPVA(A)は脂肪酸ビニルエステルを重合して得られた脂肪族ポリビニルエステルをケン化することにより得られる。
PVA(A)は、鹸化度が60モル%以上、好ましくは80モル%以上であって、20℃における4%水溶液粘度が1.5mPa・s以上、好ましくは2.0mPa・s以上のPVAである。鹸化度が60モル%未満の場合には、重合度によっては水に溶けなくなる場合があるので、好ましくない。また、20℃における4%水溶液粘度が1.5mPa・s未満の場合には、特に大きな問題は生じないが、例えば紙に塗工した場合に紙の表面強度向上効果が小さいなどの不都合が生じる場合がある。
【0010】
本発明に使用されるPVAを製造する際に用いられる脂肪族ビニルエステル類としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどがあげられるが、工業的には酢酸ビニルが望ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で前記脂肪族ビニルエステルと共重合可能な不飽和単量体と脂肪族ビニルエステルとの共重合を行っても良い。脂肪族ビニルエステルと共重合可能な不飽和単量体としては、例えば、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等の不飽和二塩基酸モノアルキルエステル類、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、N−メチロ−ルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン等のアミド基含有単量体、ラウリルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、イソプロペニルアリルアルコール等の水酸基含有単量体、アリルアセテート、ジメチルアリルアセテート、イソプロペニルアリルアセテート等のアセテート等のアセチル基含有単量体、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基含有単量体等が挙げられるが、これに限らない。
【0011】
重合及びケン化、乾燥、粉砕方法等は公知の各種の方法が採用されるが、これに限らない。
【0012】
本発明に使用される燐酸塩(B)は、正燐酸塩(第一燐酸塩、第二燐酸塩、第三燐酸塩)、ポリ燐酸塩(ジ燐酸塩、トリ燐酸塩、テトラ燐酸塩、ポリ燐酸塩等の縮合燐酸塩)、メタ燐酸塩(トリメタ燐酸塩、テトラメタ燐酸塩、ヘキサメタ燐酸塩等の燐酸が環状に縮合したものの塩)、次燐酸塩、亜燐酸塩、次亜燐酸塩であり、中でも正燐酸塩、ポリ燐酸塩、メタ燐酸塩が好ましく、燐酸塩の塩は中でもリチウム塩、ナトリウム塩、およびカリウム塩が特に有用であるが、これに限らない。これらの燐酸塩は、結晶水を含有するものと無水物とがあるが、PVAに対する添加量という面では無水物の方が有用である。これらの燐酸塩のうち防錆効果がより高いものは正燐酸ナトリウム、ヘキサメタ燐酸ナトリウム、トリポリ燐酸ナトリウムである。燐酸塩(B)の添加量はPVA(A)100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜4重量部である。燐酸塩の添加量が0.1重量部未満の場合には、防錆効果が低く、逆に5重量部を越える場合には、燐酸塩の種類によっては水溶液が強塩基性となり、防錆効果も低下する場合もあるので、好ましくない。
【0013】
本発明においては、PVA(A)に燐酸塩(B)を含有させるが、この方法としては、PVA(A)と燐酸塩(B)とを予め混合して溶解してもよく、またPVA(A)と燐酸塩(B)とを別々に溶解しておき、その後、例えば使用する際などに混合してもかまわない。
【0014】
さらに、塩酸、酢酸、硫酸、水酸化ナトリウム、炭酸ソーダ、酢酸ソーダ等のpH調整剤や消泡剤、浸透剤等の界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、防かび剤、防滑剤等の添加も可能である。
【0015】
本発明の組成物は一般的には水に溶解して使用されるが、溶解後の濃度は用途によって異なるが、0.1〜40重量%が望ましい。
【0016】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
なお、得られたPVA組成物は、以下の評価基準で評価した。
(1)防錆試験
PVA組成物の水溶液に表面積150cm2の鉄片を入れて40℃の恒温水槽に入れ放置して、1日後および1週間後に鉄片と水溶液の状態を観察した。
防錆効果の評価基準
〇:変化なし
△:やや錆が出て水溶液の色が黄色くなった
×:錆が出て水溶液の色が褐色になった
(2)総合評価
上記の防錆試験と安全性とを総合して以下の評価基準で行った。
評価基準
○:優れている
×:防錆効果または安全性に問題がある
【0017】
実施例1
ケン化度が98モル%で20℃における4%水溶液粘度が28mPa・sのPVA100重量部に第三燐酸ナトリウム0.5重量部を添加して2500重量部の水に溶解した。この水溶液に防錆試験を行ったところ、表1に示すように、1週間後においても鉄片および水溶液のいずれも変化はなかった。第三燐酸ナトリウムには毒性がないため、総合評価においても優れていた。
【0018】
実施例2
実施例1で使用したPVAに代えて鹸化度が88モル%で20℃における4%水溶液粘度が5.2mPa・sのPVAを使用し、第三燐酸ナトリウムの量を4重量部にした以外は実施例1と同様にしてPVA水溶液を得た。同様にして防錆試験を行ったところ、表1に示すように優れた結果が得られた。
【0019】
実施例3
第三燐酸ナトリウムの代わりに第二燐酸ナトリウムを使用した以外は実施例1と同様にしてPVA水溶液を得た。同様にして防錆試験を行ったところ、表1に示すように優れた結果が得られた。第二燐酸ナトリウムには毒性がないため、総合評価においても優れていた。
【0020】
比較例1
第三燐酸ナトリウムを添加しなかった以外は実施例1と同様にしてPVA水溶液を得た。防錆試験を行ったところ、表1に示すように、1日後には鉄片が錆びてPVA水溶液の色が黄色くなった。
【0021】
比較例2
第三燐酸ナトリウムの代わりに亜硝酸ナトリウムを使用した以外は実施例1と同様にしてPVA水溶液を得た。防錆試験の結果は表1に示すように良好であったが、亜硝酸ナトリウムは安全性に問題があるので、総合評価は劣るものであった。
【0022】
比較例3
第三燐酸ナトリウムの量を9重量部にした以外は実施例2と同様にしてPVA水溶液を得た。防錆試験を行ったところ、表1に示すように悪かった。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】
本発明のPVA系組成物によれば、水溶液として塗工するなどのさいに使用する金属ロールなどの金属を腐食することがなく、しかも人体に悪影響のない塗工紙、繊維加工物等を得ることが可能となる。
Claims (1)
- (A)ケン化度が80モル%以上で、20℃における4%水溶液粘度が1.5mPa・s以上のポリビニルアルコールと、(B)正燐酸ナトリウムとを、前記ポリビニルアルコール100重量部に対して前記正燐酸ナトリウムを0.1〜5重量部の割合になるように水に溶解させてなることを特徴とする防錆用ポリビニルアルコール系組成物。
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1999
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