JP4067842B2 - 鉄道信号保安装置用リレー回路及びそれを用いた継電連動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は鉄道信号保安装置用リレー回路及びそのリレー回路を用いた継電連動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、継電連動装置のリレー回路中の接近鎖錠リレー回路には、鉄心にコイルを巻回して形成された線条リレーからなる接近鎖錠リレーと、鉄心にコイルを巻回するとともに、銅部材を設けて形成された緩放リレーからなる接近鎖錠解除補助リレーとが設けられている。図3(a)〜(h)は、その従来の接近鎖錠リレー回路を示したものである。
【0003】
この接近鎖錠リレー回路は、一度形成された進路を何らかの理由により変更又は取消される場合に用いられる(例えば、列車が1番ホームに進入するように進路構成されているときに、何らかの理由により2番ホームに進入させようとした場合)。この接近鎖錠リレー回路は、列車が所定距離まで接近しているときは、仮りにてこが操作されて進路が変更又は取消されても、列車の安全を図るために現状の進路を維持するように鎖錠(ロック)するときに用いられる。
【0004】
図3(a)を用いて従来の接近鎖錠リレー回路の概略を説明すると、図中、四角で囲まれたMSlRは、緩放リレーからなる接近鎖錠解除補助リレー(以下、「リレーM」で説明する。)で、このリレーMは、本発明の第1のリレーの動作を果たしている。また、四角で囲まれたASRは、鎖錠リレー(以下、「リレーA」で説明する。)で、このリレーAは、本発明の第2のリレーの動作を果たしている。そして、回路中、「MSlR」はリレーMの接点を表わし、「ASR」はリレーAの接点を表わしている。なお、実際の接近鎖錠リレー回路には、タイマー回路や各種条件の接点等が含まれた複雑な回路であるが、ここでは、基本となる2つのリレー(リレーM,A)を抽出した簡素化された回路として示されている。
【0005】
以下、図3(a)〜(h)に従ってこの従来の接近鎖錠リレー回路の動作について説明する。今、所定の進路が形成されていて、リレーM及びリレーAが共に落下(OFF)していて進路の変更又は取消が行われていない状態にあるものとする(図3(a)参照)。
【0006】
ところで、何らかの理由により進路を変更又は取消しなければならない理由が発生して、係員により図示しないてこが操作されたとする。このてこの操作によりてこリレーの接点(図示せず)を介して電源(電流)が供給されると、先ず、リレーAの接点Aを介してリレーMが扛上(動作(ON))される(図3(b)参照)。
【0007】
リレーMがONになるとその接点MもONとなり(図3(c)参照)、リレーAもONとなる。このとき、リレーMは緩放リレーで形成されているので、そのリレーMの接点Mは、リレーMがOFFとなっても所定時間(例えば0.5秒間)ONを継続することができる(図3(d)〜図3(g)参照)。このリレーMの接点MのON継続中にリレーAの接点AがONとなり(図3(g)参照)、その接点Aを介してリレーAはONを保持することとなる(図3(h)参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の継電連動装置のリレー回路では、緩放リレーが用いられるためにコスト高になる欠点があった。特に、この緩放リレーは、継電連動装置のリレー回路の中でも接近鎖錠回路リレー用以外に用途が少なく、したがって、量産されず製造コストが高くなるだけでなく、継電連動装置に用いられている他の線条リレーと異なり、構造が複雑でその製造に熟練を必要とする欠点があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、緩放リレーを用いない鉄道信号保安装置用リレー回路、及びそのリレー回路を用いた継電連動装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る鉄道信号保安装置用リレー回路は、上記目的を達成するために、第1のリレーが動作したときにその第1のリレーの接点を介して第2のリレーを動作させるとともに、その第2のリレーの接点を介してその第2のリレーを自己保持させる鉄道信号保安装置用リレー回路において、前記第2のリレーは、共通接点が接続状態にある一方の接点から他方の接点に切替わるときに、その一方の接点に接続した状態で他方の接点に接続し、その接続終了後にその一方の接点から離れるように作用するCT型のリレーであることを特徴としている。
【0011】
本発明に係る継電連動装置は、上記目的を達成するために、第1のリレーが動作したときにその第1のリレーの接点を介して第2のリレーを動作させるとともに、その第2のリレーの接点を介してその第2のリレーを自己保持させる鉄道信号保安装置用リレー回路を含んで構成される継電連動装置において、前記第2のリレーは、共通接点が接続状態にある一方の接点から他方の接点に切替わるときに、その一方の接点に接続した状態で他方の接点に接続し、その接続終了後にその一方の接点から離れるように作用するCT型のリレーであることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1(a)〜(e)は、一実施の形態に係る鉄道信号保安装置用リレー回路を継電連動装置用としたときのその継電連動装置に含まれる接近鎖錠リレー回路部分が示されている。
【0013】
図中、四角で囲まれたR1 は第1のリレーで、上記図3のリレーMに相当する接近鎖錠解除補助リレーであり、また、四角で囲まれたR2 は、第2のリレーで、上記図3のリレーAに相当する接近鎖錠リレーである。回路中のR1 ,R2 は、各リレーR1 ,R2 の接点を表わしている。なお、ここでも、上記図3と同様に、実際の接近鎖錠リレー回路には、タイマー回路や各種条件の接点等が含まれた複雑な回路であるが、基本となる2つのリレー(リレーR1 ,R2 )を抽出した簡素化された回路として示されている。
【0014】
リレーR1 は、鉄心にコイルを巻回した電磁石と一対の接点からなる周知の線条リレーから形成されている。また、リレーR2 は、鉄心にコイルを巻回した電磁石と3個の接点からなる周知のCT型の線条リレーから形成されている。
【0015】
このCT型の線条リレーを図2(a),(b)を用いて説明すると、同図(a)は3個の接点の動きを示し、同図(b)は、それら接点の接続状態によりON,OFFされるリレーAR,BRの作用を示している。
【0016】
今、3個の接点のうちの一つの共通接点が一方の接点(図2ではN接点)に接続していると、そのN接点を介して一方のリレーARがONとなる(図2の(1)参照)。次いで、共通接点が他方の接点(図2ではR接点)に切替わって接続しようとすると、その共通接点は、N接点と同伴した状態でR接点に接続される。したがって、両リレーAR,BRがONとなる(図2の(2)参照)。共通接点がさらにR接点側に移動すると、N接点が外れてリレーARがOFFとなる(図2の(3)参照)。このように、CT型のリレーは、共通接点が一方の接点から他方の接点に切替わるときにどちらの接点にも接続されない状態を防止できる特長がある。このような3個の接点の動作は、3個の接点を形成する板ばねの形状と、これら3個の接点を操作する電磁石の鉄片で作動する操作子の形状とにより行われる。
【0017】
以下、図1(a)〜(g)に従って接近鎖錠リレー回路の動作について説明する。今、所定の進路が形成されていて、リレーR1 及びリレーR2 が共に落下 (OFF)していて進路の変更又は取消が行われていない状態にあるものとする(図1(a)参照)。
【0018】
ところで、何らかの理由により進路を変更又は取消をしなければならない理由が発生して、係員により図示しないてこが操作されたとする。このてこの操作によりてこリレーの接点(図示せず)を介して電源(電流)が供給されると、先ず、リレーR2 のOFF(落下)接点R2 を介してリレーR1 がONになるとともに、リレーR1 のON(扛上)接点R1 を介してリレーR2 もONとなる(図1(b)参照)。
【0019】
リレーR2 がONとなると、そのリレーR2 の共通接点は、両接点に接触した状態で移動し(図1(c),(d)、図2の(2)参照)、したがって、リレーR2 には、そのリレーR2 の接点R2 を介してもONとされる(図1(d)参照)。そして、リレーR2 の共通接点がさらに移動すると、リレーR1 を駆動していた接点が外れてリレーR1 はOFFとなる。このとき、リレーR2 の接点はリレーR2 を保持できるように接続されているので、リレーR2 は自己保持される(図1(e)参照)。このように、リレーR2 は、従来のような高価な緩放リレーを用いなくとも自己保持することが可能となる。
【0020】
なお、上述の例では、鉄道信号保安装置用リレー回路を継電連動装置用としたが、もちろん、他の機器のリレー回路に用いることもできる。
【0021】
【発明の効果】
本発明に係る鉄道信号保安装置用リレー回路は、第2のリレーを共通接点が接続状態にある一方の接点から他方の接点に切替わるときに、その一方の接点に接続した状態で他方の接点に接続し、その接続終了後にその一方の接点から離れるように作用するCT型のリレーとしたので、従来のような高価な緩放リレーを用いなくとも自己保持することが可能となる。
【0022】
本発明に係る継電連動装置は、第2のリレーを共通接点が接続状態にある一方の接点から他方の接点に切替わるときに、その一方の接点に接続した状態で他方の接点に接続し、その接続終了後にその一方の接点から離れるように作用するCT型のリレーとしたので、低コストに継電連動装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る鉄道信号保安装置用リレー回路を継電連動装置用としたときのその継電連動装置に含まれる接近鎖錠回路リレー部分の概略図である。
【図2】CT型の線条リレーの説明図である。
【図3】従来の継電連動装置の中の接近鎖錠回路リレー部分の概略図である。
【符号の説明】
R1 第1のリレー(線条リレー(接近鎖錠リレー))
R2 第2のリレー(CT型の線条リレー(接近鎖錠解除補助リレー))

Claims (2)

  1. 第1のリレーが動作したときにその第1のリレーの接点を介して第2のリレーを動作させるとともに、その第2のリレーの接点を介してその第2のリレーを自己保持させる鉄道信号保安装置用リレー回路において、
    前記第2のリレーは、共通接点が接続状態にある一方の接点から他方の接点に切替わるときに、その一方の接点に接続した状態で他方の接点に接続し、その接続終了後にその一方の接点から離れるように作用するCT型のリレーであることを特徴とする鉄道信号保安装置用リレー回路。
  2. 第1のリレーが動作したときにその第1のリレーの接点を介して第2のリレーを動作させるとともに、その第2のリレーの接点を介してその第2のリレーを自己保持させる鉄道信号保安装置用リレー回路を含んで構成される継電連動装置において、
    前記第2のリレーは、共通接点が接続状態にある一方の接点から他方の接点に切替わるときに、その一方の接点に接続した状態で他方の接点に接続し、その接続終了後にその一方の接点から離れるように作用するCT型のリレーであることを特徴とする継電連動装置。
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