JP4067752B2 - 半導体装置の作製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本明細書で開示する発明は、薄膜トランジスタに代表される半導体装置の作製方法に関する。特に、ガラス基板や石英基板上に形成された結晶性を有する珪素薄膜を用いた半導体装置の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、珪素膜を用いた薄膜トランジスタが知られている。これは、ガラス基板や石英基板上に形成された珪素膜(厚さ数百Å〜数千Å)を用いて、薄膜トランジスタを構成するものである。
【0003】
ガラス基板や石英基板が利用されるのは、アクティブマトリクス型の液晶表示に上記薄膜トランジスタを利用するためである。
【0004】
現状において、ガラス基板を用いる場合には、非晶質珪素膜を用いて薄膜トランジスタを構成する技術が一般的である。また、石英基板を用いた場合には、非晶質珪素膜を加熱処理して結晶性珪素膜を得る技術が実用化されている。
【0005】
結晶性珪素膜を用いた薄膜トランジスタは、非晶質珪素膜を用いたものに比較して、2桁以上の高速動作を行わすことができる。従って、これまで外付けのIC回路によって構成されていたアクティブマトリクス型の液晶表示装置の周辺駆動回路をガラス基板または石英基板上に薄膜トランジスタでもって作り込むことができる。
【0006】
このような構成は、装置全体の小型化や作製工程の簡略化に非常に有利なものとなる。また作製コストの低減にもつながる構成となる。
【0007】
加熱処理により結晶性珪素膜を得る技術として、特開平6−232059号公報に記載された技術が公知である。この技術は、非晶質珪素膜に珪素の結晶化を助長する金属元素(例えばニッケル)を導入し、従来よりも低い温度での加熱処理で結晶性珪素膜を得る技術である。
【0008】
この技術を利用すると、基板として安価なガラス基板を利用することができ、また得られた結晶性珪素膜は、広い面積にわたって実用に耐える結晶性を有したものとすることができる。
【0009】
しかし、膜中に金属元素を含有しているため、その導入量の制御が微妙であり、再現性や安定性(得られたデバイスの電気的な安定性)に問題があることが明らかになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本明細書で開示する発明の目的は、上述した問題点を解消して、珪素の結晶化を助長する金属元素を利用して得られた結晶性珪素膜中における金属元素の濃度を減少させる技術を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本明細書で開示する発明の一つは、
非晶質珪素膜に珪素の結晶化を助長する金属元素を意図的に導入し第1の加熱処理により前記非晶質珪素膜を結晶化させる工程と、
ハロゲン元素を含んだ雰囲気中で第2の加熱処理を行い前記金属元素を意図的に除去する工程と、
を有し、
第1の加熱処理と第2の加熱処理とを同じ加熱手段でもって行なうことを特徴とする。
【0012】
上記構成において、第1の加熱手段と第2の加熱手段とは、同じ加熱手段によるものであることが重要となる。これは、珪素膜中に金属元素を拡散させ、結晶化を行うための第1の加熱処理と、珪素膜中に拡散した金属元素を除去するための第2の加熱処理とが同じ方法である方が金属元素の除去がうまくゆくからである。
【0013】
例えば、金属元素としてニッケルを利用し、第1の加熱処理をヒータによる加熱で行い、第2の加熱処理を赤外光ランプによる加熱(RTA:ラピット・サーマル・アニールと称される)によって行った場合、両方の加熱方法をヒータによるものとした場合に比較して、珪素膜中からのニッケルの除去効果が低いことが判明している。
【0014】
他の発明の構成は、
非晶質珪素膜の表面または裏面に接して珪素の結晶化を助長する金属元素を接して保持させる工程と、
第1の加熱処理を施し前記非晶質珪素膜の少なくとも一部を結晶化させる工程と、
ハロゲン元素を含んだ雰囲気中で第2の加熱処理を行い前記金属元素を意図的に除去する工程と、
を有し、
第1の加熱処理と第2の加熱処理とを同じ加熱手段でもって行なうことを特徴とする。
【0015】
珪素の結晶化を助長する金属元素としては、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Auから選ばれた一種または複数種類のものを用いることができる。
【0016】
特にNi(ニッケル)元素を利用することが、その効果や再現性の点から最も好ましい。
【0017】
ハロゲン元素を含んだ雰囲気としては、Ar、N 2 、He、Neから選ばれた一種または複数種類のガスの雰囲気中にHCl、HF、HBr、Cl 2 、F 2 、Br 2 から選ばれた一種または複数種類のガスが添加されたものを用いることができる。ここで、ハロゲン元素は、当該金属元素を除去するために機能する。
【0018】
また、ハロゲン元素を含んだ雰囲気としては、Ar、N 2 、He、Neから選ばれた一種または複数種類のガスの雰囲気中にHCl、HF、HBr、Cl 2、F 2 、Br 2 から選ばれた一種または複数種類のガスと酸素とが添加されたものを用いることができる。
【0019】
酸素は、当該金属元素の除去工程において、珪素膜表面に酸化膜を同時に形成することにより、ハロゲン元素の作用によって珪素膜の表面が荒れてしまうことを抑制する機能を有する。
【0020】
当該金属元素の除去のための加熱処理は、450℃〜1050℃の温度で行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
ニッケルに代表される金属元素を意図的に導入することにより、第1の加熱処理により非晶質珪素膜を結晶化させる。そして、ハロゲン元素を含む雰囲気中において第2の加熱処理を行うことにより、先に意図的に導入した当該金属元素を膜中より除去する。この際、第1の加熱処理と第2の加熱処理とを同じ手段でもって行う。
【0022】
【実施例】
〔実施例1〕
本実施例では、ガラス基板上にニッケル元素を利用して結晶性珪素膜を得る技術を示す。
【0023】
図1に本実施例の作製工程を示す。まず、コーニング1737ガラス基板(歪点667℃)101上に下地膜として酸化窒化珪素膜102を3000Åの厚さに成膜する。
【0024】
酸化窒化珪素膜102の成膜は、原料ガスとしてシランとN 2 Oガスと酸素とを用いたプラズマCVD法を用いる。または、TEOSガスとN 2 Oガスとを用いたプラズマCVD法を用いて成膜する。
【0025】
酸化窒化珪素膜102は、後の工程においてガラス基板からの不純物(ガラス基板中には半導体の作製レベルで見て多量の不純物が含まれている)の拡散を防止する機能を有する。
【0026】
なお、この機能を最大限に得るためには、窒化珪素膜が最適であるが、窒化珪素膜が応力の関係でガラス基板からはがれてしまうので実用的ではない。また、下地膜として酸化珪素膜を用いることもできる。しかし、酸化珪素膜は、不純物に対するバリア効果が酸化窒化珪素膜に比較して不十分である。
【0027】
この下地膜は、可能な限りなるべく高い硬度とすることが重要なポイントとなる。このことは、最終的に得られた薄膜トランジスタの耐久試験において、下地膜の硬度が硬いほうが(即ち、そのエッチングレートが小さい方が)信頼性が高いことから結論される。またこのことから、下地膜の硬さがガラス基板からの不純物の進入の防止に関係していることが推察される。
【0028】
次に後に結晶性珪素膜となる非晶質珪素膜103を500Åの厚さに減圧熱CVD法で成膜する。減圧熱CVD法を用いるのは、その方が後に得られる結晶性珪素膜の膜質が優れているからである。なお、減圧熱CVD法以外の方法としては、プラズマCVD法を用いることができる。
【0029】
この非晶質珪素膜103の膜厚は2000Å以下とすることが好ましい。これは、後に珪素の結晶化を助長する金属元素を除去する段階において、その膜厚が2000Å以上であると、その除去が困難になるからである。
【0030】
また、非晶質珪素膜103の膜厚の下限は、その成膜において、どれだけ薄い膜が成膜できるかによって決まる。一般には、100Å〜200Å程度がその下限となる。
【0031】
また、この段階においては、膜中に不純物が混入しないように細心の注意を払うことが重要となる。具体的には、成膜に利用するガスの純度や装置の洗浄に注意を払うことが重要となる。こうして図1(A)に示す状態を得る。
【0032】
次に10ppm(重量換算)のニッケル元素を含んだニッケル酢酸塩溶液を非晶質珪素膜103の表面に塗布する。
【0033】
具体的には、図1(B)に示すようにまず非晶質珪素膜103の表面にニッケル酢酸塩溶液の水膜104を形成する。それからスピンコーターを利用して余分な溶液を吹き飛ばす。即ち、スピンドライを行う。
【0034】
このようにすることにより、水膜104中のニッケル元素が非晶質珪素膜103の表面に接して保持された状態を得る。
【0035】
なお、後の加熱工程における不純物の残留を考慮すると、酢酸ニッケル塩溶液を用いる代わりに硫酸ニッケルを用いることが好ましい。これは、酢酸ニッケル塩溶液は炭素を含んでおり、これが後の加熱工程において炭化して膜中に残留することが懸念されるからである。
【0036】
ニッケル元素の導入量の調整は、溶液中におけるニッケル元素の濃度を調整することにより行うことができる。またスピンドライを行なう条件や、非晶質珪素膜103上における溶液の保持時間によって制御することもできる。
【0037】
そして、図1(C)に示す状態において、450℃〜650℃の温度での加熱処理を行い、非晶質珪素膜103を結晶化させる。
【0038】
ここでは、窒素雰囲気中において、600℃の加熱処理を4時間行なう。この工程の結果、結晶性珪素膜105を得る。
【0039】
この加熱処理は、利用する基板の耐熱性を考慮してその上限を決めることが重要である。本実施例では、歪点が667℃であるコーニング1737ガラス基板を使用しているので、加熱温度の上限は650℃程度となる。また、結晶化を行なわせるには、450℃以上の温度温度が必要であることが実験により判明している。
【0040】
また、基板として石英基板やその他耐熱性の高い材料を利用した場合には、上記結晶化のための加熱温度をさらに高くすることができる。例えば石英基板を利用した場合には、1000℃程度までその加熱温度を高くすることができる。
【0041】
温度を高くすると、加熱処理の時間を短くすることができ、またより高い結晶性を得ることができるという利点がある。
【0042】
上記の結晶化工程において、非晶質珪素膜103の表面に接して保持されていたニッケル元素が膜中に拡散していく。そして、非晶質珪素膜103の結晶化に大きな寄与をする。
【0043】
次に図1(D)に示すように、結晶化に利用した結晶性珪素膜105中に残留したニッケル元素を除去するための加熱処理を行なう。この加熱処理は、ハロゲン元素を含んだ窒素雰囲気中で600℃の温度でもって行う。
【0044】
ここでは、窒素雰囲気中にHClを3%添加した雰囲気中において、600℃、10分の加熱処理を行う。
【0045】
雰囲気中におけるHClの濃度は、1〜10%とすることが好ましい。この濃度以上とすると、珪素膜の表面が荒れてしまうので注意が必要である。またこの濃度以下であるとゲッタリング効果が薄れてしまう。
【0046】
また、上記加熱処理の雰囲気中に酸素を添加することも有用である。この場合、ハロゲン元素による珪素膜表面の荒れを酸化膜の形成により平坦化する作用が得られる。酸素の添加量は、雰囲気中における酸素の濃度が20〜50%となるように調整すればよい。
【0047】
また上記の加熱処理温度の下限は、その効果および再現性から見て、450℃以上とすることが好ましい。またその上限は、使用するガラス基板101の歪点以下とすることが重要である。
【0048】
従って、石英基板を用いれば、さらに1000℃程度までさらに加熱温度を高くすることが可能である。この場合、ニッケル元素の除去効果をさらに高めることができる。また、処理時間を短くすることができる。
【0049】
しかし、珪素膜に対するエッチング効果も顕著になるので、ハロゲン元素の濃度を下げ、また酸素を添加する工夫が必要となる。
【0050】
窒素雰囲気以外には、一般に不活性気体と呼ばれているガスを利用することができる。具体的には、Ar、He、Neから選ばれた一種または複数種類のガスを利用することができる。
【0051】
ハロゲン元素を導入するためのガスとしては、HCl以外にHF、HBr、Cl 2 、F 2 、Br 2 、NF 3 、ClF 3 から選ばれた一種または複数種類のものを用いることができる。これらのガスは、雰囲気中での含有量(体積含有量)をHFであれば0.3〜10%、HBrであれば1〜20%、Cl 2 であれば0.3〜5%、F 2 であれば0.1 〜3%、Br 2 であれば0.3〜10%とすることが好ましい。
【0052】
上記のハロゲン元素含んだ雰囲気中での再度の加熱処理を行なうことにより、ニッケル元素の濃度を初期の1/10以下とすることができる。これは、何らハロゲン元素によるゲッタリングを行わない場合に比較して、ニッケル元素を1/10以下にできることを意味する。この効果は、他の珪素の結晶化を助長する金属元素を用いた場合でも同様に得られる。
【0053】
例えば、ニッケル元素を利用し窒素雰囲気中における加熱処理によって結晶化させた結晶性珪素膜中には、SIMS(2次イオン分析方法)による計測で、1×10 19 cm -3 〜5×10 19 cm -3 程度の濃度でニッケル元素が観察される。
【0054】
それに対して、本実施例に示した方法を採用すると、検出されるニッケル濃度は1×10 18 cm -3 〜5×10 18 cm -3 程度となる。勿論ニッケルの導入条件は同じとしてである。
【0055】
なお、本実施例においては、その制御性の良さ、さらに簡便性からニッケル元素の導入を溶液を用いる例を示した。しかし、CVD法またはスパッタ法によって、ニッケルまたはニッケルを含む膜を成膜する方法を利用してもよい。また、吸着法を用いて、ニッケル元素が非晶質珪素膜の表面に接して保持される方法を用いてもよい。
【0056】
このことは、他の珪素の結晶化を助長する金属元素を利用する場合でも同様である。
【0057】
〔実施例2〕
本実施例では、実施例1とは異なる形態の結晶成長を行わせる例に関する。本実施例は、珪素の結晶化を助長する金属元素を利用して、横成長と呼ばれる基板に平行な方向に結晶成長を行わせる方法に関する。
【0058】
図2に本実施例の作製工程を示す。まず、コーニング1737ガラス基板(石英基板でもよい)上に下地膜として酸化窒化珪素膜202を3000Åの厚さに成膜する。
【0059】
次に非晶質珪素膜203を減圧熱CVD法でもって、500Åの厚さに成膜する。
【0060】
次に図示しない酸化珪素膜を1500Åの厚さに成膜し、それをパターニングすることにより、204で示されるマスクを形成する。このマスク204は205で示される領域で開口が形成されており、その開口205で下層の非晶質珪素膜203が露呈している。
【0061】
開口205は、図面の奥行及び手前方向に長手方向を有する細長い長方形を有している。この開口205の幅は20μm以上とすればよい。またその長手方向の長さは任意に決めればよい。
【0062】
そして実施例1で示した重量換算で10ppmのニッケル元素を含んだ酢酸ニッケル溶液を塗布する。そしてスピンコータを用いて余分な溶液を吹き飛ばす。
【0063】
こうして、点線206で示されるようにニッケル元素が露呈した非晶質珪素膜203の表面と酸化珪素膜でなるマスク204の表面に接して保持された状態を得る。(図2(A))
【0064】
次に極力酸素を含まない窒素雰囲気中において、600℃、4時間の加熱処理を行う。すると、図2(B)の矢印207で示されるような基板に平行な結晶成長が進行する。この結晶成長は、ニッケル元素が導入された開口205の領域から周囲に向かって進行する。この基板に平行な方向への結晶成長を横成長またはラテラル成長と称する。
【0065】
この横成長は、100μm以上にわたって行わせることができる。こうして横成長した領域を有する珪素膜208を得る。この状態では、横成長領域、結晶成長が及ばなかった領域(非晶質状態を有している)が珪素膜208中に存在している。(図2(B))
【0066】
そしてニッケル元素を選択的に導入するための酸化珪素膜でなるマスク204を除去し、図2(C)に示す状態を得る。
【0067】
そしてこの状態で、HClを5%、酸素を5%、窒素を90%でなる雰囲気中において、600℃、10分の加熱処理を行う。
【0068】
このようにすることで、実施例1においても述べたように珪素膜208中におけるニッケル元素の濃度を減少させることができる。
【0069】
次にパターニングを行うことにより、横成長領域でなるパターン209を形成する。ここで、パターン209には、結晶成長の始点と終点とが存在しないようにすることが重要である。
【0070】
これは、結晶成長の始点と終点とには、ニッケル元素が比較的高濃度に含まれているからである。
【0071】
このようにして得られた横成長領域でなるパターン209中に残留するニッケル元素の濃度は、実施例1で示した場合に比較してさらに低いものとすることができる。
【0072】
これは、横成長領域中に含まれる金属元素の濃度が実施例1に示したような結晶成長方法で得られた結晶性珪素膜と比較して、そもそも低いことにも起因する。そして、ハロゲン元素を含んだ雰囲気中で加熱処理することで、その濃度を更に低くすることができる。具体的には、横成長領域でなるパターン209中のニッケル元素の濃度を10 17 cm -3 のオーダーにすることが可能となる。
【0073】
また、この横成長方向とキャリアの移動方向とが概略一致するようにデバイスを設計することで、実施例1に示したような結晶成長方法を利用した場合に比較して、より高移動度を有するデバイスを得ることができる。
【0074】
〔実施例3〕
本実施例は、本明細書に開示する発明を利用して、アクティブマトリクス型の液晶表示装置やアクティブマトリクス型のEL表示装置の画素領域に配置される薄膜トランジスタを作製する例を示す。
【0075】
図3に本実施例の作製工程を示す。まず、実施例1または実施例2に示した工程によりガラス基板上に結晶性珪素膜を形成する。そしてそれをパターニングすることにより、図3(A)に示す状態を得る。
【0076】
図3(A)に示す状態において、301がガラス基板、302が下地膜、303が結晶性珪素膜で構成された半導体層である。ここで下地膜302は酸化窒化珪素膜を用いることが好ましい。また酸化窒化珪素膜中には、ハロゲン元素を含有させておくことが望ましい。これは、ハロゲン元素による金属イオンや可動イオンのゲッタリング作用が利用するためである。
【0077】
図3(A)に示す状態を得たら、ゲイト絶縁膜を構成する酸化窒化珪素膜304を1000Åの厚さに成膜する。成膜方法は、酸素とシランとN 2 Oとの混合ガスを用いたプラズマCVD法、またはTEOSとN 2 Oとの混合ガスを用いたプラズマCVD法を用いる。
【0078】
また酸化窒化珪素膜中にハロゲン元素を含有させることは、半導体層303中に存在するニッケル元素(その他珪素の結晶化を助長する金属元素)の影響で、ゲイト絶縁膜の絶縁膜としての機能が低下してしまうことを防ぐ意味で有用となる。
【0079】
酸化窒化珪素膜とすることは、その緻密な膜質から、ゲイト絶縁膜中に金属元素が進入しにくくなるという有意性がある。ゲイト絶縁膜中に金属元素が進入すると、絶縁膜として機能が低下し、薄膜トランシスタの特性の不安定性やバラツキの原因となる。
【0080】
なおゲイト絶縁膜としては、通常利用されている酸化珪素膜を用いることもできる。
【0081】
ゲイト絶縁膜として機能する酸化窒化珪素膜304を成膜したら、後にゲイト電極として機能する図示しないアルミニウム膜をスパッタ法で成膜する。このアルミニウム膜中には、スカンジウムを0.2重量%含有させる。
【0082】
アルミニウム膜中にスカンジウムを含有させるのは、後の工程において、ヒロックやウィスカーが発生することを抑制するためである。ヒロックやウィスカーは、加熱が行われることによって、発生する針状あるいは刺状の突起物のことをいう。ヒロックやウィスカーは、アルミニウムの異常成長によるものと考えられている。
【0083】
アルミニウム膜を成膜したら、図示しない緻密な膜質を有する陽極酸化膜を形成する。この陽極酸化膜は、3%の酒石酸を含んだエチレングルコール溶液を電解溶液として用いて行う。
【0084】
この電解溶液中において、アルミニウム膜を陽極、白金を陰極として陽極酸化を行うことで、アルミニウム膜の表面に緻密な膜質を有する陽極酸化膜が形成される。
【0085】
この図示しない緻密な膜質を有する陽極酸化膜の膜厚は100Å程度とする。この陽極酸化膜が後に形成されるレジストマスクとの密着性を向上させる役割を有している。
【0086】
なお、この陽極酸化膜の膜厚は、陽極酸化時の印加電圧によって制御することができる。
【0087】
次にレジストマスク306を形成する。そしてアルミニウム膜を305で示されるパターンにパターニングする。こうして図3(B)に示す状態を得る。
【0088】
ここで再度の陽極酸化を行う。ここでは、3%のシュウ酸水溶液を電解溶液として用いる。この電解溶液中において、アルミニウムのパターン305を陽極とした陽極酸化を行うことにより、308で示される多孔質状の陽極酸化膜が形成される。
【0089】
この工程においては、上部に密着性の高いレジストマスク306が存在する関係で、アルミニウムパターン305の側面のみに選択的に陽極酸化膜308が形成される。
【0090】
この陽極酸化膜308はその膜厚を数μmまで成長させることができる。ここでは、その膜厚を6000Åとする。なお、その成長距離は、陽極酸化時間によって制御することができる。
【0091】
そして再度の緻密な陽極酸化膜の形成を行う。即ち、前述した3%の酒石酸を含んだエチレングルコール溶液を電解溶液として用いた陽極酸化を再び行う。すると、多孔質状の陽極酸化膜308中に電解溶液が進入する関係から、309で示されるように緻密な膜質を有する陽極酸化膜が形成される。この緻密な陽極酸化膜309の膜厚は1000Åとする。(図3(C))
【0092】
ここで、露呈した部分の酸化窒化珪素膜304をエッチングする。このエッチングはドライエッチングを利用するのが有用である。さらに酢酸と硝酸とリン酸とを混合した混酸を用いて多孔質状の陽極酸化膜308を除去する。こうして図3(D)に示す状態を得る。
【0093】
図3(D)に示す状態を得たら、不純物イオンの注入を行う。ここでは、Nチャネル型の薄膜トランジスタを作製するためにP(リン)イオンの注入をプラズマドーピング法でもって行う。
【0094】
この工程においては、ヘビードープされる311と315の領域とライトドープされる312と314の領域が形成される。これは、残存した酸化珪素膜310の一部が半透過なマスクとして機能し、注入されたイオンの一部がそこで遮蔽されるからである。
【0095】
そしてレーザー光または強光の照射を行うことにより、不純物イオンが注入された領域の活性化を行う。こうして、ソース領域311、チャネル形成領域313、ドレイン領域315、低濃度不純物領域312と314が自己整合的に形成される。
【0096】
ここで、314で示されるのが、LDD(ライトドープドレイン)領域と称される領域である。(図3(D))
【0097】
なお、緻密な陽極酸化膜309の膜厚を2000Å以上というように厚くした場合、その膜厚でもってチャネル形成領域313の外側にオフセットゲイト領域を形成することができる。
【0098】
本実施例においてもオフットゲイト領域は形成されているが、その寸法が小さいのでその存在による寄与が小さく、また図面が煩雑になるので図中には記載していない。
【0099】
次に層間絶縁膜316として酸化珪素膜、または窒化珪素膜、またはその積層膜を形成する。或いは層間絶縁膜316として、酸化珪素膜または窒化珪素膜上に樹脂材料でなる層を形成して構成してもよい。
【0100】
そしてコンタクトホールの形成を行い、ソース電極317とドレイン電極318の形成を行う。こうして図3(E)に示す薄膜トランジスタが完成する。
【0101】
〔実施例4〕
本実施例は、実際例3に示す構成において、ゲイト絶縁膜304の形成方法に関する。基板として石英基板や耐熱性の高いガラス基板を用いた場合、ゲイト絶縁膜の形成方法として、熱酸化法を用いることが好ましい。
【0102】
熱酸化法で成膜された酸化膜は、絶縁膜として緻密で内部に可動するような電荷が存在することがないので、ゲイト絶縁膜として最適なものの一つとなる。
【0103】
熱酸化膜の形成方法としては、950℃の温度の酸化性雰囲気中において、処理を行う例を挙げることができる。
【0104】
この際、酸化性雰囲気中にHCl等を混合させることは有効となる。このようにすることで、熱酸化膜の形成と同時に半導体層303中に存在する金属元素を除去することができる。
【0105】
また、酸化性雰囲気中にN 2 Oガスを混合し、窒素成分を含有した熱酸化膜を形成することも有効である。ここでN 2 Oガスの混合比を最適化すれば、熱酸化法による酸化窒化珪素膜を得ることも可能である。
【0106】
ここでは熱酸化法によって、ゲイト絶縁膜を形成する例を示した。しかし、他の方法として、熱CVD法により、ゲイト絶縁膜を形成することもできる。この場合もN 2 Oまたはアンモニアを用いて、窒素成分を含有させることが有効となる。
【0107】
〔実施例5〕
本実施例は、図3に示す実施例3の工程とは異なる工程で薄膜トランジスタを作製する例を示す。
【0108】
図4に本実施例の作製工程を示す。まず、実施例1または実施例2に示した工程によりガラス基板上に結晶性珪素膜を形成する。そしてそれをパターニングすることにより、図4(A)に示す状態を得る。
【0109】
図4(A)に示す状態において、401がガラス基板、402が下地膜、403が結晶性珪素膜で構成された半導体層である。ここで下地膜402は酸化窒化珪素膜を用いることが好ましい。
【0110】
図4(A)に示す状態を得たら、ゲイト絶縁膜を構成する酸化窒化珪素膜404を1000Åの厚さに成膜する。成膜方法は、酸素とシランとN 2 Oとの混合ガスを用いたプラズマCVD法、またはTEOSとN 2 Oとの混合ガスを用いたプラズマCVD法を用いる。
【0111】
なおゲイト絶縁膜としては、通常利用されている酸化珪素膜を用いることもできる。
【0112】
ゲイト絶縁膜として機能する酸化窒化珪素膜404を成膜したら、後にゲイト電極として機能する図示しないアルミニウム膜をスパッタ法で成膜する。このアルミニウム膜中には、スカンジウムを0.2重量%含有させる。
【0113】
アルミニウム膜を成膜したら、図示しない緻密な陽極酸化膜を形成する。この陽極酸化膜は、3%の酒石酸を含んだエチレングルコール溶液を電解溶液として行う。即ち、この電解溶液中において、アルミニウム膜を陽極、白金を陰極として陽極酸化を行うことで、アルミニウム膜の表面に緻密な膜質を有する陽極酸化膜が形成される。
【0114】
この図示しない緻密な膜質を有する陽極酸化膜の膜厚は100Å程度とする。この陽極酸化膜が後に形成されるレジストマスクとの密着性を向上させる役割を有している。
【0115】
なお、この陽極酸化膜の膜厚は、陽極酸化時の印加電圧によって制御することができる。
【0116】
次にレジストマスク405を形成する。そしてアルミニウム膜を406で示されるパターンにパターニングする。
【0117】
ここで再度の陽極酸化を行う。ここでは、3%のシュウ酸水溶液を電解溶液として用いる。この電解溶液中において、アルミニウムのパターン406を陽極とした陽極酸化を行うことにより、407で示される多孔質状の陽極酸化膜が形成される。
【0118】
この工程においては、上部に密着性の高いレジストマスク405が存在する関係で、アルミニウムパターン406の側面に選択的に陽極酸化膜407が形成される。
【0119】
この陽極酸化膜407は、その膜厚を数μmまで成長させることができる。ここでは、その膜厚を6000Åとする。なお、その成長距離は陽極酸化時間によって制御することができる。
【0120】
こうして図4(B)に示す状態を得る。そして再度の緻密な陽極酸化膜の形成を行う。即ち、前述した3%の酒石酸を含んだエチレングルコール溶液を電解溶液として用いた陽極酸化を再び行う。すると、多孔質状の陽極酸化膜407中に電解溶液が進入するために、アルミニウムでなるパターン406の表面が酸化され、408で示されるように緻密な膜質を有する陽極酸化膜が形成される。(図4(C))
【0121】
図4(C)に示す状態において、最初の不純物イオンの注入を行う。この工程は、レジストマスク405を除去してから行ってもよい。
【0122】
この不純物イオンの注入によって、ソース領域409とドレイン領域411が形成される。また領域410には不純物イオンが注入されない。
【0123】
次に酢酸と硝酸とリン酸とを混合した混酸を用いて多孔質状の陽極酸化膜407を除去する。こうして図4(D)に示す状態を得る。
【0124】
図4(D)に示す状態を得たら、再度不純物イオンの注入を行う。この不純物イオンは最初の不純物イオンの注入条件よりライトドーピングの条件で行う。
【0125】
この工程において、ライトドープ領域412と413が形成される。そして414で示されるチャネル形成領域が形成される。(図4(D))
【0126】
そしてレーザー光または強光の照射を行うことにより、不純物イオンが注入された領域の活性化を行う。こうして、ソース領域409、チャネル形成領域414、ドレイン領域411、低濃度不純物領域412と413が自己整合的に形成される。
【0127】
ここで、413で示されるのが、LDD(ライトドープドレイン)領域と称される領域である。(図4(D))
【0128】
次に層間絶縁膜415として酸化珪素膜、または窒化珪素膜、またはその積層膜を形成する。層間絶縁膜415としては、酸化珪素膜または窒化珪素膜上に樹脂材料でなる層を形成して構成してもよい。
【0129】
そしてコンタクトホールの形成を行い、ソース電極416とドレイン電極417の形成を行う。こうして図4(E)に示す薄膜トランジスタが完成する。
【0130】
〔実施例6〕
本実施例は、Nチャネル型の薄膜トランジスタとPチャネル型の薄膜トランジスタとを相補型に構成した例に関する。
【0131】
本実施例に示す構成は、例えば、絶縁表面上に集積化された各種薄膜集積回路に利用することができる。また、例えばアクティブマトリクス型の液晶表示装置の周辺駆動回路に利用することができる。
【0132】
まず図5(A)に示すようにガラス基板501上に下地膜502として酸化珪素膜または酸化窒化珪素膜を成膜する。好ましくは酸化窒化珪素膜を用いることがよい。
【0133】
さらに図示しない非晶質珪素膜をプラズマCVD法または減圧熱CVD法でもって成膜する。さらに実施例1または実施例2に示した方法により、この非晶質珪素膜を結晶性珪素膜に変成する。
【0134】
そして得られた結晶性珪素膜をパターニングして、半導体層503と504を得る。こうして図5(A)に示す状態を得る。
【0135】
さらにゲイト絶縁膜を構成する酸化窒化珪素膜505を成膜する。ここで、基板として石英を用いるならば、前述の熱酸化法を用いることが好ましい。(図5(A))
【0136】
そして後にゲイト電極を構成するための図示しないアルミニウム膜を4000Åの厚さに成膜する。アルミニウム膜以外には、陽極酸化可能な金属(例えばタンタル)を利用することができる。
【0137】
アルミニウム膜を形成したら、前述した方法により、その表面に極薄い緻密な陽極酸化膜を形成する。
【0138】
次にアルミニウム膜上に図示しないレジストマスクを配置し、アルミニウム膜のパターニングして、パターン506、507を形成する。そして、得られたアルミニウムパターン506、507を陽極として陽極酸化を行い、多孔質状の陽極酸化膜508と509を形成する。この多孔質状の陽極酸化膜508、509の膜厚は5000Åとする。
【0139】
さらに再度緻密な陽極酸化膜を形成する条件で陽極酸化を行い、緻密な陽極酸化膜510と511を形成する。ここで緻密な陽極酸化膜510と511の膜厚は800Åとする。こうして図5(B)に示す状態を得る。
【0140】
さらに露呈した部分の酸化珪素膜505をドライエッチングによって除去し、図5(C)に示すようなゲイト絶縁膜512、513を得る。
【0141】
次に、酢酸と硝酸とリン酸を混合した混酸を用いて、図5(D)に示すように多孔質状の陽極酸化膜508と509を除去する。
【0142】
ここで、交互にレジストマスクを配置して、左側の半導体層503にPイオンが、右側の半導体層504にBイオンが注入されるようにする。
【0143】
この不純物イオンの注入によって、高濃度のN型を有するソース領域514とドレイン領域517が自己整合的に形成される。
【0144】
また、低濃度にPイオンがドープされた弱いN型を有する領域515が同時に形成される。また、チャネル形成領域516が同時に形成される。
【0145】
515で示される弱いN型を有する領域が形成されるのは、ゲイト絶縁膜512が存在するからである。即ち、ゲイト絶縁膜512を通過するPイオンのうち、その一部はゲイト絶縁膜512によって遮蔽されるからである。
【0146】
また同様な原理により、強いP型を有するソース領域521とドレイン領域518が自己整合的に形成される。また、低濃度不純物領域520が同時に形成される。また、チャネル形成領域519が同時に形成される。
【0147】
なお、緻密な陽極酸化膜510と511の膜厚が2000Åというように厚い場合には、その厚さでチャネル形成領域516、519に接してオフセットゲイト領域を形成することができる。
【0148】
本実施例の場合は、緻密な陽極酸化膜510と511の膜厚が1000Å以下と薄いので、その存在は無視することができる。
【0149】
そして、レーザー光または強光の照射を行い、不純物イオンが注入された領域のアニールを行う。
【0150】
そして図5(E)に示すように層間絶縁膜として窒化珪素膜522と酸化珪素膜523を成膜する。それぞれの膜厚は1000Åとする。なお、酸化珪素膜523は成膜しなくてもよい。
【0151】
ここで、窒化珪素膜522によって、薄膜トランジスタが覆われることになる。窒化珪素膜は緻密であり、また界面特性がよいので、このような構成とすることで、薄膜トランジスタの信頼性を高めることができる。
【0152】
さらに樹脂材料でなる層間絶縁膜524をスピンコート法を用いて形成する。ここでは、層間絶縁膜524の厚さは最小の部分で1μmとする。(図5(E))
【0153】
そしてコンタクトホールの形成を行い、左側のNチャネル型の薄膜トランジスタのソース電極525とドレイン電極526を形成する。また同時に右側の薄膜トランジスタのドレイン電極526とソース電極527を形成する。ここで、電極526は2つの薄膜トランジスタ共通に配置されたものとなる。
【0154】
こうして、相補型に構成されたCMOS構造を有する薄膜トランジスタ回路を構成することができる。
【0155】
本実施例に示す構成においては、薄膜トランジスタを窒化膜で覆い、さらに樹脂材料によって覆った構成が得られる。この構成は、可動イオンや水分の侵入しにくい耐久性の高いものとすることができる。
【0156】
〔実施例7〕
本実施例は、実施例1または実施例2で得た結晶性珪素膜に対して、さらにレーザー光の照射を行うことにより、単結晶または実質的に単結晶と見なせる領域を形成する構成に関する。
【0157】
まず実施例1に示したようにニッケル元素の作用を利用して結晶性珪素膜を得る。そして、その膜に対してエキシマレーザー(例えばKrFエキシマレーザー)を照射して、さらにその結晶性を助長させる。
【0158】
このような方法で結晶化を大きく助長させた膜は、ESRで計測した電子スピン密度が3×10 17 個cm -3 以下であり、またSIMSで計測した最低値として当該ニッケル元素濃度を3×10 17 cm -3 以下で有し、さらに単結晶と見なすことができる領域を有するものとなる。
【0159】
この領域には、実質的に結晶粒界が存在しておらず、単結晶珪素ウエハーに匹敵する高い電気的な特性を得ることができる。
【0160】
またこの単結晶と見なせる領域は、水素を5原子%以下〜1×10 15 cm -3 程度含んでいる。この値は、SIMS(2次イオン分析方法)による計測より明らかにされる。
【0161】
このような単結晶または単結晶と見なせる領域を利用して薄膜トランジスタを作製することで、単結晶ウエハーを利用して作製したMOS型トランジスタに匹敵するものを得ることができる。
【0162】
〔実施例8〕
本実施例は、図3〜5で示したような薄膜トランジスタの作製工程において、ゲイト絶縁膜の作製を熱CVD法で成膜した場合の例を示す。熱CVD法でゲイト絶縁膜を形成する場合は、高温で加熱することが必要とされるので、基板として石英を用いることが望ましい。
【0163】
ここでは、HClを体積比率で3%含んだ酸素ガスを利用して、850℃の減圧熱CVD法により、ゲイト絶縁膜を形成する例を示す。このような方法で得られたゲイト絶縁膜は、活性層中に存在する金属元素の進入によって、その電気的な特性が変化しにくいものとすることができる。
【0164】
〔実施例9〕
本実施例は、実施例1に示す工程において、図1(A)に示す下地膜102の表面に直接ニッケル元素を導入する例を示す。この場合、ニッケル元素は非晶質珪素膜103の下面に接して保持されることになる。
【0165】
【発明の効果】
本明細書で開示する発明を利用することにより、珪素の結晶化を助長する金属元素を利用して得られた結晶性珪素膜における金属の濃度元素の濃度を減少させる技術を提供することができる。
【0166】
またこの技術を利用し、より信頼性が高く、性能の優れた薄膜半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 結晶性珪素膜を得る工程を示す図。
【図2】 結晶性珪素膜を得る工程を示す図。
【図3】 薄膜トランジスタを作製する工程を示す図。
【図4】 薄膜トランジスタを作製する工程を示す図。
【図5】 薄膜トランジスタを作製する工程を示す図。
【符号の説明】
101 ガラス基板または石英基板
102 下地膜(酸化珪素膜または酸化窒化珪素膜)
103 非晶質珪素膜
104 ニッケルを含んだ溶液の水膜
105 結晶性珪素膜
201 ガラス基板または石英基板
202 下地膜(酸化珪素膜または酸化窒化珪素膜)
203 非晶質珪素膜
204 酸化珪素膜でなるマスク
205 開口部
206 接して保持されたニッケル
207 基板に平行な方向への結晶成長の方向
208 珪素膜
209 パターニングされた珪素膜
Claims (6)
- 絶縁表面上に非晶質珪素膜を形成し、
前記非晶質珪素膜に珪素の結晶化を助長する金属元素を導入し、
前記非晶質珪素膜に第一の加熱処理を行うことによって結晶性珪素膜を形成し、
体積含有率で0.3〜10%のHFまたは1〜20%のHBrを含む雰囲気中で前記結晶性珪素膜に第二の加熱処理を行うことを特徴とする半導体装置の作製方法。 - 絶縁表面上に非晶質珪素膜を形成し、
前記非晶質珪素膜に珪素の結晶化を助長する金属元素を導入し、
前記非晶質珪素膜に第一の加熱処理を行うことによって結晶性珪素膜を形成し、
体積含有率で0.3〜10%のHFまたは1〜20%のHBrと、20〜50%の酸素とを含む雰囲気中で前記結晶性珪素膜に第二の加熱処理を行うことを特徴とする半導体装置の作製方法。 - 絶縁表面上に非晶質珪素膜を形成し、
前記非晶質珪素膜に珪素の結晶化を助長する金属元素を導入し、
前記非晶質珪素膜に第一の加熱処理を行うことによって結晶性珪素膜を形成し、
体積含有率で0.3〜10%のHFまたは1〜20%のHBrを含む雰囲気中で前記結晶性珪素膜に第二の加熱処理を行い、
前記結晶性珪素膜にエキシマレーザー光を照射することを特徴とする半導体装置の作製方法。 - 絶縁表面上に非晶質珪素膜を形成し、
前記非晶質珪素膜に珪素の結晶化を助長する金属元素を導入し、
前記非晶質珪素膜に第一の加熱処理を行うことによって結晶性珪素膜を形成し、
体積含有率で0.3〜10%のHFまたは1〜20%のHBrと、20〜50%の酸素とを含む雰囲気中で前記結晶性珪素膜に第二の加熱処理を行い、
前記結晶性珪素膜にエキシマレーザー光を照射することを特徴とする半導体装置の作製方法。 - 請求項3または4において、前記エキシマレーザー光の照射後、前記結晶性珪素膜は3×1017cm−3以下の濃度の金属元素を含むことを特徴とする半導体装置の作製方法。
- 請求項1乃至5のいずれか一において、前記第一の加熱処理及び前記第二の加熱処理を同じ手法で行うことを特徴とする半導体装置の作製方法。
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