JP4067625B2 - 脂肪酸アミド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な脂肪酸アミド及びその製造法、並びに特定の脂肪酸アミドからなる増泡剤又はそれを含有する泡立ちや乳化安定性に優れた液体組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般にシャンプー、身体洗浄剤等では豊かな泡立ちが要求され、主基剤となる界面活性剤に対して泡安定剤として作用する増泡剤が配合されている。一般に増泡剤としては脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪族ジメチルアミンオキサイド、脂肪族アルコール等が用いられているが、更なる性能の向上を目指す場合、現在使用されている増泡剤では、特に油汚れの存在下において、その性能が十分であるとは言い難い。
【0003】
また、一般に化粧料においては、配合成分を均一に乳化又は可溶化させるため脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、しょ糖脂肪酸エステル、脂肪族ポリオキシアルキルエーテル等が用いられているが、これらの乳化剤もしくは可溶化剤は、その乳化力、可溶化力が必ずしも満足できるものではない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
かかる状況において本発明者は、特定のアルコキシ基を有する脂肪酸アミドが優れた泡安定化能を有すると共に乳化剤、可溶化剤としても優れた性能を有していることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、一般式(1)で表される脂肪酸アミド及びその製造方法、並びに一般式(1)又は(2)で表される脂肪酸アミドからなる増泡剤及びそれを含有する液体組成物を提供するものである。
【0005】
【化4】
Figure 0004067625
【0006】
〔式中、R1は炭素数7〜21の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、R2は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、R3は水素原子、炭素数1〜21の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、ヒドロキシル基もしくはアルコキシル基を含む炭素数1〜21の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、あるいは−(AO)n-H で示される基(ここでA はエチレン基又はプロピレン基、nは1〜10の数を示し、n個のA は同一でも異なっていてもよい)を示す。〕
【0007】
【化5】
Figure 0004067625
【0008】
〔式中、R1及びR2は前記と同じ。R4は水素原子、炭素数1〜21の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、-CH2CH(OH)CH2OR2で示される基を除く2つ以下のヒドロキシル基もしくはアルコキシル基を含む炭素数1〜21の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、あるいは−(AO)n-H で示される基(ここでA 及びnは前記と同じ)を示す。〕
【0009】
【発明の実施の形態】
上記一般式(1)又は(2)において、R1は、本化合物を増泡剤等の目的で洗浄剤に用いる場合はC11が40重量%以上であるのが好ましく、その際R2はメチル、エチルが好ましく、より好ましくはメチル、R3及びR4はヒドロキシアルキル、メトキシアルキルが好ましく、より好ましくはヒドロキシエチル、メトキシエチルである。更に、本化合物を乳化剤として用いる場合は、R1はC14以上が好ましく、より好ましくはC16以上であり、その際R2はメチル、エチルが好ましく、より好ましくはメチル、R3及びR4はヒドロキシアルキル、メトキシアルキルが好ましく、より好ましくはヒドロキシエチル、メトキシエチルである。
【0010】
本発明化合物の製造法の一例を挙げれば次の通りである。
即ち、一般式(1)で表される脂肪酸アミドは、一般式(3)で表されるアミンと、一般式(4)で表される脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステルを反応させることにより得られる。
また、一般式(2)で表される脂肪酸アミドは、一般式(5)で表されるアミンと、一般式(4)で表される脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステルを反応させることにより得られる。
【0011】
【化6】
Figure 0004067625
【0012】
〔式中、R1, R2, R3及びR4は前記と同じ。R5は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。〕
ここで使用される一般式(4)で表される脂肪酸もしくは脂肪酸低級アルキルエステルとしては、カプリル酸、カプリン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸及びそれらのメチル、エチル、イソプロピルエステル等が挙げられ、それらの混合物も用いることができる。
【0013】
また一般式(3)で表されるアミンとしては、3−メトキシ−2−ヒドロキシ−プロピルアミン、N−ヒドロキシエチル−3−メトキシ−2−ヒドロキシ−プロピルアミン、N−メトキシエチル−3−メトキシ−2−ヒドロキシ−プロピルアミン、N−(3−メトキシ−2−ヒドロキシ−プロピル)−ジグリコールアミン等が挙げられ、一般式(5)で表されるアミンとしては、メトキシエチルアミン、N−ヒドロキシエチル−メトキシエチルアミン、N−ヒドロキシイソプロピル−メトキシエチルアミン、N−メトキシエチル−ジグリコールアミン等が挙げられる。
【0014】
本発明化合物のアミド化の際には触媒を用いずに行うこともでき、必要であればナトリウムメチラート等のアルカリ触媒、酸触媒、金属触媒が使用できる。その使用量は、脂肪酸もしくは脂肪酸低級アルキルエステルに対して0.001 〜5.0 重量%が好ましい。
【0015】
反応温度は80〜200 ℃、好ましくは90〜180 ℃であり、反応時間は12時間までで十分である。なお副生する水もしくは低級アルコールを留去するために、窒素等の不活性ガスにより留去するか反応圧力を0.013 〜101kPa(0.1〜760mmHg)、好ましくは4.0 〜6.7kPa (30〜50mmHg) で行うこともできる。脂肪酸もしくは脂肪酸低級アルキルエステルとアミン類のモル比は1:2〜1:0.5 が好ましい。
【0016】
上記反応式で表される反応はほぼ定量的に進行するため、反応終了物をそのまま配合に用いることもできるが、必要によっては有機溶剤による再結晶や抽出等の方法により、未反応の脂肪酸、脂肪酸低級アルキルエステル、アミン類もしくは反応時に生成するその他の副生物を除去する精製を行うことも可能である。
【0017】
一般式(1)で表される脂肪酸アミドは新規化合物であり、この脂肪酸アミド又は一般式(2)で表される脂肪酸アミドは優れた泡安定化能を有し、シャンプー、身体洗浄剤、石鹸、食器用洗浄剤等の泡立ちを長持ちさせることを目的とする増泡剤として使用することができる。本発明の液体組成物中の増泡剤の配合量は、洗浄剤中の主活性剤成分に対し1〜50重量%が好ましく、5〜30重量%が更に好ましい。
【0018】
洗浄剤の主洗浄活性成分としては、アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性界面活性剤の1種以上が使用可能である。アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホネート、アルキルリン酸もしくはアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、スルホコハク酸エステル系界面活性剤等が用いられ、またカチオン性界面活性剤としてはアルキルアミン塩、アルキルアンモニウム塩等が用いられ、両性界面活性剤としてはベタイン系又はイミダゾリン系両性界面活性剤等が用いられ、非イオン性界面活性剤としてはポリオキシアルキレンアルキルエーテル、又はアルキルポリグルコシド等の糖系界面活性剤が用いられる。特に好適なのはアルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、スルホコハク酸エステル系界面活性剤、アルキルリン酸もしくはアルキルエーテルリン酸塩及びイミダゾリン系両性界面活性剤である。
【0019】
また、一般式(1)又は(2)で表される脂肪酸アミドは乳化能、可溶化能にも優れていることから、化粧水、乳液、クリーム、美容液等の化粧料の乳化剤もしくは可溶化剤としても使用することができる。化粧料中の脂肪酸アミドは0.1 〜90重量%の範囲で必要に応じ配合することができる。
【0020】
更に、本発明の液体組成物には、高級アルコール、シリコーン等の油成分、多価アルコールなどの保湿成分、種々の薬効成分、防腐剤、殺菌剤、金属封鎖剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、香料及び色素等を適宜配合することができる。
【0021】
【発明の効果】
一般式(1)又は(2)で表される脂肪酸アミドは優れた泡安定化能を有し、また乳化能、可溶化能にも優れることから、洗浄剤、化粧料等の各分野において増泡剤又は乳化剤あるいは可溶化剤として有用である。更に、これらの化合物を配合することにより泡立ちに優れた洗浄剤や、乳化安定性等に優れる化粧料の製造が可能である。
【0022】
【実施例】
以下の例中の%は特記しない限り重量基準である。
【0023】
製造例1
メトキシエチルアミン 751.1g(10mol)に水 250gを加え、エチレンクロルヒドリン 402.6g(5mol)を80℃以下の温度で1時間かけて滴下した後、90℃で1時間熟成した。48%NaOH水溶液 458.3g(5.5mol)を30分かけて滴下した後、減圧蒸留し、98〜101 ℃(0.33kPa) のフラクション 370gを得た。得られたN−メトキシエチルモノエタノールアミン 300g(2.5mol)とラウリン酸メチル 445.8g(2.1mol)を混合し、80℃に加熱した。これに28%ナトリウムメチラートメタノール溶液 4.5g(ラウリン酸メチルに対して1%)を添加し、95℃に昇温した。95℃を保ったまま徐々に減圧し、4.0kPaで3時間熟成を行い、脂肪酸アミド634.5 gを得た(収率99.8%)。
油脂分析値、IRにより得られた化合物が一般式(2)でR1CO- がラウリン酸残基、R2がメチル基、R4がヒドロキシエチル基の化合物であることを確認した。
【0024】
Figure 0004067625
製造例2
N−ヒドロキシエチル−3−メトキシ−2−ヒドロキシ−プロピルアミン163.9g(1.1mol)とラウリン酸メチル 214.4g(1mol)を混合し、80℃に加熱する。これに28%ナトリウムメチラートメタノール溶液2g(ラウリン酸メチルに対して1%)を添加し、95℃に昇温した。95℃を保ったまま徐々に減圧し、4.0kPaで5時間熟成を行い、脂肪酸アミド 330.4gを得た(収率98.8%)。
油脂分析値、IRにより得られた化合物が一般式(1)でR1CO- がラウリン酸残基、R2がメチル基、R3がヒドロキシエチル基の化合物であることを確認した。
【0025】
Figure 0004067625
製造例3
N−メトキシエチル−3−メトキシ−2−ヒドロキシ−プロピルアミン179.3 g(1.1mol)とラウリン酸 200g(1mol)を混合し、窒素をバブリングしながら徐々に180 ℃に加熱した。180 ℃を保ったまま5時間熟成し、その後、徐々に減圧して1.33kPa で1時間過剰のアミンを減圧留去し、脂肪酸アミド 361.0gを得た(収率100 %)。
油脂分析値、IRにより得られた化合物が一般式(1)でR1CO- がラウリン酸残基、R2がメチル基、R3がメトキシエチル基の化合物であることを確認した。
【0026】
Figure 0004067625
製造例4
N−(3−メトキシ−2−ヒドロキシ−プロピル)−ジグリコールアミン195.0g(1.01mol) とオレイン酸メチル 296.0g(1mol)を混合し80℃に加熱した。これに28%ナトリウムメチラートメタノール溶液6g(オレイン酸メチルに対して2%)を添加し95℃に昇温した。95℃を保ったまま徐々に減圧し、1.33kPa で2時間熟成を行い、脂肪酸アミド 455.8gを得た(収率99.7%)。
油脂分析値、IRにより得られた化合物が一般式(1)でR1CO- がオレイン酸残基、R2がメチル基、R3がヒドロキシエトキシエチル基の化合物であることを確認した。
【0027】
Figure 0004067625
製造例5
ジグリコールアミン 525.9g(5.0mol)に水1000gを加え、1−クロロエチルメチルエーテル94.5g(1mol)を60℃以下の温度で1時間かけて滴下した後、80℃で1時間熟成した。48%NaOH水溶液91.7g(1.1mol)を30分かけて滴下した後、減圧蒸留し、177 〜182 ℃(1.07kPa) のフラクション75.6gを得た。得られたN−メトキシエチル−ジグリコールアミン75.6g(0.43mol) とイソステアリン酸メチル 116.5g(0.39mol) を混合し80℃に加熱した。これに28%ナトリウムメチラートメタノール溶液 1.2g(イソステアリン酸メチルに対して1%)を添加し95℃に昇温した。95℃を保ったまま徐々に減圧し、4.0kPaで3時間熟成を行った。得られた反応物をエーテルに溶解し、10%食塩水で水層が中性になるまで洗浄し、エーテル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、エーテルを留去、残渣を乾燥して、脂肪酸アミド 173.9gを得た(収率86%)。
油脂分析値、IRにより得られた化合物が一般式(2)でR1CO- がイソステアリン酸残基、R2がメチル基、R4がヒドロキシエトキシエチル基の化合物であることを確認した。
【0028】
Figure 0004067625
実施例1[泡立ち試験]
表1に示す各種活性剤成分及び増泡剤を、表1に示す割合で4度硬水に溶解させた溶液25mlと、溶解させたラノリン 0.1gを250ml 円筒状の試験管に入れ、室温で20回浸とうした際の泡の量を測定した。結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0004067625
【0030】
表1から明らかなように、本発明に係わる脂肪酸アミドは起泡力に優れていることが判る。
【0031】
実施例2[乳化力試験]
表2に示す各種活性剤あるいは乳化剤を、表2に示す割合で混合し、この溶液を50mlのスクリュー管に入れ、これに2−エチルヘキサン酸トリグリセリドもしくは加熱溶解したセタノールを表2に示す量加えて、室温で1分間激しく浸とうさせたものを30分静置した際の乳化状態を観察した。結果を表2に示す。
【0032】
【表2】
Figure 0004067625
【0033】
表2から明らかなように、本発明の脂肪酸アミドは乳化、可溶化能に優れていることが判る。
【0034】
以下、本発明の脂肪酸アミドを増泡剤、乳化剤もしくは可溶化剤として添加した洗浄剤又は化粧料の処方例を示す。
【0035】
Figure 0004067625
上記(1) 〜(7) を均一に溶解し、クエン酸によりpHを6.5 にして、シャンプー組成物を調製した。このシャンプー組成物は泡立ちが良好であった。
【0036】
処方例2(食器用洗浄剤組成物)
(1) ポリオキシエチレン(EO=3) ラウリル硫酸ナトリウム 12%
(2) 製造例2の化合物 3%
(3) 塩化マグネシウム 1%
(4) エタノール 3%
(5) 香料・色素 適量
(6) 精製水 バランス
上記(1) 〜(6) を均一に溶解して、食器用洗浄剤組成物を調製した。この食器用洗浄剤組成物は油汚れの存在下においても泡立ちが良好であった。
【0037】
処方例3(乳液)
(1) セタノール 1%
(2) 製造例4の化合物 1%
(3) グリセリン 10%
(4) アロエ抽出液 1%
(5) 香料・色素・防腐剤 適量
(6) 精製水 バランス
上記(1) 〜(6) を均一に溶解して、クエン酸によりpHを5.5 にして、乳液を調製した。この乳液は40℃、3ケ月の保存後でも分層等は起こらず、安定な溶液として存在した。
【0038】
処方例4(クリーム状リンス)
(1) セタノール 3%
(2) 製造例5の化合物 1%
(3) ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド 3%
(4) パルミチン酸プロピル 0.5%
(5) 香料・色素・防腐剤 適量
(6) 精製水 バランス
上記(1) 〜(6) を混合し、クエン酸によりpHを5.8 にした後、乳化させて、クリーム状リンスを調製した。このクリーム状リンスは40℃、3ケ月の保存後でも分層等は起こらず、安定な乳化液として存在した。

Claims (2)

  1. 一般式(1)で表される脂肪酸アミド又は一般式(2)で表される脂肪酸アミドからなる増泡剤
    Figure 0004067625
    〔式中、R1は炭素数7〜21の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、R2は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、R 3 は炭素数1〜 21 のヒドロキシルアルキル基、炭素数1〜 21 のメトキシアルキル基もしくはヒドロキシエトキシエチル基を示す。〕
    Figure 0004067625
    〔式中、 R 1 及び R 2 は前記と同じ。 R 4 は炭素数1〜 21 のヒドロキシルアルキル基、炭素数1〜 21 のメトキシアルキル基もしくはヒドロキシエトキシエチル基を示す。〕
  2. 請求項1記載の一般式(1)で表される脂肪酸アミド又は一般式(2)で表される脂肪酸アミドを含有することを特徴とする洗浄剤又は化粧料
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