JP4067401B2 - 信号伝送システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル伝送装置の伝送状態を可視化する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディジタル伝送装置の変調方式として、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)方式や、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式が用いられ始めている。
このディジタル伝送装置の全体構成を図8に示し、以下、詳細に説明をする。ここで伝送されるデータは、映像や音声信号をMPEG処理で圧縮したトランスポートストリーム(以後TSと呼ぶ)等である。
数年前は、アナログFMによる変調方法で、映像や音声信号を伝送していた。アナログFMは、受信電界レベルによって映像や音声信号のS/Nが変化する。伝送路の状況によって受信電界レベルの変化する、マラソン中継等の移動体伝送においては、中継された映像信号が、ノイズや乱れの多い品位の低い信号となり易かった。
デジタル伝送では、情報をデジタル化し、かつ、エラー訂正処理を併用する。そのため、受信電界レベルが変化する状況でも、エラー訂正が働く範囲内であれば、同一品位の映像を伝送できる。 しかしながら、受信電界レベルが限界値を下回る状態にまで低下するとエラー訂正不能となり、画像伝送も不可能となる。この限界は、後述の識別判定処理の信号状態により、ある程度把握可能である。
例えば、伝送容量が60Mbpsと大きく、64QAMモードであれば、限界C/Nは27dB程度であり、受信電界レベルの限界は、約−70dBm以上が必要になる。伝送容量が35Mbpsと小さく、16QAM2モードであれば、限界C/Nは18dB程度であり、受信電界レベルの限界は約−80dBm以上で映像を伝送できる。
【0003】
図8において、映像信号入力は、MPEGエンコーダ1に入力され圧縮データTSとなる。圧縮データTSは、変調モードを決めるマッピング回路2により、2次元のデータDmとなる。
データDmは、変調部(MOD)3により変調され、例えば、130MHz帯の中間周波信号であるDmodとなり、送信高周波部(Th)4−1へ送られる。
送信高周波部(Th)4−1は、中間周波信号Dmodをマイクロ波帯の信号に周波数変換し、電力増幅してアンテナ4−2から送信する。
伝送路5を経由し受信用アンテナ6−1に届いた電波は、受信高周波部(Rh)6−2に入力される。 受信高周波部(Rh)6−2は、微弱な信号を増幅して、130MHz帯の中間周波信号Ddemに変換する。
このDdem信号は、復調部(DEM)7により、時間タイミング再生や周波数再生が行われ、2次元のデータDdとなる。データDdは識別判定器8に送られ再生圧縮データTSrに戻される。再生圧縮データTSrは、MPEGデコーダ9に入力され、映像信号に伸張される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで伝送状態や同期再生状態の良否を把握するため、通常は復調部(DEM)7の出力Dd(I,Q)を、オシロスコープ10’のX−Y入力に接続して、観測する。伝送路の状態が良ければ、受信信号の各マッピング点(信号点)は、図9のように小さく纏まる。 しかし、伝送状態が悪いと、各マッピング点は図10のように大きく散らばる。
伝送路5の状態は、常に一定ではなく、伝送路途中にある、川や海または水田の水位等によって時々刻々変化する。従って、デジタル伝送の回線状況の変化を観測できるよう長時間保存することは、オシロスコープでは困難である。
また、オシロスコープのX軸の周波数応答は通常1MHz未満であり、高速な信号点変化には追従できないため、通常は観測用に専用の間引きした信号を用意しなければならない。
以上説明したようにオシロスコープを用いた伝送状態や、同期再生状態の良否観測方法では、記録保存に難があり、表示の応答速度等に限界がある。
本発明はこれらの欠点を除去し、デジタル伝送状態の表示を、安定かつ最低限の信号接続数で行うことのできる装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、デジタル変調方式により変調された伝送信号を送受信する信号伝送システムにおいて、受信装置側に、伝送信号を受信復調した信号から当該伝送信号の伝送状態を検出し、映像化して2次元表示する伝送状態表示装置を具備した信号伝送システムである。
また、伝送状態表示装置は、受信復調した信号の信号点配置状態を検出し、映像化して2次元表示するものである。
また、伝送状態表示装置は、受信復調した信号の変化の有無を検知する手段と、該検知手段で変化を検知した期間は伝送状態表示のための信号収集処理を停止し、変化を検知しない期間に収集した信号から信号点配置状態を検出する手段と、映像化して2次元表示する手段を有するものである。
また、信号変化検知手段は、信号変化を検知した期間と、信号収集期間が一致した場合、当該信号収集タイミングを変更する手段を有するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図1に、本発明の受信状態を2次元表示する表示部の一実施例の構成を示し、詳細に説明する。 ここで、伝送装置全体の構成は、図8と同様であり、図8のオシロスコープ10'の部分に本発明のコンスタレーション(信号点配置)表示部10を接続したものである。
復調部(DEM)7からのDd信号であるI、Qデータは、A/D変換器11iと11qに入力される。A/D変換器11iと11qの出力は、書き込み部13と変化点検出器12iと12qに入力される。 変化点検出器12iと12qの出力は、書き込み部13に入力される。
書き込み部13のアドレス出力、データ出力、書き込みイネーブル(WE)出力は、コントロール部16に入力される。 初期化部14のアドレス出力、データ出力、WE出力は、コントロール部16に入力される。読出し表示部15のアドレス出力、読出しイネーブル(RE)出力は、コントロール部16に入力される。
コントロール部16は、入力される映像信号に基づき、書き込み部13、初期化部14、読出し部15に、動作を許可するイネーブル(EN)信号を出力する。また書き込み部13、初期化部14、読出し部15のアドレス出力、データ出力、コントロール信号であるWEやREを、メモリ17aとメモリ17bに切換え選択して出力する。更にメモリから読出したデータを加算器16bに出力する。
【0007】
図4に書き込み部13の構成を示す。 I信号とQ信号は、合成器13−1により、表示空間の2次元アドレスに変換される。なお、WE発生器13−2からのS1パルスによって、その変換結果はホールドされる。 ゲート13−3は、I変化点とQ変化点の論理和をとったパルスh1(図3の▲2▼に対応)を作成する。I信号とQ信号の変化点タイミングを示すパルスh1は、ゲート13−4とゲート13−5に接続される。 ゲート13−4は、WEパルスの源であり、パルスh1がWE発生器13−2からのW1パルス(図3の▲3▼に対応)の発生タイミングと一致している場合には、WEをOFFする。 ゲート13−5は、同様にWEパルスの源であり、パルスh1がW1パルスと一致している場合には、WE発生のタイミングを変更するため、ENを一時OFFにする。また書き込み部13はデータHを常に出力する。 結果的に、I,Qの値に応じたメモリ空間にレベル“H”のデータが書き込まれる。 WE発生器13−2は、EN入力に応じて、動作もしくは停止する。
【0008】
書き込み部13の動作を図3を用いて詳細に説明する。 受信・復調した復調部(DEM)7の出力であるI,Q値は、8サンプル周期で変化するものとする。また、I,Q値は、4,10,16,…,(6n+4)番目のサンプルパルス、即ち、6サンプル周期のタイミングで書き込み部13に取り込まれるものとする。I,Q値の変化するタイミングを“henka”で示す。
このような場合、16番目のサンプルパルスタイミングでは、“henka”とサンプルパルスのタイミングが一致してしまう。 そのため、この16番目のサンプル点で、I,Q値の取り込みを行うと、本来は図9の正規の信号点イから別の正規の信号点ロに過渡的に移動しつつある軌跡の中間点の値を取り込んでしまうことになる。このような軌跡の中間点を多数取り込むと、受信状態が良いのにもかかわらず、図10のように信号点が散乱した状態に見えてしまう。
そこで、本発明では、“henka”とサンプルパルスのタイミングが一致するサンプル点でのI,Q値の取り込みを休止する。 更に、次回のサンプルタイミングも変化点に当る確率が高いため、サンプルパルスの発生タイミングを変更する。そして、上記タイミングが一致しないサンプル点のI,Q値は、そのまま書き込み部13に取り込む。
【0009】
図5に変化点検出器12i,12qの構成を示す。 入力信号I(Q)はラッチ12−1に入力される。ラッチ12−1の出力は、ラッチ12−2と減算器12−3に入力される。ラッチ12−2の出力は、減算器12−3のもう一方に入力される。減算器12−3の出力、つまり、入力の微分信号は絶対値化器12−4に入力され、正負の成分を絶対値化する。 絶対値化器12−4の出力は判定器12−5に入力され、基準値Th以上の成分を変化分とみなして、出力される。即ち、Th以上の変化を持つ信号期間に“henka”を示すパルス(図3の(2))が出力される。
図6に初期化部14の構成を示す。アドレス発生器14−1とWE発生器14−2は、EN入力に応じて動作もしくは停止する。 アドレス発生器14−1はEN入力に対応するアドレスを出力する。WE発生器14−2はEN入力に対応するWEを出力する。またデータとしては“L”を出力する。 全体的な動作としては、EN入力に従い、アドレス発生器14−1に応じたメモリアドレス空間にデータ“L”を書き込む。 具体的には、コンスタレーションを累積した表示空間を黒とする形で初期化する。
【0010】
次に、コントロール部16の動作を、図2を用いて詳細に説明する。
まず、入力された映像信号からフレーム周期のタイミングとしてFパルスを内部で生成する。 そして、そのFパルスに応じて、2面のメモリ17a,17bに対して、表示(読出し)、消去(初期化)、コンスタレーション書き込み(書き込み)を行なう。 具体的には、メモリ17aが表示(読出し)、消去(初期化)の場合、メモリ17bはコンスタレーション書き込み(書き込み)とする。
・フレーム1のフィールド1前半:メモリ17aの偶数アドレス読出し
・フレーム1のフィールド1後半:メモリ17aの偶数アドレス消去
・フレーム1のフィールド2前半:メモリ17aの奇数アドレス読出し
・フレーム1のフィールド2後半:メモリ17aの奇数アドレス消去
・フレーム2のフィールド1:メモリ17aへI,Q信号対応アドレスに書込み
・フレーム2のフィールド2:メモリ17aへI,Q信号対応アドレスに書込み
・フレーム3のフィールド1前半:メモリ17aの偶数アドレス読出し
・フレーム3のフィールド1後半:メモリ17aの偶数アドレス消去
以後、上記動作の繰り返し。
【0011】
逆に、メモリ17bが、表示(読出し)、消去(初期化)の場合、メモリ17aはコンスタレーション書き込み(書き込み)とする。
・フレーム1のフィールド1:メモリ17bへI,Q信号対応アドレスに書込み
・フレーム1のフィールド2:メモリ17bへI,Q信号対応アドレスに書込み
・フレーム2のフィールド1前半:メモリ17bの偶数アドレス読出し
・フレーム2のフィールド1後半:メモリ17bの偶数アドレス消去
・フレーム2のフィールド2前半:メモリ17bの奇数アドレス読出し
・フレーム2のフィールド2後半:メモリ17bの奇数アドレス消去
これにより、DEM7からのI,Q信号の値は対応するメモリアドレス空間に変換され、メモリ17aもしくはメモリ17bにレベル“H”が書き込まれる。各メモリは、読出し期間において、相当するメモリアドレスは、レベル“H”が読み出される。対応しないメモリアドレスの内容は、“L”のままとなる。読出し完了後に行われる消去(初期化)は、読出しに対応するアドレス空間に、“L”を書き込むことで、マッピング点の累積内容を初期化する。
【0012】
図7に読出し表示部15の構成を示す。アドレス発生器15−1とRE発生器15−2の動作は、EN入力に応じて動作もしくは停止する。 アドレス発生器15−1は表示画面に応じたアドレスを出力する。RE発生器15−2はREを出力する。 全体的な動作としては、EN入力に従い、表示用のアドレス発生器15−1に応じたメモリアドレス空間のデータを読み出す。即ち、コンスタレーションを累積した表示空間を、表示用の走査線タイミングに応じて出力する。
読み出されたコンスタレーションの空間は、加算器16bによって、映像信号に重畳表示される。 このように、表示信号が映像信号形態であるので、VHSデッキ等を用いれば、2時間に及ぶコンスタレーションの記録も安価に行える。
【0013】
また、書き込みに関しても、帯域制限が無いため、従来のオシロスコープ等で生じるような表示が歪む等の問題も無い。
なお、前述の説明は、2次元のI,Qデータの表示についてのみで説明したが、本発明は、重畳される映像信号に、遅延プロファイルや、ビットエラー、入力電界に関連した情報、伝送装置の同期状態、MPEGコーデックの伸張状態が含まれた映像でも良い。
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、I信号とQ信号のみの接続だけで、入力信号の変化タイミングを避けた伝送状態表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における受信側の伝送状態表示部の一実施例の構成を示すブロック図
【図2】本発明の書き込み、消去、読出しの動作を説明するタイミング図
【図3】本発明の検出変化点と書き込み処理の動作を説明するタイミング図
【図4】本発明の書き込み部の一実施例の構成を示すブロック図
【図5】本発明の変化点検出部の一実施例の構成を示すブロック図
【図6】本発明の初期化部の構成一実施例の構成を示すブロック図
【図7】本発明の読出し部の構成一実施例の構成を示すブロック図
【図8】一般的なデジタル伝送装置の全体構成を示すブロック図
【図9】良好なデジタル伝送状態における、信号点形態を示す模式図
【図10】かなり不良なデジタル伝送状態における、信号点形態を示す模式図
Claims (3)
- デジタル変調方式により変調された伝送信号を送受信する信号伝送システムにおいて、受信装置側に、上記伝送信号を受信復調した信号から当該伝送信号の伝送状態を検出し、映像化して2次元表示する伝送状態表示装置を具備し、上記伝送状態表示装置は、上記受信復調した信号の変化の有無を検知する信号変化検知手段と、該信号変化検知手段で上記信号の変化を検知した期間は、伝送状態表示のための信号収集処理を停止し、上記信号変化検知手段で上記信号の変化を検知しない期間に上記信号収集処理した信号から信号点配置状態を検出する手段と、上記検出された信号点配置状態を映像化して2次元表示する手段を有することを特徴とする信号伝送システム。
- 請求項1記載の信号伝送システムにおいて、上記信号変化検知手段は、上記受信復調した信号の変化を検知した期間と、上記信号収集処理の期間が一致した場合、当該信号収集処理のタイミングを変更する手段を有することを特徴とする信号伝送システム。
- 請求項1記載の信号伝送システムにおいて、上記信号変化検知手段は、所定の閾値を有し、該閾値を越える期間を上記受信復調した信号の変化期間としたことを特徴とする信号伝送システム。
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