JP4064753B2 - 空気調和機の室内機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、室内機と室外機とから構成される空気調和機に係り、特に、室内機における室内換気機能の付加に関する。
【0002】
【従来の技術】
室内機と室外機とから構成される空気調和機が多用されている。室内機においては、本体に吸込み口および吹出し口を備え、本体内部には熱交換器および送風機などが収容される。上記熱交換器の前面にはエアーフィルタが取付けられ、本体内に吸込まれた室内空気から塵埃を捕捉するようになっている。
ところで、使用者にとって常時室内の空気調和を行なうことばかりでなく、状況によっては窓を開放することなく室内の換気を有効、かつ迅速に行いたい場合がある。
【0003】
たとえば、居間において複数人が一斉に喫煙することにより煙が充満したり、不快な臭いが篭った状態などの不快感がある一方で、窓を開放すると外部の騒音や塵埃等が侵入してしまう等の条件が考えられる。
通常では、換気扇は台所などには備えられているが、居間専用の換気扇を備えることはあまりない。したがって上記の場合は、わずかでも窓を開放するか、窓を開放せずそのまま我慢することで対応しなければならず、いずれにしても快適性が損なわれている。
【0004】
そこで、室内機本体を横に長く伸ばし、熱交換器に隣接した位置に換気ファンを備えた製品が提供されるに至った。この換気ファンと対向する室内機本体の前面部位には取込み用口が開口され、背面部位には換気口体が突設される。
上記換気口体は壁面に設けられる換気口に挿入され、換気ファンの作動により取込み用口を介して室内機本体内に取込んだ室内空気を換気口体と換気口を介して外部へ排出するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、冷房運転や除湿運転などを行うと、熱交換器は流通する室内空気から湿分を凝縮してドレン水に換える。熱交換器の下部にはドレンパンが配置されていて、ドレン水は上記ドレンパンに落下して集溜される。そして、ドレンパンに接続されるドレンホースを介して屋外へ排出される。
すなわち、上述の換気ファンを備えた室内機においては、ドレンホースを接続するための接続口体をドレンパンに設け、それとは別に本体背面部に換気口体を設けなければならない。上記ドレンパンおよび本体背面部は、室内機本体を構成する後板に一体に成形されるので、後板の構成が複雑になる。
【0006】
壁面には、ドレンホースが貫通する貫通孔および換気口体が挿入する換気口を開口する必要がある。ドレンホース用貫通孔と換気口とは互いに位置が異なっており、開口作業が面倒である。室内機本体の据付け時に、壁面の換気口に本体の換気口体を正しく合致させなければならず、施工性に難点がある。
しかも、換気ファンの駆動時に運転騒音が本体前面の換気取込み口から室内に漏れて静粛運転を妨げる。外部の騒音が壁面の換気口を介して室内機本体内に侵入し、室内に漏れて静粛運転を妨げるなどの不具合がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、本来の空気調和機能を備えることの他に、被空調室内および室内機本体内の換気機能を付加し、快適性の向上と室内機本体内の清潔度を高めるとともに、本体構成の複雑化を避け、壁面と接続ホースに対する施工性の向上を図った空気調和機の室内機を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を満足するため本発明の空気調和機の室内機は、吸込み口と吹出し口を備えた室内機本体と、この室内機本体内に収容され吸込み口と対向して配置される熱交換器と、この熱交換器の下部に配置され熱交換器から流下するドレン水を集溜しドレンホースを介して外部に排出するドレンパンと、室内機本体内に収容され吸込み口から吸込まれたあと熱交換器に流通する以前の1次側空気もしくは熱交換器を流通したあとの2次側空気を吸込み換気ホースを介して屋外へ排出する換気ユニットとを具備し、ドレンパンは、ドレンホースを接続するドレン用接続口体および換気ホースを接続する換気用接続口体を備えていて、上記換気用接続口体は、その内部に上記換気ユニットの吹出し口体が挿入され、上記ドレン用接続口体の上部で、かつこの後方に一列に並んで取付けられる。
【0009】
さらに、上記ドレン用接続口体および換気用接続口体は、互いに同一の傾斜角度をもってドレンパンに一体的に設けられる。
このような課題を解決する手段を採用することにより、本来の空気調和機能を備えることの他に、被空調室内および室内機本体内の換気機能を付加して快適性の向上と、室内機本体内のカビ等の発生を抑制して清潔度を高め、室内機本体構成の複雑化を避け、壁面と接続ホースに対する施工性の向上を図れる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面にもとづいて説明する。
図1は空気調和機を構成する室内機の外観の斜視図、図2は室内機の概略の縦断面図、図3は前面パネルを取外して室内機内部を見せた斜視図、図4は図3とはさらに熱交換器を取外した状態で、かつ斜め背面側から見た室内機の一部斜視図である。
【0011】
室内機本体1は、前面パネル2と後板3とから構成されていて、上下方向に対して幅方向が極端に長い横長状をなす。前面パネル2は、湾曲して手前側に突出し、左右両側に側面板を備えている。後板3は、横長の矩形状をなし被空調室の壁面に取付けられる。
【0012】
上記前面パネル2の前面側一部に前部吸込み口4が開口され、開閉駆動機構5に支持された可動パネル2aが嵌め込まれている。運転停止時において、可動パネル2aは前面パネル2と同一面となり前部吸込み口4を閉成するが、運転時には手前側に突出変位して前部吸込み口4を開放するよう制御される。
前面パネル2および後板3の上部に亘って上部吸込み口6が設けられる。上部吸込み口6には枠状の桟7が嵌め込まれていて、この桟によって複数の空間部に仕切られている。
【0013】
上記可動パネル2a下部には、前面パネル2の一部を構成する半透明材からなる化粧板2bが室内機本体1の幅方向に亘って設けられる。この化粧板2bの下部側には、2枚の吹出しルーバー8a,8bが並行して設けられる。
各吹出しルーバー8a,8bは、室内機本体1の前面下部に沿って設けられる吹出し口9を開閉するとともに、運転条件に応じて姿勢角度を可変し熱交換空気の吹出し方向を設定できるようになっている。
【0014】
室内機本体1内には、前側熱交換器部10Aと後側熱交換器部10Bとで略逆V字状に形成される熱交換器10が配置される。上記前側熱交換器部10Aは、前面パネル2と間隙を存してほぼ平行な湾曲状に形成され、かつ後側熱交換器部10Bは直状に形成されて上部吸込み口6と斜めに傾斜して対向する。
一方、前部吸込み口4と上部吸込み口6とに対向する室内機本体1内にエアーフィルタ11が取付けられる。このエアーフィルタ11は各吸込み口4,6と前部熱交換器部10Aと上部熱交換器部10Bとの間に介在され、開放した吹出し口9上端と前面パネル2下端の間から着脱自在に挿着される。
【0015】
上記熱交換器10の前側熱交換器部10Aの前面側で、かつ室内機本体1に対する正面視で右端部側にずれた位置に電気集塵機12が取付けられる。この電気集塵機12は、流通する空気中の塵埃に電荷を与える荷電側電極と、電荷を与えられた塵埃を引きつけて捕捉する集塵側電極とから構成される。
なお上記電気集塵機12は、通常の集塵時よりも集塵側電極との電位差が大きくなるように荷電側電極に高い高電圧を印加すると、多くのオゾンが発生するオゾン発生装置となる。このとき、周囲の空気の流れを制限するため送風機13を停止もしくは極く低速運転することで、オゾンの発生量がより大となる。
【0016】
上記熱交換器10の前後側熱交換器部10A,10Bの相互間で、かつ上記吹出し口9との間に室内送風機13が配置される。すなわち、傘状に形成される熱交換器10の内側に上記室内送風機13が位置している。
上記室内送風機13と並んで、後述する換気ユニット15が配置される。この換気ユニット15は、熱交換器10に対して室内送風機13の位置をずらせることによって形成される室内送風機13横の空間スペースに配置されている。
【0017】
上記後板3には、前ドレンパン16aと後ドレンパン16bが一体に設けられる。前側熱交換器部10Aの下端部は前ドレンパン16a上に載り、後側熱交換器部10Bの下端部は後ドレンパン16b上に載る。前後ドレンパン16a,16bの一部側壁外面は室内送風機13に近接した位置に設けられ、これらで室内送風機に対するノーズを構成している。
【0018】
前後ドレンパン16a,16bの側壁部分と吹出し口9の各辺部との間は、隔壁部材17によって連結される。この隔壁部材17で囲まれる空間が、ノーズと吹出し口9とを連通する吹出し通風路18となっている。
特に、図3および図4に示すように、前ドレンパン16aには、正面視で左側端部にドレン用接続口体50と、換気用接続口体51が前後方向に一列に並んで一体に突設される。
【0019】
なお説明すれば、上記ドレン用接続口体50が下部、換気用接続口体51が上部にあり、ドレン用接続口体50が手前側にあり、換気用接続口体51が後方にある。
各接続口体50,51は、前ドレンパン16aに対して互いに同一の傾斜角度で突出し、互いに並行である。上記ドレン用接続口体50の直径よりも換気用接続口体51の直径が大径である。
【0020】
上記後板3に、前後ドレンパン16a,16bが一体に設けられ、ドレン用・換気用各接続口体50,51は前ドレンパンに一体成形されるところから、上記後板3の成形性に何らの不具合もない。
上記ドレン用接続口体50にはドレンホース70(図3のみ示す)が接続され、このホースは屋外へ延出される。上記換気用接続口体51は、後述するように、その内部に上記換気ユニット15の吹出し口体32が挿入し、かつ換気用接続口体の外周面には換気ホース55が接続され屋外へ延出される。
【0021】
はじめに、上記換気ホース55について詳述する。
図5(A)は上記換気ホース55を分解した側面図、図5(B)は換気ホースの先端に取付けられる防虫カバーの正面図、図5(C)は防虫カバーの断面図である。
上記換気ホース55は、太径ホース56と、細径ホース57および防虫カバー58とから構成されていて、いずれも合成樹脂材を用いて成形される。
【0022】
上記太径ホース56は、図の左側端部に上記換気用接続口体51に挿入嵌着される第1の接続部60が設けられる。太径ホース56の右側端部は、細径ホース57に接続するための第2の接続部61が設けられる。
太径ホース56における第1の接続部60と第2の接続部61との間は蛇腹状に形成され、湾曲・折り曲げが自在な可撓部62となっている。この可撓部62の内径寸法は、上記第2の接続部61の外形寸法とほぼ同一に形成される。
【0023】
さらに、可撓部62の所定部位には他の部位よりも肉厚を薄くした補助連結部63が設けられている。この補助連結部63は、湾曲・折り曲げに何らの支障もないうえで、比較的容易に切断が可能である。
上記細径ホース57は、図の左側端部に太径ホース56の第2の接続部61に接続可能な口径に形成される第3の接続部64が設けられる。また、第3の接続部64は太径ホース56の第1の接続部60と同一の口径であり、細径ホース57も直接、上記換気用接続口体51に接続できる。
【0024】
細径ホース57の第3の接続部64以外の部位は全て蛇腹状の可撓部65となっていて、湾曲・折り曲げが自在である。なお、この可撓部65の直径は上記太径ホース56の可撓部62の直径よりも細く形成されていて、この先端部に上記防虫カバー58が取付けられる。
上記防虫カバー58は、基端部が円筒状に形成され、上記細径ホース57端部が挿入嵌着される第4の接続部66が設けられる。第4の接続部66以外の周部は、全体的に先細りテーパー状をなすとともに、軸方向と周方向に所定間隔を存して網目状に形成される網状体67aからなる。
【0025】
そして、この網状体67の先端部においても水平方向と垂直方向に交差する網状体67bが一体に設けられる。これら網状体67a,67bの目の粗さ(メッシュ)は、通気が可能である反面、小虫の内部への侵入を確実に阻止するよう設定されている。
以上説明した太径ホース56と細径ホース57および防虫カバー58を互いに接続して一体化したものが、上述した換気ホース55である。そして、第1の接続部60が上記換気用接続口体51に挿入嵌着される。
【0026】
図6(A)は、上記細径ホース57のみで換気用ホース55を構成した場合を示していて、第3の接続部66が換気用接続口体51に挿入嵌着される。なお、可撓部65の先端には上記防虫カバー58が設けられるが、ここでは省略している。
図6(B)は、図の中央部に示す補助連絡部63を切断し残した太径ホース56Aの補助連結部63に、図の左側部に示す新たな太径ホース56の第2の接続部61を挿入嵌着し、かつ残した太径ホース56Aの第2の接続部61には細径ホース57を挿入嵌着する状態を示している。
【0027】
この場合、先に図5(A)で説明した換気ホース55の全長よりも長い全長の換気ホース55Aとなる。さらに必要に応じて、図の左側部に示す新たな太径ホース56の補助連絡部63に沿って切断し、ここに新たな太径ホース56を接続することも可能である。
このようにして、新たな太径ホース56を継ぎ足すことにより、全長をより長くできる。逆に、補助連絡部63を切断した太径ケース56Aと細径ケース57とを組み合わせた換気ホースの構成でもよく、この場合の換気ホースの全長は図5(A)の換気ホース55と図6(A)の換気ホース57との中間となる。
【0028】
図7(A)(B)は、被空調室Rの壁面Sに据付けられた室内機本体1と、上記換気ユニット15に接続される換気ホース55と、上記壁面Sを貫通して設けられた貫通孔Hとの相互の位置関係を示している。
上述したように、室内機本体1に対する正面視で左側端部に換気ユニット15が配置されていて、換気用ホース55は同部位から延出される。これに対して上記貫通孔Hは、室内機本体1の据付け位置と壁面Sの空きスペースの条件から適宜位置が選択される。
【0029】
したがって、図7(A)に模式的に示すように、室内機本体1の正面視で右側端部裏に貫通孔Hが設けられる場合がある。このような条件では、先に図5(A)で説明した換気ホース55を用いる。
すなわち、太径ホース56の第1の接続部60を換気用接続口体51に接続し、可撓部62を90°折り曲げて細径ホース57とともに室内機本体1の背面側に沿わせる。細径ホース可撓部65の端部を折り曲げて貫通孔Hに挿入し、屋外へ延出する。この端部には防虫カバー58が取付けられる。
【0030】
また、図7(B)に模式的に示すように、室内機本体1の正面視で左側端部裏に貫通孔Hが設けられる場合がある。このような条件では、先に図6(A)で説明した換気ホース55を用いる。
ここでは太径ホース56を用いることなく、細径ホース57のみで換気ホース55を構成する。細径ホース57の第3の接続部64を換気用接続口体51に接続し、そのまま可撓部65をほぼ直状に延出し、もしくは適宜曲成して貫通孔Hを貫通し屋外へ突出させる。
【0031】
なお、図7(A)の位置からさらに右側方部位に貫通孔Hを設けることもある。この場合は、先に図6(B)で説明したような補助連結部63で切断した太径ホース56Aに他の太径ホース56を接続して全長を長くした換気ホース55Aを用いればよい。
あるいは、補助連結部63で切断した太径ホース56Aと細径ホース57との組み合わせからなる換気ホースを用いてもよく、室内機本体1の据付け位置に対して壁面Sに設けられる貫通孔Hがどのような位置にあっても、先に説明した換気ホースのいずれかを適用することができる。
【0032】
また、上記貫通孔Hは換気ホース55を挿通するばかりではなく、上記ドレン用接続口体50に接続されるドレンホースを併せて挿通してもよく、あるいは/および、室内機と室外機とを接続する冷媒配管やコード類を挿通するようにしてもよい。
つぎに、上記換気ユニット15について詳述する。
図8は換気ユニット15を断面にして示すとともに、他の構成部品に対する配置構成を説明する図であり、図9は換気ユニットを分解した斜視図である。
【0033】
上記換気ユニット15は、その一側面部を形成するユニットベース20と、他側面部を形成する送風機構30と、これらユニットベース20と送風機構30との間に介設されるダンパ40及びダンパ駆動機構45とから構成される。
上記ユニットベース20は、垂直部20aを備えるとともに、この垂直部の下端縁を除く端縁に沿って傾斜部20bが形成され、かつ傾斜部の端縁から水平方向に一体に折曲される水平部20cを備えている。
【0034】
上記垂直部20aの上部は、側面視で略三角状に突出形成されていて、上記熱交換器10を構成する前側熱交換器部10Aと後側熱交換器部10Bの傘状の組合せ形状と合致している。
上記水平部20cの端縁に沿って立上り片部kが形成され、ここに熱交換器10の端板tが位置合わせされ、かつ水平部20c上に熱交換器10を構成するフィンFが載る。水平部20c上に熱交換器10が載ることで上記傾斜部20bと対向する部位に隙間が形成される。
【0035】
上記垂直部20aの略中央部に円形状の取付用開口部21が開口され、この開口部の周面に沿うとともに、垂直部20a内面側へ折曲形成されるリブ22が設けられる。
上記垂直部20aの内面側で、上記開口部21の略半周に沿い所定間隔を存して複数(7本)の全閉用片部24が設けられる。これら全閉用片部24のうちの半分の全閉用片部相互間は開口されていて、この開口部を2次用換気口25と呼ぶ。すなわち、2次用換気口25は3口設けられる。
【0036】
上記垂直部20aの取付用開口部22に軸受け具26が嵌着固定されていて、これらで軸受け部27が構成される。この軸受け部27は上記室内送風機13を構成する横流ファン13Fの他方(左側)の支軸hを軸支している。
垂直部20aの内面側で、同一の曲率半径上に2本のステー28aが突設される。これらステー28aは、突出端部のみ直径が細く形成され、それぞれに上記ダンパ駆動機構45を構成する小ギヤ46が回転自在に嵌め込まれたうえで適宜な手段で抜け止めがなされている。
【0037】
上記ステー28aの近傍に、これより高さの大きい複数本のステー28bが設けられる。各ステー28bの突出端面から軸方向にねじ孔が設けられ、上記送風機構30を取付け固定する取付けねじmが螺挿される。
上記全閉用片部24近傍に設けられるステー28bのみ、この周部に隣接して受け部29が一体に設けられている。上記受け部29には、ダンパ駆動機構45を構成する駆動用モータ47が取付け固定され、さらにこの駆動用モータの回転軸に連結する駆動ギヤ48が回転自在に支持されている。
【0038】
一方、上記軸受け部27を構成するリブ21外周面には、上記ダンパ40の中心部に設けられる孔部である嵌め合い部41が回転自在に嵌め込まれている。このダンパ40は嵌め合い部41から径方向に断面略皿状に形成され、円形外周縁に沿ってギヤ部42が設けられる。
上記ダンパ40のギヤ部42には、先に説明した2個の小ギヤ46と駆動用ギヤ48が噛合するよう組み立てられる。したがって、駆動用モータ47が駆動ギヤ48を回転駆動することによりダンパ40が回転させられ、かつ上記小ギヤ46はダンパギヤ部42に対してアイドルギヤ的に機能する。
【0039】
さらに、ダンパ40における嵌め合い部41と外周ギヤ部42との間で、周方向の一部には複数(3口)の案内用換気口43が設けられる。これら案内用換気口43は、ユニットベース垂直部20aに設けられる上記2次用換気口25と全く同一の開口寸法形状をなしている。
上記案内用換気口43の相互間に形成される桟部nは、互いの間隔が上記全閉用片部24相互間隔と全く同一である。ダンパ40はリブ21に嵌め込まれた状態で垂直部20a内面とは間隙を存しているが、ダンパ40の一側面は垂直部内面に突設される全閉用片部24端縁に常に摺接状態にある。
【0040】
したがって、ダンパ40の案内用換気口43が垂直部20aの2次用換気口25と対向している状態を除いて、各2次用換気口25はダンパ40によって閉塞されている。
上記送風機構30は、ダンパ40側の側面に吸込み口31が形成され、周方向に矩形状の吹出し口体32が突設されるケーシング33と、このケーシングの吸込み口31対向側面に取付けられるファンモータ34と、このファンモータの回転軸に取付けられるファン35とから構成される。
【0041】
上記ファン35は、回転ともなって軸心方向から空気を吸込んで周方向へ送風する、いわゆるシロッコファンタイプである。したがって、ファン35はケーシング33の吸込み口31から空気を吸込んで吹出し口体32から送風する作用をなす。
上記送風機構30は、ダンパ40とダンパ駆動機構45を介してユニットベース20の垂直部20aに取付けられているので、送風機構30と垂直部20aとは間隙を存している。
【0042】
さらに、送風機構30の周面はユニットベース20の傾斜部20bおよび水平部20cと間隙を存して取付けられ、特に、ユニットベース20の三角状突部での間隙が大である。
このようにして構成される空気調和機の室内機であって、リモコンの運転スイッチをオンに切換えると、前面パネル2の一部をなす可動パネル2aが前部吸込み口4を開放し、冷房運転と暖房運転の指定に応じて吹出し口9に備えられる吹出しルーバー8a,8bが回動し、かつその姿勢が設定される。
【0043】
同時に、室内送風機13が送風作用をなす一方で、室外機の圧縮機が駆動され冷凍サイクル運転が開始される。室内空気は、上部吸込み口6と前部吸込み口4から室内機本体1内に導かれ、エアーフィルタ11を通過する。
室内空気中に含まれるほとんどの塵埃はエアーフィルタ11によって捕捉され、塵埃が除去された状態で熱交換器10を通過して熱交換作用が行われる。この熱交換空気は吹出し通風路18に沿って導かれ、吹出し口9から吹出しルーバー8a,8bに案内されて室内へ吹出され、効率のよい空調運転を継続する。
【0044】
上記電気集塵機12を機能させることにより、エアーフィルタ11を通過した細かい塵埃は完全に捕捉され、清浄化した空気が熱交換器10を介して吹出し口9から室内に吹出される。
冷房運転および除湿運転をなすことにより、上記熱交換器は熱交換作用にともなって室内空気から湿分を凝縮し、ドレン水が付着する。運転の継続にともなって熱交換器部10A,10Bからドレン水が前ドレンパン16aと後ドレンパン16bに滴下する。
【0045】
後ドレンパン16bに滴下したドレン水は前ドレンパン16aに案内され、ここに集溜されたあとドレン用接続口体50からドレンホースを介して外部に排水される。
つぎに、上記換気ユニット15の作用について説明する。
換気ユニット15は、「2次側空気換気モード」と、「1次側空気換気モード」および「換気ダンパ全閉モード」の3種類のモードに切換えられるようになっている。
【0046】
なお、2次側、1次側の呼称は、ここでは上記熱交換器10を基準としていて、2次側空気は熱交換器10を流通したあとの空気を言い、1次側空気は熱交換器10を流通する以前の空気を言う。
図10〜図12は、室内機本体1内で、それぞれのモードに対応した風の状態を説明するための模式的に示す図である。
空調運転終了時において清浄運転モードを選択すると、上記「2次側空気換気モード」が自動的に機能する。
【0047】
換気ユニット15のダンパ駆動機構45が作動してダンパ40を回動させる。ダンパ40の案内用換気口43がユニットベース20の2次用換気口25と対向する位置に到達したら、ダンパの回動を停止する。
ついで、換気ユニット15の送風機構30が作動し、2次用換気口25と案内用換気口43を介して換気ユニット内に空気を吸込み、送風機構を介して吹出し口体32から吹出す。
【0048】
上記室内送風機13は超低速運転が行われる一方で、可動パネル2aが前部吸込み口4を閉成し、上側の吹出しルーバー8aは吹出し口9を小さく開放し、下側の吹出しルーバー8bは閉成される。
上記清浄運転モードを選択して、室内機本体1内の乾燥と殺菌運転を行わせる。すなわち、上部吸込み口6から微量の室内空気が室内機本体1内に吸込まれ、熱交換器10を通過し他の構成部品に接触する。したがって、熱交換器10のフィン面間および他の構成部品面に存在していた湿分は蒸発する。
【0049】
図10に模式的に示すように、熱交換器10を通過したあとの蒸発湿分を含んだ空気は換気ユニット15に吸込まれ、かつ吹出し口体32から吹出されて換気ホースを介して屋外へ排出される。
室内機本体1から蒸発湿分を含んだ空気を直接的に屋外へ排出することにより、熱交換器10は勿論のこと室内機本体1内は早急に完全乾燥してカビ等の発生を防止する。
【0050】
さらに説明すると、図8に一点鎖線矢印で示すように、2次側空気はユニットベース20の傾斜部20b外面と熱交換器10との隙間を介して、垂直部20a外面と横流ファン13F端面との間に導かれる。
2次側空気は互いに対向する2次用換気口25と案内用換気口43を介してケーシング33の吸込み口31からこの内部に吸込まれ、吹出し口体32から吹出され上記換気ホースに導かれて排出される。
【0051】
上記運転を所定時間継続したあと、電気集塵機12に通電される。この電気集塵機12で発生したオゾンが室内機本体1内に充満し、上部吸込み口6から吸込まれる微量の室内空気によって運ばれる。
オゾンを含んだ室内空気は熱交換器10を通過し、他の構成部品に接触して殺菌し、臭いのもとを断つ。殺菌したあとの空気は換気ユニット15に導かれ、さらに吹出し口体32から換気ホース55を介して屋外へ排出される。
【0052】
所定時間経過後、電気集塵機12の機能が停止され、室内送風機13の運転をある程度継続すると、換気ユニット15の機能も停止して、全ての清浄運転モードが終了する。
なお、清浄運転モードの運転中は、上側の吹出しルーバー8aのみをわずかに開放させ、かつ室内送風機13を超低速運転しているので、室内機本体1内を通過したあとの一部の空気が上記吹出しルーバー8aから吹出される。
【0053】
吹出された風は前面パネル2に沿って導かれ、再び上部吸込み口6に吸込まれる。したがって、室内機本体1における吹出し口9と上部吸込み口6との間で、いわゆるショートサーキット風が形成され、可動パネル2aを含めた前面パネル2の清浄・殺菌化に役立つ。
つぎに、リモコンに備えられた換気モードを選択すると、「1次側空気換気モード」が自動的に行われる。上記換気モードは空調運転と並行して選択してもよく、あるいは空調運転の停止時に選択してもよい。
【0054】
室内送風機13は換気モードの選択に拘わらず空調運転の選択モードに応じた回転を行う。もしくは、換気運転のみが行われる場合には停止する。電気集塵機12においても空調運転の選択モードに応じてONとなり、かつ清浄運転モードの選択時にはON、換気モードの場合にOFFする。
可動パネル2aおよび吹出しルーバー8a,8bにおいても空調運転時は運転モードに応じた開閉をなし、空調運転の停止時および換気運転のみでは閉成する。なお、上部吸込み口6は常時開放しているため、換気運転のみの場合でも室内空気が室内機本体1内に吸込まれる。
【0055】
ダンパ駆動機構45はダンパ40を回動駆動し、ダンパの案内用換気口43がユニットベース20の2次用換気口25とは対向しない位置に変位したら、ダンパ駆動機構45は作動を停止する。
ダンパ40面がユニットベース20の全閉用片部24端縁に接触し、2次用換気口25がダンパによって閉成される。その一方で、送風機構30周面とダンパ40側面に対するユニットベース20の各内面とは間隙が形成され、案内用換気口43はこれらの隙間と連通する。
【0056】
図11は、空調運転を停止したうえで、換気モードを選択した場合の空気の流れを模式的に示している。
換気ユニット15の送風機構30が作動して、常時開放状態にある上部吸込み口6から室内空気を室内機本体1内に吸込む。室内空気はエアーフィルタ11を通過して塵埃を捕捉されたあと熱交換器10を通過する前の1次側空気として換気ユニット15に直接導かれ、吹出し口体32から屋外へ排出される。
【0057】
なお説明すれば、室内機本体1内に吸込まれた室内空気は、図8に実線矢印方向に示すように導かれる。
すなわち、空調運転を停止しているので室内送風機13も停止状態にある。その一方で、換気ユニット15の送風機構30が作動しているので、1次側空気はエアーフィルタ11と熱交換器10の前面と間から換気ユニット15が配置される左側端部に集められる。
【0058】
そして、熱交換器10側面と室内機本体1の側面板1aとの間から換気ユニット15に導かれる。ユニットベース20と送風機構30のケーシング33との間と、ユニットベースとダンパ40との間に隙間が形成され、かつ案内用換気口43が開放している。
結局、室内の汚れた空気が一旦、室内機本体1内に吸込まれ、さらに換気ユニット15の上記隙間から案内用換気口43に導かれ、換気ユニット15と換気ホース55を介して屋外へ排出される。汚れた空気が熱交換器10を通過しないので、熱交換器の汚れを最小限に抑制した換気作用をなす。
【0059】
以上は空調運転を停止した状態での換気運転であるが、空調運転を継続したうえで換気運転を行っても何らの支障もない。この場合にも、熱交換器10を通過しない1次側空気を集めて屋外へ換気するので、空調運転によるエネルギーロスを必要最小限に抑えた省エネ運転が可能となる。
据付け環境条件もしくは使用環境条件など、必要に応じて換気ユニット15を完全閉成状態にして換気モードを機能させたくない場合は、上記した「換気ダンパ全閉モード」を選択して塵埃や騒音の侵入を阻止する。
【0060】
このモードを選択すると、ダンパ駆動機構45はダンパ40を回動し、この案内用換気口43相互間の桟部nがユニットベース垂直部20aの全閉用片部24端縁に対向した位置でダンパの回動を停止する。
全ての案内用換気口43はユニットベース20の全閉用片部24とリブ21によって周囲を囲まれ、完全閉成状態になる。また、ユニットベース20の2次用換気口25がダンパ40面によって完全閉成されることには変わりがない。
【0061】
したがって、図12に模式的に示すように、換気ユニット15はダンパ40によって完全閉成され、風の流通路が遮断される。換気ホース55を介しての屋外の塵埃、騒音等(図中破線矢印で示す)が室内機本体1および室内へ侵入することを確実に阻止でき、快適性の向上を図れる。
先に説明した本体内清浄運転モードの終了後は勿論のこと、通常の空調運転の終了後は、上記換気ユニット15は必然的に上述した状態になるよう設定されている。また、空調運転の際にこのモードを選択すれば、通常の空調運転と同等の状態となる。
【0062】
このように、後板3を構成する前ドレンパン16aに対してドレン用接続口体50と換気用接続口体51を前後方向に一列に並んで取付けたから、後板3に対する成形性が向上するとともに、室内機本体1の壁面Sに対する据付け性が向上する。
上記ドレン用接続口体50を下部とし、上記換気用接続口体51を上部としたから、ドレンホース70と換気用ホース55の位置が予め設定されることとなり、特にドレントラップの発生を確実に阻止できる。
【0063】
換気用接続口体51をドレン用接続口体50よりも後方に位置したから、背面側から換気用接続口体51に対する換気ホース55の接続作業が容易にできる。いずれにしても、いわゆる配管処理作業の向上を得られる。
さらに、ドレン用接続口体50と換気用接続口体51を互いに同一角度をもって前ドレンパン16aに設けたから、それぞれの接続口体50,51に接続されるドレンホース70と換気ホース55が延出部位で互いに絡まずにすみ、ホース相互の干渉を予防できる。
【0064】
ドレン用接続口体50と換気用接続口体51を前ドレンパン16aに一体に設けたから、各接続口体にフランジ部を取付け、このフランジ部をドレンパンにねじ止めする構造と相違して、簡素な構成であり取付け手間が不要である。
上記換気ホース55は、太径ホース56を換気用接続口体51に接続し、換気ホース55の中途部で細径ホース57に変るようにしたから、換気ホース55における通風抵抗を極力抑制できる。
【0065】
そして、被空調室Rの壁面Sに設けられる貫通孔Hを細径ホース57が貫通して屋外へ延出するようにしたから、上記貫通孔Hの直径を極力小さくでき、据付け性が向上する。
【0066】
換気ホース55を、太径ホース56と細径ホース57との別部品で構成し、互いに接続して用いるようにしたから、部品の製造性の向上を得られる。
室内機本体1の据付け位置と壁面Sに設けられる貫通孔Hの位置によっては、換気ホース55として太径ホース56を用いることなく細径ホース57のみで代用でき、もしくは太径ホースを継ぎ足して全長を長くすることもでき、あらゆる状況に適応する据付け汎用性の拡大化を得られる。
【0067】
さらに、細径ホース57を換気用接続口体51に接続するのにあたって、太径ホース56の一部を介して上記接続口体51に接続してもよい。すなわち、細径ホース57の直径を極端に太くすることは製造上困難であるが、太径ホース56の一部を使用することで接続口体51に容易に接続可能となる。
上記防虫カバー58は、全周面と端面に網状体67a,67bを用いたので、たとえば換気ホース55の吹出し方向とは逆方向に風が吹き込もうとしても、周面の網状体67aから風が円滑に逃げて換気ホース55内部まで風が侵入することがない。
そして、防虫カバー58の全周面が開口することとなり、通気口総面積が拡大して通風抵抗の低減が顕著となる。換気ホース55に対する防虫カバー58の取付け方向に制約がなくなって、組み立て作業性の向上を得られる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、本来の空気調和機能を備えることの他に、被空調室内および室内機本体内の換気機能を付加し、快適性の向上と室内機本体内の清潔度を高めるとともに、本体構成の複雑化を避け、壁面と接続ホースに対する施工性の向上を図れるなどの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す、空気調和機の室内機の外観斜視図。
【図2】同実施の形態を示す、室内機の断面図。
【図3】同実施の形態を示す、室内機の前面パネルを開放した状態の斜視図。
【図4】同実施の形態を示す、室内機の一部斜視図。
【図5】同実施の形態を示す、換気ホースの分解した側面図と、防虫カバーの正面図および断面図。
【図6】同実施の形態を示す、換気ホースの互いに異なる構成を説明する図。
【図7】同実施の形態を示す、室内機本体の据付け位置と壁面に設けられる貫通孔の位置から決定される換気ホースの接続状態を説明する図。
【図8】同実施の形態を示す、換気ユニットとその周辺部分の断面図。
【図9】同実施の形態を示す、換気ユニット分解した斜視図。
【図10】同実施の形態を示す、2次側空気換気モードを選択した場合の換気ユニット内部状態を説明する図。
【図11】同実施の形態を示す、1次側空気換気モードを選択した場合の換気ユニット内部状態を説明する図。
【図12】同実施の形態を示す、換気ダンパ全閉モードを選択した場合の換気ユニット内部状態を説明する図。
【符号の説明】
4…前部吸込み口、
6…上部吸込み口、
9…吹出し口、
1…室内機本体、
10…熱交換器、
16a…前ドレンパン、
16b…後ドレンパン、
55…換気ホース、
15…換気ユニット、
70…ドレンホース、
50…ドレン用接続口体、
51…換気用接続口体。
Claims (2)
- 吸込み口と吹出し口を備えた室内機本体と、
この室内機本体内に収容され、上記吸込み口と対向して配置される熱交換器と、
この熱交換器の下部に配置され、熱交換器から流下するドレン水を集溜し、ドレンホースを介して外部に排出するドレンパンと、
上記室内機本体内に収容され、上記吸込み口から吸込まれたあと上記熱交換器に流通する以前の1次側空気もしくは熱交換器を流通したあとの2次側空気を吸込み、換気ホースを介して屋外へ排出する換気ユニットとを具備し、
上記ドレンパンは、上記ドレンホースを接続するドレン用接続口体および上記換気ホースを接続する換気用接続口体を備えていて、
上記換気用接続口体は、その内部に上記換気ユニットの吹出し口体が挿入され、上記ドレン用接続口体の上部で、かつこの後方に一列に並んで取付けられることを特徴とする空気調和機の室内機。 - 上記ドレン用接続口体および換気用接続口体は、互いに同一の傾斜角度をもって上記ドレンパンに一体的に設けられることを特徴とする請求項1記載の空気調和機の室内機。
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