JP4063696B2 - 石鹸の製造装置及び方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融状態の石鹸を所定形状に成形し固化させて石鹸を製造する装置及び該装置に用いられる成形型に関する。また本発明は、溶融状態の石鹸を所定形状に成形し固化させて石鹸を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
循環路内を循環している溶融石鹸を成形型のキャビティ内に注入し、該キャビティ内で固化させる石鹸の製造方法が知られている(特許文献1参照)。この成形型には注入バルブがゲート内に配されており、この注入バルブが進退することで、ゲートを通じてキャビティ内に溶融石鹸が注入される。しかし、注入バルブはゲートの寸法よりも小さいことから、注入バルブが前進してゲートとキャビティとの連通を遮断した状態においては、ゲートと注入バルブとの間に空隙が形成され、その空隙に溶融石鹸が滞留してしまう。滞留した溶融石鹸は循環路内に戻ることなくそこに留まるので、次第に冷却固化されてしまう。従って次回の成形に先立ち固化した石鹸を除去する必要があり、生産性に劣る。石鹸を除去しない場合には次回の成形時に不具合を来す原因となり易い。また均質な製品を製造しにくくなる。
【0003】
ノズルを通じて溶融石鹸を成形型の上部からキャビティに充填する際に、溶融石鹸の充填量に応じて成形型を下降させることで、溶融石鹸の液面の直ぐ上にノズル先端が常時位置するようにした石鹸の製造方法も知られている。しかし、この方法においても、溶融石鹸の充填が完了した時点ではノズル内に溶融石鹸が残存することになるので、やはり次回の成形に先立ち固化した石鹸を除去する必要がある。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第2987484号明細書
【特許文献2】
国際公開第98/53039号パンフレット
【0005】
従って、本発明は、成形型への溶融石鹸の充填が完了した時点において、成形型のゲート内に溶融石鹸が滞留したり残存したりすることが無い石鹸の製造装置及び方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、所定形状のキャビティ及び該キャビティに通ずる溶融石鹸の供給路を備えた成形型と、該成形型へ溶融石鹸を供給する供給管とを具備する石鹸の製造装置であって、
前記成形型が、冷却水の循環路が設けられた一組の割型を組み付けて形成されており、
前記供給管が、前記供給路の供給孔に挿入されるノズルと該ノズル内に進退可能に配された、該ノズルの内形状と同形状の外形を有するプラグとを有し、
前記供給路が、前記ノズルとの間に空隙が無く該ノズルが挿入される前記供給孔及びゲートを含み、該ゲート内に、該供給孔と前記キャビティとの連通を遮断させる、該ゲートの内形状と同形状の外形を有するゲートピンが進退可能に配されており、
前記プラグの前記ノズル内への押し込みによって前記キャビティ内への溶融石鹸の供給の停止後ただちに或いはほぼ同時に、前記ゲートピンの進入によって前記供給路を完全に閉塞することで、該供給路内に残存する溶融石鹸を取り除くようになされている石鹸の製造装置を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本実施形態で用いられる製造装置は、溶融石鹸の循環部、該循環部に接続された溶融石鹸の注入部、及び該注入部から供給された溶融石鹸を所定形状に成形する成形型を備えた成形部を具備している。図1には、第1の実施形態の製造装置における溶融石鹸の循環部が示されている。本実施形態の製造装置は、気泡入り石鹸の製造に好適に用いられる。
【0014】
図1に示す溶融石鹸の循環部6は、貯蔵タンク61、貯蔵タンク61に接続され且つ貯蔵タンク61内を経由するループを形成する循環管路62、循環管路62の途中に介在された循環ポンプ63を備えている。また貯蔵タンク61には、発泡部(図示せず)において発泡された溶融石鹸の供給管路64が接続されている。更に貯蔵タンク61内には撹拌翼65が設置されている。撹拌翼65はモータ66によって所定方向に回転する。更に循環管路62には、溶融石鹸の複数の注入部3が、循環管路62と開閉可能に連通するように接続されている。各注入部3は循環管路62に直列に接続されている。貯蔵タンク61及び循環管路62を含む循環部6並びに注入部3には、何れも温水及びヒータなどの保温装置が取り付けられており、所定温度に保たれている。
【0015】
注入部3は、図2に示すようにその一端が循環管路62に接続されている供給管30を備えている。供給管30の他端は、溶融石鹸の液溜まり部31となっており、その液溜まり部31に注入ノズル32が突設されている。注入ノズル32はその先端に向かって漸次縮径した截頭円錐形をしている。ノズル32内には、該ノズルの内形状と同形状の外形を有する押し込みプラグ33が配されている。プラグ33は、その後端に取り付けられている油圧シリンダ38によってノズル32内を進退する。プラグ33が後退することでノズル32とプラグ33との間に空隙が生じ、この空隙を通じて溶融石鹸が後述する成形部4へ供給される。一方、プラグ33が前進するとノズル32とプラグ33とが嵌り合って、両者間には空隙が無くなり溶融石鹸の供給が停止される。つまり、プラグ33の進退によって、溶融石鹸が供給され、またその供給が遮断されるようになっている。
【0016】
供給管30における、溶融石鹸の流動方向(図中矢印Aで示す方向)に関して注入ノズル32よりも上流側の位置には、定容量供給装置の一例であるシリンダ34及びピストン36が取り付けられている。シリンダ34は、供給管30と交差するように設けられている。シリンダ34内には、該シリンダ34を境として供給管30の上流側又は下流側とシリンダ34とを択一的に連通させる切り替え用のロータリーバルブ35が配されている。これと共にシリンダ34内には、該シリンダ内を進退可能になっているピストン36が配されている。そして、前述の通りシリンダ34とピストン36とによって、溶融石鹸の定容量供給装置が構成されている。ピストン36の進退は、その後端に取り付けられているサーボモータ37によって精密に制御されている。ピストン36が後退することで、シリンダ34内には、溶融石鹸を収容するための空間が形成される。この空間に溶融石鹸が充填されたのち、ピストン36を押し込むことで、後述する成形型40のキャビティ内へ溶融石鹸が加圧下に充填される。キャビティ内への溶融石鹸の供給体積は、ピストン36の後退距離又は押し込み距離によって決定される。具体的には、▲1▼後退前のピストン36の位置を原点としてピストン36の後退距離で供給体積を決定する方法、又は▲2▼後退後のピストン36の位置を原点としてピストン36の押し込み距離で供給体積を決定する方法がある。計量される溶融石鹸が気泡入りである場合、これは圧縮性の流体であるので、前記の▲1▼の方法において、ピストン36の原点の位置でシリンダ34内に溶融石鹸ができるだけ残らないように原点を決めることが、製品重量の精度を高める点から好ましい。
【0017】
成形部4は、注入部3から供給された溶融石鹸を所定形状に成形し固化させる成形型40を備えている。図3には、成形型40の型開状態が示されている。成形型40は、2個で一組をなす第1の割型1及び第2の割型2から構成されている。各割型は金属等の剛体からなる矩形ブロック状の形態をしており、それぞれの中央部に凹部10及び20が形成されている。各凹部10,20は、第1の割型1と第2の割型2とをそれらの突き合わせ面PLで突き合わせたとき、製造すべき石鹸の形状に合致した形状のキャビティ(図示せず)が形成されるように、各割型に形成されている。尚、図示していないが各凹部には空気の吹き出し及び吸引用の微細なスリット及び/又は小孔が形成されている。
【0018】
第1の割型1には、該第1の割型1をその厚さ方向に貫通し外部に開口したノズル挿入孔11が、凹部10の外縁部に穿設されている。ノズル挿入孔11は、溶融石鹸の供給孔として用いられる。ノズル挿入孔11は、その径が、第1の割型1の背面側に向かうに連れ漸次増加しており、先に述べた注入ノズル32と嵌り合う形状となっている。一方、第2の割型2には、その突き合わせ面PLの一部が穿設されて長孔状のゲート21が形成されている。ゲート21は第2の割型2をその厚さ方向に貫いている。第2の割型2におけるゲート21の形成位置は、両割型が組み付けられて成形型40を形成する時に、第1の割型1におけるノズル挿入孔11と対向する位置となっている。更にゲート21は、その一部が凹部20と連通している。従って、両割型が組み付けられて成形型40を形成すると、ゲート21は、ノズル挿入孔11とキャビティとの間に位置して両者を連通させることになる。このように成形型40には、ノズル挿入孔11及びゲート21を含む、溶融石鹸の供給路が形成されている。
【0019】
ゲート21内には、該ゲート21の内形状と同形状の外形を有するゲートピン22が配されている。ゲートピン21は金属又はプラスチック等の材質からなる。ゲートピン22の後端は、ピストン47を備えたシリンダ48における該ピストン47の先端に固定されている。これによってゲートピン22はゲート21内を進退可能になっている。ゲートピン22の後退位置においては、ノズル挿入孔11とキャビティCとがゲート21を介して連通している。ゲートピン21の前進位置においては、ゲートピン21によってノズル挿入孔11とキャビティCとの連通が遮断されるようになっている。つまりゲートピン21は、ノズル挿入孔11とキャビティCとの連通を遮断させる遮断手段として用いられる。
【0020】
図示していないが、第1の割型1の突き合わせ面PLには微細なスリット状のエアベントが設けられている。エアベントは、第1の割型1の上部に形成されることが好適である。また、図示していないが、両割型1,2を構成するブロックには冷却水の循環路が設けられている。
【0021】
図2に戻ると、成形型40における第一の割型1はその下部が、ベースプレート41から立設された支持板42に取り付けられており、固定型となっている。一方第2の割型2はその背面が、ベースプレート41から立設された支持板43に取り付けられている油圧シリンダ44のピストン45の先端に固定されている。油圧シリンダ44は、ピストン45が支持板43と直交する方向に摺動するように取り付けられている。従って、第2の割型2は水平方向に移動可能な移動型となっている。成形型40は、ノズル挿入孔11がキャビティCの下側に位置するように固定されている。これによって、溶融石鹸はキャビティCの下部から上方へ向かって充填される。
【0022】
第2の割型2の下部にはシリンダ保持板46が水平方向に延出するように取り付けられている。シリンダ保持板46における水平部には、ピストン47を備えた油圧シリンダ48が取り付けられている。油圧シリンダ48は、ピストン47が水平方向に摺動するように取り付けられている。ピストン47の先端は、第2の割型2に備えられたゲートピン22の後端に接続されている。
【0023】
ベースプレート41は、台座49上に摺動自在に配されたスライダー50の上に載置固定されている。スライダー50は、台座49上に載置された油圧シリンダー51の動作によって台座49上を摺動する。これによって、成形型40を含む成形部4全体が、注入ノズル32を含む注入部3に対して接離可能になっている。その結果、成形型40の型開操作などを含む成形操作を円滑に行うことができ、製造サイクルを高めることが容易となる。
【0024】
以上の構成を有する製造装置を用いた気泡入り石鹸の製造方法について説明する。先ず循環部6による溶融石鹸の循環について図1を参照しながら説明すると、図示しない発泡部において発泡されて、無数の気泡が分散含有されている溶融石鹸は、供給管路64を通じて貯蔵タンク61内に貯えられる。貯蔵タンク61内において溶融石鹸は、撹拌翼65によって撹拌されて、気泡の分散状態が均一に保たれる。溶融石鹸の一部は、循環ポンプ63によって循環管路62内に送り込まれる。その結果、貯蔵タンク61内に貯えられている溶融石鹸は、貯蔵タンク61を経由して循環管路62内を循環する。この循環によって、たとえ何らかのトラブルが発生して気泡入り石鹸製造の作業が停止しても、溶融石鹸が配管系内で停滞することがなくなり、溶融石鹸に剪断力が常に加わった状態が維持され、気泡と液体分とが分離状態となることが防止される。特に、本実施形態においては、溶融石鹸を循環させることで剪断力を加えるので、例えば溶融石鹸の流速を制御して溶融石鹸に剪断力を加える時間を制御できるという利点がある。つまり気泡を含む溶融石鹸のような保存安定性の低い圧縮性流体に長時間剪断力を加え続けることで気泡の状態を保持させることができる。一方、剪断力を加えないと、気泡の合一や気液の分離が起こることが避けられない。このように、溶融石鹸を循環させる場合に、剪断力を加える時間を制御することで、溶融石鹸に効果的に剪断力を加えることができ、その結果、貯蔵タンク61内の気泡入り石鹸における気泡の分散状態を良好にすることができ、且つその良好な状態を長時間保つことができる。貯蔵タンク61における撹拌翼65による撹拌によっても、気泡と液体分との分離はある程度防止できるが十分とはいえない。撹拌翼65によって気液分離や気泡の合一が発生しないように溶融石鹸を撹拌すると、溶融石鹸が気泡を巻き込みその比重が変動してしまう。従って、貯蔵タンク61内では気泡を混入させない緩やかな撹拌を行い、気泡と液体分との分離防止は、循環管路62内の循環によって行うことが好ましい。
【0025】
無数の気泡を分散含有する溶融石鹸の調製方法としては、例えば本出願人の先に出願に係る特開平11−43699号公報の第2欄15行〜第5欄1行に記載されている方法を用いることができる。溶融石鹸の発泡には各種気体を用いることができる。特に、不活性気体、とりわけ窒素ガス等の非酸化性の不活性ガスを用いることで、溶融石鹸の加熱に起因して、その配合成分が酸化分解することで発生する異臭等を効果的に防止することができる。発泡に不活性気体を用いることは、気泡入り石鹸の配合成分として、酸化分解し易い香料成分が配合されている場合に特に有効である。
【0026】
溶融石鹸の循環においては、その温度を55〜80℃、特に60〜70℃に保つことが、後述する供給ノズル先端での溶融石鹸の固化防止、及び石鹸の酸化や香料の劣化の防止の点から好ましい。
【0027】
これに関連し、溶融石鹸の循環においては、溶融石鹸をその融点よりも1〜20℃、特に2〜5℃高い温度に加熱し保温した条件下に循環させることが、同様の理由から好ましい。
【0028】
溶融石鹸の循環においては、その循環流量V(m3/h)に対する、貯蔵タンク61の容量S(m3)の比S/V(h)が0.01〜5となるように溶融石鹸を循環させることが、気泡の合一防止、及び気泡と液体分との分離防止の点から好ましい。
【0029】
前記循環流量に関連するが、溶融石鹸は、その循環管路62内での流速Vdが0.02〜5m/s、特に0.05〜0.8m/sとなるように循環されることが好ましい。下限値未満であると、溶融石鹸の注入部3への分注時に圧力低下が発生し易くなる。上限値を超えると、設備が大掛かりになる上、循環中に気泡を巻き込む可能性が高くなる。またこれに関連して、循環管路62は、その断面積が10〜200cm2、特に20〜180cm2であることが、同様の理由から好ましい。
【0030】
溶融石鹸の循環においては、その剪断速度が0.2〜500s-1、特に0.3〜100s-1、とりわけ0.3〜20s-1となるように溶融石鹸を循環させることが、気泡の合一防止、及びと気泡と液体分との分離防止の点から好ましい。剪断速度DはD=2Vd/dから算出される。ここでVdは溶融石鹸の循環流速(m/s)を示し、dは循環管路62の内径(m)を示す。循環管路内には、前記剪断速度の範囲の剪断を加えることができるスタティックミキサー(静止混合器)を適宜設けることが好ましい。
【0031】
成形前においては、図2に示すように、注入部3におけるノズル32と、成形部4における成形型40とは離間した状態になっている。注入部3においては、シリンダ34と循環管路62との連通が、ロータリーバルブ35によって遮断されている。シリンダ34内に配されているピストン36は所定の位置に留まっている。また、注入部3における押し込みプラグ33はノズル32内に完全に挿入されており、溶融石鹸が供給されないようになっている。成形部4においては、油圧シリンダ44を作動させてピストン45を押し出して、第1の割型1と第2の割型1とを型閉しておく。両割型には、前述した冷却水の循環路に水を循環させておく。また、油圧シリンダ48を作動させてピストン47を後退させ、これによって該ピストン47に接続されているゲートピン22をゲート21から引き出しておき、ノズル挿入孔11からゲート21を経てキャビティCへ至る供給路を形成しておく。
【0032】
次に、図4(a)に示すように、成形部4における油圧シリンダ51を作動させて、成形型40を注入部3におけるノズル32に近接させ、該ノズル32を成形型40のノズル挿入孔11内に完全に挿入する。この状態においては、図4(a)の要部拡大図である図4(b)に示すように、ノズル32とノズル挿入孔11との間には空隙が全く存在していない。従って、ノズル32とノズル挿入孔11との間で溶融石鹸の液漏れが発生したり、或いは成形後にノズル32とノズル挿入孔11との間に溶融石鹸が残留することがない。
【0033】
この状態下に、循環管路62を循環する溶融石鹸は、その一部が、注入部3へ送り込まれる。この状態を図5に示す。溶融石鹸を注入部3へ送り込むには、ロータリーバルブ35を180度回転させてシリンダ34と循環管路62とを連通させる。これと共にサーボモータ37を作動させてピストン36を後退させる。これによってシリンダ34内に空間が形成され、その空間内に溶融石鹸が流入する。ピストン36の後退は、所定量の溶融石鹸がシリンダ34内に充填されるまで続けられる。
【0034】
所定量の溶融石鹸がシリンダ34内に充填されたら、サーボモータ37の作動を停止し、ピストン36の後退を停止する。次に図6(a)に示すようにロータリーバルブ35を180度反転させてシリンダ34と循環管路62との連通を遮断し且つシリンダ34とノズル32とを連通させる。引き続き、油圧シリンダ38を作動させてノズル32内からプラグ33を引き抜き、両者間に空隙を形成する。この状態を図6(b)に示す。これによって、シリンダ34、供給管30、ノズル32、ゲート21及びキャビティCからなる溶融石鹸の供給路が形成される。この状態下にサーボモータ37を作動させてシリンダ34内のピストン36を押し込む。これによって、シリンダ34内に充填されていた溶融石鹸が前記供給路を通じて成形型40のキャビティC内に加圧注入される。溶融石鹸の供給量がピストン34のストローク量で決定されることは前述の通りであるが、そのストローク量はサーボモータ37によって精密に制御される。従って、本発明によれば一定重量の石鹸を容易に製造することができる。
【0035】
本実施形態におけるキャビティへの溶融石鹸の充填は、初期段階、中期段階及び後期段階の3つの段階に分けて行う。3つの段階の何れにおいても、前述した定容量供給装置、即ちシリンダー34内のピストン36の動作速度をサーボモータ37によって制御して充填速度を調整する。充填の初期段階においては、溶融石鹸を、得られる石鹸中に目視可能な程度の大きさの気泡が存在しないような低充填速度で充填する。この理由は次の通りである。充填速度を余りに高くすると、溶融石鹸が噴射状態でキャビティC内に注入され、キャビティC内で溶融石鹸が泡立ってしまい、得られる石鹸中にその泡が残存してしまう。そこで前記のような低充填速度で溶融石鹸を充填することでキャビティC内での溶融石鹸の泡立ちを防止している。目視可能な程度の大きさの気泡は一般に0.5mm〜10mm程度のものである。
【0036】
充填の中期段階では、充填初期よりも相対的に高充填速度で溶融石鹸を充填する。この理由は次の通りである。キャビティC内での溶融石鹸の泡立ち防止の観点からは、充填中期においても低充填速度で溶融石鹸を充填することが好ましい。しかし、キャビティC内が溶融石鹸である程度満たされると、溶融石鹸の自重によって泡立ちしにくくなる。つまり、充填速度をある程度高めても泡立ちしにくくなる。特に本実施形態のようにキャビティCの下部から上方に向かって溶融石鹸が充填される方法の場合には、一層泡立ちしにくくなる。そこで、製造サイクルを高める観点から充填中期においては、充填初期よりも相対的に高充填速度で溶融石鹸を充填する。充填中期の開始時は、一般にキャビティCの体積に対して溶融石鹸が5〜30%程度充填された状態である。
【0037】
充填の後期段階では、充填中期よりも相対的に低充填速度で該溶融石鹸を充填する。この理由は次の通りである。充填後期では、キャビティCは溶融石鹸で大部分満たされており空間は少ない。この状態下に高充填速度で溶融石鹸を供給すると、成形型に形成されているエアベント(図示せず)が溶融石鹸で閉塞されて、キャビティCの空間に存在している空気が抜けきらないおそれがある。空気が抜けきらない場合には、得られる石鹸に凹み等の欠陥が生じてしまう。この不都合を回避するために、充填の後期段階では、充填中期よりも相対的に低充填速度で該溶融石鹸を充填する。充填後期の開始時は、一般にキャビティCの体積に対して溶融石鹸が70〜95%程度充填された状態である。
【0038】
以上のような充填速度の制御を行うことで、欠陥の無い製品を生産性よく製造することができる。
【0039】
溶融石鹸の充填速度を、シリンダー34内のピストン36の動きを制御することなく制御することもできる。この場合には、押し込みプラグ33を適宜進退させて、溶融石鹸の供給路の開度を調整する方法が一例として挙げられる。この状態は先に図6(b)に示した通りである。つまり、溶融石鹸の圧力損失又は流体摩擦を制御することで、その充填速度を制御することができる。この制御を一層精密にするには、押し込みプラグ33をサーボモータを用いて進退させることが有利である。この場合においては、シリンダ34とピストン36とから構成される定容量供給装置を用いて一定容量の溶融石鹸をキャビティC内に供給しているので、プラグ33を用いた充填速度の制御は、定容量の溶融石鹸の供給下に行われる。この方法によれば、充填速度を精密に制御しつつ一定容量の溶融石鹸をキャビティC内に供給することが容易である。
【0040】
所定量の溶融石鹸がキャビティCに充填されたら、図7に示すように押し込みプラグ33をノズル32内に完全に挿入して、溶融石鹸の供給を停止する。この後ただちに、或いはほぼ同時に油圧シリンダ48を作動させてゲートピン22をゲート21内に押し込む。これによって、成形型40における溶融石鹸の供給路は完全に閉塞されて空間が全く存在しない状態となり、供給路内に残存している溶融石鹸はキャビティに追加充填される。更に、注入ノズル32の内部もプラグ33によって完全に閉塞され空間が全く存在しない状態となり、ノズル32内には溶融石鹸は残存していない。つまり、溶融石鹸の充填完了時においては、成形型40における供給路及び注入ノズル32から石鹸が取り除かれ、これらの何れにも溶融石鹸が残存していない。その結果、次回の成形に先立ち、成形型や注入ノズルから、固化した石鹸を除去する必要がなく、生産性を高めることができる。また、次回の成形時には新しい溶融石鹸を供給することができるので成形を円滑に行うことができ、また得られる石鹸も均質なものとなる。更に、得られる石鹸に不要な部分が存在していないので、いわゆる端切りが不要である。その上、成形型を毎回清掃する必要がないので生産性に優れる。
【0041】
キャビティC内に充填される溶融石鹸の量は、キャビティCの体積と同程度又はそれよりも多少多くてもよく或いは少なくてもよい。溶融石鹸の充填量がキャビティCの体積よりやや少ない場合には、ゲートピン21の押し込みによる追加充填によって最終的にはキャビティCの体積と同程度の量の溶融石鹸が充填されることになる。逆に、溶融石鹸の充填量がキャビティCの体積よりやや多くても、該溶融石鹸が気泡を含む圧縮性流体であることから十分に充填可能である。従って、圧縮性の低い溶融石鹸を用いる場合(例えば、気泡を含有していない溶融石鹸を用いる場合)には、キャビティC内に充填される溶融石鹸の量は、キャビティCの体積と同程度又はそれよりもやや少ない方がよい。
【0042】
キャビティC内に溶融石鹸が加圧充填されると、その圧力がゲート21に向けて生じる。ゲートピン22をゲート21内に押し込み、その状態を維持させるには、この圧力に抗する力をゲートピン22に加える必要がある。この力を最小限にするためには、ゲートピン22の押し込み方向(進入方向)が、圧力の生じる方向と90度の角度をなすようにすればよい。そこで本実施形態においては、ゲートピン22を水平方向に進退させてその進退方向を、ゲート21における溶融石鹸の流動方向(この方向は溶融石鹸によって生じる圧力の方向と平行である)に対して90度としている。また成形型40の側部にゲートピン22の進退手段を配してゲートピン22を水平方向に押し込むようにすることで成形型40の下側に空間が設けられ、これによって成形の作業性を良好になるという利点もある。
【0043】
ゲートピン22をゲート21内に押し込み且つプラグ33をノズル32内に押し込んだ状態下に、図8に示すように、成形部4における油圧シリンダ51を作動させて成形型40をノズル32から引き離す。これと共にキャビティC内の溶融石鹸の固化を進行させる。
【0044】
溶融石鹸の固化がある程度進行したら、図9に示すように、成形部4における油圧シリンダ44を作動させてピストン45を引き戻し、第1の割型1と第2の割型2とを型開する。このとき、第1の割型1のキャビティ面に形成されているスリット(図示せず)を通じて吸引を行う。これと共に第2の割型2のキャビティ面に形成されているスリット(図示せず)を通じて該キャビティ面から石鹸Sに向けて空気を吹き付け、該キャビティ面からの石鹸Sの離型を促進させる。これらの操作によって、石鹸Sを第1の割型1のキャビティ面に保持させる。
【0045】
引き続き、図10に示すように、第2の割型2の凹部と同形状の凹部を有する受け取り装置70を第1の割型1の突き合わせ面に対向当接させる。この状態下に、受け取り装置70の凹部表面に形成されているスリット(図示せず)を通じて吸引を行う。これと共に第1の割型1のキャビティ面に形成されているスリット(図示せず)を通じて該キャビティ面から石鹸Sに向けて空気を吹き付け、該キャビティ面からの石鹸Sの離型を促進させる。これらの操作によって、第1の割型1に保持されていた石鹸Sを受け取り装置70に受け渡す。その後、第1の割型1と第2の割型2とを型閉して図1に示す状態に復帰させ、これまでに述べた操作を繰り返す。
【0046】
本実施形態の変形例として、押し込みプラグ33とゲートピン22との押し込み順序を逆にする方法がある。この方法においては、キャビティCへ溶融石鹸を充填しつつ又は充填完了後、先ずゲートピン22をゲート21内に押し込む。この押し込みによってゲート21を閉塞してゲート21内に空間が存在しないようにする。また、ゲートピン21の押し込みに連動して、注入部3のピストン36を引き戻す。これによって、ゲート21内に残存する溶融石鹸を、キャビティC内に追加充填せず、それに代えて型外である注入部3へ吸引除去する。この方法によれば、ゲートピン21の押し込みよって発生するキャビティC内での圧力上昇を最小限に止めることができ、得られる石鹸を一層均質なものとすることができる。また、成形型の温度が低い場合には、一部が固化した状態でゲート内に残存する溶融石鹸がキャビティC内に進入することを最小限に止めることができ、これによっても得られる石鹸を一層均質なものとすることができる。
【0047】
ゲート21内に残存する溶融石鹸の除去が完了したら、油圧シリンダ38を作動させて押し込みプラグ33をノズル32内に完全に挿入し、ノズル32の内部をプラグ33によって完全に閉塞して空間が全く存在しない状態とする。これによって、ノズル32内に溶融石鹸が残存しないようにする。この後は図8〜図10に示す操作が行われる。
【0048】
気泡入り石鹸を構成する配合成分としては、脂肪酸石鹸、非イオン系界面活性剤、無機塩、ポリオール類、非石鹸系のアニオン界面活性剤、遊離脂肪酸、香料、水等が挙げられる。更に、抗菌剤、顔料、染料、油剤、植物エキス等の添加物を必要に応じて適宜配合してもよい。
【0049】
次に、本発明の第2〜第6の実施形態について、図11〜図16を参照しながら説明する。これらの実施形態については、第1の実施形態と異なる点についてのみ説明し、特に説明しない点については、第1の実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図11〜図16において、図1〜図10と同じ部材に同じ符号を付してある。
【0050】
図11に示す第2の実施形態の製造装置では、循環部6及び注入部3の構造は第1の実施形態と同じであるが、成形型40を含む成形部4の構造が第1の実施形態と異なる。図12には本実施形態に用いられる成形型40の型開状態が示されている。成形型40における第1の割型1の構造は第1の実施形態と同じであるが、第2の割型2の構造が第1の実施形態と異なる。第2の割型2には、その突き合わせ面PLの一部が半円柱形状に凹設されてゲート21が形成されている。ゲート21は、その一端が第2の割型2の凹部20に通じており、他端が第2の割型2の端面で開口している。第2の割型2におけるゲート21の形成位置は、第1及び第2の割型1,2が組み付けられて成形型40を形成する時に、第1の割型1におけるノズル挿入孔11と対向する位置となっている。従って、両割型が組み付けられて成形型40を形成すると、ゲート21は、ノズル挿入孔11とキャビティとの間に位置して両者を連通させることになる。ゲート21内には、該ゲート21の内形状と同形状(即ち半円柱形状)の外形を有するゲートピン22が、該ゲート21内に配されている。
【0051】
図11に戻ると、ゲートピン22は、その下端の位置において、油圧シリンダ48のシリンダー軸47の先端に取り付けられている。これによって、ゲートピン22は、ゲート21内を進退可能になっている。尚、油圧シリンダ48は、第2の割型2の下端から垂下する支持板46の側面に取り付けられている。このように、本実施形態の製造装置においては、ゲートピン21が上下方向に進退する。これに対して先に述べた第1の実施形態においては、ゲートピンは水平方向に進退する。
【0052】
本実施形態の製造装置を用いた石鹸の製造方法について説明すると、図11に示す装置が、第1の実施形態に関して説明した図5に示す状態となった後、ロータリーバルブ35を180度反転させてシリンダ34と循環管路62との連通を遮断し且つシリンダ34とノズル32とを連通させる。引き続き、油圧シリンダ38を作動させてノズル32内からプラグ33を引き抜き、両者間に空隙を形成する。これによって、シリンダ34、供給管30、ノズル32、ゲート21及びキャビティCからなる溶融石鹸の供給路が形成される。この状態下にサーボモータ37を作動させてシリンダ34内のピストン36を押し込む。これによって、シリンダ34内に充填されていた溶融石鹸が前記供給路を通じて成形型40のキャビティC内に加圧注入される。所定量の溶融石鹸がキャビティに充填されたら、押し込みプラグ33をノズル32内に完全に挿入して、溶融石鹸の供給を停止する。この後ただちに、或いはほぼ同時に油圧シリンダ48を動作させてゲートピン22を上昇させゲート21内に押し込む。これによって、成形型40における溶融石鹸の供給路であるゲート21は完全に閉塞され空間が全く存在しない状態となり、ゲート21内に残存している溶融石鹸はキャビティに追加充填される。更に、注入ノズル32の内部もプラグ33によって完全に閉塞され空間が全く存在しない状態となり、ノズル32内には溶融石鹸は残存していない。この後は第1の実施形態と同様の操作が行われる。
【0053】
本実施形態では、ゲート21がキャビティC内に開口する面積を第1の実施形態の場合よりも小さくできるので、得られる石鹸に形成されるゲート21の痕跡を第1の実施形態の場合よりも小さくできるという利点がある。但し、本実施形態では、ゲートピン22の進入方向が、ゲート21における溶融石鹸の流動方向(この方向はキャビティC内に加圧充填された溶融石鹸によって生じる圧力の方向と平行である)に対して0度なっており、その圧力をすべてゲートピン22が受けるので、ゲートピン22をゲート21内に押し込み、その状態を維持させるには、第1の実施形態よりも大きな力をゲートピン22に加える必要がある。このように、ゲートピン22の進入方向と、ゲート21における溶融石鹸の流動方向とがなす角度は、(1)ゲートピン22をゲート21内に押し込み、その状態を維持させるために要する力と、(2)得られる石鹸に形成されるゲート21の痕跡の大きさとのバランスを考慮して、0〜90度の範囲で適宜決定すればよい。この範囲外の角度では、前記バランスが大きく崩れてしまい、また成形部4の構成が極めて複雑になる。
【0054】
図13に示す第3の実施形態の製造装置は、これまでに説明した実施形態と異なり循環部を具備していない。また、注入部3の構成が異なる。しかし、成形部4の構成は第1の実施形態と同様である。本実施形態においては、溶融石鹸は、図示していない貯蔵タンクから直接注入部3に供給される。注入部3は、貯蔵タンク(図示せず)に接続している供給管30を備えている。供給管30には図示していない加圧ポンプが取り付けられており、この加圧ポンプの圧力によって、貯蔵タンクから注入部に向けて溶融石鹸が供給される。供給管30には、その側面から突出した注入ノズル32が設けられている。ノズル32内には、該ノズル32の内形状と同形状の外形を有する押し込みプラグ33が配されている。プラグ33はこれに接続されているサーボモータ39によってノズル32内を進退する。
【0055】
本実施形態の製造装置を用いた石鹸の製造方法について説明すると、図13に示す装置が、第1の実施形態に関して説明した図5に示す状態となった後、図示しない加圧ポンプを作動させて供給管30内の溶融石鹸を加圧して流動させる。更にサーボモータ39を作動させてノズル32内からプラグ33を引き抜き、両者間に空隙を形成する。これによって、供給管30、ノズル32、ゲート21及びキャビティからなる溶融石鹸の供給路が形成される。供給管30内の溶融石鹸は前述の通り加圧ポンプによって加圧されているので、キャビティC内に加圧下に注入される。所定量の溶融石鹸がキャビティに充填されるのとほぼ同時に、押し込みプラグ33をノズル32内に完全に挿入して、溶融石鹸の供給を停止する。この後ただちに、或いはほぼ同時に油圧シリンダ48を動作させてゲートピン22をゲート21内に押し込む。これによって、成形型40における溶融石鹸の供給路であるゲート21は完全に閉塞され空間が全く存在しない状態となり、ゲート21内に残存している溶融石鹸はキャビティに追加充填される。更に、注入ノズル32の内部もプラグ33によって完全に閉塞され空間が全く存在しない状態となり、ノズル32内には溶融石鹸は残存していない。この後は第1の実施形態と同様の操作が行われる。
【0056】
本実施形態においては、先に述べた実施形態と異なり、キャビティC内への溶融石鹸の充填量及び充填速度の双方を、押し込みプラグ33の進退のみで制御している。従って、本実施形態においてはプラグ33の進退を、一層精密な制御が可能であるサーボモータ39を用いて行っている。
【0057】
本実施形態は、成形の度に一層新しい溶融石鹸を供給できるという点、及び溶融石鹸の供給路を簡素化できるという点で、先に述べた実施形態の場合よりも有利である。
【0058】
図14に示す第4の実施形態の製造装置は、図11に示す第2の実施形態の成形部4と、図13に示す第3の実施形態の注入部3とを組み合わせたものである。従って、本実施形態の製造装置の構成及びこれを用いた石鹸の製造方法は、当業者であれば第2及び第3の実施形態の説明から明らかであり、特に説明を要するものではない。
【0059】
図15に示す第5の実施形態は、循環部6の構成が第1の実施形態と異なる。詳細には、貯蔵タンク61と注入部3との間に循環管路62を循環する溶融石鹸の冷却用の冷却装置81が取り付けられている。具体的には、注入部3が循環管路62に接続されている接続位置と貯蔵タンク61との間において、循環管路62に冷却装置81が取り付けられている。冷却装置81は、注入部3が循環管路62に接続されている位置の直ぐ上流側(直前)に取り付けられている。また、循環管路62には、該循環管路62を循環する溶融石鹸の加熱用の加熱装置80も取り付けられている。加熱装置80の取り付け位置は、注入部3が循環管路62に接続されている接続位置よりも下流側になっている。つまり、循環管路62には、溶融石鹸の循環方向に関して、上流側に冷却装置81が取り付けられており、それよりも下流側に加熱装置80が取り付けられている。そして、循環管路62に取り付けられた冷却装置81と加熱装置80との間に、溶融石鹸の注入部3が接続されている。加熱装置80における加熱温度は、循環管路62から貯蔵タンク61に戻る溶融石鹸の温度を、貯蔵タンク61内の溶融石鹸の温度(保温温度)と同温度とするため、循環管路62の温度よりも高温度に設定されている。一方、冷却装置81における冷却温度は、循環管路62を保温する保温装置の保温温度よりも低温度に設定されている。これにより溶融石鹸は、その保温温度よりも例えば0.5〜10℃程度低く冷却される。勿論、冷却温度は石鹸の溶融温度以上となっている。加熱装置80としては、熱交換器などを用いることができる。冷却装置81としては、熱交換器などを用いることができる。
【0060】
本実施形態においては、溶融石鹸が、成形型のキャビティに注入される前に、循環中の温度(保温温度)よりも低い温度に冷却されるので、キャビティ内での冷却固化時間が第1の実施形態の場合よりも短縮されるという利点がある。特に、溶融石鹸をキャビティに供給する直前で、保温温度よりも0.5〜10℃低い温度に冷却することで、撹拌や剪断が加わっていないキャビティ内での静置時間を短縮できるので、固化するまでに発生する気泡の合一や分離が低減できるので好ましい。但し、冷却装置81によって溶融石鹸を冷却すると、循環管路62内における溶融石鹸の流動性が低下して円滑な循環を行えないおそれがあることから、循環管路62における、該循環管路62と注入部3との接続位置よりも下流の位置に、該循環管路62の保温装置とは別に、溶融石鹸の加熱用の加熱装置80を取り付け、該加熱装置80による加熱で溶融石鹸の円滑な循環を確保している。
【0061】
図16に示す第6の実施形態においては、循環部6に取り付けられている循環管路62に注入部3が接続されていない。また、加熱装置及び冷却装置も取り付けられていない。これに代えて、循環管路62とは別に貯蔵タンク61に接続された接続管路83を介して、注入部3が貯蔵タンク61に接続されている。そして貯蔵タンク61と注入部3とを接続する接続管路83には冷却装置81が取り付けられている。つまり、貯蔵タンク61と注入部3との間に冷却装置81が取り付けられている。尚、図16においては、注入部3が一つしか図示されていないが、複数の注入部を貯蔵タンク61に接続してもよい。その場合には、各注入部と貯蔵タンク61とを接続する管路に冷却装置をそれぞれ取り付ける。何れの場合においても、冷却装置81による冷却温度は、貯蔵タンク61を保温する保温装置の保温温度よりも低温度に設定されている。これにより溶融石鹸は、その保温温度よりも例えば0.5〜10℃程度低く冷却される。
【0062】
本実施形態においても、第5の実施形態と同様に、溶融石鹸が、成形型のキャビティに注入される前に、循環中の温度よりも低い温度に冷却されるので、キャビティ内での冷却固化時間が第1の実施形態の場合よりも短縮されるという利点がある。その上、第5の実施形態と異なり循環管路62を冷却していないので、第5の実施形態で用いた加熱装置を用いなくても良いとい利点もある。その分、製造装置の構成を簡単にすることができる。
【0063】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記各実施形態においては、押し込みプラグ33は注入ノズル32の内形状と完全に合致しており、プラグ33がノズル内に完全に挿入された状態においては、ノズル内には空間が全く存在していなかったが、プラグ32の形状は、ノズル32内に成形に差し支えのない程度の量の溶融石鹸が残存してもよい限度において、少なくともノズル先端部の形状と合致していればよい。逆に、図17(a)及び図17(b)に示すように、ノズル32の内形状よりもプラグ33の形状が大きく、プラグ33の後端部が供給路30内に突出していてもよい。
【0064】
また、注入ノズルの形状は截頭円錐形に限られず、他の形状、例えば截頭角錐形などでもよい。
【0065】
また、前記各実施形態においては、ゲートピン22の進退方向がゲート21における溶融石鹸の流動方向と0度又は90度の角度をなしている場合について説明したが、この角度は前述の通り、ゲートピン22をゲート21内に押し込み、その状態を維持させるために要する力と、(2)得られる石鹸に形成されるゲート21の痕跡の大きさとのバランスを考慮して、0〜90度の範囲で決定すればよい。
【0066】
第3及び第4の実施形態においては、溶融石鹸の供給管30が直接貯蔵タンクに接続されていたが、これに代えて第1及び第2の実施形態のように溶融石鹸の循環管路に接続されていてもよい。逆に、第1及び第2の実施形態において、溶融石鹸の供給路が貯蔵タンクに直接接続されていてもよい。
【0067】
また前記実施形態においては、ノズル挿入孔11の内形状と、ノズル32の外形状とが完全に合致しており、両者間には空間が全く存在していなかったが、ノズル32の形状は、成形に差し支えのない程度の量の溶融石鹸がノズル挿入孔11内に残存してもよい限度において、例えば図18(a)に示すように、少なくともノズル挿入孔11の最奥部の形状と合致していればよい。また、ノズル32の形状がノズル挿入孔11の最奥部の形状と合致していなくても、図18(b)に示すように、ノズル32の先端にOリング32aを取り付けることで、ノズル32の挿入時にノズル32の先端形状がノズル挿入孔11の最奥部の形状と合致するようにしてもよい。
【0068】
また、第1及び第2の実施形態においては、図19(a)及び図19(b)に示すように、供給管30の先端に形成された液溜まり部31の下部に、循環管路62に接続された帰還管31aを設け、更に該帰還管31aに開閉バルブ31bを取り付けてもよい。石鹸の成形操作時には、図19(a)に示すようにバルブ31bを閉じておく。成形操作の停止時には、図19(b)に示すようにバルブ31bを開き且つピストン36によって供給管30内に溶融石鹸を送り込み、これを帰還管31aを通じて循環管路62に帰還させる。これによって、成形操作の中断後、操作を再開する場合であっても。ノズル32内に常に新鮮な溶融石鹸が供給される。
【0069】
前記の各実施形態は気泡入り石鹸の製造方法に係るものであったが、本発明はこれ以外の石鹸の製造にも同様に適用できることは言うまでもない。また成形型として、前述した閉鎖されている成形型だけでなく、開放されている成形型を用いることもできる。
【0070】
また、前記実施形態においては、成形型40を含む成形部4全体が移動可能になっており、注入ノズル32を含む注入部3に対して接離可能になっていたが、これに代えて又はこれに加えて、注入ノズル32を含む注入部3全体が移動可能になっており、成形型40を含む成形部4に対して接離可能になっていてもよい。
【0071】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、成形型への溶融石鹸の充填が完了した時点において、成形型のゲート内に溶融石鹸が滞留したり残存したりすることが無い。また充填ノズル内に溶融石鹸が滞留したり残存したりすることも無い。従って、次回の成形に先立ち、成形型から固化した石鹸を除去する必要がなく、生産性を高めることができる。また、次回の成形時には新しい溶融石鹸を供給することができるので成形を円滑に行うことができ、また得られる石鹸も均質なものとなる。更に、得られる石鹸に不要な部分が存在していないので、いわゆる端切りが不要である。その上、成形型を毎回清掃する必要がないので生産性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の石鹸の製造装置における循環部を示す模式図である。
【図2】図2は、本発明の石鹸の製造装置における注入部及び成形部を示す模式図である。
【図3】図3は、成形型の型開状態を示す斜視図である。
【図4】図4(a)は成形開始時の状態を示す模式図であり、図4(b)は図4(a)の要部拡大図である。
【図5】図5は、シリンダ内に溶融石鹸を充填する状態を示す模式図である。
【図6】図6(a)はキャビティ内に溶融石鹸を注入する状態を示す模式図であり、図6(b)は図6(a)の要部拡大図である。
【図7】図7は、キャビティ内への溶融石鹸の充填が完了した状態を示す模式図である。
【図8】図8は、成形部を注入部から離間した状態を示す模式図である。
【図9】図9は、成形型を型開した状態を示す模式図である。
【図10】図10は、石鹸を受け取り手段に受け渡す状態を示す模式図である。
【図11】図11は、本発明の石鹸の製造装置における注入部及び成形部の別の実施形態を示す模式図である。
【図12】図12は、別の成形型の型開状態を示す斜視図である。
【図13】図13は、本発明の石鹸の製造装置における注入部及び成形部の更に別の実施形態を示す模式図である。
【図14】図14は、本発明の石鹸の製造装置における注入部及び成形部のまた更に別の実施形態を示す模式図である。
【図15】図15は、本発明の石鹸の製造装置における循環部の別の実施形態を示す模式図である。
【図16】図16は、本発明の石鹸の製造装置における循環部の更に別の実施形態を示す模式図である。
【図17】図17(a)及び図17(b)はそれぞれ、押し込みプラグの別の実施形態を示す模式図である。
【図18】図18(a)及び図18(b)はそれぞれ、ノズル及びノズル挿入孔の別の実施形態を示す模式図である。
【図19】図19(a)及び図19(b)はそれぞれ、注入部の別の実施形態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 第1の割型
2 第2の割型
3 注入部
4 成形部
6 循環部
11 ノズル挿入孔
21 ゲート
22 ゲートピン
32 注入ノズル
40 成形型
Claims (2)
- 所定形状のキャビティ及び該キャビティに通ずる溶融石鹸の供給路を備えた成形型と、該成形型へ溶融石鹸を供給する供給管とを具備する石鹸の製造装置であって、
前記成形型が、冷却水の循環路が設けられた一組の割型を組み付けて形成されており、
前記供給管が、前記供給路の供給孔に挿入されるノズルと該ノズル内に進退可能に配された、該ノズルの内形状と同形状の外形を有するプラグとを有し、
前記供給路が、前記ノズルとの間に空隙が無く該ノズルが挿入される前記供給孔及びゲートを含み、該ゲート内に、該供給孔と前記キャビティとの連通を遮断させる、該ゲートの内形状と同形状の外形を有するゲートピンが進退可能に配されており、
前記プラグの前記ノズル内への押し込みによって前記キャビティ内への溶融石鹸の供給の停止後ただちに或いはほぼ同時に、前記ゲートピンの進入によって前記供給路を完全に閉塞することで、該供給路内に残存する溶融石鹸を取り除くようになされている石鹸の製造装置。 - 前記ゲートピンの進入方向が前記ゲートにおける前記溶融石鹸の流動方向と0〜90度の角度をなしている請求項1記載の石鹸の製造装置。
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