JP3518227B2 - 低融点合金鋳造方法 - Google Patents

低融点合金鋳造方法

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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂の射出成形に
用いられる低融点金属中子等を成形する低融点合金鋳造
方法に係り、特に、金型キャビティ内に溶湯を射出充填
し冷却工程が終了した後に、金型キャビティ内の未凝固
溶湯を射出装置の射出ポンプによって吸引する未凝固溶
湯回収工程を追加して、冷却工程の時間短縮を図った低
融点合金鋳造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、たとえば、自動車用エンジンへガ
ソリンを噴射するインテークマニホールド等を樹脂材料
で射出成形する際には、インテークマニホールド用中子
が必要であり、インテークマニホールドを樹脂で射出成
形した後に中子を溶解するため、融点の低い、たとえ
ば、Sn−Bi合金等の低融点合金で製作する必要があ
った。この場合、これらの低融点合金の溶湯を、たとえ
ば、溶解炉や保持炉等に保持された溶湯を溶湯管路を経
由して移送し、ダイカストマシンなどの成形装置の金型
キャビティへ射出して鋳造し、成形品として製作してい
た。この場合の鋳造作業の作業工程は、型閉工程、ゲー
トバルブ・ドッキング工程、射出工程、保圧工程、冷却
工程、ゲート遮断工程、ゲートバルブ・離脱工程、型開
工程、製品取出工程を順次実施していた。すなわち、保
持炉と溶湯管路で接続され溶湯を連通・遮断自在なゲー
トバルブを、型閉した金型の金型キャビティのランナ部
へ当接してドッキングして、保持炉に貯蔵された溶湯を
金型キャビティへ射出した後保圧(加圧)し、一定時間
の冷却時間保持し、ゲートバルブを遮断状態にしてゲー
トバルブをランナ部より離脱後退させ、型開してから製
品を取出していた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような作業工程では、金型キャビティ内に射出し保圧さ
れた溶湯が完全に凝固するまでは、金型を開いて鋳造品
を取り出すことができず、このため冷却工程に多くの時
間を要し、1ショットの作業時間が多くなり、生産性が
低いという問題があった。 【0004】 【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、本発明における低融点金属中子の低融点合金鋳造
方法は、型締装置によって開閉自在な金型装置の金型を
型締して保持炉に貯蔵した低融点合金の溶湯を、溶湯の
連通・遮断が自在で該保持炉へ逆流可能なゲートバルブ
を金型キャビティのランナ部に当接してドッキングした
うえ、ピストンポンプ式の射出ポンプを用いた射出装置
で射出して加圧し、冷却固化した後に型開して成形品を
取り出す低融点合金鋳造方法であって、型閉工程、ゲー
トバルブ・ドッキング工程、射出工程、保圧工程、冷却
工程、ゲート遮断工程、ゲートバルブ・離脱工程、型開
工程、製品取出工程からなる鋳造作業工程のうち、冷却
工程とこれに後続するゲート遮断工程との間に、ピスト
ンポンプ式の射出ポンプを用いた射出装置により溶湯の
逆流吸引作用を働かせて金型キャビティ内に残存する未
凝固溶湯を射出ポンプへ吸引する未凝固溶湯回収工程を
追加した。 【0005】 【発明の実施の形態】本発明の低融点合金鋳造方法は、
型閉工程、ゲートバルブ・ドッキング工程、射出工程、
保圧工程、冷却工程、ゲート遮断工程、ゲートバルブ・
離脱工程、型開工程、製品取出工程からなる鋳造作業工
程のうち、冷却工程とこれに後続するゲート遮断工程と
の間に、射出装置により溶湯の逆流吸引作用を働かせて
金型キャビティ内に残存する未凝固溶湯を回収する未凝
固溶湯回収工程を追加したため、金型キャビティの全溶
湯が完全に冷却固化する長時間を待たずに次工程の未凝
固溶湯回収工程へ移り、冷却時間が、たとえば、半分に
なるなど、大幅に短縮される。その結果、比較的冷却固
化の速い金型表面付近を残し中心部が未凝固溶湯を抜き
取られて空洞化した中空状製品が出来上がるが、この製
品は樹脂の射出成形の中子として使用し、射出成形後は
加熱により溶解するだけであるから、ある程度の強度が
あればこと足り、支障はない。 【0006】 【実施例】以下図面に基づいて本発明の実施例の詳細に
ついて説明する。図1〜図4はいずれも本発明の実施例
に係り、図1は低融点合金鋳造装置の縦断面図、図2は
低融点合金鋳造装置の全体構成図、図3はゲートバルブ
の油圧回路図、図4はゲートバルブの動作説明図であ
る。 【0007】図1や図2に示すように、低融点合金鋳造
装置300は、溶融金属Mを貯溜し保持する保持炉10
と保持炉10内に浸漬された射出装置(射出ポンプ20
Aおよびポンプ切替弁30、連通遮断弁70等)20と
保持炉10内の溶融金属Mの供給ラインとなる溶湯管路
40と溶融金属Mの連通・遮断を制御するゲートバルブ
50とゲートバルブ50から保持炉10へ溶融金属Mを
戻す戻り管路60と金型装置100と金型装置の開閉お
よび型締を行なう図示しない型締装置とで構成され、付
属装置として、溶湯管路40および戻り管路60を保温
する温度調節装置80と保持炉10や上述の管路40、
60を保温する温調ユニット80Aならびに射出装置2
0やゲートバルブ50を操作制御する制御装置200と
で構成される。 【0008】保持炉10は、金属容器に溶融金属Mの溶
湯を貯溜し、上部の開口部を被覆したうえ熱媒体で周囲
を加熱保温するようになっており、この保持炉10内に
射出ポンプ20A、ポンプ切替弁30および1つの連通
遮断弁70からなる射出装置20が収納される。射出装
置20の射出ポンプ(給湯ポンプ)20Aは、この保持
炉10内の溶融金属Mに浸漬されて配置され、上方が開
口され下端面が密閉された筒状のシリンダ20a内にピ
ストン20bがサーボモータ21とボールねじ22aを
介して上下方向摺動自在に配設され、シリンダ20aの
下端面の穿設された透孔20cはポンプ切替弁30に接
続される。ポンプ切替弁30は、保持炉10に連通する
ポートと前記透孔20cに接続するポートと溶湯管路4
0へ連通するポートを有するボデイ30aの内部に、流
体圧シリンダ32の作動により上下方向に昇降する弁棒
34の下端の弁体36を昇降してこれらの各ポートを連
通遮断するよう構成されたものである。 【0009】ポンプ切替弁30のボデイ30aのポート
のひとつに接続された溶湯管路40は、固定配管とこれ
に接続されるフレキシブル管を経由してゲートバルブ5
0に連絡される。 【0010】ゲートバルブ50は、図2〜図3に示すよ
うに、円筒状のバルブ本体51の内部の透孔に、加圧シ
リンダ50bのピストンロッドに連結された加圧プラン
ジャ50aが嵌装され軸方向に摺動自在に形成され、一
方、バルブ本体51に連結されたドッキングシリンダ5
2の作動によってゲートバルブ50全体が前進(上昇方
向)あるいは後退(下降方向)できるように構成されて
いる。そして、図3に示すように、バルブ本体51上部
の側面に2つの開口部が設けられ、それぞれ溶湯管路4
0と戻り管路60に接続されている。 【0011】ゲートバルブ50は、固定金型110Aの
下端面に図示しないベースブロックを介して着脱自在に
固設されたドッキングシリンダ52のピストンロッドの
先端に連結され、ドッキングシリンダ52のピストンロ
ッドの上下進退動に応じてバルブ本体51全体が昇降自
在に配設される。また、加圧プランジャ(プランジャと
もいう)50aをバルブ本体51に対して上下昇降させ
る加圧シリンダ50bが備えられる。このようにして、
ゲートバルブ50は、金型1のランナ部3へのドッキン
グや離脱が可能で、かつ、加圧プランジャ50aの昇降
が自在であり、バルブ本体51内に軸線方向と直角に設
けられた溶湯通路とランナ部3との連通・遮断が可能と
なる。 【0012】一方、ゲートバルブ50のもうひとつの開
口部には、フレキシブル管とこれに接続された固定配管
からなる溶融金属Mの戻り管路60が接続され、保持炉
10内に浸漬された連通遮断弁70を経由して保持炉1
0内の溶融金属に連通している。ゲートバルブ50には
温調ユニット80Aによって供給される熱媒体が通過す
る温度調節配管80aが備えられる。ゲートバルブ50
は、図3に示す油圧回路によって制御される。 【0013】溶湯管路40の最上部付近と最下部には、
それぞれ、大気と連通・遮断自在なストップバルブかま
たはプラグを設けておくことが望ましい。その理由は、
長期休転の際に、溶湯管路40内の溶湯を外部に排出す
るためである。 【0014】連通遮断弁70は、上述したポンプ切替弁
30と同様に、ボデイ30aに固設されたボデイ70a
内に戻り管路60に接続されるポートと保持炉内の溶融
金属に連通するポートを穿設し、その途中に流体圧シリ
ンダ72の作動により上下方向に昇降する弁棒74の下
端の弁体76を昇降してこのポートを連通遮断するよう
構成されている。また、溶湯管路40や戻り管路60
は、固定配管は内部に溶融金属を通し外側を熱媒体を通
過させる二重管とし、二重管とするには困難なフレキシ
ブル管は単管としたままその外側をフレキシブルヒータ
80bで加熱保温する。なお、流体圧シリンダ32と流
体圧シリンダ72は、通常は油圧シリンダよりも空気圧
シリンダを使用する。 【0015】一方、制御装置200は、図2に示すよう
に、パーソナルコンピュータで形成されたコントローラ
210と、コントローラ210とサーボモータ21との
中間に接続されたコンバータ220a、カウンタボード
220b、PIOボード220cおよびサーボアンプ2
20と、コントローラ210〜ゲートバルブ50間なら
びにコントローラ210〜温度調節装置80間に配設さ
れたADコンバータ230、複数個のトランスミッタ2
30a、熱電対240とで構成され、サーボモータ21
やゲートバルブ50に操作指令を発振して制御するとと
もに、溶融金属Mの温度管理を司る。 【0016】図3は、ゲートバルブ50を駆動操作する
油圧系統図で、加圧プランジャ50aの動作用の加圧シ
リンダ50bとゲートバルブ50の全体を昇降させるド
ッキングシリンダ52の両方に、それぞれ流量調整弁5
4a、54b、電磁弁56a、56b、減圧弁58a、
58bを介して油圧源59および油タンク59aが油圧
配管で接続される。 【0017】このように構成された本発明の低融点合金
鋳造装置300の作動について、図4を参照しながら、
以下に順を追って説明する。 まず、ポンプ切替弁30内の弁体36を下降限まで下
げ、供給管路40のポートを閉じ保持炉内と透孔20c
を繋ぐポートを開いてから、サーボモータ21を駆動し
てボールネジ機構22を介して射出ポンプ(給湯ポン
プ)20Aのピストン20bを上昇させてシリンダ20
a内に規定量の溶融金属Mを吸引し取り込む。このと
き、連通遮断弁70も弁体76を下降限まで下げ、戻り
管路60と保持炉10内の連通を遮断しておく。 【0018】次に、ゲートバルブ50を金型方向に前
進させ、ゲートバルブ50の先端(上端)を金型キャビ
ティ110aのランナ部へ押圧し、金型110にゲート
バルブ50を密着させる(この工程が、図4のドッキン
グ工程である)。 ゲートバルブ50の加圧プランジャ50aを後退させ
る。 ポンプ切替弁30の弁体36を上昇限まで上げ、給湯
ポンプ20Aのピストン20bを下げてシリンダ20a
内の溶融金属Mを供給管路40ならびにゲートバルブ5
0を経由して金型キャビティ内へ充填する(図4の射出
工程)。 充填完了後は一定時間サーボモータ21のトルク制御
を行ない溶融金属の加圧力を制御する(図4の保圧工
程)。 【0019】次に、一定時間の冷却工程に入る。この
冷却時間は、従来の冷却時間よりも大幅に短縮された時
間であり、金型キャビティ表面付近の溶湯が凝固し、中
心部は未だ完全に凝固していない半流動状態をしている
時点である。この時点で、直ちに、次工程の未凝固溶湯
回収工程に移行する。この工程における金型キャビティ
部やランナ部の未凝固金属を回収する方法は、連通遮断
弁70を閉じ、ポンプ切替弁30の弁体36を上昇させ
て供給管路40と給湯ポンプ20を連通し、加圧プラン
ジャ50aを下げてピストン20bを上昇して溶湯管路
40に吸引力を働かせて溶湯管路40を通じて射出装置
20の射出ポンプ20A内に吸引する(図4の未凝固金
属回収工程)。 【0020】未凝固金属回収工程がタイマアウトした
後は、ゲートバルブ50の加圧プランジャ50aを前進
限まで上昇させ、溶湯管路40や戻り管路60にある溶
融金属Mがゲートバルブ50より漏れ出さないようにす
る(図4のゲート遮断工程)。 1回のショットが完了し、金型を開いて製品を取り出
したり、次ショットのための離型剤塗布などの待時間に
も、溶融金属Mを循環させたいときには、ゲートバルブ
50を金型から後退退避させてから、加圧プランジャ5
0aを前進位置に保持して、溶融金属Mを溶湯管路40
→ゲートバルブ50→戻り管路60の順に保持炉10内
へ流す。なお、において、ピストン20bが下降限に
達して輸送能力がなくなったときには、溶融金属Mの循
環を一時ストップしてと同様な手順により、ピストン
20bを上昇させてシリンダ20a内に溶融金属Mを取
り込む。その後、今までランナ部3にドッキング状態の
ゲートバルブ50を後退(下降)して、ランナ部3から
離脱状態とし、型開して製品を取り出す。 【0021】以上説明したように、本発明の低融点合金
鋳造装置300は、金型キャビティ2のランナ部3にゲ
ートバルブ50をドッキングさせ、射出ポンプ20Aを
速度制御して射出し、射出後の保圧工程の後、冷却工程
を短く切り上げて、直ちに未凝固溶湯回収工程を実施す
ることによって、従来の冷却時間を大幅に短縮した。ま
た、従来技術のように、保持炉10の溶湯液面よりラン
ナ部の高さ位置を高くしなくとも、ゲートバルブ50の
離脱の際にゲートバルブ先端部から溶湯が漏出すること
がない。したがって、高さ位置の制約がなく、高さの異
なる金型を自由に変更できる。そして、ゲートバルブ5
0を固定金型1Aの下端面に昇降自在の取り付ける構造
としたので、ゲートバルブ周辺の省スペース化を図るこ
ともできる。 【0022】 【発明の効果】以上述べたように、本発明の低融点合金
鋳造方法においては、冷却工程とこれに後続するゲート
遮断工程との間に、射出装置により溶湯の逆流吸引作用
を働かせて金型キャビティ内に残存する未凝固溶湯を回
収する未凝固溶湯回収工程を追加したので、冷却工程の
時間を大幅に短縮でき、その結果、1サイクル所要時間
(鋳造サイクルタイム)が短縮されるので、生産性が大
幅に向上する。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施例に係る低融点合金鋳造装置の縦
断面図である。 【図2】本発明の実施例に係る低融点合金鋳造装置の全
体構成図である。 【図3】本発明の実施例に係るゲートバルブの油圧回路
図である。 【図4】本発明の実施例に係るゲートバルブの動作説明
図である。 【符号の説明】 1 金型 2 金型キャビティ 3 ランナ部 10 保持炉 10a るつぼ 20 射出装置プ 20A 射出ポンプ(給湯ポンプ) 20a シリンダ 20b ピストン 20c 透孔 21 サーボモータ 22 ボールネジ機構 22a ボールねじ 22b ボールナット 30 ポンプ切替弁 30a ボデイ 32 流体圧シリンダ 34 弁棒 36 弁体 40 溶湯管路 50 ゲートバルブ 50a 加圧プランジャ(プランジャ) 50b 加圧シリンダ 51 バルブ本体 52 ドッキングシリンダ 54a、54b 流量調整弁 56a、56b 電磁弁 58a、58b 減圧弁 59 油圧源 59a 油タンク 60 戻り管路 70 連通遮断弁 72 流体圧シリンダ 74 弁棒 76 弁体 80 温度調節装置 80A 温調ユニット 80a 温度調節配管 80b フレキシブルヒータ 100 金型装置 200 制御装置 300 低融点合金鋳造装置 M 溶融金属(溶湯)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−225757(JP,A) 特開 平10−216916(JP,A) 特開 平10−202354(JP,A) 特開 平4−351246(JP,A) 特開 平3−174963(JP,A) 特開 平3−143607(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 17/02,17/30 B22C 9/10

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】型締装置によって開閉自在な金型装置の金
    型を型締して保持炉に貯蔵した低融点合金の溶湯を、溶
    湯の連通・遮断が自在で該保持炉へ逆流可能なゲートバ
    ルブを金型キャビティのランナ部に当接してドッキング
    したうえ、ピストンポンプ式の射出ポンプを用いた射出
    装置で射出して加圧し、冷却固化した後に型開して成形
    品を取り出す低融点合金鋳造方法であって、型閉工程、
    ゲートバルブ・ドッキング工程、射出工程、保圧工程、
    冷却工程、ゲート遮断工程、ゲートバルブ・離脱工程、
    型開工程、製品取出工程からなる鋳造作業工程のうち、
    冷却工程とこれに後続するゲート遮断工程との間に、
    ストンポンプ式の射出ポンプを用いた射出装置により溶
    湯の逆流吸引作用を働かせて金型キャビティ内に残存す
    る未凝固溶湯を回収する未凝固溶湯回収工程を追加した
    ことを特徴とする低融点金属中子の低融点合金鋳造方
    法。
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